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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1088048
異議申立番号 異議2002-72462  
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-09-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-10-08 
確定日 2003-09-03 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3272685号「弾球遊技機」の請求項1乃至3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3272685号の請求項1乃至3に係る特許を取り消す。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第3272685号の請求項1乃至3に係る発明は、平成4年1月31日に特許出願した特願平4-17052号の一部を平成11年2月1日に特願平11-23960号として新たな特許出願としたものであって、平成14年1月25日にその設定登録がなされ、その後、本間幹雄より特許異議の申立てがなされ、平成15年2月20日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成15年4月21日付けで訂正請求がなされたものである。

第2.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
平成15年4月21日付けの訂正請求書の内容は、以下のとおりである。
i.訂正事項a
特許請求の範囲の【請求項1】の記載を、
「遊技媒体を払出す遊技媒体払出手段を含む弾球遊技機であって、前記遊技媒体払出手段は遊技媒体を払出すための払出部材を有し、前記弾球遊技機は、前記遊技媒体払出手段の払出動作を制御する払出制御手段と、前記払出部材の払出動作量を検出する払出動作量検出手段と、前記遊技媒体払出手段が実際に払出した遊技媒体を計数する払出遊技媒体計数手段と、前記払出動作量検出手段により検出された払出動作量が、払出すべき遊技媒体の数に相当する動作量に達した段階で、前記払出すべき遊技媒体の数と前記払出遊技媒体計数手段による計数結果とを比較して遊技媒体が正常に払出されたか否かを判別する判別手段とを含むことを特徴とする、弾球遊技機。」と訂正する。
ii.訂正事項b
特許請求の範囲の【請求項2】の記載を、
「前記判別手段によって、前記払出すべき遊技媒体の数よりも多い遊技媒体が払出されたことが判別された場合にその旨を表示する表示手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の弾球遊技機。」と訂正する。
iii.訂正事項c
特許請求の範囲の【請求項3】の記載を、
「前記払出制御手段は、前記判別手段によって、前記払出すべき遊技媒体の数よりも少ない遊技媒体しか払出されていないことが判別された場合に、不足分の遊技媒体を払出すための制御を行なうことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の弾球遊技機。」と訂正する。
iv.訂正事項d
明細書の段落【0006】、【0007】に記載の、
「払出動作量検出手段により検出された払出動作量と(前記)払出遊技媒体計数手段による計数結果」を、
「払出動作量検出手段により検出された払出動作量が、払出すべき遊技媒体の数に相当する動作量に達した段階で、前記払出すべき遊技媒体の数と(前記)払出遊技媒体計数手段による計数結果」と訂正する。
v.訂正事項e
明細書の段落【0113】に記載の、
「その払出部材の払出動作量と実際に払出された遊技媒体の計数結果との間で整合性が保たれているはずであり、その払出動作量と計数結果とを比較して」を、
「その払出部材の払出動作量が、払出すべき遊技媒体の数に相当する動作量に達した段階で、前記払出すべき遊技媒体の数と実際に払出された遊技媒体の計数結果との間で整合性が保たれているはずであり、その払出動作量により払出すべき遊技媒体の数と計数結果とを比較して」と訂正する。
vi.訂正事項f
明細書の段落【0006】、【0007】、【0113】に記載の、
「(前記)払出部材の払出動作量に対応する数」を、
「前記払出すべき遊技媒体の数」と訂正する。
vii.訂正事項g
明細書の段落【0113】に記載の、
「払出動作量に見合った数」を、
「前記払出すべき遊技媒体の数」と訂正する。

3.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否の判断
上記訂正事項aは、特許明細書の特許請求の範囲の【請求項1】に記載されていた「払出動作量検出手段により検出された払出動作量と前記払出遊技媒体計数手段による計数結果」を「払出動作量検出手段により検出された払出動作量が、払出すべき遊技媒体の数に相当する動作量に達した段階で、前記払出すべき遊技媒体の数と前記払出遊技媒体計数手段による計数結果」と具体化明確化するものであるから特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、特許明細書に記載された事項の範囲内において訂正するものであるから新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
上記訂正事項b及びcは、特許明細書の特許請求の範囲の【請求項2】及び【請求項3】に記載されていた「前記払出部材の払出動作量に対応する数」を「前記払出すべき遊技媒体の数」と明確化するものであるから明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、特許明細書に記載された事項の範囲内において訂正するものであるから新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
上記訂正事項d乃至gは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを整合させるため、課題を解決するための手段、作用及び発明の効果を訂正する、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、いずれも特許明細書に記載された事項の範囲内において訂正するものであるから新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

3.むすび
したがって、上記訂正は特許法第120条の4第3項で準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3.特許異議申立てについての判断
1.本件発明
本件特許第3272685号の請求項1乃至請求項3に係る発明(以下、「本件発明1乃至本件発明3」という。)は、訂正が認められるから、訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至請求項3に記載された事項(前記第2.1.a乃至c参照)により特定されるものである。

2.取消理由の概要
当審が平成15年2月20日付けで通知した取消理由の1つは、本件発明1乃至本件発明3は、下記の引用刊行物に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1乃至本件発明3の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきというものである。
引用刊行物:特開昭60-193484号公報
(特許異議申立人が提出した甲第1号証)

3.引用刊行物に記載の発明
i.引用刊行物には、以下の事項が記載されている。
「この実施例では、後で詳述するように、パルスモータ21とこれによって回転駆動されるスプロケット22とからなる電動式の賞品球払出装置20を設け、上記入賞球導出路4の途中に設けられた入賞球検出器5からの入賞検知信号に基づいて制御装置50で駆動信号を形成して、入賞球ごとに賞品球払出装置20を動作させて所定数の賞品球の払出しを行なうようになっている。」(第3頁右上欄第5〜12行)、
「このシステムでは、制御装置50は、例えば内部に一つの入賞球に対して払出す賞品球数を設定するレジスタのような設定器51と、排出球検出器35からの検出信号を計数して排出球数を得るカウンタ52を有するマイクロコンピュータ(CPU)等からなる制御回路によって構成されている。この制御装置50は、入賞球があると、すなわち入賞球数検出器5から入賞検知信号が入力されると、ソレノイド25を駆動してパルスモータ21のロック状態を解除した後、賞品球払出装置20を構成するパルスモータ21に対して、所定のパルス数の駆動信号を送ってパルスモータ21を所定の角度だけ回転させ、内部の設定器51に設定されている数の賞品球の払出しを行なわせる。」(第5頁左上欄第2〜16行)、
「上記制御装置50は、予め設定器51内に設定されている賞品球数に応じた所定のパルス数からなる駆動信号を形成して出力するようになっている。つまり、上記の場合、設定された賞品球数を15個とすると、制御装置50は一個の入賞球に対して15×4すなわち60パルスからなる駆動信号を形成してパルスモータ21へ供給する。すると、パルスモータ21が駆動されてスプロケット22が450度回転される。このとき、誘導路8内から円滑に賞品球の流出が行なわれると、450度の回転により15個の賞品球の排出が行なわれる。」(第5頁右上欄第7〜18行)、
「ところが、誘導路8内における玉詰まり等の原因により2条の誘導路の一方のみもしくは両方とも賞品球が流れなくなってしまうことが考えられる。このような場合には、予め所定のパルス数の駆動信号を形成してパルスモータ21の駆動を行なう上記払出し方式によると、所定数の賞品球の正確な払出しが行なわれない場合が生ずる。そこで、この実施例では、上記制御装置50を第10図に示すようなフローに従って動作させることにより、正確な払出しを保証するようになっている。先ず、ステップS1において、入賞球検出器5からの入賞検知信号が入力されることにより入賞球があったことを検知すると、ステップS2へ移行する。ステップS2では、所定数の賞品球を排出させるのに必要なパルス数からなる駆動信号をパルスモータ21へ送って駆動させることにより、所定数の賞品球の払出処理を実行する。それから、ステップS3へ進み、排出球検出器35からの信号を計数する内部のカウンタの値を読み取ることで、実際の排出球数を確認する。そして、次のステップS4では、読み取った排出球数が設定器51にセットされている所定の賞品球数と一致したか否か判定する。ここで、排出球数が賞品球数と一致したと判定されると、待機状態へ移行するし、次の入賞球が検知されるまで待機し、次の入賞球が発生するとステップS1へ戻って上記動作を繰り返えす。一方、上記ステップS4で排出球数が賞品球数と一致しない(この場合、装置の構成上必ず排出球数<賞品球数となる)と判定されると、ステップS5へ進む。ステップS5では、パルスモータ21に対し、スプロケット22を30度回転させて賞品球を1個だけ排出する動作を行なわせるため、4パルスからなる駆動信号を送って1個排出処理を実行する。次に、ステップS6へ進み、再び排出球数が所定の賞品球数と一致したか否か判定する。その結果、両者が一致すると、待機状態へ移行する。一方、ステップS6で、排出球数が賞品球数と一致しないと判定されると、ステップS8へジャンプする。ステップS7では、予め設定された処理時間をオーバーしているかを判定し、処理時間内であれば再び上記ステップS5へ戻って賞品球の1個排出処理を繰り返えす。処理時間は、かなり余裕をもって設定されているため、2条の誘導路8の一方のみしか賞品球が流れないような異常な状態が発生していても、上記ステップS5→S6→S7→S5のルーチンを繰り返えすことにより、片方の列のみから所定数の賞品球の排出が行なわれる。」(第5頁右上欄第19行〜第6頁左上欄第9行)、
「しかしながら、誘導路8内での玉詰まりや玉不足検出器15a,15bの故障等により、賞品球払出装置20が完全に空回りすることによって、上記処理時間Tを経過しても排出球数が賞品球数に達しない場合が起きると、上記フローのステップS7で処理時間オーバーと判定される。すると、ステップS8へ進んで排出動作を停止させるとともに、エラー表示を行なう。このエラー表示は、例えば遊技盤前面上部に設けた警報ランプを点灯させる等の方法により行なうことができる。」(第6頁右上欄第10〜20行)、
「また、この発明は、誘導路の流下端部に、予備球の流出方向と交叉するようにスプロケットを配設し、このスプロケットをパルスモータ等で駆動させることにより、球を1個宛排出できる球払出装置を構成するとともに、賞品球の排出を検出する手段を設け、この排出検出手段からの検出信号に基づいて排出数を確認し、所定の賞品球数に達するまで排出動作を継続させるようにしたので、規定数以上の球が絶対に排出されないことはもちろん、正確かつ確実な球の払出しが行なえるという効果がある。」(第8頁右下欄第13行〜第9頁左上欄第3行)。
ii.引用刊行物における前記摘示の記載及び図面第1、5、9、10図によれば、引用刊行物には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「パチンコ球を払出す賞品球払出装置20を含むパチンコ遊技機であって、前記賞品球払出装置20はパチンコ球を払出すためのスプロケット22を駆動するパルスモータ21を有し、前記パチンコ遊技機は、前記賞品球払出装置20の払出動作を制御する制御装置50を有し、
前記制御装置50は、予め設定器51内に設定されている賞品球数に応じた所定のパルス数からなる駆動信号を前記パルスモータ21に出力する手段と、前記賞品球払出装置20が実際に払出したパチンコ球を検出する排出球検出器35からの検出信号を計数するカウンタ52と、前記設定器51に設定されている賞品球数と前記カウンタ52による計数結果とを比較してパチンコ球が正常に払出されたか否かをステップS4により判定する手段と、前記ステップS4によって、前記払出すべきパチンコ球の数よりも少ないパチンコ球しか払出されていないことが判定された場合に、不足分のパチンコ球を払出すための制御をステップS5乃至ステップS7により行なう手段と、前記ステップS5乃至ステップS7によって、前記払出すべきパチンコ球の数よりも少ないパチンコ球が払出されたことが最終的に判定された場合に警報ランプによるエラー表示をステップS8により行なう手段を含む、パチンコ機」。

4.本件発明1について
(1)本件発明1と引用発明との対比
本件発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における、「パチンコ球」、「賞品球払出装置20」、「パチンコ遊技機」、「パルスモータ21によって回転駆動されるスプロケット22」、「制御装置50」、「カウンタ52」、「設定器51に設定されている賞品球数」は、それぞれ、本件発明1における、「遊技媒体」、「遊技媒体払出手段」、「弾球遊技機」、「払出部材」、「払出制御手段」、「払出遊技媒体計数手段」、「払出すべき遊技媒体の数」に相当する。
また、引用発明における「設定器51に設定されている賞品球数と前記カウンタ52による計数結果とを比較してパチンコ球が正常に払出されたか否かをステップS4により判定する手段」は、本件発明1における「払出すべき遊技媒体の数と前記払出遊技媒体計数手段による計数結果とを比較して遊技媒体が正常に払出されたか否かを判別する判別手段」に相当する。
そうすると、本件発明1と引用発明は、以下の点でそれぞれ一致ならびに相違するものと認められる。
一致点.「遊技媒体を払出す遊技媒体払出手段を含む弾球遊技機であって、前記遊技媒体払出手段は遊技媒体を払出すための払出部材を有し、前記弾球遊技機は、前記遊技媒体払出手段の払出動作を制御する払出制御手段と、前記遊技媒体払出手段が実際に払出した遊技媒体を計数する払出遊技媒体計数手段と、払出すべき遊技媒体の数と前記払出遊技媒体計数手段による計数結果とを比較して遊技媒体が正常に払出されたか否かを判別する判別手段とを含むことを特徴とする、弾球遊技機。」
相違点A.払出すべき遊技媒体の数と払出遊技媒体計数手段による計数結果とを比較して遊技媒体が正常に払出されたか否かを判別する判別手段が動作する前提構成として、本件発明1は、払出部材の払出動作量を検出する払出動作量検出手段を有し、前記払出動作量検出手段により検出された払出動作量が、払出すべき遊技媒体の数に相当する動作量に達した段階で、前記判別手段が動作する構成であるのに対して、引用発明は、払出部材の払出動作量を検出する払出動作量検出手段を有しないため、検出された払出動作量が払出すべき遊技媒体の数に相当する動作量に達したと見なされた段階で、前記判別手段が動作する構成である点。

(2)相違点Aの検討
