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審決分類 |
審判 一部無効 1項3号刊行物記載 訂正を認める。無効としない C09D 審判 一部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効としない C09D |
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管理番号 | 1092067 |
審判番号 | 無効2002-35152 |
総通号数 | 52 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-02-13 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2002-04-23 |
確定日 | 2003-12-01 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2849353号発明「粉体塗料」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
I.手続の経緯 本件特許第2849353号に係る発明は、平成7年5月19日に出願され(国内優先権主張:平成6年5月27日)、平成10年11月6日にその発明について特許権の設定登録がなされた。 これに対して請求人は平成14年4月23日に本件無効審判を請求し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出して、本件請求項1ないし8に係る発明の特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めた。 また、被請求人は、平成14年7月17日付けで答弁書とともに訂正請求書を提出して訂正を求めた。 さらに、請求人は、口頭審理後の平成15年1月17日付けで、審判請求の理由の要旨を変更せずにこれを補充する上申書を新たな証拠とともに提出したため、当審において期間を定めて被請求人に答弁の機会を与えたところ、その指定期間内である平成15年4月22日付けで答弁書とともに新たな訂正請求書が提出され、平成14年7月17日付け訂正請求は取り下げられた。 なお、この新たな訂正請求に関して、請求人より平成15年7月22日付けで弁駁書が提出された。 II.訂正の適否 1.訂正事項 平成15年4月22日付け訂正請求は、本件特許明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものであって、その訂正の内容は次のとおりである。 〔訂正事項a〕 特許請求の範囲の請求項1の、 「【請求項1】溶融混練によって得られる粉体塗料であって、塗膜形成用樹脂からなり、体積平均粒径が20〜40μmであり、粒径分布標準偏差が20μm以下であることを特徴とする粉体塗料であり、前記塗膜形成用樹脂が、熱硬化性ポリエステル樹脂であり、顔料、並びに、硬化剤及び硬化促進剤のうち少なくとも1種を含むものであって、前記硬化剤はブロックイソシアネート化合物、メラミン樹脂又はトリグリシジルイソシアヌレートである粉体塗料。」との記載を、 「【請求項1】溶融混練によって得られる粉体塗料であって、塗膜形成用樹脂からなり、体積平均粒径が20〜40μmであり、粒径分布標準偏差が20μm以下であることを特徴とする粉体塗料であり、前記塗膜形成用樹脂が、熱硬化性ポリエステル樹脂であり、顔料、並びに、硬化剤及び硬化促進剤のうち少なくとも1種を含むものであって、前記硬化剤はブロックイソシアネート化合物、メラミン樹脂又はトリグリシジルイソシアヌレートであり、顔料を、粉体塗料100重量部に対して1〜80重量部含有し、搬送性に優れ、かつ、高外観の塗膜を形成することができる粉体塗料(ただし、粉体透明塗料を除く)。」と訂正する。 〔訂正事項b〕 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 〔訂正事項c〕 特許請求の範囲の請求項9ないし12の項番号を一つずつ繰り上げて「【請求項8】」ないし「【請求項11】」とするとともに、請求項10ないし12における「請求項9記載の粉体塗料」との記載を「請求項8記載の粉体塗料」と訂正する。 〔訂正事項d〕 明細書段落【0016】の「本発明の粉体塗料は、透明性を損なわない量又は種類の顔料を含むか、又は、顔料を全く含まないで、透明な塗膜を形成しうるクリアー塗料とすることもできる。」との記載を削除する。 2.訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、及び特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項aは、訂正前の特許請求の範囲請求項1において、粉体塗料が特定範囲の量の顔料を含むこと、及び、搬送性に優れかつ高外観の塗膜を形成することを特定するとともに、公知文献に記載された「粉体透明塗料」を除くもので、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。またこの訂正は、訂正前の特許請求の範囲請求項8、明細書段落【0004】、【0015】、及び【0063】の記載により支持されており、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項bは、請求項8を削除するものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、訂正事項cは、請求項8の削除に伴い項番号を繰り上げるとともに引用する請求項番号を訂正するものであるから明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。また、これらの訂正事項は、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 訂正事項dは、特許請求の範囲の訂正によって生じた発明の詳細な説明中の記載における不整合部分を、特許請求の範囲の記載に合わせて訂正するもので、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。また、この訂正事項は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 3.訂正請求に対する結論 以上のとおり、本件訂正は平成6年法改正前の特許法第134条第2項ただし書、及び同条第5項において準用する平成6年法改正前の特許法第126条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 III.当事者の主張の概要 1.請求人の請求の趣旨及び理由 請求人は、本件特許第2849353号発明の特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、証拠方法として下記の書証を提示し、以下に示す無効理由1ないし4により、本件特許は無効とすべきものであると主張している。 記 甲第1号証 国際公開WO94/09915号パンフレット 甲第2号証 ドイツ特許出願公開第3814853号明細書 甲第3号証 山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブック」株式会社大 成社、昭和56年10月20日発行、第280〜284頁 甲第4号証 「12093の化学商品」化学工業日報社、1993年1 月22日発行、第846〜853頁 甲第5号証 特開平4-275375号公報 甲第6号証 ドイツ特許出願公開第4038681号明細書 甲第7号証 特開平5-98193号公報 甲第8号証 特表平7-509403号公報 甲第9号証 米国特許第4981759号明細書 甲第10号証 カナダ特許第2096643号公報 甲第11号証 日本油脂ビーエーエスエフコーティングス株式会社 前田 健蔵による平成14年12月9日付け実験報告書 甲第12号証 山口襄、石田保士編「企業に應用される統計學」共立出版 株式会社、昭和28年4月1日発行、第142〜145頁 甲第13号証 「品質管理教程 管理図法」株式会社JUSE出版社、1 955年11月1日発行、第79〜81頁 甲第14号証 「工業塗装No.66」株式会社塗料報知新聞社、昭和5 9年1月15日発行、第23〜27頁 甲第15号証 「塗装と塗料 6月号」株式会社塗料出版社、昭和57年 5月25日発行、第51〜59頁 甲第16号証 POWDER COATING:CURRENT DEVELOPMENTS, FUTURE TRENDS、Dougias S. Richart、Presented at the Waterborne, High-Solids, and Powder Coatings Symposium February 22-24, 1995 甲第19号証 鶴田清治、寺内淑晃、安原清著「わかりやすい塗装のすべ て」株式会社技術書院、昭和58年3月5日発行、第33 3頁 甲第20号証 特開平4-47235号公報 甲第21号証 特開平2-31866号公報 甲第22号証 「日本の塗料工業」(平成6年版)社団法人日本塗料工業 会発行、第21頁 甲第23号証 「ペイントビジュアル 第1巻 塗料概論編」日本ペイン ト株式会社、平成3年3月1日初版第2刷発行、第74〜 85頁 甲第24号証 「分級装置技術便覧」株式会社産業技術センター、昭和5 3年5月15日発行、第276〜279頁 甲第25号証 「JISハンドブック 30 塗料」財団法人日本規格協 会、2003年1月31日発行、第58頁、第402〜4 03頁 なお、甲第17号証、甲第18号証は存在していない。 (1)無効理由1 訂正前の本件請求項1ないし請求項8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものである。 (2)無効理由2 訂正前の本件請求項1ないし請求項8に係る発明は、甲第1号証の記載から当業者が容易に想到し得た発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (3)無効理由3 訂正前の本件請求項1ないし請求項8に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証(又は甲第9号証)及び/又は甲第6号証の記載から当業者が容易に想到し得た発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (4)無効理由4 訂正前の本件請求項1ないし請求項8に係る発明は、甲第1号証ないし甲第7号証の記載から当業者が容易に想到し得た発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 2.被請求人の答弁の趣旨及び理由主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、請求人の主張する理由及び証拠によっては本件特許を無効とすることはできないと主張している。 IV.当審の判断 1.本件発明 上記II.の項において述べたように、本件の平成15年4月22日付け訂正請求が認められるので、本件明細書の特許請求の範囲請求項1ないし7に記載された発明(請求項8は訂正により削除された)は以下のとおりである。 「【請求項1】溶融混練によって得られる粉体塗料であって、塗膜形成用樹脂からなり、体積平均粒径が20〜40μmであり、粒径分布標準偏差が20μm以下であることを特徴とする粉体塗料であり、前記塗膜形成用樹脂が、熱硬化性ポリエステル樹脂であり、顔料、並びに、硬化剤及び硬化促進剤のうち少なくとも1種を含むものであって、前記硬化剤はブロックイソシアネート化合物、メラミン樹脂又はトリグリシジルイソシアヌレートであり、顔料を、粉体塗料100重量部に対して1〜80重量部含有し、搬送性に優れ、かつ、高外観の塗膜を形成することができる粉体塗料(ただし、粉体透明塗料を除く)。 【請求項2】粒径分布標準偏差が16μm以下である請求項1記載の粉体塗料。 【請求項3】粒径分布標準偏差が13μm以下である請求項1記載の粉体塗料。 【請求項4】粉体塗料粒子のうち、最大のものの粒径が、90μm以下である請求項1、2又は3記載の粉体塗料。 【請求項5】粉体塗料粒子のうち、最小のものの粒径が、1μm以上である請求頃4記載の粉体塗料。 【請求項6】硬化剤を、塗膜形成用樹脂100重量部に対して5〜80重量部含有し、硬化促進剤を、塗膜形成用樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部含有する請求項1記載の粉体塗料。 【請求項7】二酸化チタン、べんがら、黄色酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン及びキナクリドン系赤色顔料からなる群より選択された少なくとも1種の顔料を含有する請求項1、2又は3記載の粉体塗料。」 (以下、本件請求項1ないし請求項7に係る発明を、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明7」という。) 2.証拠の記載等 甲第1号証には、対応する公開公報である甲第8号証の記載を参照すると下記の記載がある。 1-イ:請求の範囲請求項1として、「(1)顔料配合の下塗り塗料を基体表面に塗布し、(2)工程(1)で塗布した塗料からポリマー塗膜を形成させ、(3)こうして得られた下塗り塗膜上に粉体透明塗料を塗布し、引き続き(4)下塗り塗膜を粉体透明塗料層と一緒に焼き付ける、基体表面に多層塗装を形成する方法において、工程(3)で使用される粉体透明塗料が、a)粉体透明塗料粒子の多くとも15重量%が10μmより小さい粒度を有し、b)粉体透明塗料粒子の少なくとも40重量%に対する、最大粒度と最小粒度からなる商の常用対数が0.25より小さいか又はこれに等しく、かつc)粉体透明塗料粒子の少なくとも98重量%が、100μmより小さい粒度を有する粒度分布を示すことを特徴とする、多層塗装を形成する方法。」 1-ロ:下塗り塗料について、「本方法の工程(1)においては、原則的には多層塗装を形成するために適当なすべての顔料配合下塗り塗料を使用することができる。このような下塗り塗料は当業者には周知である。・・・適当な下塗り塗料は、たとえば・・・ドイツ国特許(DE-A)第3814853号、・・・に記載されている。」(第3頁4行〜16行) 1-ハ:粉体透明塗料について、「工程(3)において実施される粉体透明塗料の適用は、とくに静電気的に行なわれる。原則的には多層塗装を設けるために適当なすべての粉体透明塗料を使用することができる。このような粉体透明塗料は周知である。適当な粉体透明塗料は、たとえばドイツ国特 許(DE-A)第3814853号、・・・に記載されている。」(第3頁26行〜34行) 1-ニ:粉体透明塗料の粒度について、「b)に記載した粉体透明塗料粒子(つまり最大粒度と最小粒度からなる商の常用対数が0.25より小さいか又はこれに等しく、とくに0.20よりも小さいかまたはこれに等しく、殊に望ましくは0.15よりも小さいかまたはこれに等しい条件を満たす粉体透明塗料粒子)の平均粒度がd±0.2d、とくにd±0.1dであり、その際dは粉体透明塗料で形成される焼付けられた粉体透明塗料塗膜の層厚を表わし、平均粒度はレーザ回折分光計で確かめられる。粉体透明塗料は、市場で購入しうる粉砕装置を用い、場合により篩別機および/または(サイクロン)成層機を利用して、本発明による粒度分布に調節することができる。」(第4頁21行〜第5頁3行) 1-ホ:塗料調製の具体例について、「1.先行技術による粉体透明塗料の製造 ヒドロキシル基含有飽和ポリエステル(UralacR P 2115;製造業者:DSM Resins;165℃における溶融体粘度:500dPas;OH価:40)69.7重量部、イソホロンジイソシアネート主体とするε-カプロラクタムで封鎖されたポリイソシアネート(VestagonR B 1065;製造業者:Huels AG:NCO含量:10.5重量%)25.0重量部、オリゴマーのブチルアクリレート(Acronal 4F,製造業者:BASF AG)0.5重量部、チヌバン(Tinuvin)144(Ciba Geigy;HALS)1.4重量部ならびにガス抜剤としてベンゾイン0.8重量部を混合し、110〜120℃で押出機中で溶融均質化する。押出体を急速に冷却し、多くとも3cmの直径を有するチップが得られるように細砕する。これらのチップを成層ミル中で粉末に粉砕する。こうして得られた粉末の粒度分布は図1に示した。 2.本発明による粉体透明塗料の製造 チップを、図2による粒度分布を有する粉体透明塗料に粉砕する唯1つの例外を有し、上記1項に記載と同様に実施する。」(第5頁12行〜第6頁7行、及び第1図、第2図) 1-ヘ:塗膜形成の具体例について、「3.メタリック効果塗装の形成 市販の電着塗料および市販の充てん剤を塗布したリン酸塩皮膜化成処理した鋼板上に、ポリウレタン、ポリエステルおよびメラミン樹脂含有の水希釈可能で、アルミニウム薄片を配合した市販の下塗りを、12〜15μmの乾燥膜厚が得られるように適用する。適用された下塗りを室温で10分、80℃で10分乾燥する。次いで、上記1項および2項により製造した粉体透明塗料を静電的に、40〜50μmの膜厚が得られるように上塗りする。最後に、下塗り塗膜および粉体透明塗料層を180℃(目的温度)で20分焼付ける。上記2項により製造した粉体透明塗料を用いて形成したメタリック効果塗装は上記1項により製造した粉体透明塗料を使用して形成したメタリック効果塗装に比べて明らかに良好な流展性を示す。透明塗料表面のプロフィロメータ測定において、上記1項による粉末透明塗料を用いて形成した塗装で0.14μmの標準偏差で0.36μmのあらさRaが測定され、上記2項による本発明による粉体透明塗料を用いて形成した塗装ではたんに0.01μmの標準偏差で僅か0.14μmのあらさが測定される。本発明による粉体透明塗料を用いて得られる改善された表面平滑性は視覚的にも明瞭に認められる。」(第6頁10行〜第7頁4行) 甲第2号証には、添付された日本語翻訳文を参照すれば、「(i)(A)表面張力が40〜60dyne/cmであり且つ酸で中和することによって陰極に電着可能な水性浴を形成し得るエポキシ系カチオン電着性樹脂、及び(B)表面張力が25〜45dyne/cmである非イオン系被膜形成性樹脂を、樹脂(A):樹脂(B)=60:40〜98:2の表面張力より大きい複層膜形成用カチオン電着塗料を塗装し、加熱硬化後、(ii)該電着塗面に、第1上塗りとして、水系又は有機溶剤系着色塗料を塗装し、(iii)次いで、第2上塗りとして、着色されていてもよい透明被膜を形成できる粉体塗料を塗装することから成るコーティング方法」が記載されており(特許請求の範囲第1項参照)、粉体塗料について、「着色塗料の着色被膜の上に被覆されるべき粉体塗料は、下の着色被膜を見ることができる透明被膜を形成できる既知の熱硬化性粉体塗料であることができ、得られる被膜の透明性を損なわない量で着色剤を含有させてもよい」旨(第12頁49行〜52行参照)、さらに詳しくは「基体樹脂は粉体塗料の塗膜形成のための主要成分であって、例えば、水酸基、カルボキシル基、グリシジル基などから選ばれる1種又はそれ以上の架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂・・・等が挙げられる・・・硬化剤は、上記基体樹脂を加熱により三次元的に架橋硬化させるための成分であり、例えばアルコキシメチロールメラミン、ブロックポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、イソシアヌレート化合物及び脂肪族二塩基酸などが使用できる。