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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H04N |
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管理番号 | 1094593 |
異議申立番号 | 異議2003-70126 |
総通号数 | 53 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2000-11-14 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-01-15 |
確定日 | 2004-01-31 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3354916号「電子スチルカメラ」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3354916号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
1 手続の経緯 特許第3354916号の請求項1に係る発明についての出願は、平成3年5月24日に出願した特願平3-149731号の一部を平成12年4月10日に新たな特許出願としたものであって、平成14年9月27日にその特許の設定登録がなされ、その後、佐藤勝明より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成15年12月24日に訂正請求がなされたものである。 2 訂正の適否についての判断 (1) 訂正事項 a 請求項1における「上記一の画像信号を順次記録可能に構成された」を「上記一の画像信号を順次記録し,上記記録を予定した合成表示画像全体の構成要素たる各画像に対応する画像信号を着脱可能な記録媒体に記録するに際し,各画像を合成して表示するときに合成表示画像全体における位置を設定するための情報を合わせ記録するように構成された画像合成用情報を記録可能な」と訂正する。 b 請求項1における「電子スチルカメラ」を「画像合成用情報を記録可能な電子スチルカメラ」と訂正する。 c 特許明細書中の段落【0007】の【課題を解決するための手段】の項を添付の全文訂正明細書のとおり訂正する。 d 特許明細書中の段落【0008】の【作用】の項を添付の全文訂正明細書のとおり訂正する。 e 特許明細書中の段落【0019】の【発明の効果】の項を添付の全文訂正明細書のとおり訂正する。 (2) 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正事項a及びbは、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 上記訂正事項cないしeは,特許請求の範囲の訂正と整合を取るための訂正であり,明りょうでない記載の釈明を目的とし,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3) むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法120条の4第2項及び3項で準用する特許法126条2項及び3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3 特許異議の申立てについての判断 (1) 申立ての理由の概要 申立人佐藤勝明は、請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開平2-178646号公報)、甲第2号証(特公平3-19531号公報)を基に容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、特許を取り消すべきと主張している。 (2) 訂正明細書の請求項1に係る発明 訂正明細書の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 (以下、「本件発明」という。) 