上記相違点Aは、要するに、所定の払出すべき遊技媒体の数に応じて、払出部材の払出動作量を制御する構成において、本件発明1では、払出部材の実際の払出動作量を検出する払出動作量検出手段を設けて該払出部材の実際の払出動作量が払出すべき遊技媒体の数に相当する動作量に達するまで払出部材が動作したことを確認する構成としたのに対して、引用発明では、払出部材の実際の払出動作量を検出する払出動作量検出手段を設けることなく、払出すべき遊技媒体の数に相当する動作量に達するまで払出部材が本来的に動作したものと見なす構成としたものである。
ところで、弾球遊技機の技術分野において、所定数の遊技媒体を払い出すように払出部材の払出動作を制御する技術において、該払出部材の払出動作量を検出する払出動作量検出手段を設けて、これを用いて払出すべき遊技媒体の数に相当する動作量に達するまで該払出部材の実際の払出動作量を制御するようにした弾球遊技機は周知技術(例えば、特開昭60-227784号公報、特開昭63-160685号公報)である。
そうすると、引用発明に示される弾球遊技機において、払出動作量検出手段により払出部材の実際の払出動作量を制御する前記周知技術を採用して、前記払出動作量検出手段により検出された払出動作量が、払出すべき遊技媒体の数に相当する動作量に達した段階で、払出すべき遊技媒体の数と払出遊技媒体計数手段による計数結果とを比較する前記判別手段が動作するようにして、相違点Aに係る本件発明1の構成のようにすることは、当業者が容易に想到できるものである。
そして、本件発明1の作用効果は、引用発明及び前記周知技術に基づいて当業者が容易に予測できるものである。
したがって、本件発明1は、引用刊行物に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

5.本件発明2について
(1)本件発明2と引用発明との対比
本件発明2と引用発明とを対比すると、上記相違点Aに加え、下記相違点Bで相違する他は、その余の点で一致している。
相違点B.本件発明2は、払出すべき遊技媒体の数よりも多い遊技媒体が払い出されたことが判別された場合にその旨を表示する表示手段を含むのに対し、引用発明は、払出すべき遊技媒体の数よりも多い遊技媒体が払い出された場合を想定した記載がない点。
(2)相違点の検討
相違点Aについては、上記「4.本件発明1について」で検討したとおりである。
次いで相違点Bについて検討すると、引用発明には、払出すべき遊技媒体の数よりも少ない遊技媒体が払い出されたことが最終的に判別された場合にエラー表示を行なう警報ランプを設ける技術が記載されているところ、一般に異常があった場合にそれを表示手段により表示することは、弾球遊技機の分野を含め種々の技術分野においてよく知られた周知慣用技術である。
そうすると、弾球遊技機における異常状態である「払出部材の払出動作量に対応する数よりも多い遊技媒体が払い出されたことが判別された場合」にその異常状態を表示する表示手段を具備させる程度のことは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、本件発明2の前記相違点Bに係る作用効果は、引用発明及び前記周知慣用技術に基づいて当業者が容易に予測できるものである。
したがって、本件発明2は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

6.本件発明3について
(1)本件発明3と引用発明との対比
本件発明3と引用発明とを対比すると、上記相違点A及びBで相違する他は、その余の点で一致している。
(2)相違点の検討
上記相違点Aについては、上記「4.本件発明1について」で検討したとおりである。
また、相違点Bについては、上記「5.本件発明2について」で検討したとおりである。
そして、本件発明3の作用効果は、引用発明及び前記周知技術に基づいて当業者が容易に予測できるものである。
したがって、本件発明3は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

7.むすび
以上のとおり、本件請求項1乃至3に係る発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
弾球遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 遊技媒体を払出す遊技媒体払出手段を含む弾球遊技機であって、
前記遊技媒体払出手段は遊技媒体を払出すための払出部材を有し、
前記弾球遊技機は、
前記遊技媒体払出手段の払出動作を制御する払出制御手段と、
前記払出部材の払出動作量を検出する払出動作量検出手段と、
前記遊技媒体払出手段が実際に払出した遊技媒体を計数する払出遊技媒体計数手段と、
前記払出動作量検出手段により検出された払出動作量が、払出すべき遊技媒体の数に相当する動作量に達した段階で、前記払出すべき遊技媒体の数と前記払出遊技媒体計数手段による計数結果とを比較して遊技媒体が正常に払出されたか否かを判別する判別手段とを含むことを特徴とする、弾球遊技機。
【請求項2】 前記判別手段によって、前記払出すべき遊技媒体の数よりも多い遊技媒体が払出されたことが判別された場合にその旨を表示する表示手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】 前記払出制御手段は、前記判別手段によって、前記払出すべき遊技媒体の数よりも少ない遊技媒体しか払出されていないことが判別された場合に、不足分の遊技媒体を払出すための制御を行なうことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機やコイン遊技機等で代表される弾球遊技機に関し、詳しくは、遊技媒体を払出す遊技媒体払出手段を含む弾球遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の弾球遊技機において、従来から一般的に知られているものに、たとえば、遊技者の打球操作に従って打玉が遊技盤の前面の遊技領域に打込まれ、その打込玉が所定の入賞領域に入賞する等の所定の遊技状態が発生した場合に、遊技媒体の一例の景品玉や景品コインを払出す遊技媒体払出手段が設けられたものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この種の従来の弾球遊技機において、遊技媒体払出手段に何らかの異常が発生した場合や払出すべき遊技媒体が欠乏した場合等の何らかの異常が発生して、実際に払出された遊技媒体の個数が払出すべき所定個数とは異なってしまう不都合が生ずる場合がある。たとえば、実際に払出された遊技媒体の個数が少な過ぎた場合には、その分遊技者が損害を被ることとなり、遊技場にしてみれば、遊技者から不信感を抱かれてしまい、経営上大きなマイナスとなってしまう不都合が生ずる。
【0004】
逆に、実際に払出された遊技媒体の個数が多すぎた場合には、遊技場の不利益となってしまい、遊技場の経営が悪化してしまうという不都合が生ずる。
すなわち、遊技媒体の払出は、多すぎた場合も少なすぎた場合もいずれにしても遊技場の大きなマイナスとなってしまうのであり、この遊技媒体の払出個数の過不足をなくして信頼性を向上させたいという遊技場のニーズがあった。
【0005】
本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、遊技媒体の払出に関する信頼性を向上させることのできる弾球遊技機を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、遊技媒体(コイン、パチンコ玉)を払出す遊技媒体払出手段(図4、玉払出器63)を含む弾球遊技機であって、
前記遊技媒体払出手段は遊技媒体を払出すための払出部材(図4、玉送り部材800)を有し、
前記弾球遊技機は、
前記遊技媒体払出手段の払出動作を制御する払出制御手段(図8、払出制御用マイクロコンピュータ350)と、
前記払出部材の払出動作量(図4の玉送り部材800の回転量)を検出する払出動作量検出手段(図8の半回転検出センサ802b,図17のS106、S107)と、
前記遊技媒体払出手段が実際に払出した遊技媒体を計数する払出遊技媒体計数手段(図4及び図8の玉計数センサA(68c),B(68d),図17のS108,S109)と、
前記払出動作量検出手段により検出された払出動作量が、払出すべき遊技媒体の数に相当する動作量に達した段階で、前記払出すべき遊技媒体の数と前記払出遊技媒体計数手段による計数結果とを比較して遊技媒体が正常に払出されたか否かを判別する判別手段(図17のS118)とを含むことを特徴とする。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記判別手段によって、前記払出すべき遊技媒体の数よりも多い遊技媒体が払出されたことが判別された場合にその旨を表示する表示手段(エラー原因表示器146へのコード表示、図17のS127)をさらに含むことを特徴とする。
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の発明の構成に加えて、前記払出制御手段は、前記判別手段によって、前記払出すべき遊技媒体の数よりも少ない遊技媒体しか払出されていないことが判別された場合(図17のS118で「払出カウンタ<I」)に、不足分の遊技媒体を払出すための制御を行なう(図17のS119、S120)ことを特徴とする。
【0007】
【作用】
請求項1に記載の本発明によれば、遊技媒体払出手段が遊技媒体を払出すための払出部材を有している。払出制御手段の働きにより、遊技媒体払出手段の払出動作が制御される。払出動作量検出手段の働きにより、払出部材の払出動作量が検出される。払出遊技媒体計数手段の働きにより、遊技媒体払出手段から実際に払出された遊技媒体が計数される。そして、判別手段の働きにより、払出動作量検出手段により検出された払出動作量が、払出すべき遊技媒体の数に相当する動作量に達した段階で、前記払出すべき遊技媒体の数と払出遊技媒体計数手段による計数結果とが比較されて遊技媒体が正常に払出されたか否かが判別される。
請求項2に記載の本発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、表示手段の働きにより、判別手段によって、前記払出すべき遊技媒体の数よりも多い遊技媒体が払出されたことが判別された場合にその旨が表示される。
請求項3に記載の本発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明の作用に加えて、払出制御手段のさらなる働きにより、判別手段によって、前記払出すべき遊技媒体の数よりも少ない遊技媒体しか払出されていないことが判別された場合に、不足分の遊技媒体を払出すための制御が行なわれる。
【0008】
【発明の実施例】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施例では弾球遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はこれに限らず、コイン遊技機等であってもよい。
【0009】
第1実施例
図1は、本発明に係る弾球遊技用装置の一例のパチンコ遊技機60およびカード処理機62を示す正面図である。
【0010】
パチンコ遊技機60の左右方向一側部(図面では左側)にはカード処理機62がパチンコ遊技機60に対し分離可能な状態で設けられている。図中130は処理機使用可表示器であり、カード処理機62が作動中で使用可能である旨を点灯表示するためのものである。また、この処理機使用可表示器130により、後述する各種のエラー状態が表示される。カード処理機62にはカードリーダライタが設けられたカードリーダライタ制御部134が設けられており、カード挿入・排出口133からカードを挿入すればそのカードに記録されている記録情報がこのカードリーダライタにより読取られる。その読取られたカード情報に含まれている挿入時のカード残額が残金額表示器(カード残高表示器)50により表示される。このカード処理機62にはCPU,ROM,RAM等が内蔵されたカード処理機制御部135が設けられており、このカード処理機制御部135よりカード処理機62全体が制御される。
【0011】
遊技者がこのカード挿入・排出口133にカードを挿入してその挿入カードが適正でかつカード残額が残っている場合で玉貸操作が可能な場合には、カード処理機制御部135からパチンコ遊技機60側に玉貸可LED点灯用の制御信号が出力されて打球待機部の一例の玉貯留皿59に設けられている玉貸可LED(玉貸可表示器)48dが点灯される。この玉貸可LED(玉貸可表示器)48dは玉貸操作ができる旨を点灯表示するものである。遊技者がこの玉貸可LED(玉貸可表示器)48dの点灯していることを確認して玉貸ボタン44cを押圧操作する。すると、カード処理機62側からパチンコ遊技機60側の払出制御用マイクロコンピュータ350に玉払出指令信号が出力されて後述するたとえばロータリスイッチ等からなる貸玉額設定スイッチ137(図2参照)によって予め設定されている一回の玉貸操作により払出される貸玉額(以下、単に貸玉額という)分の遊技玉(パチンコ玉)が打球供給皿59内に払出される。この貸玉額分の払出が終了するまでは玉貸可LED(玉貸可表示器)48dが消灯する。そして貸玉額分のパチンコ玉の払出が終了した段階でカード処理機62内に挿入されているカードのカード残額が貸玉額分減額更新される。カード処理機62により、遊技者所有の有価価値が特定可能な情報が記録された記録媒体の記録情報が入力され、該入力された記録情報によって特定される前記有価価値を使用して貸玉を払出すため玉払出指令信号を導出する玉払出指令手段が構成されている。
【0012】
図中42cは返却ボタンであり、玉貸可LED(玉貸可表示器)48dの点灯している期間中操作が有効なものである。この返却ボタン42cが遊技者によって押圧操作されることにより、カード処理機62内に挿入されているカードがカード挿入・排出口133から遊技者側に返却される。このカード挿入・排出口133は、カードが挿入・排出される溝部分の外周に突条が設けられており、図示右側の突条133aより左側の突条133bのほうが突出量の大きい突条に構成されており、このカード処理機62の図示左側に設置されているパチンコ遊技機(図示せず)で遊技をせんとする遊技者が間違ってこのカード処理機62のカード挿入・排出口133にカードを挿入する不都合を極力防止できるようにしている。図中132はカード挿入ランプであり、カード挿入・排出口133にカードが挿入されて所定位置に保持された状態で点灯するものである。
【0013】
カード挿入時のカード残額と、玉貸が行なわれて減額更新された後のカードの残金額とが打球供給皿59に設けられている残金額表示器(カード残高表示器)50により表示される。打球供給皿59内にパチンコ玉が払出された状態で遊技者が打球操作ハンドル121を操作すれば、パチンコ玉が1つずつ遊技盤967の前面に形成された遊技領域120内に打込まれる。遊技領域120には、始動入賞口125a,125b,125cが設けられており、この始動入賞口125a〜125cにパチンコ玉が入賞することにより可変表示装置123が可変開始される。そして停止時の表示結果が特定の識別情報の組合せ(777)となれば所定の遊技状態としての大当り状態となり可変入賞球装置124が開成してパチンコ玉が入賞しやすい第1の状態となる。なお、可変表示装置123の停止時の表示結果が特定の識別情報となった場合に、直接景品玉を払出したり得点を付与したりして直接遊技価値を付与してもよい。始動入賞口125aにパチンコ玉が入賞すると1個の入賞につきn個(たとえば7個)の景品玉が打球供給皿59に払出される。始動入賞口125b,125c内にパチンコ玉が入賞すると1個の入賞につきm個(たとえば10個)の景品玉が打球供給皿59内に払出される。さらに、遊技領域120内に設けられている通常の入賞口や可変入賞球装置124内にパチンコ玉が入賞すると1個の入賞につきK個(たとえば15個)の景品玉が打球供給皿59内に払出される。これらの景品玉の払出の最中に払出ランプ126が点灯または点滅表示される。
【0014】
