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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G02B
管理番号 1093096
異議申立番号 異議2002-72408  
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-11-05 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-10-01 
確定日 2003-12-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3271254号「ビデオカメラ用撮影レンズ構体の保持装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3271254号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第3271254号は、平成4年4月13日に特許出願され、平成14年1月25日にその特許の設定登録がなされ、その後、異議申立人鈴木正己から特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成15年1月30日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
訂正事項a
特許明細書の請求項1を、「駆動モータを搭載した撮影レンズ構体をカメラ基体としてのカメラキャビネットおよび該カメラキャビネット内のカメラ基板に取り付けるビデオカメラ用撮影レンズ構体の保持装置において、
軟性袋状体内にゲル状のシリコン等を封入してマット状に形成された振動吸収・遮音用の軟性材を有し、
前記軟性材が、前記撮像レンズ構体のレンズ開口部分を除き、前記駆動モータを含む撮影レンズ構体の外側略全体を覆って、前記撮影レンズ構体とユニット状にされていると共に、
前記撮影レンズ構体を前記カメラキャビネットおよび前記カメラ基板に前記軟性材を介して当接させ取り付けることを特徴とするビデオカメラ用撮影レンズ溝体の保持装置。」と訂正する。
訂正事項b
特許明細書の【0005】段落の「駆動モータを搭載した撮影レンズ構体をカメラ基体に取り付けるビデオカメラ用撮影レンズ構体の保持装置において、軟性袋状体内にゲル状のシリコン等を封入してマット状に形成された振動吸収・遮音用の軟性材を有し、前記軟性材が、前記撮像レンズ構体のレンズ開口部分を除き、前記駆動モータを含む撮影レンズ構体の外側略全体を覆って、前記撮影レンズ構体とユニット状にされていると共に、前記撮影レンズ構体を前記カメラ基体に前記軟性材を介して当接させ取り付けるようにしたものである。」を、「駆動モータを搭載した撮影レンズ構体をカメラ基体としてのカメラキャビネットおよび該カメラキャビネット内のカメラ基板に取り付けるビデオカメラ用撮影レンズ構体の保持装置において、軟性袋状体内にゲル状のシリコン等を封入してマット状に形成された振動吸収・遮音用の軟性材を有し、前記軟性材が、前記撮像レンズ構体のレンズ開口部分を除き、前記駆動モータを含む撮影レンズ構体の外側略全体を覆って、前記撮影レンズ構体とユニット状にされていると共に、前記撮影レンズ構体を前記カメラキャビネットおよび前記カメラ基板に前記軟性材を介して当接させ取り付けるようにしたものである。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項aについて
上記訂正事項aは、特許明細書の請求項1に記載された「カメラ基体に取り付ける」及び「撮影レンズ構体をカメラ基体に前記軟性材を介して当接させ」を、それぞれ、「カメラ基体としてのカメラキャビネットおよび該カメラキャビネット内のカメラ基板に取り付ける」及び「撮影レンズ構体を前記カメラキャビネットおよびカメラ基板に前記軟性材を介して当接させ」に訂正するものであって、当該訂正事項aは、撮像レンズ構体がカメラ基体に取り付けられるという表現であると、カメラ基体がカメラキャビネットなのか否か不明りょうなため、カメラ基体としてのカメラキャビネットおよび該カメラキャビネット内のカメラ基板に取り付けられることを明りょうにしたものであるから、明りょうでない記載の釈明に当たる。
