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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 E03C |
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管理番号 | 1091463 |
異議申立番号 | 異議2003-71021 |
総通号数 | 51 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1999-03-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-04-21 |
確定日 | 2003-11-05 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3335565号「水栓の取付装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3335565号の請求項1に係る特許を取り消す。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3335565号に係る出願は、平成9年9月11日(国内優先権主張 平成9年7月18日)の出願であって、平成14年8月2日に特許の設定登録がなされ、その後、東陶機器株式会社から特許異議の申立がなされ、次いで、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成15年9月8日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の要旨 訂正事項a:特許請求の範囲の請求項1を次のように訂正する。 「【請求項1】 天板の取付孔に取付部材を上部から装着し、該取付部材に水栓本体を固定する水栓の取付装置に於いて、水栓本体の空間部に嵌合する円筒形で天板の取付孔に上部から配置するとともに、その中央に給水管及び給湯管を挿通する通孔を有する台座と、該台座の周縁部に穿設した一対の挿入孔にそれぞれ挿通し、取付孔の下部に突出する雄ねじ部を備えた一対のボルトと、該各ボルトの雄ねじ部に下部から螺着し、ボルトと共に回転可能で取付孔を挿通して天板を下部から挟着する一対の締結具と、前記各ボルトと平行して台座に固定し、前記締結具の回転時に当接して締結具の回転を停止し、天板の下部と締結具の平面部を上下に向かい合わせる一対のストッパーとにより取付部材を構成し、前記台座を天板の取付孔に上部から配置し、各ボルトを締付け方向に操作すると天板下部の各締結具は回転し、まず平面部が天板下部と向かい合う所でそれぞれのストッパーに当接し、次に各締結具はボルトの雄ねじ部に沿って上昇して天板を下部から挟着することで取付部材を天板に装着することを特徴とする水栓の取付装置。」 訂正事項b:特許明細書の段落【0003】を、次のように訂正する。 「そこで、水栓を洗面台や流し台の天板に上部側からだけの作業で容易にかつ短時間に取付けられるようにしたものとして図5のものがある。この図5について簡単に説明すると、洗面台や流し台の天板31に穿設した取付孔32に円筒状の台座33を配置し、該台座33の下部周面は天板31の上部に当てつけることができ、垂直方向に取付孔32を挿通する2本のボルト34を備え、各ボルト34の下部に回転可能な締結具35が保持され、締結具35を取付孔32へ天板31の上部から挿通した後に手を取付孔32へ入れ、締結具35を外方へ回転し締結具35と天板31の下部を向かい合わせ、ボルト34を上部から工具で締付けることで締結具35を天板31に下部から挟着し、続いて水栓本体36を上部から台座33に嵌合し、固定ねじ37により水栓本体36と台座33を強固に結合したものである。」 訂正事項c:特許明細書の段落【0004】を、次のように訂正する。 「上記のものにあっては、ボルトの下部に保持された締結具は、天板の取付孔を挿通した後に手を入れ、外方へ回転して天板の下面と当接するように向きを変え、天板の上部からボルトを締付けることで天板を下部から挟着するものであるが、天板の取付孔に手を入れ、天板を挟着できるように締結具を回転して位置を調節するのに手間がかかるうえ、締結具はボルトの締付けと共に共回りしてしまい、天板の厚みによっては締結具が所定の位置に保持されず、天板を挟着できない状態で台座が固定されてしまう不都合があった。」 