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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C12P
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  C12P
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C12P
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  C12P
管理番号 1096198
異議申立番号 異議2003-70686  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-09-17 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-03-13 
確定日 2004-02-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3325597号「ポリペプチドの製法」の請求項1ないし9に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3325597号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 1. 手続の経緯
特許第3325597号に係る発明は、平成4年2月26日(パリ条約に基づく優先権主張1991年2月26日、英国)に特許出願され、平成14年7月5日にその特許権の設定登録がなされ、その後、異議申立人小松孝彦より特許異議の申立てがなされ、取消の理由が通知され、その指定期間内である平成16年1月16日に訂正請求がされたものである。

2. 訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
請求項1中の「こうして可溶性ポリペプチドを得ることを特徴とする」を「こうして可溶性ポリペプチドが得られ、その際、宿主はE.コリーより成り、ポリペプチドはリシンA又はその類縁体よりなることを特徴とする」と訂正する。
イ.訂正事項b
請求項5を削除する。
ウ.訂正事項c
請求項6を請求項5と訂正し、その中の「請求項5記載の方法」を「請求項4記載の方法」と訂正する。
エ.訂正事項d
請求項7を請求項6と訂正する。
オ.訂正事項e
請求項8を請求項7と訂正し、その中の「請求項1から7までのいずれか1項記載の方法」を「請求項1から6までのいずれか1項記載の方法」と訂正する。
カ.訂正事項f
請求項9を請求項8と訂正する。
キ.訂正事項g
発明の詳細な説明中の段落【0013】の「こうして可溶性ポリペプチドを得ることから成る」を「こうして可溶性ポリペプチドが得られ、その際、宿主はE.コリーより成り、ポリペプチドはリシンA又はその類縁体よりなる」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、特許明細書の請求項5に記載されていた「宿主はE.コリーより成り、ポリペプチドはリシンA又はその類縁体よりなる」という限定を請求項1に加えたものと解され、特許請求の範囲の減縮を目的とした補正に該当する。また、上記訂正事項b〜gは、上記訂正事項aと整合を図るものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。また、これらの訂正事項は、いずれも、願書に最初に添付した明細書に記載された事項であるから、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3. 本件特許に係る発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1〜8に係る発明(以下、「本件発明1」〜「本件発明8」という。)は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された事項により特定されるとおりのものであるが、 特に、独立形式の請求項として記載された本件発明1及び8は、以下のとおりのものである。

本件発明1:
「ポリペプチドの製法において、この方法は、前記ポリペプチドを発現することができる宿主を生長培地中で培養し、かつ前記宿主を当初期間の間、この宿主の生長に好適な第1のpH値で培養してポリペプチドを製造し、このpH値を可溶性ポリペプチドの蓄積に好適な第2の値に調節し、かつ前記宿主をさらなる期間の間前記の第2のpH値で培養し、かつ場合により培養の終末部の間に生長培地の温度を低下させ、こうして可溶性ポリペプチドが得られ、その際、宿主はE.コリーより成り、ポリペプチドはリシンA又はその類縁体よりなることを特徴とする、ポリペプチドの製法。」

本件発明8:
「リシンAの製法において、これは、流加培養型の発酵より成り、ここでリシンAを発現させることのできるE.コリー宿主を、生長培地中で約6.7のpHで培養し、このpHを5.5より大きくかつ6.7より小さい値に低下させ、かつさらなる期間培養し、場合により、この培養の終末部の間に、生長培地の温度を低下させ、かつこの末端部の間にリシンAを収穫することより成ることを特徴とするリシンAの製法。」

4. 特許異議申立の理由及び証拠方法
(1)申立の理由の概要
申立人小松孝彦は、請求項1〜9(訂正後の1〜8)に係る発明について、以下の理由により特許を取り消すべきであると主張している(ここでの請求項の番号は、訂正前のものである)。

a.請求項1、2に係る発明は、甲第1号証(特開昭62-51985号公報)、及び、甲第2号証(特開昭60-118196号公報)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当する。
b.請求項1〜9に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証(J. Biol. Chem., Vol.263 (1988) p.4837-4843)、及び、甲第4号証(FEBS LETT., Vol.216 (1987) p.73-78)に記載された発明に基づき容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
c.請求項1〜4、7、8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえず、本件特許は、特許法第36条第5項第1号に規定する要件を満たしていない。
d.請求項1〜9には、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項が記載されておらず、本件特許は、特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていない。
e.請求項1〜4、7、8に係る発明は、発明の詳細な説明において、当業者が容易にその実施ができる程度にその発明の目的、構成、及び効果が記載されておらず、本件特許は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。