・・・粉体樹脂から着色被膜を形成することが望まれる場合は、被膜の透明性を確保するために、60μの膜厚において波長400〜700nmの可視光線透過率が30〜90%、好ましくは50〜75%になるように着色剤を配合することが必要である。その着色粉体塗料の使用により、高い隠蔽性、優れた平滑性、優れた光沢感、優れた鮮明性、透明性、高い彩度、これまで得られなかった審美特性を有する仕上がり外観を与えることができる。この目的に使用される着色剤は、前記の着色塗料において例示されたものであってもよい。好ましくは第1上塗りの着色塗料と同一又は同様のものが挙げられる。・・・着色剤の配合量は、目的に応じて選択される。基体樹脂と硬化剤との合計100重量部(固形分)100重量部あたり、0.3〜50重量部が適しており、より好ましくは1〜35重量部である。・・・粉体塗料は、通常前記成分を溶融混練し、冷却後粉砕することによって得られ、これらの工程及び粒径などは従来技術と同様であってもよい」旨(第12頁55行〜第13頁21行参照)記載されている。また、着色塗料の着色剤については、メタリック顔料、着色顔料、染料などが用いられることが記載されている(第9頁49行〜51行参照)。 甲第3号証には、ポリエステル系粉体塗料に係る記述があり、熱硬化性ポリエステル粉体塗料の硬化剤として、アルコキシメチロールメラミン、ブロックイソシアナート、エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等が用いられることが記載されている(第280頁右欄下から12行〜第281頁左欄4行、及び表6-7参照)。 甲第4号証には、エポキシ樹脂に係る記述があり、ポリエステル系の粉体塗料について、「ポリエステル系は、酸末端ポリエステル樹脂をビスフェノールA型エポキシ樹脂または3官能のトリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)で架橋するもので、通常、エポキシ樹脂を架橋剤とよぶことが多い。」と記載されている(第847頁左欄18行〜29行参照)。 甲第5号証には、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし脂肪族ジオールを主たるアルコール成分とするポリエステル樹脂と、硬化剤としてα,α,α’,α’-テトラメチル-キシリレンジイソシアネート又は4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)のブロック化物、及び有機錫化合物からなる粉体塗料用樹脂組成物が記載されており(特許請求の範囲参照)、この粉体塗料用組成物は低温焼付けで十分硬化し、しかも表面光沢の良好な塗膜を与えるという効果を有することが記載されている(明細書段落【0030】参照) 甲第6号証には、添付された日本語翻訳文を参照すれば、「包装容器内部の塗装用粉体塗料であって、1)該粉体塗料がA)酸価25〜120mgKOH/g、かつ水酸基価10mgKOH/g以上を有する少なくとも1種のポリエステル、及びB)エポキシ当量400〜3000を有する少なくとも1種のエポキシ樹脂を含有し、2)該粉体塗料がa)粉体塗料粒子の少なくとも90質量%が1〜60μmの粒子径であり、b)少なくとも99質量%の粉体塗料粒子の最大粒子径が100μm以下であり、c)粉体塗料粒子の平均粒子径が5〜20μmであり、粒子分布曲線の変曲点における傾きが100以上である粉体塗料」が記載されており(特許請求の範囲第1項参照)、充填剤について、「さらに、本発明の塗料は、充填剤(成分D)を0〜40重量%、好ましくは15〜25重量%含有してもよい。FDAにより承認されている充填剤が好ましく使用される。一般に、無機充填剤、例えば・・・二酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、カオリン、マグネシウムアルミニウム珪酸塩、マイカなどのシリケート系充填剤等が使用される。」と記載されている(第4頁38行〜42行)。また、粉体塗料の粒子径分布について、「包装容器内部の塗装に使用するためには、粒子径分布(a)は粉体塗料粒子の少なくとも90質量%が1〜60μmの粒子径を有する(すなわち、d90=1 bis 60μm)ように調整される。好ましくは粉体塗料粒子の少なくとも90質量%が1〜40μmの粒子径を有し(d90=1 bis 40μm)、特に好ましくは粉体塗料の少なくとも90質量%が5〜25μmの粒子径を有する(d90=1 bis 25μm)。粉体塗料粒子の少なくとも99質量%に対して、粉体塗料粒子の最大粒子径が100μm以下であり、好ましくは60μm以下であり、特に好ましくは40μm以下である。粉体塗料粒子の平均粒子径は5〜20μmであり、好ましくは5〜12μmである。さらに、粉体塗料が包装容器内部の塗装に使用されるとき、粒子径分布が、粒子分布曲線の変曲点での傾きSが100以上、好ましくは150以上、特に好ましくは200以上であるように調整することが、本発明において本質的部分である。・・・傾きSは、粒子分布曲線の変曲点において(f(X2)-f(X1))/1g((X2/X1))のf(X2)-f(X1)が0に向かう極限値として定義される。すなわち、粒子分布曲線は、(対数的に表現された)絶対粒子直径に対して累積質量%のプロットを表している。したがって、包装容器内部の塗装に使用するために、適当な粉体塗料は特に微細粒子(粒子径<5μ)を少量含み、また、粒子の粗い粉体塗料粒子(粒子径>25μm)の極微量を含む粉体塗料であり、すなわち、粉体塗料はできるだけ狭い粒子径分布を有する。」と記載されている(第4頁52行〜第5頁3行参照)。 甲第7号証には、「平均粒径が5〜20μmでありかつ粒径5μm以下の粒子の含有量が25重量%以下の粒子群からなる粉体塗料」が記載されており(特許請求の範囲請求項1)、該粉体塗料には、必要に応じて顔料等を含んでいてもよい旨の記載がある(明細書段落【0009】参照) 甲第8号証は、上記甲第1号証に対応する公表特許公報であり、上記甲第1号証と同じ記載がある。 甲第9号証は、上記甲第2号証に対応する米国特許明細書であり、上記甲第2号証と同じ記載がある。 甲第10号証は、上記甲第3号証に対応するカナダ特許明細書であり、上記甲第3号証と同じ記載がある。 甲第11号証には、本件請求項1に記載された「体積平均粒径が20〜40μm、粒径分布標準偏差が20μm以下であり、顔料を粉体塗料100重量部に対して1〜80重量部含有する熱硬化性ポリエステル樹脂系粉体塗料」の塗膜の透明性について実験した結果が示されている。 甲第12号証には、正規分布曲線に係る記述があり、正規分布をする品質特性の実測値は、その99.7%が母平均(m)の左右±3σ(σ:標準偏差)の範囲内に入ることが記載されている(第144頁12行〜14行、及び第6.4図参照)。 甲第13号証には、正規分布に係る記述があり、平均値の両側に±σ(標準偏差)だけの幅をとると、その区間に入る相対度数(確率)は68.27%、±2σだけの幅をとれば95.45%、±3σの幅をとれば99.73%であることが記載されている(第79頁12行〜16行、及び図2.23参照)。 甲第14号証には、熱硬化型ポリエステル粉体塗料に係る記述があり、粒子径について、「粉体塗装された粉体粒子径は、細かく、最密充填された状態であれば、薄膜で連続塗膜を形成しやすいであろう。粉体塗料の粒度分布としては、静電塗装用としては平均粒子径30〜50μ、最大粒子径100〜150μのものが、一般的である。これは塗料の貯蔵安定性、流動性、噴流性、静電塗装特性などを考慮し決定されたものである。粒子径を細かくすることにより、塗料の流動性が損なわれ、粒度分布の見直し、粒子径と分布ピークのバラツキなどの検討が必要である。また粒子径を細かくすることにより、塗膜性能としての平滑性が向上し、それにより隠蔽力、光沢の向上も望める。」(第25頁右欄23行〜33行)、塗膜外観と塗膜性能について、「薄膜塗装したものは、被塗物表面を十分にコーティングされなければならない。樹脂/硬化剤系はヒートフロー性が良く、顔料分散性の良好なものであること、使用顔料は、分散性、隠蔽力、着色力の良いものおよび吸油量の低いもの、さらにその濃度などの最適選択使用が必要である。」(第25頁右欄35行〜第26頁左欄4行)と記載されている。 甲第15号証には、粉体塗装における薄膜化に係る記述があり、粉体塗料の粒子径と諸特性の関係について、「粉体塗料の搬送性,流動性や付着,凝集性を左右する粒子間の相互作用が,粒子径,粒子形状に関係していることは容易に理解できる。静電塗装特性に影響していることも然りである。現在の粉体塗料は機械粉砕によっているため形状は無定形であり,粒度分布も通常平均粒径30〜40μの粉体塗料が多いが,使用目的により異なる。粒子径と諸特性を表-4に示す。薄膜化の方向は粒度分布が細かくなる方向であり,塗料の流動性(搬送性)の問題が生じてくる。」(第53頁右欄19行〜第54頁左欄5行)と記載され、表-4には粒子径が小さくなれば塗面の平滑性(薄膜性)が良くなり、粒子径が大きくなれば塗料の流動性(搬送性)が良くなることが記載されている(第53頁表-4参照)。