この打球供給皿59内に払出される景品玉は後述する玉タンク151(図2参照)内に貯留されているのであり、この玉タンク151内の貯留玉がなくなればタンク玉センサ150が玉を検出しなくなり、その時点で玉切れ表示器127が点灯または点滅表示して貯留玉がなくなったことを表示する。打球供給皿59が景品玉で満杯となりそれ以上貯留できなくなった余剰玉は余剰玉貯留皿122内に払出される。この余剰玉貯留皿122も満杯になった場合に、それ以降払出すべき景品玉が生じたときにその景品玉の個数またはその景品玉に相当する金額等を記憶して表示するクレジット得点表示器を打球供給皿59に設けてもよい。つまり、本実施例では、後述するように1個の入賞玉に基づく景品玉の払出制御が終了した後さらに次の入賞玉に基づく景品玉の払出制御を行なうという入賞玉1個宛処理を行なっており、前記余剰玉貯留皿122が満杯になった以降において、入賞玉に基づいて払出すべき景品玉が存在するときにはその入賞玉に基づいて払出すべき景品玉の個数またその景品玉に相当する金額等を加算記憶し、その加算記憶が終了した後次の入賞玉に基づく加算記憶を行ない、その加算記憶された記憶値をクレジット得点表示器により表示させてもよい。その場合には、玉貯留皿59や余剰玉貯留皿122内のパチンコ玉が少なくなった後においてこのクレジット得点表示器に表示されている得点分の景品玉を払出す。残金額表示器(カード残高表示器)50は7セグメント表示器で構成しているが、その代わりに、複数の発光ダイオードを貸玉額や100円単位に対応させて設けてもよい。また、残金額表示器(カード残高表示器)50により貸玉額を表示してもよく、さらに別の表示器を設けてそれに貸玉額を表示したり貸玉額が印刷されたシールを張りつけたりしてもよい。図中15はスピーカであり、大当り時の効果音等が発せられる。
【0015】
カード処理機62の正面側には、端数表示スイッチ136が設けられている。この端数表示スイッチ136は、残金額表示器(カード残高表示器)50により表示される挿入カードの現時点における残額に予め定められた単位数(たとえば100円)未満の端数が生じた場合に表示桁を切換えることによりその予め定められた単位数(たとえば100円)未満の端数を表示させるためのものである。つまり、貸玉レートが変更されて貸出されるパチンコ玉の金銭等価価値が変わったこと等に起因して予め定められた単位数(たとえば100円)未満のカード残額が生ずる場合にこの端数表示スイッチ136を切換えると、まず1万円単位の残額がある場合には端数を切捨てて残金額表示器(カード残高表示器)50により点滅表示され、1万円単位の残額がなくなった時点で自動的に表示器が切換わり100円未満の端数まで点灯表示される。この残金額表示器(カード残高表示器)50は幕板等に設けてもよい。
【0016】
図2は、カード処理機およびパチンコ遊技機の一部内部構造を示す背面図である。
【0017】
カード処理機62のカード処理機制御部135に接続されている配線がパチンコ遊技機60に設けられている中継端子基板138にコネクタ139により接続され、カード処理機制御部135と中継端子基板138とが配線により互いに情報の送受信ができるようになっている。またこの中継端子基板138には、払出制御基板ボックス145内に収納されている払出集中制御基板730,ゲーム制御基板ボックス148内に収納されているゲーム制御基板148′,遊技機用ターミナルボックス149,玉払出基板70が、それぞれコネクタ141,144,143,142を介して接続される。さらに、打球供給皿59に設けられている前述した各種表示器や各種操作ボタンのスイッチがコネクタ140を介して中継端子基板138に接続されている。なお、カード処理機制御部135と打球供給皿59に設けられている各種表示器や各種操作ボタンのスイッチならびに払出制御基板ボックス145内の払出集中制御基板730とを中継端子基板138を介することなく直接配線により接続し、払出集中制御基板730と玉払出基板70とを中継端子基板138を介して接続するようにしてもよい。また、カード処理機制御部135と払出集中制御基板730とを直接コネクタにより接続するようにしてもよい。
【0018】
カード処理機62の裏面側には、1回の玉貸操作により払出される貸玉額を予め入力設定するための貸玉額設定スイッチ137が設けられており、図示するように、100円,200円,300円,400円,500円の5種類の金額が入力設定できるようになっている。たとえば遊技場の係員により図示のように貸玉額が300円に設定されればその300円が貸玉額としてカード処理機制御部135のマイクロコンピュータ300(図6参照)に記憶される。そして、遊技者がカードをカード挿入・排出口133に挿入し、玉貸ボタン44cを押圧操作することにより自動的にこの貸玉額(300円)分のパチンコ玉が打球供給皿59内に払出されカード残額から減額されることになる。図中134はカードリーダライタおよびその制御回路を含むカードリーダライタ制御部、131は挿入時残額表示器である。
【0019】
払出制御基板ボックス145には、エラー原因表示器146が設けられており、玉払出器63によりパチンコ玉の払出に異常が生じた場合のその異常原因の種類を表示できるように構成されている。そして発生した異常を遊技場の係員が修復した場合にはリセットボタン147を操作し、玉払出制御用のプログラムをリセットする。このエラー原因表示器146を払出制御基板ボックス145に設ける代わりに、エラー原因を玉貯留皿59に設けられている残金額表示器(カード残高表示器)50により表示させ、遊技機前面側に別途エラー原因表示器を設けたり、エラー原因によって払出しランプ126の点滅態様を変えることにより対応させたり、あるいは、ホール用管理コンピュータで表示したりしてもよい。この玉貸器63は、パチンコ遊技機60の機構板751に対しビス止め等で着脱自在に取付けされており、玉タンク151内に貯留されているパチンコ玉がタンクレール67を通って供給されるように構成されている。そのタンクレールからのパチンコ玉の供給径路途中に、それぞれ玉確認センサA(68a),B(68b)が設けられており、玉払出器63に供給されるパチンコ玉が存在するか否かが確認できるように構成されている。玉払出器63には払出モータ223が設けられており、この払出モータ223の駆動力を利用してパチンコ玉が打球供給皿59内に払出される。その払出径路途中に払出玉数を計数するための玉計数センサA(68c),B(68d)が配設されている。また、払出モータ223を逆転させることにより玉タンク151内のパチンコ玉を機外に排出して抜き取ることができるように構成されている。なお、図中771はモータ駆動表示器であり、払出モータ223が駆動していることを点灯または点滅表示するためのものである。また図中180は玉抜スイッチであり、遊技場の係員の玉抜き操作を検出して払出モータ223を逆転させるためのものである。なお、玉払出器63の機構板751での取付方法としては、ビス止めに限らず係止金具による係止や弾性保持部材を利用した弾性保持等の他の方法により着脱自在に取付けてもよく、さらに、取外できないように固定的に取付けてもよい。
【0020】
遊技領域120内に打込まれたパチンコ玉が始動入賞口125a,125b,125c(図1参照)に入賞すれば、その入賞玉が始動入賞玉検出スイッチ128a,128b,128cにより検出され、その検出信号に基づいてゲーム制御用基板ボックス104内のゲーム制御基板148′が可変表示装置123(図1参照)の可変制御を行なう。この始動入賞玉検出スイッチ128aの検出信号はゲーム制御基板148′のゲーム制御用マイクロコンピュータ370(図8参照)に入力され後述する制御に用いられる。遊技領域120を形成している遊技盤81の裏面側には、第1の入賞玉集合樋と第2の入賞玉集合樋とからなる入賞玉集合樋が2段に積層して形成されている。そして、始動入賞口125a,125b,125cに入賞した入賞玉は第2の入賞玉集合樋に導かれて入賞玉センサA(170a)により検出される。一方、通常の入賞口または可変入賞球装置124内に入賞したパチンコ玉は、第1の入賞玉集合樋に導かれて入賞玉センサB(170b)により検出される。図中171a,171bは払出ソレノイドであり、景品玉の払出処理が終わった入賞玉を1個ずつ下方に落下させるためのものである。図1に示す中央の始動入賞口125aにパチンコ玉が入賞すればその入賞玉1個につきn個(たとえば7個)の景品玉が払出され、左右に設けられている始動入賞口120b,120cのいずれかにパチンコ玉が入賞すればその入賞玉1個につきm個(たとえば10個)の景品玉が払出される。一方、始動入賞口125a,125b,125c以外の通常の入賞口や可変入賞球装置124内にパチンコ玉が入賞すれば、その入賞玉1個につきk個(たとえば15個)の景品玉が打球供給皿59内に払出される。入賞玉1個につき払出すべき景品玉の個数(n,m,k)がゲーム制御基板148′に固定情報として設定記憶されている。
【0021】
玉払出器63から払出されたパチンコ玉により打球供給皿59が満杯となりそれ以上貯留できなくなった余剰玉は余剰玉受皿122内に排出されるのであるが、その余剰玉受皿122も満杯になれば満タン検出スイッチ162により満タンになったことが検出され、玉の払出が停止制御される。
【0022】
玉タンク151内の貯留玉を玉払出器63に導くタンクレール67の途中にタンク玉センサ150が設けられている。このタンク玉センサ150により玉タンク151内の貯留玉がなくなったことが検出され、その検出信号がゲーム制御基板149,中継端子基板138を介して払出制御基板ボックス145内の払出集中制御基板730入力される。このタンク玉センサ150が玉を検出しなくなった時点で玉切れ表示器127を点灯表示させるとともに、後述するように玉貸によるパチンコ玉の払出動作のみが不能動化される(図15のS74参照)。玉タンク151には、島に設けられる補給樋152からパチンコ玉が補給玉検出器を含む補給装置153を介して供給される。この玉タンク151に供給される供給玉が補給装置153の補給玉検出器により検出されるのであり、所定個数a(たとえば10個)のパチンコ玉が供給されたことを検出して1パルスの検出信号がこの補給玉検出器から出力される。その出力信号はコネクタ154に伝達される。カード処理機62からの玉貸要求信号を受けて玉タンク151内のパチンコ玉を打球供給皿59に払出すのではなく、遊技者が玉貸機から購入してきた貸玉を打球供給皿59内に投入して遊技を行なう従来から一般的なパチンコ遊技機の場合には、コネクタ154とホール用管理コンピュータに接続されているコネクタ155とを接続し、補給玉検出器からの検出信号をホール用管理コンピュータに送信し、ホール用管理コンピュータでその送信されてきた検出信号に基づいて遊技場にとって不利益となる不利益球数を検出する。ところが、本実施例のように、カード処理機62からの玉貸要求信号に基づいて玉タンク151内の貯留玉の一部を打球供給皿59内に払出す方式のパチンコ遊技機においては、その遊技場にとって何ら不利益球数とはならない貸玉が補給樋152から玉タンク151に供給されることになり、その供給された貸玉が補給玉検出器により検出されてしまって不利益球数情報としてホール用管理コンピュータに入力されてしまい、ホール用管理コンピュータでは正確な不利益球数を集計できない不都合が生ずる。そこで、本実施例のパチンコ遊技機においては、ホール用管理コンピュータに接続されるコネクタ155を補給装置153の補給玉検出器に接続されるコネクタ154から外して遊技機用ターミナルボックス149に接続されているコネクタ156に接続する。そして、パチンコ玉の入賞に基づいて払出される景品玉が所定個数a(たとえば10個)に達するごとに払出集中制御基板730から所定のパルス信号を出力してその所定のパルス信号が遊技機用ターミナルボックス149,コネクタ156,コネクタ155を介してホール用管理コンピュータに伝送されるように構成されている。このように構成することにより、パチンコ玉の貸出に関しては何ら不利益球数情報としてのパルス信号がホール用管理コンピュータに入力されることなく、入賞に伴う景品玉の払出に関してのみパルス信号がホール用管理コンピュータに送信され、ホール用管理コンピュータでは正確な不利益球数情報を集計できる。
【0023】
遊技領域120内に打込まれ入賞口に入賞した入賞玉とアウト口に回収されたアウト玉は合流して打込玉タンク159に落下し、その打込玉が打込玉検出器(打込球カウンタ)160により検出された後島に設けられている集合樋161上に落下する。なお、本実施例は打込玉検出器160の出力が従来と同様にホール用管理コンピュータに直接入力されるように構成されているが、打込玉検出器160の出力を一旦払出集中制御基板730に入力し、払出異常に基づく玉抜き処理が行なわれていないことを条件として、払出集中制御基板730からホール用管理コンピュータに入力されるように構成してもよい。このようにすれば、正確な利益球数情報を集計することができる。なお、それに加えて玉抜きされたパチンコ玉が打込玉タンクに落下しないように構成してもよい。図中158,157は遊技機用ターミナルボックス149とホール用管理コンピュータとを接続するコネクタであり、後述する単位額売上信号(図17のS125参照)がこのコネクタ158,157を介してホール用管理コンピュータに送信される。図中966は遊技盤967を前面枠側に押えて取付けるための遊技盤押え部材であり、回動可能に構成されており、手動操作により回動させることにより、遊技盤967を取り外せるようになっている。
【0024】
図3は、入賞玉処理機構445の構造および作用を説明するための断面図である。入賞玉センサA(170a),B(170b)のそれぞれの脇には、払出ソレノイドA(171a),B(171b)で揺動される揺動体29a,29bが設けられている。この揺動体29a,29bは、支軸31a,31bにより回動自在に取付けられており、それぞれにウエート33a,33bが設けられている。そして払出ソレノイドB(171b)が図示のように励磁が解除されている状態では、ウエート33bの自重により揺動体29bが図示時計回り方向に回動している。その状態では、払出ソレノイドB(171b)のアクチュエータ25bが第1の入賞玉集合樋45内に入込んだ状態となり、その入込んだアクチュエータ25bにより入賞玉が入賞玉センサB(170b)内で停止された状態となる。そして払出ソレノイドB(171b)が励磁されると、図示左側の払出ソレノイドA(171a)のように、アクチュエータ25aが引寄せられて第2の入賞玉集合樋47から退避した状態となるとともに、揺動体29aがアクチュエータ25aにより押上げられて図示時計回り方向に回動してその上方端から第1の入賞玉集合樋47内に入り込む。そしてアクチュエータ25aにより支えられていた入賞玉が下方に落下するとともにその上方に位置する入賞玉が揺動体29aの上方端により支えられて保持される。以上のように、払出ソレノイドが1回励磁される毎に入賞玉が1個玉抜き径路1内に排出されて機外に排出される。
【0025】
そして、第1の入賞玉集合樋47に導かれた入賞玉が入賞玉センサA(170a)により検出されれば所定個数の景品玉が払出され、その払出が完了した段階で払出ソレノイドA(171a)を1回励磁して解除する。そして、次の入賞玉が第1の入賞玉集合樋47に存在すれば再度入賞玉センサA(170a)により検出されて、前述と同様に所定個数の景品玉が払出される。また、第2の入賞玉集合樋45に導かれた入賞玉は入賞玉センサB(170b)により検出され、所定個数k個(たとえば15個)の景品玉が払出され、払出ソレノイドB(170b)が励磁されて次の入賞玉があれば再度所定個数k個の景品玉の払出が行なわれる。以上のように、入賞玉が連続して発生したとしても、揺動体29a,29bにより、景品玉の払出が終了した入賞玉だけ流下して未だに景品玉の払出が終了していない入賞玉については流下が阻止されて第1,第2の入賞玉集合樋47,45内に証拠玉として貯留された状態となるために、景品玉の払出個数をめぐるトラブルを防止できる利点がある。なお、証拠玉を貯留する代わりにマイクロコンピュータ等で入賞個数等を記憶しておき、その記憶値に基づいて払出制御を行なうようにしてもよい。その場合には、バツクアップ電源を利用して記憶値が停電等で消去されないようにすることが望ましい。
【0026】
なお、払出ソレノイドA(171a),B(171b)が故障して励磁不能状態になれば、アクチュエータ25aまたは25bが第1の入賞玉集合樋47や第2の入賞玉集合樋45に入込んだままの状態となるため、排出ソレノイド励磁指令信号が導出されたにもかかわらず、パチンコ玉が入賞玉センサA(170a)または入賞玉センサB(170b)の内部で停止して入賞玉検出信号が継続して導出される状態となるのであり、この入賞玉センサの連続したON状態を検出して払出ソレノイドA(171a)またはB(171b)が故障した旨の判定を行なって異常状態の報知を行うように構成されている。なお、入賞玉センサA(170a),B(170b)はパチンコ玉の通過に伴って出力信号が所定の電圧から変化するいわゆる近接スイッチにより構成されているのであるが、この入賞玉検出センサA(170a),B(170b)が断線した場合には出力信号の電圧が0Vとなるために、その0Vになった旨を検出して入賞玉センサA(170a),B(170b)が断線した旨の判定を行ない報知をしてもよい。また、この入賞玉センサA(170a),B(170b)がショートした場合には出力電圧が正常な電圧を超えた異常な電圧となってしまうのであり、その異常電圧を検出してショートした旨の判定を行ない、その旨の報知を行なうようにしてもよい。
【0027】
