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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 H04N |
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管理番号 | 1094595 |
異議申立番号 | 異議2003-70706 |
総通号数 | 53 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-11-05 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-03-17 |
確定日 | 2004-01-09 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3324330号「ファクシミリ装置」の請求項1、2、4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3324330号の請求項1、2、4に係る特許を取り消す。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3324330号に係る出願は、平成7年4月24日に出願され、平成14年7月5日に特許の設定登録がされ、その後その特許請求の範囲における請求項1,2及び4に係る発明について異議申立人小湊勇次により特許異議の申立がなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間である平成15年7月29日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 平成15年7月29日付けの訂正請求書による訂正事項は、 (a)特許請求の範囲の請求項2 「【請求項2】前記識別手段は、モジュール構成が変更になった際に、変更後のモジュール構成を識別し、新たに識別情報を作成することを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。」 を、 「【請求項2】前記識別手段は、モジュール構成が変更になった際に、電源ON時又はリブート時に変更後のモジュール構成を識別し、新たに識別情報を作成することを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。」 と訂正し、 (b)明細書の段落【0010】の記載 「請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記識別手段が、モジュール構成が変更になった際に、変更後のモジュール構成を識別し、新たに識別情報を作成することを特徴とする。」 を、 「請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記識別手段が、モジュール構成が変更になった際に、電源ON時又はリブート時に変更後のモジュール構成を識別し、新たに識別情報を作成することを特徴とする。」 と訂正するものである。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正事項aは、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内において訂正するものであり、特許請求の範囲の減縮に該当し、新規事項の追加に該当しない。 上記訂正事項bは、明瞭でない記載の釈明を目的として、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内において訂正するものであり、新規事項の追加に該当しない。 そして、上記訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものでもない。 (3)以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同3項において準用する同法第126条第2項及び同第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.本件発明 上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件請求項1,2及び4に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1,2及び4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】ファクシミリ遠隔診断システムにより装置状態の診断を受けるファクシミリ装置において、 相手機との通信を制御する通信モジュールと、このファクシミリ装置におけるモジュール構成を識別し、この構成を示す識別情報を作成する識別手段と、 前記識別情報を前記通信モジュールに転送する転送手段と、 を備えたことを特徴とするファクシミリ装置。 【請求項2】前記識別手段は、モジュール構成が変更になった際に、電源ON時又はリブート時に変更後のモジュール構成を識別し、新たに識別情報を作成することを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。 【請求項4】前記転送手段は、前記通信モジュールから転送要求があったとき、転送要求をした通信モジュールへ前記識別情報を転送することを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。 4.特許異議申立て理由の概要 申立人小湊勇次は、証拠として甲第1号証(特開平6-110269号公報)を提出し、請求項1,2及び4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明し得るものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、したがって、同法第113条第1項第2号の規定により特許を取り消すべき旨主張している。 