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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効とする(申立て一部成立) F23C
管理番号 1088862
審判番号 審判1999-35717  
総通号数 50 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1990-01-12 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-12-01 
確定日 2003-08-18 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2608598号発明「蓄熱バーナにおけるNOxの生成を抑制する方法と装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第2608598号の請求項5に係る発明についての特許を無効とする。 特許第2608598号の請求項1及び2に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その3分の2を請求人の負担とし、3分の1を被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯

本件特許第2608598号の請求項1ないし5に係る発明についての出願は、平成元年1月31日に出願され、平成9年2月13日にそれらの発明について特許の設定登録がされたものである。
これに対し、請求人は、平成11年12月1日に本件特許発明1、2、5に係る発明について特許無効審判の請求をした。被請求人は、平成14年5月28日付けの訂正請求書を提出した。平成14年11月15日付けの訂正拒絶理由通知書が送付され、被請求人は平成15年2月19日付けの手続補正書を提出した。

2.請求人の主張する本件特許の無効理由の要点と証拠方法

本件特許の請求項1、2、5に係る各発明は、
甲第1号証:英国特許出願公開GB2170584A明細書(1986年8月6日公開)(以下「引用例1」という。)、
甲第2号証:特開昭58-16107号公報(以下「引用例2」という。)、
甲第3号証:特開昭52-44805号公報(以下「引用例3」という。)
に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、これらの請求項に係る本件特許は、同法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。
また、蓄熱バーナ装置の基本構成が周知技術であることを示す例として、
甲第4号証:実開昭62-118925号公報(以下「周知例1」という。)、
甲第5号証:特開昭62-94703号公報(以下「周知例2」という。)が、
更に、分岐管を介して燃焼排ガスの一部をバーナ側に環流させることが周知技術であることを示す例として、
甲第6号証:特公昭52-36611号公報(以下「周知例3」という。)が提出されている。

3.被請求人の答弁の要点と証拠方法

請求人の主張する本件特許の無効理由は理由がない。
二床式熱回収バーナの特徴とレキュペレータと比較して優れた性能を示すものとして、乙第1号証:North American TwinBed Heat Reclamation Systems 、
乙第2号証:HAUCK-HOTWORK RCB BURNER SYSTEM, SUPPLEMENTAL DATA 、
乙第3号証:HAUCK-HOTWORK RCB BURNER SYSTEM, APPLICATION DATA 、
乙第4号証:North American TwinBed Heat Reclamation System, Sheet 4316/4326-1 、
乙第5号証:NORTH AMERICAN COMBUSTION HANDBOOK 442頁、1978年発行
を提出し、大量の空気を混入すると効率低下を招くことを示すものとして、
乙第6号証:計算書 Regenerative System Efficiency Calculation)
を提出する。

4.訂正の理由の補正の適否について

平成15年2月19日付けの手続補正書(以下「本件補正」という。)は、請求項5についての訂正請求を削除し、その他軽微な誤記を訂正するものであるから、本件補正は、平成14年5月28日付けの訂正請求の要旨を変更するものではない。したがって、本件補正を採用する。

5.訂正請求について

(1)訂正請求の内容

平成14年5月28日付けの訂正請求書(以下「本件訂正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1、2、3について、次の「ア」に記載された訂正前の請求項1ないし3を、次の「イ」に記載された請求項1ないし3のとおり訂正することを請求するものである。

ア 本件訂正前の請求項1ないし3

「【請求項1】間隔を置いた第1および第2のバーナの対(204、204′)からなり、そのバーナの各々が燃料と該バーナの各々に対応する蓄熱床(216、216′)から供給される予熱された初期燃焼空気の流れを混合する室を有し、該バーナの第2のもの(204′)が高温気体を炉内部(210、215)に導き、一方炉からの燃焼ガスの流れが炉(210、215)を離れて第1のバーナ室(204)を通って蓄熱床(216)へ進み、第1バーナ部と第2バーナ部が蓄熱と燃焼のために交互に使用される蓄熱バーナ装置であって:
炉内部に連通する二つのバーナの間の相互連結ダクトと、
初期燃焼空気流を該相互連結ダクトに導入するノズル手段と
を有する装置。
【請求項2】請求項1に記載の蓄熱バーナ装置であって、該ノズル手段が、該バーナ室の各々についてノズル(222、222′)を有し、各ノズルが該連結ダクトと実質的に同軸方向の噴出口を有する装置。
【請求項3】請求項1に記載の蓄熱バーナ装置であって、該相互連結ダクトが該バーナ室の各々に対して接線的に配置されて、前記高温気体が渦巻き状に供給され、それによって富化された燃料ガスが連行される蓄熱バーナ装置。
を、次のとおり訂正し、合わせて明細書10頁9〜11行(特許公報2頁4欄43〜45行を訂正することを請求するものである。」

イ 本件訂正に係る請求項1ないし3

「【請求項1】間隔を置いた第1および第2のバーナの対(204、204′)からなり、そのバーナの各々が燃料と該バーナの各々に対応する蓄熱床(216、216′)から供給される予熱された初期燃焼空気の流れを混合する室を有し、該バーナの第2のもの(204′)が高温気体を炉内部(210、215)に導き、一方炉からの燃焼ガスの流れが炉(210、215)を離れて第1のバーナ室(204)を通って蓄熱床(216)へ進み、第1バーナ部と第2バーナ部が蓄熱と燃焼のために交互に使用される蓄熱バーナ装置であって:
前記第1のバーナおよび第2のバーナの各々に接続され、炉内に延在する熱放射管と、炉内部に連通する二つのバーナの間の中間連結ダクトと、
初期燃焼空気の流れとは別のガス流を該中間連結ダクトに導入するノズル手段と
を有する装置。
【請求項2】請求項1に記載の蓄熱バーナ装置であって、該ノズル手段が、該バーナ室の各々についてノズル(222、222′)を有し、各ノズルが該中間連結ダクトと実質的に同軸方向の噴出口を有する装置。
【請求項3】請求項1に記載の蓄熱バーナ装置であって、該中間連結ダクトが該バーナ室の各々に対して接線的に配置されて、前記高温気体が渦巻き状に供給され、それによって富化された燃料ガスが連行される蓄熱バーナ装置。」

(2)訂正請求の適否(独立特許要件を除く)

ア 「熱放射管」について

本件訂正における請求項1に係る訂正のうち、「前記第1のバーナおよび第2のバーナの各々に接続され、炉内に延在する熱放射管と、」した構成は、特許明細書の「本発明はまた、その夫々の燃焼端が炉内部に連通する互いに離れた一対の第1ダクトか、あるいはU字型の放射状管バーナのチューブに接続して交互に炉内に高温燃焼ガスを放射するか又は炉から高温排気ガスを排出する室を具えたバーナを含む。」(特許公報4欄43〜47行)、「本発明は、第11図において仮想線と(参照符号215)によって部分的に示される交互に燃焼される連続したU字型の熱放射管蓄熱バーナシステムに関する。直接燃焼および熱放射管での燃焼の何れの場合においても、本発明は自己混合(自己汚染)低NOX蓄熱バーナ対を提供する。」(同5欄31〜36行)の記載、及び第11図が図示するところに基づいて、かかる構成を加えて、バーナの構成について放射状管タイプのものに限定したものである。

イ 初期燃焼空気「の流れとは別のガス流」について

本件訂正は、請求項1において、訂正前の「初期燃焼空気流を・・・導入するノズル手段」を「初期燃焼空気の流れとは別のガス流を・・・導入するノズル手段」と訂正するものであるが、特許明細書の「中間連結ダクト224は好ましくは第12図および第15図に示すようなバーナ室214,214′の側壁から分岐する。ノズル222から放出された高流速ガス流はバーナ室214に流入する高温排気ガスを部分的に誘引する。このように誘引された高温排気ガスの部分は高速ガス流に合流され、中間連結ダクト224を通じて流れる。」(特許公報10欄50行〜11欄6行)の記載及び第12、第15図が図示するところに照らせば、ノズル手段により中間連結ダクトに導入される気体は、蓄熱床から供給される予熱された初期燃焼空気流ではなく、これとは別の気体であると認められるから、この訂正は、誤記の訂正に該当するものである。