図4は、玉払出器63の内部構造を説明するための縦断面図である。図5は玉払出器63の内部構造を説明するための横断面図である。玉払出器63は、1対の筐体804a,804bが合わさって構成されており、その1対の筐体804a,804b内に、払出モータ223が設けられており、この払出モータ223の回転軸にウオームギヤ状の玉送り部材800が固定されて設けられている。この玉送り部材800の外周には螺旋状に凸状部801が形成されており、払出モータ223の回転力によって玉送り部材800が回転することにより、この凸状部801によりパチンコ玉を玉送り部材800の回転軸に沿った方向に移動させることができる。この凸状部801の断面形状は、図4の(a)の一点鎖線の部分を拡大した図である(b)の図に示すように、両側部811がテーパ状に形成された台形状となっている。
【0028】
2条の玉誘導レール67(図2参照)から流下してきた2条のパチンコ玉が玉通路64a,64b(64bは図面上見えない)を通って玉払出器63内に供給される。この玉通路64a,64bには、玉払出器63に供給されるパチンコ玉があることを確認するための玉確認センサA(68A),B(68b)(68bは図面上見えない)が設けられている。玉通路64a,64bを通って供給されてきた2条のパチンコ玉は、それぞれ玉送り通路805a,805b上に導かれ、払出モータ223が正転することにより玉送り部材800の回転によってパチンコ玉が払出口419a,419b側に送り出される。図5の(a)は、パチンコ玉P1が玉送り部材800の凸状部801によって払出口419bに押出された状態が示されている。この状態から払出モータ223が正転して玉送り部材800が半回転した状態が図5の(b)に示されており、その状態ではパチンコ玉P2が突起部801により払出口419aに押出される。
【0029】
この玉送り部材800の図示右側端部には、玉送り部材800の半径方向に貫通している溝813が形成されており、玉送り部材800の中心軸上でかつ溝813内に投光器(LED)802aが設けられている。さらに、この投光器802aから投光された光を受光するための半回転検出センサ802bが設けられており、図4に示す状態から玉送り部材800がほぼ45度回転した段階で、投光器802aからの投光が切欠813を通って半回転検出センサ802bに受光されさらに回転すると投光が遮られ図4に示す位置から半回転した位置となる。玉送り部材800が半回転するごとにそれぞれの払出口419a,419bから互い違いに1つパチンコ玉が払出されるのでありその払出されたパチンコ玉は、それぞれの払出口419a,419bに対応して設けられている玉検出センサA(68c),B(68d)より検出される。
【0030】
一方、払出モータ223が逆転して玉送り部材800が逆転した場合には、玉送り通路805a,805b上のパチンコ玉が図示左方向に送られて半回転する毎に玉抜き口803a,803bから1つずつパチンコ玉が排出される。この玉抜き口803a,803bに落入したパチンコ玉は排出径路1(図2参照)から機外に排出される。図中806は、玉通路64a,64bから供給されてくるパチンコ玉の自重による玉圧を受ける玉圧受け部材であり、玉通路64a,64bから供給されてくるパチンコ玉の玉圧がこの玉圧受け部材806に加えられることにより、玉送り通路805a,805b上に供給されてくるパチンコ玉の玉圧が軽減される利点がある。図中771a,771bはモータ駆動表示器であり、払出モータ223に駆動出力が与えられることによりこのモータ駆動表示器771a,771bが点灯する。その結果、払出モータ223の故障時の発見に役立つ。このモータ駆動表示器771a,771bは、払出モータ223の正転時に点灯するものと逆転時に点灯するものとがそれぞれ1つずつ設けられている。図中808は配線孔であり、投光器802a,半回転検出センサ802bとモータ駆動表示器771a,771bとに接続された配線810がこの配線孔880を通って払出集中制御基板730に接続される。809はモータベースであり、払出モータ223を取付けるためのものである。また玉払出器63は取付基板812により機構板751に取付けられる。
【0031】
図6は、カード処理機制御部の制御回路を示すブロック図である。
カード処理機制御部135(図2参照)にはカード処理機制御用マイクロコンピュータ300が組込まれている。カード処理機制御用マイクロコンピュータ300は以下に述べるような各種機器の動作を制御する機能を有する。このため、カード処理機制御用マイクロコンピュータ300は、たとえば数チップのLSIで構成されており、その中には制御動作を所定の手順で実行することのできるCPU301と、CPUの動作プログラムデータを格納するROM302と、必要なデータの書込および読出ができるRAM303とが含まれる。
【0032】
さらに、カード処理機制御用マイクロコンピュータ300は、入力信号を受けてCPU301に入力データを与えるとともに、CPU301からの出力データを受けて外部に出力する入出力回路304と、電源投入時にCPU301にリセットパルスを与えるパワーオンリセット回路305と、CPU301にクロック信号を与えるクロック発生回路306と、クロック発生回路306からのクロック信号を分周してリセットパルスを定期的(たとえば2msec毎)にCPU301に与えるパルス分周回路(定期リセット回路)307と、CPU301からのアドレスデータをデコードするアドレスデコード回路308とが含まれる。
【0033】
アドレスデコード回路308はCPU301からのアドレスデータをデコードし、ROM302,RAM303,入出力回路304にそれぞれチップセレクト信号を与える。
【0034】
なお、この実施例では、ROM302には、その内容の書換え、すなわち必要が生じた場合には、その中に格納されたCPU301のためのプログラムデータを変更することができるようにプログラマブルROMが用いられている。そして、CPU301からこのROM302内に格納されたプログラムデータに従って、かつ以下に述べる各制御信号の出力に応答して、種々の機器に対して制御信号を与える。
【0035】
カード処理機制御用マイクロコンピュータ300は、入力信号として、次のような信号が与えられる。
【0036】
遊技場の係員が貸玉額設定スイッチ137(図2参照)を操作して貸玉額を設定することにより、その設定信号が検出回路309を介してカード処理機制御用マイクロコンピュータ300に入力される。端数表示スイッチ136(図1参照)が操作されることにより、そのスイッチ操作信号が検出回路309を介してカード処理機制御用マイクロコンピュータ300に入力される。遊技者が玉貸ボタン44c(図1参照)を押圧操作すれば、その押圧操作が玉貸操作検出器44dにより検出され、その検出信号が中継端子基板138,検出回路309を介してカード処理機制御用マイクロコンピュータ300に入力される。遊技者が返却ボタン42c(図1参照)を押圧操作すれば、その押圧操作が返却操作検出器42dにより検出され、その検出信号が中継端子基板138,検出回路309を介してカード処理機制御用マイクロコンピュータ300に入力される。カードリーダライタ制御部134(図1,図2参照)から、後述するカード受付信号,カード異常信号,カード処理完了信号が入力される。
【0037】
払出制御用マイクロコンピュータ350から中継端子基板138,情報入力回路312を介して、後述する払出可能信号,玉貸準備信号,玉貸完了信号,玉貸可能信号が入力される。この情報入力回路312はフォトカプラが内蔵されており、払出制御用マイクロコンピュータ350からの前述した各種信号がフォトカプラを介してカード処理機制御用マイクロコンピュータ300に入力される。このようにフォトカプラを介して信号が入力されるために、払出制御用マイクロコンピュータ350に発生した故障による悪影響がカード処理機制御用マイクロコンピュータ300にまで及ばないために、払出制御用マイクロコンピュータ350の故障に起因してカード処理機制御用マイクロコンピュータ300まで故障してしまうという不都合が極力防止できる。
【0038】
次に、カード処理機制御用マイクロコンピュータ300は以下の回路や機器に対して制御信号を出力する。
【0039】
LED駆動回路310,中継端子基板138を介して、玉貸可表示器48d,カード残高表示器50(図1参照)にそれぞれ表示用制御信号を出力する。ランプ駆動回路311を介して、カード挿入表示器132,処理器使用可表示器130にそれぞれ表示用制御信号を与える。カードリーダライタ制御部134(図1,図2参照)に、後述する現在の残高データ,カード書込排出指令信号,残高ゼロデータ,カード回収指令信号を出力する。情報出力回路313,中継端子基板138を介して払出制御用マイクロコンピュータ350に、後述する玉貸要求信号を出力する。ユニットボックス830,カード処理機用ターミナルボックス320を介して玉貸カード集中管理コンピュータに後述する単位額売上信号を出力する。この玉貸カード集中管理コンピュータは、玉貸カードの発行会社等に設置されている集中管理コンピュータであり、日本全国の各遊技場に設置されているカード処理機62に対しカード処理機用ターミナルボックス320を介して通信回線により接続されている。ユニットボックス830を介して、ホール用管理コンピュータに単位額売上信号を送信するとともに、カード処理機62に所定の電源を供給する。
【0040】
図7は、パチンコ遊技機側とカード処理機側との間での信号の送受信を行なうための回路を示す概略回路図である。
【0041】
パチンコ遊技機側に設けられている電源700の交流電圧24Vがカード処理機側の電源回路701に入力される。この電源回路701は整流器を含む一般的な電源回路であり、交流を直流VC(+12V)に変換して各種の回路や電子装置に印加するためのものである。パチンコ遊技機側に設けられている前述したカード残高表示器50を構成する各LED表示器50a,50b,50cの各共通電極に電圧を印加するための共通電極駆動回路310aがカード処理機側に設けられている。この共通電極駆動回路310aは、カード処理機制御用マイクロコンピュータからの制御信号に基づいて各LED表示器50a〜50cの共通電極に電圧を印加するためのものである。なお、この共通電極駆動回路310aは、フォトカプラを含むスイッチ回路702a,702b,702cを有しており、カード処理機制御用マイクロコンピュータからの制御信号が一旦光に変換された後再度電気信号に変換されるように構成されている。
【0042】
前記各LED表示器50a〜50cの表示用の7つのセグメントに対応した電極に電圧を印加するためのセグメント対応電極駆動回路310bがカード処理機側に設けられている。このセグメント対応電極駆動回路310bは、カード処理機制御用マイクロコンピュータからの表示用制御信号に基づいて所望のセグメント対応電極を選択してそれに電圧を印加するものである。そして、共通電極に電圧が印加されていることを条件として、印加されたセグメント対応電極に相当するセグメントが表示状態に切換わる。このセグメント対応電極駆動回路310bも、フォトカプラからなるスイッチ回路703a〜703gを有しており、カード処理機制御用マイクロコンピュータからの表示用制御信号が一旦光に変換された後再度電気信号に変換されてセグメントを対応電極に印加されるように構成されている。これらスイッチ回路702a〜702c,703a〜703gにより、カード処理機制御用マイクロコンピュータからの表示用制御信号が異常に高い電圧になる等の異常状態が発生したとしても、LED表示器50a〜50cがその影響を受けて故障することが極力防止できる。
【0043】
パチンコ遊技機側に設けられている前述した玉貸操作検出器44dと返却操作検出器42dとが前述した検出回路309を介してカード処理機制御用マイクロコンピュータに入力される。この検出回路309は、それぞれの検出器44d,42dに対応するフォトカプラからなるスイッチ回路を含み、各検出器44d,42dからの検出信号が一端光に変換された後再度電気信号に変換されてカード処理機制御用マイクロコンピュータ300に入力される。これにより、各検出器42d,44dからの検出信号が異常に電圧の高い異常な信号となったとしてもその影響を受けてカード処理機側の回路や電子装置が故障することが極力防止できる。
【0044】
カード処理機側に設けられている玉貸可LED駆動回路310cはフォトカプラからなるスイッチ回路705を含み、カード処理機制御用マイクロコンピュータ300からの表示用制御信号が一旦光に変換された後電気信号に再度変換されてその電気信号によって玉貸可表示器46dの表示制御が行なわれる。これにより、カード処理機制御用マイクロコンピュータ300側からの表示制御信号の異常の影響を受けて玉貸可表示器46dが故障することが極力防止できる。
【0045】
カード処理機制御用マイクロコンピュータ300から後述する玉貸要求信号がカード処理機側に設けられたフォトカプラからなるスイッチ回路706,パチンコ遊技機側に設けられたフォトカプラからなるスイッチ回路707を介して払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される。また、カードがカード処理機62に挿入されたことに基づいてカード処理機制御用マイクロコンピュータ300から制御信号がフォトカプラからなるスイッチ回路708に入力され、その制御信号が一旦光に変換された後再度電気信号に変換されてパチンコ遊技機側に設けられているフォトカプラからなるスイッチ回路709に入力され、一旦光に変換された後再度電気信号に変換されて払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される。これらのスイッチ回路707,706は、カード処理機側に設けられている電源回路701に対し直列に接続されており、スイッチ回路709,708も電源回路701に対し直列に接続されている。そして、カード処理機側のスイッチ回路706,708によってパチンコ遊技機側のスイッチ回路707,709がON,OFF切換えされるのであり、ONに切換えられたときには、カード処理機側の電源回路701からの直流電圧VCによってフォトカプラが動作するように構成されている。パチンコ遊技機側のスイッチ回路707,709がカード処理機側の電源回路701の直流電圧VCによって作動するように構成した理由は、パチンコ遊技機側のスイッチ回路707,709に印加された電圧がその後カード処理機側のスイッチ回路706,708にも印加されるために、スイッチ回路707,709をパチンコ遊技機側の電源回路からの直流電圧によって作動するように構成した場合にはそのパチンコ遊技機側の電源回路からの電圧がカード処理機側にも一部入り込んでくることになり、その結果、パチンコ遊技機側の電源回路の故障等によって異常に高い電圧が一部カード処理機側に入り込んでくる恐れがあり、パチンコ遊技機側の電源回路等の故障の影響を受けてカード処理機側の回路や電子機器が故障するという不都合が生ずるのであり、このような不都合を解消するためである。また、フォトカプラからなるスイッチ回路706,707,708,709により、前述と同様に、パチンコ遊技機側とカード処理機側とにおいて、一方の機器の電圧異常が他方の機器に悪影響を及ぼすことを極力防止できる。なお、本実施例ではカードが挿入されている期間中常にカード処理機側からパチンコ遊技機側にカード挿入中信号が出力されるよようにしたが、例えば玉貸要求信号がパチンコ遊技機側に出力される時のみカード挿入中信号を出力するようにしてもよい。
【0046】
払出制御用マイクロコンピュータ350から後述する玉貸準備信号と玉貸完了信号がフォトカプラからなるスイッチ回路710に入力され、一旦光に変換された後再度電気信号に変換され、カード処理機側のフォトカプラからなるスイッチ回路711に入力され、一旦光に変換された後再度電気信号に変換されてカード処理機制御用マイクロコンピュータ300に入力される。また、払出制御用マイクロコンピュータ350から払出可能信号がフォトカプラからなるスイッチ回路712に入力され、一旦光に変換された後再度電気信号に変換されてカード処理機側のフォトカプラからなるスイッチ回路713に入力され、一旦光に変換された後再度電気信号に変換されてカード処理機制御用マイクロコンピュータ300に入力される。フォトカプラからなるスイッチ回路710,711,712,713が設けられているため、前述と同様に一方の機器の異常電圧が他方の機器に悪影響を及ぼすことを極力防止される。なお、前記共通電極駆動回路310a,セグメント対応電極駆動回路310b,検出回路309,玉貸可LED駆動回路310c,スイッチ回路706,708,711,713は、それぞれ電源回路701の直流電極VCが印加される。なお、図7は、たとえば図6に示された中継基板138は図面上省略している。図中730a〜730gは、残高表示器50の各表示部50a,50b,50cに印加される電圧の大きさを所望の値にするために組込まれた抵抗である。つまり、前記各表示器50a,50b,50cに印加される電圧はカード処理機62側の電源回路701で発生した電圧であり、そのカード処理機62に接続されたパチンコ遊技機60の残高表示器50に必ずしも適した電圧とはなっていない場合がある。その場合に、所定の抵抗値を有する抵抗730a〜730gを組込み、所望の大きさの電圧が残高表示器50に印加されるようにしている。同じ理由で抵抗731,732が設けられており、これらの抵抗731,732によりスイッチ回路707,709に印加される電圧を所望の大きさの電圧値にすることができる。なお、本実施例ではカードが挿入されている期間中常にカード処理機側からパチンコ遊技機側にカード挿入中信号が出力されるようにしたか、例えば玉貸要求信号がパチンコ遊技機側に出力される時のみカード挿入中信号を出力するようにしてもよい。