「当該カメラが現に向けられている視野に係わる一の画像信号による画像と、先行して記録されたものを再生して得た他の画像信号による画像とを、所定の電子的モニター手段の同一画面上の一部及び他部にてそれぞれ映出、対照しつつ、上記一の画像信号を順次記録し,上記記録を予定した合成表示画像全体の構成要素たる各画像に対応する画像信号を着脱可能な記録媒体に記録するに際し,各画像を合成して表示するときに合成表示画像全体における位置を設定するための情報を合わせ記録するように構成された画像合成用情報を記録可能な電子スチルカメラであって、 上記各画像をそれぞれ映出、対照しつつ画像信号を順次記録する一連の撮影では、当該カメラの撮影条件設定に係わる設定を一定にする撮影条件設定手段と、 上記各画像をそれぞれ映出、対照しつつ画像信号を順次記録する一連の撮影が終了したときには、上記撮影条件設定手段によって一定に設定された撮影条件を解除する解除手段と、を備え、 上記撮影条件設定手段は、上記先行して記録された他の画像信号による画像を撮影するに際して設定された撮影条件と同一に固定して上記一の画像信号を順次撮影することを特徴とする画像合成用情報を記録可能な電子スチルカメラ。」 (3) 甲号証記載の発明 甲第1号証(特開平2-178646号公報)には、既に撮影された被写体とこれから撮影しようとする画像を電子ビューファインダに同時に表示して,パノラマ撮影を容易に且つ確実に行えるようにしたカメラの発明が記載されている。 また、甲第2号証(特公平3-19531号公報)には、同一の露光条件で複数駒にわたって写真撮影が行えるようにしたカメラの露出制御装置に関する発明が記載されている。 (4) 対比・判断 本件発明と上記甲第1号証又は甲第2号証に記載の発明とを対比すると、甲第1、第2号証に記載の発明は、本件発明を特定する事項である、着脱可能な記録媒体に記録する点,及び合成表示画像全体における位置を設定するための情報を合わせ記録する画像合成用情報を記録可能な電子スチルカメラである点を備えておらず、当該事項により本件請求項1に係る発明は、一連の撮影によって得られた各画像を合成表示する機能を有する他の装置に,該記録媒体を装着して使用する場合でも均一で高画質な合成表示画像を得ることができる,という顕著な効果を奏するものであり、本件発明が上記甲第1号証又は甲第2号証に記載のものから容易に発明をすることができたものとはいえない。 4 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 電子スチルカメラ (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】当該カメラが現に向けられている視野に係わる一の画像信号による画像と、先行して記録されたものを再生して得た他の画像信号による画像とを、所定の電子的モニター手段の同一画面上の一部及び他部にてそれぞれ映出、対照しつつ、上記一の画像信号を順次記録し、上記記録を予定した合成表示画像全体の構成要素たる各画像に対応する画像信号を着脱可能な記録媒体に記録するに際し、各画像を合成して表示するときに合成表示画像全体における位置を設定するための情報を合わせ記録するように構成された画像合成用情報を記録可能な電子スチルカメラであって、 上記各画像をそれぞれ映出、対照しつつ画像信号を順次記録する一連の撮影では、当該カメラの撮影条件設定に係わる設定を一定にする撮影条件設定手段と、 上記各画像をそれぞれ映出、対照しつつ画像信号を順次記録する一連の撮影が終了したときには、上記撮影条件設定手段によって一定に設定された撮影条件を解除する解除手段と、を備え、 上記撮影条件設定手段は、上記先行して記録された他の画像信号による画像を撮影するに際して設定された撮影条件と同一に固定して上記一の画像信号を順次撮影することを特徴とする画像合成用情報を記録可能な電子スチルカメラ。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、電子スチルカメラに関し、特に電子的モニター手段を備えた電子スチルカメラに関する。 【0002】 【従来の技術】カメラ等において、1回の撮影で得られる画面を複数枚並べて合成し、一枚の画面として構成するつなぎ撮りは、パノラマ撮影画面やマルチ画面生成の手段として使用されることが多い。かかるつなぎ撮り処理は、一般に、銀塩フィルムを用いた通常のカメラで行われているものであるが、これを電子スチルカメラやビデオカメラのような電子撮像装置を用いて行うことが考えられる。すなわち、つなぎ撮り処理は、高解像度、高画質画面を得るためのハイビジョンおよびパノラマ画面生成用としても使われることができる。以下、この様な技術がなぜ必要になるかについて説明する。上述のような電子撮像装置では、画像信号を得るため、例えばCCD等の撮像素子を用いているが、その光電変換面は、通常、数十万個の画素配列からなっている。数十万画素の撮像素子は現在比較的容易に製造でき価格も高価なものではなく、「NTSC」や「PAL」規格に適合するものが広く普及、採用されている。 【0003】ところが、数十万画素の撮像素子では、得られる画像の画質は前述の「NTSC」等の規格に対しては一応満足できるものであるが、さらなる高画質を実現すべく作られたハイビジョン用としては解像力が不足しており、かかる高画質画像を得るためには、少なくとも数百万画素程度が要求される。