ウ 「中間」連結ダクトについて

本件訂正は、請求項1ないし3の各項において、訂正前の「相互連結ダクト」を「中間連結ダクト」と訂正するものであるが、この訂正は、上記「イ」に摘示した特許明細書の記載(特許公報10欄50行〜11欄6行)に基づいたものであるから、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明に該当するものである。

エ 小括

したがって、本件訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、特許請求の範囲の減縮又は誤記の訂正又は特許明細書の明りょうでない記載の釈明に該当するものであり、かつ、本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)独立特許要件について

(3-1)引用例1に記載された事項

ア 「本発明は、一方が排ガスにより加熱されている時に、他方は燃料の燃焼用空気を加熱しているように動作させることができるタイプの2つの熱リジェネレイターを有するリジェネレイティブ加熱システムに関する。
本発明によれば、我々は,一方が排ガスにより加熱されている時に、他方は燃料の燃焼用空気を加熱しているように動作するタイプの2つの熱リジェネレイターを有し、それらのリジェネレイターは一方の端の近傍で連絡して、燃料を、そこに噴射するための1つの入口を有するチェンバーを構成しており、夫々のリジェネレイターの他方の端は、夫々のリジェネレイターへ空気を供給するための入口としての役目を果たし、それらのリジェネレイターは、空気を加熱しているリジェネレイター内の圧力が、排ガスにより加熱されているリジェネレイター内の圧力よりも低くなるように、2つのリジェネレイター間の差圧を保持するように調整されており、そのために燃料がチェンバーから、加熱されている空気中に引っ張られて燃焼用空気と混合される構成のリジェネレイティブ加熱システムを提供する。
この構成を採用することにより、従来のシステムでは夫々のリジェネレイターが、夫々のための燃料供給装置が必要であったのに対して、両方のリジェネレイターに対して一つの燃料供給装置があれば良い。同様に、燃料に点火するために一つのパイロットライトがあれば良い。」(1頁左欄6〜35行の記載の訳文)

イ 「従来と同様に、夫々のリジェネレイターは、一方向に排ガスが通過すると共に、逆方向に空気が通過する流路6を有する熱吸収材のベッド5を収容しており、ベッドは第1の場合に熱を吸収し、第2の場合にそれを空気に放出する。
加熱される空気は夫々のリジェネレイターの端部7から夫々のリジェネレイターに流入する。この端部7は、排ガスの出口端としての役目を果たしている。
燃焼した燃料ガスは、他方の端部8を通って夫々のリジェネレイターを離れ、この端部8は排ガスの入口端としての役目を果たしている。
壁4の頂部9は、パイプ3の出口端10を横切って延びているが、リジェネレイター1と2の間に連通チェンバー11を形成する空間を残すために、出口端から間隔を置いている。
パイプ3の上端には、各リジェネレイターに1つずつの、一対の部分的に円形状の段差部12が設けられ、これら段差部12は燃料パイプ3の最上端に固定される。この段差部12の形状は、空気流の方向に喉領域が徐々に減少するようになっている。これは、ベンチュリあるいはチョーク効果を与える機能をし、この効果により床部5から出る加熱された空気が加速され、この領域を低圧部にする。これにより、チェンバー11に入る燃料ガスがこの領域に同伴され、燃焼用空気と混合される。段差部12の平面13に、反対方向に流れる排ガスが衝突し、これにより高圧領域が生じてガスシールとして作用する。かくして、一方のリジェネレイターが空気を加熱し、他方のリジェネレイターは排ガスにより加熱されているときは、全体の結果として、燃料ガスがチェンバーから空気流に優先的に引き込まれる。
燃料パイプ3の口部または口近辺の壁部9に、パイロットバーナー14が取り付けられ、このパイロット炎は流れの空気力学により、該当するリジェネレイターに引き込まれる。
両方のリジェネレイターの端部7は空気供給のためのコンブレッサー及び排ガス排出機又はファンに切替バルブを経て接続され、このためにリジェネレイターは空気加熱と排ガス加熱のサイクルを交替することができる。この構成は、勿論、全く従来のものである。」(1頁右欄2〜118行の記載の訳文)

ウ 「リジェネレイティブ熱回収システムにより達成される高い予熱は、窒素酸化物(NOx)のレベルが高い排ガスを生じる。これらは好ましくない燃焼生成物であり、煙道ガスを再循環させて燃焼前の燃料ガスに導入することによりこれらを低減することは周知である。従来のリジェネレイティブシステムでは、このために、システムの費用を付加する特別な外部部品を使用している。しかしながら、本発明の構成では、そのような再循環は燃焼チェンバー内において自動的に生じている。」(2頁左欄25〜36行の記載の訳文)

エ 「特許請求の範囲
1.一方が排ガスにより加熱されている時に、他方は燃料の燃焼用空気を加熱しているように動作するタイプの2つの熱リジェネレイターを有し、それらのリジェネレイターは一方の端の近傍で連絡して、燃料を噴射するための1つの入口を有するチェンバーを構成しており、夫々のリジェネレイターの他方の端は、夫々のリジェネレイターへ空気を供給するための入口としての役目を果たし、それらのリジェネレイターは、空気を加熱しているリジェネレイター内の圧力が、排ガスにより加熱されているリジェネレイター内の圧力よりも低くなるように2つのリジェネレイター間の差圧を保持するように調整されており、そのために燃料がチェンバーから、空気を加熱しているリジェネレイター中に引っ張られて燃焼用空気と混合される構成のリジェネレイティブ加熱システム。
2.各リジェネレイターの内部に、空気と排ガスの空気力学流特性に影響を与えて、使用中に、2つのリジェネレイターの間に差圧を生じさせる手段を備える特許請求の範囲1に記載するシステム。
3.実質的に、添付図面を参照して以上に説明したシステム。」(2頁左欄38〜65行)

(3-2)請求項1に係る発明

本件訂正に係る請求項1に係る発明(以下「訂正発明1」という。)と引用例1ないし3に記載された各発明を対比する。

ア 引用例1(英国特許出願公開GB2170584A明細書)との対比

上記(3-1)に摘示した引用例1の記載及び図1が図示するところを参酌すると、訂正発明1と引用例1記載の発明とは、
「間隔を置いた第1および第2のバーナ対(端部8、8)からなり、そのバーナの各々が燃料と該バーナの各々に対応する蓄熱床(熱吸収材のベッド5、5)から供給される予熱された初期燃焼空気の流れを混合する室を有し、該バーナの第2のもの(端部8)が高温気体を炉内部(端部8の外方空間)に導き、一方炉からの燃焼ガスの流れが炉を離れて第1のバーナ室を通って蓄熱床(熱吸収材のベッド5)へ進み、第1バーナ部と第2バーナ部が蓄熱と燃焼のために交互に使用される蓄熱バーナ装置。」
において一致するものと認められるが、次の点で相違するものと認められる。
なお、上記した一致点における括弧内には、その直前に記載された訂正発明1の構成要素に相当する引用例1記載の構成要素を記載した。
[相違点1]訂正発明1は、「前記第1のバーナおよび第2のバーナの各々に接続され、炉内に延在する熱放射管と」を有する装置であるのに対し、引用例1には、かかる構成についての記載も示唆もない点。
[相違点2]訂正発明1は、「炉内部に連通する二つのバーナの間の中間連結ダクトと」を有し、「初期燃焼空気の流れとは別のガス流を該中間連結ダクトに導入するノズル手段と」を有する装置であるのに対し、引用例1記載の発明は、二つのバーナの間に連通チャンバー11を形成しているとはいえ、該連通チャンバーに導入される初期燃焼空気の流れとは別のガス流は存在しないし、そのためのノズル手段も具備していない点。

イ 引用例2(特開昭58-16107号公報)との対比

引用例2は、「排ガス中から窒素酸化物(NOx)を低減させるため、燃焼排ガスを再循環させる方式を採るラジアントチューブバーナ」(1頁左下欄16〜18行)の発明に関するものであって、その第1図には、ラジアントチューブの終端部近くとその始端近くを連通する管8が図示され、燃焼用一次空気とは別の燃焼用二次空気を該管に導入するノズル手段が開示され、燃焼排ガスを連行して再循環させる技術が開示されてはいるが、訂正発明1と引用例2記載の発明を対比すると、少なくとも次の点で相違するものと認められる。
[相違点3]訂正発明1は、「第1バーナ部と第2バーナ部が蓄熱と燃焼のために交互に使用される蓄熱バーナ装置」であるのに対し、引用例2記載の発明は、このように交互に使用される蓄熱バーナ装置については記載も示唆もないのであるから、引用例2に記載された管8は、燃焼排ガスをバーナ側に再循環するものではあっても、「二つのバーナの間の中間連結ダクト」ではない点。