訂正事項d:特許明細書の段落【0006】を、次のように訂正する。 「【課題を解決するための手段】 本発明は、天板の取付孔に取付部材を上部から装着し、該取付部材に水栓本体を固定する水栓の取付装置に於いて、水栓本体の空間部に嵌合する円筒形で天板の取付孔に上部から配置するとともに、その中央に給水管及び給湯管を挿通する通孔を有する台座と、該台座の周縁部に穿設した一対の挿入孔にそれぞれ挿通し、取付孔の下部に突出する雄ねじ部を備えた一対のボルトと、該各ボルトの雄ねじ部に下部から螺着し、ボルトと共に回転可能で取付孔を挿通して天板を下部から挟着する一対の締結具と、前記各ボルトと平行して台座に固定し、前記締結具の回転時に当接して締結具の回転を停止し、天板の下部と締結具の平面部を上下に向かい合わせる一対のストッパーとにより取付部材を構成し、前記台座を天板の取付孔に上部から配置し、各ボルトを締付け方向に操作すると天板下部の各締結具は回転し、まず平面部が天板下部と向かい合う所でそれぞれのストッパーに当接し、次に各締結具はボルトの雄ねじ部に沿って上昇して天板を下部から挟着することで取付部材を天板に装着するものである。」 3.訂正の適否 上記訂正事項aに係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正事項b、cに係る訂正は、誤記の訂正に該当し、訂正事項dに係る訂正は、訂正事項aに関連してなされた明りょうでない記載の釈明に該当し、いずれの訂正も、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、上記訂正は、平成11年改正前の特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 4.異議の申立てについての判断 (1)本件発明 上記のように訂正が認められるから、本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記2.訂正事項a参照) (2)引用刊行物記載の発明 これに対して、当審が先に通知した取消理由通知で引用した、特開昭63-312435号公報(異議申立人提出の甲第1号証。以下、「刊行物1」という。)には、4頁右上欄13行〜同右下欄5行「コツク・ハウジング1を有する組合せコツクでは、下側に袋穴12が形成されている。この袋穴12内へ段付きスリーブ3の直径の大きいほうの部分32・・を差込むことができる。コツク・ハウジング1は、その場合、差込み継手11を介して、段付きスリーブ3の突出部分32の上に取付けられ、錠止ピン15又はねじ13によつて組付け位置に固定される。組合せコック用給水管14・・・は、洗面台2の下方から段付きスリーブ3内の穴31に通される。特に第3図から第5図に示されている段付きスリーブ3は直径が小さくなつた部分33を有している。この小直径部分33は、この部分を洗面台2の開口21にはめ込むことができるような寸法にする。・・・段付きスリーブ3は、穴31の区域の、ほぼ直径方向で向い合つた位置に2つの肥厚部を有している。これらの肥厚部内には中心軸線と平行に各1本の締付けねじ35が配置されている。これらのねじ35は、ねじ山を介して各1つの舌状片36と結合されている。組合せコツクを設置するさい、まず、段付きスリーブ3の小直径部分33を中心軸線のほうへ旋回させた舌状片36と一緒に洗面台の開口21内へはめ込む。この状態で、段付きスリーブ3の穴31へ手を差込んで、双方の舌状片36を外側位置へ旋回させることができる。次いで、締付けねじ35をドライバーで締付けて段付きスリーブ3を洗面台2に固く締付ける。」の記載及び第1,3〜5図を参照すると、「洗面台の開口に段付きスリーブを上部から装着し、該段付きスリーブにコツク・ハウジングを固定するコツクの取付装置において、段付きスリーブは、コツク・ハウジングの袋穴に嵌合する円筒形で洗面台の開口に上部から配置するとともに、その中央に給水管を挿通する穴を有する直径の大きいほうの部分と、直径が小さくなつた小直径部分を有し、ほぼ直径方向で向い合つた位置に2つの肥厚部を有していて、これらの肥厚部内の孔には中心軸線と平行で開口の下部に突出する各1本の締付けねじが配置されており、これらのねじの下部には、ねじ山を介して各1つの舌状片が結合されていて、段付きスリーブを、中心軸線のほうへ旋回させた舌状片と一緒に洗面台の開口に上部から配置し、段付きスリーブの穴へ手を差込んで、双方の舌状片を外側位置へ旋回させ、次いで、締付けねじを締付けて、舌状片の小直径部分より延出した部分が洗面台を下部から挟着することで段付きスリーブを洗面台に固く締付ける、コツクの取付装置」が記載されている。 