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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 F04C 審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 F04C |
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管理番号 | 1091394 |
異議申立番号 | 異議2002-72414 |
総通号数 | 51 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1994-11-01 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-10-02 |
確定日 | 2003-10-29 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3271365号「スクロール圧縮機およびそのチップシール」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3271365号の請求項1ないし4に係る特許を取り消す。 |
理由 |
【1】手続きの経緯 本件特許第3271365号の発明についての出願は、平成5年4月26日に特許出願されたものであって、その請求項1〜4に係る発明は、平成14年1月25日にその特許権の設定登録がなされたものである。 そして、本件の請求項1〜4に係る特許に対して、大同メタル工業株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成15年2月28日に訂正請求がなされたが、その後、当該訂正請求を認めた上で、平成15年5月26日付けで新たな取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたところ、特許権者からは何らの応答もなかったものである。 【2】訂正の適否についての判断 ア.訂正の要旨 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に記載される「巻き始め端部」を、「巻き始め側端面」と訂正する。 (2)訂正事項2 上記訂正事項1に伴って、願書に添付した明細書の段落[0008]に記載される「巻き始め又は巻き終り端部」(特許公報第3欄第37〜38行参照)を、「巻き始め側端面」に訂正する。 (3)訂正事項3 上記訂正事項1に伴って、願書に添付した明細書の段落[0019]に記載される「巻き始め端部」(特許公報第6欄第21行参照)を、「巻き始め側端面」に訂正する。 イ.訂正の目的の適否、拡張・変更の存否、及び新規事項の有無 (1)上記訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とする明細書の訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、かつ、新規な事項を含まない。 (2)上記訂正事項2、3は、上記訂正事項1に伴って、発明の詳細な説明の記載を特許請求の範囲の記載に整合させるものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とする明細書の訂正に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、かつ、新規の事項を含まない。 ウ.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法改正前の第126条第1項ただし書き及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 【3】本件発明 前述したように、上記訂正請求による訂正は認められたから、その訂正明細書の請求項1〜4に係る発明(以下、「訂正発明1〜4」という。)は、訂正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】鏡板と渦巻き状のラップとを有する固定スクロールと、この固定スクロールに向かい合って噛み合う鏡板と渦巻き状のラップとを有する可動スクロールと、前記スクロールのラップの先端面に、鏡板に対向して設けられた溝内に収納される、スクロール圧縮機のチップシールであって、熱可塑性樹脂材料からなり、射出成形のゲートを前記チップシールの巻き始め側端面に設けたことを特徴とするチップシール。 【請求項2】熱可塑性樹脂をベースとして、強化材としてフィラーを添加したことを特徴とする請求項1に記載のチップシール。 【請求項3】請求項1または2記載のチップシールを備えたスクロール圧縮機。 【請求項4】請求項1または2記載のチップシールを備えたスクロール圧縮機であって、前記チップシールのゲート部端部に対応する、ラップの先端面に設けられた溝の長さを、チップシールの長さより延長したことを特徴とするスクロール圧縮機。」 【4】平成15年5月26日付けの取消の理由の概要 「本件訂正発明1〜4は、以下の刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、訂正発明1〜4についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。 したがって、本件訂正発明1〜4の特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認められる。」 (引用刊行物) 刊行物1:特開平4-5492号公報(甲第2号証と同じ) 刊行物2:特開平4-35921号公報 刊行物3:実願昭62-161371号(実開平1-67017号)のマイクロフィルム 【5】引用刊行物の記載事項 刊行物1には、「スクロール圧縮機のチップシールにおいて、チップシールが、強化材としてフィラーを添加した熱可塑性樹脂材料からなり、射出成形のゲートを前記チップシールの巻き始め部に設けた」ことが記載されているものと認められる。 刊行物2には、その第2頁左下欄第2行〜第3頁右上欄第15行の記載からみて、「ヘリカルブレード式圧縮機において、ブレードの射出成形のゲート部を、シリンダの内周面や溝部側面とシール関係を保つブレードの外周面及び側面に設けないことにより、ゲート部突起の後加工(除去)に伴って生じるシール面の精度に対して影響を与えないようにする」という技術事項が記載されているものと認められる。 刊行物3には、「同一断面形状を有する樹脂成形品の端面である断面端部に射出成形のゲートを設ける」ことが記載されているものと認められる。 【6】判断 (請求項1〜3) 訂正発明1〜3と上記刊行物1に記載された発明とを対比すると、 「鏡板と渦巻き状のラップとを有する固定スクロールと、この固定スクロールに向かい合って噛み合う鏡板と渦巻き状のラップとを有する可動スクロールを備えたスクロール圧縮機において、前記スクロールのラップの先端面に、鏡板に対向して設けられた溝内に、チップシールを収納する」ことは、例えば、特開平4-262087号公報(甲第1号証と同じ)等に記載されるように、当業者にとって技術常識に匹敵する程度のよく知られた事項にすぎないから、 両者は、以下の点で相違し、その余の点で一致するものと認められる。 相違点; ・訂正発明1〜3が、射出成形のゲートをチップシールの巻き始め側端面に設けたものであるのに対し、刊行物1記載の発明は、射出成形のゲートをチップシールの巻き始め端部に設けたものである点。 そこで、上記相違点について、以下検討する。 (a)刊行物1に記載された発明、及び、刊行物2記載の技術事項は、共に、圧縮機のシール部材という同一の技術分野に属するものであり、また、(b)圧縮機のシール部材において、射出成形のゲートの位置によってシール面が損なわれるという技術事項が記載された刊行物2に接した当業者にとって、スクロール圧縮機のチップシールのシール面に射出成形のゲートを設けないようにすることは容易に想到し得るものであるから、刊行物1記載の発明の射出成形のゲートの設けられる好ましい位置は、チップシールの圧縮圧力が作用する側の側面と下面、及び、端面の3ケ所に限られることを、容易に想到し得るものと認められる。 このことを換言すれば、刊行物1及び2に接した当業者が、チップシールに対する射出成形のゲートの位置を決定する設計時に、これら3ケ所のいずれかの面にゲートを設ける必要があると想到することは、きわめて自然のことであるといえる。 そして、同一断面形状を有する樹脂成形品の端面である断面端部に射出成形のゲートを設けることは、上記刊行物3に記載されており、また、刊行物1記載の発明のチップシールの端面に、射出成形のゲートを設けることを妨げる特段の事情が存在するものとは何ら認められない以上、刊行物1記載の発明のチップシールの巻き始め端部に設けられたゲートを、単に、(シール面でない)巻き始め側端面にすることは、当業者が容易になし得る程度のものというべきである。 そして、訂正発明1〜3の構成によってもたらされる効果も、刊行物1〜3に記載された発明から、当業者であれば予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 したがって、訂正発明1〜3は、刊行物1〜3に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。 (請求項4) スクロール圧縮機において、チップシールがラップ先端面の溝内を摺動し、当該溝とチップシールの間にクリアランスが存在することは、当業者にとって技術常識であることを鑑みれば、訂正発明4は、刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。 【7】むすび 以上のとおりであるから、訂正発明1〜4についての特許は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件訂正発明1〜4の特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 スクロール圧縮機およびそのチップシール (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 鏡板と渦巻き状のラップとを有する固定スクロールと、この固定スクロールに向かい合って噛み合う鏡板と渦巻き状のラップとを有する可動スクロールと、前記スクロールのラップの先端面に、鏡板に対向して設けられた溝内に収納される、スクロール圧縮機のチップシールであって、熱可塑性樹脂材料からなり、射出成形のゲートを前記チップシールの巻き始め側端面に設けたことを特徴とするチップシール。 【請求項2】 熱可塑性樹脂をベースとして、強化材としてフィラーを添加したことを特徴とする請求項1に記載のチップシール。 【請求項3】 請求項1または2記載のチップシールを備えたスクロール圧縮機。 【請求項4】 請求項1または2記載のチップシールを備えたスクロール圧縮機であって、前記チップシールのゲート部端部に対応する、ラップの先端面に設けられた溝の長さを、チップシールの長さより延長したことを特徴とするスクロール圧縮機。