上記訂正事項aは、特許明細書中、【0002】段落の「図4は、従来の保持構造を適用したビデオカメラの概略構成配置図である。図4において、ビデオカメラ51の撮影レンズ構体52は、カメラ基体としてのカメラキャビネット53およびカメラ基板54に、ビス55で直接取り付けらた剛結構造となっている。」、【0008】段落の「撮影レンズ構体2は、カメラ基体としてのカメラキャビネット5およびカメラ基板6に軟性樹脂材(振動吸収・遮音用軟性材)7を介して取り付けた構造となっている。」及び【0010】段落の「撮影レンズ構体2をカメラ基体に取り付ける場合は、撮影レンズ構体2をカメラキャビネット5およびカメラ基板6に直接当援させずに、この撮影レンズ構体2の外側を覆っている軟性樹脂材7を介して当援させ、その後から図示せぬ手段により固定して保持させる。」に記載されていたものであるから、上記訂正事項aは、特許明細書又は図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。
訂正事項b
上記訂正事項bは、上記訂正事項aの特許請求の範囲の訂正による明細書の発明の詳細な説明と特許請求の範囲との不一致を解消するものである。
従って、訂正事項bについては、明りょうでない記載の釈明に当たる。
また、上記訂正事項bは、特許明細書又は図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。

(3)むすび
上記訂正事項a及びbは、上記(2)のとおりであるから、平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、改正前の特許法第126条第1項ただし書、同条第2項の規定に適合する。
従って、当該請求を認める。

3.特許異議申立てについての判断
(1)申立て理由の概要
異議申立人鈴木正己は、甲第1号証(特開昭63-236496号公報)、甲第2号証(特開昭63-222500号公報)及び甲第3号証(特開昭61-167284号公報)を提出し、本件請求項1に係る発明は、上記甲第1〜3号証記載の発明に基いて当業者が容易に発明できたものであるから、本件請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、本件請求項1に係る特許を取り消すべき旨主張している。

(2)本件の請求項1に係る発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1に係る発明は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。

(3)刊行物等
異議申立人鈴木正己が証拠として提示した刊行物には、それぞれ、以下のような発明が記載されている。
刊行物1:特開昭63-236496号公報(甲第1号証)
甲第1号証の第1頁右欄第3行から第15行には、「カメラ一体化のVTR(1)では、マイク(2)は第1カバー(3)と第2カバー(4)によって挟持される如く取り付けられているが、…カメラ部分を構成するAF(オートフォーカス)モータ(7)及びPZ(パワーズーム)モータ(8)の駆動振動、…が第1、第2カバー(3)(4)を媒体としてマイク(2)へ伝ってくるので、マイク(2)はこれらの振動音をキャッチしてノイズとして出力してしまうのである。尚、第8図において、10は撮影レンズ、…である。」と記載されている。
甲第1号証の第3頁左上欄第16行から右上欄第10行「取り付け部とマイクユニット(31)とを連結する連結部(39)は保持層として断面コ字形で環状をした内側スキン層(40)と外側スキン層(41)、並びにゲル状物質としてその間に封入されたα-Gel(42)を有している。このα-Gelはシリコンを基材として無色透明なゲル状物質で、針入度が50〜200であり、衝撃吸収や振動防止等に極めて高い特性をもつことが知られている。本実施例では、このα-Gel(42)を内外側スキン層(40)(41)と、該スキン層(40)(41)の内に配した内部リング(43)(44)とで形成されるスペースに充填している。そして、α-Gel(42)はそのスペースの形に適合して断面長方形の環状体となると共にスキン層(40)(41)、内部リング(43)(44)とで1つのユニット状態になる。」と記載されている。
甲第1号証の第3頁右上欄第11行から左下欄第3行には、「また、スキン層の両端にはネジタップが形成された第1、第2の外部リング(45)(46)がそれぞれ配され、前記内部リング(43)(44)とネジ(47)によって固定される。…前記第1外部リング(45)はVTR本体(48)(第7図参照)にマイクを取り付けるための取り付け部(49)としての役目も果たす。…他端側の第2外部リング(46)には…上記押え部材(33)をネジ(60)で固定するためのタップ(51)が形成されている。」と記載されている。
甲第1号証の第3頁左下欄第9行から第15行には、「以上の構成ではVTR本体から取り付け部(49)及び連結部(39)に伝わってくる振動はα-Gel(42)によって実質的に吸収されて、マイクユニット(31)側へは殆ど伝達されない。α-Gelを保持する手段がスキン層(40)(41)の如く極めて薄い部材で形成されている場合には保持手段を介して振動が伝わる可能性も少ない。」と記載されている。
