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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) C12G
管理番号 1095567
審判番号 無効2001-35398  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-06-18 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-09-12 
確定日 2004-04-14 
事件の表示 上記当事者間の特許第2601402号「蒸米のこしき布」の特許無効審判事件についてされた平成14年 3月19日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成14年(行ケ)第0189号平成15年 2月19日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 特許第2601402号の請求項1及び2に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯及び本件発明
(1)経緯
(i)本件特許第2601402号は、平成5年11月4日に出願され、平成9年1月29日に設定登録された。
(ii)請求人旭工業繊維株式会社は、平成11年5月6日に無効審判(平成11年審判第35204号)を請求し、平成12年10月2日に「特許第2601402号発明の明細書の特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された発明についての特許を無効とする。」との審決がなされた。
(iii)被請求人大塚実業株式会社は、平成12年11月20日に審決取消訴訟(平成12年(行ヶ)第442号)を提起し、同訴が継続中の平成13年2月14日に訂正審判(2001年訂正審判第39026号)を請求したところ、平成13年4月3日に「特許第2601402号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。」との審決がなされた。
(iv)上記訂正審決が確定したため、平成13年5月17日に審決を取り消す旨の判決があり、また、平成13年10月12日に「本件発明1及び2に係る特許を無効にすることはできない。」との審決がなされた。
(v)請求人は、さらに、本件発明1及び2について、平成13年9月12日に無効審判を請求したが、請求は成り立たないとの審決がなされたところ、これを不服として、東京高等裁判所に訴訟を提起した。
(vi)平成15年2月19日に、東京高等裁判所において審決を取り消す旨の判決(平成14年(行ケ)第0189号)があった。

(2)本件発明
2001年訂正審判第39026号に係る審決により、訂正の認められた特許第2601402号の明細書の特許請求の範囲に記載された発明(以下「本件発明1及び2」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】ポリプロピレン繊維のモノフィラメント糸織物で構成され、モノフィラメント糸のたて密度とよこ密度との和が4〜60本/2.54Cm平方で、蒸気の通りが良く、白米が布目より脱落しない適度の大きさの目開空間を有する蒸米のこしき布。
【請求項2】モノフィラメント糸の太さが300〜5000デニールである請求項1記載の蒸米のこしき布。」

2.当事者の主張
(1)請求人の主張
請求人旭工業繊維株式会社は、審判請求書において、本件訂正後の発明は特許法第123条第1項第8号の規定により無効にすべきものであると主張し、その理由として次の無効理由1ないし3を挙げている。
(i)無効理由1(新規性欠如)
本件発明は、先の無効審判における審決において、本件特許出願前に日本国内で公然知られ、かつ公然実施されたと認められた発明と同一である。 したがって、本件発明は特許法第29条第1項第1号及び第2号に該当するので、無効である。
(ii)無効理由2(進歩性)
本件発明は、この公知公用の発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。したがって、本件発明は、特許法第29条第2項の規定に違反するので無効である。
(iii)無効理由3(訂正審判の審決の違法性)
本件発明が独立して特許を受けることができるものとして訂正を認めた審決の判断は、違法である。
そして、上記主張を立証する証拠方法として、審判請求書と共に下記甲第1〜68号証及び検甲第1及び2号証を、平成14年1月30日付け口頭審理陳述要領書と共に甲第69号証を、平成14年2月19日付け上申書と共に甲第70号証を提出している。(甲第1号証から甲第47号証は、平成11年審判第35204号の審判事件におけるものである。)
書証:
甲第1号証:チッソ株式会社が昭和63年9月1日に改定発行した「ライトロン」のカタログ。
甲第2号証:NBC工業株式会社が平成5年4月に発行した「産業資材用メッシュ」に関するカタログ。
甲第3号証:平成3年5月発行の甲第2号証と同様のカタログ。
甲第4号証:NBC工業株式会社発行の「業者発注印刷物について」と題する文書。
甲第5号証:チッソ株式会社発行のES繊維についてのカタログ。
甲第6号証:NBC工業株式会社発行の同社のプロフィールのカタログ。
甲第7号証:NBC工業株式会社の従業員である中野俊一が作成した業務報告書。
甲第8号証:NBC工業株式会社作成の(請求人からの)製造依頼書。
甲第9号証:NBC工業株式会社発行の「製造依頼書 記号/文章の説明」と題する文書。
甲第10号証:NBC工業株式会社作成の「製造証明書」。
甲第11号証:NBC工業株式会社発行の月報。
甲第12号証:三和物産株式会社の仕入帳簿。
甲第13号証:三和物産株式会社の得意先元帳。
甲第14号証:三和物産株式会社発行の請求人宛の納品書。
甲第15号証:株式会社志摩発行の請求人宛の請求書。
甲第16号証:請求人発行の株式会社共栄醸機宛の売上伝票。
甲第17号証:株式会社共栄醸機の仕入先元帳。
甲第18号証:株式会社共栄醸機発行の小山酒造株式会社宛の請求書の控。
甲第19号証:福山通運株式会社から請求人宛の請求書。
甲第20号証:福山通運株式会社発行の「輸送エリア表」。
甲第21号証:請求人代理人の弁護士会田恒司作成の報告書。
甲第22号証:福山通運株式会社東京支店深川営業所所長森下勝也作成の証明書。
甲第23号証:株式会社志摩発行の請求人宛の請求書。
甲第24号証:請求人発行の株式会社共栄醸機宛の売上伝票。
甲第25号証:株式会社共栄醸機発行の株式会社寺田本家宛の請求書の控。
甲第26号証:福山通運株式会社発行の請求人宛の請求書。
甲第27号証:株式会社志摩発行の請求人宛の請求書。
甲第28号証:請求人発行の株式会社北村商店宛の売上伝票。
甲第29号証:株式会社北村商店発行の善哉酒造株式会社宛の貨物発送伝票。
甲第30号証:株式会社志摩発行の請求人宛の請求書。
甲第31号証:請求人発行の株式会社友醸社宛の売上伝票。
甲第32号証:株式会社友醸社の仕入帳簿。
甲第33号証:株式会社友醸社の売上帳簿。
甲第34号証の1ないし4:福山通運株式会社発行の請求人宛の請求書。
甲第35号証:東洋経済新聞社発行の「化学繊維の実際知識」。
甲第36号証:金原出版株式会社発行の「衛生試験法・注解」。
甲第37号証:日本化学繊維協会発行の「化学せんい」。
甲第38号証:広辞苑の抜粋。
甲第39号証:請求人が製造・販売した請求人の蒸米ネットの平面図及び正面図。
甲第40号証:平成6年に請求人が作った蒸米ネットのカタログ。
甲第41号証:請求人会社の「会社経歴」。
甲第42号証:NBC工業株式会社発行の「ES強力網」のカタログ。
甲第43号証:株式会社志摩の定款。
甲第44号証:株式会社共栄醸機の経歴書。
甲第45号証:株式会社北村商店の会社概要。
甲第46号証:株式会社友醸社の会社概要。
甲第47号証:三和物産株式会社の会社概要。
甲第48号証:平成11年審判第35204号の事件における証人伊藤昇の証人尋問調書。
甲第49号証:上記審判事件における証人大寿美潔の証人尋問調書。
甲第50号証:上記審判事件における証人谷合利明の証人尋問調書。
※甲第48号証〜甲第50号証については、平成11年審判第35204号事件における各証人尋問調書を援用している。
甲第51号証:上記審判事件における審決書。
甲第52号証:訂正2001-39026の審判事件の審判請求書。
甲第53号証:訂正2001-39026の審判事件の審決書。
甲第54号証:平成11年審判第35204号事件における審判請求書。
甲第55号証:上記審判事件における第1回審判事件弁駁書。
甲第56号証:上記審判事件における審判請求人の平成12年1月14日付け口頭審理陳述要領書。
甲第57号証:上記審判事件における審判請求人の平成12年2月2日付け口頭審理陳述要領書。
甲第58号証:上記審判事件における審判請求人の平成12年2月23日付け口頭審理陳述要領書。
甲第59号証:上記審判事件における第2回審判事件弁駁書。
甲第60号証:日本ポリ・プロダクツ株式会社発行の材質証明書。
甲第61号証:NBC工業株式会社発行の「チッソ株式会社ES繊維(ライトロン)について」の書面。
甲第62号証:東京商工リサーチ企業情報。
甲第63号証:訂正前の特許第2601402号の特許公報。
甲第64号証:東京高等裁判所昭和41年(行ケ)第104号事件の判決。
甲第65号証:最高裁判所昭和47年(行ツ)第45号事件判決。
甲第66号証:東京高等裁判所昭和37年(行ナ)第199号事件の判決。
甲第67号証:NBC工業株式会社が平成5年4月に発行した「産業資材用メッシュ」に関するカタログ。
