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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G09G
審判 全部申し立て 2項進歩性  G09G
管理番号 1094767
異議申立番号 異議2003-70263  
総通号数 53 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-01-29 
確定日 2004-04-19 
異議申立件数
事件の表示 特許第3308234号「表示装置の輝度レベル制御装置および輝度レベル制御方法」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3308234号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
本件は、平成11年5月19日に特許出願(特願平11-138973号)され、平成14年5月17日に特許権の設定登録がされ、同年7月29日にその特許公報が発行された特許第3308234号(以下「本件特許」という。)について、平成15年1月29日にその請求項1ないし5に係る特許に対して栗原美穂子より特許異議の申立てがされたものである。

第2.特許異議の申立ての理由の要点
本件特許の請求項1、3に係る発明は、当業者が甲第1号証(特開平9-222872号公報)、甲第2号証(特開平8-223507号公報)に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第113条2号の規定により取り消すべきものである。
本件特許の請求項2、4、5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから特許法第29条第1項3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができないものであり、又は、当業者が甲第1号証、甲第2号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第113条2号の規定により取り消すべきものである。

第3.本件発明
本件特許の請求項1ないし5に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明5」という。)は、その明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される下記のとおりのものである。



【請求項1】 入力された映像信号のシーンチェンジを検出するシーンチェンジ検出手段と、入力された映像信号の平均輝度レベルを求める平均輝度レベル演算手段と、該シーンチェンジ検出手段によりシーンチェンジが検出された場合に、前記平均輝度レベルに基づいて表示映像に適する表示輝度レベル制御を行う手段と、を有する表示装置の輝度レベル制御装置。
【請求項2】 入力された映像信号のシーンチェンジを検出するシーンチェンジ検出手段と、該シーンチェンジ検出手段によりシーンチェンジが検出された場合にはすぐに表示映像に適する表示輝度レベルに達するように制御し、該シーンチェンジが検出されない場合には設定時間後に表示映像に適する表示輝度レベルに達するように制御する手段と、を有する表示装置の輝度レベル制御装置。
【請求項3】 入力された映像信号のシーンチェンジを検出するシーンチェンジ検出手段と、入力された映像信号の平均輝度レベルを求める平均輝度レベル演算手段と、該シーンチェンジ検出手段によりシーンチェンジが検出された場合にはすぐに前記平均輝度レベル演算手段からの出力に基づいて表示映像に適する表示輝度レベルとなるように制御し、前記シーンチェンジが検出されない場合には設定時間後に前記平均輝度レベル演算手段からの出力に基づいて表示映像に適する表示輝度レベルに達するように制御する手段と、を有する表示装置の輝度レベル制御装置。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置はプラズマディスプレイである表示装置の輝度レベル制御装置。
【請求項5】 入力された映像信号のシーンチェンジを検出し、該シーンチェンジが検出された場合にはすぐに表示映像に適する表示輝度レベルに達するように制御し、該シーンチェンジが検出されない場合には設定時間後に表示映像に適する表示輝度レベルに達するように制御する表示装置の輝度レベル制御方法。

