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審決分類 審判 全部申し立て 特39条先願  G03F
審判 全部申し立て 2項進歩性  G03F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G03F
管理番号 1094634
異議申立番号 異議2002-71422  
総通号数 53 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-06-10 
確定日 2004-02-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3236220号「レジスト用剥離液組成物」の請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3236220号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 I 手続の経緯
本件特許第3236220号の請求項1ないし8に係る発明は、平成8年6月21日(優先権主張平成7年11月13日)に出願され、平成13年9月28日に特許の設定登録がなされ、その後、株式会社トクヤマより特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成15年2月3日に訂正請求がなされたものである。

II 訂正の適否についての判断
訂正請求は本件特許明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであり、訂正の内容は次のとおりである。
1 訂正の内容
(a)特許請求の範囲、請求項1の記載を
「フッ化物成分と、水溶性有機溶媒と、水とからなり、レジスト変質膜の剥離が可能なレジスト用剥離液組成物であって、
前記フッ化物成分がフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩から構成され、かつ該レジスト用剥離液組成物のpH値が5〜8に維持されていることを特徴とするレジスト用剥離液組成物。」
と訂正する。
(b)同請求項2の記載の、「(a)成分」を「前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩」と訂正し、「(b)成分」を「前記水溶性有機溶媒」と訂正し、「残部が(c)成分からなる」 を「前記水が残部として配合されている」と訂正する。
(c)同請求項3の記載を、
「フッ化物成分と、水溶性有機溶媒と、水と、防食剤とからなり、レジスト変質膜の剥離が可能なレジスト用剥離液組成物であって、
前記フッ化物成分がフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩から構成されるとともに、前記防食剤が芳香族ヒドロキシ化合物、アセチレンアルコール、カルボキシル基含有有機化合物及びその無水物、トリアゾール化合物並びに糖類から選ばれる少なくとも1種から構成され、かつ該レジスト用剥離液組成物のpH値が5〜8に維持されていることを特徴とするレジスト用剥離液組成物。」
と訂正する。
(d)同請求項4に記載の「(a)成分」を「前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩」と訂正し、「(b)成分」を「前記水溶性有機溶媒」と訂正し、「(d)成分」を「前記防食剤」と訂正し、「残部が(c)成分である」を「前記水が残部として配合されている」と訂正する。
(e)同請求項5、6に記載の「(a)成分」を「前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩」と訂正する。
(f)同請求項7、8に記載の「(b)成分」を「前記水溶性有機溶媒」と訂正する。
(g)明細書の段落【0006】に記載の「レジスト用剥離液をフッ化水素酸と金属を含まない塩基との塩、水溶性有機溶媒及び水を含有する組成物とする」を、「フッ化物成分と、水溶性有機溶媒と、水とから構成し、前記フッ化物成分がフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩から構成することによって、該レジスト用剥離液組成物のpH値が5〜8に維持すれば」と訂正する。
(h)明細書の段落【0009】の記載を、
「上記目的を達成する本発明は、フッ化物成分と、水溶性有機溶媒と、水からなり、あるいはさらに防食剤を含有してなり、レジスト変質膜の剥離が可能なレジスト用剥離液組成物であって、前記フッ化物成分がフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩から構成され、かつ該レジスト用剥離液組成物のpH値が5〜8に維持されていることを特徴とするレジスト用剥離液組成物に係る。以下、前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基との塩を(a)成分、水溶性有機溶媒を(b)成分、水を(c)成分、防食剤を(d)成分と略記することもある。」と訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正aにおいて、請求項1に記載される「フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩」のpH限定(訂正a-1)は、訂正前はpHが限定されていなかった「フッ化水素酸と金属を含まない塩基との塩」を限定するものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正aにおける、レジスト用剥離液組成物を規定する記載、即ち「(a)フッ化水素酸と・・・からなり、かつ・・・(pH)が5〜8の範囲にある」を、「フッ化物成分と、水溶性有機溶媒と、水からなり、レジスト変質膜の剥離が可能なレジスト用剥離液組成物であって、前記フッ化物成分がフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得た・・・塩から構成され、かつ該レジスト用剥離液組成物のpH値が5〜8に維持されている」と訂正する点(訂正a-2)は、訂正a-1に伴い、フッ化水素酸と金属を含まない塩基との塩と、レジスト用剥離液組成物を構成する他の成分との関係を整理し、明確にしたものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
訂正bは、請求項1の訂正aに伴って、「(a)成分」、「(b)成分」をそれぞれ「前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩」、「前記水溶性有機溶媒」と訂正し、「残部が(c)成分からなる」を「前記水が残部として配合されている」と訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
そして、訂正a、bは、願書に添付した明細書の「・・・前記金属を含まない塩基とフッ化水素酸との塩は、市販の・・・塩基をpHが5〜8となるように添加することで製造できる。」(本件明細書の段落【0010】)、「本発明のレジスト用剥離液組成物は、pHが5〜8のほぼ中性である。前記pH値範囲を達成するには(a)成分をほぼ中性に調製すればよいが、・・・目的とするpHの(a)成分が調製できる。レジスト用剥離液組成物のpH値が前記範囲にあることにより変質膜の剥離性の低下がなく、・・・ことができる。」(同段落【0011】)の記載(以下「段落【0010】、【0011】の記載」という。)に基づくものであり、願書に添付した明細書に記載の事項の範囲内のものであることは明らかである。
訂正cにおいて、請求項3に記載される「フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩」とのpH限定(訂正c-1)は訂正a-1と同じ訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
訂正cにおける、レジスト用剥離液組成物を規定する記載、即ち「(a)フッ化水素酸と・・・を含有してなり、かつ・・・(pH)が5〜8の範囲にある」を、「フッ化物成分と、水溶性有機溶媒と、水からなり、レジスト変質膜の剥離が可能なレジスト用剥離液組成物であって、前記フッ化物成分がフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得た・・・塩から構成され、かつ該レジスト用剥離液組成物のpH値が5〜8に維持されている」と訂正する点(訂正c-2)は、訂正c-1に伴い、フッ化水素酸と金属を含まない塩基との塩と、レジスト用剥離液組成物を構成する他の成分との関係を整理し、明確にするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
訂正dは、請求項3の訂正cに伴って、「(a)成分」、「(b)成分」をそれぞれ「前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩」、「前記水溶性有機溶媒」と訂正し、「残部が(c)成分からなる」を「前記水が残部として配合されている」と訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
訂正eは、請求項1、3の訂正a、cに伴って、「(a)成分」を、「前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩」に訂正するものであり、訂正fは、請求項1、3の訂正a、cに伴って、「(b)成分」を「前記水溶性有機溶媒」に訂正するものであるから、いずれも明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
上記訂正c〜fは、願書に添付した明細書の上記「段落【0010】、【0011】の記載」、「本発明のレジスト用剥離液組成物が(a)〜(d)成分を含有する場合には、・・・(d)成分が0.5〜40重量%、・・・で残部が水であるのが好ましい。各成分が前記範囲を逸脱すると、変質膜の剥離性、防食性に劣る。」(本件明細書段落【0020】)の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書に記載の事項の範囲内のものである。
訂正g、hは、上記訂正a〜fに伴い、発明の詳細な説明の記載を特許請求の範囲と整合させる訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。そして、訂正g、hは、願書に添付した明細書に記載の事項の範囲内ものである。
また、上記各訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