ウ 引用例3(特開昭52-44805号公報)との対比

引用例3は、「ラジアントチューブバーナ、特に燃焼排ガスの一部を循環させ燃焼用空気中に混入させることによって燃焼排ガス中の窒素酸化物(NOx)の発生量を抑制するラジアントチューブバーナ」(1頁左欄27〜30行)に関するものであって、その第2、第3、第4図には、ラジアントチューブ終端とその始端を連通する連通管2が図示され、燃焼用空気とは別の空気が送風ファンにより(第3、第4図には送風ファンの明示がないが同様と認められる。)噴射されて、燃焼排ガスの一部を連行して再循環させる技術が開示されているが、訂正発明1と引用例3記載の発明を対比すると、少なくとも次の点で相違するものと認められる。
[相違点4]訂正発明1は、「第1バーナ部と第2バーナ部が蓄熱と燃焼のために交互に使用される蓄熱バーナ装置」であるのに対し、引用例2記載の発明は、このように交互に使用される蓄熱バーナ装置については記載も示唆もないのであるから、引用例3に記載された連通管2は、燃焼排ガスをバーナ側に再循環するものではあっても、「二つのバーナの間の中間連結ダクト」ではない点。

エ 相違点1ないし4の検討

相違点1ないし4を検討してみると、要するに、引用例1ないし3のいずれにも、「二つのバーナの間の中間連結ダクト」を有する構成が開示されていないものと認められる。
引用例1には、前示のとおり、二つのバーナの間に連通チャンバー11が形成されているが、この連通チャンバーは、その内部の中央部にパイプ3により燃料が供給され、燃料を供給するパイプ3の出口端10に対向してパイロットバーナー14が設けられていること、また、連通チャバーには、炉側から流入する排ガスが段差部12の平面13に衝突してその一部が流入することに照らすと、この連通チャンバー内において、導入された燃料の着火が発生し得るものであると認められる。そうすると、引用例1記載の連通チャンバーは、構成からみても、機能においても、ガスを流通するダクトや管に相当するものではなく、燃焼室に隣接した着火室というべきものである。
これに対し、訂正明細書では、訂正発明1の「中間連結ダクト」は、二つのバーナの間を連通する管であり、その機能についても蓄熱側のバーナから燃焼ガスの一部を燃焼側のバーナへと環流することが記載されているだけであり、訂正明細書及び図面(図面については訂正がない。)を検討しても、パイロットバーナーの存否や位置についての明示はないし、図面を参照すると、その第11ないし第13、第15図が図示する中間連結ダクト224の構成からみて、パイロットバーナーが「二つのバーナの間の中間連結ダクト」の内部に設けられることは何ら想定されていないものと認められるから、「中間連結ダクト」の構成や機能は、燃焼ガスの一部を流通してバーナ側に環流することを目的としたものであって、燃料に着火することを目的とした構成や機能を備えたものではないというべきである。そうすると、引用例1記載の「連通チャンバー」は、構成からみても、機能においても、訂正発明1の「中間連結ダクト」に相当するものではないというべきである。
請求人が主張する無効理由は、要するに、引用例1記載の連通チャンバーを引用例2又は3に記載されたノズル手段を備えた管(連通管)により置換することは当業者であれば容易であったと主張するものと解されるが、まず、上記したように、引用例1記載の連通チャンバーは、ガスを流通するダクトや管とは機能が異なるものであるから、これを引用例2又は3記載の連通管により置き換えることには、これを妨げる技術的理由があると認められる。更に、相違点3及び4において示したように、引用例2又は3に記載されたバーナは、いずれも、交互に使用される蓄熱バーナではないから、そこに記載の連通管は一方向に流通することが予定されているだけであって、ノズル手段も連通管の一端にしか有さないものであるから、仮に、このノズル手段を備えた連通管を引用例1記載の発明に適用しようとすると、連通管の双方向に流通させることを可能とするように、バーナの配置やノズルの構成などについて、かなりの程度の改造や工夫を必要とするものであるから、これらの改造や工夫をすべて容易とみることはできない。
なお、前記(3-1)に摘示した引用例1の「ウ」の記載によれば、従来のリジェネレイティブシステムにおいて、窒素酸化物(NOx)のレベルを低減することを目的として、ノズル手段のような外形部品を使用して煙道ガスを再循環させて燃焼前の燃料ガスに導入する公知例が存在するかのような印象を受けなくもないが、かかる公知例について請求人からの提出もなく、職権による調査においても発見することはできなかった以上、引用例1のこの記載のみを根拠として、訂正発明1の新規性進歩性を否定することはできないというべきである。
また、周知例1及び2は、ラジアントチューブバーナを用いてバーナを交互に使用する蓄熱式の燃焼装置を開示するものであるが、排ガスを循環させることの記載も示唆もないものであるから、「二つのバーナの間の中間連結ダクト」を何ら開示するものでないし、周知例3は、ラジアントチューブバーナの吐出側から排ガスを循環させる分岐管9を開示しているが、バーナを交互に使用する蓄熱式の燃焼装置ではないし、分岐管9も「二つのバーナの間の中間連結ダクト」に相当するものではないし、これを示唆するものでもない。
以上のとおりであるから、訂正発明1は、引用例1ないし引用例3記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3-3)請求項2及び請求項3に係る各発明

請求項2及び請求項3に係る各発明(以下「訂正発明2」及び「訂正発明3」という。)は、いずれも請求項1を引用して、その構成要件に請求項2又は3に記載された構成要件を加えて限定したものであるから、請求項1に係る発明である訂正発明1について、上記のとおり、その容易想到性が否定される以上、その構成要件を受けて更に限定した構成要件からなる訂正発明2及び訂正発明3は、少なくとも前示の理由により、いずれも引用例1ないし引用例3記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないのである。

(3-4)小括

したがって、訂正発明1ないし3は、いずれも引用例1ないし引用例3記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許の出願の際独立して特許を受けることができるものである。

(4)まとめ

以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項に規定によりなお従前の例とされる、平成6年改正前の特許法第134条2項ただし書、並びに特許法134条5項で準用する平成6年改正前の特許法126条2項及び3項の規定に適合するものであるから、これを認容する。

6.無効理由の検討

無効理由に係る本件特許発明1、2、5のうちの本件特許発明1及び2については、上記したとおりの訂正が認容されるので、ここでは、本件特許発明5について検討する。
本件特許発明5は、前記したとおり、請求項5についての訂正請求は削除されたので、特許時の請求項5に記載されたとおりのつぎのものである。
「【請求項5】炉(210、215)を出る気体から相互に熱を抽出するための蓄熱炉(審決注、「蓄熱床」の誤記と認める。)を有し、それを通って供給される初期燃焼空気流を加熱する一対の蓄熱バーナ(204、204′)においてNOxガスの発生を抑制する方法であって、炉(210)からの燃焼済ガスの流れを抽出し、初期燃焼空気の流れとは別のガス流を該燃料済ガス(審決注、「燃焼済ガス」の誤記と認める。)の流れに注入し、該燃焼済ガスを該注入されたガス流中に連行し、注入されたガス流と連行された高温の燃焼済ガスの一部をバーナ室(214、214′)へ通し、該バーナ室(214、214′)内での燃焼過程を該高温の燃料済ガス(審決注、「燃焼済ガス」の誤記と認める。)の一部で汚染し、それによってNOxガスの発生を抑制する方法。」(以下、この発明を「本件発明5」という。)

(1)引用例

ア 引用例1に記載された事項

前記(3-1)に摘示した事項参照。

イ 引用例1に記載された発明

引用例1の前記した記載によれば、引用例1には、リジェネレイターの対の端部7の一方から燃焼用空気がリジェネレイター内部に流入してベッド5から熱を吸収し、段差部12が形成する喉部で該空気が加速されることにより低圧となるので、チェンバー11に入る燃料ガスを吸引して混合し、燃焼した燃焼ガスは、端部8を通ってリジェネレイターを離れ、一方、排ガスは、該端部8と対をなす他方の端部8から流入し、段差部12の平面13に衝突し、これにより高圧領域が生じてガスシールを形成すると共にベッド5に流れてここに熱を放出し、対の端部7は、空気を供給するコンプレッサーと排ガスを排出するファンに切換バルブを経由して接続するので、該切換バルブを切り換えて加熱される空気の流れと排ガスの流れを交替させることにより、燃焼用空気を予熱し排ガスの排熱を回収する一対の蓄熱バーナにおいて、排ガスは、段差部12の平面13に衝突して高圧領域を生じ、他方、燃焼用空気は喉部で加速されて低圧となるから、その圧力差により、段差部12の平面13に衝突して高圧となった排ガスの一部は、燃料ガスに混合して吸引され、燃焼用空気と更に混合することにより、燃焼用空気が高く予熱されることにより発生する窒素酸化物(NOx)のレベルを低減する発明が記載されているものと認められる。

