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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  B60J
管理番号 1093141
異議申立番号 異議2003-70833  
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-04-18 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-03-26 
確定日 2004-01-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3365006号「自動車用ルーフサイドウエザストリップ」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3365006号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 【1】手続の経緯
本件特許第3365006号は、平成5年10月4日付けの特許出願に係り、平成14年11月1日にその請求項1に係る発明について特許権の設定登録がなされたものであり、その後、平成15年3月26日に特許異議申立人・松下博昭より、上記請求項1に係る発明の特許に対して特許異議の申立てがあったので、当審において当該申立ての理由を検討の上、平成15年9月11日付けで特許取消理由を通知したところ、その通知書で指定した期間内である平成15年11月25日に特許異議意見書と共に訂正請求書が提出されたものである。

【2】訂正の適否について
1.訂正の要旨
上記平成15年11月25日付けの訂正請求は、願書に添付した明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであるが、その訂正の要旨は、次の訂正事項aないしcのとおりのものと認める。
(1)訂正事項a
願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1において、「押出成形のウエザストリップを型成形で接続してコーナ部が成形されたルーフサイドウエザストリップ」とあるのを、「中空状のシール部内にはシール部の剛性を補うためにブリッジが設けられた押出成形による一般部のウエザストリップを型成形で接続してコーナ部が成形されたルーフサイドウエザストリップ」と訂正し、また、「対向する突起を形成したこと」とあるのを、「対向する突起を形成し、上記両突起は、シール部のシール壁がドアガラスにより押し付けられたときに当接して該シール壁を支えることにより上記一般部のブリッジと同様の作用をなすように構成されたこと」と訂正する。
(2)訂正事項b
願書に添付した明細書の段落【0008】において、「押出成形のウエザストリップを型成形で接続してコーナ部が成形されたルーフサイドウエザストリップ」とあるのを、「中空状のシール部内にはシール部の剛性を補うためにブリッジが設けられた押出成形による一般部のウエザストリップを型成形で接続してコーナ部が成形されたルーフサイドウエザストリップ」と訂正する。
(3)訂正事項c
願書に添付した明細書の段落【0010】において、「ウエザストリップ3は、リヤ側のコーナ部Cにおいて、押出成形のウエザストリップが型成形コーナ部3Aで接続されている。」とあるのを、「ウエザストリップ3は、リヤ側のコーナ部Cにおいて、中空状のシール部内にはシール部の剛性を補うためにブリッジが設けられた押出成形による一般部のウエザストリップが型成形コーナ部3Aで接続されている。」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項aについて
上記訂正事項aは、訂正前の請求項1に記載の「押出成形のウエザストリップ」を「中空状のシール部内にはシール部の剛性を補うためにブリッジが設けられた押出成形による一般部のウエザストリップ」と限定すると共に、型成形コーナ部のシール部に形成される両突起について、「上記両突起は、シール部のシール壁がドアガラスにより押し付けられたときに当接して該シール壁を支えることにより上記一般部のブリッジと同様の作用をなすように構成されたこと」と限定するものであるので、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
また、上記訂正事項aは、願書に添付した明細書の段落【0004】、【0009】、【0014】及び図面の図2、3の記載に基づくものであるので、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項b及びcについて
上記訂正事項b及びcは、明細書の発明の詳細な説明の欄の段落【0008】及び【0010】の記載を、特許請求の範囲の請求項1についての上記訂正事項aと整合するように訂正するものであるので、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。