3 訂正の適否の結論
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項に規定する訂正の目的を満たすものであり、かつ同条第3項において準用する第126条第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III 特許異議申立てについて
1 本件発明
上記「II 訂正の適否についての判断」に示したとおり、本件に係る訂正が認められるから、本件の請求項1ないし8に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲、請求項1ないし8に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】フッ化物成分と、水溶性有機溶媒と、水とからなり、レジスト変質膜の剥離が可能なレジスト用剥離液組成物であって、
前記フッ化物成分がフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩から構成され、かつ該レジスト用剥離液組成物のpH値が5〜8に維持されていることを特徴とするレジスト用剥離液組成物。
【請求項2】前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩が0.2〜30重量%、前記水溶性有機溶媒が30〜90重量%及び前記水が残部として配合されていることを特徴とする請求項1記載のレジスト用剥離液組成物。
【請求項3】フッ化物成分と、水溶性有機溶媒と、水と、防食剤とからなり、レジスト変質膜の剥離が可能なレジスト用剥離液組成物であって、
前記フッ化物成分がフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩から構成されるとともに、前記防食剤が芳香族ヒドロキシ化合物、アセチレンアルコール、カルボキシル基含有有機化合物及びその無水物、トリアゾール化合物並びに糖類から選ばれる少なくとも1種から構成され、かつ該レジスト用剥離液組成物のpH値が5〜8に維持されていることを特徴とするレジスト用剥離液組成物。
【請求項4】前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩が0.2〜30重量%、前記水溶性有機溶媒が30〜90重量%、前記防食剤が0.5〜40重量%及び前記水が残部として配合されていることを特徴とする請求項3記載のレジスト用剥離液組成物。
【請求項5】前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩が、フッ化水素酸とヒドロキシル脂環式アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、アンモニア水および低級アルキル第4級アンモニウム塩基から選ばれる少なくとも1種との塩であることを特徴とする請求項1又は3記載のレジスト用剥離液組成物。
【請求項6】前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩がフッ化アンモニウムであることを特徴とする請求項5記載のレジスト用剥離液組成物。
【請求項7】前記水溶性有機溶媒がジメチルスルホキシド、N、N-ジメチルホルムアミド、N、N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1、3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、エチレングリコール及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は3記載のレジスト用剥離液組成物。
【請求項8】前記水溶性有機溶媒が少なくとも10重量%のエチレングリコールを含む水溶性有機溶媒であることを特徴とする請求項7記載のレジスト用剥離液組成物。」
なお、訂正後の請求項1ないし8に係る発明を、以下請求項順に「第1発明」、「第2発明」、「第3発明」・・・「第8発明」という。

2 特許異議申立ての理由の概要
異議申立人・株式会社トクヤマは、甲第1号証ないし甲第3号証並びに参考資料1、2を提出して、訂正前の本件請求項1ないし8に係る特許は、以下の理由により取り消されるべきである旨主張している。
(i)訂正前の本件請求項1、3、5ないし8に係る発明は、本件特許出願から分割され、本件特許と同日に出願されたとみなされる特願平11-170810号の特許掲載公報(甲第1号証)の請求項に記載された発明と同一であるから、本件請求項1、3、5ないし8に係る特許は、特許法第39条第2項の規定に違反して特許されたものである。
(ii)訂正前の本件請求項1ないし3、請求項5ないし7に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の発明に該当し、特許を受けることができない。
(iii)訂正前の本件請求項1ないし7に係る発明は、甲第2、3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
[証拠方法等]
甲第1号証 特許第3255623号公報
甲第2号証 特開平7-271056号公報
甲第3号証 特開平5-315331号公報
参考資料1 「岩波 理化学辞典」1998年2月20日、岩波書店、1175、1178頁
参考資料2 「物理化学大要」昭和37年9月20日、養賢社、89頁

当審においては、訂正前の本件請求項1ないし8に係る特許は、以下の理由により取り消されるべきである旨の取消理由を通知した。
(i)訂正前の本件請求項1ないし8に係る発明は、本件の出願日前の同一出願人の出願に係る「先願1」の明細書の特許請求の範囲に記載された発明と同一であるから、その特許は、特許法第39条第1項の規定に違反して特許されたものである。
(ii)訂正前の本件請求項1ないし8に係る発明は、刊行物1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。
[先願及び刊行物]
先願1 特願平7-32817号(特許第3255551号公報参照。)
刊行物1 特開昭53-44491号公報
刊行物2 特開平6-202345号公報
刊行物3 特開平6-61615号公報
刊行物4 特開平5-259066号公報
刊行物5 特開昭64-88548号公報
刊行物6 特開平5-281753号公報
刊行物7 特開昭55-2297号公報
刊行物8 特開平7-271056号公報(異議申立人の提出した甲第2号証)