5.引用刊行物記載の発明 当審が通知した取消理由に引用した特開平6-110269号公報(以下「刊行物1」という。)(甲第1号証)には、図面と共に次の事項が記載されている。 (ア)「【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、構内に設置された複数の画像形成装置の動作状態を集中管理する場合や、顧客の画像形成装置の動作状態を遠隔管理する場合のため、構内回線または公衆電話回線を介して複数の画像形成装置を管理装置であるホストコンピュータに接続するようにし、各画像形成装置とホストコンピュータとの間でデータの送受信を行うようにした画像形成装置の管理システムが提案されている。このような管理システムに適用される画像形成装置は、ホストコンピュータから出力されたデータの送信要求(リクエストコマンド)を受信した際に、そのリクエストコマンドに対応するデータをホストコンピュータに送信する。このような管理システムによって画像形成装置のトラブル管理や、ライフ管理が行われる。 【0004】一方従来の複写機(画像形成装置)は、オプション装置を用いて処理を行ったり、ジャムデータ等をやり取りすることはできても、オプション装置の追加によるシステムアップのレベル(改造レベル)に対応して複写機全体を管理するようには構成されていなかった。このため例えば何らかのトラブルが発生したときの原因究明にはサービスマンが複写機の改造レベルを確認しながら原因を模索するという手順が必要で、作業性が悪くなっていた。また特に、上記したように管理システムを構成して複写機(画像形成装置)を管理する場合、トラブル発生時等に複写機の改造レベルが分からなければ原因究明および対処の仕方に過ちが生じてトラブルを拡大させてしまったり、トラブル対処の作業効率を低下させてしまうことにもなっていた。 【0005】この発明の目的は、各画像形成装置の改造レベルをホストコンピュータが把握できるようにして、画像形成装置の遠隔管理を効率よく行うことのできる画像形成装置の管理システムを提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】この発明は、ホストコンピュータを備える管理部と、画像形成装置を備える被管理部とを回線接続し、画像形成装置部を前記管理部によって管理する画像形成装置の管理システムにおいて、前記被管理部に、画像形成装置本体内の各部を制御する第1の制御部と、この第1の制御部と前記管理部との間のデータの送受信を中継する第2の制御部と、画像形成装置本体の改造レベルを記憶する手段と、を備え、前記管理部に、前記被管理部に対して前記改造レベルの送信を要求するコマンドを送信する手段を備えたことを特徴とする。 【0007】 【作用】この発明においては、第2の制御部の中継によって被管理部の画像形成装置本体内の制御部(第1の制御部)と、管理部のホストコンピュータとの間でデータの送受信が可能になる。被管理部には画像形成装置本体の改造レベルを記憶する手段が備えられており、ホストコンピュータから被管理部に対して改造レベルの送信を要求するコマンドが送信されると、被管理部の第2の制御部はそれを受けて、第1の制御部に改造レベルのデータを要求する。これに応じて第1の制御部が動作し、改造レベルのデータが第2の制御部を介してホストコンピュータへ送信される。」(第2頁左欄段落【0003】〜同頁右欄段落【0007】) (イ)「【0008】 【実施例】図1はこの発明の実施例である複写機の管理システムの概略構成を示した図である。管理部1はホストコンピュータ2とモデム3を備え、複数の被管理部4の管理をしている。被管理部4は各々、複写機本体5と、第2CPU(第2の制御部)6と、モデム7とを備えている。複写機本体5は内部の図示しない第1CPU(第1の制御部)によって複写処理等の制御がされる。第2CPU6は管理部1から送られたリクエストコマンドを受け取り、そのコマンドを第1CPUに送って、前記コマンドに対応するデータを受け、そのデータを管理部1へ送信する。すなわち、第2CPU6は管理部1と、複写機本体5とのデータ通信の中継を行う。なお、管理部1のモデム3と、被管理部4のモデム7とは公衆電話回線等によって接続される。 【0009】図2は複写機本体5の要部のブロック図である。複写機全体の制御はマスタCPU11が行う。マスタCPU11は、ROM12に記憶されたプログラムに従って複写機本体5内の各部の制御および、複写機本体に接続されたオプション装置の制御を行う。このときRAM13がワーキングエリアとして用いられる。複写機本体5には、種々のオプション装置が搭載可能になっている。例えば自動原稿送り装置14、自動両面複写装置15、ソータ16等である。ここではオプション装置14を例に説明をする。オプション装置14が搭載されたとき、このオプション装置14と複写機本体5とはコネクタによって電気的に接続される。このときのコネクタ接続により、複写機本体内の所定の信号回路が“L”から“H”に変わる。従来の場合、複写機本体の制御部(CPU11)は処理を行うごとに前記信号回路の状態を判別し、その信号状態に応じて複写処理の命令を有効または無効に選択していた。同様に他のオプション装置が搭載された場合にも、所定の信号回路によりそのオプション装置が搭載されたことが識別できるようになり、それに応じて複写命令信号を有効/無効選択する。一方、この複写機ではオプション装置が搭載されたとき、所定のシミュレーションが行われるようになっている。シミュレーションは、サービスマンが、複写機本体の上面に備えられた操作パネルの入力キー17を操作することによって実行される。入力キーはファンクションキーになっており、所定の順序でキー操作を行ったときに希望するシミュレーションが実行される。オプション装置搭載時のシミュレーションの実行手順を図3に示した。