また、上記訂正事項b及びcは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、更に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項各号に掲げる事項を目的とするもので、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

【3】特許異議の申立てについて
1.申立ての理由の概要
特許異議申立人・松下博昭は、甲第1号証(実願平5-43660号(実開平7-8032号)のCD-ROM)及び甲第2号証(実願平1-87448号(実開平3-26617号)のマイクロフィルム)を証拠として提出して、本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当するか、または、甲第1号証に記載された発明又は当該発明と甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であるから、当該請求項1に係る発明についての特許は、特許法第29条の規定により、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであり、取り消すべき旨主張している。

2.本件発明
上記【2】で示したように上記訂正が認められるから、本件特許の請求項1に係る発明は、上記平成15年11月25日付けの訂正請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められる。
「【請求項1】 自動車のルーフサイドに沿って取付けられる基部と、該基部とで中空体を形成し、ドア閉時にドアガラスの周縁が押付けられるシール部を備え、中空状のシール部内にはシール部の剛性を補うためにブリッジが設けられた押出成形による一般部のウエザストリップを型成形で接続してコーナ部が成形されたルーフサイドウエザストリップにおいて、
型成形コーナ部のシール部には、ドアガラスの当接位置よりも車内側の内面に突起を形成し、基部には上記突起と僅少な間隙をおいて対向する突起を形成し、上記両突起は、シール部のシール壁がドアガラスにより押し付けられたときに当接して該シール壁を支えることにより上記一般部のブリッジと同様の作用をなすように構成されたことを特徴とする自動車用ルーフサイドウエザストリップ。」(以下、「本件発明」という。)

3.先願と先願明細書等の記載事項
上記1.で示したように、特許異議申立人・松下博昭は、甲第1号証(実願平5-43660号(実開平7-8032号)のCD-ROM)が特許法第29条第1項第3号に規定するところの刊行物に該当することを、本件発明についての特許を取り消すべき旨の主張の根拠としているが、甲第1号証は、本件発明に係る出願の日(平成5年10月4日)前の他の出願(実願平5-43660号(以下、「先願」という。))であって、本件発明に係る出願後に出願公開されたものであるので、当該甲第1号証を、特許法第29条の2第1項に規定するところの先願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)と同一の内容を示すものとすると、先願の当初明細書等には、「ウエザーストリップ」に関して、図1,2,5〜7と共に、次の事項が記載されていると認められる。
ア)「ハードトップ車のウエザーストリップ型成形部において、中空シール部(52)のシール面の裏側の面に、基底部(51)に向かって移動押片(56)を突設すると共に、基底部(51)の中空シール部(52)側の面に、シール面に向かって、固定押片(57)を突設してなり、ドア(20)を閉め、ドアガラス(21)で押して、中空シール部(52)を変形させた状態で、両押片(56,57)同士を突き合わせて中空シール部(52)のシール圧を高める如く構成してなるウエザーストリップ。」(【実用新案登録請求の範囲】の【請求項1】)
イ)「【従来の技術】
図1乃至図5を参考にして説明する。図中に二等辺三角形の頂角から下した中線の一方を塗潰した記号を使用しているが、これは塗潰し側が型成形部を表わし、非塗潰し側が押出成形部を表わしている。従来、例えばハードトップ車のセンターピラー部のウエストラインに取付けるウエザーストリップの端末の型成形部分として次のようなものがある。……図5における43,44はそれぞれウエザーストリップ押出成形部40の前後の中空シール部42,42のシール圧を高めるブリッジであって、前者については、中空部を外側から内側に3つに分ける2本のブリッジ43,43よりなり、その一端は基底部41のそれぞれ前部・後部に、他端はドアガラス21,21内面に当たる部分に纏めて結合してあり、後者については、前後に延びる長いブリッジ44のみよりなる。39は中央モール部分である。
