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審決分類 |
審判 全部無効 特123条1項6号非発明者無承継の特許 無効としない A61K |
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管理番号 | 1095910 |
審判番号 | 審判1995-13936 |
総通号数 | 54 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1980-05-10 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1995-06-28 |
確定日 | 2004-04-26 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第1469541号「経皮吸収性抗炎症剤配合のパツプ剤」の特許無効審判事件についてされた平成10年11月 9日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成10年(行ケ)第0397号平成12年 3月23日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1.経緯 本件特許第1469541号は、昭和53年11月2日の出願に係り、昭和63年12月14日にその設定登録がなされたものであって、その後、成7年6月28日に岩城利一郎及び株式会社昭栄から無効審判請求がなされ、これに対して平成7年12月11日に訂正請求(後に、取り下げられた)がなされたものである。 なお、本件特許については、共同請求人の一人である株式会社昭栄による無効審判2001-35007において、訂正請求がなされ、同訂正が認められているところ、その特許請求の範囲第1項の記載は以下のとおりである。 「カルボキシメチルセルロースナトリウム及びポリアクリル酸ナトリウムからなる保水性基剤、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる保水性基剤と、グリセリンからなる湿潤剤と、アルミニウム塩と、水とを配合したものからなり、インドメタシンが保水性基剤に対して全体重量の0.1〜1.5重量%配合され、更にメントールが添加されていることを特徴とする経皮吸収性抗炎症剤配合のパップ剤。」 2.当事者の主張の概要 無効審判請求人(以下、「請求人」という。)の共同請求人の一人である岩城利一郎は、本件特許発明は発明者でない者の出願であり、その発明について特許を受ける権利を承継しないものの特許出願に対してなされたことは明白であるから、本件特許は特許法第123条第1項第5号の規定により無効とすべきであると主張して、以下の証拠方法を提示している。 甲第1号証:岩城利一郎が署名している証明書 甲第2号証:岩城利一郎の被保険者記録照会回答書 甲第3号証:特開昭55-62013号公報 甲第4号証:特公昭61-58445号公報 甲第5号証:特公昭61-58445号の訂正公告公報 甲第6号証:準開発基本契約書 甲第7号証:インドメタシン準開発のロイヤリテイ支払いに関する件 甲第8号証:昭和55年6月4日付け通知書 甲第9号証:平成7年5月19日付け催告書 甲第10号証:平成7年5月26日付け回答書 甲第11号証:薬理と治療、第6巻、第10号、第115〜126頁 甲第12号証:薬理と治療、第6巻、第10号、第127〜129頁 甲第13号証:特開昭55一62014号公報 甲第14号証:特公昭54-11365号公報 甲第15号証:特開昭55一17347号公報 甲第16号証:社団法人東京都薬剤師会の昭和55年6月2日付け試験成績書 甲第17号証:第二東京弁護士会懲戒委員会の昭和62年10月23日付け議決書(昭和61年(チ)第2号)の謄本(第3〜29頁が欠如) 甲第18号証:関係特許明細書比較表 甲第19号証:〔インドメタシン入りパップ剤〕本件特許に関する六社の売上高 甲第20号証:昭和55年11月10日付けの特願昭53-134483号(本件特許の原出願)拒絶理由通知書 甲第21号証:昭和56年1月14日付けのラクール薬品販売株式会社が弁理士草間攻に手続を委任する旨の委任状 