この事情はハイビジョンシステムに限らず、例えば印刷分野や画像処理分野に適用する高画質画像入力装置として利用しようとする場合も同様である。しかし、画素数が多くなると撮像素子の歩留まりが極端に低くなるだけでなく、光学系、機構系および電気系が複雑となるため、このような撮像システムは極めて高価なものになってしまい、現実に特殊な業務用以外では使用されていない。また、撮像素子を横に隣り合わせに並べるいわゆる多板式撮像システムも高画質画像を得るために用いられるが、光学系が複雑となることもあって同様に高価となるという問題だけでなく、感度面の問題も生ずる。更に、これらシステムは、一般ユーザが使っているNTSC系等の通常システムとの互換性がないという問題がある。そこで、つなぎ撮り処理を用いて一枚の画像を複数枚の画面を合成して構成することにより、等価的に高画質画像を得る技術が必要になる。つなぎ撮り処理は、例えば銀塩フィルムカメラでは、1つの被写体を複数枚の画面に分けて撮影した後、現像処理された画面のうち、隣り合う画面が連続するように適当に切り貼りするものである。ここで切り貼りについて説明する。互いに隣接する各画面を撮影する方法としては、ビューファインダーで被写体にねらいをつけながら、いわゆる「目見当(めけんとう)」でシャッタを切る他はないので、結果として得られる各隣接画面のつなぎ目は、通常、不正確(ぴったり合っていない)ものになる。従って、それを合わせるために、でき合がった各ネガまたはプリントを実際に切って貼り合わせる操作が必要になるのである。 【0004】図9の(A)には、つなぎ撮りの一例が示されている。この例は、一回の撮影画面を縦方向および横方向にそれぞれ3枚ずつ合計9枚並べて得られるマルチ画面であり、全画面を数十万画素の1つの撮像素子で撮像しようとすると解像度が大幅に不足するのに対して、このように各画面を合成すれば、等価的に高解像度の画像が得られる。ここで、各画面は、X方向およびY方向座標位置に対応する表示形式として、図のように左上から右上に向かって(1,1)、(1,2)、(1,3)、また左上から左下に向かって(1,1)、(2,1)、(3,1)のように表示される。また、同図(B)には、3枚の画面を横方向に並べたパノラマ画面例が示され、この場合も同様に解像度の高い画像が得られる。そして、各画面は、位置情報として(1,1)、(1,2)、(1,3)のように表される。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来のつなぎ撮り処理は、撮影済みの隣接画面を連続画面となるように切り貼りするものであり、非常に簡易ではあるものの、画面に継ぎ目及び切れ目が入ってしまい、高画質の連続画面を切り貼りで作成することはきわめて困難である。一方、電子撮像システムにおいて、つなぎ撮り処理を行うには、プリントアウトされた写真を切り貼りすることを別にすれば、モニター画面上に映出されている画面を目視で確認しながら、切り貼りに相当する処理(以下、「電子的切り貼り」と称する)を行う必要がある。この隣接画面間を正確につなぐための電子的切り貼りをデジタルメモリを用いて画像信号処理により行うことは可能ではあるものの、画像データの平行移動、回転移動等の処理が必要であるため構成規模が大がかりとなり、ソフトウェア的にもハードウェア的にも高価になってしまうだけでなく、処理時間もかかるという問題を抱える。 【0006】そこで、本発明は、合成表示したい各画像を映出、対照しながら容易に撮影することができ、更に一連の撮影によって得られた各画像を合成表示する際に均一で高画質な合成表示画像を得ることができる電子スチルカメラを提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するため、本発明による電子スチルカメラは、当該カメラが現に向けられている視野に係わる一の画像信号による画像と、先行して記録されたものを再生して得た他の画像信号による画像とを、所定の電子的モニター手段の同一画面上の一部及び他部にてそれぞれ映出、対照しつつ、上記一の画像信号を順次記録し、上記記録を予定した合成表示画像全体の構成要素たる各画像に対応する画像信号を着脱可能な記録媒体に記録するに際し、各画像を合成して表示するときに合成表示画像全体における位置を設定するための情報を合わせ記録するように構成された画像合成用情報を記録可能な電子スチルカメラであって、上記各画像をそれぞれ映出、対照しつつ画像信号を順次記録する一連の撮影では、当該カメラの撮影条件設定に係わる設定を一定にする撮影条件設定手段と、上記各画像をそれぞれ映出、対照しつつ画像信号を順次記録する一連の撮影が終了したときには、上記撮影条件設定手段によって一定に設定された撮影条件を解除する解除手段と、を備え、上記撮影条件設定手段は、上記先行して記録された他の画像信号による画像を撮影するに際して設定された撮影条件と同一に固定して上記一の画像信号を順次撮影することを特徴とする。 