(2)対比・一致点・相違点

本件発明5と引用例1記載の発明を対比してみよう。
引用例1記載に発明は、その図1が図示するところによれば、リジェネレイターは対の端部8から、交互に燃焼ガスを放出したり排ガスを流入するものであるから、その外方(図1における端部8の上方)は、炉内の空間であることは当業者には自明であると認められる。また、引用例1に記載された「ベッド」、「排ガス」は、それぞれ本件発明5の「蓄熱床」、「燃焼済ガス」に相当し、図1における一方側の端部7から端部8までの部分はバーナを構成し、他方の側も同様にバーナを構成するから、これらから成る「リジェネレイター」は、本件発明5の「一対の蓄熱バーナ」に相当する。
そうすると、本件発明5と引用例1記載の発明は、下記の一致点に記載した構成要件について一致するが、下記の相違点に記載した構成要件について相違するものと認められる。
[一致点]
「炉を出る気体から相互に熱を抽出するための蓄熱床を有し、それを通って供給される初期燃焼空気流を加熱する一対の蓄熱バーナにおいてNOxガスの発生を抑制する方法であって、炉からの燃焼済ガスの流れを抽出し、高温の燃焼済ガスの一部をバーナ室へ通し、該バーナ室内での燃焼過程を該高温の燃焼済ガスの一部で汚染し、それによってNOxガスの発生を抑制する方法。」
[相違点5]
本件発明5は、「初期燃焼空気の流れとは別のガス流を燃焼済ガスの流れに注入し、該燃焼済ガスを該注入されたガス流中に連行し、注入されたガス流と連行された高温の燃焼済ガスの一部をバーナ室へ通し」としたものであるのに対し、引用例1記載の発明は、段差部12とその平面13により発生する高圧側と低圧側の圧力差により、燃焼済ガスの一部をバーナ室へ通すものである点。

(3)相違点5の検討

引用例2は、前示のとおり、排ガス中から窒素酸化物(NOx)を低減させるため、燃焼排ガスを再循環させる方式を採るラジアントチューブバーナの発明に関するものであって、燃焼用一次空気とは別の燃焼用二次空気により、燃焼排ガスの一部を連行して再循環させる技術が開示されている。
引用例3は、前示のとおり、燃焼排ガスの一部を循環させ燃焼用空気中に混入させることによって燃焼排ガス中の窒素酸化物(NOx)の発生量を抑制するラジアントチューブバーナに関するものであって、燃焼用空気とは別の空気を燃焼排ガスの流れに噴射して、燃焼排ガスの一部を連行して再循環させる技術が開示されている。
これらの事実からみて、初期燃焼空気の流れとは別のガス流を燃焼済ガスの流れに注入し、燃焼済ガスを注入されたガス流中に連行して、注入されたガス流と連行された高温の燃焼済ガスの一部をバーナ室へ環流させることは、本件発明5の出願前に周知の技術であったものと認められる。前記(3-1)に摘示した引用例1の「ウ」の記載も、この認定事実を裏付ける。
そうすると、相違点5に係る本件発明5の構成は、当業者であれば上記周知の技術を引用例1記載の発明に適用することにより容易に想到できたものというべきである。
本件発明5の作用効果を検討しても、引用例1記載の発明及び上記周知の技術から当業者が容易に予測できたものであって、これを超えるような顕著な効果を奏するものではない。
被請求人は、引用例2及び3に記載の各発明は、室温の空気を大量に使用して排気ガスを連行し、低温の燃焼用空気を燃焼に供するものであるから、燃焼済ガスの熱を利用して高効率で燃焼用空気を予熱することを特徴とする蓄熱床を採用した装置を提供しようとする当業者が、蓄熱床の優れた特徴を否定するような技術と組み合わせて改良を試みる理由がないと主張する。
しかし、引用例1ないし3に記載の各発明は、共に窒素酸化物の低減を目的として燃焼排ガスを再循環させることにおいて、共通するものであると認められる。そして、引用例3には、「ところでこのような燃焼排ガス循環型バーナにあっては、もし、燃焼用空気量に対して燃焼排ガス量が少ないとN0x低減効率がうすれるし、又、反対に燃焼排ガス量が多すぎると、不完全燃焼を起したり、失火の原因となる。」(2欄3〜7行)、「第3図のものは第2図においてインスピレータエアノズル9を流量調整弁10を介してエジェクタエア供給管8に設けた場合を示し、エジェクタエアノズル4に対するインスピレータエアノズル9からのエア噴出量、すなわち燃焼用空気に対する燃焼排ガスの混入比を調節できるようにしたものである。他は第2図と同一部品には同一番号を付し説明を省略する。」(3欄31〜38行)、「特に本発明はN0xの値が高く出る予熱空気式において、排ガス循環を行い、各種ガス燃料に対するNOx濃度の低減に有効である(約50%低減することが実験的に確認されている。)。」(4欄32〜35行)と記載され、これらの記載によれば、燃焼用空気が予熱されると燃焼温度が高くなって排ガス中のN0xの値が高くなること、燃焼用空気量に対する燃焼排ガスの比率は少ないとNOx低減効果が薄れ、多すぎると不完全燃焼を起こすのであるから、その比率を調節することが必要であることは、当業者にとっては自明の技術的事項であったものと認められる。そうすると、引用例2及び3記載の各発明において、再循環される燃焼排ガス量は燃焼用空気量に対する比率について適切な範囲があって、その範囲内となるように流量調整弁(引用例2では符号9が示す弁、引用例3では符号10が示す弁)が設けられていると解されるのであるから、これらの引用例に記載された発明は、必ずしも室温の空気を大量に使用するものではないのであって、燃焼排ガスを連行するために燃焼ガス中に注入される空気量を燃焼用空気量との関係で決まる適当な範囲とすることで、排ガス中のN0xの値を低減しているものであると認められる。そして、引用例1記載の発明は、蓄熱床を用いたものではあっても、空気を予熱するものであることに変わりはないのであるから、燃焼温度が高くなって排ガス中のN0xの値が高くなるという問題があって、これを燃焼排ガスを再循環させることにより解決したものであることについて、引用例2及び3記載の各発明と比較して、課題において共通し、その解決手段において共通するものであるから、これらの引用例に記載された発明を組み合わせることは、当業者であれば容易であったものというべきである。被請求人の上記主張は採用できない。
被請求人が提出した乙第1ないし第6号証を検討しても、上記認定判断を左右するようなものはない。