甲第1号証の第4頁右上欄第6行から第12行には、「本発明によれば取り付け部に対しマイクを結合する連結部に振動吸収性のよいゲル状物質を設けているので、取り付け部側から伝ってくる各種の振動音が好適に除去され、マイク側に伝達されないという効果がある。その結果、マイクの出力信号には、それが取り付けられる機器本体からの振動音によるノイズは発生しない。」と記載されている。
刊行物2:特開昭63-222500号公報(甲第2号証)
甲第2号証の第2頁左下欄第6行から第20行には、「筺体2内に収納されたテレビカメラ1及びレンズ3と筺体2の内周面との間に緩衝部材10が充填されている。この緩衝部材10は発泡スチロール、発泡ポリスチレン、ネオプレンスポンジなどで形成されていて、気泡は不連続であってもよい。緩衝部材10がテレビカメラ1及びレンズ3に当接する面は凹凸状に形成されており、独立した凸部10aがカメラ1及びレンズ3に当接して支持している。この凸部10aがカメラ1及びレンズ3に接触する面積及び高さは、カメラ1及びレンズ3の重量、外部振動の大きさ、緩衝部材10の緩衝係数などによって適当な寸法に選定されており、外部の振動を十分に減衰し、カメラ1及びレンズ3に伝わる振動が十分小さくなるように構成されている。」と記載されている。
甲第2号証の第3頁右上欄第2行から第8行には、「筺体内に収納された電子機器と筺体との間に緩衝部材を充填し、この緩衝部材の前記電子機器と当接する面に連続した凹部を有する凹凸部を形成したので、この緩衝部材の凸部で電子機器の外周面を保持することができ、あらゆる方向の外部振動を吸収することができる。」と記載されている。
刊行物3:特開昭61-167284号公報(甲第3号証)
甲第3号証の第1頁右欄第3行から第2頁左上欄第9行には、「第6図はズーミングをモータで行なうための構造例を示すもので、ズ一ミング環11は固定鏡筒12に回動可能に支持され、…。ズーミング環11にはその後端部外周に、ズームギヤ25が形成されている。このズームギヤ25は駆動モータ26の出力軸27に設けたピニオン28と噛み合っている。したがって駆動モータ26を駆動すると、出力軸27、ピニオン28及びズームギヤ25を介してズーミング環11が回動し、カム環13がこれと一体に回動する。すると、カム溝19と20の関係に従ってバリエータレンズ枠15およびコンペンセータレンズ枠16が光軸方向に移動し、レンズ系全体の焦点距離が変化する。」と記載されている。
甲第3号証の第2頁左上欄第10行から第14行には、「この駆動モータ26よるズーミングでは、駆動モータ26の振動がレンズ側に伝わると、レンズ鏡筒と共鳴して不必要な音(騒音)が生じ、この音がVTRに記録されてしまったり、あるいはピントずれや画面の振動の原因となるため、」と記載されている。

(4)対比・判断
本件請求項1に係る発明が、「軟性袋状体内にゲル状のシリコン等を封入してマット状に形成された振動吸収・遮音用の軟性材を有し、
前記軟性材が、前記撮像レンズ構体のレンズ開口部分を除き、前記駆動モータを含む撮影レンズ構体の外側略全体を覆って、前記撮影レンズ構体とユニット状にされている」構成(以下、「本件請求項1に係る発明の特徴的構成」という。)を有することにより、「本発明に係るビデオカメラ用撮影レンズ構体の保持装置によれば、撮影レンズ構体側の駆動モータ等より発生する放射音や振動は軟性材で吸収されて媒体にノイズとして記録されることがないので、品質の良い記録が可能になる。また、カメラの落下時等、外部からの衝撃を受けた場合でも、この衝撃を軟性材で吸収して撮影レンズ構体を保護することができ、耐衝撃性が向上する。」(特許明細書【発明の効果】)という効果を有するものである。
これに対し、甲第1号証記載の発明は、「取り付け部に対しマイクを結合する連結部に振動吸収性のよいゲル状物質を設けているので、取り付け部側から伝ってくる各種の振動音が好適に除去され、マイク側に伝達されない」ものにすぎず、上記本件請求項1に係る発明の特徴的構成を有していない。
また、甲第2号証記載の発明は、「筺体内に収納された電子機器と筺体との間に緩衝部材を充填し、この緩衝部材の前記電子機器と当接する面に連続した凹部を有する凹凸部を形成したので、この緩衝部材の凸部で電子機器の外周面を保持することができ、あらゆる方向の外部振動を吸収する」ものにすぎず、上記本件請求項1に係る発明の特徴的構成を有していない。
さらに、甲第3号証記載の発明は、「フォーカシングまたはズーミングの駆動用モータと、これの支持体との間に介在させる防振用弾性体の表裏に、特別に位置を設定した突起を設けるという簡単な構成によって、モータの振動を効果的に吸収し、振動がモータの支持体からレンズ側に伝達されるのを防ぐことができる。」ものにすぎず、上記本件請求項1に係る発明の特徴的構成を有していない。