【0047】
図8は、払出制御用基板ボックス145(図2参照)に収納されている払出制御基板730の払出制御回路を示すブロック図である。
【0048】
払出制御回路には払出制御用マイクロコンピュータ350が設けられている。この払出制御用マイクロコンピュータ350は、図6のカード処理器制御用マイクロコンピュータ300と同様に、CPU351,ROM352,RAM353,パワーオンリセット回路355,クロック発生回路356,パルス分周回路357,アドレスデコード回路358,入出力回路354を含んでおり、ここでは説明の繰返しを省略する。なお、この払出制御用マイクロコンピュータ350は、前述した各種回路がワッチップ化されたワッチップマイクロコンピュータで構成されている。
【0049】
払出制御用マイクロコンピュータ350には、入力信号として次のような信号が与えられる。
【0050】
遊技場の係員がリセットボタン147(図2参照)を押圧することによりリセットスイッチ147がONになり検出回路359からリセット操作検出信号が払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される。余剰玉受皿122(図1参照)が満杯となり満タンスイッチ162(図2参照)がONになればそのON信号が中継端子基板138,検出回路360を介して払出制御用マイクロコンピュータ350に与えられる。玉通過口64a(図4参照)内にパチンコ玉が存在する場合には、玉確認センサA(68a)により玉が存在することが確認され、その確認信号が中継端子基板138,検出回路360を介して払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される。玉通路64aにパチンコ玉が存在する場合には、玉確認センサB(68b)により玉が存在することが確認され、その確認信号が中継端子基板138,検出回路360を介して払出制御用マイクロコンピュータ350入力される。玉払出器63からパチンコ玉が払出口419a(図4参照)に払出されれば、その払出されたパチンコ玉が玉計数センサA(68c)(図4参照)により検出され、その検出信号が中継端子基板138,検出回路364を介して払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される。玉払出器63から玉払出口419bにパチンコ玉が払出されれば、その払出されたパチンコ玉が玉計数センサB(68d)により検出され、その検出信号が中継端子基板138,検出回路360を介して払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される。遊技場の係員が玉抜き操作を行なえば玉抜きスイッチ180(図2参照)によりその玉抜き操作が検出され、その検出信号が中継端子基板138,検出回路360を介して払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される。
【0051】
玉払出器63に設けられている半回転検出センサ802bの検出信号が中継端子基板138,検出回路360を介して払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される。入賞玉処理機構445に設けられている入賞玉センサA(170a)が入賞玉を検出すれば、その検出信号が中継端子基板138,検出回路360を介してゲーム制御用マイクロコンピュータ370に入力される。入賞玉処理機構445に設けられている入賞玉センサB(170b)より入賞玉が検出されれば、その検出信号が中継端子基板138,検出回路360を介してゲーム制御用マイクロコンピュータ370に入力される。このゲーム制御用マイクロコンピュータ370は、CPU、RAM、ROM等を含む。タンク玉センサ150により玉タンク151内の玉の有無が検出され(図2参照)、その検出信号が遊技機用ターミナルボックス149,中継端子基板138,検出回路360を介して払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される。ゲーム制御用マイクロコンピュータ370から中継端子基板138,情報入力回路365を介して、後述するパチンコ玉の入賞信号が払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される。カード処理器制御用マイクロコンピュータ300から中継端子基板138,情報入力回路365を介して、玉貸要求信号が入力される。この情報入力回路365にはフォトカプラが設けられており、ゲーム制御用マイクロコンピュータ370とカード処理機制御用マイクロコンピュータ300から入力される前述した信号がそのフォトカプラを介して払出制御用マイクロコンピュータ350に入力される。その結果、ゲーム制御用マイクロコンピュータ360とカード処理機制御用マイクロコンピュータ300とに発生した故障等の悪影響が払出制御用マイクロコンピュータ350にまで及ぶことを防止でき、ゲーム制御用マイクロコンピュータ370またはカード処理機制御用マイクロコンピュータ300に発生した故障に起因して払出制御用マイクロコンピュータ350までも故障してしまうという不都合を極力防止できる。
【0052】
次に、払出制御用マイクロコンピュータ350は以下の回路や機器に対し次のような制御信号を出力する。
【0053】
LED駆動回路361,中継端子基板138を介して、玉払出器63に設けられている投光器802aに投光制御信号を出力し、玉払出器63に設けられているモータ駆動表示器771a,772bにそれぞれモータ駆動表示用の制御信号を出力する。さらに、LED駆動回路を361を介してエラー原因表示器446(図2参照)にエラーが発生したときの原因を表示するための制御信号を出力する。モータ駆動回路400,中継端子基板138を介して、玉払出器63に設けられている払出モータ223に払出モータ駆動用制御信号を出力する。ソレノイド駆動回路362,中継端子基板138を介して、入賞玉処理機構445に設けられている排出ソレノイドA(170a),B(171b)にそれぞれ排出ソレノイド励磁用制御信号を出力する。ランプ駆動回路363,中継端子基板138,遊技機用ターミナルボックス149を介して払出ランプ126に払出ランプ点灯制御用信号を出力する。情報出力回路364,中継端子基板138,遊技機用ターミナルボックス149を介してホール用管理コンピュータに、後述する単位額売上信号,景品玉払出信号を出力する。情報出力回路366,中継端子基板138を介してカード処理機制御用マイクロコンピュータ300に、玉貸準備信号,貸玉完了信号,払出可能信号,玉貸可能信号が出力される。これらの情報出力回路364にはリレースイッチが設けられており、遊技機制御用ターミナルボックス149に出力される前述した各種処理信号がこのリレースイッチを介して出力される。その結果、払出制御系に発生した故障の悪影響がホール用管理コンピュータにまで及ぶことが防止され、払出制御系に発生した故障に起因してホール用管理コンピュータまで故障してしまう不都合を極力防止できる。
【0054】
図9は、払出集中制御基板730とゲーム制御用基板148′との間で、景品玉の払出個数データの送受信を行なうための回路を示す図である。
【0055】
パチンコ遊技機60とカード処理機62とがコネクタ139(図2参照)を介して接続された段階でフォトカプラ852にVL(+18V)の電圧が与えられ、ゲーム制御基板148′に設けられているフォトカプラ入力回路854を介してゲーム制御用マイクロコンピュータ370に信号が入力される。このフォトカプラ入力回路854を介して制御用マイクロコンピュータ370に信号が入力されて初めてパチンコ遊技機60が作動可能となる。ゲーム制御基板148′のゲーム制御用マイクロコンピュータ370には、パチンコ玉の入賞態様に応じて払出すべき景品玉の個数、すなわち、n(7個),m(10個),k(15個)が記憶されている。ゲーム制御基板148′の出力回路850は、D0,D1,D2,D3,D4の5つの出力ポートを有しており、D0〜D3の4つの出力ポートにより4ビットの賞球個数信号(景品玉払出個数信号)を出力することができるように構成されている。出力回路850が4ビットからなる賞球個数信号の出力ポートを有するために、1個〜15個の15種類の賞球個数信号を出力することができる。出力回路850の出力ポートD4は、後述するセンサ種別信号を出力するためのものであり、入賞玉センサA(170a)の検出信号に基づく景品玉の払出か入賞玉センサB(170b)の検出信号に基づく景品玉の払出かを識別するための信号がこの出力ポートD4から出力される。
【0056】
払出集中制御基板730には、5つのフォトカプラ855〜859が設けられており、それぞれのフォトカプラ855〜859に、前述したゲーム制御用基板148′の出力回路850のそれぞれのポートD0〜D4からの信号が入力されるように構成されている。
【0057】
また、これら各フォトカプラ855〜859には、ゲーム制御基板148′側から供給されるカプラ電源Vpが与えられ、各出力ポートD0〜D4からの信号が対応するフォトカプラ855〜859に入力されることにより、その入力されたフォトカプラからの信号が払出集中制御基板730の入力回路851に入力される。
【0058】
パチンコ玉が始動入賞口126aに入賞すれば、始動入賞玉検出スイッチ128aにより検出され、その検出信号がゲーム制御基板148′のゲーム制御用マイクロコンピュータ370に入力されるとともに、その始動入賞口125aに入賞した入賞玉がさらに入賞玉センサA(170a)により検出され、その検出信号が検出スイッチ入力回路853を介してゲーム制御用マイクロコンピュータ370に入力される。ゲーム制御用マイクロコンピュータでは、始動入賞玉検出スイッチ128aからの検出信号と入賞玉センサA(170a)からの検出信号とに基づいて、n(7個)の景品玉を払出すための信号を出力回路850に出力し、出力回路850の出力ポートD0〜D3から、n(7個)の景品玉を払出すための信号(たとえば0111)が払出集中制御基板735に出力される。パチンコ玉が始動入賞口125a,125bのいずれかに入賞すれば、その入賞玉が入賞玉センサA(170a)により検出され、その検出信号が検出スイッチ入力回路853を介してゲーム制御用マイクロコンピュータ370に入力される。すると、ゲーム制御用マイクロコンピュータ370では、m(10個)の個数の景品玉を払出すための制御信号を出力回路850に出力する。出力回路850では、出力ポートD0〜D3からm(10個)の景品玉を払出すための信号(たとえば1010)を払出集中制御基板730側に出力する。始動入賞口以外の通常の入賞口または可変入賞球装置内にパチンコ玉が入賞すれば、入賞玉センサB(170b)より検出され、その検出信号が検出スイッチ入力回路853を介してゲーム制御用マイクロコンピュータ370に入力される。ゲーム制御用マイクロコンピュータ370では、k(15個)の個数の景品玉を払出すための制御信号を出力回路850に出力する。出力回路850では、出力ポートD0〜D3からk(15個)の個数の景品玉を払出すめたの信号(たとえば1111)を払出集中制御基板730側に出力する。
【0059】
払出集中制御基板730では、ゲーム制御用基板148′から出力されてきた賞球個数信号を各フォトカプラ855〜858が受け、その各フォトカプラ855〜858から賞球個数信号が入力回路851に入力され、その入力回路851から払出制御用マイクロコンピュータ350に賞球個数信号が入力される。そして払出制御用マイクロコンピュータ350では、入力された賞球個数に相当する個数だけの景品玉を払出制御する。一方、入賞玉センサA(170a)からの検出信号がゲーム制御用マイクロコンピュータ370に入力された場合には、出力ポートD4からハイレベル信号が出力され、ハイレベル信号が入力回路851に入力されることになる。この出力ポートD4からハイレベル信号が出力されたことに基づいて、入賞玉センサAに基づく景品玉の払出状態である旨の信号が払出集中制御基板730に入力される。一方、入賞玉センサB(170b)の検出信号がゲーム制御用マイクロコンピュータ370に入力された場合には、出力ポートD4がローレベルとなり、ローレベル信号が入力回路851に入力されることになり、入賞玉センサB(170b)の検出信号に基づく景品玉の払出状態である旨の信号が払出集中制御基板730に入力される。なお、入賞玉センサA,Bをたとえば入賞玉センサAだけにして、始動入賞口125a,125b,125cに入賞した入賞玉をひとまとめにして入賞玉センサAにより検出するようにしてもよい。その場合には、始動入賞口125aばかりでなく始動入賞口125bにも始動入賞玉検出スイッチ128bを設け、始動入賞玉検出スイッチ128aと入賞玉センサAからの検出信号に基づいてn(7個)の賞球個数信号を出力し、始動入賞玉検出スイッチ128bの検出信号と入賞玉センサAの検出信号とに基づいてm(10個)の賞球個数信号を出力するようにし、入賞玉センサAの検出信号のみが入力されたことに基づいてk(15個)の賞球個数信号を出力するようにする。
【0060】
図10ないし図13は、図6に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【0061】
ステップ(以下単にSという)1により、貸玉額の設定読込が行なわれる。この「貸玉額設定読込」とは、図2で示した貸玉額設定スイッチ137により設定された貸玉額をカード処理機制御用マイクロコンピュータ300に読込む処理である。
【0062】
次にS2に進み処理機使用可表示器130(図1参照)を点灯させて使用可能である旨の表示を行なう。次にS3に進み、カードリーダライタ制御部からカード受付信号があったか否かの判断が行なわれ、無い場合にはS4に進み、カードリーダライタ制御部からカード異常信号があったか否かの判断がなされ、無い場合には再びS3に戻る。このループの巡回途中で、カードリーダライタが適正なカードを受付ければ、カードリーダライタ制御部からカード受付信号があった旨の判定が行なわれて、S7に進む。一方、カードリーダライタ制御部からカード異常信号の出力があれば、S4によりYESの判断がなされS5に進み、カード異常原因をカード残高表示器50(図1参照)にコードで表示する制御が行なわれる。具体的には、挿入されたカードの読取不能、セキュリティエラー等の異常原因の種類を示すコードがカード残高表示器50により表示される。そして、S6に進み、処理機使用可表示器130(図1参照)を点滅させる。この異常時の制御については後述の自己診断処理のフローチャートで詳細に説明する。なお、カードの記録データに異常がある場合はその異常カードを回収する指令信号をカードリーダライタ制御部134に出力する。一方、S7ではカード挿入表示器132,玉貸可表示器48dを点灯させ、カード残高表示器50により現時点でのカードの残高の表示を行なう処理がなされる。
【0063】
次にS8に進み、玉貸操作があったか否かの判断がなされ、無い場合にはS9に進み、返却操作があったか否かの判断が行なわれ、無い場合にはS8に戻る。そして、遊技者が返却ボタン42c(図1参照)を押圧操作すればS10に進み、玉貸可表示器48dを消灯してS26に進み以降の挿入カードの返却のための制御が行なわれる。一方、遊技者が玉貸ボタン44c(図1参照)を押圧操作すれば、S11に進み、挿入カードの現在残高すなわちカード残高表示器50(図1参照)に表示されている残高が貸玉額設定スイッチ137(図2参照)で設定された設定額以上であるか否かの判断が行なわれる。そして、現在残高が設定額以上であった場合にはS12により貸玉額にその設定額をセットする処理が行なわれてS14に進む。一方、現在残高が設定額未満であった場合にはS13により貸玉額に現在残高をセットした後にS14に進む。つまり、挿入カードの現在残高が設定額に満たない場合には、その設定額を貸玉額にセットしてその設定額分のパチンコ玉を払出すわけにはいかないため、挿入カードによって払出が可能な最高金額すなわち挿入カードの現在残高を貸玉額にセットする処理がなされるのである。
【0064】