(4)小括

したがって、本件発明5は、引用例1記載の発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

7.むすび

以上のとおりであるから、本件特許の請求項1及び2に係る各発明の特許は、請求人の主張する主張及び証拠方法によっては無効とすることができない。
これに対し、本件特許の請求項5に係る発明の特許は、甲第1号証に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当する。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、その3分の2を請求人の、その3分の1を被請求人の負担とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
蓄熱バーナにおけるNOXの生成を抑制する方法と装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】間隔を置いた第1および第2のバーナの対(204、204’)からなり、そのバーナの各々が燃料と該バーナの各々に対応する蓄熱床(216、216’)から供給される予熱された初期燃焼空気の流れを混合する室を有し、該バーナの第2のもの(204’)が高温気体を炉内部(210、215)に導き、一方炉からの燃焼ガスの流れが炉(210、215)を離れて第1のバーナ室(204)を通って蓄熱床(216)へ進み、第1バーナ部と第2バーナ部が蓄熱と燃焼のために交互に使用される蓄熱バーナ装置であって:
前記第1のバーナおよび第2のバーナの各々に接続され、炉内に延在する熱放射管と、
炉内部に連通する二つのバーナの間の中間連結ダクトと、
初期燃焼空気の流れとは別のガス流を該中間連結ダクトに導入するノズル手段とを有する装置。
【請求項2】請求項1に記載の蓄熱バーナ装置であって、該ノズル手段が、該バーナ室の各々についてノズル(222、222’)を有し、各ノズルが該中間連結ダクトと実質的に同軸方向の噴出口を有する装置。
【請求項3】請求項1に記載の蓄熱バーナ装置であって、該中間連結ダクトが該バーナ室の各々に対して接線的に配置されて、前記高温気体が渦巻き状に供給され、それによって富化された燃料ガスが連行される蓄熱バーナ装置。
【請求項4】請求項1に記載の蓄熱バーナ装置であって、該バーナ室(214、214’)の各々が該バーナ室(214’)の空洞に対して接線方向に配置された複数個の燃料注入ノズル(205’)を備え、それによって気体流に渦流運動を付与して、高度に富化された燃焼済気体が連行される装置。
【請求項5】炉(210、215)を出る気体から相互に熱を抽出するための蓄熱炉を有し、それを通って供給される初期燃焼空気流を加熱する一対の蓄熱バーナ(204、204’)においてNOXガスの発生を抑制する方法であって、
炉(210)からの燃焼済ガスの流れを抽出し、
初期燃焼空気の流れとは別のガス流を該燃料済ガスの流れに注入し、
該燃焼済ガスを該注入されたガス流中に連行し、
注入されたガス流と連行された高温の燃焼済ガスの一部をバーナ室(214、214’)へ通し、
該バーナ室(214、214’)内での燃焼過程を該高温の燃料済ガスの一部で汚染し、それによってNOXガスの発生を抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、一般的に言えば、炉を加熱するために蓄熱型式のバーナに関し、より詳細には最終燃焼排出物中でNOXの生成が最小である蓄熱バーナに関する。
〔従来技術〕
炉のための蓄熱型式のバーナは当該分野において種々の型式と構造のものが良く知られているが、これらには共通の特徴があり、排気ガスとしての高温燃焼排出物から熱を引き出して蓄熱するための流入する燃焼空気を予熱する熱の連続移動を伴う蓄熱ユニットが設けられている。最も初期の蓄熱バーナ型式の炉は、炉の両側の適当な場所にある2つのバーナと蓄熱ユニット(暫々“チェッカー室”煉瓦の剛質構造である)を有する対称的な配列のものである。このような蓄熱炉の燃焼は一方のバーナによって始まり、他方の側の蓄熱ユニットによる燃焼排出物中に存在する熱の蓄積を伴う。蓄熱ユニットあるいは格子積煉瓦室(チェッカー室)の最適な加熱の後に、炉内の空気流は燃焼空気を予熱するチェッカー室から燃焼空気を引き出すように逆転される。従って、チェッカー室のダクトは交互に燃焼生成物と燃焼空気とを搬送し、バーナは交互にバーナあるいは煙道として機能する。
最近の蓄熱システムは完全な対称形ではなく、代りに特定の対で用いられる蓄熱バーナを含む。対にされた蓄熱バーナの夫々は、通常蓄熱ベッド形状の蓄熱ユニットを具え、燃焼空気はバーナに至る途中にここを通過する。バーナは対で用いられるので、1つのバーナが燃焼するとき、他方のバーナは煙道あるいは蓄熱ベッドとして機能とする。20〜120秒程度ごとに、炉内の流れは逆転され、バーナの機能が交換する。即ち最初の燃焼バーナは排気ガスの排気/蓄熱ベットとなり、第2バーナが燃焼する。1組のバーナ配列の模範的なシステムは米国特許第4,522,588号に見出される。
蓄熱システムについての従来からの問題は、チッ素の結合した燃料の燃焼と、空気の極端は高温予熱と炎温度の結果として生じる燃焼排出物中に必然的に存在する極端に高いNOX濃度である。この結果、従来産業上広く受け入れられてきた蓄熱システムは、増加した場所とプロセス条件中での標準的な放出にもはや適合できない。加えて、従来の“蓄熱対”に用いられているバーナは構造が限られ、炎の形状や特性を調整するのに適していない。NOX放出条件に適合するように炎の温度を調整することにより、特定の用途に広く適用できる低NOXバーナ装置が必要とされている。それ故に、従来のシステムの蓄熱作用を具えながらも顕著なNOXの減少と応用への適合性を具える蓄熱バーナシステムへの要求が根強くある。
〔発明の構成〕
上記要求に適うように本発明は、燃料放出手段、バーナ室、蓄熱ベッドおよび蓄熱バーナ装置内に組み込まれたNOX生成抑制手段を有する1対の離れた第1、第2蓄熱バーナを含む燃焼ガス流が炉を出て第2バーナ室を通過し、該第2バーナに設けられた蓄熱ベッドを通過する内、第1バーナが炉内部に高温ガスを送る燃焼状態にあるように、上記バーナは周期的に作動するように適合されている。適当なバッフル即ちよく広くは燃焼ガスが初期燃焼領域に戻る再循環を誘引する手段をバーナ装置に組み込むことにより、あるいは、連続した燃焼噴射を通じて燃料を段階的に供給することにより、あるいは燃焼空気の連続的な導入ないし燃焼空気中の酸素量を減少するように制御された状態での燃焼空気と燃焼生成物とが混合された混合(汚染)燃焼空気の使用を通じて燃焼空気を段階的に供給することにより、あるいはファン入口ないしバーナ構造内部での燃焼空気と燃料ガスとの混合の何れかにより、NOXを実質的に減少することができる。
蓄熱バーナ装置はそれ故にバーナバッフルと共に空気噴射を有する蓄熱バーナを含み、あるいは複数のガス噴射を含み、該噴射が初期燃焼領域に燃焼ガスを戻す再循環を誘引してNOXを抑制しかつ炎の形状と特性を定める燃料/空気混合比を制御する。該バーナはガスまたは空気の何れかの段階的燃焼を与え、あるいはバーナ内部での空気の混合(汚染)ないし燃焼ファンからの混合(汚染)された空気の使用を通じてNOXを抑制する。本蓄熱バーナのある種の態様は、燃焼ガスが初期燃焼領域へ戻る再循環、混合空気の使用、および燃料または燃焼空気の何れかの供給を段階化することを含む。
本発明はまた、その夫々の燃焼端が炉内部に連通し、熱放射管、例えばU字型の放射管バーナのチューブが取り付けられる、互いに離れた一対の第1ダクトに接続して交互に炉内に高温燃焼ガスを放射するか又は炉から高温排気ガスを排出する室を具えたバーナを含む。各バーナは、燃焼空気取入ダクト/排気ガス排出ダクトに夫々接続し、そこに一体化された蓄熱媒体ベッドを有する。混合(汚染)ダクトは蓄熱ベッドの炉側にある2個のバーナの間を連結し、各バーナの室内部分に連通する。ノズルは高速ガス流を中間連結ダクトに交互に噴射するように各バーナ室に設置される。該高速流は右側バーナで燃焼空気を予熱するために炉から出る高温燃焼生成物(POC)を含む排出ガスの一部を随伴する。高温排気ガスの残余は、後に(左側バンクが燃焼状態のとき)逆に流れる燃焼空気へ熱を移すために左側バンクの蓄熱媒体ベッドを通過する。