3 上記刊行物及び甲第3号証の記載事項
刊行物1(特開昭53-44491号公報)には、フォトレジストを除去する時の剥離剤として有用である、有機スルホン酸及びふっ化物イオンを含有する改良された有機組成物に関する発明が記載され(2頁左下欄13行〜右下欄2行)、該有機剥離用組成物は、特定の有機スルホン酸(R-SO3H)と有機溶剤よりなる有機剥離用組成物に、組成物重量に対し約5〜250ppm量のふつ化物イオンが配合されること(特許請求の範囲第1項)、ふつ化物イオンは、ふつ化水素酸、ふつ化アンモニウム、二ふつ化アンモニウム・・・からなるふつ化含有化合物の添加により組成物に導入されること(特許請求の範囲第3項)、有用な有機スルホン酸として「モノヒドロキシアリールスルホン酸」である「フェノールスルホン酸」等があること(4頁右上欄7行〜5頁左上欄5行)、組成物で使われる溶剤は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-マチルピロリドン等から選ばれること(5頁左下欄11行〜6頁右上欄12行)、ふっ化物イオンはふつ化水素酸、二ふつ化アンモニウム等の形で存在すること、そのイオン源としては無水のHF又はHFの49重量%溶液のような水溶液が好ましいこと(6頁右下欄13行〜7頁左上欄3行)が記載され、第1表には、ふっ化物イオンとして、NH4F(フッ化アンモニウム)を加えたものが記載されている。
刊行物2(特開平6-202345号公報)には、ストリッピング溶媒、親核アミン、非窒素含有弱酸を含有するアルカリ含有フォトレジストストリッピング組成物に関して記載され(【請求項1】)、非窒素含有弱酸の例として、弗化水素酸等が挙げられ(【請求項3】、段落【0010】)、ストリッピング組成物中で用いられる弱酸の量は、該組成物の約0.05〜約25重量%であり、該ストリッパー組成物の水性すすぎpH約pH9.6〜10.9を生じること(段落【0010】)が記載されている。
刊行物3(特開平6-61615号公報)には、電子デバイスの製造方法に関して記載され、その製造過程では、フォトレジストコーティングを0.2〜50%のフッ素含有有機酸と1%以下の腐食防止剤と50〜99.8%のアミド溶剤とからなる混合物に浸漬することにより除去すること(【請求項1】)、腐食防止剤はベンゾトリアゾール等であること(段落【0011】)が記載されている。
刊行物4(特開平5-259066号公報)には、エッチング工程で使用し得るポジ型フォトレジスト用剥離液に関して記載され、該剥離液は芳香環式フェノール化合物(例、フェノール、クレゾール)と芳香環式カルボン酸化合物(例、安息香酸)より選ばれる化合物と有機アミン含有の水溶液とからなること(【請求項1】〜【請求項3】)、該剥離液は、有機アミン水溶液の側壁保護堆積膜の剥離能と、芳香環式フェノール化合物、芳香環式カルボン酸化合物の配線材料に対する非腐食性の諸特性を備えるものであること(段落【0011】)が記載されている。
刊行物5(特開昭64-88548号公報)には、フォトレジストを基体から剥離するための水性剥離剤組成物に関して記載され、該水性剥離剤組成物として、モノエタノールアミン、特定のグリコールモノアルキルエーテル、ブチンジオール(防錆剤)及び水残部とからなるものが記載され(特許請求の範囲、請求項2)、該水性剥離剤組成物は、特にアルミニウムに対す腐食性が抑制されていること(3頁左下欄17〜19行)が記載されている。
刊行物6(特開平5-281753号公報)には、基板上に形成したポジ型フォトレジスト膜等を容易に剥離することができる剥離剤組成物に関して記載され、該組成物は特定のアルカノールアミン化合物、スルホン化合物(例、ジメチルスルホン)又はスルホキシド化合物、及び特定のヒドロキシ化合物からなること(【請求項1】、段落【0007】)、金属膜を有する基板に対しても腐食を起こさない剥離剤組成物の提供が目的であること(段落【0003】)、ヒドロキシ化合物のとしてはフェノール、ジヒドロキシベンゼン等でが用いられること(段落【0008】)が記載されている。
刊行物7(特開昭55-2297号公報)には、重合体の有機物質を除去するための有機剥離剤組成物に関して記載され、該組成物は特定の有機スルホン酸(R-SO3H)、必要に応じ有機溶媒、組成物重量の約5〜約300重量ppmのフッ化物を含む抑制剤系からなり、抑制剤系には更に特定のニトリル化合物を組成物重量に対し約0.01〜約5重量%含有すること(特許請求の範囲、請求項1)、有用な有機スルホン酸は例えばヒドロキシアリール-スルホン酸であること(2頁右下欄1〜6行)、フッ化物はHF及びアンモニウムビフルオライドのような無機塩の形で添加され得るが、該フッ化物は、通常、酸性剥離剤組成物中でHFに転換すると思われること(4頁右下欄17〜5頁左上欄1行)が記載されている。
刊行物8(特開平7-271056号公報)には、
「(a)一般式[R1]m[COONHp(R 2)q]n(式中、R1は炭素数1〜18のアルキル基又はアリール基;R2は炭素数1〜18のアルキル基;m、nは1〜4の整数、pは1〜4の整数、qは0〜3の整数を表し、p+q=4である)で表される有機カルボン酸アンモニウム塩又は有機カルボン酸アミン塩を5〜50重量%、及び(b)フッ素化合物を0.1〜15重量%、及び(c)アミド類、・・・から選ばれた有機溶媒の1種以上を1〜50重量%含有する水溶液からなることを特徴とするフォトレジスト用剥離液。」(【請求項2】)、
「本発明は・・・アルミニウム系配線体をまったく腐食することなく、エッチング時に形成される側壁保護膜を・・・除去できるレジスト剥離液・・・を提供する。」(段落【0005】)、
「上記一般式で表わされる有機カルボン酸アンモニウム塩としては、具体的には、ぎ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、・・・を含む。」(段落【0008】)、
「有機カルボン酸アンモニウム塩あるいは有機カルボン酸アミン塩は、好ましくは、5〜50重量%の濃度で使用される。・・・濃度が5重量%未満の場合、アルミニウム系配線体材質の腐食が激しくなり、50重量%以上では、側壁保護膜の除去能力が低下し、好ましくない。」(段落【0010】)、
「フッ素化合物の例としては、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム・・・を含む。これらの フッ素化合物は、通常0.5〜15重量%の濃度で使用されるが、・・・」(段落【0011】)、
「有機溶媒の例としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミド・・・を含む。これらの有機溶媒は好ましくは、1〜50重量%の含有量で使用される。」(段落【0012】)、
「前記有機カルボン酸アンモニウム塩あるいは・・・の濃度が少ないと、アルミニウム系配線体材質の腐食が激しくなり、・・・好ましくない。」(段落【0013】)が記載され、
実施例3ないし6には、有機カルボン酸アンモニウム塩又は有機カルボン酸アミン塩とフッ化アンモニウムと有機溶媒と水からなる剥離液が記載されている。
甲第3号証には、「基板上に銅配線パターンを形成した後、その銅配線パターンをベンゾトリアゾールを含有する水溶液により洗浄する工程を含む・・・半導体装置の製造方法。」(2頁、請求項4)、「次にBTAによる銅配線の腐食抑制の作用について述べる。銅配線のBTAを含む洗浄液を接触させると、・・・バリアとなるので銅配線の腐食が抑制できる。」(段落【0017】)ことが記載されている。