第4.甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明
1.甲第1号証
甲第1号証には、図面と共に、「本発明は、映像信号の入力レベルNよりN+1の方が暗く表示されるような、入力輝度レベルに対して表示特性が反転している場合に、これを補正するためのディスプレイ装置の階調反転補正回路に関するものである。」(第2頁左欄第42ないし46行)、「ディスプレイパネルにおけるシーンチェンジを検出するシーンチェンジ検出回路と、」(第3頁右欄第18ないし20行)、「この反転検出データメモリの反転検出データを優先するモード2となると、つぎの一定期間(例えば1フレーム)又はその数倍の期間(例えば複数フレーム)に新たに入力した映像信号の発光輝度特性が反転していないとき(非反転のとき)でも、反転検出データメモリの反転検出データを優先的に選択しているので、反転補正が継続する。」(第4頁左欄第15ないし21行)、「シーンチェンジ検出回路から検出信号が出力すると、この検出信号によって反転検出結果選択回路はモード2を解除して初期状態のモード1に戻る。」(第4頁左欄第30ないし32行)、「34はシーンチェンジ検出回路で、このシーンチェンジ検出回路34は、前記表示数カウンタ22から出力する現フレームの表示ドット数を各ビット毎に前フレームと比較し、その差が設定値以上になったときにシーンチェンジがあったものとして検出信号(例えば「1」)を出力し、それ以外のときに検出信号を出力しない(例えば「0」)ように構成されている。」(第4頁右欄第27ないし34行)、「反転検出データメモリ32の反転検出データを優先するモード2となると、つぎの1フレーム又は複数フレームに新たに入力端子10に入力した映像データAが反転していないとき(非反転のとき)でも、反転検出データメモリ32の反転検出データを優先的に選択しているので、反転補正が継続する。」(第5頁右欄第27ないし32行)、「また、入力端子10に順次入力する映像データ[1]、[2]、[3]、[4]、…が非反転、非反転、反転、反転、…と2フレーム毎に非反転と反転を繰り返すような場合、輝度比較回路30から出力する反転検出データbは、図4(b)に示すように、「0」、「0」、「1」、「1」、…となり、映像データ[4]のフレーム以降、反転検出データメモリ32は反転検出データを記憶し続け、反転検出データ選択回路36は反転検出データメモリ32の反転検出データを優先的に選択するモード2に切り替わるので、映像データ[3]のフレーム以降、反転検出データ選択回路36は反転検出データを出力し続ける。このため、映像データが2フレーム毎に非反転と反転を繰り返しても、反転補正を継続して反転補正によるフリッカをなくし画質の低下を防ぐことができる。反転補正の継続は、シーンチェンジ検出回路34が映像のシーンチェンジを検出したときに解除される。すなわち、表示数カウンタ22から出力する現フレームの表示ドット数を各ビット毎に前フレームと比較し、その差が設定値以上になったときにシーンチェンジがあったものとして検出信号(例えば「1」)を出力し、この検出信号によって反転検出結果選択回路36はモード2を解除して初期状態のモード1に戻る。」(第6頁左欄第3ないし24行、当審注:[1]〜[4]は甲第1号証では○付数字の1〜4として表記されている。)、「しかし、反転検出データ選択回路36は、図4(c)に示すように、シーンチェンジ検出信号「1」によってモード2から初期状態のモード1に戻るので、反転検出データは非反転に対応した「0」となるが、反転映像データ[7]が現われてから以降、反転に対応した「1」を出力し続ける。」(第6頁左欄第40ないし45行)、「階調反転補正された映像データが出力端子18をへ、誤差拡散回路(図示省略)を介してPDPへ伝送されると、誤差拡散回路が階調反転補正された発光輝度特性を用いた誤差拡散処理を行い、所定階調(例えば256階調)の擬似中間調画像がPDPで表示される。」(第6頁右欄第1ないし6行)と記載されている。