(2)刊行物等
特許異議申立人が証拠として提示した刊行物には、それぞれ、以下のような事項が記載されている。

刊行物1 : 特開昭62-51985号公報(甲第1号証)
バクテリア培養による細胞外酵素の取得方法について開示され、特に、第2頁右下欄下から5〜2行、第3頁右上欄9〜15行、第3頁左下欄下から6〜1行、第5頁左下欄7行〜第6頁右上欄7行、及び第6頁右上欄下から5〜1行には、バクテリア培養による細胞外酵素の産生は、細胞の対数増殖期には起こらないこと、pH値または温度を許容範囲からずらせることで細胞の成長を抑制させ、細胞外酵素を効率よく取得することが記載されている。

刊行物2 : 特開昭60-118196号公報(甲第2号証)
ヒトインターフェロン遺伝子を組み入れた発現ベクターを持つ微生物を特定の合成培地で培養し、該IFを著量蓄積させ、これを採取する方法について開示され、特に、第6頁左下欄の実験例2、第7頁左下欄の実験例4、及び第8頁左上欄〜右上欄の実施例1には、培養温度を37℃から33℃、29℃、25℃と逐次低下させることが記載されている。

刊行物3 : J. Biol. Chem., Vol.263 (1988) p.4837-4843(甲第3号証)
大腸菌を用いて培養技術によりリシンAを製造する方法が記載され、特に、第4837頁15〜21行には、遺伝子組換えリシンAは、37℃では可溶性で活性を有していたが、42℃では凝集し、不溶性で活性が低下していたことが記載されている。

刊行物4 : FEBS LETT., Vol.216 (1987) p.73-78(甲第4号証)
大腸菌を用いて培養技術によりリシンAを製造する方法が記載されている。

5.異議申立の理由a.について
特許法第29条第1項3号に基づく異議申立がされた訂正前の請求項1及び2については、訂正により、「宿主はE.コリーより成り、ポリペプチドはリシンA又はその類縁体よりなる」との限定が加えられた。そして、訂正後の請求項1及び2に係る発明は、刊行物1〜4のいずれにも記載されていない。したがって、この理由についての異議申立人の主張は採用できない。

6.異議申立の理由b.について
(1)対比・判断
本件発明1と上記刊行物1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)とを対比する。
後者の「細胞外酵素」及び「バクテリア」は、前者の「ポリペプチド」及び「宿主」に相当するものと認められる。そして、本件発明1の「かつ場合により培養の終末部の間に成長培地の温度を低下させ」は、任意的選択事項なので、本件発明1は、培地の温度を低下させない態様も含んでおり、この点は引用発明との相違点とは認められない。
したがって、両者は、「ポリペプチドの製法において、前記ポリペプチドを発現することができる宿主を成長培地中で培養し、かつ前記宿主を当初期間の間、この宿主の成長に好適な第1のpH値で培養してポリペプチドを製造し、このpH値を異なる第2の値に調節し、かつ前記宿主をさらなる期間の間前記の第2のpH値で培養し、こうしてポリペプチドが得られ、その際、宿主はバクテリアよりなることを特徴とするポリペプチドの製法」である点で一致するが、以下の(i)、(ii)の点で相違する。

(i)前者ではリシンA又はその類縁体をE.コリーで生産する方法であるのに対し、後者では、細胞外酵素をバクテリアで生産する方法である点
(ii)第2のpH値が、前者では、可溶性リシンA又はその類縁体の蓄積に好適な値であるのに対し、後者では、細胞外酵素の最大産生度に対応する成長抑制となるような値である点

(2)相違点についての判断
(i)について
刊行物1に記載された方法は、細胞外酵素を生産する微生物、特にバチルス属微生物、の連続培養による細胞外酵素の生産における問題点を解決しようとするものであって(2頁左下欄下から2行〜3頁右上欄15行を参照)、「これらの酵素の蓄積(Ausschuttung)は、連続培養装置(ケモスタット)内の有機体によって急速に弱まる」(2頁右下欄7〜9行)、「細胞外酵素の産生は、主として後期対数期および定常期間中にならびに胞子形成の前に起こるが、それに対して対数増殖期には起こらない」(2頁右下欄下から5〜2行)、及び「細胞外酵素の産生が増大すればする程、ますます有機体にとって培地中の炭素源を利用することが困難になる」(3頁左上欄6〜8行)という、細胞外酵素の産生に関する知見がその基礎となっているものと認められる。
そして、刊行物1に記載された方法においては、「バクテリア」の具体例として記載されているのは、バチルス属のもののみであって、E.コリーについては全く記載がないし、その生産物は細胞外酵素であって、外来ポリペプチドましてやリシンAの生産については、全く記載されていない。そして、E.コリーにおいては、基本的に細胞外へのポリペプチドの分泌は起こらないし、リシンA又はその類縁体は、構造、機能等においてバチルス等の細胞外酵素とは全く異なるものである。したがって、刊行物2にE.コリーを培養してインターフェロンを生産することが、また、刊行物3、4にE.コリーを培養してリシンAを生産することが記載されていても、本件発明1とは、目的ポリペプチドもそれを生産するバクテリアも全く異なる引用発明を、E.コリーによるリシンA又はその類縁体の生産に適用しようとすることは、当業者が容易に想到し得ることではない。