4 先願1に係る発明
先願1に係る発明は、異議2002-71954号において訂正された特許明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次のとおりのものである(異議2002-71954号の決定参照)。
「【請求項1】フッ化水素酸0.5〜40重量%、水溶性有機溶媒60〜90重量%、及び芳香族ヒドロキシ化合物、アセチレンアルコール、カルボキシル基含有有機化合物及びその無水物、並びにトリアゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の防食剤を残部として含有することを特徴とするレジスト用剥離液組成物。
【請求項2】フッ化水素酸及びフッ化アンモニウム0.5〜40重量%、水溶性有機溶媒60〜90重量%、及び芳香族ヒドロキシ化合物、アセチレンアルコール、カルボキシル基含有有機化合物及びその無水物、並びにトリアゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の防食剤を残部として含有することを特徴とするレジスト用剥離液組成物。
【請求項3】水溶性有機溶媒がジメチルスルホキシド、N、N-ジメチルホルムアミド、N、N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1、3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2記載のレジスト用剥離液組成物。」

5 対比・判断
(1)特許法第29条第1項の判断
(i)「第1発明」、「第2発明」について
刊行物8には、フッ素化合物としてフッ化アンモニウムを用いることが記載されているから、刊行物8には、特定の有機カルボン酸アンモニウム塩又は有機カルボン酸アミン塩、有機溶媒、フッ素化合物及び水が添加され、フッ素化合物がフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得た塩であるレジスト用剥離液の発明が記載されていると認められる。
「第1発明」、「第2発明」と刊行物8記載の発明と対比すると少なくとも以下の点で相違する。
相違点1:「第1発明」、「第2発明」は、「フッ化物成分と、水溶性有機溶媒と、水とからなるレジスト用剥離液組成物」であって、有機カルボン酸アンモニウム塩等の他の成分を含有しないものであるのに対し、刊行物8記載の発明は、特定の有機カルボン酸アンモニウム塩又は有機カルボン酸アミン塩を含有する点。
相違点2:「第1発明」、「第2発明」は、組成物のpH値がpH5〜8の範囲のものであのに対し、刊行物8記載の発明は、レジスト用剥離液組成物のpH値が限定されていない点。
刊行物8の記載をさらに検討すると、刊行物8の段落【0010】には、有機カルボン酸アンモニウム塩あるいは有機カルボン酸アミン塩の濃度が低い場合は、腐食が激しくなり好ましくないことが記載されているのであるから、刊行物8に有機カルボン酸アンモニウム塩あるいは有機カルボン酸アミン塩を含まない剥離液組成物が開示されているとすることはできない。
また、有機カルボン酸アンモニウム塩又は有機カルボン酸アミン塩として、どのような化合物をどれくらい含有させるかにより組成物のpHは変動するものであるから、刊行物8には、組成物のpH値がpH5〜8である剥離液組成物が開示されているとすることはできない。
したがって、「第1発明」、「第2発明」は、刊行物8に記載された発明であるとすることはできない。

(ii)「第3発明」について
「第3発明」と、刊行物8に記載の発明を対比すると、刊行物8に記載された発明の有機カルボン酸アンモニウム塩又は有機カルボン酸アミン塩は、段落【0011】、【0013】の記載からみて腐食防止機能を有するものと認められるから、刊行物8には、フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得た塩、有機溶媒、水、さらに防食剤を含有するレジスト用剥離液が開示されていると認められるが、両者は、少なくとも以下の点で相違する。
相違点3:「第3発明」は、組成物のpH値がpH5〜8のものであるのに対し、刊行物8には、レジスト用剥離液組成物のpH値がpH5〜8であることは記載されていない点。
そして、上記(i)で述べたとおり、有機カルボン酸アンモニウム塩又は有機カルボン酸アミン塩として、どのような化合物をどれくらい含有させるかによりpHは変動するものであるから、刊行物8には、組成物のpH値がpH5〜8である剥離液組成物が開示されているとすることはできない。
したがって、「第3発明」は、刊行物8に記載された発明であるとすることはできない。

(iii)「第5発明」ないし「第7発明」について
「第5発明」ないし「第7発明」は、「第1発明」又は「第3発明」の構成を全て備え、更に構成を限定したものであるから、上記(a)(i)、(ii)で述べたのと同様な理由により、刊行物8に記載された発明であるとすることはできない。