2.甲第2号証
甲第2号証には、図面と共に「本発明は映像信号振幅制限回路に係り、映像信号のAPL(平均輝度レベル)の変化が大きい場合に表示器に印加される映像信号の振幅を徐々に可変し、輝度の変化を目立たなくするものに関する。」(第2頁左欄第48行ないし右欄第1行)、「4は積分・APL算出部で、マトリクス回路3よりのデータを1フィールド分を積分し、各フィールドのAPL(平均輝度レベル)を算出する。」(第3頁左欄第13ないし15行)、「6はAPL比較部で、1V期間ホールド部5にてホールドされたデータを取出し、今回1V期間ホールド部5に入力されるデータと比較し、APLの差を出力する。7は乗算係数算出部で、APL比較部6よりのデータに相応する乗算係数を算出する。」(第3頁左欄第18ないし22行)、「10は乗算器で、フィールドメモリ9より1フィールド遅れで読出される各色のデータに乗算係数算出部7よりのデータを乗算して出力する。」(第3頁左欄第28ないし31行)、「上記乗算係数算出部7は、APL比較部6よりのデータの大きさに対応する乗算係数を算出し、この乗算係数を時間の経過と共に徐々に1に近づく値に演算して出力する。すなわち、例えば、APLが大幅に上昇し、このAPLが次のフィールド以降も続いた場合、最初のフィールドでは 0.8、次のフィールドでは0.81、その次のフィールドでは0.82、・・・の如く徐々に1に近づく係数を出力する。」(第3頁右欄第7ないし14行)、「前記乗算係数算出部7に、APLの差別に設定されると共にそれぞれ経過時間に対応して設定された乗算係数を記憶するデータテーブルを設け、APLの変化の大きさに相応する係数を時間の経過に従って順次読出し、乗算器10に出力するようにしてもよい。」(第3頁右欄第26ないし30行)と記載されている。

第5.当審の判断
1.本件発明1について
本件発明1と甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明とを対比すると、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明は、いずれも、本件発明1の要件である「シーンチェンジ検出手段によりシーンチェンジが検出された場合に、平均輝度レベルに基づいて表示映像に適する表示輝度レベル制御を行う手段」を備えていない。本件発明1は、この手段により「あまり輝度変化が気にならないシーンチェンジの時は、すぐに輝度レベルを変化させることによって、画面の不自然な輝度変化をなくし、効率良く輝度、及びコントラストの向上を図ることができる」(段落番号【0020】)という、本件特許明細書記載の顕著な作用、効果を奏するものであるから、本件発明1が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることは出来ない。
なお、特許異議申立人は特許異議申立書において「本件請求項1に係る発明と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、両者は、入力された映像のシーンチェンジを検出するシーンチェンジ検出手段を有する表示装置の輝度レベル制御装置である点で共通する。しかし、本件請求項1に係る発明は、平均輝度レベル演算手段を備え、シーンチェンジ検出手段によりシーンチェンジが検出された場合に、平均輝度レベルに基づいて表示映像に適する表示輝度レベル制御を行う手段を有するのに対し、甲第1号証に記載された発明は、このような平均輝度レベル演算手段及びシーンチェンジ検出手段によりシーンチェンジが検出された場合に、平均輝度レベルに基づいて表示映像に適する表示輝度レベル制御を行う手段を備えていない点で相違する。しかし、平均輝度レベル演算手段は、甲第2号証に記載されており、甲第2号証記載の発明も、本件請求項1に係る発明及び甲第1号証記載の発明と同様に、表示装置の輝度レベル制御装置に関するものである。従って、甲第1号証記載の発明に甲第2号証記載された平均輝度レベル演算手段を適用し、シーンチェンジが検出された場合に、平均輝度レベルに基づいて表示映像に適する表示輝度レベル制御を行うように構成することは、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に想到し得るものである。」と主張している。
しかしながら、本件発明1の要件である「シーンチェンジ検出手段によりシーンチェンジが検出された場合に、平均輝度レベルに基づいて表示映像に適する表示輝度レベル制御を行う手段」は、「シーンチェンジ検出手段」及び「平均輝度レベル演算手段」に基いた制御を行うという点において一体不可分なものであり、甲第1号証に「シーンチェンジ検出手段」が、甲第2号証に「平均輝度レベル演算手段」が記載されているからといって、当業者が、両者に基づいた制御を行う本件発明1に想到することができるとは認められない。