また、粒度分布と平滑性、隠ペイ力について、「当初の弱電用粉体塗料V-PET#5100について,実験室的にフルイのメッシュをかえて粒度分布-塗面の平滑性-隠ペイ力の関係のデータをとったのが表-8である。この表より,塗面の平滑性に粒度分布,特に50μ以上の粗大粒子の多少に影響をうけており,粒度分布が細かくなり,粗大粒子が少なくなると塗面の平滑性も向上する。また塗膜の隠ペイ力も平滑性の影響をうけ,平滑性がよくなると隠ペイ力も増すことが分かる。200メッシュパス粉の30〜35μでの表面粗度を図-5に,250メッシュパス粉の30〜35μでの表面粗度を図-6に示す。また200メッシュパス粉のコールターカウンターによる粒度分布を図-7に,250メッシュパス粉を図-8に,280メッシュパス粉を図-9に示す。粒度分布を細かくすると10μ以下の微粉が増えるので,この微粉カットの問題が生ずる。」と記載されている(第55頁右欄下から4行〜第56頁左欄14行、表-8、及び図-5〜9参照)。 甲第16号証には、粉体塗装に係る記述があり、平均粒径がほぼ43μの一般用静電塗装粉体塗料の粒径分布(第13頁4行〜9行、及び表5、図6参照)、及び、より微細に粉砕され空気分級された、平均粒径が26μで9.25μ以下の粒子の含有量が9.8%である粉体塗料の粒径分布(第18頁10行〜13行、及び表6、図10参照)が記載されている。 甲第19号証には、塗装の欠陥に係る記述があり、塗装したのに下地がみえるという現象(すけ)について記載されている(第333頁10行〜14行参照)。 甲第20号証には、塗料の隠ぺい塗色の近似測定方法が記載されており(特許請求の範囲請求項2参照)、隠ぺい性の悪い塗料の場合は下地の色の影響を受けやすい旨の記載がある(公報第2頁左上欄12行〜18行参照)。 甲第21号証には、ボデーシーラーの上塗同色化方法に係る発明が記載されており(特許請求の範囲参照)、白色系のボデーシーラーを用いた場合、上塗塗装面のボデーシーラー部分が透けて見える旨の記載がある(公報第1頁右下欄16行〜第2頁左上欄2行参照)。 甲第22号証には、塗料の原材料に係る記述があり、顔料の種類が記載されている(第21頁参照)。 甲第23号証には、塗料用顔料に係る記述があり、顔料の分類について記載されている(第75頁の図参照)。 甲第24号証には、分級装置に係る記述があり、微粉域分級機であるミクロンセパレータの応用例について記載されている(第278頁左欄9行〜29行参照)。 甲第25号証には、塗料一般試験方法に係る記述があり、隠ぺい率試験紙について記載されている(第58頁番号3403、第403頁28行〜30行参照)。 3.対比・判断 (1)無効理由1について (本件発明1について) 本件発明1の粉体塗料と、上記甲第1号証の実施例に記載された粉体塗料とを比較すると、甲第1号証記載の塗料は、ヒドロキシル基含有飽和ポリエステルとイソホロンジイソシアネートを主体とするε-カプロラクタムで封鎖されたポリイソシアネート及びその他の成分を溶融均質化して押出したチップを粉砕してなるもので(上記記載1-ホ参照)、良好な流展性と塗膜表面平滑性を有するものであることから(上記記載1-ヘ参照)、両者は、「溶融混練によって得られる粉体塗料であって、塗膜形成用樹脂からなり、前記塗膜形成用樹脂が、熱硬化性ポリエステル樹脂であり、硬化剤及び硬化促進剤のうち少なくとも1種を含むものであって、前記硬化剤はブロックイソシアネート化合物であり、搬送性に優れ、かつ、高外観の塗膜を形成することができる粉体塗料」である点で一致するものである。また、本件発明1の粉体塗料は「体積平均粒径が20〜40μmであり、粒径分布標準偏差が20μm以下である」のに対して、上記甲第1号証記載の粉体塗料は「図2」で示される粒度分布を有する(上記記載1-ホ参照)点で相違しているが、この「図2」より概略読みとることのできる粒子の粒径及び粒子の頻度から、本件明細書段落【0008】に示された式に基づいて「体積平均粒径」及び「粒径分布標準偏差」の値を導くとそれぞれ「37.5μm」及び「15.58μm」となり(審判請求書に添付された「資料1」参照)、実質的には本件発明1において特定される「体積平均粒径が20〜40μm」及び「粒径分布標準偏差が20μm以下」という要件を満たしているものである。しかし、上記甲第1号証の実施例記載の発明は「粉体透明塗料」であるのに対して、本件発明1においては「粉体透明塗料」が除かれており、上記甲第1号証の実施例記載の発明とは明らかに相違している。 この点について、請求人は平成15年1月17日付け上申書及び平成15年7月22日付け弁駁書において、甲第19号証ないし甲第23号証、及び実験報告書等を示して、塗膜の透明・不透明は、顔料の種類や含有量など塗料の成分だけでなく、塗料の成分以外の塗装方法例えば塗膜の膜厚、下地の色相及び明度などが影響し、したがって透明と不透明はその境界線を特定することができないことから、「粉体透明塗料を除く」とした場合には除く範囲が不明瞭となり、甲第1号証との同一性を排除することができない旨主張している。 しかし、「透明塗料」と「不透明塗料」とが塗料の分類において明確に分けられていることは当業者の常識であり(例えば、吉田豊彦ら編集「塗装の事典」(株式会社朝倉書店、1985年第4刷発行)第5頁図1.1参照)、下地を隠蔽するかしないかという目的に応じて明確に使い分けられているものである。このことは、本件発明1において「透明な塗膜を形成し得るクリアー塗料」が着色顔料を含む塗料と区別されていること(訂正前の本件明細書段落【0014】〜【0016】参照)、甲第1号証記載の発明において「透明粉体塗料」が顔料配合の下塗り塗料と区別されていること(上記記載1-イ〜ハ参照)からみても明らかである。 また、請求人の主張するように、塗膜の状態において透明・不透明の境界がはっきりしないということを取り上げて、透明塗料と不透明塗料の境界がはっきりしないとするには飛躍がある。すなわち、顔料の種類と量によって塗膜は透明になったり不透明になったりするが、「透明塗料」として用いるときは塗膜が透明になるように顔料の種類と量を選び、「不透明塗料」として用いるときは塗膜が不透明になるように顔料の種類と量を選ぶのは当業者の常識であり、また、確かに透明塗料でも厚く塗れば不透明となり、不透明塗料でも薄く塗れば下地が透けて見えることもあるが、透明な塗膜が要求されるところに不透明塗料を薄く塗ったり、不透明な塗膜が要求されるところに透明塗料を厚く塗ったりすることは当業者の常識からはずれるものであることから、塗膜の状態について透明・不透明を論じることと、その用途によって「透明塗料」と「不透明塗料」とを分類することは全く関係のないことである。 以上のとおり、「透明塗料」と「不透明塗料」は明確に分けられるものであることから、請求人の上記の主張は採用できず、本件発明1は「粉体透明塗料」を含まない点で上記甲第1号証記載の発明とは明らかに相違するものであるから、本件発明1は上記甲第1号証に記載された発明ではない。 (本件発明2ないし7について) 本件発明2及び3は、本件発明1における粒径分布標準偏差の値をさらに特定するものであり、本件発明4及び5は、本件発明1において最大粒径、最小粒径をそれぞれ特定するものであり、本件発明6及び7は、本件発明1において硬化剤及び硬化促進剤の量、顔料の種類をそれぞれ特定するものであるから、いずれも本件発明1の構成をその主たる構成として含むものである。そして上述したように本件発明1は上記甲第1号証に記載された発明ではなく、したがって同様の理由により、本件発明2ないし7も、上記甲第1号証に記載された発明ではない。 (2)無効理由2ないし4について (本件発明1について) 本件発明1の粉体塗料と、上記甲第1号証の実施例に記載された粉体塗料とを比較すると、上記(1)の項で述べたとおり、両者は、「溶融混練によって得られる粉体塗料であって、塗膜形成用樹脂からなり、前記塗膜形成用樹脂が、熱硬化性ポリエステル樹脂であり、硬化剤及び硬化促進剤のうち少なくとも1種を含むものであって、前記硬化剤はブロックイソシアネート化合物であり、搬送性に優れ、かつ、高外観の塗膜を形成することができる粉体塗料」である点で一致するものであり、一方、本件発明1の粉体塗料が「体積平均粒径が20〜40μmであり、粒径分布標準偏差が20μm以下である」のに対して、上記甲第1号証記載の粉体塗料は「図2」で示される粒度分布を有する点(相違点1)、及び本件発明1の粉体塗料が「粉体透明塗料を除く」としているのに対して、上記甲第1号証記載の粉体塗料は「透明粉体塗料」である点(相違点2)で相違している。 そこで検討するに、甲第1号証には粉体透明塗料粒子の平均粒度がd±0.2d(dは粉体透明塗料の層厚を表す)であることが記載されているが(上記記載1-ニ参照)、膜厚dによってその値は変化するので、これらの記載からは「体積平均粒径が20〜40μm」という絶対値の範囲を導き出すことはできない。また、甲第1号証には粉体透明塗料の粒度分布について「a)粉体透明塗料粒子の多くとも15重量%が10μmより小さい粒度を有し、b)粉体透明塗料粒子の少なくとも40重量%に対する、最大粒度と最小粒度からなる商の常用対数が0.25より小さいか又はこれに等しく、かつc)粉体透明塗料粒子の少なくとも98重量%が、100μmより小さい粒度を有する粒度分布を示す」と記載されているが(上記記載1-イ参照)、この記載のみでは、粉体透明塗料のすべての粒子の粒径とその個数からなる粒度分布を把握することはできず、本件明細書段落【0008】に示された式によって与えられる粒径分布標準偏差の値、及びその好ましい範囲を導き出すことはできない。