【0008】 【作用】本発明では、現視野に係わる一の画像信号による画像と、先行記録された他の画像信号による画像とを電子的モニター手段の同一画面上の一部及び他部にてそれぞれ映出、対照しつつ、上記一の画像信号を順次記録し、上記記録を予定した合成表示画像全体の構成要素たる各画像に対応する画像信号を着脱可能な記録媒体に記録するに際し、各画像を合成して表示するときに合成表示画像全体における位置を設定するための情報を合わせ記録するようにして、各画像をそれぞれ映出、対照しつつ画像信号を順次記録する一連の撮影では、撮影条件設定に係わる設定を一定にし、一連の撮影が終了したときには上記撮影条件設定手段によって一定に設定された撮影条件を解除している。更に、撮影条件設定手段は、上記先行して記録された他の画像信号による画像を撮影するに際して設定された撮影条件と同一に固定して上記一の画像信号を順次撮影するようにしている。 【0009】 【実施例】次に、本発明について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明による電子スチルカメラの一実施例を示し、電子スチルカメラにおいて、記録済み画面と隣り合う連続する画面を合成して撮影、記録する例についてのものである。本実施例では、例えば、図2のAに示すような2つの画面をつないだ静止画面を得る例について説明を進める。画面Aを得るためには、左側画面(1,1)と右側画面(1,2)を合成する。そのため、まず画面(1,1)を撮影記録する。その後、画面(1,1)は既に記録媒体に記録されているので、これを読み出し再生する(図2のB)。次に、画面(1,2)に相当する画面を撮影する際に、モニター上で得られる画面を画面(1,1)と一部オーバーラップ(図2のDで示した部分)させて重ね合わせる。このとき、画面(1,1)のうち、つなぎ合わせの際には、まず同期ずらしを行って画像をずらした後に(Eの甲)不要な部分にブランキングをかけ、Eの乙のように斜線部分の画像を除去する。同様に、画面(1,2)を画面(1,1)と逆方向にずらした後に(Fの甲)、不要部分にブランキングをかけ、Fの乙のように除去する。こうして、2枚の画面(1,1)と(1,2)を、例えばEVF(電子ビューファインダ)等のモニター上で重ね合わせて映出すると、Gの甲、乙のようになる。Gの甲は、両画面のオーバーラップ部が正確に一致したときの画像であり、乙は両画面が不連続状態にあるときの画面を示す。したがって、Gの甲のように両画面が連続状態にあるときに画面(1,2)を撮影すれば、Aのようなパノラマ画面が得られる。本実施例では、両画面のオーバーラップ部の一致検出を電気的処理で行い、一致したときに、トリガ信号を発生して自動的に、またはマニュアル操作による撮影動作を行う。 【0010】図1を参照すると、撮像回路2にはCCD等の撮像素子が内蔵され、撮影レンズ1を介して撮像素子に結像され、電気信号に変換された信号は、所定の映像処理が施されて画像信号としてA/Dコンバータ3に送出される。A/Dコンバータ3でデジタル信号に変換された画像データは、バッファメモリ4に記憶される。バッファメモリ4から読み出された画像データは、システムコントローラ5の制御を受けて、バッファメモリ7、記録/再生回路8を介して記録媒体9に書き込まれる。記録媒体9としては、例えばICカードメモリ等が用いられるが、アナログ信号として記録される磁気ディスク等を用いることもでき、この場合は撮像回路2からの映像信号を記録し、読み出すときは本実施例処理のためデジタル信号に変換するA/Dコンバータを設ける。画像合成時には、記録媒体9から図2の(1,1)画像Bを読み出しバッファメモリ7に記録される。この画像Bは、バッファメモリ7から読み出され、バッファメモリ10に記録される。このとき、書き込み時と読み出し時で対応する画像位置アドレスを異ならしめることで、画像のずらしを行うことができる。一方、撮像回路2とA/Dコンバータ3から出力される(1,2)画像Cは、バッファメモリ4に一旦記録された後、やはり読み出し時に画像ずらしをうけつつバッファメモリ10に記録される。ただし、各画像の不要部分は読み出されないとする。このとき、2つに画像は、バッファメモリ10上で合成され、画像G(甲または乙)になっている。そして、バッファメモリ10からは上記画像Gが読み出され、D/Aコンバータ11でアナログ信号に変換される。このアナログ信号は電子的モニター手段を構成する表示回路12に送られ、画像が表示(映出)され、EVF13でユーザによって観察される。