(2)特許法第29条第2項違反について
最初に「第3発明」について検討する。
(i)「第3発明」について
「第3発明」と刊行物8記載の発明と対比すると、少なくとも上記(1)(ii)に示した相違点3で相違する。
そして、上記相違点3に係る第3発明の構成ついては、刊行物1ないし7、甲第3号証のいずれにも記載されていないし示唆もない。
すなわち、刊行物1には、ふっ化物イオンとして「フッ化アンモニウム」、「二ふつ化アンモニウム」(特許請求の範囲第3項等)が挙げられているので、特定の有機スルホン酸、有機溶媒、ふっ化物イオン源としてフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得た塩が添加された有機剥離用組成物の発明が記載されていると認められるが、剥離剤として、特定の有機スルホン酸を必須成分として含有させるものであり、組成物のpHについては記載されていない。そして、組成物のpHは、有機スルホン酸の種類や含有量により変動するものと認められるから、刊行物1記載の発明の剥離用組成物のpH値5〜8であることが示されているとすることもできない。
刊行物2には、親核アミン、非窒素含有弱酸として弗化水素酸等を含有するストリッピング組成物が記載されているが、組成物のpH値は9.6〜10.9であることが記載されており、フッ化物として中性の塩を含有させること、組成物のpH値を5〜9とすることは記載も示唆もない。
刊行物3、5には、被覆除去のための組成物又は剥離剤組成物に、トリアゾール等の腐食防止剤又は防錆剤であるブチンジオールを添加することが記載され、又、刊行物4、6には、芳香環式フェノール化合物と芳香環カルボン酸化合物(刊行物4)、芳香族ヒドロキシ化合物(例、フェノール、カテコール等)(刊行物6)を用いて剥離液(剥離剤)を得ることが記載されているが、刊行物3ないし6に記載の剥離剤又は剥離液は、いずれも「フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得た塩」を含有しないものであり、このような塩の使用を示唆する記載もない。
刊行物7には、フッ化物、有機溶媒を含む剥離剤組成物が記載されているが、腐食防止のために、特定の有機スルホン酸のニトリル化合物を含有するものであり、組成物のpH値がpH5〜8であることは明らかにされていない。
さらに甲第3号証には、銅配線パターンの洗浄水溶液にベンゾトリアゾールを含有させること、それにより腐食が防止されることが記載されているが、フッ化物を含む剥離剤組成物については何ら記載されていない。
そして、第3発明は、剥離剤組成物において、フッ化物成分をフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩から構成し、、組成物のpH値を5〜8に維持することにより、周辺装置を腐食することがなく、中性で安全であり、フッ化水素の発生がないレジスト用剥離剤組成物を提供できるという、明細書記載の特有の作用効果を奏するものである。
したがって、「第3発明」は、刊行物1ないし8並びに甲第3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(ii)「第1発明」について
「第1発明」と刊行物8記載の発明と対比すると、少なくとも上記(1)(i)に示した相違点1、2で相違する。
そして、上記相違点2に係る第1発明の構成は、上記相違点3に係る第3発明の構成と同様に、刊行物1ないし7、甲第3号証のいずれにも記載されていないし示唆もない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、「第1発明」は、刊行物1ないし8並びに甲第3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

(iii)「第2発明」について
「第2発明」は、「第1発明」の構成を全て引用するものであるから、上記(2)(ii)で述べたのと同様な理由により、刊行物1ないし8に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(iv)「第4発明」ないし「第8発明」について
「第4発明」ないし「第8発明」は、「第1発明」又は「第3発明」の構成を全て備えるものであるから、上記(2)(i)、(ii)で述べたのと同様な理由により、刊行物1ないし8に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、申立人が提出した参考資料1、2によっても、上記判断左右されない。

(3)特許法第39条第1項違反について
「第1発明」ないし「第8発明」と先願1の請求項1ないし3に係る発明を対比すると、「第1発明」ないし「第8発明」は、いずれも、「フッ化物成分がフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩から構成され」、かつ「レジスト用剥離液組成物のpH値が5〜8に維持されている」ものであるのに対し、先願1の請求項1ないし3に係る発明は、フッ化物成分が、「フッ化水素酸」又は「フッ化水素酸及びフッ化アンモニウム」であり、かつ、レジスト用剥離液組成物のpH値が限定されていない点で相違する。
そして、先願1の請求項2、3に係る発明においては、剥離液組成物中において、フッ化アンモニウムの一部解離により等量ずつのフッ化水素成分とアンモニア分を生成していると考えられるが、フッ化水素酸が別に存在するから、組成物全体としてはフッ化水素の方が生成するアンモニアより化学等量は大となることは明らかであり、フッ化物成分がフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩から構成されたものとすることはできないし、組成物のpH値が5〜8に維持されているものとすることもできない。
したがって、「第1発明」ないし「第8発明」は、先願1の請求項1、2又は3に係る発明と同一であるとすることはできない。

(4)特許法第39条第2項違反について
本件に係る出願は、特許法第41条の規定に基づく優先権主張を伴うものであり、本件の各請求項に係る発明は、本件出願の優先権主張の基礎となる先の出願の明細書に実質的に記載されているので、特許法第39条の規定の適用については、特許法第41条第2項の規定により、先の出願の出願日である平成7年11月13日に出願されたものとみなす。
一方、本件に係る出願の分割出願である特願平11-170810号(甲第1号証参照)については特許法第41条の規定に基づく優先権主張はなされていないので、特許法第44条第2項の規定に基づき、本件の現実の出願日である、平成8年6月21日に出願されたものとみなす。
したがって、両者は、同日に出願されたものとして扱うことはできないから、異議申立人のこの点についての主張は認められない。