オプション装置の搭載後、所定の手順でキー操作を行うと改造レベルの判別フローが実行される。すなわち、各オプション装置の装着の有無を各オプション装置ごとに割り当てられている信号線の状態で判別し、その結果を総合して改造レベルを判別する。そしてその改造レベルをRAM13の所定の記憶エリアに記憶する。図4はRAM13の記憶エリアの割当状態の一部を示している。図示するように、RAM13には複写機の機種コードや、トータルコピー枚数等のメンテナンスに必要なデータを記憶するエリアが設けられ、その一つに改造レベルを記憶するエリアも設けられている。この記憶エリアに、図3の処理によって判別された改造レベルが記憶される。 【0010】なおこの実施例では、改造レベルとしてオプションの装着のレベルを例にしているが、他の改造を行った場合にもその改造内容によりレベルを設定してそれを記憶するようにしてもよい。」(第2頁右欄段落【0008】〜第3頁左欄段落【0010】) (ウ)「【0011】被管理部4に、ホストコンピュータ2から改造レベルの送信要求があると、被管理部4では該データを送信するための処理を実行する。図5はこの処理における複写機本体のCPUの処理手順を示したフローチャート、図6は複写機本体とホストコンピュータとの仲介を行う第2CPUの処理手順を示したフローチャート、図7はホストコンピュータの処理手順を示したフローチャートである。 【0012】ホストコンピュータ2はオペレータ操作により、被管理部の改造レベルの要求がなされると、要求された被管理部に対して改造レベルのリクエストコマンドを送信し、何らかの応答があるまで待機する(n31〜n34)。 【0013】一方被管理部の第2CPU6には、複写機本体5の電源オンにより電源が供給され、待機状態に入る(n1→n2)。ホストコンピュータ2から改造レベルのリクエストコマンドを受信すると、複写機本体のマスタCPU11に対して該リクエストコマンドを送信する(n3→n4)。そして、5sec 間待機し、その間に改造レベルが送信されてきた場合にはそのデータをホストコンピュータ2を備える管理部1へと送信する(n6→n7→n12)。しかし、5sec 間に改造レベルが送信されたこなかった場合にはリトライまたはエラー判別をする。リトライは1回だけ実行され、その1回のリトライでも改造レベルが受信できなかったときにはエラーと判別する(n6〜n11)。複写機本体のマスタCPU11は、第2CPU6から改造レベルのリクエストコマンドが送信されると、RAM13に記憶されている改造レベルのデータを第2CPU6へ送信する(n1〜n5)。 【0014】なおこの例では、オペレータの操作により管理部1が改造レベルを要求したときに、被管理部4から改造レベルが送信されるようにしているが、被管理部4側から自発的にこのデータを送信するようにしてもよい。例えば、改造レベルを記憶するシミュレーションが実行されたときに改造レベルを管理部1に対して送信するようにしてもよい。」(第3頁左欄段落【0011】〜同頁右欄段落【0014】) (エ)「【0015】 【発明の効果】この発明によれば、管理部において画像形成装置の改造レベルを把握することができ、トラブルが生じたときなどに遠隔地(管理部)において得ることができる画像形成装置(被管理部)の状態の情報の数が増し、遠隔地でトラブルの原因究明を予測する上で、予測精度が向上する。したがって、トラブルに対する対処を迅速に行うことができ、対処ミスも減少する。」(第3頁右欄段落【0015】) 以上の記載からみて、刊行物1には、次のような発明が記載されているものと認められる。 「管理部1は、ホストコンピュータ2とモデム3とを備えており、複数の被管理部4のトラブル管理やライフ管理を遠隔地から管理している。 被管理部4は、複写機本体5と第2CPU6とモデム7とを備えており、更に被管理部4の複写機本体5は、マスターCPU11によって複写処理等の制御がされる。 そして、管理部1のモデム3と被管理部4のモデム7とは、公衆回線等で接続され、被管理部4の第2CPU6は、管理部1と複写機本体5とのデータ通信の中継を行う。 複写機本体5には、種々のオプション装置が搭載可能となっておりオプション装置が搭載されると、または、オプション装着の装着に関わらない他の改造が行われたとき、所定のシミュレーションが実行され、マスタCPU11は、各オプション装置の装着の有無又は他の改造の有無を判別し、その改造レベルのデータをRAM13の所定の記憶エリアに記憶する。 被管理部4に、ホストコンピュータ2からの改造レベルのリクエストコマンドがある時、または被管理部4に自発的な送信要求が生じた時、第2CPU6は、その改造レベルのリクエストコマンドを複写機本体5のマスタCPU11に対し送信する。そして複写機本体5のマスタCPU11は、それを受けて、RAM13に記憶されている改造レベルのデータを第2CPU6へ送信する。 このようにして、遠隔の地にある管理部1は、被管理部4の複写機本体5の改造レベルを把握でき、被管理部4にトラブルが発生したときに遠隔地でそのトラブルの原因究明を予測し、また画像形成装置のライフ管理をも行うことを特徴とする複写機の管理システム。」 6.対比・判断 (i)請求項1に係る発明 請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明とを対比する。 刊行物1には、管理部1と複数の被管理部4とが公衆電話回線等により接続され、管理部1が遠隔地で被管理部4の複写機本体5の改造レベルを容易に把握できるようにし、被管理部4の複写機本体5でトラブルが発生したときその原因究明を予測しトラブルに対する対処を迅速に行うこと及び複写機本体5のライフ管理をすることが記載されている。 