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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B66B |
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管理番号 | 1094117 |
審判番号 | 不服2003-14690 |
総通号数 | 53 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-09-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-07-30 |
確定日 | 2004-03-18 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第 54730号「エレベータ装置」拒絶査定に対する審判事件[平成10年 9月22日出願公開、特開平10-250954]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
【1】手続きの経緯 本願は、平成9年3月10日の出願であって、その請求項1〜6に係る発明は特許を受けることができないとして、平成15年6月23日に前審において拒絶査定がなされた。 これに対し、平成15年7月30日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成15年8月29日付けで手続補正がなされたものである。 そして、この補正は、明細書の「特許請求の範囲」を補正対象項目として変更するものを含むものであって、該変更は、願書に添付された明細書の特許請求の範囲を、特許法第17条の2第1項第3号の規定により平成15年8月29日付けの手続補正書に記載のとおりに補正するものである。 【2】平成15年8月29日付けの手続補正について ・[補正却下の決定の結論] 平成15年8月29日付けの手続補正を却下する。 ・[理由] (1)補正の内容 出願人が求めている特許請求の範囲に関する補正の内容は、次のとおりである。 特許請求の範囲の請求項1の記載を、 「【請求項1】 昇降路内に巻上機を設置し、前記昇降路内のかご出入口側の面に設置した部材に接合支持されることでかご装置の昇降を案内するガイドレールを前記かご出入口に近い位置に立設し、前記かご装置の昇降を制御するための機器を収納した制御装置を、前記昇降路内を上下に昇降する前記かご装置の床の下方で、かつ前記かご装置の床に設けられた開口部に隣接するよう設置したことを特徴とするエレベータ装置。」と補正する。 そして、上記下線部を付した事項を新たに付け加えるこの補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認める。 (2)補正後の発明 上記補正後の請求項1〜6に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「補正発明1」という。)は、(1)の箇所で既述したとおりのものである。 (3)引用刊行物の記載事項 これに対し、原査定の拒絶の理由で引用した特開平9-2762号公報[公開日;平成9年1月7日](以下、「引用例1」という。)には、次の技術的事項が記載されている。 ・引用例1; 「【0027】………図において、1は昇降路、2は昇降路1下部に設置された巻胴式の巻上機、3は昇降路1上部に設置された取付梁、4は取付梁3に枢着されて互いに離れて配置された滑車である。5は昇降路1を昇降するかごであり、両方の滑車4の相互間に対応する位置に配置されている。」、 「【0030】21はかご5の床で、ロ字状をなす枠22と床21をほぼ3等分して設けられてフランジ部23が形成された梁24からなる床枠25、床枠25面を3分割して覆うように設けられ枠22の縁部と梁24又は梁24相互により支持されると共に着脱可能に構成された可動板26、3枚の可動板26の上に敷き詰められた床敷物27及び前側に設けられたかごの敷居28によって構成されている。29はかご5の出入口を開閉するかごの戸である。」、 「【0031】30は制御盤で、梁24相互間に形成された開口部31に配置され、梁24のフランジ部23に載置状態に係止された係止子32により梁24に装着され床5の下側に装備されている。」、 「【0033】また、かご5の昇降、乗場の戸20等の開閉が制御盤30によって制御される。そして、エレベーター装置の保守、点検時には床敷物27が除けられて制御盤30に対向した可動板26が把手34を介して開放される。これによって、かご5内からの作業により開口部31を介して制御盤30の保守、点検作業が行われる。」、 「【0034】このように、制御盤30が床21の下側に装着され、可動板26を除去して開口部31が開放されてかご5内からの作業により制御盤30の保守、点検作業が行われる。したがって、乗場8を保守、点検作業用スペースとして使用することはなく、容易に作業することができる。また、制御盤30がかご5に装着されるため三方枠9の美観が損なわれる不具合を解消することができる。」 以上の記載、及び、第1、2図の記載からみて、 引用例1には、 「昇降路1内に巻上機2を設置し、かご5の昇降を制御するための機器を収納した制御盤30を、前記昇降路1内を上下に昇降する前記かご5の床21の下方で、かつ前記かご5の床21に設けられた開口部31に隣接するよう設置したエレベータ装置」、 という発明が記載されているものと認められる。 (4)対比 (対比) そこで、補正発明1と上記引用例1に記載された発明とを対比すると、引用例1に記載された発明の「かご5」、「制御盤30」は、それぞれ、補正発明1の「かご装置」、「制御装置」に相当するものであるから、両者は、 「昇降路内に巻上機を設置し、かご装置の昇降を制御するための機器を収納した制御装置を、前記昇降路内を上下に昇降する前記かご装置の床の下方で、かつ前記かご装置の床に設けられた開口部に隣接するよう設置したエレベータ装置」、 で一致し、以下の点で相違している。 (相違点) ・補正発明1は、昇降路内のかご出入口側の面に設置した部材に接合支持されることでかご装置の昇降を案内するガイドレールを前記かご出入口に近い位置に立設したものであるように特定されているのに対し、引用例1に記載された発明は、このように特定されていない点。 (5)判断 以下、前記相違点について検討する。 (相違点の検討) ・エレベータ装置において、昇降路内のかご出入口側の面に設置した部材(「支持具」)に接合支持されることでかご装置の昇降を案内するガイドレールを前記かご出入口に近い位置に立設することは、例えば、実公平3-6623号公報、実公平1-33581号公報、等に記載されるように、本願出願前、当業者にとって周知の事項にすぎないので、引用例1に記載された発明に当該周知事項を適用し、もって、この相違点に係る補正発明1のように構成することは、当業者が必要に応じて容易になし得るものというべきである。 (効果について) そして、補正発明1の構成によってもたらされる効果も、引用例1に記載された発明及び上記周知事項から当業者であれば当然予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 (まとめ) 以上のとおりであるから、補正発明1は、引用例1に記載された発明及び上記周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (6)むすび したがって、本願の請求項2〜6に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるかどうかの検討をするまでもなく、上記補正は、特許法第17条の2第5項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合しないので、当該補正は認められない。 それゆえ、本件補正は、特許法第159条第1項の規定によって準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 【3】本願発明について (1)本願発明 平成15年8月29日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜6に係る発明は、願書に添付された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願発明1」という。)は、次のとおりである。 「【請求項1】 昇降路内に巻上機を設置し、前記昇降路内のかご出入口側の面に設置した部材に接合支持されることでかご装置の昇降を案内するガイドレールを立設して構成したエレベータ装置において、前記かご装置の昇降を制御するための機器を収納した制御装置を、前記昇降路内を上下に昇降する前記かご装置の床の下方で、かつ前記かご装置の床に設けられた開口部に隣接するよう設置したことを特徴とするエレベータ装置。」 (2)引用例の記載事項 これに対し、原査定の拒絶の理由で引用した特開平9-2762号公報(引用例1)には、上記【2】(3)で既述したとおりの技術的事項が記載されている。 (3)対比・判断 (対比) そこで、本願発明1と上記引用例1に記載された発明とを対比すると、上記【2】(4)で既述したことと同様に、両者は、 「昇降路内に巻上機を設置したエレベータ装置において、かご装置の昇降を制御するための機器を収納した制御装置を、前記昇降路内を上下に昇降する前記かご装置の床の下方で、かつ前記かご装置の床に設けられた開口部に隣接するよう設置したエレベータ装置」、 で一致し、次の点で相違している。 (相違点) 本願発明1は、昇降路内のかご出入口側の面に設置した部材に接合支持されることでかご装置の昇降を案内するガイドレールを立設したものであるのに対し、引用例1に記載された発明は、そのように特定されていない点。 (相違点の検討) 前記相違点について検討すると、この相違点は、上記【2】(5)の「相違点の検討」で前示したように、当業者が必要に応じて容易になし得る程度の事項にすぎないものである。 (効果について) そして、本願発明1の構成によってもたらされる効果も、引用例1に記載された発明及び上記周知事項から当業者であれば当然予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 【4】むすび 以上のとおりであって、本願発明1は、引用例1に記載された発明及び上記周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願の請求項2〜6に係る発明に対する検討をするまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-01-14 |
結審通知日 | 2004-01-20 |
審決日 | 2004-02-02 |
出願番号 | 特願平9-54730 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B66B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 志水 裕司 |
特許庁審判長 |
西野 健二 |
特許庁審判官 |
鈴木 充 清田 栄章 |
発明の名称 | エレベータ装置 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 河野 哲 |
代理人 | 橋本 良郎 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 中村 誠 |