同、実願昭57-121451号(実開昭59-25776号)のマイクロフィルム(異議申立人提出の甲第2号証。以下、「刊行物2」という。)には、ガス栓取着装置に関し、図面とともに、1頁19行〜3頁5行に「符号1は上部にフランジ2を設けた接続体であつて、この接続体1の外側軸方向に溝部3を設ける。そして前記フランジ2を貫通して前記溝部3に挿入した締付ねじ4の先端部には係止片5を取付ける。更に前記締付ねじ4の締付方向の反対側の前記溝部3の下側壁9に、前記係止片5を収納する切欠部6を設けた構成とする。かかる構成のものを、例えば水切台7上に設置する場合、台7に、先ず所定の穴8をあける。この穴8に前記接続体1を装入するのであるが、係止片5は第1図(A)で示すように切欠部6に収納された状態であるので、接続体1は穴8を容易に通過することができる。接続体1の装入が終つて、接続体1がフランジ2部分で支持された状態に於いて、締付ねじ4を締付方向に回わすと、締付ねじ4の先端部に取着けた係止片5が回動して、溝部3の下側壁9にあたり軽視される。しかして、第1図(B)で示すように、係止片5は、恰も羽根を開いた状態になる。かかる状態で締付ねじ4を締付けて行くと、第2図に示すように、係止片5は上昇して、水切台7にあたり、水切台7をフランジ2と係止片5 によって挾持して、接続体1を水切台7に固定する。・・・接続体1の固定後、ガス栓11を螺合により接続体1に固定」と記載されている。 (3)対比・判断 本件発明と、刊行物1に記載された発明とを比較すると、刊行物1に記載された発明の「洗面台」、「開口」、「段付きスリーブ」、「コツク・ハウジング」、「コツク」、「袋穴」、「段付きスリーブの直径の大きいほうの部分」、「肥厚部内の孔」、「締付けねじ」、「下部にはねじ山を介して結合されていて」、「舌状片」、「舌状片の小直径部分より延出した部分」は、それぞれ、本件発明の「天板」、「取付孔」、「取付部材」、「水栓本体」、「水栓」、「空間部」、「台座」、「挿入孔」、「雄ねじ部を備えたボルト」、「雄ねじ部に下部から螺着し」、「締結具」、「締結具の平面部」に相当するから、両者は、天板の取付孔に取付部材を上部から装着し、該取付部材に水栓本体を固定する水栓の取付装置に於いて、水栓本体の空間部に嵌合する円筒形で天板の取付孔に上部から配置するとともに、その中央に給水管を挿通する通孔を有する台座と、該台座の周縁部に穿設した一対の挿入孔にそれぞれ挿通し、取付孔の下部に突出する雄ねじ部を備えた一対のボルトと、該各ボルトの雄ねじ部に下部から螺着し、ボルトと共に取付孔を挿通して天板を下部から挟着する一対の締結具とにより取付部材を構成し、前記台座を天板の取付孔に上部から配置し、各ボルトを締付け方向に操作し、平面部が天板下部と向かい合う所天板を下部から挟着することで取付部材を天板に装着する水栓の取付装置の点で一致し、下記の点で相違している。 相違点1:台座の通孔に挿通する管が、本件発明では、給水管及び給湯管であるのに対し、刊行物1に記載された発明では、給水管しか記載されていない点。 相違点2:取付部材に関し、本件発明では、締結具がボルトと共に回転可能で、各ボルトと平行して台座に固定し、前記締結具の回転時に当接して締結具の回転を停止し、天板の下部と締結具の平面部を上下に向かい合わせる一対のストッパーを有していて、各ボルトを締付け方向に操作すると天板下部の各締結具は回転し、まず平面部が天板下部と向かい合う所でそれぞれのストッパーに当接し、次に各締結具はボルトの雄ねじ部に沿って上昇して天板を下部から挟着するのに対し、刊行物1に記載された発明では、そのような構成を有していない点。 相違点1について検討すると、給水管及び給湯管を台座の通孔に挿通することは、例示するまでもなく、従来から行われていることにすぎない。 