燃料ノズルあるいは他の噴射手段は、右側バーナ室で燃料流を高温POC含有排気ガスと予熱燃焼空気との混合物に導入し、これによりバーナ炎の中での抑制された即ち減少されたNOX組成物が得られる。かなりの高温、例えば、約1800°F(1067℃)ないし2000°F(1112℃)の間で、予熱された燃焼空気が高温のPOC含有排気ガスと混合(汚染)されるという事実によって、循環効率が向上する一方で蓄熱体の大きさは格段に小さくなる。高温混合(汚染)POC含有排気ガスの高BTU度が炉の効率を高める一方で混合燃焼空気の低酸素濃度が炎温度を低下させ、NOX組成物を最小にする。
本発明の好適な態様において、噴射されたガス流は炉を出る高温排気ガス流に対して接線方向に噴射され、混合(汚染)流に随伴される高密度POC層を形成するように排気ガスに渦流を与える。本発明の蓄熱バーナはNOXを減少し、炎の温度と特性を制御し、さらに蓄熱システムの高い熱効率特性を維持する。
〔発明の具体的記載〕
図示されるように炉室12が一対の蓄熱バーナ14を具える蓄熱システム10が第1図に示される。バーナ対は2個の左右同一のバーナユニットを含む。左右のバーナユニットはそれ自身の内部の室に熱を供給するように炉壁の内側に装置されている。左右のバーナは直接炉室へ燃焼生成物を交互に燃焼するように適合させられている。本発明は第11図において仮想線と(参照番号215)によって部分的に示される交互に燃焼される連続したU字型の熱放射管蓄熱バーナシステムに関する。直接燃焼および熱放射管での燃焼の何れの場合においても、本発明は自己混合(自己汚染)低NOX蓄熱バーナ対を提供する。当該分野で既知であるが、蓄熱型のバーナは高温の排気ガスから排熱を回収することにおいて、従来熱放射管バーナについて用いられていた通常の往復型予熱器よりも明らかに効率が良い。
本発明を含む技術の一般概念として、各蓄熱バーナ14は直接隣接する蓄熱ベッド18に接続しており、ここを通じて燃焼空気/排気がバーナ14と燃焼空気/排気通路16の間を通過する。燃焼空気は、燃焼ブロア20の作用によって一方のバーナ14に一時に供給され、左側バーナ14(第1図上)が燃焼しているとき、左側燃焼空気弁22が開いて左側排気弁24が閉じ、右側バーナ14が燃焼室12の煙道として作用するように、右側燃焼空気弁22と右側排気弁24がそれぞれ閉じおよび開く。この結果、左側バーナ14の燃焼時、右側バーナ14の蓄熱ベッド18は燃焼排出物から熱を回収する。炉内の流れが逆転すると、右側の蓄熱ベッド18は左側蓄熱バーナ14への燃焼空気を予熱する。制御弁27と共に図示された接続部26はファン入口21で燃焼生成物を空気に混合する(空気を汚染する)手段となる。
以下、本発明を周辺技術との関連において説明するが、第2〜第5、第9図によって示される態様は参考例である。
第2図を参照すると、蓄熱バーナは図示するようにバーナ30を含み、これから燃料ノズル32(耐火物中に埋没されている)が開口34での燃焼に燃料を供給する。一方、燃料ノズルは当該分野において既知の手段によって断熱され又は空気により冷却される。バーナの対(一方のみ図示)は、第1図に示しかつ当該分野で知られているように、隣接する炉室での燃焼を提供する。燃焼空気は空気吸込部36を通じてバーナ30に供給され、図示されるように蓄熱ベッド38を通過する。燃料ノズル32は燃料菅路40に設けられている。燃料ノズル32に隣接して配設されているのはバーナバッフル42であり、これは燃焼空気流を開口34に導く。
バーナバッフル42の構造は第2a図に一層明瞭に表わされており、同図は第2図の2aー2a線に沿った断面図である。バーナバッフル42は図示するように離れた4つのバーナバッフル孔44を有する概ね円筒形状の構造である。(第2図において、バーナバッフル孔44は、燃料管路40の端部のノズルの上下に示され、各孔44の出口は燃料ノズル32の先端と同一平面である。)第2a図に示すように、空気の通路はバーナバッフルの孔を通じる以外は塞がれている。4つの孔を通じて燃料ノズル32のすぐ上流へ導かれた燃焼空気の噴射効果はバッフル面に低圧領域を造り出し、それが燃焼ガスの初期燃焼帯域への再循環を引き起し、かくして炎温度を下げ、燃焼排出物中のNOXレベルを実質的に低下させる。図示されるように、離れた4つの孔を用いることにより、これら孔の間の燃焼ガスに対する適当な再循環領域が与えられる。同様の燃焼空気の噴射作用は燃料流を燃焼空気に導き、それは空気と燃料の必要な混合をもたらし、炎の形状と特徴に大きな影響を及ぼす。燃焼空気孔の角度と方向は炎の形状と特徴を制御するように調整することができる。NOXを最少にする観点からは4つ孔バーナバッフル42が好ましいが、燃焼空気孔の数と配置は必要に応じ変更でき、第2図の蓄熱バーナ30に組み込むことができる。
バーナバッフル42の大きさは変化させうるが、バッフルの一例は外径が6 1/2インチ(16.51cm)であり、図示するようにこれに応じた大きさの孔を具える。バッフルの径は通常5ないし30インチ(12.7〜76.2cm)の間の範囲である。4つ孔バッフル42が好ましいが、NOXの減少を最大にするバッフルとして6、8、9および12孔のバッフルもまたNOXを減少し、それ故また第2図の蓄熱バーナ30に組み込むことができる。
再び第2図を参照すると、バーナ30は組立てられた外部金属ケース(図示せず)によって構成されており、適当な断熱材で充分に断熱されている。燃料管路ノズルは金属を含む標準の材料で組み立てられており、このような金属構造物は適当に断熱され、または充分に露出している場合(第2及び第5図参照)には空気冷却され、あるいは他の実施態様においては耐火物中に埋没されまたはそれによって覆われる。蓄熱ベッド38の組み立てに用いられる適当な材料は当該分野において既知である。
第3図は開口ブロック52と開口54を有するバーナ50の部分図である。空気吸込部と蓄熱ベッドは前記の態様と同一であり、それ故にそれらの構造は第3図に詳細には示されていない。燃焼には燃焼孔56によって燃料が供給され、該孔は図示する傾いた態様で開口54に燃料を噴射する。(耐火物で囲まれた燃料孔に代えて、通常の燃料路とノズルを用いてもよい。)2つの燃料孔56が第3図に示されているが、例えば均等な間隔の同心平面上の配列である4、6、8または10個の燃料孔を含む追加の燃料孔を設けてもよい。前方に傾いた燃料孔は、NOXを抑えながら、燃焼ガスが初期(第1段)燃焼域に戻る再循環を引き起すように機能する。燃料の噴出はまた燃焼空気を伴送して燃料と空気の混合を促進し炎の形状と特性に影響を及ぼす。
この設計は、炎の形状と特性を特定の条件に適合させて変えるように、個々の燃料噴射の角度を方向について変えることができる。該噴射の数と配置(バーナの中心線に対する角度と回転角度)は、炎の形状および特性、ならびにNOX抑制の程度を制御するために変化させることができる。図示される複数の噴射配列は供給マニホルドと各噴射口との間の個々の自動化された遮断弁と共に用いられ、燃料の必要が減少した際に伴送エネルギーと混合エネルギーを維持するように噴射の数を減少できる付随的な利点を与える。例えば、6噴射配列は、残りの使用されている噴射の最大噴射エネルギーを維持しながら、2噴射を遮断して2/3流量に、4噴射を遮断して1/3に減少できる。第3図に示すように向い合う燃料孔56は相対的に90°の角度で燃料を吹込むが、吹込みはバーナの中心線に対して約30°ないし約150°の間の相対角度において効果的であり、また吹込み点に対して第2の角度を設けることにより回転運動を与えてもよい。
第4および5図は、燃焼が段階的である低NOX蓄積バーナの別の態様を示す。第4図のバーナにおいて段階的な燃料導入は段階的な燃焼を達成し、第5図のバーナにおいて段階的な空気導入は段階的な燃焼を生ずる。先づ第4図を参照すると、バーナ60は、蓄熱ベッド61と開口62を有し、第1段燃料孔64と第2段燃料孔66を有する。第1段燃料孔64への燃料の供給は、燃料の30〜70%が該第1段燃料孔64によって吹込まれるように制限される。第2段燃料孔66は、第1段燃料孔64と開口62との間に位置し、燃料(30〜70%)の残りを燃焼場所に吹込む。段階的燃焼のための燃焼空気は蓄熱ベッド61を経て入る。この2段階配列は、対をなす孔64,66によって引き起こされる燃焼ガスと燃焼空気との伴送の結果としてだけでなく、第1段階の燃焼場所に充分に過剰な空気が存在する結果として、これは初期燃焼領域の温度を低下しNOXの生成を抑制する、NOXの生成を減少するように機能する。2個の燃焼孔の2組が夫々、前記第3の態様の目的のために図示されるが、2段階燃焼の各々における2個の燃焼ノズルより多く、好ましくは均等な間隔で同心円平面状の形態で用いてもよい。他の態様に関し、バーナ60は、炉内の流れが逆転した時、煙道として機能するように適合させられている。