尚、バッファメモリ4への書き込み読み出し及びバッファメモリ10への書き込み読み出しは、この電子撮像装置の同期信号系に同期して、常時、繰り返されるので、撮像回路2からの出力信号はEVF13において見かけ上、リアルタイムで観察されるものとする。 【0011】システムコントローラ5は、上記バッファメモリ4,7および10へのデータの書き込み、読み出しの制御、合成すべき画像データ間を比較するデータコンパレータ52および記録媒体に記録する各種構成データ(マルチモード、サブモード、位置データ等)を発生する構成データ発生器53を有し、操作部6からの指示情報を受けて、各種制御を行う。データアドレスコントローラ51は、バッファメモリ4,7および10のデータの書き込み/読み出し制御を行い、図2のGに示す如く、画像(1,1)、(1,2)のオーバラップ部を重畳して映出せしめる。そのため、上述の如く、図2Eの乙および図2Fの乙の画像データを読み出して重畳映出させるべく、バッファメモリ10への書き込みアドレスを変換する。ここで、バッファメモリ4と7から読み出された画面のうちオーバラップ部分の画像データを単純に加算して映出すると輝度レベルが2倍になってしまうので平均化処理を行ってバッファメモリ10に書き込む。データコンパレータ52は、画面(1,1)と(1,2)のオーバラップ部分の画像データを比較し、一致したとき、つまり、両データの差が略零になったときに2つの画面は連続的に接続されたと判断して、オートトリガ信号を出力する。オートトリガ信号が出力されると最適な撮影条件にあると判断されるので、シャッターを切って撮影、記録する。構成データ発生器53は、画像合成処理モードや位置データ等の構成データを発生する。画像合成処理モードとしては、ハイビジョンモード、パノラマモード、ぞろ目モード、その他の任意のモード等がある。ここで、任意データは当該処理されている合成された画像の中のどの位置にあるかを示す位置データ、例えば、図2Bの(1,1)やCの(1,2)を示している。 【0012】以上のように本実施例は、EVF表示された合成すべき複数の画面の連続性が維持されたことをデータコンパレータ52で判断したとき、オートトリガ信号を出力して撮影動作および記録媒体への記録動作を実行せしめる。このとき、撮影時の画面構成データが画像データとともに記録媒体に記録される。また、複数の画面をつなぎ撮りする場合、各画面の撮影条件が異なると合成画面を生成したとき、一部画面が暗くなったりして、全体画面に不自然さが生じる。そこで、本実施例では、合成すべき画面の撮影条件を同一に固定している。この撮影条件としては、シャッター速度、絞り、ストロボ等の露出、ズーム(画角)、フォーカス状態、ホワイトやブラックバランス等のカラーバランス特性、感度、γ特性、ペデスタルレベル設定、サプレス特性、光電変換特性、更にはフィールド、フレーム記録モード等がある。撮影条件は、試し撮りして予め選択することもできるし、1枚目の画面の撮影条件を以降の合成すべき画面の撮影条件に固定することもできる。ここで、固定するとは、マニュアル設定に関しては、設定変更を不可能にするか、警告表示をすることであり、オート設定では上述1枚目の撮影条件に固定することである。 【0013】図3は、上記実施例のマルチ撮影、画像合成を行うときの動作処理手順を示すフローチャートである。モード動作スタートすると(ステップS101)、サブモードが選択される(ステップS102)。サブモードとしては、前述のようにハイビジョンモード、パノラマモード、ぞろ目モード、任意モードがあり、各モードの選択は、図1の操作部6のキー操作により行われる。ハイビジョンモードは、図6(A)に示すように、X方向に3画面、Y方向に2画面を合成したモードで最端部の画面位置XmaxおよびYmaxは2および3、全画面数Nmaxは6となる。パノラマモードは、同図(B)に示す如く、X方向に複数個並べて合成するもので、各画面位置は(1,Y)で表され、全画面数Nmaxは2以上の任意の数に設定される。ぞろ目モードは、いわゆる相似撮影モードであり、図6(C)に示す如く、元々の一枚の画面の縦サイズと横サイズの比を一定に保つように、すなわち、縦と横の画面数を同じにして合成するモードで、全画面数Nmaxは22,32,42,…である。任意モードは、X方向およびY方向に並べる画面数を任意に設定でき、全画面数Nmax=Xmax×Ymaxである。図6(D)には合成画面を構成する各画面位置をX,Y座標について示されている。 【0014】サブモード選択処理手順は、図5に示すように、サブモード選択動作をスタートし(ステップS201)、先ず、操作部6からのサブモード選択のためのキー入力があったか否かを判断し(ステップS202)、キー入力があると、ハイビジョンモードであるか否かが判断される(ステップS203)。