IV むすび
以上のとおりであるので、異議申立の理由及び証拠、取消理由通知の理由によっては、本件の請求項1ないし8に係る発明の特許を取り消すことができない 。
また、他に本件の請求項1ないし8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
レジスト用剥離液組成物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 フッ化物成分と、水溶性有機溶媒と、水とからなり、レジスト変質膜の剥離が可能なレジスト用剥離液組成物であって、
前記フッ化物成分がフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩から構成され、かつ該レジスト用剥離液組成物のpH値が5〜8に維持されていることを特徴とするレジスト用剥離液組成物。
【請求項2】 前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩が0.2〜30重量%、前記水溶性有機溶媒が30〜90重量%及び前記水が残部として配合されていることを特徴とする請求項1記載のレジスト用剥離液組成物。
【請求項3】 フッ化物成分と、水溶性有機溶媒と、水と、防食剤とからなり、レジスト変質膜の剥離が可能なレジスト用剥離液組成物であって、
前記フッ化物成分がフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩から構成されるとともに、前記防食剤が芳香族ヒドロキシ化合物、アセチレンアルコール、カルボキシル基含有有機化合物及びその無水物、トリアゾール化合物並びに糖類から選ばれる少なくとも1種から構成され、かつ該レジスト用剥離液組成物のpH値が5〜8に維持されていることを特徴とするレジスト用剥離液組成物。
【請求項4】 前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩が0.2〜30重量%、前記水溶性有機溶媒が30〜90重量%、前記防食剤が0.5〜40重量%及び前記水が残部として配合されていることを特徴とする請求項3記載のレジスト用剥離液組成物。
【請求項5】 前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩がフッ化水素酸とヒドロキシル脂環式アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、アンモニア水および低級アルキル第4級アンモニウム塩基から選ばれる少なくとも1種との塩であることを特徴とする請求項1又は3記載のレジスト用剥離液組成物。
【請求項6】 前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩がフッ化アンモニウムであることを特徴とする請求項5記載のレジスト用剥離液組成物。
【請求項7】 前記水溶性有機溶媒がジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、エチレングリコール及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は3記載のレジスト用剥離液組成物。
【請求項8】 前記水溶性有機溶媒が少なくとも10重量%のエチレングリコールを含む水溶性有機溶媒であることを特徴とする請求項7記載のレジスト用剥離液組成物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、レジスト用剥離液組成物、さらに詳しくは、ICやLSI等の半導体素子或いは液晶パネル素子の製造に好適に使用される、低温(室温)での剥離性が高く、導電性金属膜を腐食することが少ない上に、安全性が高く取り扱いが容易なレジスト用剥離液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ICやLSI等の半導体素子や液晶パネル素子は、基板上に形成されたアルミニウム、銅、アルミニウム合金等の導電性金属膜やSiO2膜等の絶縁膜上にホトレジストを均一に塗布し、それを露光又は電子線により描画したのち、現像してレジストパターンを形成し、このパターンをマスクとして前記導電性金属膜や絶縁膜を選択的にエッチングし、微細回路を形成したのち、不要のレジスト層を剥離液で除去して製造されている。
【0003】
上記レジストを除去する剥離液として、従来、アルキルベンゼンスルホン酸を必須成分とした有機スルホン酸系剥離液やモノエタノールアミン等の有機アミンを必須成分とした有機アミン系剥離液が使用されてきたが、有機スルホン酸系剥離液は、毒性が高いフェノール化合物やクロロベンゼン等の有機溶剤が併用されるところから作業性が悪く、また環境問題が発生する上に、基板の導電性金属膜等が腐食され易いという欠点を有していた。これに対し、有機アミン系剥離液は有機スルホン酸系剥離液に比べ毒性が低く、廃液処理に煩雑な処理が必要でなく、またドライエチング、アッシング、イオン注入などの処理で形成される変質膜の剥離性が良い上に、AlやCuなどを含む基板の腐食防止効果が優れているところから今日広く使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、半導体素子や液晶パネル素子の製造工程において採られるドライエッチング、アッシング、イオン注入等の処理条件が厳しくなり、処理後のレジスト膜等は有機膜から無機的性質を有する膜に変質するようになった。そのため有機アミン系剥離液で処理しても、変質膜を十分に剥離できない上に、有機アミン系剥離液処理は、処理温度が60〜130℃と比較的高温のため、剥離液中の可燃性有機化合物が揮発し、それに引火するという危険性がある。そのため前記剥離処理は引火防止設備の中で行われるのが一般的であり、設備に多額の費用を要するばかりでなく、処理時間がかかるため高スループット(単位時間当たりのウェーハ処理枚数)の要求される半導体素子や液晶パネル素子の剥離液としては満足のいくものではなくなってきている。そのため低温(室温)での剥離処理が可能な剥離液が特開昭64-88548号公報、特開平5-259066号公報等で提案された。しかし、前記公報記載の剥離液はいずれも有機アミンと水を含むため、剥離性が十分でない上に、基板に対する腐食も大きいという欠点を有していた。
【0005】
こうした現状に鑑み、本発明者等は、上記欠点のないレジスト用剥離液組成物として特願平7-32817号でフッ化アンモニウムを含んでもよいフッ化水素酸、いわゆるバッファードフッ酸、水溶性有機溶媒及び防食剤を含有するレジスト用剥離液組成物を提案した。前記レジスト用剥離液組成物は酸性であるところから剥離槽と剥離液が入ったコンテナを結ぶ薬液供給装置等の周辺装置を腐食し易く、さらに煩雑な排気処理、廃液処理が必要であるなどの問題点があった。
【0006】
そこで、本発明者等は、上記問題点のないレジスト用剥離液組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、フッ化物成分と、水溶性有機溶媒と、水とから構成し、前記フッ化物成分がフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩から構成することによって、該レジスト用剥離液組成物のpH値が5〜8に維持すれば、低温での剥離処理が短時間で行える上に、基板上の金属薄膜や周辺装置等の腐食が防止でき、かつ毒性が低く、排気処理、廃液処理が容易に行えるレジスト用剥離液組成物が得られること、さらに前記レジスト用剥離液組成物に防食剤を含有させると、腐食防止効果が一段と向上することを見出し、本発明を完成したものである。すなわち、
【0007】
本発明は、ドライエッチング、アッシング、イオン注入等の処理で変質した膜を低温(室温)でしかも短時間で剥離でき、しかも基板上の金属薄膜や周辺装置を腐食することのないレジスト用剥離液組成物を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、安全性が高く取り扱いが容易な上に、煩雑な排気処理、廃液処理を必要としないレジスト用剥離液組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、フッ化物成分と、水溶性有機溶媒と、水とからなり、あるいはさらに防腐剤を含有してなり、レジスト変質膜の剥離が可能なレジスト用剥離液組成物であって、前記フッ化物成分がフッ化水素酸と金属を含まない塩基とから得たpH5〜8のほぼ中性の塩から構成され、かつ該レジスト用剥離液組成物のpH値が5〜8に維持されていることを特徴とするレジスト用剥離液組成物に係る。以下、前記フッ化水素酸と金属を含まない塩基との塩を(a)成分、水溶性有機溶媒を(b)成分、水を(c)成分、防腐剤を(d)成分と略記することもある。
【0010】
本発明のレジスト用剥離液組成物は、上述のとおり(a)フッ化水素酸と金属を含まない塩基との塩を含有するが、前記金属を含まない塩基とは、ヒドロキシルアミン類、第1級、第2級又は第3級の脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、複素環式アミンなどの有機アミン、アンモニア水又は低級アルキル第4級アンモニウム塩基のように分子中に金属を含有しない塩基をいう。前記ヒドロキシルアミン類としては、具体的にヒドロキシルアミン、N,N-ジエチルヒドロキシルアミンなどが、第1級脂肪族アミンとしては、具体的にモノエタノールアミン、エチレンジアミン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノールなどが、第2級脂肪族アミンとしては、具体的にジエタノールアミン、ジプロピルアミン、2-エチルアミノエタノールなどが、第3級の脂肪族アミンとしては、具体的にジメチルアミノエタノール、エチルジエタノールアミンなどが、脂環式アミンとしては、具体的にシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどが、芳香族アミンとしては、具体的にベンジルアミン、ジベンジルアミン、N-メチルベンジルアミンなどが、複素環式アミンとしては、具体的にピロール、ピロリジン、ピロリドン、ピリジン、モルホリン、ピラジン、ピペリジン、N-ヒドロキシエチルピペリジン、オキサゾール、チアゾールなどが挙げられる。さらに低級アルキル第4級アンモニウム塩基としては、具体的にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド(コリン)などが挙げられる。中でもアンモニア水、モノエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドは入手が容易である上に安全性に優れているところから好ましい。前記金属を含まない塩基とフッ化水素酸との塩は、市販のフッ化水素50〜60%濃度のフッ化水素酸に金属を含まない塩基をpHが5〜8となるように添加することで製造できる。前記塩として市販のフッ化アンモニウムが使用できることはいうまでもない。