装置を診断するとは、その装置が正常に動作しているか又は異常動作をしているかを調べ、もし異常動作をしているのであればその原因を究明しトラブルに迅速に対処することであるから、刊行物1に記載されているように遠隔地にある複写機本体5でトラブルが発生したときその原因究明を予測しトラブルに対する対処を迅速に行うこと及び複写機本体5のライフ管理をすることは、複写機本体5の状態を遠隔地から診断することであるのは明かであり、請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明とは、「遠隔診断システムにより装置状態の診断をする」点において差異はない。 刊行物1には、管理部1はホストコンピュータ2とモデム3を備え、また複数の被管理部4の各々は第2CPU6とモデム7とを備えており、被管理部4の第2CPU6は、管理部1のホストコンピュータ2から送信されたリクエストコマンドを受けこのコマンドに対応するデータを管理部1へ送信することが記載されているから、管理部1のホストコンピュータ2とモデム3、そして被管理部4の第2CPUとモデム7それぞれは、請求項1に係る発明の「相手機との通信を制御する通信モジュール」に相当することは明白である。 刊行物1には、被管理部4の複写機本体5のマスタCPU11は、自動原稿送り装置14、自動両面複写装置15、ソータ16等の各オプション装置の追加の有無またはオプション改造とは無関係な他の改造の有無を判別し、この結果を総合して改造レベルを判別し、その改造レベルをRAM13の所定の記憶エリアに記憶することが記載されている。ところで、本願発明でいうモジュール構成を示す識別情報とは、G3、G4モジュールの実装状況やプリンタ等の外部機器の接続状況を示す情報のことである(本願明細書の段落【0013】)から、刊行物1に記載の各オプション装置の装着の有無と他の改造の有無そしてこの結果を総合したデータである改造レベルは、請求項1に係る発明の装置のモジュール構成を示す識別情報に相当することは明かであり、そしてマスタCPU11は請求項1に係る発明の識別手段に相当することも明白であるから、請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明とは、「装置におけるモジュール構成を識別し、この構成を示す識別情報を作成する識別手段」を有する点で差異はない。 刊行物1には、管理部1のホストコンピュータ2から改造レベルの送信要求がある時または被管理部4に自発的な送信要求が生じた時に、被管理部4の複写機本体のマスタCPU11は、RAM13に記憶されている改造レベルのデータ(識別情報に相当)を第2CPU6(通信モジュールに相当)へ送信することが記載されており、RAM13に記憶されている改造レベルのデータを第2CPU6へ送信するマスタCPU11は請求項1に係る発明の転送手段に相当することは明かであるから、請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明とは、「前記識別情報を前記通信モジュールに転送する転送手段」を有する点で差異はない。 そうすると、請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明とは、 (一致点) 「遠隔診断システムにより装置状態の診断を受ける装置において、 相手機との通信を制御する通信モジュールと、 この装置におけるモジュール構成を識別し、この構成を示す識別情報を作成する識別手段と、 前記識別情報を前記通信モジュールに転送する転送手段と、 を備えたことを特徴とする装置。」 である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1) 遠隔診断を受ける装置が、請求項1に係る発明では、ファクシミリ装置であるのに対し、 刊行物1に記載された発明では、複写機である点。 (判断) 上記相違点1について判断するに、 例えば、特開昭63-38367号公報、特開平5-14576号公報、特開平3-1653号公報、特開平2-146839号公報、特開平6-90317号公報等にその旨の記載のあるとおり、ファクシミリ装置の遠隔診断システムは、本件出願前既に当業者には周知慣用されており、また刊行物1に記載された発明の名称は、画像形成装置の遠隔管理システムであり、従来の技術には、「複写機等の画像形成装置において」と記載されているから、刊行物1に記載された発明の複写機をファクシミリ装置とすることは、当業者が適宜なし得ることである。 (ii)請求項2に係る発明 刊行物1には、被管理部4の複写機本体5のマスタCPU11は、自動原稿送り装置14、自動両面複写装置15、ソータ16等の各オプション装置の追加の有無またはオプション改造とは無関係な他の改造の有無を判別し、改造があった時に、すなわち被管理部4の装置構成(モジュール構成)に変更があったときに、変更後の装置構成状態を識別し新たな改造レベルのデータ(識別情報に相当)を作成しRAM13の所定のエリアに記憶することが記載されており、 請求項2に係る発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、 (一致点) 「前記識別手段は、モジュール構成が変更になった際に、変更後のモジュール構成を識別し、新たに識別情報を作成する」 点で一致し、6.(i)で述べた先の相違点1に加えて次の点で相違する。 (相違点2) 請求項2に係る発明は、識別情報を電源ON時又はリブート時に作成するのに対して、 刊行物1に記載された発明は、改造レベルのデータ(識別情報に相当)を、オプション装置が搭載され改造レベルを記憶するシミュレーションが実行されたとき作成する点。 (判断) 上記相違点2を判断するに、 パーソナルコンピュータを含めて一般のシステムにおいては、システムの中央制御装置が、電源投入時や再スタート時等のシステム立ち上げ時に、システム内に使用可能なハードウエア資源がどれだけあるかを最初に調べ装置構成情報を作成しそれを登録する動作を行うことは、当業者の技術常識であるから、請求項2に係る発明の如く識別情報を電源ON時又はリブート時に作成するようにすることは、当業者が適宜なし得る設計事項程度のことである。 (iii)請求項4に係る発明 請求項4に係る発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、請求項4に係る発明は、転送手段が通信モジュールから転送要求があったとき、転送要求をした通信モジュールへ識別情報を転送するものであるが、刊行物1には、管理部1のホストコンピュータ2から改造レベルのリクエストコマンドの送信要求(転送要求に相当)がありそれを中継する第2CPU6(通信モジュールに相当)から改造レベルのリクエストコマンドが送信されると、複写機本体のマスタCPU11(転送手段に相当)は、RAM13に記憶されている改造レベルのデータ(識別情報に相当)を第2CPU6に送信することが記載されており、さらに、刊行物1には、被管理部4側から自発的に改造レベルのデータを送信してもいいこと(段落【0014】参照。)、すなわち改造レベルのリクエストコマンドの送信要求が第2CPUからリクエストされることも記載されている。 以上の記載事実からみるに、請求項4に係る発明と刊行物1に記載された発明とは、6.(i)で述べた先の相違点1の外に本質的な相違を有するものではない。 7.むすび 以上のとおりであるから、本件請求項1,2及び4に係る発明は、刊行物1に記載された発明、及び周知慣用されている技術とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1,2及び4に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 したがって、本件請求項1,2及び4に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ファクシミリ装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ファクシミリ遠隔診断システムにより装置状態の診断を受けるファクシミリ装置において、相手機との通信を制御する通信モジュールと、このファクシミリ装置におけるモジュール構成を識別し、この構成を示す識別情報を作成する識別手段と、前記識別情報を前記通信モジュールに転送する転送手段と、を備えたことを特徴とするファクシミリ装置。 【請求項2】 前記識別手段は、モジュール構成が変更になった際に、電源ON時又はリブート時に変更後のモジュール構成を識別し、新たに識別情報を作成することを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。 【請求項3】 前記通信モジュールは、前記転送手段により転送されてきた識別情報を蓄える送信バッファを備え、前記転送手段は、前記識別手段により識別情報が作成されたとき、このファクシミリ装置が備えるすべての通信モジュールの送信バッファに前記識別情報を転送することを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。 【請求項4】 前記転送手段は、前記通信モジュールから転送要求があったとき、転送要求をした通信モジュールへ前記識別情報を転送することを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ファクシミリ装置に係り、特にファクシミリ遠隔診断システムの要求に基づいて装置に関する情報等を送信するファクシミリ装置に関する。 【0002】 【従来の技術】ファクシミリ装置の状態を遠隔地から調査し診断できるファクシミリ遠隔診断システムが開発されている。この診断システムは、診断プログラムを書き込んだフロッピーディスク(以下「FD」という)を、診断装置本体を構成するパーソナルコンピュータ等に組み込んでおき、このFDの診断プログラムに基づいて通信装置を介して各ファクシミリ装置を遠隔診断できるようになっている。 【0003】ところで、ファクシミリ装置では機種等が異なると診断方法が異なるため、診断プログラムを変更しなければならない。 【0004】しかし、セットされているFDの診断プログラムでは診断できないファクシミリ装置の場合、この装置を診断するための他の診断プログラムが書き込まれている別のFDを探し、このFDへ入替える作業をしなければならず、診断作業が煩雑になるという問題が生じていた。また、機種等が異なっていても同一のFDで診断できるように、共通項目のみを診断するプログラムを用いて対処するようにしても、正確な診断ができないという新たな問題が生じていた。 【0005】そこで、これらの問題を解決する技術として、特開平2-202161号公報に開示された技術などがある。この技術は、診断するファクシミリ装置に対し、そのファクシミリ装置に設定されているプログラムバージョン、機種番号、製造番号等の装置認識情報を送信させる要求を出力し、その要求に対して送信されたファクシミリ装置からの装置認識情報を受信し、その情報に基づいてファクシミリ装置の状態を診断するための所望の診断プログラムを読みだして、対応するファクシミリ装置の状態診断を行う、というものである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】近年、高級機のファクシミリ装置の中にはファクシミリ単体の機能のみではなく、コピー機能やプリンタ機能が追加されたりする、いわゆる複合機という形態をとるものがある。この複合機はファクシミリ機能部、コピー機能部、プリンタ機能部を有し、それらを制御するシステム制御部などから構成され、各機能部はモジュール化されており、その用途に応じたモジュールを自在に接続できるようになっている。従って、この複合機を遠隔診断する場合には、通信毎にモジュール構成が変更されることを考慮した診断手段を用いなければならない。 【0007】しかしながら、上記従来技術では、装置認識情報としてモジュール構成のような細かい情報は持っておらず、さらに、このモジュール構成が変更された場合に対応する手段を持たないため、かかる場合には正しく診断できないといった問題が生じる。 