ハイビジョンモードであると判断されると、Xmax=3、Ymax=2に設定され(ステップS209)、図3のステップS103の処理に移行する。ステップS203で、ハイビジョンモードでないと判断されると、次に任意モードであるか否かが判断され(ステップS204)、任意モードであるときにはXmaxとYmaxを入力して(ステップS208)、リターンして図1のステップS103に移行する。ステップS204で任意モードでないと判断されると、合成すべき全画面数Nmaxを入力し(ステップS205)、パノラマモードであるか否かが判断される(ステップS206)。ここで、パノラマモードであると判断されると、Xmax=Nmax、Ymax=1と設定して、図1のステップS103に移行し、パノラマモードでなければ、ぞろ目モードであると判断して、XmaxおよびYmaxをNmaxの平方根に設定して(ステップS207)、ステップS103に移行する。尚、この場合、Nmaxは平方数でなければならないが、仮にそれ以外の数が入力された場合は、ぞろ目モードであるとの判断と同時にNmaxを近い値の平方数に置換するようにしておけば問題はない。 【0015】こうして、合成画面構成が設定された後、図3のステップS103において、トリガ入力を受け付けたことを確認して(ステップS103)、1枚目の画面((X,Y)=(1,1))を撮影、記録する(ステップS104)。その後、この1枚目の上記撮影条件に以後の撮影条件を固定し(ステップS105)、画面位置データ(X,Y)が最終コマ画面位置データ(Xmax,Ymax)に至ったか否かを判断し(ステップS106)、至っていればステップS105で固定設定された撮影条件を解除して(ステップS113)、処理を終了する。一方、ステップS106で、最終コマ画面位置に至っていないと判断されると、Y=Ymaxか否かが判断され(ステップS107)、YmaxでなければYを1だけ増加せしめ(ステップS108)、また、Y=Ymaxであれば、Xを1だけ増加せしめると同時にYを1にリセットする。そして、次の画面についての合成処理用にブランキング部分の重ね合わせを行うため、同期、ブランキングを再設定する(ステップS109)。その後、両画面が連続的に接続されたと判断されたことを確認したら(ステップS110)、撮影、記録動作を行った後(ステップS111)、ステップS106の処理に戻る。ステップS110において、隣接画面が連続的に接続されていることの判断は、ユーザがEVFを観察して行うこともできるが、図4に示すように、EVFによる確認によりトリガを出力させた状態で、図1のシステムコントローラ5内のデータコンパレータ52からの画像データの一致確認出力を受けた時に(ステップS110A)、ステップS111の撮影、記録処理を実行することもできる。かかる手順のように、人間の撮影意志(トリガー操作)下で、電気処理による自動判断を用いることにより、精度及び操作性(簡便さ)が格段に向上する。 【0016】図7は、本発明により撮影、記録された画像データをハイビジョン形式で再生する装置の一例を示す図である。メモリカードのような記録媒体から読み出された画像データは、NTSC対応メモリカードインタフェース71で所定のフォーマットのデータに変換され、画像データがハイビジョン用フレームメモリ73に、画像アドレスデータがアドレスコンバータ72に、構成データがデータデコーダ74にそれぞれ供給される。データデコーダ74でデコードされた構成データは、システムコントローラ75に送出される。アドレスコンバータ72は、インタフェース71から送出される画像アドレスをハイビジョン用フレームメモリ73に記録するアドレス(マルチ合成画面上のアドレス)に変換する。システムコントローラ75は、データデコーダ74からの構成データを受け、ハイビジョン用フレームメモリ73に対する読み、書きコントロール信号を出力する。ハイビジョン用フレームメモリ73には、図6(A)に示すような6枚の画面データが記録され、読み出し時にはハイビジョン画面が読み出し出力される。このように、図7に示すような再生装置では、合成画像の各画面の位置情報に基づいて、ハイビジョン用フレームメモリ73に記録して、ハイビジョン用の画像を自動的に再生している。 【0017】記録媒体が磁気ディスクのようにアナログ信号を記録する媒体のときの画像合成の構成ブロック図が図8に示されている。信号発生(SSG)回路81からは、同期信号S1とS2が撮像回路82と録再回路83に、ブランキング信号BL1とBL2がブランキング回路84と85にそれぞれ供給される。撮像回路82から得られた画像データは、録再回路83の記録媒体に記録されるとともに、ブランキング回路84でブランキング信号BL1に基づいてブランキングをかけられる。