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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06T
管理番号 1094672
異議申立番号 異議2003-72715  
総通号数 53 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-12-08 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-05 
確定日 2004-03-29 
異議申立件数
事件の表示 特許第3404128号「カラー画像印刷システム」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3404128号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3404128号の請求項1に係る発明についての出願は、平成6年5月26日に特許出願され、平成15年2月28日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人川崎 英男により特許異議の申立てがなされたものである。

2.特許異議の申立ての理由の概要
特許異議申立人川崎 英男は、証拠として甲第1号証(特開平5-221092号公報)、甲第2号証(特開平5-83542号公報)を提出し、本件請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許を取り消すべき旨主張している。

3.本件発明
特許第3404128号の請求項1に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】 印刷出力すべき原カラーイメージデータを印刷出力のための印刷用カラー画像データに変換するイメージ処理手段を備えたホスト装置と、
このホスト装置のイメージ処理手段で処理された印刷用カラーイメージデータを印刷出力する印刷出力手段とを備えたカラー画像印刷システムにおいて、
前記ホスト装置は、
前記イメージ処理手段の少なくとも一部の処理を経て得られた前記原カラーイメージデータよりもビット数の少ないイメージデータを保存用のファイルに変換するファイル生成手段と、
このファイル生成手段で生成されたファイルを記憶するファイル記憶手段とを備え、
同一のイメージデータを再度前記印刷出力手段に転送する際に前記ファイル記憶手段に記憶された処理済みのイメージデータの前記ファイルを直接又はこれに残りのイメージ処理を施して前記印刷出力手段に転送し、
前記印刷出力手段は、
前記ホスト装置から転送された前記イメージデータ又は前記ファイルに基づき前記印刷用カラーイメージデータを印刷出力するものであることを特徴とするカラー画像印刷システム。」