2.本件発明2について
2-1.特許法第29条第1項3号について
本件発明2と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、甲第1号証に記載された発明は、本件発明2の要件である「シーンチェンジ検出手段によりシーンチェンジが検出された場合にはすぐに表示映像に適する表示輝度レベルに達するように制御し、該シーンチェンジが検出されない場合には設定時間後に表示映像に適する表示輝度レベルに達するように制御する手段」を備えていないから、本件発明2が甲第1号証に記載された発明であるとすることは出来ない。
なお、特許異議申立人は特許異議申立書において「反転していない映像データが継続的に入力されるにもかかわらず、反転補正を継続させることは、技術常識に反するものであるから・・・シーンチェンジが検出されない場合には設定時間後に表示映像に適する表示レベルに達するように制御することは甲第1号証に記載されているに等しい事項である。」と主張している。
しかしながら、甲第1号証には、シーンチェンジ以外の条件にて反転補正を解除するような記載がないばかりか「反転検出データメモリ32の反転検出データを優先するモード2となると、つぎの1フレーム又は複数フレームに新たに入力端子10に入力した映像データAが反転していないとき(非反転のとき)でも、反転検出データメモリ32の反転検出データを優先的に選択しているので、反転補正が継続する。・・・反転検出データメモリ32は反転検出データを記憶し続け、反転検出データ選択回路36は反転検出データメモリ32の反転検出データを優先的に選択するモード2に切り替わるので、・・・以降、反転検出データ選択回路36は反転検出データを出力し続ける。」(第5頁右欄第27ないし44行)と記載されている。このような甲第1号証の記載を考慮すれば、特許異議申立人の主張は採用できない。

2-2.特許法第29条第2項について
本件発明2と甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明とを対比すると、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明は、いずれも、本件発明2の要件である「シーンチェンジ検出手段によりシーンチェンジが検出された場合にはすぐに表示映像に適する表示輝度レベルに達するように制御し、該シーンチェンジが検出されない場合には設定時間後に表示映像に適する表示輝度レベルに達するように制御する手段」(以下「本件発明2の制御手段」と言う。)を備えていない。本件発明2は、この手段により「映像のスクロールなどによっても発生する急激な輝度レベル変化をなくし、あまり輝度変化が気にならないシーンチェンジの時は、すぐに輝度レベルを変化させることによって、画面の不自然な輝度変化をなくし、効率良く輝度、及びコントラストの向上を図ることができるという効果が得られる。」(段落番号【0020】)という、本件特許明細書記載の顕著な作用、効果を奏するものであるから、本件発明2が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることは出来ない。
なお、特許異議申立人は特許異議申立書において、「甲第2号証には・・・シーンチェンジ検出手段は記載されていないが」と前置きした上で、第2図(イ)に例示される変化(全黒(表示率・略0%)から全白(略100%)に変化し、その後、全白が続く場合)を「シーンチェンジが検出され、その後にはシーンチェンジが検出されない場合に相当する場合の制御について記載されている」とし、その表示輝度レベルの変化が、本件発明2の制御手段による表示輝度レベルの制御に対応する旨、主張している。
しかしながら、仮に第2図(イ)に例示されるような場合における表示輝度レベルの変化が本件発明2の制御手段による表示輝度レベルの制御に対応したとしても、それは、その場合における「制御した結果」が対応しているに過ぎないものであり、甲第2号証にシーンチェンジ検出手段が記載されていない以上、本件発明2の制御手段に対応する「制御する手段」が記載されているとはいえない。