……また、ウエザーストリップ押出成形部40とウエザーストリップ型成形部30との接続部に荷重差が生じると、シール荷重が変化し、水漏れを起こす等シール性を悪化させることがある。」(段落【0002】、【0003】)
ウ)「【実施例】
実施例について説明すると、20,20はそれぞれ前後のドア、21,21はその前後のドア20,20に取付けたドアガラス、50は本考案のウエザーストリップのセンターピラー端末部の型成形部分であって、次のように構成される。すなわち、51,51は図示されない前後一対のリテーナーにそれぞれ嵌着する基底部、52,52はそれぞれフロント側及びリア側のドア20,20を閉じた時、ドアガラス21,21の端面及び内面とそれぞれ弾接する中空シール部であって、前記基底部51,51にそれぞれ一体に結合してあり、いずれもシール面の肉厚を薄くし、肌荒れを防止するようにしてある。56は各中空シール部52のシール面の裏側の面に、基底部51に向かって突設した押片、57は基底部51の中空シール部52側の面に、シール面に向かって突設した押片であって、ドア20を閉め、ドアガラス21で押して、中空シール部52を変形させた状態で、押片56,57同士を突き合わせるか、……中空シール部52のシール圧を高めるようにするものである。さらに具体的に説明すると、押片56,57の長さはガラス非接触状態において約2〜3ミリの隙間に設定することが好ましい。」(段落【0006】)

ハードトップ車のウエザーストリップにおいては、その基底部41,51がセンターピラーやルーフサイド等の車体開口部に沿って取り付けられることは技術常識であるので、上記事項ア〜ウ及び図1,2,5〜7の記載を総合すると、先願の当初明細書等には、
「自動車の車体開口部に沿って取付けられる基底部41,51と、該基底部41,51とで中空体を形成し、ドア閉時にドアガラス21の端面及び内面が押付けられる中空シール部42,52を備え、中空シール部42内には中空シール部42のシール圧を高めるためにブリッジ43,44が設けられた押出成形部40のウエザストリップを型成形部50で接続したウエザストリップにおいて、
型成形部50の中空シール部52には、ドアガラス21の当接位置よりも車内側の内面に移動押片56を形成し、基底部51には上記移動押片56と僅少な間隙をおいて対向する固定押片57を形成し、上記両押片56,57は、中空シール部52のシール壁がドアガラス21により押し付けられたときに突き合わせられることにより中空シール部52のシール圧を高めるように構成された自動車用ウエザストリップ」
の考案(以下、「先願の当初明細書等に記載の考案」という。)が記載されていると認められる。

4.対比・判断
本件発明と先願の当初明細書等に記載の考案とを対比すると、先願の当初明細書等に記載の考案の「基底部41,51」、「中空シール部42,52」、「移動押片56」、「固定押片57」は、それぞれ、本件発明の「基部」、「シール部」、「突起(34)」、「突起(35)」に相当する。
また、先願の当初明細書等に記載の考案の「中空シール部42のシール圧を高める」ことと、本件発明の「シール部の剛性を補う」こととは実質的に同じ機能をいうものであるので、当該機能を有するブリッジ43,44が設けられた先願の当初明細書等に記載の考案の「押出成形部40」は、同じ機能を有するブリッジが設けられた本件発明の「押出成形による一般部」に相当する。
更に、先願の当初明細書等に記載の考案においても、両押片56,57が「突き合わせられる」と、本件発明の両突起と同様に、「当接してシール壁を支える」ようになることは明らかである。
そして、先願の当初明細書等には、実施例としてはセンターピラー端末部の型成形部50に関する事項が記載されているだけで、本件発明のような、ルーフサイドウエザストリップのコーナ部の型成形部について直接的には記載されていないが、ハードトップ車のウエザーストリップにおいては、センターピラー端末部を型成形部とすることのみならず、ルーフサイドのコーナ部を型成形部とすることは技術常識であって、当該ルーフサイドのコーナ部が上記センターピラー端末部の型成形部50と同様な特徴とする構成を有するものであることは明らかであり、先願の当初明細書等に記載されているに等しい事項といえる。
そうすると、本件発明と先願の当初明細書等に記載の考案とは、
「自動車のルーフサイドに沿って取付けられる基部と、該基部とで中空体を形成し、ドア閉時にドアガラスの周縁が押付けられるシール部を備え、中空状のシール部内にはシール部の剛性を補うためにブリッジが設けられた押出成形による一般部のウエザストリップを型成形で接続してコーナ部が成形されたルーフサイドウエザストリップにおいて、
型成形コーナ部のシール部には、ドアガラスの当接位置よりも車内側の内面に突起を形成し、基部には上記突起と僅少な間隙をおいて対向する突起を形成し、上記両突起は、シール部のシール壁がドアガラスにより押し付けられたときに当接して該シール壁を支えるように構成された自動車用ルーフサイドウエザストリップ」