第5図を参照すると、段階的な燃焼空気により段階的な燃焼を行うバーナの必要な部分が図示されている。蓄熱ベッド72を有するバーナ70は燃焼路80、燃料ノズル(何れも耐火物中に埋設され、または断熱されまたは空気冷却されている)および開口78を具えている。蓄熱ベッド72を経てバーナ70に流入する燃焼空気は第1空気通路74および第2空気通路76の手段によって2段階に燃料と混合する。第1次および第2次燃焼は、第1空気通路74を通過する、燃料ノズル82の位置で30〜70%の燃焼空気の初期供給量によって達成される。燃焼空気の残りの30〜70%は開口78における第2次燃焼を行うように第2空気通路76を通して流れる。この段階的空気供給燃焼手段は初期(第1次)燃焼領域での燃焼過多で燃焼させ、炎の温度を下げ、NOXの生成を抑制する。
好適な構造は空気の段階的供給構造がそれが曝される高温に応じて適切なセラミックで造られたものである。空気孔76の配列は、孔の数、長さ、方向および回転角度に関し最小のNOXを生成し、かつ炎の形状と特性を制御するように調整することができる。第4図に示される空気流構造と比較して、第1および第2空気通路74,76を通過する相対的に一層制限された空気流にもかかわらず、前記二つの態様は蓄熱システムでの使用に適しており、両バーナは、炉内の流れの方向が逆転した時に煙道として機能することができる。第1図に示す構成によりファン口で混合(汚染)された空気は、第2図、第3図、第4図および第5図に記載される態様に適用することができ、これはこれらの態様のみによって可能な水準以下にNOXを実質的に抑制する。
第6図から第10図(および同様に第1図)は、燃焼生成物による燃焼空気の混合によりNOXの生成を抑制する種々の方法を示す。第6図を参照すると、本発明の実施態様が図示されており、ここでは空気取入口94と蓄熱ベッド92を具えたバーナ90に6個の燃料管96、6個のベンチュリー98および6個の混合(汚染)ダクト100が取付けられている。このバーナ90は開口101を通じて炉室に延びている。この求心的配置の燃料管96の全部によって、燃料はバーナ耐火物中のそれぞれのベンチュリー98を通じてバーナに供給される。燃料管96からの高圧燃料の噴射はベンチュリー98に負圧領域を生じ、この負圧領域は炉ガスを炉室から混合ダクト100を通じて燃焼領域へ戻るように誘引する。このような燃焼生成物の再循環は燃焼中の炎を冷却し、NOXの生成を減少させる。もし必要なら、燃料ガスが燃料管96を通じて全く流れず、循環が中断している間、冷却を維持し、かつ、帯留するガス状の炭化水素の分解(クラッキング)を防止するために、少量の燃焼空気および/または再循環された燃焼生成物をバーナ90に通じることができる。バーナ90は逆流時に煙道として効果的に機能する。
第6図には図示しないが、所望ならば、混合管100、ベンチュリー98ないし求心配置燃料管96または前向きまたは後向きの角度をとることができ、あるいは燃料および誘引される燃焼生成物との双曲面流(hyperbolid stream)を生ずる接線方向の部材を具えることができる。この角度と放射状の部材はそれぞれの応用に適するように個別に構成される。これらの変更例は、特定の用途に適するように炎の外形と幾何形状を変更するために用いることができる。これらのあるものは、第2、3、7、9及び10図に関して実施することができる。
第8図は第6図中VIII-VIII線に沿った断面図である。6個の均等な間隔の求心配置燃料管96とそれぞれベンチュリー98は、”平面同心”の配列において明瞭に図示される。
第7、9および10図は、NOX抑制のために燃焼空気が再循環される他の態様を表す。第7図は空気取入口114を具えた蓄熱ベッド112と連続するバーナ110を表す。バーナ110は、前述の実施態様と同様に、ベンチュリー120、122および混合(汚染)ダクト124を有するが、これらの構成に図示するように第1および第2求心配置燃料管路116,118を付加している。第1求心配置燃料管路116は第1ベンチュリー120の内部に配設され、複数の求心的燃料空気流を形成する。第2求心配置燃料管路118は第2ベンチュリー122の内部に配設され、それぞれのべンチュリー中の燃料流によって生じる圧力現象(負圧領域)は本発明の前記実施態様によって生ずると同様に燃焼生成物を混合ダクト124を通じて後方に誘引するように作用する。更に、第1求心配置燃料管路116と第2求心配置燃料管路118との間で、炎の形状と特性を制御するために燃料を段階的にしてもよい。燃焼生成物のバーナへの再循環はNOXを最少にすることに寄与する。より詳細には、燃料の多段化‥‥‥および燃焼生成物の対応する再循環‥‥‥における変動に伴う流れの衝突は炎の幾何形状を適切に決定できる乱流レベルを形成する。
第9図は第7図に示される態様に類似した関連態様を示す。バーナ130は蓄熱ベッド132に続く空気取り入れ口134を具える。燃焼は第1求心配置燃料管路136と第2求心配置燃料管路138の手段によって行われる。直接接触する第1および第2求心配置燃料管路136,138の各組は、30°より大きい相対角度、例えば図示するように45°の相対角度で燃焼を集中させる。噴射された燃料の衝突は、各ノズルを出る燃料の量の変動と共に、炎の幾何学形状を適切に定めることのできる乱入レベルを形成する。集中室140それ自体は燃焼生成物の再循環を誘引せず、前記態様の目的のために、空気取り入れ口134を経由する燃焼空気は、後に変更して開示されるように第1図に概略的に示される再循環手段を含むがこれに限定されない適当な流路手段(図示せず)を経由して再循環された燃焼生成物と混合(汚染)される。
第10図を参照すると、バーナ150に入る燃焼空気は図示されるように空気取り入れ口152に続く蓄熱ベッド154を最初に通過する。直線状の燃料管路156は同軸の環状燃料管路158と組をなす。(環状燃料管路158は、図示しないが、所望により有孔環状ノズルを有する。)組み合わされた同軸の燃料管路は、同軸の流れを生じ、それぞれのベンチュリー160に至る。この同軸燃料管路は明らかに同軸の燃料/燃焼流を形成するが、燃料/空気および燃料/燃焼生成物の流れもまた本発明を含む本技術の範囲内において意図される。同軸流はベンチュリー160は負圧領域を形成し、これは逆に混合(汚染)ダクト162を経た炉からの燃焼生成物の再循環を誘引する。本発明の第8実施態様の目的のために、環状燃料管路158を出る流体は最も好ましくは、その中のエネルギー源を有する低圧冷却空気であり、これはその構造安定性を促進するために冷却媒体を直線状の燃料管路156に供給する。(低圧冷却空気エネルギー源は本技術の他の態様にも用いられる。)既に述べた態様についてと同様に、燃焼生成物の再循環はNOXの生成を抑制する。
ここに図示した本発明を含む本技術のあらゆる態様において、示された位置に複数の、放射状に配置された燃料ノズルが設けられる。さらには、燃料ノズルを出る燃料の収束および/または伴送は、概ね30°から約150°の燃料ノズル収束角度によって達成される。これらの蓄熱システムに用いられる典型的な燃料はガスまたは石油である。耐火物は当分野において周知であり、概ね個々の方法の適用について要求される仕様に従って製造されたセラミック組成物である。
第11図および第12図に示される本発明の実施態様において、燃焼生成物(POC)を含有する高温排気ガスは離れた設置されたファン手段(図示せず)によって生じた強制あるいは誘引された流の影響によって炉内部210を出て第1ダクト212を経由しバーナ204の非燃焼排気状態にあるバーナ室214に入る。流体圧力あるいは高圧エネルギー源、これは空気、POCまたはガス状燃料を含む、は供給管路220を通じて吸引され、好ましくは高速でノズルを通じ、そこに連通している燃焼室214に放出される。ノズル222は中間連結ダクト224の長手方向軸と同軸に一直線状に設けられている。ダクト224はその端部が隔てられた左右のバーナ204,204′のバーナ室214,214′に連通している。中間連結ダクト224は好ましくは第12図および第15図に示すようなバーナ室214,214′の側壁から分岐する。ノズル222から放出された高流速ガス流はバーナ室214に流入する高温排気ガスを部分的に誘引する。このように誘引された高温排気ガスの部分は高速ガス流に合流され、中間連結ダクト224を通じて流れる。高運動エネルギーがノズル222を出るガス流に付与され、これはこのガス流および左側バーナ204から右側バーナ204′へ中間連結ダクトを通じて補助ファンやブロアの必要なしに運ばれる排気ガス部分を移動するのに充分である。