また、相違点2について検討するため刊行物2をみると、刊行物2には、「水切台(本件発明の「天板」に相当)の穴(本件発明の「取付孔」に相当)に上部から配置するフランジ(本件発明の「台座」に相当)と、該フランジを貫通し、穴の下部に突出する一対の締付ねじ(本件発明の「ボルト」に相当)と、該各締付ねじに下部から螺着し、締付ねじと共に回転可能で穴を挿通して水切台を下部から挟着する一対の係止片(本件発明の「締結具」に相当)と、前記各締付ねじと平行してフランジ下部に設けた、前記係止片の回転時に当接して係止片の回転を停止し、水切台の下部と係止片を上下に向かい合わせる一対の接続体外側軸方向の溝部の下側壁(本件発明の「ストッパー」に相当)とにより接続体(本件発明の「取付部材」に相当)を構成し、前記フランジを水切台の穴に上部から配置し、各締付ねじを締付方向に操作すると水切台下部の各係止片は回転し、係止片は恰も羽根を開いた状態になって(本件発明の「(締結具の)平面部が天板下部と向かい合う所で」に相当)それぞれの溝部の下側壁に当接し、次に各係止片は締付ねじに沿って上昇して水切台を下部から挟着することで接続体を水切台に装着するガス栓取付装置(本件発明の「水栓の取付装置」に対応)」が記載されており、水切台に装着するガス栓取着装置は、天板に装着する水栓の取付装置と同様な技術分野に属する技術であるから、これを、刊行物1に記載された発明の段付きスリーブに採用して、相違点2における本件発明のようにすることは、当業者が適宜なし得ることにすぎない。 そして、本件発明が奏する作用効果は、刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された発明から予測できる程度のものである。 したがって、本件発明は、刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された発明から当業者が容易に発明できたものである。 5.むすび 以上のとおりであるから、本件発明は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。 したがって、本件発明の特許は、特許法第113条第2項に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 水栓の取付装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 天板の取付孔に取付部材を上部から装着し、該取付部材に水栓本体を固定する水栓の取付装置に於いて、水栓本体の空間部に嵌合する円筒形で天板の取付孔に上部から配置するとともに、その中央に給水管及び給湯管を挿通する通孔を有する台座と、該台座の周縁部に穿設した一対の挿入孔にそれぞれ挿通し、取付孔の下部に突出する雄ねじ部を備えた一対のボルトと、該各ボルトの雄ねじ部に下部から螺着し、ボルトと共に回転可能で取付孔を挿通して天板を下部から挟着する一対の締結具と、前記各ボルトと平行して台座に固定し、前記締結具の回転時に当接して締結具の回転を停止し、天板の下部と締結具の平面部を上下に向かい合わせる一対のストッパーとにより取付部材を構成し、前記台座を天板の取付孔に上部から配置し、各ボルトを締付け方向に操作すると天板下部の各締結具は回転し、まず平面部が天板下部と向かい合う所でそれぞれのストッパーに当接し、次に各締結具はボルトの雄ねじ部に沿って上昇して天板を下部から挟着することで取付部材を天板に装着することを特徴とする水栓の取付装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 この発明は、水栓を洗面台や流し台の天板に上部側からだけの作業で容易に取付けられるようにした水栓の取付装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、水栓を洗面台や流し台の天板に取付けるには、まず天板の取付孔に水栓本体の下部に形成した雄ねじ部を差し込み、次に天板の下の狭い場所に潜り込み、窮屈な姿勢でナットを雄ねじ部に締付けて固定していたが、天板の上から水栓本体を回転しないように保持している者と、天板の下からナットを締付ける者の二人の作業者が必要となり、作業性が悪く手間のかかるものであった。 【0003】 そこで、水栓を洗面台や流し台の天板に上部側からだけの作業で容易にかつ短時間に取付けられるようにしたものとして図5のものがある。