次にS14では、玉貸可表示器48d(図1参照)を消灯する処理がなされる。一旦玉貸操作がなされてそれに基づく玉貸動作が完了するまでは次の玉貸操作を受付けないようにしているために、後述するS33により玉貸可表示器が点灯されるまでは玉貸可表示器48dを消灯して玉貸操作ができない旨を表示するのである。次にS15に進み、払出制御用マイクロコンピュータに玉貸要求信号の出力を開始する制御がなされる。次にS16に進み、タイマT1がセットされ、S17に進み、払出制御用マイクロコンピュータから玉貸準備信号が入力されたか否かの判断がなされる。払出制御用マイクロコンピュータでは、S15による玉貸要求信号を受けて、玉貸が可能な状態であれば玉貸のための準備制御を行なった後にS77によりカード処理機制御用マイクロコンピュータに玉貸準備信号を出力する処理がなされる。カード処理機制御用マイクロコンピュータがS16によりセットされたタイマT1が終了する以前にこの玉貸準備信号を受信すれば、S17によりYESの判断がなされ、S20により玉貸指令信号を払出制御用マイクロコンピュータに出力した後、払出制御用マイクロコンピュータの玉貸が終了した旨の信号の送信を待機する処理がなされる。一方、T1が終了するまで払出制御用マイクロコンピュータから玉貸準備信号が入力されなかった場合にはS19に進み、玉貸要求信号の出力を停止し、貸玉額をクリアする処理がなされてS8に進む。
【0065】
パチンコ遊技機60が既に貸玉の払出を行なっている場合や入賞に伴う景品玉の払出を行なっている場合には、後述するS100,S101,S76,S77の処理が行なわれないために、T1が終了するまで払出制御用マイクロコンピュータから玉貸準備信号の出力がなされないのであって、その場合にはS19による処理が行なわれないのである。なお、このT1は、たとえば10msec以上で10sec以下程度の時間である。
【0066】
一方、S20により玉貸指令信号が出力された後に、S21により、現在残高から単位額を減算し貸玉額から単位額を減算する処理がなされる。S20による玉貸指令信号が払出制御用マイクロコンピュータに与えられた場合には、後述するようにパチンコ遊技機側で単位額(たとえば100円)に相当するパチンコ玉が貸玉制御されるのであり、その貸出されるパチンコ玉に相当する金額である単位額を、挿入カードの現在残高から減算するとともにS12,S13でセットされた貸玉額からその単位額を減算するのである。次にS22に進み、ユニットボックスを介してカード処理機用ターミナルボックスに単位額売上信号を出力する処理がなされる。このカード処理機用ターミナルボックスに送信されてきた単位額売上信号が玉貸カード集中管理コンピュータに出力され、玉貸カード集中管理コンピュータにより玉貸カードの使用データが集計される。なお、カード処理機用ターミナルボックスから玉貸カード集中管理コンビュータへの売上信号出力はリアルタイムで行なってもよいし、一定時間毎あるいは1日毎にまとめて行なってもよい。また、S23によりホール用管理コンピュータに単位額売上信号を出力する処理がなされる。その結果、ホール用管理コンピュータは売上情報をカード処理機とパチンコ遊技機のどちらからでも取ることができ、また双方から情報を取るようにして売上情報を比較し、一致しない場合に異常を判定することにより、故障等をいち早く発見することができる。
【0067】
次にS27に進み、タイマT3がセットされる。このタイマT3は、パチンコ遊技機側での貸玉の払出に要する時間を考慮してたとえば10sec程度に設定されている。このタイマT3が終了する以前において払出制御用マイクロコンピュータから玉貸完了信号の入力があった場合にはS31に進むが、このタイマT3が終了したとしても玉貸完了信号の入力がなかった場合にはS30に進み、処理機使用可表示機130(図1参照)が消灯されてS24に進む。そして、S24以降の挿入カードの返却制御が行なわれる。つまり、払出制御用マイクロコンピュータから玉貸準備信号の入力があり払出制御用マイクロコンピュータにより玉貸制御が行なわれているはずであるにもかかわらず、T3が終了しても玉貸完了信号が払出制御用マイクロコンピュータから送信されてこないということは、パチンコ遊技機側の玉払出装置等に何らかの異常が発生したことが考えられるのであり、その場合には挿入カードを遊技者に返却するのである。
【0068】
一方、T3が終了する以前に払出制御用マイクロコンピュータから玉貸完了信号が入力されればS31に進み、貸玉額=0であるか否かの判断がなされる。S12,S13によってセットされた貸玉額に相当するパチンコ玉のうちまだ払出されていない未払出分が残っている場合には貸玉額は「0」となっていないためにS31によりNOの判断がなされてS15に進み、払出制御用マイクロコンピュータに再度玉貸要求信号の出力がなされる。一方、貸玉額分のパチンコ玉がすべて払出されている場合には貸玉額=0となっているためにS32に進み、現在残高=0であるか否かの判断が行なわれる。そして、挿入カードの現在残高がまだ残っている場合にはS33に進み、玉貸可表示器48dを点灯し、S8に進み、再度の玉貸操作,返却操作の受付動作が行なわれる。一方、S32により現在残高=0と判断された場合にはS34に進み、カードリーダライタ制御部に残高0,カード書込排出指令信号を出力する処理がなされる。これによりカードリーダライタ制御部は、挿入カードのカード残高を「0」に更新した後にその挿入カードを遊技者側に返却する。
【0069】
次にS35によりカード挿入表示器を点滅させ、S36によりタイマT4がセットされる。このタイマT4は、カードリーダライタが挿入カードの残高を「0」に更新した後にその挿入カードを返却するのに十分な時間を考慮して設定されているものであり、このタイマT4が終了する以前にカードリーダライタ制御部からカード処理完了信号を受信しなかった場合にはS39に進み、カード処理機異常をカード残高表示器50によりコードで表示する処理が行なわれるとともに処理機使用可表示器130が点滅制御される。具体的には、たとえば挿入カードへの残高「0」の書込不能や書込んだデータの読取確認をした場合のエラー等をコードにより表示する。
【0070】
一方、タイマT4の終了する以前においてカードリーダライタ制御部からカード処理完了信号の入力があった場合にはS40に進み、カードが挿入されている旨の表示を行なうためのカード挿入表示器132(図1参照)を消灯し、S41により玉貸異常があったか否かの判断が行なわれ、なかった場合にはS3に進み、新たなカードのカードリーダライタへの挿入受付の制御が行なわれ、玉貸異常があった場合にはS42に進み、払出制御用マイクロコンピュータから払出可能信号の受付制御が行なわれる。
【0071】
以上説明したように、パチンコ遊技機側で単位額(たとえば100円)に相当するパチンコ玉(たとえば25個)が貸出されるごとに払出制御用マイクロコンピュータからカード処理機制御用マイクロコンピュータに玉貸完了信号が出力されるのであり、カード処理機制御用マイクロコンピュータではその出力信号を入力するたびに貸玉額(S12,S13を参照)分のパチンコ玉がすべて貸出されたか否かの判断を行ない、未だに貸出されていない未貸出分がある場合にはその未貸出分をすべて貸出すまで前記単位額(たとえば100円)のパチンコ玉の貸出を繰返し行なうのである。
【0072】
図12および図13は、たとえば4msec毎に1回実行される割込プログラムを示すフローチャートであり、図12は自己診断処理のためのフローチャートを示し、図13は端数表示処理のためのフローチャートを示す。
【0073】
S43により、自己診断を行なってその結果が適正であるか否かの判断が行なわれる。適正と判断された場合は、S44により、パチンコ遊技機60の払出制御用マイクロコンピュータ350からカード処理機制御用マイクロコンピュータ300に払出可能信号が入力されたか否かの判断が行なわれ、入力がある場合にはS43に戻る。自己診断の結果何らかの異常がある場合にはこのS43によりNOの判断がなされる。異常の種類としては、大きく分けて、カード処理機側のエラーで復帰可能なエラーとカード処理機側のエラーで復帰不可能なエラーとの2種類がある。そして、カード処理機側のエラーで復帰不可能なエラーを特殊エラーと呼び、カード処理機側のエラーで復帰可能なエラーを通常エラーと呼ぶ。
【0074】
この通常エラーの具体例としては、たとえば、カードリーダライタ内で挿入カードが詰まった場合,偽造カード等の不正カードが挿入された場合,挿入カードに新しい残高データ等の所定のデータを書込みその書込データを読取確認した場合にその読取データが適正なデータでなかった場合,カード処理機用ターミナルボックスとの通信不良に起因したエラー等である。なお、カード処理機62からカード処理機用ターミナルボックス320に単位額売上信号が送信されるのであるが、カード処理機用ターミナルボックス320との通信不良が発生した場合にはその送信すべき単位売上額データがカード処理機62内で記憶されるのであり、その記憶データが記憶容量の限度にまで達して初めて通常エラーが生ずるように構成されている。
【0075】
特殊エラーのうち、カード処理機側のエラーで復帰不可能なエラーの具体例としては、電源を再立上げしなければ復帰しないようなエラーとかカード処理機が故障してしまってカード処理機62を交換しなければならないようなエラーである。特殊エラーのうちパチンコ遊技機側のエラーの具体例としては、前述した所定の条件が整って初めて信号が変化する玉貸準備信号と玉貸完了信号とが電源投入時の当初から変化している場合,電源投入時に前述した払出可能信号が送信されてこない場合,玉貸完了信号がT3(S29参照)内に送信されてこない場合,前述した払出可能信号が動作中にOFFになった場合すなわちパチンコ遊技機側の電源遮断あるいは信号線の断線がある。
【0076】
自己診断の結果、何らかの異常があると判断された場合、または払出可能信号の入力がないと判断された場合にはS45によりカード処理制御が中断され、S46により特殊エラーが否かの判断が行なわれる。発生した異常が特殊エラーであった場合には、S48により処理機使用可表示器130(図1参照)が消灯される。一方、特殊エラーでなかった場合すなわち通常のエラーであった場合には、S47により、異常箇所を表わすコードをカード残高表示器50(図1参照)により表示する制御が行なわれる。また通常エラーの場合には、S47の表示に加えて、処理機使用可表示器130を点滅させる制御が行なわれる。
【0077】
次に、図13に基づいて端数表示処理について説明する。S49により端数表示スイッチ131(図1参照)が操作されているか否かの判断が行なわれ、操作されている場合にはS50により玉貸処理中であるか否かの判断が行なわれる。玉貸処理中でない場合にはそのままS51に進むが、玉貸処理中である場合には表示操作は無効とされる。なお、玉貸処理中である場合に玉貸処理が終了した後にS51に進むようにしてもよい。S51では、エラー中であるか否かの判断が行なわれる。このエラーとは前述したように通常エラーと特殊エラーとがある。S51によりエラー中でないと判断された場合にはS52に進み、S52ないしS56に基づいて、カード残高表示器50(図1参照)により、端数表示,貸玉額設定スイッチ137(図2参照)により設定された貸玉設定額の表示,カードが挿入されたときの残高の表示,カード処理機62およびユニットボックス830からなる1組のユニットを特定するためのユニット番号の表示,遊技に伴って変動する挿入カードの残高の現時点での残高の表示が行なわれる。この種々の表示は、所定時間(たとえば1秒間)間隔で前述した順序に従って順次切換表示される。そして最後にS56により現在残高表示が行なわれるのであり、この現在残高表示は端数表示スイッチ136の操作に基づく次回の表示切換えが行なわれるまで継続して表示される。
【0078】
次に、S51によりエラー中である判断されたエラーが特殊エラーであった場合には、S58に進み、S58ないしS63に従ってカード残高表示器50(図1参照)により、異常箇所や異常の内容等をコードによって表示するエラーコード表示,端数表示,貸玉設定額表示,挿入時残高表示,ユニット番号表示,現在残高表示の順で所定時間(たとえば1秒間)間隔で表示切換えが行なわれる。そして最後に現在残高表示が行なわれ、端数表示スイッチの操作に基づく次回の表示切換えまでこの現在残高表示が行なわれる。このように、エラーコード表示は、端数表示操作が行なわれて初めて行なわれる。
【0079】
次に、S51によりエラー中であると判断されたエラーが通常エラーであった場合には、S64に進み、S64ないしS69に従って、カード残高表示器50(図1参照)により、現在残高表示,端数表示,貸玉設定額表示,挿入時残高表示,ユニット番号表示,エラーコード表示の順で所定時間(たとえば1秒間)間隔で表示切換えが行なわれる。そして最後にエラーコード表示が行なわれて端数表示スイッチの操作に基づく次回の表示の切換えが行なわれるまでこのエラーコードが継続して表示される。
【0080】
図14ないし図19は、図8に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【0081】
図15ないし図19のフローチャートで示すプログラムが実行されている最中に、図14に示す割込プログラムがたとえば2nsec毎に1回実行される。まずこの割込プログラムを図14に基づいて説明する。
【0082】
図14は、払出制御用マイクロコンピュータ350からカード処理機制御用マイクロコンピュータ300に払出可能信号を出力するための割込プログラムを示したものであり、S158によりパチンコ遊技機側に玉の払出異常があったか否かの判断が行なわれる。この払出異常の具体例としては、後述する図15ないし図19において、払出異常コード表示が行なわれる原因として説明する。そして、払出異常があった場合には、S160により払出可能信号の出力が停止され、払出異常がない場合にはS159により払出可能信号を出力する。
【0083】
次に、図15ないし図19に基づいて玉払出用の制御動作を説明する。まずS70により、玉確認センサA,Bともに玉ありの検出をしているか否かの判断が行なわれる。そして、玉確認センサA(68a)と玉確認センサB(68b)との検出位置の両方にパチンコ玉の存在する場合以外のときにS91に進み、玉計数センサA(68c),B(68d)(図4参照)のいずれかがパチンコ玉の流下を検出したか否かの判断が行なわれ、検出していなければ玉確認センサA(68a),B(68b)(図4参照)のいずれかが玉の流下を検出したか否かの判断が行なわれ、検出していなければS94に進み、払出モータ223(図4参照)が回転中であるか否かの判断が行なわれ、回転中でない場合にはS70に戻る。このS70,S91〜S94からなるループの巡回途中で、払出モータ223(図4参照)が回転中であればS95に進み、払出異常をエラー原因表示器146(図2参照)によりコードで表示するとともに、S96により玉抜処理を行なった後にS141に進む。前記S94の払出モータが回転中であるか否かの判断は、具体的には、半回転検出センサ802b(図4参照)が投光機802aからの投光を検出して玉送り部材800の回転を検出したことに基づいて行なわれる。このS94によりYESの判断がなされるということは、パチンコ玉の払出制御が行なわれていないにもかかわらず払出モータ223が回転した場合であり、このような異常は、モータ駆動回路400(図8参照)が故障していることが考えられ,そのような場合にモータ駆動回路の故障を報知するとともに、玉抜き処理を行なって玉タンク151およびタンクレール67(図2参照)内のパチンコ玉を機外に抜き取って大量のパチンコ玉が誤って打球供給皿59(図1参照)に払出されることを防止するのである。次に、玉計数センサA,Bあるいは玉確認センサA,Bのいずれかが玉の流下を検出した場合には、S93に進み、パチンコ玉の払出制御が行なわれていないにもかかわらずパチンコ玉が払出された旨の異常報知を行なうとともに、S97により玉抜き処理を行なう。
【0084】
次に、玉確認センサA(68a)と玉確認センサB(68b)との検出位置にパチンコ玉が存在する場合にはS71に進み、満タン検出が行なわれているか否かの判断が行なわれる。景品玉貯留皿122(図1参照)が満杯になり満タン検出スイッチ162がその旨検出すれば、S91に進むが、余剰玉貯留皿122が未だに満杯になっていなければS83に進み、未払出数=0であるか否かの判断が行なわれる。この「未払出数」は、払出すべきパチンコ玉のうちいまだに払出が行なわれていないパチンコ玉の数を意味し、S76,S101でそれぞれの値にセットされ、S119により払出しカウンタのカウント値だけ減算され、S81によりクリアされる。
【0085】