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、空調機、冷凍機等に用いられるスクロール圧縮機に関するもので、特にスクロールラップに取り付けられるチップシールに関するものである。 【0002】 【従来の技術】 図5に一般的スクロール圧縮機の構造を示す。その圧縮原理は固定スクロール2aと可動スクロール2bの2つの部材を組み合わせ圧縮室27aを形成し、外周より取り込んだ冷媒ガスを徐々に内側に向け容積を縮小していき、圧縮する原理のものである。圧縮室を形成するスクロールラップ28,29の頂部には一般的にシールのためチップシールが挿入されている。このチップシールは一般に四角形の断面を持ちシール溝に収納され、上下に自在に移動可能となっている。その平面図は図6に示すようにスクロールラップと相似の渦巻形状をしている。一般にチップシールに使用される材料はシール性と耐摩耗性を要求されるため、特殊な樹脂材料が多い。テフロン系材料の場合射出成形ができないため、打ち抜き成形をしている。しかしながら廃棄する面積が多いため、コストの高いものとなっている。そこで、射出成形可能な材料の採用が一部ではなされているが、その射出成形ゲート位置は細長形状であるため一般には図6の矢印Cの位置(全長のほぼ中央)に設けられている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 このようなゲート位置ではゲート部を溝形状に沿って精度良く取り除かないとチップシールが溝にひっかかって機能しなくなったり、溝に入らなかったり、ゲート部のバリ等を取り除くためのコストがかかってしまう。 【0004】 又、ゲート部より左右に樹脂が分かれて流れるため樹脂の流れによどみができ、この部分の強度が弱くなる特にフィラーの入った樹脂では顕著となる。 【0005】 又、チップシールの形状はミクロン単位の精度が必要なため、樹脂成形時の収縮、変形を考慮して金型を設計加工しなければならない。 【0006】 又、ゲート付近とゲートから離れたところの修正量が違うため、複雑な修正が必要となり正確な形状のチップシールが得られにくい。 【0007】 この発明はこのような問題を解決するためになされたもので、チップシールの成形性、金型修正、高精度のものを得ることを目的とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するために本発明は、チップシール材を熱可塑性樹脂材料とし、射出成形のゲート位置をチップシールの巻き始め側端面に設け、ゲート部端の溝を長くしたものである。 【0009】 【作用】 本発明は、チップシール材を熱可塑性樹脂材料を使用し、射出成形のゲート位置をチップシールの端部に設けることにより、一様な樹脂の流れになるため強度的な欠陥がなくなる。 【0010】 又、成形時の収縮変形を考慮する金型修正がゲート位置が端部にあるため巻き角度に対して一様な修正で良く、比較的容易に高い精度のチップシールが得られる。 【0011】 又、溝長さをチップシールより少し長くすることにより射出成形のゲート部にバリ等が多少残ってもひっかかることがない。そのため、チップシールがシール性を発揮しないことがない。又、ゲート部のバリ等が容易に取り除けるためコストが安くなる。 【0012】 【実施例】 以下図面を参照しながらこの発明の一実施例を説明する。 【0013】 図5はスクロール圧縮機の縦断面図、図1は本発明の一例のチップシールを示す。A,Bの矢印はそのゲート位置を示す。図2は本発明の一例のチップシールを溝に収納した図であり、図3はゲート部端付近の拡大図,図4は本発明のチップシールを溝に収納した縦断面図である。 【0014】 図5において、密閉容器1の内部には、固定スクロール2aと固定スクロール2aに対して旋回運動する可動スクロール2bを噛み合わせた圧縮機構2と、可動スクロール2bを支えるスラスト軸受3、スラスト軸受3を支承する軸受部品4を上部に設けている。そして可動スクロール2bの軸2cをクランク軸5の端部5aに設けられた穴部5bの偏芯軸受6に挿入して可動スクロール2bをクランク軸5により旋回運動させる。クランク軸5には電動機7の回転子7bが取り付けられており、密閉容器1に焼き嵌め固定された固定子7aとともに軸受部品4の下部に配設されている。クランク軸5は、軸受部品4の主軸受8と電動機の下方で密閉容器1に固定された軸受支持部品25に圧入固定された副軸受23とで支えられている。密閉容器1の下方底部には潤滑油9を貯溜する油だめ10が設けられている。また密閉容器1の側部にはガスの吸入管11が設けられている。そして油だめ10に吸入側のガス圧力が作用する構成となっている。前記軸受部品4には主軸受8、偏芯軸受6、スラスト軸受3を潤滑、冷却した潤滑油9を排出する油排出口12が設けられている。クランク軸5には潤滑油9を各軸受部、即ち主軸受8、偏芯軸受6、スラスト軸受3へ供給する貫通穴13を設け、かつクランク軸5の下端には油ガイド14を圧入または、焼き嵌め固定して取り付け、潤滑油9を吸い上げるようにしている。15は密閉容器1の一部である上シェル1aと固定スクロール2aとの間に設けられた吐出チャンバーであり、圧縮機構2で圧縮されたガスを一時的に溜めて吐出マフラの役目をする。16は密閉容器1の外へ圧縮ガスを出す吐出管であり、吐出チャンバー15内の高圧ガスと油だめ10に作用する低圧ガスとはスペーサー17とで仕切られており、スペーサー17を介して固定スクロール2aと軸受部品4とがボルトで連結されている。このスペーサー17は、その全周が密閉容器1に溶接固定されている。18は固定子7aに設けた切り欠き部で、油排出口12から排出された潤滑油9を油だめ10に戻す。