甲第22号証:昭和56年1月26日付けの草間攻の代理人受任届 甲第23号証:特願昭53-134483号に関して提出された昭和56年1月26日付け意見書 甲第24号証:特願昭53-134483号に関して提出された昭和56年1月26日付け手続補正書 甲第25号証:弁理士草間攻作成の“特願昭53-134483(発明の名称「経皮吸収性抗炎症剤配合の水性パップ剤」について”と題する文書 証人尋問申請:1)証人岩城利一郎 2)証人小林晃二 3)証人小川大作 4)証人河野哲也 5)証人小山三代治 6)証人草間攻 これに対して、被請求人は2群に分かれて、それぞれ以下の概要の主張をしている。 [被請求人東光薬品工業株式会社の主張の概要] (1)ラクール薬品販売株式会社は、原特許出願の特許を受ける権利を岩城利一郎から正当に承継している。 上記(1)の主張の根拠として以下の点を挙げている。 (i)請求人岩城利一郎が本件特許に係る発明者であることは、本件特許に係る公開公報及び特許公報の発明者欄に請求人名岩城利一郎が掲載されているとおりであるが、本件特許発明は、請求人岩城利一郎のラクール薬品株式会社在職中になされたものであって、特許法第35条第1項に規定する職務発明である。 請求人岩城利一郎は,職務発明されたものはすべて使用者であるラクール薬品販売株式会社に帰属させることを了解した上で同社の研究部長という肩書きで入社したものであり、また本件特許出願時、同社と研究開発部員との間には研究開発により創作された発明は会社に帰属するとの慣例が存在しており、個々の出願に関して譲渡証明書等がなくとも職務発明の譲渡に関して会社と発明者の間には暗黙の了解があった。 本件特許の出願明細書は岩城利一郎自身が作成したものであり、ラクール薬品販売株式会社在職中に同社名義で本件特許が出願されていたことを知っていた。さらに、同社社長小林晃二の岩城利一郎に対する特許出願の指示に対してはこれを承諾しているのであるから、この時点で、両者間で黙示的に特許を受ける権利の承継がなされている。 (ii)下記乙第1号証に係わる紛争解決合意書における紛争解決金には、通知書記載の内容のほか、当該職務発明に対する対価を包含している。 また、同紛争解決合意書には、「条項に定める外一切の債権債務のないことを確認し」、との条項(第四項)があり、一方、この紛争解決合意書作成当時(退職後)、ラクール薬品販売株式会社名義で本件特許出願がなされていたことを知っていたのであり、この事実を知りながら、債権債務のないことを確認したということは、特許出願時において特許を受ける権利をラクール薬品販売株式会社に譲渡したことを事後的に確認したことになる。 そして、これらの主張に関し、以下の証拠方法を提示している 乙第1号証:昭和55年6月30日締結の紛争解決合意書 乙第2号証:ラクール薬品販売株式会社社長小林晃二の供述書 乙第3号証:元グレラン製薬株式会社開発部課長河野哲也の供述書 乙第4号証:岩城利一郎がラクール薬品販売株式会社に宛てた葉書 乙第5号証:弁護士小川大作の平成7年12月25日付け供述書 乙第6号証:弁護士小山三代治作成の昭和55年6月24日発送の紛争解決合意書案 乙第7号証:特開昭55-62014号公報 乙第8号証:特開昭55-116786号公報 乙第9号証:特開昭56-156153号公報 乙第10号証:特開昭56-161320号公報 乙第11号証:ラクール薬品販売株式会社の岩城利一郎の従業員名簿 乙第12号証:特開昭57-165313号公報 乙第13号証:特開平1-163124号公報 乙第14号証:昭和55年10月7日施行の研究開発部運営規定 乙第15号証:ラクール薬品販売株式会社の奥平次男の従業員名簿 乙第16号証:昭和55年5月22日付けの欠勤・休暇とどけ 乙第17号証:昭和55年5月22日付けの退職とどけ 乙第18号証:昭和52年7月1日施行のラクール薬品販売株式会社の退職金規定 乙第19号証:昭和51年7月施行のラクール薬品販売株式会社の就業規則 乙第20号証:岩城利一郎作成の「このように」で始まる書面 乙第21号証:「職務発明と補償金」社団法人発明協会昭和63年4月15日発行 証人尋問申請:1)証人岩城利一郎 2)証人小林晃二 3)証人河野哲也 4)証人小川大作 [被請求人、帝国製薬株式会社、興和製薬株式会社、エスエス製薬株式会社、住友製薬株式会社およびテイカ製薬株式会社の主張の概要] (1)岩城利一郎は本件特許発明の発明者であるが、本件特許発明は職務発明に該当し、また、下記丙第1号証の紛争解決合意書(上記乙第1号証と同一文書)の紛争解決金は本件特許発明の対価も含み、さらに、特許を受ける権利の承継問題も、この紛争解決合意書により、他の一切の問題と共に解決されているから、ラクール薬品販売株式会社は、請求人岩城利一郎から本件特許発明について特許を受ける権利を承継している。 