そして、未払出数が「0」の場合には、S73に進み、カード処理機制御用マイクロコンピュータから玉貸要求信号があったか否かの判断が行なわれる。このS73の判断はタイマT7がタイムアップするまで繰返し行なわれ、T7が終了するまでの間にカード処理機制御用マイクロコンピュータから玉貸要求信号がなかった場合にはS100に進む。このタイマT7は、一定期間に限り入賞玉の受付よりも玉貸要求の受付の方を優先させるために設けられたものであり、後述のS126によりセットされる。一方、タイマT7が終了する以前において、カード処理機制御用マイクロコンピュータから払出制御用マイクロコンピュータに玉貸要求信号が送られてきた場合には、S74に進み、タンク玉センサが玉を検出しているか否かの判断が行なわれる。玉貯留タンク151内にパチンコ玉がなかった場合には玉貸要求信号に基づいて玉の払出制御ができないために、S75に進むが、玉タンクセンサ150(図2参照)により玉貯留タンク151内にパチンコ玉が存在することが検出された場合にはS76に進み、未払出数Iにpをセットし、払出状態を「玉貸」にセットして玉貸動作のための制御が行なわれる。この、T7が終了するまでは玉貸動作のための制御が優先され、T7が終了して初めてS100以降の入賞玉に基づく景品玉の払出制御を行なうようにしたために、設定額(S12,S13を参照)が200円以上の場合に、景品玉の払出制御よりも玉貸動作のための制御の方が優先されることになる。なお、S76のpとは、単位額(S21を参照)に相当するパチンコ玉の個数でありたとえば25個に定められている。次にS77に進み、カード処理機制御用マイクロコンピュータ300に玉貸準備信号を出力する処理が行なわれてS78に進む。S78でタイマT9がセットされた後S79に進み、カード処理機側からの玉貸指令信号があるか否かの判断がなされ、ない場合にはS80によりタイマT9がタイムアップするまでS79の判断が繰返し行なわれるように制御される。その間に、S20により、玉貸指令信号が送信されてくればS82に進み、玉貸中表示器の点滅を開始する制御が行なわれ、S105に進むが、送信されてこない場合にはS81により未払出数がクリアされた後にS72に戻る。
【0086】
S100では、景品玉払出個数データがゲーム制御用マイクロコンピュータ370から払出制御用マイクロコンピュータ350に入力されたか否かの判断が行なわれる。ゲーム制御用マイクロコンピュータ370から送られてくる景品玉払出個数データは、後述するS155によりm払出指令信号,S165によるn払出指令信号,S164によるk払出指令信号の3種類が、そのいずれも入力されてこなかった場合にはS72に戻るが、そのいずれかが入力された場合にはS101に進み、未払出数Iにその入力された景品玉払出個数(mまたはnまたはk)をセットする処理が行なわれる。次にS102に進み、払出表示ランプを点灯開始した後にS105以降の玉の払出制御に移行する。
【0087】
S105では、払出モータ223の回転制御が行なわれ、S106に進み、半回転検出センサ802b(図4参照)がONになったか否かの判断がなされ、未だにONになっていない場合にはS70に戻る。そして、S72,S71,S83の判断を行ない、この段階では未払出数がpまたはnまたはmまたはkになっているためにS83によりNOの判断がなされて再びS105に進む。そして、玉送り部材800が半回転して半回転検出センサ802bがONになれば、S107に進み、回転カウンタを「1」歩進する。このように、回転カウンタは、玉送り部材800が半回転するたびに「1」ずつ歩進されるものであり、後述するS117によりクリアされる。次にS108に進み、払出玉計数センサ68c,68dがONになったか否かの判断がなされ、ONになっていない場合にはS115に進む。一方、前述したように、玉送り部材800が半回転するごとにパチンコ玉が払出口419a,419bに払出されるのであり、その払出されたパチンコ玉が払出玉計数センサにより検出されれば、S109に進み、払出カウンタが「1」歩進される。次にS110に進み、払出状態が「玉貸」であるか否かの判断が行なわれ、「玉貸」である場合にはS115に進むが、「玉貸」でない場合すなわち入賞玉に基づいた景品玉の払出状態である場合にはS111に進み、景品玉払出数を「1」歩進する処理が行なわれる。すなわち、入賞玉に基づいて景品玉が1個払出されるごとにS111により景品玉払出数を「1」ずつ加算する処理が行なわれるのである。次に、S112により、景品玉払出数が「a」になったか否かの判断が行なわれ、なっていない場合にはS115に進むが、なっている場合にはS113に進み、遊技機用ターミナルボックス149,コネクタ156,155を介してホール用管理コンピュータに景品玉払出信号の出力がなされる。ホール用管理コンピュータでは、この景品玉払出信号に基づいて遊技場にとって不利益となる不利益球数を検出する。このように、所定個数の景品玉が払出される毎に景品玉払出信号が1パルスだけホール用管理コンピュータに出力されるのであり、この1パルスの景品玉払出信号が出力されるのに要する景品玉の払出個数が「a」であり、たとえば10個に設定されている。この「a」は補給装置153の補給玉検出器の出力単位個数と同じ値である。そして、景品玉払出信号が出力されるとS114により景品玉払出数がクリアされてS115に進む。
【0088】
S115では、回転カウンタ(S17参照)が未払出数Iに達しているか否かの判断が行なわれ、未だに達していない場合にはS70に戻る。この回転カウンタは、前述したように、玉送り部材800が半回転してパチンコ玉が1個払出口側に払出されるごとに「1」ずつ歩進されるものであるために、この回転カウンタの値と払出されたパチンコ玉の個数とは正常な払出が行なわれている限り一致するはずである。そして、回転カウンタが未払出数Iと一致した場合にはS116に進み、払出モータが停止され、S117により回転カウンタがクリアされ、S118に進む。S118では、払出カウンタの値と未払出数Iとの大小関係を判別する。玉払出器63が正常に作動している場合には、回転カウンタが未払出数Iに達した段階で払出カウンタの値=未払出数Iとなっているはずであり、その場合にS121に進み、未払出数Iと払出カウンタとをクリアした後にS122に進む。一方、玉払出器63の作動不良や払出すべきパチンコ玉の玉詰まり等に起因して払出カウンタの値が未払出数Iよりも小さい場合には、S119に進み、「未払出数I-払出カウンタの値」の計算結果を新たな未払出数Iに更新する処理が行なわれ、S120により払出カウンタがクリアされてS105に戻る。つまり、実際に払出されたパチンコ玉の数が払出さなければならないパチンコ玉の数未満であった場合には、その不足分のパチンコ玉の数をS119により算出し、その不足分を新たな未払出数に設定してS105以降の処理によりその不足分のパチンコ玉の払出制御を行なうのである。一方、玉払出器63の作動不良等に起因して払出カウンタの値が未払出数Iを越えた場合には、S127に進み、払出異常が発生した旨をエラー原因表示器146によりコードによって表示する処理が行なわれる。次にS128に進み、玉抜き処理が行なわれた後にS149に進む。
【0089】
S122では、払出状態が「玉貸」であるか否かの判断が行なわれ、「玉貸」でない場合にはS130に進むが、「玉貸」である場合にはS123に進み、カード処理機制御用マイクロコンピュータに玉貸完了信号を出力する処理がなされ、S124に進み、貸出中表示器を消灯し、S125に進み、遊技用ターミナルボックス149,コネクタ158,157を介してホール用管理コンピュータに単位額売上信号を出力する処理が行なわれる。この「単位額売上信号」とは、単位額(S12,S13を参照)分のパチンコ玉がカードを用いて貸玉されたことによる単位額分のパチンコ玉の売上信号であり、この信号を受信したホール用管理コンピュータが、カードによる売上額の集計を行なう。次にS126によりタイマT7がセットされてS70に戻る。
【0090】
払出状態が打玉の入賞に基づいた景品玉の払出であった場合において、その景品玉の払出が終了した場合には、S122によりNOの判断がなされてS130以降により、景品玉の払出制御が終了した入賞玉を1個機外に排出するための制御が行なわれる。まず、S130により、タイマT8がセットされる。このタイマT8は、入賞玉の排出処理のチェックに必要となる時間を計時するためのものである。次にS131に進み、払出表示ランプ126(図1参照)が消灯れ、S132により、景品玉払出個数データがあるか否かの判断が行なわれる。景品玉払出個数データは、前述したように、ゲーム制御用マイクロコンピュータ370から払出制御マイクロコンピュータ350に送信されてくるものであり(S130)、入賞玉センサA(170a),B(170b)(図3参照)からの検出信号がゲーム制御用マイクロコンピュータ372に入力されている限りゲーム制御用マイクロコンピュータ370から払出制御用マイクロコンピュータ350にこの景品玉払出個数データが伝送され続ける。そして、入賞玉に基づいた景品玉の払出制御の最中に何らかの異常が起こって入賞玉センサ170a,170bからの検出信号がゲーム制御用マイクロコンピュータ370に入力されなくなった場合には、この景品玉払出個数データもゲーム制御用マイクロコンピュータ370から払出制御用マイクロコンピュータ350に入力されなくなるのであり、その場合にS133に進み、払出異常が発生したことをエラー原因表示器146によりコードによって表示するとともに、S134より玉抜き処理を行なってS141に進む。一方、景品玉払出個数データの入力がある場合には、S135に進み、センサ識別データが「センサA」であるか否かの判断が行なわれる。この判断は、前述した図9の出力回路850の出力ポートD4がハイレベルになっているかローレベルになっているかに基づいて行なわれる。前述した景品玉の払出制御が、入賞玉センサA(170a)からの検出出力に基づいて行なわれた場合には、出力ポートD4からハイレベル信号が出力されるのであり、その結果、S135によりYESの判断がなされ、S143に進むことになる。一方、前述した景品玉の払出制御が、入賞玉センサB(170b)の検出出力に基づいて行なわれた場合には、出力ポートD4からローレベル信号が出力されることになるのであり、その場合にはS135によりNOの判断がなされ、S136に進む。
【0091】
S143では、排出ソレノイドA(171a)をONにして入賞玉センサA(170a)の検出部に位置するパチンコ玉の落下を阻止しているアクチュエータ25aを退避させて入賞玉が下方に落下可能な状態にする。次にS144に進み、景品玉払出個数データがあるか否かの判断がなされる。アクチュエータ25aを後方に退避させた段階で、入賞玉センサA(170a)の検出部に位置するパチンコ玉が下方に落下し始めるのであるが、その落下し始めてから入賞玉検出センサA(170a)の検出部外にまでパチンコ玉が落下するまでは入賞玉検出センサA(170a)からの検出出力がゲーム制御用マイクロコンピュータ370に入力され続けるのであり、その結果ゲーム制御用マイクロコンピュータ374から払出制御用マイクロコンピュータ350に景品玉払出個数データが出力され続けることになる。その間は、S144によりYESの判断がなされて、S145に進み、タイマT8が終了したか否かの判断がなされ、終了するまで前記S143,S144の処理が繰返し実行される。そして、タイマT8が終了するまでの間に、パチンコ玉が入賞玉検出センサA(170a)の検出部外にまで落下すれば、S144によりNOの判断がなされてS146に進み、排出ソレノイドA(170a)がOFFに制御されてS70に戻る。ところが、玉詰まりや排出ソレノイドA(170a)の故障等に起因して、排出ソレノイドA(171a)をONにする制御を行なったとしても、タイマT8の終了するまでの間に景品玉払出個数データの入力が停止されなかった場合には、S139に進み、このようなエラー原因がエラー原因表示器146によりコードによって表示される。次にS140に進み、玉抜き処理が行なわれ、S141により、リセット操作があったか否かの判断が行なわれ、リセット操作があるまで待機する。このリセットボタン147(図2参照)が操作されればS72に戻る。
【0092】
センサ識別データが「センサA」でなかった場合には、S136〜S138,S142のステップに従って、入賞玉センサB(170b)の検出部に位置する入賞玉を1個下方に落下させるための制御が行なわれるのであり、この制御は前述したS143〜S146の制御と同じであるために、ここでは説明の繰返しを省略する。
【0093】
次に、S84,S97,S96,S134,S140に示された玉抜処理の具体的内容を図19に基づいて説明する。先ず、S170により、タイマT11がセットされる。このタイマT11は、玉タンク151およびタンクレール67内のパチンコ玉を全て機外に排出するために必要となる十分な時間を計時するためのものである。次に、S171,S172により、タイマT11が終了するまで払出モータ223(図4,図5参照)を逆転させてパチンコ玉を玉抜き口803a,803bから抜き取って機外に排出する。次にS173により、払出モータを停止させて玉抜処理が終了する。なお、払出モータを停止させる条件としては、玉確認センサが玉を検出しなくなってから所定時間経過したことによって停止させてもよい。
【0094】
図20は、ゲーム制御用マイクロコンピュータ370による制御動作を示したフローチャートである。
【0095】
まずS150により、カード処理機接続信号の入力があるか否かの判断が行なわれ、ない場合にはS151に進みエラーフラグがセットされる。このカード処理機接続信号は、図9で説明したフォトカプラ852からの信号がフォトカプラ入力回路854を介してゲーム制御用マイクロコンピュータ370に入力されてくる信号のことであり、カード処理機62とパチンコ遊技機60とを電気的に接続することによりカード処理機接続信号が入力されることになる。一方、S151によりエラーフラグがセットされた場合には、パチンコ遊技機60の電源を再投入することによりそのエラーフラグがクリアされてパチンコ遊技機60が動作可能な状態となる。S150によりYESの判断がなされた場合にはS152により、入賞玉センサA(170a)が玉有りを検出したか否かの判断が行なわれ、玉有りを検出したときにはS153に進み、センサA検出フラグがセットされ、センサ識別データが「センサA」にセットされる。次にS154に進み、入賞記憶が「0」であるか否かの判断が行なわれる。この入賞記憶は、始動入賞口125aにパチンコ玉が入賞することにS157により「1」ずつ加算され、その始動入賞口125aへの入賞玉に基づいた景品玉の払出制御が終了した段階でS161より「1」ずつ減算されるものである。そして、入賞記憶が「0」でない場合すなわちパチンコ玉が始動入賞口125aに入賞しその入賞玉に基づいた景品玉の払出制御が終了していない段階では、S165に進み、n払出指令信号を払出制御用マイクロコンピュータ350に送信する処理が行なわれてS156に進む。これにより、パチンコ玉が始動入賞口125aに入賞した場合には、n(7個)の景品玉の払出制御が行なわれることになる。一方、入賞記憶が「0」である場合すなわち始動入賞口125b,125cのいずれかにパチンコ玉が入賞した場合には、S155により、m払出指令信号が払出制御マイクロコンピュータに送信される。その結果、パチンコ玉が始動入賞口125bまたは125cのいずれかに入賞した場合には、m(10個)の景品玉の払出制御が行なわれる。次にS156に進み、始動入賞玉検出スイッチ128aから検出信号の入力があったか否かの判断が行なわれ、ない場合にはS150に戻るが、あった場合にはS157に進み、入賞記憶を「1」歩進する処理が行なわれた後にS150に戻る。
【0096】
前述したm払出指令信号またはn払出指令信号に基づいて払出制御用マイクロコンピュータ130により景品玉の払出制御が行なわれ、その払出制御か終了した段階で前述したように、入賞玉センサA(170a)の検出部に位置する入賞玉を1個下方に落下させるための制御が行なわれるのであり、その入賞玉が下方に落下した段階で入賞玉センサAが玉有りをを検出しなくなり、その結果S152によりNOの判断がなされ、S158に進む。S158では、センサA検出フラグがセットされているか否かの判断が行なわれ、セットされている場合にはS159に進み、センサA検出フラグがクリアされ、S160により、入賞記憶が「1」以上であるか否かの判断が行なわれ、以上である場合にはS161より入賞記憶を「1」減算した後にS162に進み、入賞記憶が「0」の場合にはそのままS162に進む。
【0097】
S162では、入賞玉センサB(170b)が玉有りを検出しているか否かの判断が行なわれ、検出していなければS156に進むが、検出していればS163に進み、センサ識別データ=「センサB」にセットし、S164により、k払出指令信号が払出制御用マイクロコンピュータに送信された後にS156に進む。その結果、パチンコ玉が始動入賞口125a,125b,125c以外の入賞口や入賞球装置内に入賞してその入賞玉が入賞玉センサB(170b)より検出された場合には、k(15個)の景品玉の払出指令信号が払出制御用マイクロコンピュータに送信されることになる。
【0098】
図21は、カード処理機とパチンコ遊技機の動作タイミングを説明するためのタイミングチャートを表わす図である。
【0099】