なお、甲第1号証の「図2」に示される粒度分布より概略読みとることのできる粒子の粒径及び粒子の頻度から、本件明細書段落【0008】に示された式に基づいて「体積平均粒径」及び「粒径分布標準偏差」の値を導くとそれぞれ「37.5μm」及び「15.58μm」となり(審判請求書に添付された「資料1」参照)、これらの値はいずれも本件発明1において特定される「体積平均粒径が20〜40μm」及び「粒径分布標準偏差が20μm以下」の範囲内に入るものである。しかし、このようなただ1点のみの数値からは、体積平均粒及び粒径分布標準偏差のそれぞれの好適な範囲を導くことはできない。したがって、上記甲第1号証の記載からは、上記相違点1に挙げられた構成を導き出すことはできない。 次に、上記甲第1号証の記載と上記甲2号証及び/又は甲第6号証の記載との組合せについて検討すると、甲第2号証には透明粉体塗料に係る記載があり、基体樹脂や硬化剤、顔料等についての記載はあるものの(上記摘記事項参照)、透明粉体塗料粒子の平均粒径や粒径分布をどのようにするかという点については何も記載がなく示唆もされていない。また、甲第6号証には包装容器内部の塗装用粉体塗料に係る記載があり、粉体塗料粒子の少なくとも90質量%が1〜60μmの粒子径で、かつ少なくとも99質量%の粉体塗料粒子の最大粒子径が100μm以下であり、粉体塗料粒子の平均粒子径が5〜20μmで、粒子分布曲線の変曲点における傾きが100以上である、狭い粒子径分布を有する粉体塗料が記載されているが(上記摘記事項参照)、このように特定される平均粒子径及び粒子径分布が、実質的に「体積平均粒径が20〜40μmであり、粒径分布標準偏差が20μm以下である」ことを意味するという根拠は全くなく、かつ、これらの記載だけでは粉体透明塗料のすべての粒子の粒径とその個数からなる粒度分布を把握できないことから、本件明細書段落【0008】に示された式によって与えられる粒径分布標準偏差及び体積平均粒径、及びその好ましい範囲を導き出すことはできない。したがって、上記甲第1号証の記載と上記甲2号証及び/又は甲第6号証の記載との組合せにおいてみても、上記相違点1に挙げられた構成を導き出すことはできない。 さらに、甲第1号証ないし甲第7号証の記載の組合せについて検討すると、甲第3号証ないし甲第5号証には、いずれもポリエステル系粉体塗料とその硬化剤に係る記載、甲第7号証には、平均粒径が5〜20μmでありかつ粒径5μm以下の粒子の含有量が25重量%以下の粒子群からなる粉体塗料に係る記載があるのみで(いずれも上記摘記事項参照)、粉体塗料粒子の平均粒径や粒径分布をどのようにするかという点については何も記載がなく示唆もされていない。したがって、上記甲第1号証、甲2号証、及び甲第6号証の記載に甲第3号証ないし甲第5号証、及び甲第7号証の記載を合わせて勘案してみても、上記相違点1に挙げられた構成を導き出すことはできない。 なお、請求人は平成14年12月12日付け口頭陳述要領書及び平成14年12月25日付け第2口頭陳述要領書において、甲第12号証及び甲第13号証を示し、通常工業的に得られる粉体塗料は正規分布又は正規分布に近い粒度分布を有するとの前提のもとに、粒径分布標準偏差の最大値は平均粒径と最大粒度・最小粒度がわかれば理論的に導かれるとして、甲第1号証に記載された粉体塗料の平均粒径と最大粒度・最小粒度を用いて粒径分布標準偏差の最大値を計算により求め、その結果から甲第1号証記載の粉体塗料は本件発明1の粉体塗料と等しいものであると主張しているが、甲第1号証記載の粉体塗料がすべて正規分布を示すものであるという根拠はどこにもなく、このような仮定に基づいた主張は採用できない。また、請求人は平成15年1月17日付け上申書において、甲第14号証ないし甲第16号証を示し、一般的に熱硬化性ポリエステル粉体塗料の平均粒子径30〜50μmのものは搬送性、平滑性がともに優れているものであり、かつ甲第14号証には粒度分布についても検討すべき旨の記載があることから、これらの記載と甲第1号証の記載を合わせて勘案すれば本件発明1は当業者が容易になし得たものであると主張しているが、上述したように、甲第1号証の記載からは粒径分布標準偏差の好ましい範囲を導き出すことができず、甲第14号証ないし甲第16号証には、粒径分布標準偏差については何も記載がなく示唆もされていないことから、これらを組合せて勘案したとしても上記相違点1に挙げられ構成を導き出すことはできない。 以上のとおり、甲第1号証ないし甲第7号証の記載のいかなる組合せからも上記相違点1に挙げられた構成を導き出すことはできず、また甲第1号証ないし甲第7号証の記載に、甲第11号証ないし甲第25号証の記載等を合わせて勘案したとしても、上記の構成を導き出すことはできない。そして本件発明1は、上記相違点1に挙げられた構成を備えることによって、搬送性に優れかつ高外観の塗膜を形成することができるという明細書記載の効果を奏するものであると認められる。 したがって、本件発明1は、上記相違点2について検討するまでもなく、上記甲第1号証に記載された発明、あるいは甲第1号証と甲第2号証及び/又は甲第6号証に記載された発明、あるいは甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明及び技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (本件発明2ないし7について) 本件発明2及び3は、本件発明1において粒径分布標準偏差の値をさらに特定するものであり、本件発明4及び5は、本件発明1において最大粒径、最小粒径をそれぞれ特定するものであり、本件発明6及び7は、本件発明1において硬化剤及び硬化促進剤の量、顔料の種類をそれぞれ特定するものであるから、いずれも本件発明1の構成をその主たる構成として含むものである。そして上述したように本件発明1は、上記甲第1号証に記載された発明、あるいは甲第1号証と甲第2号証及び/又は甲第6号証に記載された発明、あるいは甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明及び技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、したがって同様の理由により、本件発明2ないし7も、上記甲第1号証に記載された発明、あるいは甲第1号証と甲第2号証及び/又は甲第6号証に記載された発明、あるいは甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明及び技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)請求人のその他の主張について 請求人は、平成15年1月17日付け上申書において、本件発明1の「粉体塗料(ただし、粉体透明塗料を除く)」については実施例が存在しないため明細書の記載が不備である旨、また実施例により実証されていない発明は完成されていない旨主張している。 しかしながら、上記(1)の項でも述べたように、本件明細書においては「透明な塗膜を形成し得るクリアー塗料」と着色顔料を含む塗料とは明らかに区別されており(訂正前の本件明細書段落【0014】〜【0016】参照)、「粉体透明塗料を除く」とした本件発明1の塗料は本件明細書の記載から当業者が実施できる程度に明確に特定できるものであるから、実施例が存在しないこと、あるいは不十分であることのみをもって明細書の記載が不備であるとすることはできず、また発明が完成されていないとすることもできない。 V.むすび 以上のとおり、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件発明1ないし7の特許を無効とすることはできない。 また、審判費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 粉体塗料 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 溶融混練によって得られる粉体塗料であって、 塗膜形成用樹脂からなり、体積平均粒径が20〜40μmであり、粒径分布標準偏差が20μm以下であることを特徴とする粉体塗料であり、 前記塗膜形成用樹脂が、熱硬化性ポリエステル樹脂であり、 顔料、並びに、硬化剤及び硬化促進剤のうち少なくとも1種を含むものであって、前記硬化剤はブロックイソシアネート化合物、メラミン樹脂又はトリグリシジルイソシアヌレートであり、 顔料を粉体塗料100重量部に対して1〜80重量部含有し、 搬送性に優れ、かつ、高外観の塗膜を形成することができる粉体塗料(ただし、粉体透明塗料を除く)。 【請求項2】 粒径分布標準偏差が16μm以下である請求項1記載の粉体塗料。 【請求項3】 粒径分布標準偏差が13μm以下である請求項1記載の粉体塗料。 【請求項4】 粉体塗料粒子のうち、最大のものの粒径が、90μm以下である請求項1、2又は3記載の粉体塗料。 【請求項5】 粉体塗料粒子のうち、最小のものの粒径が、1μm以上である請求項4記載の粉体塗料。 【請求項6】 硬化剤を、塗膜形成用樹脂100重量部に対して5〜80重量部含有し、硬化促進剤を、塗膜形成用樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部含有する請求項1記載の粉体塗料。 【請求項7】 二酸化チタン、べんがら、黄色酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン及びキナクリドン系赤色顔料からなる群より選択された少なくとも1種の顔料を含有する請求項1、2又は3記載の粉体塗料。 