【0011】
本発明のレジスト用剥離液組成物は、pHが5〜8のほぼ中性である。前記pH値範囲を達成するには(a)成分をほぼ中性に調製すればよいが、フッ化水素酸に添加する金属を含まない塩基の種類により中性にするための含有量が異なるところから一義的に規定することができないが、例えば、アンモニア水の場合、等モル濃度のフッ化水素酸とアンモニア水を等容積混合すれば目的とするpHの(a)成分が調製できる。また、エタノールアミンの場合、1モル/lのフッ化水素酸1000mlとモノエタノールアミン1モルとを混合すれば同じように(a)成分が調製できる。レジスト用剥離液組成物のpH値が前記範囲にあることにより変質膜の剥離性の低下がなく、基板の上の金属膜や薬液供給装置などの周辺装置の腐食を抑制したまま、安全に取り扱うことができ、さらに、フッ化水素の含有量が少ないところから前記フッ化水素の発生に起因する煩雑な排気処理、廃液処理を必要としない。
【0012】
本発明で使用する(b)成分としては前記(a)成分、(c)及び(d)成分と混和性のある有機溶媒であればよく、従来の有機アミン系剥離液に使用された水溶性有機溶媒が使用できる。前記水溶性有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2-ヒドロキシエチル)スルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド等のアミド類、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-プロピル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシメチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン等のラクタム類、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジイソプロピル-2-イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン等のラクトン類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール類及びその誘導体が挙げられる。これらの中で、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、エチレングリコール及びジエチレングリコールモノブチルエーテルがレジスト変質膜の剥離性に優れ好ましい。特に、(b)成分を少なくとも10重量%のエチレングリコールを含む水溶性有機溶媒とするとホール状のレジストパターンの剥離処理時に、金属蒸着板の腐食防止効果が高く、好ましい。この際、エチレングリコールの含有量が多い程腐食防止効果が向上するのでエチレングリコール単独で(b)成分としてもよいし、またジメチルスルホキシドと等量の混合物としてもよい。
【0013】
本発明のレジスト用剥離液組成物が(a)成分、(b)成分及び(c)成分からなる場合には、(a)成分が0.2〜30重量%、好ましくは0.5〜30重量%、(b)成分が30〜90重量%、好ましくは40〜90重量%及び残部が(c)成分の範囲がよい。各成分が前記範囲で含有されることにより変質膜の剥離性、室温での剥離性、及び基板の腐食防止効果が向上する。特に剥離される基板が腐食され易い金属蒸着の基板、例えばAl、Al-Si、Al-Si-Cuなどの基板の場合には前記範囲とすることを必須とする。(a)成分が前記範囲より少ない場合には、変質膜の剥離性が低下し、多い場合には基板が腐食し易くなる。
【0014】
本発明は、上記(a)〜(c)成分に加えて(d)成分を含有することができる。前記(d)成分の含有により、本発明のレジスト用剥離液組成物は腐食され易いAl、Al-Si、Al-Si-Cu等の基板の防食性を変質膜の剥離性を低下させることなく一段と向上できる。前記防食剤としては、芳香族ヒドロキシ化合物、アセチレンアルコール、カルボキシル基含有有機化合物及びその無水物、トリアゾール化合物及び糖類が挙げられる。芳香族ヒドロキシ化合物としては、具体的にフェノール、クレゾール、キシレノール、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、1,2,4-ベンゼントリオール、サリチルアルコール、p-ヒドロキシベンジルアルコール、o-ヒドロキシベンジルアルコール、p-ヒドロキシフェネチルアルコール、p-アミノフェノール、m-アミノフェノール、ジアミノフェノール、アミノレゾルシノール、p-ヒドロキシ安息香酸、o-ヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸等を挙げることができ、中でもピロカテコールが好適である。
【0015】
アセチレンアルコールとしては、具体的に2-ブチン-1,4-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール等を挙げることができる。中でも2-ブチン-1,4-ジオールが好適である。
【0016】
カルボキシル基含有有機化合物及びその無水物としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、フタル酸、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、無水酢酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、サリチル酸等を挙げることができる。好ましいカルボキシル基含有有機化合物としては、蟻酸、フタル酸、安息香酸、無水フタル酸、及びサリチル酸があり、特にフタル酸、無水フタル酸及びサリチル酸が好適である。
【0017】
トリアゾール化合物としては、ベンゾトリアゾール、o-トリルトリアゾール、m-トリルトリアゾール、p-トリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、ニトロベンゾトリアゾール、ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール等を挙げることができ、中でもベンゾトリアゾールが好適である。
【0018】
糖類としては、具体的にD-ソルビトール、アラビトール、マンニトール、蔗糖、澱粉等を挙げることができ、中でもD-ソルビトールが好適である。
【0019】
上記各防食剤は単独でも、又2種以上を組み合わせても使用できる。
【0020】
本発明のレジスト用剥離液組成物が(a)〜(d)成分を含有する場合には、(a)成分が0.2〜30重量、好ましくは0.5〜20重量%、(b)成分が30〜80重量%、好ましくは40〜70重量%、(d)成分が0.5〜40重量%、好ましくは、1〜30重量%で残部が水であるのが好ましい。各成分が前記範囲を逸脱すると、変質膜の剥離性、防食性に劣る。
【0021】
本発明のレジスト用剥離液組成物は、ネガ型及びポジ型レジストを含めてアルカリ水溶液を用いて現像できるレジストに有利に使用できる。前記レジストとしては、(i)ナフトキノンジアジド化合物とノボラック樹脂を含有するポジ型レジスト、(ii)露光により酸を発生する化合物、酸により分解しアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する化合物及びアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型レジスト、(iii)露光により酸を発生する化合物、酸により分解しアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する基を有するアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型レジスト、及び(iv)光により酸を発生する化合物、架橋剤及びアルカリ可溶性樹脂を含有するネガ型レジスト等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0022】
【発明の実施の態様】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0023】
【実施例】
実施例1〜7
約1.0μmのAl-Si-Cu膜を蒸着したシリコンウエーハ上にナフトキノンジアジド化合物とノボラック樹脂からなるポジ型ホトレジストであるTHMR-iP3300(東京応化工業社製)をスピンナー塗布して、90℃で、90秒間のプレベークを施し、膜厚2.0μmのレジスト層を形成した。このレジスト層をNSR-2005i10D(ニコン社製)を用いてマスクパターンを介して、露光し、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像し、レジストパターンを形成した。次いで、120℃で90秒間のポストベークを行った。
【0024】
次に、上記レジストパターンを有する約1.0μmのAl-Si-Cu膜を蒸着したシリコンウエーハをエッチング装置TSS-6000(東京応化工業社製)を用い、塩素と三塩化硼素の混合ガスをエッチャントとして、圧力5mmTorr、ステージ温度20℃で168秒間エッチング処理し、次いで、酸素とトリフルオロメタンの混合ガスを用い、圧力20mmTorr、ステージ温度20℃で30秒間アフターコロージョン処理をした。前記処理後更にアッシング装置TCA-2400(東京応化工業社製)で、酸素ガスを用いて圧力0.3mmTorr、ステージ温度60℃の条件で150秒間のアッシング処理を行った。
【0025】
上記処理済シリコンウエーハを、表1に示す組成の剥離液に23℃で5分間浸漬し剥離処理を行った。処理した基板を純水でリンス処理し、シリコンウェーハのアッシング残渣の剥離状態(変質膜の剥離性)、及びAl-Si-Cu膜の腐食状態をSEM(走査型電子顕微鏡)の写真観察により評価した。前記変質膜の剥離性は、
○:剥離性良好、 ×:不完全な剥離
腐食の状態は
○:腐食なし、 ×:腐食あり
とし、その結果を表1に示した。
【0026】
【表1】