この図5について簡単に説明すると、洗面台や流し台の天板31に穿設した取付孔32に円筒状の台座33を配置し、該台座33の下部周面は天板31の上部に当てつけることができ、垂直方向に取付孔32を挿通する2本のボルト34を備え、各ボルト34の下部に回転可能な締結具35が保持され、締結具35を取付孔32へ天板31の上部から挿通した後に手を取付孔32へ入れ、締結具35を外方へ回転し締結具35と天板31の下部を向かい合わせ、ボルト34を上部から工具で締付けることで締結具35を天板31に下部から挟着し、続いて水栓本体36を上部から台座33に嵌合し、固定ねじ37により水栓本体36と台座33を強固に結合したものである。 【0004】 上記のものにあっては、ボルトの下部に保持された締結具は、天板の取付孔を挿通した後に手を入れ、外方へ回転して天板の下面と当接するように向きを変え、天板の上部からボルトを締付けることで天板を下部から挟着するものであるが、天板の取付孔に手を入れ、天板を挟着できるように締結具を回転して位置を調節するのに手間がかかるうえ、締結具はボルトの締付けと共に共回りしてしまい、天板の厚みによっては締結具が所定の位置に保持されず、天板を挟着できない状態で台座が固定されてしまう不都合があった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 本発明が解決しようとする課題は、洗面台や流し台への水栓の取付けを天板の上部からのみの簡単な作業で、短時間かつ確実に行うことができるようにすることである。 【0006】 【課題を解決するための手段】 本発明は、天板の取付孔に取付部材を上部から装着し、該取付部材に水栓本体を固定する水栓の取付装置に於いて、水栓本体の空間部に嵌合する円筒形で天板の取付孔に上部から配置するとともに、その中央に給水管及び給湯管を挿通する通孔を有する台座と、該台座の周縁部に穿設した一対の挿入孔にそれぞれ挿通し、取付孔の下部に突出する雄ねじ部を備えた一対のボルトと、該各ボルトの雄ねじ部に下部から螺着し、ボルトと共に回転可能で取付孔を挿通して天板を下部から挟着する一対の締結具と、前記各ボルトと平行して台座に固定し、前記締結具の回転時に当接して締結具の回転を停止し、天板の下部と締結具の平面部を上下に向かい合わせる一対のストッパーとにより取付部材を構成し、前記台座を天板の取付孔に上部から配置し、各ボルトを締付け方向に操作すると天板下部の各締結具は回転し、まず平面部が天板下部と向かい合う所でそれぞれのストッパーに当接し、次に各締結具はボルトの雄ねじ部に沿って上昇して天板を下部から挟着することで取付部材を天板に装着するものである。 【0007】削除 【0008】削除 【0009】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。本発明の水栓本体1は図1に示すように、単一のレバー2の操作により吐水管3から混合水を供給するようにしたもので、下部には給水源に連通する給水管4及び給湯源に連通する給湯管5をそれぞれ接続している。 【0010】 前記水栓本体1を洗面台又は流し台の天板Aに固定するための部材として、図1及び図2に示すように天板Aの上部に位置する台座8、該台座8から天板Aの下部に挿通した一対のボルト14、各ボルト14に螺着し天板Aを下部から挟着する一対の締結具17及び各締結具17の回転を防止し所定の位置に保持する一対のストッパー19を取付部材Cとして備えている。 【0011】 台座8は水栓本体1の下部に開口した空間部6に嵌合する外形の略円筒形で、周縁部9の半径方向に互いに対向する2箇所には、ボルト14を挿通するための挿入孔10を垂直方向に貫通して設け、側部外周には水栓本体1のビス孔7と連通しビス13を螺着する雌ねじ部11を水平方向に設け、中央に給水管4及び給湯管5を挿通する通孔12を開口している。 【0012】 ボルト14は、上端に突出する六角部15と、縦長で天板Aの下部に臨ませる雄ねじ部16とからなり、前記台座8の挿入孔10を介して天板Aの取付孔Bに挿通する。 【0013】 締結具17は平面略楕円形で、前記ボルト14の雄ねじ部16に下端から螺着しており、図3に示すように台座8を天板Aに装着する際には、各ボルト14に螺着した締結具17は取付孔Bの内径より内側に位置するように回転させることができるので取付孔Bに挿入可能であり、図4に示すようにその後ボルト14の六角部15を締付け方向に操作すると締結具17はボルト14と共に回転し、締結具17の平面部18が天板Aの下面と当たるように向かい合い、天板Aを下部から挟着可能なように形成している。 