19は停止時に可動スクロール2bが逆転するのを防ぐための逆止弁、20は可動スクロール2bを固定スクロール2aに対して旋回運動させるための自転防止用のオルダムリング、21は圧縮機構2へ低圧ガスを吸い込ませる軸受部品4に設けた吸入口である。ここで、前記下部副軸受支持部品25は下部副軸受23の支持と油だめ10のふたの役目を果たしており、起動時等の過渡状態における潤滑油9の中に溶解された冷媒(図示せず)による発泡を効率よく押さえる作用を果たしている。 【0015】 吸入管11から密閉容器1内に流入した吸入ガスは吸入孔21より圧縮空間27に入る。圧縮空間27は前記固定スクロール2aと前記可動スクロール2bとはこれらのスクロールで形成され、吸入した冷媒ガスを外方から内方に向かって次第に縮小、圧縮させる。この圧縮された冷媒はラップ28,29の先端面に設けられた溝30,31内に収納されたチップシール26a,26bにより高圧側の圧縮空間27aから低圧側圧縮空間27bへリークしないようにしている。そして、この圧縮された冷媒は固定スクロール2aの鏡板2dの吐出孔32から吐出管16を介して密閉容器1外に吐出される。 【0016】 チップシール26a,26bは、ラップ28,29の溝31,32内に収納されており、圧縮空間27内の高圧側のガスをこの溝内に流入させ、その力で浮上し、相手方鏡板2d,2eに密着する。これによりチップシール26a、26bはラツプ28,29に対向した鏡板2d,2eとの間でシール性を確保している。このようにチップシールは溝内をすみやかに浮上し、シールさせる作用をするため、高い形状精度が要求される。 【0017】 チップシール材料を射出成形によって作成した場合、必ず樹脂原料を注入するゲートが必要となる。本発明では図1に示すごとくチップシールの巻き始め部B又は巻き終り部Aに位置させる。ここではゲートをBにおいた場合を述べる。溶融した樹脂原材料はBより製品金型に注入される。選定される樹脂材料は本来の機能である耐熱性、耐摩耗性以外に、細長い金型内を流れるため湯流れ性が要求される。樹脂材料として代表的なものは、PPS,液晶ポリマー,PEEK等をベースとし、これに耐摩耗性の向上、強度アップを兼ね種々の添加物が入れられている。特に、SiC、カーボン等のフィラーを入れた場合、Bより射出された原材料がAに向かって一様に流れるため、フィラーの向きも一様にそろい、強度的に安定となる。さらにBより射出された樹脂の固化はBからAまで冷却の度合が異なるため、ミクロン単位ではその収縮率が異なる。しかしながらその値はBからAに向かってほぼ一様となり製品の精度をだすための金型修正の値はBからAに向けて一様となり、修正がしやすい。 【0018】 成形されたチップシールには図1に示すように、そのゲート位置にゲート残在部26cが残り易い。若干の残在部26cがあっても図3に示すように、チップシール端部に対し、チップシールの溝の長さをやや長くすれば、残在部26cは溝内に収納され、チップシールの収納性および溝内での上下運動を阻害することがない。したがってサイドにゲートをもっていたのに比較して、きびしい精度でゲートカットする必要がなく、安価にチップシールが作成できる。またゲート残在部が収納される溝の延長部分の壁の両側は圧力差が存在する時間は短く、シール性が損れても、性能にほとんど影響しない。このことは、ゲートを巻き始め部Bにおいた場合も同様である。 【0019】 【発明の効果】 本発明は上記説明から明らかなように、ラップの先端面に設けられた溝内に収納されるチップシール材を熱可塑性材とし、射出成形のゲートを前記チップシールの巻き始め側端面に設けたもので、射出成形時の樹脂の流れが一様になり、金型補正が容易となるため高精度の製品が得られ、シール性が向上するとともに、特にフィラーを含む樹脂では強度が向上し、信頼性が増す。さらにゲート部に相当する溝部を長くすることにより、きびしい精度でのゲートカットをしなくても、チップシールの機能を充分に発揮できるため、安価で性能信頼性の高い圧縮機が実現できる等の効果が発揮される。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の一例を示すチップシール平面図 【図2】 本発明チップシールの溝への収納図の平面図 【図3】 図2巻き終わり部の拡大平面図 【図4】 本発明チップシールの溝への収納図の縦断面図 【図5】 スクロール圧縮機の縦断面図 【図6】 従来のチップシールの平面図 【符号の説明】 2a 固定スクロール 2b 可動スクロール 2c,2b 鏡板 26a,b チップシール 28,29 ラップ 30,31 溝 A,B,C ゲート位置 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2003-09-08 |
出願番号 | 特願平5-99171 |
審決分類 |
P
1
651・
851-
ZA
(F04C)
P 1 651・ 121- ZA (F04C) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 尾崎 和寛 |
特許庁審判長 |
西野 健二 |
特許庁審判官 |
清田 栄章 亀井 孝志 |
登録日 | 2002-01-25 |
登録番号 | 特許第3271365号(P3271365) |
権利者 | 松下電器産業株式会社 |
発明の名称 | スクロール圧縮機およびそのチップシール |
代理人 | 佐藤 強 |
代理人 | 岩橋 文雄 |
代理人 | 内藤 浩樹 |
代理人 | 坂口 智康 |
代理人 | 内藤 浩樹 |
代理人 | 坂口 智康 |
代理人 | 岩橋 文雄 |