【0008】本発明は上記事実を考慮し、モジュール構成に関する情報を適宜作成して転送することにより、モジュールが変更された場合でも遠隔診断システムが効率的に正しく診断できるファクシミリ装置を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ファクシミリ遠隔診断システムにより装置状態の診断を受けるファクシミリ装置において、相手機との通信を制御する通信モジュールと、このファクシミリ装置におけるモジュール構成を識別し、この構成を示す識別情報を作成する識別手段と、前記識別情報を前記通信モジュールに転送する転送手段と、を備えたことを特徴とする。 【0010】請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記識別手段が、モジュール構成が変更になった際に、電源ON時又はリブート時に変更後のモジュール構成を識別し、新たに識別情報を作成することを特徴とする。 【0011】請求項3に記載の発明は、請求項1の発明において、前記通信モジュールが、前記転送手段により転送されてきた識別情報を蓄える送信バッファを備え、前記転送手段が、前記識別手段により識別情報が作成されたとき、このファクシミリ装置が備えるすべての通信モジュールの送信バッファに前記識別情報を転送することを特徴とする。 【0012】請求項4に記載の発明は、請求項1の発明において、前記転送手段が、前記通信モジュールから転送要求があったとき、転送要求をした通信モジュールへ前記識別情報を転送することを特徴とする。 【0013】 【作用】請求項1に係る発明によれば、識別手段はファクシミリ装置におけるモジュール構成を識別し、この構成を示す識別情報を作成する。なお、このモジュール構成とは、例えば通信を制御するG3、G4モジュールの実装状況やプリンタ等の外部機器の接続状況をいう。そして、転送手段は作成された識別情報を通信モジュールへ転送する。これにより、この通信モジュールは、ファクシミリ遠隔診断システムがこのファクシミリ装置を遠隔診断するときに、この識別情報を当該システムへ送信できる。従って、遠隔診断システムは、当該ファクシミリ装置のモジュール構成を考慮に入れた診断プログラムを選択でき、正確な診断が可能となる。また、モジュール構成を調べる必要もないので、診断システムの作業効率が向上する。 【0014】請求項2に係る発明によれば、識別手段は、当該ファクシミリ装置のモジュール構成が変更になった際に、変更後のモジュール構成を識別し、新たに識別情報を作成する。そして、この新たな識別情報は、転送手段により通信モジュールへ転送される。これにより、遠隔診断システムは、モジュール構成変更後のファクシミリ装置を正確に診断することができる。 【0015】請求項3に係る発明によれば、転送手段は、識別手段により識別情報が作成されたとき、このファクシミリ装置のすべての通信モジュールの送信バッファへこの識別情報を転送する。これにより、遠隔診断システムが、どの通信モジュールにアクセスしても識別情報を直ちに得ることができ、迅速に診断することができる。 【0016】請求項4に係る発明によれば、転送手段は、通信モジュールから転送要求があったときに転送要求した通信モジュールへ識別情報を転送する。 【0017】 【実施例】本実施例に係るファクシミリ装置の構成ブロックを図1に示す。 【0018】システムバス8は、このファクシミリ装置を構成する各構成部相互間のデータ送受信や制御命令の伝達を行うためのバスである。 【0019】CPU10は、システムバス26を介して各構成部に制御命令を送出することによりファクシミリ装置全体を制御する制御回路である。なお、CPU10は、このファクシミリ装置の電源投入時にプログラムROM32からプログラムを読み取り、このプログラムに基づいて制御を行う。 【0020】RAM12は、CPU10のワークエリアとして使用される揮発性のメモリである。 【0021】操作表示装置14は、いわゆるタッチパネルから構成され、パネルへの接触等により装置への命令を入力する入力手段である。 【0022】読取装置16は、送信原稿やコピー原稿等に対して白色光を照射しながらスキャンし、その反射光の強度を量子化することによりデジタル画像に変換する装置である。 【0023】印字装置18は、受信画像等を記録用紙等に印字出力するための装置である。外部I/F(インターフェイス)制御装置20は、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、プリンタ等の外部機器24とのデータ送受信を制御するインターフェイス回路である。なお、外部機器24とのインターフェイスとして例えばSCSIなどを用いればデータ転送時間を高速化できる。 【0024】画像処理装置28は、送信データの符号化と受信データの複合化を行う装置である。また、この画像処理装置28は、送受信データの拡大や縮小等も行うことができる。 【0025】蓄積装置30は、読取装置16により読み取られたデジタル画像データや受信したデータをファイル毎に記憶しておくための記憶装置である。 【0026】プログラムROM32は、CPU10の制御用プログラムを格納しておくための不揮発性メモリである。 【0027】通信モジュール34及び通信モジュール36は、ファクシミリ装置の通信(G3やG4など)を制御するモジュールである。なお、このモジュールは、通信手段の他に、当該モジュールを制御するCPU、プログラムを格納しておくROM、作業用や送受信データ格納用のRAM等から構成されている(図示なし)。 【0028】次に、本実施例に係るファクシミリ装置の処理について図2乃至図4によって説明する。 【0029】図2に、識別情報コードのフォーマット例を示す。ここで、識別情報とは、当該ファクシミリ装置におけるモジュールに関する情報をいい、識別情報コードとは、この情報をコード化したものをいう。 【0030】図2によれば、識別情報コードのビット0のデータがG3モジュールの有無を示している。