まず電源が投入され(パワーオン)、Aの時点で玉貸準備信号線がONとなりパチンコ遊技機側の払出可能信号が出力される。次に、カードが受付けられたBの時点でカード挿入表示器132と玉貸可表示器48dとがONになる。次に、玉貸操作検出器44dがONになり遊技者の玉貸操作が検出され、Cの時点で玉貸操作有りの検出が行なわれる。この時点で、玉貸可表示器48dがOFFになって消灯されるとともに、玉貸可能信号線がONになり、カード処理機62が玉貸可能状態となる。このCの時点から所定の遅延時間a(たとえば20msec)だけ経過したDの時点で、玉貸要求信号線がONになり玉貸要求信号がカード処理機62からパチンコ遊技機60側に出力される。この所定の遅延時間aを設けた理由は玉貸可能信号線がONになったことをパチンコ遊技機側で判定するのに十分な時間を設けてノイズによる誤動作を防止するためである。
【0100】
このDの時点から、前記S18に示したタイマT1で計測される玉貸準備信号確認時間b(b≦T1)が経過したEの時点で、払出状態信号線がONになり玉貸準備信号がパチンコ遊技機60側からカード処理機62側に出力される。この時点からS80に示したタイマT9で計測される玉貸指令信号確認時間c(c≦T9)が経過したFの時点で、玉貸要求信号線がOFFになりこれを以って玉貸指令信号がカード処理機62側からパチンコ遊技機60側に出力されたものとされる。この時点からS29に示したタイマT3によって計測される玉貸完了信号確認時間d(d≦T3)が経過したGの時点で、払出状態信号線がOFFになりこれを以って玉貸完了信号がパチンコ遊技機60側からカード処理機62側に出力されたものとされる。さらにこの時点からS75によるタイマT7で計測される次玉貸要求信号確認時間e(e≦T7)だけ経過したDの時点で玉貸要求信号線がONになり次の玉貸要求信号がカード処理機62側からパチンコ遊技機60側に出力されて、前述と同様に玉貸準備信号の出力,玉貸指令信号の出力,玉貸完了信号の出力が繰返される。そして、図21では、玉貸要求信号の出力,玉貸準備信号の出力,玉貸指令信号の出力,玉貸完了信号の出力を合計3回繰返し、最後の玉貸完了信号が出力された時点から次玉貸要求信号確認時間eの間に玉貸要求信号が出力されなかった場合に、玉貸可能信号線がOFFに切換わる。次に返却操作検出器42dがONになりHの時点で遊技者の返却操作有りの検出が行なわれ、その時点でカード挿入表示器132が点滅するとともに玉貸可表示器48dがOFFになり消灯する。そしてIの時点でカードが遊技者側に返却される。
【0101】
第2実施例
次に、本発明の第2実施例を図22ないし図24に基づいて説明する。
【0102】
図22は、第2実施例に係る玉払出器63およびその周辺機器を説明するための縦断面図である。玉払出器63は取付け用の孔904により機構板751側にビス止されて設けられており、玉誘導レール67から2条に整列されて送られてくるパチンコ玉が玉通路64a,64bから玉払出器63内に供給されてくる。この玉払出器63は、払出モータ223、その払出モータ223によって回転する玉送り部材800、玉送り部材800の図示左端部に形成されている切欠813内に設けられている投光器802a、玉送り部材800が半回転する毎に投光器802aからの投光を受光する半回転検出センサ802bが設けられている。さらに、投光器102a,半回転検出センサ802b,払出モータ223に接続されている各配線810が配線孔808を通って払出集中制御基板730に接続される。このような各種部品が設けられている玉払出器63の構造は前述した第1実施例と同様である。
【0103】
玉誘導レール67の屈曲部分には、玉抜き部材881が揺動自在に設けられている。この玉抜き部材881は、通常時は図示実線で示すように玉誘導レール67の屈曲部分を閉塞する姿勢となっている。そして、遊技場の係員が前面枠前方から操作棒(図示せず)の操作により玉抜き部材881を開放する操作を行なうと、玉抜き部材881が図示反時計回り方向に揺動して図示破線で示す姿勢となる。すると、玉誘導レール67の屈曲部分か開放されて玉タンク151(図2参照)内のパチンコ玉が玉誘導レール67,排出経路1を通って機外に排出される。また、遊技場の係員が前記操作棒を再度操作すると、玉抜き部材881が時計回り方向に回動して図示実施例に示す閉塞姿勢となり、その閉塞姿勢でロックされた状態となる。
【0104】
玉通路64a,64bのそれぞれには玉感知部材920a,920bが回動自在に設けられている。玉誘導レール67からパチンコ玉が供給されていない状態では、玉感知部材920a,920bが図示時計回り方向に回動して破線で示す姿勢となり、この玉感知部材920a,920bの回動を検出する玉確認センサA(68a),B(68b)がOFFとなる。一方、玉誘導レール67からパチンコ玉が供給されれば、その供給されてきたパチンコ玉の自重により玉感知部材920a,920bが反時計回り方向に回動し、図示実施例に示す姿勢となる。すると玉確認センサA(68a),B(68b)がONとなる。
【0105】
玉払出器63の下方には玉誘導部材882が設けられている。この玉誘導部材882は、玉の流下を誘導するための凸状883a,883bが設けられており、払出口419a,419bから払出されたパチンコ玉がこの凸状883a,883bに誘導されてスムーズに下方に落下するように構成されている。なお、この玉払出器63は、第1実施例のように玉送り部材800が逆転することにより玉を機外に排出するようには構成されておらず、そのために、玉送り部材800が正転して送り出されるパチンコ玉の送り出し方向にのみ払出口419a,419bが形成されている。図中、805a,805bは玉送り通路、880a,880bは玉通路部材、806は玉圧受け部材である。
【0106】
図23は、玉送り部材800の回転軸に対し直交する方向から見た縦断面図である。玉払出器63の玉入口884a,884bにパチンコ玉を供給する玉通路部材880a,880bは、玉入口884a,884bの高さ位置に合わせた形状をしている。玉払出器63の玉入口884a,884bの少し下方部分では、玉圧緩和部材885が設けられており、玉通路64a,64bを通って供給されてきたパチンコ玉の玉圧がこの玉圧緩和部材885の形状部分に加えられ、玉送り通路805a,805bに加えられるパチンコ玉の玉圧が緩和される。この玉圧緩和部材885内には、空間886が形成されており、投光器802a,半回転検出センサ802bの配線がこの空間886を通して外部に引き出されるように構成されている。玉送り部材800の端部には、1対の凸部887と切込部が設けられており、この1対の凸部887の間が切欠813となる。そして、この1対の凸部887の間に投光器802aが位置するように設けられており、図23に示す状態では、投光器802aから投光された光は凸部887に遮られて半回転検出センサ802bに検出されないように構成されている。そして、玉送り部材800が図23に示す状態から45度回転することにより投光器802aから投光された光が1対の凸部887の間を通って半回転検出センサ802bに到達する状態となり、結局、玉送り部材800が半回転するごとに半回転検出センサ802bが投光器802aからの投光を受光する状態となる。この半回転検出センサ802bの下方には黒色合成樹脂で形成されたカバー888が配設されており、半回転検出センサ802bに投光器802a以外から発せられた光が到達しないように構成されている。なお、このカバー888の幅は図示するのに玉圧緩和部材885とほぼ同じ幅となるように構成されており、両方から落下してくるパチンコ玉がこのカバー888に衝突しないように構成されている。なお、図中915はカバーである。
【0107】
図24は、玉払出器の構造を説明するための分解斜視図である。
玉払出器63は、主に、1対の筐体804a,804bと払出モータ223と玉圧緩和部材885と光学的検出器802とにより構成されている。
【0108】
払出モータ223には、切欠部813が形成された玉送り部材800が設けられており、この払出モータ223がモータ取付金具899を介して筐体804aに取付けられる。このモータ取付金具899には、モータ取付孔900が設けられており、このモータ取付孔900に払出モータ223がビス止めされる。さらに、モータ取付金具899に形成されている取付孔901にビスを挿入してそのモータ取付金具899が筐体804aの取付孔にビス止め固定される。なお、取付孔901には配線押え金具906もビス止め固定されるように構成されており、払出モータ223の配線810がこの配線押え金具906により邪魔にならないように保持され、配線孔808を通して玉払出器63外に引き出される。この払出モータ223の配線810の先端部にはコネクタ907が設けられており、このコネクタ907を介して中継端子基板138に接続される。
【0109】
光学的検出器802は、黒色合成樹脂からなるカバーを有し、投光器802aとその投光器802aからの投光を受光する半回転検出センサ802bとが対峙して設けられている。この光学的検出器802には溝状の凹部890,891が形成されており、筐体804aの光学的検出器用収納空間898に形成されている凸部910がこの凹部890,891に差し込まれて一対の筐体804a,804bが組み付けられることにより、この光学的検出器802が固定される。また、玉圧緩和部材885と一体成形してもよい。
【0110】
玉圧緩和部材885の内部空間には1対の凸部894が突設されており、光学的検出器802に接続されている配線810がこの玉圧緩和部材885の内部空間を通して玉払出器63の外方に引き出される際に、その配線810が凸部814により係止され、玉圧嵌合部材885の下方に垂れ下がらないように構成されている。このことにより、配線810が垂れ下がって玉送り部材800に接触することが防止できる。光学的検出器802の配線810の先端にはコネクタ909が設けおり、このコネクタ909が中継端子基板138に接続される。さらに、玉圧緩和部材885には孔892,893がそれぞれ左右の対称位置に1対設けられており、筐体804aおよび804bに形成されているボス896,897(筐体804bに形成されているボスは図面上省略する)がそれぞれの孔892,893に挿入されて玉圧緩和部材885が固定される。
【0111】
筐体804aには、玉入口884a,玉出口419a,玉送り通路805a,玉圧受部806等が形成されている。一方、筐体804bの方法も、玉入口884b,玉出口819b,玉圧受部806,玉送り通路805bが形成されている。一方、筐体804bには、払出モータの放熱孔としてのスリット孔905が形成されているとともに、凸部902が形成されている。この凸部902に対応する位置の筐体804a部分には凹部896が形成されており、1対の筐体804a,804bを合わせた場合にこの凸部902が凹部896に嵌合するように構成されている。そして、1対の筐体804a,804bを合わせた状態でビスによりそれらの筐体804a,804bが一体的に固定される。また、筐体804bに形成されている玉払出器63取付け用の孔904にビスが挿入されてそのビスにより玉払出器63が機構板側に取付けられる。
【0112】
以上説明した実施例においては、遊技者に遊技価値を付与する一例として景品玉を払出すように構成されたものを示したが本発明はそれに限らず、たとえば打玉が入賞する等の所定の遊技状態が発生したことに基づいて、予め定められた大きさの得点が加算され、遊技終了時において遊技者が獲得した得点がたとえばカード等の記録媒体に記録されて遊技者側に排出されるように構成されたいわゆるカード式の遊技機であってもよい。
【0113】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明によれば、遊技媒体払出手段が払出部材により正常に遊技媒体を払出動作している限りその払出部材の払出動作量が、払出すべき遊技媒体の数に相当する動作量に達した段階で、前記払出すべき遊技媒体の数と実際に払出された遊技媒体の計数結果との間で整合性が保たれているはずであり、その払出動作量により払出すべき遊技媒体の数と計数結果とを比較して遊技媒体が正常に払出されたか否かが判別されるために、遊技媒体の払出の信頼性を向上させることができる。
請求項2に記載の本発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、判別手段によって、前記払出すべき遊技媒体の数よりも多い遊技媒体が払出されたことが判別された場合にその旨が表示されるために、前記払出すべき遊技媒体の数よりも多い遊技媒体が払出されたという払出異常が発生したことを遊技場の係員が察知して対処することが可能となる。
請求項3に記載の本発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、判別手段によって、前記払出すべき遊技媒体の数よりも少ない遊技媒体しか払出されていないことが判別された場合に、不足分の遊技媒体を払出すための制御が行なわれるために、前記払出すべき遊技媒体の数に見合った数だけの遊技媒体の払出が行なわれるようになり、遊技媒体の払出の信頼性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る弾球遊技機の一例のパチンコ遊技機およびカード処理機を示す全体正面図である。
【図2】
カード処理機およびパチンコ遊技機の一部内部構造を示す裏面図である。
【図3】
入賞玉処理装置の構造および動作を説明するための要部縦断面図である。
【図4】
玉払出器の構造を示す縦断面図である。
【図5】
玉払出器の構造を示す横断面図である。
【図6】
カード処理機の制御回路を示すブロック図である。
【図7】
パチンコ遊技機とカード処理器との間での信号の送受信を行なうための回路を示す回路図である。
【図8】
払出集中制御基板の制御回路を示すブロック図である。
【図9】
払出集中制御基板とゲーム制御基板との間で景品玉払出個数データの送受信を行なうための回路を示す図である。
【図10】
図6に示す制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】
図6に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】
図6に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】
図6に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】
図8に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】
図8に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】
図8に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】
図8に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】
図8に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図19】
図8に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図20】
ゲーム制御用マイクロコンピュータによる制御動作を示したフローチャートである。
【図21】
カード処理機とパチンコ遊技機の動作タイミングを説明するためのタイミングチャートである。
【図22】
第2実施例における玉払出器およびその周辺機器を示す縦断面図である。
【図23】
第2実施例における玉払出器およびその周辺機器を示す縦断面図である。
【図24】
第2実施例における玉払出器の構造を説明するための分解斜視図である。
【符号の説明】
63は玉払出器、730は払出集中制御基板、148′はゲーム制御基板、250は払出制御用マイクロコンピュータ、62はカード処理機、60はパチンコ遊技機、445は入賞玉処理機構、370はゲーム制御用マイクロコンピュータ、223は払出モータ、800は玉送り部材、802aは投光器、802bは半回転検出センサである。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-07-11 
出願番号 特願平11-23960
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A63F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 鈴木 寛治
藤井 靖子
登録日 2002-01-25 
登録番号 特許第3272685号(P3272685)
権利者 株式会社三共
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  
代理人 塚本 豊  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  
代理人 塚本 豊  

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