録再回路83から得られる記録済みの画像データは、ブランキング回路85でブランキング信号BL2に基づいてブランキングがかけられる。ブランキング回路84と85でブランキングがかけられた画像データは、混合回路86で混合されて、切換スイッチ87に送出される。切換スイッチ87の他の2入力端子には、撮像回路82からの画像データと、録再回路83からの画像データが供給されている。切換スイッチ87で切り換え選択された画像データが信号発生回路81からの同期信号S0に基づいてEVF88に映出される。図2に示すような2枚の画面を合成することを考える。通常時は、S1=S0、S2=S0、BL1=BL2=OFF状態にある。合成時には、S1=S0+H/2+OBL(ここで、OBLは2枚の画面の重疂部でブランキング部を示す)、S2=S0+H/2-OBL、BL1は右側ブランキングON、BL2は左側ブランキングONである。 【0018】この(図8に対応する)実施例では、図2を例に引いて、モニター上の同一画面上に2つの画面(2コマ)を映出する場合について説明しているが、2コマ以上の任意の数の画面を映出、合成する場合にも本発明を適用できることは勿論である。さて、以上全ての実施例に関して、画面構成データを記録媒体に記録するに際して、特に他のデータに悪影響を及ぼすことはなく、従来から用いられているフィールド/フレーム識別やコマナンバーデータ等と両立することも勿論である。尚、上述実施例では、記録媒体に画像データを記録する際、直交変換等の処理を施して情報を圧縮したり、逆に記録媒体から圧縮データを伸張した元のデータを再生する圧伸処理は、省略してあるが、必要に応じ用い得ることは明らかである。 【0019】 【発明の効果】以上説明したように、本発明による電子スチルカメラは、合成表示用の各画像の撮影条件を一定に設定し、記録を予定した合成表示画像全体の構成要素たる各画像に対応する画像信号を着脱可能な記録媒体に記録するに際し、各画像を合成して表示するときに合成表示画像全体における位置を設定するための情報を合わせ記録するようにしているので、合成表示したい各画像を映出、対照しながら容易に撮影することができ、更に一連の撮影によって得られた各画像を合成表示する機能を有する他の装置に、該記録媒体を装着して使用する場合でも均一で高画質な合成表示画像を得ることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明による電子スチルカメラの一実施例を示すブロック図である。 【図2】本発明の実施例の動作を説明するための図である。 【図3】本発明の実施例の動作処理手順を示すフローチャートである。 【図4】図3の処理における一部処理手順の他の例を示すフローチャートである。 【図5】図3の処理におけるサブモード選択の動作処理手順を示すフローチャートである。 【図6】サブモードの合成画面の位置関係を示す図である。 【図7】本発明を適用して記録した記録媒体から読み出した画像データを用いてハイビジョン画像データを再生する装置のブロック図である。 【図8】本発明において記録媒体を磁気ディスクを用いたときの画像再生装置の構成を示すブロック図である。 【図9】合成画面の例としてのマルチ撮影画面とパノラマ撮影画面の例を示す図である。 【符号の説明】 1 撮影レンズ 2,82 撮像回路 3 コンパレータ 4,7,10 バッファメモリ 5,75 システムコントローラ 6 操作部 8 記録/再生回路 9 記録媒体 11 D/Aコンバータ 12 表示回路 13,88 EVF 51 データアドレスコントローラ 52 データコンパレータ 53 構成データ発生回路 71 メモリカードインタフェース 72 アドレスコンバータ 73 ハイビジョン用フレームメモリ 74 データデコーダ 81 信号(SSG)発生回路 83 録再回路 84,85 ブランキング回路 86 混合回路 87 切換スイッチ |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-01-14 |
出願番号 | 特願2000-107631(P2000-107631) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(H04N)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 井上 信一 |
特許庁審判長 |
杉山 務 |
特許庁審判官 |
橋本恵一 小松 正 |
登録日 | 2002-09-27 |
登録番号 | 特許第3354916号(P3354916) |
権利者 | オリンパス株式会社 |
発明の名称 | 電子スチルカメラ |