【請求項8】 溶融混練によって得られる粉体塗料であって、 塗膜形成用樹脂からなり、体積平均粒径が20〜40μmであり、粒径分布標準偏差が20μm以下であることを特徴とする粉体塗料であり、 前記塗膜形成用樹脂が、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であり、硬化剤及び硬化促進剤のうち少なくとも1種を含むものであって、 粉体塗料粒子が、塗膜形成用樹脂の一部分を含む第1の粒子の表面に第2の粒子が複合化されてなるものであり、前記第2の粒子が、前記塗膜形成用樹脂の残部を含み、かつ、ガラス転移点が50〜150℃のものである粉体塗料。 【請求項9】 第2の粒子が、体積平均粒径0.001〜10μmのものである請求項8記載の粉体塗料。 【請求項10】 第2の粒子の含有量が、粉体塗料100重量部に対して0.05〜35重量部である請求項8記載の粉体塗料。 【請求項11】 第2の粒子が、ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂からなる群より選択された少なくとも1種よりなるものである請求項8記載の粉体塗料。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、搬送性に優れ、高外観の塗膜を形成する粉体塗料に関する。 【0002】 【従来の技術】 粉体塗料は、一般に、塗膜形成用樹脂からなり、体積平均粒径が30〜40μm程度であって、静電スプレー塗装や流動層浸漬塗装等の方法により被塗物に塗布され、焼き付けられることにより塗膜を形成する。 しかしながら、このような粉体塗料は、艶のある平滑な塗膜を形成することができず、塗膜の外観に劣るという欠点があった。 【0003】 このような欠点を改善し、高外観の塗膜を得るための技術として、例えば、特願平3-264025号公報には、平均粒径を従来よりも小さくし、しかも、小粒径粒子の比率に上限を設けた粉体塗料であって、平均粒径5〜20μmで、5μm以下の粒子の割合が25重量%以下である粉体塗料が開示されている。 この粉体塗料は、艶のある緻密で平滑な塗膜を形成することができるものであるが、従来の粉体塗料よりも小さい平均粒径を有するので、空気流等によってパイプ中を移送される途中でパイプにつまる等の支障が生じやすく、搬送性に問題があった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、上述の現況に鑑み、高外観の塗膜を形成することができ、かつ、搬送性に優れた粉体塗料を提供するところにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】 本発明の要旨は、粉体塗料を、塗膜形成用樹脂からなり、体積平均粒径が20〜50μmであり、粒径分布標準偏差が20μm以下とするところにある。 以下に本発明を詳述する。 【0006】 本発明の粉体塗料の体積平均粒径は、20〜50μmである。体積平均粒径が20μm未満であると、気流により移送されるときにパイプを閉塞しやすく搬送性に問題が生じ、50μmを超えると高外観の塗膜が得られないので、上記範囲に限定される。好ましくは20〜40μmである。上記体積平均粒径は、リード・アンド・ノースロップ社製のマイクロトラック-II等の電磁波散乱による粒径測定装置により測定することができる。 【0007】 本発明の粉体塗料の粒径分布標準偏差は、20μm以下である。粒径分布標準偏差が20μmを超えると、高外観の塗膜が得られないので、上記範囲に限定される。本発明の粉体塗料の粒径分布標準偏差は、好ましくは16μm以下であり、より好ましくは13μm以下である。16μm以下であれば塗膜の外観がより向上し、13μm以下であれば塗膜の外観がさらに向上する。 【0008】 粉体塗料の粒径分布標準偏差は、粒径測定装置で得られたデータを用いて次式によって求めることができる。 σ=〔Σ{(D-X)2F}/ΣF〕1/2 式中、σは、粒径分布標準偏差を表す。Dは、個々の粒子の粒径を表す。Xは、体積平均粒径を表し、X=Σ(DF)/ΣFによって表される。式中、Fは、粒子の頻度である。 【0009】 本発明の粉体塗料は、その粒子のうち最大のものの粒径が、90μm以下である。粒径が90μmを超える粒子が存在すると高外観の塗膜が得られない。好ましくは、粒子のうち最大のものの粒径が、80μm以下である。 本発明の粉体塗料は、その粒子のうち最大のものの粒径が90μm以下であって、しかも、その粒子のうち最小のものの粒径が1μm以上であることが好ましい。粒径が1μm未満の粒子が存在すると搬送性が低下する。 【0010】 本発明の粉体塗料は、バインダー成分としての塗膜形成用樹脂からなる。 上記塗膜形成用樹脂としては特に限定されず、粉体塗料分野において通常使用されるもの等を使用することができ、このようなものとしては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を挙げることができる。 上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、なかでも、ポリ塩化ビニル樹脂等のビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂等を好適に使用することができる。 上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、なかでも、エポキシ樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂等を好適に使用することができる。 上記塗膜形成用樹脂として上記熱硬化性樹脂を使用する場合、本発明の粉体塗料は、硬化剤、硬化促進剤を含有することが好ましい。 【0011】 上記硬化剤の含有量は、塗膜形成用樹脂として使用される熱硬化性樹脂100重量部あたり、5〜80重量部が好ましい。5重量部未満であると硬化が不充分となり、80重量部を超えると硬化が進みすぎ、塗膜物性が低下する。 上記硬化促進剤の含有量は、塗膜形成用樹脂として使用される熱硬化性樹脂100重量部あたり0.1〜5重量部が好ましい。0.1重量部未満であると硬化が不充分となり、5重量部を超えると硬化が進みすぎ、塗膜物性が低下する。 【0012】 本発明においては、上記塗膜形成用樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、必要により、例えば、無水フタル酸、アミン化合物、イミダゾール化合物、ジシアンジアミド等の硬化剤、硬化促進剤;アクリル樹脂等の他の樹脂を併用することができる。 本発明においては、上記塗膜形成用樹脂として熱硬化性アクリル樹脂を使用する場合には、必要により、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の他の樹脂;多価カルボン酸、ブロックイソシアネート化合物等の硬化剤を使用することができる。 【0013】 本発明においては、上記塗膜形成用樹脂として熱硬化性ポリエステル樹脂を使用する場合には、必要により、例えば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の他の樹脂;多塩基酸、ブロックイソシアネート化合物、トリグリシジルイソシアヌレート等の硬化剤を使用するができる。 【0014】 本発明の粉体塗料は、必要により、顔料、その他の添加剤を含んでいてもよい。上記その他の添加剤としては、他の樹脂、硬化剤、硬化促進剤又は硬化触媒、表面調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ワキ防止剤、顔料分散剤等を挙げることができる。 上記顔料としては特に限定されず、なかでも、二酸化チタン、べんがら、黄色酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系赤色顔料等を好適に使用することができる。 【0015】 上記顔料の含有量は、粉体塗料100重量部に対して、1〜80重量部が好ましい。含有量が1重量部未満であると、着色等の顔料の効果が得られず、80重量部を超えると、高外観の塗膜が得られない。 上記顔料及びその他の添加剤は、粉体塗料の粒子中に塗膜形成用樹脂等とともに含まれていてもよいが、塗膜形成用樹脂とは別の粒子として添加されていてもよい。 【0016】 【0017】 本発明の粉体塗料は、粉体塗料粒子が、塗膜形成用樹脂の一部分を含む第1の粒子の表面に第2の粒子が複合化されてなるものであり、上記第2の粒子が、上記塗膜形成用樹脂の残部を含み、かつ、ガラス転移点が50〜150℃であるものであってもよい。上記複合化された粉体塗料粒子は、第1の粒子の表面に第2の粒子が付着しているものであってもよく、第1の粒子の表面に第2の粒子が若干埋め込まれたものであってもよい。本発明の粉体塗料は、これら2つの状態の粉体塗料粒子をともに含むものであってもよい。 【0018】 このように、第1の粒子の表面に第2の粒子を複合化して複合化粒子とすることにより、複合化された粉体塗料粒子を構成する第1の粒子同士が直接接触しにくくなるので、貯蔵中のブロッキングが生じにくくなり、また、搬送時の流動性も改善される。また、このように粒子を複合化することにより、塗膜形成用樹脂としてガラス転移点(以下「Tg」ともいう)が低い樹脂、例えば、Tgが40℃程度の樹脂を第1の粒子に利用することが可能となる。 【0019】 上記複合化された粉体塗料粒子においては、第2の粒子は、粉体塗料の焼き付け時に第1の粒子の塗膜形成用樹脂とともに溶融し、塗膜を形成するので、形成される塗膜には、第2の粒子による表面荒れ等の外観不良も生じにくい。 