である点で実質的に一致するといえる。
しかしながら、本件発明では、両突起が「上記一般部のブリッジと同様の作用をなすように構成され」たもの、すなわち、両突起が当接すると、一般部のブリッジとほぼ同じ位置でほぼ同じ形状となるように構成されて一般部のブリッジと同様の作用をなすものであるのに対して、先願の当初明細書等に記載の考案の両押片56,57は、突き合わせられると、中空シール部52のシール圧を高めるように構成されたものであって、中空シール部のシール圧を高める点では、押出成形部40のブリッジ43,44と同様の作用をなすものであるが、突き合わせられた状態を示す図7の記載をみると、両押片56,57は、図5に示す押出成形部40のブリッジ43,44とは異なった位置及び形状で突き合わせられているので、本件発明と先願の当初明細書等に記載の考案とは、両突起(両押片56,57)と一般部(押出成形部40)のブリッジとの対応関係において相違している。
そして、甲第2号証(実願平1-87448号(実開平3-26617号)のマイクロフィルム)を検討しても、本件発明の「上記両突起は、シール部のシール壁がドアガラスにより押し付けられたときに当接して該シール壁を支えることにより上記一般部のブリッジと同様の作用をなすように構成されたこと」という構成事項が記載されているとはいえず、また、本件発明の上記構成事項が、周知技術又は慣用手段であることを示す他の証拠もみあたらない。
よって、本件発明は、先願明細書等に記載の考案と同一であるとはいえない。

【4】むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
自動車用ルーフサイドウエザストリップ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 自動車のルーフサイドに沿って取付けられる基部と、該基部とで中空体を形成し、ドア閉時にドアガラスの周縁が押付けられるシール部を備え、中空状のシール部内にはシール部の剛性を補うためにブリッジが設けられた押出成形による一般部のウエザストリップを型成形で接続してコーナ部が成形されたルーフサイドウエザストリップにおいて、
型成形コーナ部のシール部には、ドアガラスの当接位置よりも車内側の内面に突起を形成し、基部には上記突起と僅少な間隙をおいて対向する突起を形成し、上記両突起は、シール部のシール壁がドアガラスにより押し付けられたときに当接して該シール壁を支えることにより上記一般部のブリッジと同様の作用をなすように構成されたことを特徴とする自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用ルーフサイドウエザストリップ、特にその型成形コーナ部の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図1に示すようなフレームレスドア車において、フロントピラー1Aからクオータピラー1Bに至るルーフサイド1には一連にルーフサイドウエザストリップ(以下、単にウエザストリップという)3が装着され、ドア閉時にドアガラス2まわりがシールされるようになっている。
【0003】ウエザストリップ3は押出成形されるが、コーナ部、特に曲率の大きいリヤ側のコーナ部Cでは、コーナ形状に屈曲させると断面形状が不規則に変形するので型成形コーナ部3Aを介在せしめている。
【0004】図3はウエザストリップ3の押出成形された一般部を示すもので、ボデーパネル4に固定のリテーナ5に係止される基部31と、基部31とで中空体を形成するシール部32を備えている。なお、この種のウエザストリップ3は一般に、一方の先端がドアガラス2の内面に、他方の先端がドアオープニングトリム6にそれぞれ当接するシールリップ33を備えている。中空状のシール部32内には、シール部32の剛性を補うためにブリッヂ37,38が設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、型成形コーナ部3Aでは、内部がブリッヂで仕切られた中空体を型成形で成形することが困難であることから、図4に示すようにシール部32にはブリッヂは形成されていない。
【0006】このため、ドアガラス2で押付けられたときにシール部32は過度に変形しやすく、一般部よりもガラスシール圧が低く、しかも、ドア開閉に伴なう変形の繰返しでシール部32に曲げぐせがつき、シール性が更に低下するおそれがある。
【0007】そこで本発明は、ウエザストリップのコーナ部を、型成形可能で、かつ一般部と変わらない適切なガラスシール圧を示す構造とすることを課題としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、自動車のルーフサイドに沿って取付けられる基部と、該基部とで中空体を形成し、ドア閉時にドアガラスの周縁が押付けられるシール部を備え、中空状のシール部内にはシール部の剛性を補うためにブリッジが設けられた押出成形による一般部のウエザストリップを型成形で接続してコーナ部が成形されたルーフサイドウエザストリップにおいて、図2に示すように、型成形コーナ部3Aのドアガラス2押付け位置よりも車内側の内面に突起34を形成するとともに、基部31に上記突起34と僅少な間隙をおいて対向する突起35を形成する。