甲第68号証:平成3年5月発行の甲第67号証と同様のカタログ。
甲第69号証:社団法人発明協会発行の「判例特許侵害法」
甲第70号証:ダイヤモンド社発行の「産業全書 合成繊維」
検証物:
検甲第1号証:平成5年10月に請求人の常務取締役であった伊藤昇が特約店に対して見せてまわった請求人の蒸米ネットの原反の端布。
検甲第2号証:検甲第1号証に台紙をつけたもの。
(検甲第1及び2号証については、平成11年審判35204号において提出した検甲第1号証及び検甲第2号証をそれぞれ援用している。)
(2)被請求人の主張
被請求人大塚実業株式会社は、平成13年12月4日付けの答弁書、平成14年2月6日付け口頭審理陳述要領書及び平成14年2月13日付け上申書を提出し、請求人の主張する無効理由に対して次のとおり反論している。なお、上記口頭審理陳述要領書と共に検乙第1号証及び検乙第2号証を提出している。
検乙第1号証:ポリプロピレン繊維のモノフィラメント糸による原反の端布
検乙第2号証:ES複合繊維による原反の端布(上記検甲第1号証の原反の端布とは異なるものである。)
(1)無効理由1について
ポリプロピレン繊維とポリプロピレン・ポリエチレン複合繊維は、その構造、物性が異なるから、本件発明と請求人の蒸米ネットとは異なるものである。
(2)無効理由2について
長期にわたる過酷な使用条件という観点ではポリプロピレン繊維の方がポリプロピレン・ポリエチレン複合繊維よりも優れており、この点等を無視して、適宜選択すべき設計事項であるとはいえない。
(3)無効理由3について
全体がポリプロピレンにより構成された繊維によって織られたネットは、その後の研究やユーザーの意見等によって選択されたと考えるのが自然であるから、審決の認定には何等の違法性もない。

3.当審の判断
(1)上記平成14年(行ヶ)第189号判決において、東京高等裁判所は次のように認定している。
特公昭63-3969号公報の記載によれば、ポリオレフィン単一成分のモノフィラメントからなるネット類の種々の問題点を解決するために、芯部がポリプロピレンで鞘部がポリエチレンの複合モノフィラメントからなるネット状織物が開発されたことが認められる。
特開平1-321947号公報の記載によれば、単一樹脂のモノフィラメントから成るネット状織物の種々の問題点を解決するために、芯鞘の2層構造をなすモノフィラメントから成るネット状織物が開発されたこと、単一樹脂のモノフィラメントから成るネット状織物と芯鞘の2層構造をなすモノフィラメントから成るネット状織物とは、同様な分野に適用出来るとされていることが認められる。
上記認定判断を総合すると、ポリオレフィンの一種であるポリプロピレン単一成分のモノフィラメントから成るネット状織物は、芯部がポリプロピレンで鞘部がポリエチレンのモノフィラメントから成るネット状織物の改良品として開発され、これと同じ用途に適用可能であると認められる。
また、こしき布の素材として、ポリプロピレン単一成分のモノフィラメント糸織物を用いることにより、公知のES繊維のモノフィラメント糸織物を用いた場合に比べて有利な作用効果があるとは認められない。
(2)上記(1)の認定判断に基づいて、上記判決は「引用発明の上記ES繊維に代えて、ポリプロピレンの単独樹脂から成るモノフィラメント糸織物を用いることが、当業者の容易に想到し得たことであるとする原告(本件審判の請求人)の主張は理由がある。そうすると、本件訂正に係る独立特許要件は充足されるものとして本件訂正を認めた訂正審決の判断は誤りというべきであるから、特許法第123条第1項第8号所定の無効事由を認めなかった本件審決の判断も誤りに帰する。」と認定判断している。
(3)本件審決の取消訴訟に係る上記判決は確定しており、当審の審理は上記(2)の認定判断に拘束される。このため、本件特許は、特許法第123条第1項第8号の規定により無効とすべきものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1及び2に係る発明は、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-03-05 
結審通知日 2002-03-08 
審決日 2002-03-19 
出願番号 特願平5-299016
審決分類 P 1 112・ 121- Z (C12G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 新見 浩一  
特許庁審判長 眞壽田 順啓
特許庁審判官 佐伯 裕子
河野 直樹
田中 久直
種村 慈樹
登録日 1997-01-29 
登録番号 特許第2601402号(P2601402)
発明の名称 蒸米のこしき布  
代理人 会田 恒司  
代理人 荒井 潤  
代理人 本多 一郎  
代理人 本多 敬子  
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