そして、これらの主張に関し以下の証拠方法を提示している。 丙第1号証:昭和55年6月30日付け紛争解決合意書 なお、甲第7号証(「インドメタシン準開発のロイヤリテイ支払いに関する件」と題する文書)によれば、請求人株式会社昭栄は、救急薬品工業株式会社からインドメタシン入り貼付剤を仕入れるためにロイヤリテイを支払っており、また、救急薬品工業株式会社はエスエス製薬株式会社ほか4社にロイヤリテイを支払うことを約していることが明らかであるから、株式会社昭栄は、本件特許について利害関係を有しているといえる。また、請求人岩城利一郎は、本件特許に係る発明の発明者であり、該発明に基づく特許を受ける権利を被請求人に譲渡したことはないとして本件無効審判を請求したものであるから、請求人岩城利一郎は利害関係を有している。 3.当審の判断 本件審決の取消訴訟に係る上記の東京高等裁判所の判決(平成10年(行ヶ)第397号)は、「被告(本件における請求人)岩城利一郎は、昭和53年11月2日にされた本件原出願発明についての特許出願までの間に、ラクール薬品に対し、本件原出願発明につき特許を受ける権利を譲渡したものと認められる。そうすると、本件発明につき冒認を根拠に独立特許要件不充足又は無効を主張する被告ら(請求人)の主張は理由がなく」と認定判断している。 そして、上記判決は確定しており、当審の審理はこの認定判断に拘束される。 このため、本件特許は、特許法第123条第1項第6号(平成6年法)の規定により、無効とすることはできない。 4.むすび したがって、審判請求人が主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件特許を無効にすることはできない 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1998-10-20 |
結審通知日 | 1998-10-30 |
審決日 | 1998-11-09 |
出願番号 | 特願昭53-134483 |
審決分類 |
P
1
112・
152-
Y
(A61K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 角 昭久 |
特許庁審判長 |
眞壽田 順啓 |
特許庁審判官 |
深津 弘 松浦 新司 横尾 俊一 竹林 則幸 |
登録日 | 1988-12-14 |
登録番号 | 特許第1469541号(P1469541) |
発明の名称 | 経皮吸収性抗炎症剤配合のパツプ剤 |
代理人 | 諸永 芳春 |
復代理人 | 有賀 三幸 |
代理人 | 松浦 康治 |
復代理人 | 有賀 三幸 |
復代理人 | 有賀 三幸 |
代理人 | 小川 大作 |
復代理人 | 的場 ひろみ |
復代理人 | 的場 ひろみ |
復代理人 | 中嶋 俊夫 |
代理人 | 原島 康廣 |
代理人 | 稲木 次之 |
代理人 | 伊達 俊二 |
代理人 | 中嶋 郁夫 |
代理人 | 伊達 俊二 |
復代理人 | 中嶋 俊夫 |
代理人 | 諸永 芳春 |
復代理人 | 高野 登志雄 |
復代理人 | 的場 ひろみ |
復代理人 | 高野 登志雄 |
復代理人 | 有賀 三幸 |
復代理人 | 的場 ひろみ |
復代理人 | 高野 登志雄 |
代理人 | 中嶋 郁夫 |
復代理人 | 的場 ひろみ |
復代理人 | 中嶋 俊夫 |
復代理人 | 有賀 三幸 |
復代理人 | 高野 登志雄 |
復代理人 | 中嶋 俊夫 |
代理人 | 押本 泰彦 |
復代理人 | 高野 登志雄 |
復代理人 | 中嶋 俊夫 |
代理人 | 原島 康廣 |