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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01K
管理番号 1091496
異議申立番号 異議2002-72610  
総通号数 51 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-08-18 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-10-21 
確定日 2004-01-19 
異議申立件数
事件の表示 特許第3277669号「半導体製造装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3277669号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件は、平成6年1月31日に特許出願(特願平6-29113号)され、平成14年2月15日に特許権の設定登録がされ、同年4月22日にその特許掲載公報が発行された特許第3277669号(以下「本件特許」という。)につき、同年10月21日にその請求項1に係る特許に対して株式会社島津製作所より特許異議の申立てがされたものである。

第2 特許異議の申立ての理由の要点
本件特許の請求項1に係る発明は、当業者が甲第1号証(特開昭59-140524号公報)、甲第2号証(西澤潤一編「半導体研究34巻 超LSI技術15-デバイスとプロセス その5」1991年8月5日株式会社工業調査会発行、99頁、110頁及び111頁)及び甲第3号証(特開平1-108198号公報)に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法113条2号の規定により取り消すべきものである。

第3 本件特許の請求項1に係る発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、その明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】基体が載置されるステージが内設されたチェンバーを有する半導体製造装置において、
前記ステージは、その裏面側から基体載置面側に貫通する複数のレーザ光照射孔が設けられているものからなり、
レーザ光を発振するレーザ光発振器と、
前記レーザ光発振器から発振されるレーザ光が前記レーザ光照射孔を通過して前記基体の被測定面に照射されるように合わせるレーザ光スキャニング手段と、
前記基体のレーザ光が照射された位置から放出されるラマン散乱光の放出方向側に受光面を配置した光ファイバケーブルと、
前記光ファイバケーブルにより伝送されたラマン散乱光を受光する分光測定器と、
前記分光測定器で測定したラマン散乱光の強度に基づいて前記基体の被測定面の温度を求めるもので当該分光測定器に接続した演算部とを有する温度測定装置を備えた
ことを特徴とする半導体製造装置。」

第4 甲第1号証から甲第3号証までに記載された発明
1 甲第1号証
甲第1号証には、図面とともに「第1図は、本発明を真空蒸着装置に適用した例を概略的に示すものである。この蒸着装置によれば、真空槽を形成するベルジャー1内に被蒸着基板2が配され、これに対向してシリコン等の蒸発源3が配されている。」(2頁右上欄14〜18行)、「第3図は、本発明の他の実施例を示すものである。この例によれば、レーザー光源6からのレーザー光7を回転可能なミラー20によって円弧形状の基板2の面方向に走査していることが特徴的である。即ち、ミラー20の振れ角に応じ、レーザー光7が実線位置から一点鎖線位置に進路が変えられ、これに伴なってレーザーラマン光7’も進路を変える。この進路変更に対応して(又はミラー20の回転に同期して)ミラー8を矢印21方向に回転させると、基板2は円弧状に形成されているために、その任意の位置からのレーザーラマン光をミラー8に入射せしめ、ここから分光器9へ導くことができる。こうして、基板2上の蒸着膜の表面の面方向における各位置からのレーザーラマン光が第1図及び第2図に示したと同様に順次処理され、パーソナルコンピュータ13から出力される夫々の温度情報に基いて各コンバータ14a、14b、14c及び温度コントローラ15a、15b、15cが動作する。」(4頁左上欄4行〜右上欄1行)との記載がされている。
2 甲第2号証
甲第2号証には、図面とともに「ウェハ温度制御部を除けばオーソドックスな平行平板型RIE装置でロードロックを備えている。低温でのエッチングでは結露の発生があるので、ロードロックは不可欠である。8インチまでのウェハ処理が可能であるが、実験には6インチウェハを用いた。ウェハは上部電極(rf側)に取りつけた静電チャックにより、上下逆さまに吸着保持される。」(110頁左欄18行〜右欄3行)、「図4.23のように、電極のHe導入口を通じて光ファィバを挿入し、ウェハ裏面に少量付着させた蛍光物質に紫外光パルスを照射する。同じ光ファイバを通じて測定した蛍光の減衰時間から、蛍光体の温度(≒ウェハ裏面温度)が求まる。」(111頁左欄下から9行〜下から5行)との記載がされている。
3 甲第3号証
甲第3号証には、図面とともに「この状態でArレーザ光源10よりレーザ光をAlGaAs結晶9に照射し、結晶面からの散乱光をシャッタ11を開け、MBE装置8に設けられている窓を通してレンズ12で光ファイバ13の端部に集光し、これを通してマルチチャネル検出器14に入力し、検出器制御装置15によりマルチチャネル検出器14から必要とするストークス散乱光、反ストークス散乱光について、光強度と光学格子エネルギーを求め、データ処理装置16でAlGaAs結晶9の表面温度を求めて結晶の組成比を決定する。」(3頁右上欄10〜19行)との記載がされている。

第5 当審の判断
本件発明と甲第1号証から甲第3号証までに記載された発明とを対比すると、甲第1号証から甲第3号証までに記載された発明は、いずれも本件発明の構成要件である「基体が載置されるステージ」を有し、「前記ステージは、その裏面側から基体載置面側に貫通する複数のレーザ光照射孔が設けられているものからなり」、レーザ光スキャニング手段を「レーザ光が前記レーザ光照射孔を通過して前記基体の被測定面に照射されるように合わせる」ようにする点を備えていない。
甲第2号証には、ウェハを吸着保持する静電チャックを用い、この静電チャックにHe導入口を設け、このHe導入口を通じて光ファイバを挿入して紫外光パルスを照射することが示されているが、この静電チャックはウェハを載置するものではなく、そのHe導入口は、光ファイバを挿入するためのものであって、レーザ光を照射するためのものではなく、レーザ光スキャニング手段からのレーザ光がこのHe導入口を通過してウェハの被測定面に照射されるように合わせるためのものでもない。
そして、本件発明は、上記の点を備えることにより、明細書記載の「基体の温度をステージ側から非接触に測定することができる。このため、基体の上方に電極やターゲットを配置するようなエッチング装置または成膜装置に適用できる。」という格別の作用、効果を奏するものである。
したがって、本件発明は当業者が甲第1号証から甲第3号証までに記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるということはできず、本件発明についての特許が特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとすることはできない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-12-12 
出願番号 特願平6-29113
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G01K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 榮永 雅夫  
特許庁審判長 瀧 廣往
特許庁審判官 山川 雅也
中塚 直樹
登録日 2002-02-15 
登録番号 特許第3277669号(P3277669)
権利者 ソニー株式会社
発明の名称 半導体製造装置  
代理人 江口 裕之  
代理人 船橋 国則  
代理人 喜多 俊文  

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