【0020】 上記第2の粒子は、上記塗膜形成用樹脂と同じ樹脂からなるものが好ましいが、製造上又は実用上の見地から、ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂等が通常用いられる。これらのうち、製造の容易さや設計の自由度等の点からビニル樹脂が好ましい。 【0021】 上記第2の粒子を構成する樹脂は、Tgが50〜150℃である。Tgが50℃未満の場合は、第2の粒子を第1の粒子表面に複合化することによる効果が期待できず、Tgが150℃を超えるとより一層の効果の増大が期待できない。好ましくは、70〜120℃である。 【0022】 上記第2の粒子の体積平均粒径は、粉体塗料の体積平均粒径よりも小さく設定されることが好ましい。上記第2の粒子の体積平均粒径は、0.001〜10μmが好ましく、0.01〜5μmがより好ましい。 上記第2の粒子の添加量は、粉体塗料100重量部に対して0.05〜35重量部が好ましい。0.05重量部未満であると、第2の粒子による効果が期待できず、35重量部を超えると、塗膜の外観が損なわれる。 【0023】 上記第2の粒子は、例えば、乳化重合、懸濁重合等の方法により直接製造できる。また、溶液重合、塊状重合等により樹脂を製造し、これを粉砕して分級することにより得ることもできる。 【0024】 本発明の粉体塗料の製造方法としては特に限定されず、粉体塗料製造分野において通常使用される方法等によって行うことができる。例えば、上述の塗膜形成用樹脂、及び、必要に応じて使用される顔料、その他の添加剤をヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル、バンバリーミキサー等の混合機により均一に混合し、次に、得られた混合物を、エクストルーダーや熱ロール等の混練機により溶融混練し、溶融した塗膜形成用樹脂中に樹脂以外の成分を均一に分散させ、得られた混合物をペレットに成形する。得られたペレットを、ハンマーミル等の衝撃型粉砕機、ジェットミル等の気流粉砕機等によって粉砕した後、分級することにより本発明の粉体塗料が得られる。 【0025】 上記分級により、上述の粒径分布を達成することができ、上記粒径範囲より大きい粒子の量、上記粒径範囲より小さい粒子の量が減少する。上記分級は、170メッシュ、好ましくは200メッシュのタイラー標準ふるい、90μm、好ましくは80μmよりも大きい粒子を分離し除去するディスパージョンセパレーター、ミクロンセパレーター等の流体分級機、及び、1μmよりも小さい粒子を分離し除去するサイクロン、ディスパージョンセパレーター、ミクロンセパレーター等の流体分級機等を使用して行うことができる。 【0026】 本発明の粉体塗料の製造方法としては、上述の方法以外に、例えば、原料を溶剤中で混合し、得られた混合物を乾燥、微粉砕するか、又は、スプレードライ法により粉末にする方法を採用することもできる。得られた粉末は必要に応じて、上述の粉砕、分級に供することができる。 【0027】 本発明の粉体塗料を上記複合化された粉体塗料粒子よりなるものとして得る場合には、上記のようにして分級された第1の粒子に上述の第2の粒子を添加して混合する。上記混合においては、ミキサーや混合条件を適宜選択することにより、第1の粒子と第2の粒子との複合化状態を所望の状態に設定することができ、例えば、ミキサーとしてハイブリダイザーを用いると、第2の粒子が分級物の粒子表面に埋め込まれた複合化状態の粉体塗料が得られる。上記混合においては、例えば、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ハイブリダイザー、ボールミル等の一般的なミキサーを適宜用いることができる。上述のようにして複合化することにより、又は、複合化の後に必要に応じて複合化された粒子を分級することにより、本発明の粉体塗料を上記複合化された粉体塗料粒子よりなるものとして得ることができる。 【0028】 本発明の粉体塗料の製造にあたっては、用いられる原料は、樹脂を除く他の成分が、粒径700μm未満の粒子を40〜100重量%含んでいることが好ましく、60〜100重量%含んでいることがより好ましい。このような粉体塗料用原料を用いると、樹脂成分中に顔料や各種添加剤が均等に分散したペレットが得られるので、ペレットの粉砕により得られる粉体塗料は、各粒子中に各種原料成分がほぼ均等に含まれることになる。このため、塗膜の形成工程において、例えば、樹脂の硬化反応が均一に起こり易くなるため、平滑性等の外観がより良好な塗膜を形成することができる。 【0029】 本発明の粉体塗料の適用対象としては特に限定されず、例えば、自動車用、家電機器用、建材用、雑貨用等の鋼板、リン酸亜鉛処理鋼板、アルミニウム又はアルミニウム合金材等を挙げることができる。 本発明の粉体塗料の塗装方法としては、例えば、静電スプレー法、流動浸漬法等の周知の方法により本発明の粉砕塗料を被塗物の表面に所望の厚みで堆積させ、その後焼き付けることにより行うことができる。樹脂成分として熱硬化性樹脂を使用した場合には、硬化した塗膜が形成される。 【0030】 【実施例】 以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。 【0031】 参考例1 グリシジル基含有固型アクリル樹脂(Tg=50℃、数平均分子量3,000、エポキシ当量350)48重量部、1,10-デカンジカルボン酸12重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD-012、東都化成社製)2.2重量部、ポリシロキサン表面改質剤0.1重量部、ベンゾイン0.3重量部をスーパーミキサー(日本スピンドル製造社製)で攪拌混合し、コニーダー(ブス社製)で溶融混練し、冷却固化した。冷却固化物を粗粉砕し、粉体塗料用ペレットを得た。 【0032】 得られた粉体塗料用ペレットを衝撃型粉砕機(アトマイザー、不二パウダル社製)で粉砕し、粉砕物を0.7mm間隔のスクリーンメッシュを通過させ、325メッシュのタイラー標準ふるい(孔径44μm)を通過させて44μmよりも大きい粒子を除去し、気流分級機(DS-2型、日本ニューマチック工業社製)で2μmよりも小さい粒子の全量を分級除去して粉体塗料を得た。 【0033】 参考例2 分級の目標値を表1に示す値に設定し、325メッシュのタイラー標準ふるいの代わりに250メッシュのタイラー標準ふるい(孔径61μm)を用い、気流分級機により表1に示す粒径よりも小さい粒子を分級除去したこと以外は、参考例1と同様にして粉体塗料を得た。 【0034】 参考例3 分級の目標値を表1に示す値に設定し、325メッシュのタイラー標準ふるい(孔径44μm)を用い、気流分級機により表1に示す粒径よりも小さい粒子を分級除去したこと以外は、参考例1と同様にして粉体塗料を得た。 【0035】 参考例4 分級の目標値を表1に示す値に設定し、325メッシュのタイラー標準ふるいの代わりに250メッシュのタイラー標準ふるい(孔径61μm)を用い、気流分級機による分級を行わなかったこと以外は、参考例1と同様にして粉体塗料を得た。 【0036】 参考例5 分級の目標値を表1に示す値に設定し、325メッシュのタイラー標準ふるいの代わりに170メッシュのタイラー標準ふるい(孔径88μm)を用い、気流分級機により表1に示す粒径よりも小さい粒子を分級除去したこと以外は、参考例1と同様にして粉体塗料を得た。 【0037】 実施例6 参考例4で得られたアクリル粉体塗料に粒子径0.03〜0.05μm、Tg=100℃のアクリル樹脂(メチルメタクリレート87重量部、スチレン10重量部、メタクリル酸3重量部)微粉末を混合し、ヘンシェルミキサーにより30秒間乾式混合して複合化粉体塗料を得た。微粉末の混合割合は、粉体塗料の1.0重量%に設定した。 【0038】 得られた複合化粉体塗料の体積平均粒径、粒径分布標準偏差及び外観は、アクリル樹脂微粉末を混合する前とほとんど変化しなかった。しかし、搬送性は著しく改善されていた。また、粉体塗料を30℃で6ヵ月貯蔵し、粉体の凝集状態を目視で評価しところ、粉体の凝集が全くなく、貯蔵時のブロッキング性にも優れていた。一方、参考例4の粉体塗料について、同様にしてブロッキング性を評価したところ、粉体の凝集がほとんどなかった。 【0039】 実施例7 市販のポリエステル粉体塗料(P-100、日本ペイント社製)を分級の目標値を表1に示す値に設定し、200メッシュ(孔径74μm)のタイラー標準ふるいを用い、気流分級機により表1に示す粒径よりも小さい粒子を分級除去したこと以外は、参考例1と同様にして粉体塗料を得た。 【0040】 このポリエステル粉体塗料は、塗膜形成用樹脂である熱硬化性ポリエステル樹脂100重量部に対して硬化剤としてブロックイソシアネートを17重量部含み、顔料含有量が粉体塗料の全体重量に対し、40重量%であった。 【0041】 参考例6 市販のハイブリッド粉体塗料(H-100、日本ペイント社製)を分級の目標値を表1に示す値に設定し、200メッシュ(孔径74μm)のタイラー標準ふるいを用い、気流分級機により表1に示す粒径よりも小さい粒子を分級除去したこと以外は、参考例1と同様にして粉体塗料を得た。 【0042】 このハイブリッド粉体塗料は、塗膜形成用樹脂としてポリエステル樹脂50重量部とエポキシ樹脂50重量部とを含み、顔料含有量が粉体塗料の全体重量に対し40重量%であった。 【0043】 参考例7 参考例1で用いた配合に、更に、酸化チタン(CR-50、石原産業社製)20重量部を加えた配合であって、かつ、粒径700μm未満の成分の含有量が40重量%未満である粉体塗料用原料粒子群をスーパーミキサーで攪拌混合し、コニーダーで溶融混練し、冷却固化物を粗粉砕して参考例7の粉体塗料用ペレットを得た。