3.本件発明3について
本件発明3と甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明とを対比すると、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明は、いずれも、本件発明3の要件である「シーンチェンジ検出手段によりシーンチェンジが検出された場合にはすぐに前記平均輝度レベル演算手段からの出力に基づいて表示映像に適する表示輝度レベルとなるように制御し、前記シーンチェンジが検出されない場合には設定時間後に前記平均輝度レベル演算手段からの出力に基づいて表示映像に適する表示輝度レベルに達するように制御する手段」を備えていない。本件発明3は、この手段により「映像のスクロールなどによっても発生する急激な輝度レベル変化をなくし、あまり輝度変化が気にならないシーンチェンジの時は、すぐに輝度レベルを変化させることによって、画面の不自然な輝度変化をなくし、効率良く輝度、及びコントラストの向上を図ることができるという効果が得られる。」(段落番号【0020】)という、本件特許明細書記載の顕著な作用、効果を奏するものであるから、本件発明3が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることは出来ない。
なお、特許異議申立人は特許異議申立書において「本件請求項3に係る発明と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、両者は、シーンチェンジ検出手段と、シーンチェンジ検出手段によりシーンチェンジが検出された場合にはすぐに表示映像に適する表示輝度レベルとなるように制御し、シーンチェンジが検出されない場合には設定時間後に表示映像に適する表示輝度レベルに達するように制御する手段を有する表示装置の輝度レベル制御装置である点で共通する。しかし、請求項3に係る発明は、平均輝度レベル演算手段を有し、シーンチェンジ検出手段によって、シーンチェンジが検出された場合及びシーンチェンジが検出されない場合の制御を、平均輝度レベル演算手段からの出力に基づいて行うのに対し、甲第1号証には、平均輝度レベル演算手段が記載されておらず、平均輝度レベル演算手段の出力に基づく制御についても記載されていない点で、両者は相違する。しかし、平均輝度レベル演算手段は、甲第2号証に記載されており、甲第2号証記載の発明も、本件請求項3に係る発明及び甲第1号証記載の発明と同様に、表示装置の輝度レベル制御装置に関するものである。従って、甲第1号証記載の発明に甲第2号証記載された平均輝度レベル演算手段を適用し、シーンチェンジが検出された場合に、平均輝度レベルに基づいて表示映像に適する表示輝度レベルとなるように制御し、シーンチェンジが検出されない場合には設定時間後に平均輝度レベル演算手段からの出力に基づいて表示映像に適する表示輝度レベルに達するように制御することは、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に想到し得るものである。」と主張している。
しかしながら、本件発明3の要件である「シーンチェンジ検出手段によりシーンチェンジが検出された場合にはすぐに前記平均輝度レベル演算手段からの出力に基づいて表示映像に適する表示輝度レベルとなるように制御し、前記シーンチェンジが検出されない場合には設定時間後に前記平均輝度レベル演算手段からの出力に基づいて表示映像に適する表示輝度レベルに達するように制御する手段」は、「シーンチェンジ検出手段」及び「平均輝度レベル演算手段」に基いた制御を行うという点において一体不可分なものであり、甲第1号証に「シーンチェンジ検出手段」が、甲第2号証に「平均輝度レベル演算手段」が記載されているからといって、当業者が、両者に基づいた制御を行う本件発明3に想到することができるとは認められない。

4.本件発明4について
本件発明4は、本件発明1ないし3のいずれかをその要件とするものである。
したがって、本件発明4は、甲第1号証に記載された発明でないし、また、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができた発明でもない。

5.本件発明5について
本件発明5は、本件発明2の表示装置の輝度レベル制御装置に対応する表示装置の輝度レベル制御方法の発明であり、本件発明2と同様に、甲第1号証に記載された発明でないし、また、当業者が甲第1号証、甲第2号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができた発明でもない。

6.当審の判断のむすび
したがって、本件発明1ないし5が、特許法第29条第1項又は同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、その特許が同法第113条2号の規定により取り消されるべきものであるとすることはできない。

第6.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては本件発明1ないし5についての特許を取り消すことは出来ない。また、他に本件発明1ないし5についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2004-03-25 
出願番号 特願平11-138973
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G09G)
P 1 651・ 113- Y (G09G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴野 幹夫  
特許庁審判長 瀧 廣往
特許庁審判官 樋口 信宏
三輪 学
登録日 2002-05-17 
登録番号 特許第3308234号(P3308234)
権利者 日本電気株式会社
発明の名称 表示装置の輝度レベル制御装置および輝度レベル制御方法  

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