そうすると、甲第1号証〜甲第3号証記載の発明いずれにも、上記本件請求項1に係る発明の特徴的構成の記載及びその記載を示唆する記載がないから、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証〜甲第3号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。

(5)むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
従って、本件請求項1に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ビデオカメラ用撮影レンズ構体の保持装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 駆動モータを搭載した撮影レンズ構体をカメラ基体としてのカメラキャビネットおよび該カメラキャビネット内のカメラ基板に取り付けるビデオカメラ用撮影レンズ構体の保持装置において、
軟性袋状体内にゲル状のシリコン等を封入してマット状に形成された振動吸収・遮音用の軟性材を有し、
前記軟性材が、前記撮像レンズ構体のレンズ開口部分を除き、前記駆動モータを含む撮影レンズ構体の外側略全体を覆って、前記撮影レンズ構体とユニット状にされていると共に、
前記撮影レンズ構体を前記カメラキャビネットおよび前記カメラ基板に前記軟性材を介して当接させ取り付けることを特徴とするビデオカメラ用撮影レンズ構体の保持装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ビデオカメラ用撮影レンズ構体をカメラ基体に取り付ける保持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、従来の保持構造を適用したビデオカメラの概略構成配置図である。図4において、ビデオカメラ51の撮影レンズ構体52は、カメラ基体としてのカメラキャビネット53およびカメラ基板54に、ビス55で直接取り付けらた剛結構造となっている。また、この撮影レンズ構体52はズームレンズで、ズーミング操作用の駆動モータ56が搭載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来構造のビデオカメラ51では、ズーミング操作されると、モータ駆動音および図示せぬ動力伝達ギヤ間の噛み合い音等でなる放射音と共に振動が発生する。また、これら放射音や振動は、カメラキャビネット53やカメラ基板54で伝播・増幅され、これがビデオカメラ51に取り付けられているマイクロフォン57に入力され、ノイズとなって記録される。これは、特にマイクロフォン57の感度が向上して高性能になるに従って問題となる。また、このノイズの振動周波数は50Hz〜10KHzにわたる。さらに、従来構造のように、ビスで撮影レンズ構体を剛結しているものでは、落下時等の衝撃力が撮影レンズ構体に直接伝わり、故障し易いと言う問題点等もあった。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は撮影レンズ構体側より発生する放射音や振動の吸収効果を高め、ノイズとして記録されるのを低減し、また外部衝撃等から撮影レンズ構体を保護することができる構造にしたビデオカメラ用撮影レンズ構体の保持装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、駆動モータを搭載した撮影レンズ構体をカメラ基体としてのカメラキャビネットおよび該カメラキャビネット内のカメラ基板に取り付けるビデオカメラ用撮影レンズ構体の保持装置において、軟性袋状体内にゲル状のシリコン等を封入してマット状に形成された振動吸収・遮音用の軟性材を有し、前記軟性材が、前記撮像レンズ構体のレンズ開口部分を除き、前記駆動モータを含む撮影レンズ構体の外側略全体を覆って、前記撮影レンズ構体とユニット状にされていると共に、前記撮影レンズ構体を前記カメラキャビネットおよび前記カメラ基板に前記軟性材を介して当接させ取り付けるようにしたものである。
【0006】
【作用】
この構成によれば、撮影レンズ構体側の駆動モータ等より発生する放射音や振動は軟性材で吸収されて記録媒体にノイズとして記録されることがないので、品質の良い記録が可能になる。また、カメラの落下時等、外部からの衝撃を受けた場合でも、この衝撃を軟性材で吸収して撮影レンズ構体を保護することができる。撮影レンズ構体を直接カメラ基体に固定せず、軟性材を介して固定しているので自由度が得られ、取り付け部分に多少の設計変更等が生じても使用することができ、撮影レンズ構体の共通化が図れる。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例に係るビデオカメラの概略構成を一部破断して示す正面図で、図2は図1の同上ビデオカメラを一部破断して示す斜視図である。