すなわち、ビット0のデータが0の場合はG3モジュールがこのファクシミリ装置に実装されていないことを示し、1の場合はG3モジュールが実装されていることを示している。 【0031】また、識別情報コードのビット1のデータがG4モジュールの有無を示している。すなわち、ビット1のデータが0の場合はG4モジュールがこのファクシミリ装置に実装されていないことを示し、1の場合はG4モジュールが実装されていることを示している。 【0032】さらに、識別情報コードのビット2のデータがプリンタモジュールの有無を示している。すなわち、ビット2のデータが0の場合はプリンタモジュールがこのファクシミリ装置に実装されていないことを示し、1の場合はプリンタモジュールが実装されていることを示している。 【0033】また、識別情報コードのビット3のデータがメモリ容量を示している。すなわち、ビット3のデータが0の場合はこのファクシミリ装置に実装されているメモリ容量が1Mバイトであることを示し、1の場合はメモリ容量が2Mバイトであることを示している。 【0034】図3に図2で示した識別情報コードを作成する処理の流れを示す。ファクシミリ装置の電源がOFFの時は当該処理を行わず(ステップ100否定判定)、電源がONになると(ステップ100肯定判定)、識別情報コードを0にクリアする(ステップ102)。なお、この識別情報コードは、例えばRAM12やレジスタ等に確保される。 【0035】次に、G3通信モジュールがあるか否かをチェックする(ステップ104)。このチェックにより、G3モジュールがあると判定した場合(ステップ104肯定判定)、識別情報のビット0を1にしてから(ステップ106)次のステップ108に進む。G3通信モジュールがないと判定した場合には(ステップ104否定判定)、識別情報のビット0を0のままにして次のステップ108に進む。 【0036】次にG4モジュールがあるか否かをチェックする(ステップ108)。このチェックにより、G4モジュールがあると判定した場合(ステップ108肯定判定)、識別情報のビット1を1にしてから(ステップ110)次のステップ112に進む。G4モジュールがないと判定した場合には(ステップ108否定判定)、ビット1を0のままにして次のステップ112に進む。 【0037】次にプリンタモジュールがあるか否かをチェックする(ステップ112)。このチェックにより、プリンタモジュールがあると判定した場合(ステップ112肯定判定)、識別情報のビット2を1にしてから(ステップ114)次のステップ116に進む。プリンタモジュールがないと判定した場合には(ステップ112否定判定)、ビット2を0のままにして次のステップ116に進む。 【0038】次にメモリ容量が1Mバイトであるか2Mバイトであるかをチェックする(ステップ116)。このチェックにより、メモリ容量が2Mバイトであると判定した場合(ステップ116肯定判定)、識別情報のビット3を1にしてから(ステップ118)処理を終了する。メモリ容量が1Mバイトであると判定した場合には(ステップ116否定判定)、ビット3を0のままにして処理を終了する。 【0039】以上述べた識別情報の作成処理は、電源ONやリブート(リスタート)時に自動的に実行される。これにより、例えば電源をOFFにしてモジュール構成を変更した後、電源をONにすれば、変更されたモジュールに対応した識別情報が新たに作成されるので、これが送信されれば遠隔診断システムは正確な診断を行うことができる。 【0040】なお、識別情報の作成処理において、各モジュールの有無の判定やメモリ容量のチェックは、CPU10がシステムバス8を介して各モジュールにアクセスすることにより行う。 【0041】次に、作成した識別情報を通信モジュールに転送する処理について説明する。なお、この転送処理には、作成した識別情報を自発的に通信モジュールに転送する能動的な転送処理と、通信モジュールからの要求に基づいて当該通信モジュールに転送する受動的な転送処理とがある。 【0042】先ず、能動的な転送処理について図4により説明する。ファクシミリ装置の電源がOFFの時は当該転送処理を行わず(ステップ130否定判定)、電源がONになると(ステップ130肯定判定)、図3に示した識別情報の作成処理を実行する(ステップ132)。これにより識別情報が得られる。 【0043】次に、当該ファクシミリ装置にG3モジュールがあるか否かを判定し(ステップ134)、G3モジュールがある場合には(ステップ134肯定判定)、識別情報をG3モジュールに転送してから(ステップ136)次のステップ138に進む。G3モジュールがない場合には(ステップ134否定判定)、この転送を行わずに次のステップ138に進む。 【0044】次に当該ファクシミリ装置にG4モジュールがあるか否かを判定し(ステップ138)、G4モジュールがある場合には(ステップ138肯定判定)、識別情報をG4モジュールに転送してから(ステップ140)この処理を終了する。G4モジュールがない場合には(ステップ138否定判定)、この転送を行わずに処理を終了する。 【0045】なお、G3モジュール又はG4モジュールに転送された識別情報は、これらのモジュール内のバッファ(RAM)に一時的に格納され、遠隔診断システムから転送要求があれば送信される。 【0046】このように能動的に識別情報の転送を行うことにより、診断システムを具備したマスター装置へ当該装置のモジュール情報を示す識別情報を転送する準備が整うことになる。また、実装されているすべての通信モジュールに対して識別情報を前もって転送しておくことにより、マスター装置から送信要求があった時に、識別情報を直ちに送信することができ、診断作業の迅速化が図れる。 【0047】次に、受動的な転送処理について図5により説明する。ファクシミリ装置の電源がOFFの時は当該転送処理を行わず(ステップ160否定判定)、電源がONになると(ステップ160肯定判定)、図3に示した識別情報の作成処理を実行する(ステップ162)。