【0014】 ストッパー19は前記ボルト14と平行方向に隣接して台座8に固定され、このストッパー19は前記締結具17を天板Aの取付孔Bに挿入した後に回転させた場合に、略楕円形の締結具17の平面部18が天板Aの下面と上下に向かい合い、必ず天板Aの下部を挟着できる位置に停止できるように締結具17の回転量を制限するものである。 【0015】 本発明に於いて水栓本体1を洗面台又は流し台の天板Aに取付けるには、まず取付部材Cを天板Aの上部から取付孔Bに装着する。即ち図2に示す取付部材Cの台座8を図3に示すように天板Aの取付孔Bの上部に配置し、ボルト14、14、締結具17、17及びストッパー19、19を取付孔Bに挿通する。なお、この時各締結具17、17は取付孔Bを通過できるように取付孔Bより小径となるように予め内方へ回転させておく。続いて各ボルト14の六角部15を工具により締付け方向に操作すると、締結具17が雄ねじ部16と共に回転し、ストッパー19に当接したところで回転を停止するが、この時楕円形の締結具17は平面部18が取付孔B周縁の天板A下面と上下に向かい合う。 【0016】 次に各ボルト14の六角部15をさらに締付け方向に操作すると、締結具17は天板A下面と向かい合った状態で回転しないまま雄ねじ部16に沿って上昇し、図4に示すように平面部18が天板Aを下部から挟着することができる。従って、取付部材Cは台座8と締結具17により天板Aを上下から挟着することで天板Aに装着される。 【0017】 さらに図1に示すように台座8の上から水栓本体1の空間部6を嵌着し、かつ給水管4及び給湯管5を取付孔Bに挿通し、台座8の雌ねじ部11と水栓本体1のビス孔7を向かい合わせて一致させ、工具によりビス13を螺着すれば水栓本体1を取付部材Cに固定することができる。このように水栓本体1と取付部材Cは天板Aの上部からだけの作業で取付可能である。 【0018】削除 【0019】削除 【0020】削除 【0021】削除 【0022】削除 【0023】削除 【0024】削除 【0025】削除 【0026】削除 【0027】削除 【0028】削除 【0029】削除 【0030】 【発明の効果】 本発明では、水栓本体を固定する取付部材を天板の上部から取付孔に装着する際に各ボルトを締付け方向に操作すれば、ボルトと共に回転する締結具はストッパーにより天板の下部と向かい合う状態で、ボルトの雄ねじ部に沿って上昇することで天板を下部から挟着することができ、従来のように取付部材を装着する際に天板の取付孔に手を入れ締結具の位置を調節する必要がなく、誰にでも簡単にかつ短時間に水栓の取付作業を行うことができる。 【0031】 また、従来の水栓の取付装置と比較して、取付部材に締結具の位置決め用のストッパーを固定するだけの簡単な変更で、作業性が大幅に向上し、取付部材を天板に確実に固定することができる。 【0032】 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の水栓の取付装置の要部縦断面図である。 【図2】取付部材の斜視図である。 【図3】取付部材を天板の取付孔に配置した状態の説明図である。 【図4】取付部材を天板に装着した状態の説明図である。 【図5】従来技術の説明図である。 【符号の説明】 1 水栓本体 6 空間部 8 台座 9 周縁部 10 挿入孔 14 ボルト 16 雄ねじ部 17 締結具 18 平面部 19 ストッパー A 天板 B 取付孔 C 取付部材 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2003-09-16 |
出願番号 | 特願平9-246640 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZA
(E03C)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 河本 明彦 |
特許庁審判長 |
鈴木 憲子 |
特許庁審判官 |
山田 忠夫 長島 和子 |
登録日 | 2002-08-02 |
登録番号 | 特許第3335565号(P3335565) |
権利者 | 株式会社喜多村合金製作所 |
発明の名称 | 水栓の取付装置 |
代理人 | 恩田 誠 |
代理人 | 小林 良平 |
代理人 | 恩田 誠 |
代理人 | 恩田 博宣 |
代理人 | 恩田 博宣 |