【0009】
【作用】型成形コーナ部3Aは、突起34,35の両側の空間部は両突起34,35間の隙間36により連通しているから、中子を用いて型成形することができる。そして、ドアガラス2により押し付けられたときに両突起34,35が当接してシール壁320を支え、ブリッヂと同様の作用をなす。
【0010】
【実施例】図1に示すように、ウエザストリップ3は、リヤ側のコーナ部Cにおいて、中空状のシール部内にはシール部の剛性を補うためにブリッジが設けられた押出成形による一般部のウエザストリップが型成形コーナ部3Aで接続されている。ウエザストリップ3の押出成形の一般部は図3に示すように従来品と同じ構造であって説明を省略する。この一般部はスポンジゴムを押出成形することにより得られる。
【0011】型成形コーナ部3Aは、図2に示すようにボデーパネル4に固定のリテーナ5に係止される基部31と、基部31の幅方向両端をつなぐシール壁320により中空体を形成してドア閉時にドアガラス2の周縁が押付けられるシール部32と、車内側の端部から、車外方向および車内方向に伸び車外側の先端がドアガラス2の内面に当接し、車内側の先端がドアオープニングトリム6に当接するシールリップ33を備えている。
【0012】シール壁320には、ドアガラス2当接位置よりも車内側の内面にリブ状の突起34が形成してある。基部31には上記突起34と僅少な隙間36をおいて対向するリブ状の突起35が形成してある。
【0013】この型成形コーナ部3Aは、該コーナ部の外周を成形するキャビティを有する金型のキャビティの両端に押出成形のウエザストリップの一端をそれぞれ挿置し、キャビティ内に、左右の円弧状空間部が狭小隙間36で連通するコーナ部3A内面を成形する中子をセットし、キャビティ内にスポンジゴム材を注入することにより成形される。成形後、型を開き両突起34,35間の隙間36を拡開するようにして中子を抜き取る。図中、310は中子抜取り穴である。コーナ部3Aを型成形することにより両押出成形ウエザストリップはコーナ部3Aを介して接続される。
【0014】しかして、ドア閉時にシール壁320がドアガラス2にて押込まれたときシール壁320は突起34、35で支えられるから、押出成形の一般部と同様に充分なガラスシール圧が得られるとともに、従来のようにシール壁320が過度の変形の繰り返しでつぶれ状に永久変形することがなく、シールリップ33の両端のシール性も良好に維持されるのである。
【0015】なお、上記実施例では、型成形コーナ部において、シール部と基部の両方に突起を形成したが、一方のみに相手側と僅かな間隙をおいて対向する高さの突起を形成しても、押出成形の一般部と同様のシール圧を得ることができる。しかしながら、型成形後に中子を抜くとき、高さの高い突起に対する中子のアンダーカット量が多くなり、中子の抜き取り作業が面倒になるので、突起は、シール部側と基部側とに分けて形成した方が成形性において有利である。
【0016】
【発明の効果】中空状のウエザストリップの型成形コーナ部において、ドアガラスが押付けられたときにコーナ部全体が大きく変形することなく充分なガラスシール圧が得られ、また長期使用によりコーナ部がつぶれ状に永久変形するのが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のルーフサイドウエザストリップが適用される自動車の側面図である。
【図2】本発明のルーフサイドウエザストリップの図1のコーナ部Cの断面図である。
【図3】本発明のルーフサイドウエザストリップの一般部の断面図である。
【図4】従来のルーフサイドウエザストリップの図2対応図である。
【符号の説明】
1 ルーフサイド
2 ドアガラス
3 ルーフサイドウエザストリップ
3A 型成形コーナ部
31 基部
32 シール部
320 シール壁
34,35 突起
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-12-18 
出願番号 特願平5-271336
審決分類 P 1 651・ 161- YA (B60J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 柳田 利夫  
特許庁審判長 藤井 俊明
特許庁審判官 出口 昌哉
鈴木 久雄
登録日 2002-11-01 
登録番号 特許第3365006号(P3365006)
権利者 豊田合成株式会社
発明の名称 自動車用ルーフサイドウエザストリップ  
代理人 平田 忠雄  
代理人 平田 忠雄  

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