これにより識別情報が得られる。 【0048】ここで通信モジュールから通信開始要求があるまで待機する(ステップ164否定判定)。そして、通信モジュールから通信開始要求があると(ステップ164肯定判定)、当該識別情報を要求のあった通信モジュールに転送して(ステップ166)、この処理を終了する。 【0049】このように要求があった通信モジュールに対して識別情報の転送を行うことにより、診断システムを具備したマスター装置へ当該装置のモジュール情報を示す識別情報を転送する準備が整うことになる。また、通信モジュールから要求があった時に、上述の識別情報作成処理を行い、それから転送するようにしてもよい。このようにすることにより、現時点における正確なモジュール構成が識別情報に反映されるので、例えば電源をOFFにしないでモジュールを変更した場合等にも対応できる。 【0050】次に、当該ファクシミリ装置の通信モジュールに転送された識別情報を診断システムを具備したマスター装置へ転送する処理について図6により説明する。 【0051】図6に示されたように、マスター装置から発呼が行われスレーブ装置に着信すると、このスレーブ装置はCED(Called Station Identification)信号を送出する。 【0052】CED信号を送出して所定時間が経過すると、スレーブ装置は、NSF(Non-Standard Facilities)信号を送出して、マスター装置に当該スレーブ装置における非標準的な機能に関する情報を伝達する。 【0053】このNSF信号の構成例を図7に示す。図7によれば、NSF信号はプリアンプルをヘッダ部に持ち、フラグ、アドレスフィールド、コントロールフィールド、FCF(NSFコマンドコード)、FIF(ファクシミリ・インフォメーション・フィールド)及びFCS(フレーム・チェッキング・シーケンス)から構成される。この内、FIFにはFCFで示された制御信号をさらに明らかにするための付加情報が収められる。従って、図3に示された処理により作成された識別情報をこのFIFの残りの部分に収めることができる。図7の例では、この識別情報はFIFの8バイト目に格納されている。 【0054】このように、NSF信号に識別情報をのせて送信するようにしたので、従来と同じインターフェイスを保持しつつ診断装置を具備したマスター装置に送信することができる。なお、識別情報をのせる信号はNSF信号に限られず、例えばG4通信ではRSSP信号等を用いてもよい。 【0055】以上が、本実施例に係るファクシミリ装置であるが、この例だけに限定されるものではない。例えば、識別情報を自動的に作成するようにしたが、オペレータが操作表示装置14を用いて入力できたり、補正できるようにしてもよい。また、モジュールの変更を検出してこの時に識別情報を再作成したり、一定周期毎に識別情報を再度作成し直すようにしてもよい。 【0056】また、モジュールとしてG3、G4モジュールやプリンタ等の例を挙げたが、ファクシミリ装置に実装できたり、接続できる外部装置であれば、この例に限られないことはいうまでもない。 【0057】その他、各構成要件や処理の流れ等は任意好適に変更可能である。 【0058】 【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、ファクシミリ装置のモジュール構成の識別情報を遠隔診断システムへ送信することを可能としたので、遠隔診断システムは、当該ファクシミリ装置のモジュール構成を考慮に入れた診断プログラムを選択でき、正確な診断が可能となる、という効果が得られる。 【0059】請求項2に係る発明によれば、ファクシミリ装置のモジュール構成が変更になると変更後のモジュール構成を示す識別情報を新しく作成するようにしたので、遠隔診断システムは、モジュール構成変更後のファクシミリ装置を正確に診断することができる、という効果が得られる。 【0060】請求項3に係る発明によれば、作成した識別情報を直ちにすべての通信モジュールに転送するようにしたので、遠隔診断システムが、どの通信モジュールにアクセスしても識別情報を直ちに得ることができ、迅速に診断することができる、という効果が得られる。 【0061】請求項4に係る発明によれば、作成した識別情報を転送要求のあった通信モジュールへ転送するようにしたので、確実に遠隔診断システムに識別情報を送信でき、正確な診断が可能となる、という効果が得られる。 【図面の簡単な説明】 【図1】第1実施例に係るファクシミリ装置の構成を示すブロック図である。 【図2】識別情報コードの構成を示す図である。 【図3】識別情報作成処理を示すフローチャートである。 【図4】識別情報の能動的な転送処理を示すフローチャートである。 【図5】識別情報の受動的な転送処理を示すフローチャートである。 【図6】マスター装置とスレーブ装置との送受信信号を示す図である。 【図7】第1実施例に係るファクシミリ装置によって送信されたNSF信号の構成例を示す図である。 【符号の説明】 10 CPU 12 RAM 34 通信モジュール 36 通信モジュール |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2003-11-21 |
出願番号 | 特願平7-98958 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
ZA
(H04N)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 手島 聖治 |
特許庁審判長 |
小川 謙 |
特許庁審判官 |
井上 信一 関川 正志 |
登録日 | 2002-07-05 |
登録番号 | 特許第3324330号(P3324330) |
権利者 | 富士ゼロックス株式会社 |
発明の名称 | ファクシミリ装置 |
代理人 | 特許業務法人アイ・ピー・エス |
代理人 | 特許業務法人アイ・ピー・エス |