注)A・HF:フッ化アンモニウム塩
MEA・HF:フッ化水素酸のモノエタノールアミン塩
TMAH・HF:フッ化水素酸のテトラメチルアンモニウムヒドロキド塩
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMI:1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
BT:ベンゾトリアゾール
PC:ピロカテコール
【0027】
比較例1〜4
実施例において、剥離液の組成を表2に示すように代えた以外は、実施例と同様にして変質膜の剥離性及び腐食性の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0028】
【表 2】

注)A・HF:フッ化アンモニウム塩
TMAH・HF:フッ化水素酸のテトラメチルアンモニウムヒドロキド塩
DMSO:ジメチルスルホキシド
PC:ピロカテコール
NH4F・HF:酸性フッ化アンモニウム
【0029】
上記表1、2から明らかなように本発明のレジスト用剥離液組成物はほぼ中性であるにもかかわらず低温(室温)で短時間に変質膜を良好に剥離するとともに基板を腐食することがない。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、過酷な処理条件で変質したレジスト膜であっても低温(室温)で短時間に剥離できるとともに、腐食され易いAl、Al-Si、Al-Si-Cu等の基板や周辺装置を腐食することがなく、しかも前記剥離液組成物は中性で安全であるとともに取り扱いが容易で、フッ化水素の発生がなく排気処理、廃液処理が容易に行えるレジスト用剥離液組成物である。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-01-19 
出願番号 特願平8-179872
審決分類 P 1 651・ 4- YA (G03F)
P 1 651・ 121- YA (G03F)
P 1 651・ 113- YA (G03F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 前田 佳与子  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 阿久津 弘
秋月 美紀子
登録日 2001-09-28 
登録番号 特許第3236220号(P3236220)
権利者 東京応化工業株式会社
発明の名称 レジスト用剥離液組成物  
代理人 酒井 宏明  
代理人 酒井 宏明  

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