4.甲各号証に記載された発明
(1)甲第1号証(特開平5-221092号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア.「【請求項1】 コンピュータ等で作成された図形情報データを、ラスター方向における位置と長さを有する線分データに変換し、この線分データを同一ラスターの線分データから構成される線分データ群にまとめて記憶装置に格納し、印刷時に、前記線分データ群を前記記憶装置から読出し、その線分データを印刷可能なラスターイメージデータに変換し、印刷装置に出力する印刷制御装置であって、
前記印刷制御装置は、前記ラスターイメージデータに基づいて印刷を実行せしめた場合に、既に印刷済みのラスターイメージデータに対応する線分データを再印刷するために前記記憶装置に一時保存するようにしたことを特徴とする印刷制御装置。」(2頁左欄2〜14行、特許請求の範囲の請求項1)
イ.「【0011】図1に示すように、コンピュータ100と印刷制御装置300間において、印刷命令の授受が可能なように、コンピュータ100の外部コネクタ101と印刷制御装置300の第1インターフェイスコネクタ301が、第1ケーブル401により接続されている。また、印刷制御装置300からインクジェットプリンタ200へ、1ライン分のデータであるラスターイメージデータを送出可能なように、印刷制御装置300の第2インターフェイスコネクタ302とインクジェットプリンタ200のインターフェイスコネクタ201が、第2ケーブル402により接続されている。」(2頁右欄49行〜3頁左欄9行)
ウ.「【0019】次に、以上の構成の印刷制御装置300の一連の印刷動作を図1乃至図10を参照して説明する。第1CPU305(図2参照)は、コンピュータ100から印刷すべきコマンド群を受け取ると、先ずそのコマンド群をハードディスクドライブ309に格納する。この際、コマンド群を無解釈のまま受け取るのでコンピュータ100を通信から早く解放でき、また、ハードディスクドライブ309に格納しているので、コマンド群を格納するダイナミックメモリ306の容量を少なくできる。コンピュータ100(図1参照)からのコマンド群が全て入力されると、第1CPU305はデュアルポートメモリ308に、このコマンド群を解釈するように第2
CPU310に指示する指令を書き込む。
【0020】一方、第2CPU310は前記指令を受け取ると、そのコマンド群をハードディスクドライブ309から読み出しデュアルポートメモリ308に書き込むように、第1CPU305に指示する指令をデュアルポートメモリ308に書き込む。コマンド群がデュアルポートメモリ308に書き込まれると、第2CPU310はその解釈を開始し、その結果を第2ダイナミックメモリ311に格納していく。
【0021】前記解釈の手順を図5〜図8を参照して詳細に説明する。図5にコマンド群の解釈および印字データの展開の機能ブロック図を示す。図5に示すように、「線分データ変換手段」を構成するコマンド解釈部401
、コマンド実行部402、コマンド辞書部403、および「ラスターイメージ変換手段」を構成する印字データ展開部406は、第2ダイナミックメモリ311(図2参照)上にあり、第2CPU310により逐次実行される。ここに、コマンド解釈部401は、到来するコマンド群を1つずつに分解し、コマンド辞書403には到来したコマンド群が正当なコマンドであるか否かを検査し、作業領域404において、コマンド実行部402の制御の下に到来したコマンド群を分解し、線分データを作成する。
【0022】前記解釈の対象となるコマンド群には、直線・円等の図形およびその座標値で表される「ベクトルデータ」と、写真をイメージスキャナ装置等でスキャンしデジタル化した「ビットイメージデータ」が含まれている。デュアルポートメモリ308に書き込まれたコマンド群は、コマンド解釈部401により1つずつのコマンドに分解され、コマンド辞書403により正当なコマンドであるか否かが検査される。コマンド実行部402が第2ダイナミックメモリ311上にある作業領域404を一時的なバッファとして用いながら、「ベクトルデータ」を線分データに変換し、「ビットイメージデータ」はコマンド群から分離してハードディスクドライブ309に書き込む。変換された線分データおよびビットイメージデータの位置情報が線分データ保存部405に保存される。線分データ保存部405は、後述の如く第2ダイナミックメモリ311およびハードディスクドライブ309に分散して存在する。」(4頁左欄7行〜同頁右欄8行)
エ.「【0026】図7(B)に、或る任意のラスターiにおける前記各種図形の線分データ604を示す。図7(B)に示すように、「ベクトルデータ」の場合、円形603を例にとると、始点Cs から終点Ce まで同一色値Cc が連続しているので、線分データによりデータを保持すれば記憶容量を少なくできる。これに対して「ビットイメージデータ601」では、同一色値を有するドットが連続する可能性が低い。従って、線分データに変換するとデータ量が増大してしまう。かかる問題点を解決するために本実施例ではイメージフラグビット501(図6(A)参照)を設け、ビットイメージデータが配置されている位置情報とイメージID(符号Ic )のみを線分データDに記録し、ビットイメージデータを分離して保持する。即ち、線分データは半導体記憶装置(第2ダイナミックメモリ311)に保持し、ビットイメージデータを外部記憶装置(ハードディスクドライブ309)に分離して保持する。このように分離することにより「ベクトルデータ」と「ビットイメージデータ」を効率よく保持することが可能になり、後述する印刷データの展開までビットイメージデータを特別扱いする必要がなく、処理の簡略化に役立つ。」(4頁右欄45行〜5頁左欄15行)
オ.「【0029】以上の解釈がコマンド群全てに渡って終了すると、第2CPU310は、デュアルポートメモリ308に指令を出し、印刷の開始であることを知らせる。
・・・・(中略)・・・・
【0030】続いて第2CPU310は、第1CPU305に指令を出し、最初の印刷データを読み込ませる。印刷データは、線分データバッファ505および線分データ補助バッファ507に格納された「ベクトルデータ」と、ハードディスクドライブ507に格納された「ビットイメージデータ」とを再構成することにより作成する。再構成の手順は、先にコマンド群を解釈するために第2ダイナミックメモリ311に転送されていて、第2CPU310により実行される。」(5頁左欄46行〜同頁右欄26行)
カ.「【0039】そして、印刷終了または印刷途中でインクジェットプリンタ200がオフラインになった場合、再印刷準備処理(ステップS1005)を行う。ステップS1005では、再印刷を可能にするために第2ダイナミックメモリ311上にある線分データバッファ505とバッファ管理情報506と補助バッファ管理情報508の内容をハードディスクドライブ309に書き込む。
・・・・(中略)・・・・
【0041】再印刷を行う場合は、ハードディスクドライブ309上に保存された再印刷データ1100から線分データバッファ1102とバッファ管理情報1103と補助バッファ管理情報1104のそれぞれのデータを第2ダイナミックメモリ311に読み込み、前述の印刷データ展開と同様の処理を行う。再印刷データ1100は、ハードディスクドライブ309上にあるため印刷制御装置300がリセット(例えば、電源オフ・停電等)されても再印刷が可能となる。」(6頁右欄50行〜7頁左欄31行)
これらの記載からみて、甲第1号証には、
「コンピュータ100から入力されるコマンド群を解釈して、コマンド群中のベクトルデータをラスター方向における位置と長さを有する線分データに変換する線分データ変換手段(第2ダイナミックメモリ311及び第2CPU310)と、該変換された線分データを保存する線分データ保存部405(第2ダイナミックメモリ311及びハードディスクドライブ309)と、上記コマンド群から分離されたビットイメージデータが書き込まれるハードディスクドライブ309と、印刷時に上記線分データ保存部405及びハードディスクドライブ309から線分データ及びビットイメージデータを読み出して再構成し、印刷可能なラスターイメージデータに変換する印字データ展開部406(第2ダイナミックメモリ311及び第2CPU310)とを備えた印刷制御装置300と、
この印刷制御装置の印字データ展開部406で変換された印刷可能なラスターイメージデータを印刷出力するインクジェットプリンタ200とを備えた印刷システムにおいて、
前記印刷制御装置300は、印刷終了または印刷途中でインクジェットプリンタ200がオフラインになった場合、第2ダイナミックメモリ311上の線分データをハードディスクドライブ309に書き込む再印刷準備処理を行い、再印刷を行う場合、ハードディスクドライブ309から再印刷データ(線分データ及びビットイメージデータ)を読み出し、上記印字データ展開部406にて印刷可能なラスターイメージデータに変換してインクジェットプリンタ200に出力するものである印刷システム。」の発明が記載されていると認められる。