得られたペレットを参考例1と同様にして粉砕し、分級の目標値を表1に示す値に設定し、250メッシュ(孔径61μm)のタイラー標準ふるいを用い、気流分級機により表1に示す粒径よりも小さい粒子を分級除去して粉体塗料を得た。 【0044】 参考例8 粒径700μm未満の成分の含有量が40重量%以上である粉体塗料用原料粒子群を用いたこと以外は、参考例7と同様にして粉体塗料を得た。 【0045】 比較例1 気流分級機により表1に示す粒径よりも大きい粒子及び小さい粒子を分級除去したこと以外は、参考例1と同様にして粉体塗料を得た。 【0046】 比較例2〜3 分級の目標値を表1に示す値に設定し、325メッシュのタイラー標準ふるいの代わりに150メッシュのタイラー標準ふるい(孔径104μm)を用い、気流分級機により表1に示す粒径よりも小さい粒子を分級除去したこと以外は、参考例1と同様にして粉体塗料を得た。 【0047】 比較例4 分級の目標値を表1に示す値に設定し、325メッシュのタイラー標準ふるいの代わりに170メッシュのタイラー標準ふるい(孔径88μm)を用い、気流分級機により表1に示す粒径よりも小さい粒子を分級除去したこと以外は、参考例1と同様にして粉体塗料を得た。 【0048】 比較例5 市販のポリエステル粉体塗料(P-100、日本ペイント社製)を分級の目標値を表1に示す値に設定し、150メッシュ(孔径104μm)のタイラー標準ふるいを用い、気流分級機により表1に示す粒径よりも小さい粒子を分級除去したこと以外は、参考例1と同様にして粉体塗料を得た。 【0049】 このポリエステル粉体塗料は、塗膜形成用樹脂である熱硬化性ポリエステル樹脂100重量部に対して硬化剤としてブロックイソシアネートを17重量部含み、顔料含有量が粉体塗料の全体重量に対し40重量%であった。 【0050】 比較例6 市販のハイブリッド粉体塗料(H-100、日本ペイント社製)を分級の目標値を表1に示す値に設定し、170メッシュ(孔径88μm)のタイラー標準ふるいを用い、気流分級機により表1に示す粒径よりも小さい粒子を分級除去したこと以外は、参考例1と同様にして粉体塗料を得た。 【0051】 このハイブリッド粉体塗料は、塗膜形成用樹脂としてポリエステル樹脂50重量部とエポキシ樹脂50重量部とを含み、顔料含有量が粉体塗料の全体重量に対し40重量%であった。 【0052】 比較例7 参考例1で用いた配合に、更に、酸化チタン(CR-50、石原産業社製)20重量部を加えた配合であって、かつ、粒径700μm未満の成分の含有量が40重量%未満である粉体塗料用原料粒子群をスーパーミキサーで攪拌混合し、コニーダーで溶融混練し、冷却固化物を粗粉砕して粉体塗料用ペレットを得た。 得られたペレットを参考例1と同様にして粉砕し、分級の目標値を表1に示す値に設定し、150メッシュ(孔径104μm)のタイラー標準ふるいを用い、気流分級機により表1に示す粒径よりも小さい粒子を分級除去して粉体塗料を得た。 【0053】 評価 得られた各粉体塗料を、下記の項目について評価した。結果を表1に示した。 1.粒径、粒径分布の測定 粒径は、粒径測定装置(マイクロトラック-II、リード・アンド・ノースロップ社製)を用いて測定した。得られた粒径/頻度の結果から、下式により体積平均粒径と粒径分布標準偏差を求めた。 σ=〔Σ{(D-X)2F}/ΣF〕1/2 (式中、σは、粒径分布標準偏差、Dは、個々の粒子の粒径、Xは、体積平均粒径を表す。X=Σ(DF)/ΣF、Fは、粒子の頻度である。) 【0054】 2.外観評価 実施例と比較例の各粉体塗料を静電塗装法により鉄板に均一に塗布し、140℃×20分の条件で焼き付けて塗膜を形成した。得られた塗膜の外観は、写像鮮明度測定器(スガ試験機社製)で測定されたNSIC値(%)で評価した。NSIC値は、図1に示す光学系を用いて塗膜表面による反射を介して結像した矩形波パターンの像をフーリエスペクトル解析することにより求められた。 【0055】 図1において、光源1から放射された光は、コンデンサーレンズ2、パターン3、投影レンズ4を通って塗装物5の塗装面で反射し、フォトダイオードアレー6の受光面に結像することで、結像波形を得た。光源1とフォトダイオードアレー6の受光面とは、塗装物5の塗装面に対して角度θの位置に配した。 【0056】 NSIC値は、形の情報を強調するためにベースライン強度bを減じた結像波形の、基本周波数ν0とその3倍の周波数3ν0のパワーの平方根の和 {P(ν0)1/2+P(3ν0)1/2} を、黒ガラス板についての同様の値 {P(ν0)1/2+P(3ν0)1/2}B.G. で基準化したもの: NSIC=〔{P(ν0)1/2+P(3ν0)1/2}/{P(ν0)1/2+P(3ν0)1/2}B.G.〕×100 であり、主として像のゆず肌感(矩形網からの形の歪み)を代表するものである。 【0057】 3.搬送性評価 粉体塗料の塗装システムは、通常、粉体フィーダー(流動層)からインジェクターを経由してホースにより塗装ガンに至る。上記塗装システムで粉体塗料を1時間連続的に搬送した後、インジェクター及びホース内での粉体塗料の堆積状態を目視し、搬送性を評価した。評価基準は次のとおりであった。 ◎:粉体が全く堆積しなかった。 ○:粉体がほとんど堆積しなかった。 ×:粉体が堆積してインジェクター又はホースをほとんど閉塞した。 【0058】 【表1】 【0059】 表1に示された結果から次のことが判明した。 比較例2と比較例3の粉体塗料は、それぞれ、体積平均粒径26.5μmと30.5μmであり、従来のクリアーの粉体塗料に相当し、粒径分布標準偏差が20μmを超えるので外観に劣る塗膜を形成した。比較例4のものは、体積平均粒径50μmを超えるので、粒径分布標準偏差20μm以下であっても外観に劣る塗膜を形成した。比較例1のものは、体積平均粒径9.5μmで粒径分布標準偏差7.2μmであり、上記公報で提案された粉体塗料に相当し、平均粒径20μm未満であるので、搬送性に劣っていた。 【0060】 参考例1〜5及び実施例6の粉体塗料は、体積平均粒径20〜50μm、粒径分布標準偏差20μm以下であり、搬送性に優れ、NSIC値60%以上の外観に優れた塗膜を形成した。粒径分布標準偏差16μm以下の参考例1は、NSIC値65%以上の高外観塗膜を形成した。実施例6の粉体塗料は、参考例4の粉体塗料に比べ、外観は同じレベルであったが、搬送性が著しく改良され、また、貯蔵時のブロッキング性にも優れていた。 【0061】 比較例5と比較例6の粉体塗料は、粒径分布標準偏差が20μmを超えるので、従来の顔料を配合した粉体塗料と同等の外観を有した塗膜を形成した。 実施例7の粉体塗料は、粒径分布標準偏差20μm以下であるので、比較例5のものに比べると、外観に優れた塗膜を形成した。 参考例6の粉体塗料は、粒径分布標準偏差20μm以下であるので、比較例6のものに比べると、外観に優れた塗膜を形成した。 実施例7と参考例6の粉体塗料は、参考例1〜5及び実施例6のものとは塗膜形成用樹脂が異なっているが、粒径分布標準偏差が20μm以下になることにより、搬送性を損なわずに外観の向上した塗膜を形成した。 【0062】 比較例7の粉体塗料は、粒径分布標準偏差が20μmを超えるので、従来の顔料を配合したアクリル粉体塗料と同等の外観を有した塗膜を形成した。 参考例7、参考例8の粉体塗料は、体積平均粒径が20〜50μmの範囲内であり、粒径分布標準偏差20μm以下であり、比較例7に比べ、外観に優れた塗膜を形成した。 また、参考例8は、粒径700μm未満の成分の含有量が40重量%以上の粉体塗料用原料粒子群からなり、参考例7に比較し、さらに外観が向上した。 【0063】 【発明の効果】 本発明の粉体塗料は、上述の構成よりなるので、搬送性に優れ、かつ、高外観の塗膜を形成することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 塗膜の外観評価に用いた装置の光学系の概略図。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2003-10-03 |
結審通知日 | 2003-10-08 |
審決日 | 2003-10-21 |
出願番号 | 特願平7-145602 |
審決分類 |
P
1
122・
121-
YA
(C09D)
P 1 122・ 113- YA (C09D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中田 とし子 |
特許庁審判長 |
鐘尾 みや子 |
特許庁審判官 |
後藤 圭次 西川 和子 |
登録日 | 1998-11-06 |
登録番号 | 特許第2849353号(P2849353) |
発明の名称 | 粉体塗料 |
代理人 | 玉井 敬憲 |
代理人 | 諸田 勝保 |
代理人 | 折口 信五 |
代理人 | 野田 慎二 |
代理人 | 安富 康男 |
代理人 | 折口 信五 |
代理人 | 玉井 敬憲 |
代理人 | 佐藤 明子 |
代理人 | 折口 信五 |
代理人 | 佐藤 明子 |
代理人 | 渡辺 みのり |
代理人 | 八木 敏安 |
代理人 | 八木 敏安 |
代理人 | 野田 慎二 |
代理人 | 梅井 美佐 |
代理人 | 安富 康男 |
代理人 | 工藤 愛子 |
代理人 | 梅井 美佐 |
代理人 | 折口 信五 |
代理人 | 折口 信五 |
代理人 | 諸田 勝保 |
代理人 | 折口 信五 |
代理人 | 工藤 愛子 |
代理人 | 渡辺 みのり |