炉206の第1ダクト212から排出されバーナ室214に入る高温排気ガスの大部分は、既知の構造を有する左側の蓄熱ベッドまたは蓄熱器216を通じて下向きに流れ、これらは排気ガスからかなりの熱量を引き出し燃焼サイクルが逆転したときに後で燃焼空気を予熱するために蓄熱する。第12図に最適に示されるように、冷却された排気ガスはダクト218の経路から蓄熱ベッド216を出て弁組立体230の開口226を通じて排気される。回転可能が弁板232は冷却された排気ガスを弁230の排気口226に向かわせ、同時に冷却燃焼空気を開口228の経路から内部に誘く。燃料空気口228は、負圧流状態のとき直接大気に開してもよく、また、全て既知の加圧、ファン駆動システムに接続してもよい。冷却燃焼空気は弁230を通過してダクト218′に入り予熱された蓄熱ベッド216を通じて上向きに流れる。蓄熱ベッド216′に蓄積された熱は流入してくる燃焼空気を予熱するのに費やされ、これは右側のバーナ室214′のバーナ204′に入る。ノズル222からの高速ガス流とこれに随伴された高温排気ガスは、中間連結ダクト224を出てバーナ室214′に入り、ここで予熱された燃焼空気と混合し、その酸化物水準を低下することによって燃焼空気流を汚染ないし希釈する。達成される混合(汚染)の程度は、供給管路220とノズル222を通じて導入された高速ガス流の流量と流速によって制御される。例えば、燃焼空気流の混合は、右側バーナ204′のバーナ室214′を出る混合された空気とガス流について測定した場合、約15%から約21%の間の範囲に制御される。
図示する燃焼状態を通じて、燃料は右側バーナ204′の内部にある燃料管路205′を通じて導入される。少量の流入した外部空気が、右側が燃焼状態の間、これらの部分を冷却するために供給管路220′とノズル222′を通じて好適に流される。同時に右側が燃焼状態のとき、左側の燃料管路205もそこを流れる少量の外部清浄空気やPOCの流れによって好適に冷却される。
初期燃焼は右側バーナ204′のバーナ燃焼室214′で開始し、炉の開放内部210あるいはダクト212′に接続している熱放射管215の内部の燃焼室にダクト212′を通じて拡がる。耐火断熱材234,234′の層はダクト212,212′を包み込み、支持構造208または放射状管215を燃焼の高温から保護している。断熱材236の層はまたバーナ204,204′蓄熱ベッド216,216′および中間連結ダクト224の周囲に好適に用いられ、熱損失を最少にする。外側の保護金属表面238は不注意な損傷に対して断熱材層236を保護するために設けられている。
右側の燃焼状態サイクルは、POCを含有する排気ガスが左側バーナ204の第1ダクト212の燃焼室を通じて炉216を出ることにより達成される。前述したように、これらの排気ガス部分は蓄熱ベッド216を通じて流れる残余部分と共に中間連結ダクト224に誘引される。冷却された排気ガスは、負圧流システムによって設けられた吸引管に流出されるか、あるいは燃焼空気口228が加圧空気供給システムの影響下にあるとき煙道に開口する排気口226に連通する該煙道に流出される。
所定時間経過後、燃焼方向は図示される右側状態から左側状態に逆転される。燃焼/排気ダクト212,212′におけると同様に、ダクト218,218′及び224における燃焼空気と排気ガスの方向は第11、12図に示す方向さら逆転される。左側バーナ204が燃焼状態の時、弁板232は想像線232′に示す位置に回転され、該弁板は蓄熱ベッド216における予熱のために冷却燃焼空気をダクト218を通じ上方へ向ける。この状態で、弁板232′はダクト218′から出る冷却された排気ガスを同時に排気口226を経て排気煙道に向ける。
本発明の基本構成を具体化する僅かに変更された装置240が第13〜15図示される。該装置204は、燃料流が中間連結ダクト224から出る排気ガスの渦流に接線方向から導入される以外は概ね前述と同様の態様で作動する。第5図に示すように、ノズル222からの高速ガス状の噴流は排気ガス流の一部をチャンバ214から中間連結ダクト224へ誘引する。チャンバ214側壁のダクト224の接線方向取入口とダクト224のノズル222の同軸配列はチャンバ214中の排気ガスに渦流を形成し、これはノズル222からの高速ガス流によってダクト224を通過するように誘引された高密度高温POCの外層を形成する。このPOC密集層を渦流化する特徴はまた第11、12図の実施態様においても達成される。第14図に示すように複数の燃焼導管205’な複数の燃料流をチャンバ214’に接線方向から供給し、更に燃焼混合物に所望の渦流を与える。燃料は入口ダクト209およびバーナ室214’を囲む連通環状マニホルド207’の経路を経て導管205’に供給される。
燃焼空気を処理(汚染)するために燃焼プロセスに循環された排気ガス/POCは炉室に入るガスとほぼ等しい温度である。結果的に、蓄熱器216、216’の大きさは仮に該蓄熱器に入る流れについて混合(汚染)が行われるならそれより充分に小さくてよい。更に蓄熱器に直接混合空気を用いるものに比較して、自己混合(汚染)排気ガス/POC流がバーナ室214、214’に噴射されたとき約180°F(1067℃)から2000°F(1112℃)の温度であるという事実によって、循環効率が向上する。これらの明確な経済的利点が達成される一方でNOX抑制の望ましい生態的目標が達成される。
本発明は特定の材料および実施態様に関係して説明されたが、本発明は付随する特許請求の範囲に記載された限りにおいてのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
第1図は、炉を2つの低NOX蓄熱バーナの概略図であり、ファン入口の空気を混合(汚染)する方法を示す。
第2図は、バーナバッフルを有する低NOX蓄熱バーナの本発明に関連する参考態様の断面図である。
第2a図は、第2図中2a-2a線に沿った断面図、
第3図は、燃焼空気と燃焼ガスとの伴出のための燃焼噴射ノズルを有する蓄熱バーナの本発明に関連する別の参考態様を示す断面図、
第4図および第5図は、段階的な燃焼のために用いられた2つの蓄熱バーナの断面図、
第6図は、燃焼生成物によって燃焼空気が混合(汚染)される蓄熱バーナの本発明に関連する別の態様の断面図、
第7図および第9図は集中ノズルの組を具えた蓄熱バーナの態様の断面図、
第8図は、第6図中VIII-VIII線に沿った断面図、
第10図は、第1及び第2の同心状の流れ(燃料/燃料、燃料/空気、燃料/燃焼生成物)が燃焼領域に導入される蓄熱バーナの第3の実施態様の断面図、
第11図は、本発明による対になった加熱蓄熱バーナシステムの概略平面図、
第12図は、第11図に表わした本発明の実施態様の正面概略図、
第13図は、燃料送給の異なった様式を有する対をなすバーナ型式における本発明の他の実施態様の概略平面図、
第14図は、第13図中XIV-XIV線に沿った、燃料噴射マニホルドの横断面図、
第15図は、第3図中XV-XV線に沿った、ガス噴射左側バンクバーナ室と内部連通ダクトの部分横断面図である。
図面中、
10……蓄熱システム、12……炉室
30,60,70,90,110,130,150,204……蓄熱バーナ
18,38,61,72,92,112,153,154……蓄熱ベッド
32,82……燃料ノズル、42……バーナバッフル
40,96,116,118,136,138,156,158……燃料管路
56,64,66……燃料孔
98,120,122,160……ベンチュリー
100,124,162……混合(汚染)ダクト
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2003-03-12 
結審通知日 2003-03-17 
審決日 2003-04-08 
出願番号 特願平1-19940
審決分類 P 1 122・ 121- ZD (F23C)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 和泉 等佐藤 久容長谷川 吉雄  
特許庁審判長 橋本 康重
特許庁審判官 粟津 憲一
原 慧
登録日 1997-02-13 
登録番号 特許第2608598号(P2608598)
発明の名称 蓄熱バーナにおけるNOxの生成を抑制する方法と装置  
代理人 佐野 邦廣  
代理人 三觜 晃司  
復代理人 福村 直樹  
復代理人 佐野 邦廣  
代理人 福村 直樹  
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