(2)甲第2号証(特開平5-83542号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア.「【0010】図1は、本発明の画像処理装置の一実施例である。90はカラー画像入力装置であり、このカラー画像入力装置により入力された画像は、ホワイト(W)、イエロ(Y)、シアン(C)の各色信号(アナログ電気信号)に分離される。これらの色信号w、y’、c’をA/D変換器91に入力し、A/D変換器91によりデジタル量に変換される。
【0011】次に対数変換回路110により、表現ビット数を削減する。具体的には、図2に示されるような特性を有する変換用ROMを用意し、ROMデータをアドレスすることにより対数変換を行なう。ただし、例えば6ビットから4ビットに変換する場合等は、単純に対数変換を行なうよりも、次式で示されるように不感領域を用いた方が良好な特性が得られる。」(2頁右欄23〜36行)
イ.「【0015】次に原稿を読み取った信号からプリンタのインクの分光特性に合うように、色変換を行なうマトリックス回路111を通す。」(3頁左欄10〜12行)
ウ.「【0042】次に各色について、単純2値化処理、ディザ化処理を行なう。すなわち色変換テーブルからの出力信号M、Y、Cのそれぞれについて、単純2値化回路114で2値化処理を行ない、またコンパレータ115によりディザパターン用参照メモリ116からのディザパターンと順次比較しながらディザ化処理を行なう。
【0043】これらの信号をそれぞれ単純2値化/ディザ化選択用のマルチプレクサ117に入力し、切り換えコード変換ROM13の出力信号により切り換える。この各色マルチプレクサ117の出力が全て0または1の場合には、色信号を合成した結果白色または黒色を出力することとなるので、回路118でこれを検出し、このとき白黒信号のゲート回路119を開けてプリンタに信号を出力すると共に、同時に各色のカラー信号のゲート回路を120、121、122を閉じて、色信号の出力を停止する。
【0044】このようにして得た信号を、カラープリンタに入力し、カラーの中間調を含む出力画像を得ることが可能となる。」(4頁右欄38行〜5頁左欄6行)
これらの記載からみて、甲第2号証には、
「カラー画像入力装置90から入力された画像よりWCY色信号を生成し、対数変換回路110により表現ビット数を削減し、マトリックス回路111によりCMY色信号に色変換し、更に各色について、単純2値化処理とディザ化処理をそれぞれ行って、そのいずれかの処理を経た信号をプリンタに出力する画像処理装置」が記載されている。

5.対比・判断
本件請求項1に係る発明と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、
甲第1号証に記載された発明は、少なくとも本件請求項1に係る発明における主要な事項である、ホスト装置において生成・記憶され、同一イメージデータを再度印刷出力する際に用いられるファイルを、印刷出力すべき原カラーイメージデータを印刷出力のための印刷用カラー画像(イメージ)データに変換する「イメージ処理手段の少なくとも一部の処理を経て得られた前記原カラーイメージデータよりもビット数の少ないイメージデータ」を変換したものとする点を備えていない。すなわち、刊行物1に記載された発明では、印刷制御装置において変換・記憶され、再印刷を行う場合に用いられる再印刷データ(線分データ等)は、記憶容量を少なくするために線分データ変換手段を経て得られたものにすぎず(そのため、再印刷時、再印刷データを読み出した後に、ここではじめて印刷データ展開部にて印刷用のデータに変換する処理が行われることになる)、本件請求項1に係る発明のように、原カラーイメージデータを印刷出力のための印刷用カラー画像(イメージ)データに変換するイメージ処理手段の少なくとも一部の処理を経て得られたものではない。なお、付言しておくと、甲第1号証には、再印刷を行う場合に用いられる再印刷データが記憶されるハードディスクドライブ等を備える「印刷制御装置」が、本件請求項1に係る発明の「ホスト装置」側に含まれるものであるとする点についても記載も示唆もなされていない。
一方、甲第2号証には、画像処理装置において、入力されるカラー画像データに対してイメージ処理を施し、入力画像データよりもビット数の少ない印刷用カラー画像データを得てプリンタに出力することが単に記載されているのみであり、 本件請求項1に係る発明の上記事項については記載も示唆されていない。
そして、本件請求項1に係る発明は、上記事項によって、「イメージ処理手段におけるイメージデータの再処理を省略することができ、印刷までの時間を大幅に短縮することができる」という効果が得られるものと認められる。
したがって、本件請求項1に係る発明は、上記甲各号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

6.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2004-03-10 
出願番号 特願平6-136481
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G06T)
最終処分 維持  
前審関与審査官 伊知地 和之  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 江頭 信彦
井上 信一
登録日 2003-02-28 
登録番号 特許第3404128号(P3404128)
権利者 武藤工業株式会社
発明の名称 カラー画像印刷システム  
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