図1および図2において、このビデオカメラ1は、前面側に撮影レンズ構体2のレンズ開口部2aとマイクロフォン3が配設され、後面側にファインダー部4が設けられている。
【0008】
また、撮影レンズ構体2は、カメラ基体としてのカメラキャビネット5およびカメラ基板6に軟性樹脂材(振動吸収・遮音用軟性材)7を介して取り付けた構造となっている。また、この撮影レンズ構体2はズームレンズで、ズーミング操作するための駆動モータ8が搭載されている。
【0009】
軟性樹脂材7は、図3に要部断面図を示すように、軟性ゴム薄膜で形成された袋状体9内に、液体にほぼ近いゲル状のシリコン10を封入してマット状に形成され、これを撮影レンズ構体2のレンズ開口部2aの部分を除いて、駆動モータ8を含む撮影レンズ構体2の外側全体をスッポリと包むように覆って取り付けられ、撮影レンズ構体2とユニットにした状態で取り扱われる。また、この軟性樹脂材7を作る場合は、50Hz〜10KHzの周波数帯域の音および振動を吸収できる構造にする。
【0010】
そして、撮影レンズ構体2をカメラ基体に取り付ける場合は、撮影レンズ構体2をカメラキャビネット5およびカメラ基板6に直接当接させずに、この撮影レンズ構体2の外側を覆っている軟性樹脂材7を介して当接させ、その後から図示せぬ手段により固定して保持させる。
【0011】
したがって、このように構成された本実施例の構造によれば、撮影レンズ構体2側の駆動モータ8等より発生する放射音や振動は軟性樹脂材7で吸収されて記録媒体にノイズとして記録されることがないので、品質の良い記録が可能になる。また、軟性樹脂材7を構成している袋状体9およびシリコン10の材質を変更することにより、目的の防振点に効果がでるよう簡単にできる。さらに、カメラの落下や外部からの衝撃を受けた場合でも、この衝撃を軟性樹脂材7で吸収して撮影レンズ構体2を保護することができる。撮影レンズ構体2をカメラ基体(カメラキャビネット5およびカメラ基板6)に直接固定せず、軟性樹脂材7を介して固定しているので自由度が得られ、取り付け部分に多少の設計変更等が生じても使用することができ、撮影レンズ構体2の共通化が図れる。
【0012】
なお、上記実施例の構造では、軟性樹脂材7を軟性ゴム薄膜で形成された袋状体9内に、液体にほぼ近いゲル状のシリコン10を封入してなる構造のものを開示したが、撮影レンズ構体2側からの放射音を吸収できる構造であれば、シリコン10以外でも差し支えないものである。
【0013】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明に係るビデオカメラ用撮影レンズ構体の保持装置によれば、撮影レンズ構体側の駆動モータ等より発生する放射音や振動は軟性材で吸収されて媒体にノイズとして記録されることがないので、品質の良い記録が可能になる。また、カメラの落下時等、外部からの衝撃を受けた場合でも、この衝撃を軟性材で吸収して撮影レンズ構体を保護することができ、耐衝撃性が向上する。撮影レンズ構体を直接カメラ基体に固定せず、軟性材を介して固定しているので自由度が得られ、取り付け部分に多少の設計変更等が生じても使用することができ、撮影レンズ構体の共通化が図れ、コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るビデオカメラの概略構成を一部破断して示す正面図である。
【図2】図1の同上ビデオカメラを一部破断して示す斜視図である。
【図3】軟性樹脂材単品の要部断面図である。
【図4】従来の保持構造を適用したビデオカメラの概略構成配置図である。
【符号の説明】
1 ビデオカメラ
2 撮影レンズ構体
5 カメラキャビネット(カメラ基体)
6 カメラ基板(カメラ基体)
7 軟性樹脂材(振動吸収・遮音用軟性材)
8 駆動モータ
9 袋状体
10 ゲル状のシリコン
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-11-26 
出願番号 特願平4-118461
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G02B)
最終処分 維持  
特許庁審判長 鹿股 俊雄
特許庁審判官 辻 徹二
柏崎 正男
登録日 2002-01-25 
登録番号 特許第3271254号(P3271254)
権利者 ソニー株式会社
発明の名称 ビデオカメラ用撮影レンズ構体の保持装置  
代理人 山本 秀樹  
代理人 山本 秀樹  

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