(ii)について
刊行物1に記載されたバクテリアは具体的にはバチルス属のものであり、しかも生産する目的ポリペプチドが外来のものであることも記載されていない。したがって、刊行物1には、組換えDNA技術により、E.コリーにおいて外来ポリペプチドを発現した際に、目的ポリペプチドが封入体のような不溶性の形態を取りやすいとの問題やその解決については、何ら記載も示唆もない。このような刊行物1の記載から、第2のpH値を「可溶性ポリペプチドの蓄積に好適な値」とすることが、当業者が容易に想到しうることであるということはできない。また、刊行物2〜4にも、この点は記載も示唆もされていない。

(3)総合的な判断
上記のように、本件発明1が、引用発明から当業者が容易に想到しうるものであるということはできない。また、他の刊行物2〜4の記載をみても、それらの記載から、本件発明1を当業者が容易に想到しうるものであるということはできない。
そして、本件発明1は、上記のような構成を採用することにより、各刊行物の記載からは予期できない、不溶性の形態をとり易い組換えリシンA又はその類縁体のE.コリーにおける生産において、可溶性のリシンAの収量が向上するという格別顕著な効果が奏される(段落【0084】〜【0090】、第18〜21図を参照)ものであると認められる。
したがって、本件発明1は、上記各刊行物に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
さらに、本件発明2〜7は、本件発明1にpH、培養法、培地等に関する限定を加えたものであるから、同様の理由で、上記各刊行物に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本件発明8については、引用発明と、少なくとも上記(i)において相違するものであるから、本件発明1と同様の理由で、上記各刊行物に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

7.異議申立の理由c.について
この理由についての異議申立人の主張の根拠は、発明の詳細な説明には、具体例としては、ポリペプチドとして「リシンA又はその類縁体」が、宿主細胞として「E.コリー」が記載されているのみであり、その他については開示がないというものである。しかし、上記2.の訂正により、本件発明については、すべて、ポリペプチドが「リシンA又はその類縁体」であって宿主細胞が「E.コリー」であるものに限定されたから、異議申立人のこの主張は採用できない。

8.異議申立の理由d.について
この理由についての異議申立人の主張の根拠は、「場合により終末部の間に生長培地の温度を低下させ」という点は、構成に必ずしも必要でない事項であり、また、ポリペプチドをリシンA又はその類縁体に限定していないことから、特許請求の範囲に、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみが記載されているとはいえないというものである。
しかし、請求項に「場合により」という任意的な選択的特定事項が記載されていたとしても、そのような選択ができるということ自体を含めて、該請求項から、一つの技術的思想が把握できるともいえるから、それのみを理由として、特許請求の範囲に、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみが記載されていないということはできない。
また、上記2.の訂正により、本件発明については、すべて、ポリペプチドが「リシンA又はその類縁体」に限定された。
したがって、異議申立人のこの主張は採用できない。

9.異議申立の理由e.について
この理由についての異議申立人の主張の根拠は、発明の詳細な説明には、具体例としては、ポリペプチドが「リシンA又はその類縁体」以外である場合や、宿主細胞が「E.コリー」以外の場合については、目的、構成、及び効果が不明であるというものである。しかし、上記2.の訂正により、本件発明については、すべて、ポリペプチドが「リシンA又はその類縁体」であって宿主細胞が「E.コリー」であるものに限定されたから、異議申立人の主張は採用できない。

10.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、訂正後の本件請求項1〜8に係る発明を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1〜8に係る発明を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ポリペプチドの製法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリペプチドの製法において、この方法は、前記ポリペプチドを発現させることのできる宿主を生長培地中で培養し、かつ前記宿主を当初期間の間、この宿主の生長に好適な第1のpH値で培養してポリペプチドを製造し、このpH値を可溶性ポリペプチドの蓄積に好適な第2の値に調節し、かつ前記宿主をさらなる期間の間前記の第2のpH値で培養し、かつ場合により培養の終末部の間に生長培地の温度を低下させ、こうして可溶性ポリペプチドが得られ、その際、宿主はE.コリーより成り、ポリペプチドはリシンA又はその類縁体よりなることを特徴とする、ポリペプチドの製法。
【請求項2】 pHを、第1の値から第2の値にまで低めることにより調節する、請求項1記載の方法。
【請求項3】 pHを、約6.7の値から5.5より大きくかつ6.7より小さい値にまで調節する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】 この方法は、流加培養型の発酵であり、ここで、pHを、流加培養条件に達する前に調節する、請求項1,2又は3記載の方法。
【請求項5】 宿主は、E.コリーDS410より成る、請求項4記載の方法。
【請求項6】 リシンA又はその類縁体を発現させることのできる宿主を生長培地中で培養し、かつ酵母エキスを含有する補充物を、この培養の間に生長培地に添加することより成る、請求項1記載の方法。
【請求項7】 温度を、最初の約37℃の値から約25℃以下の値まで低下させる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】 リシンAの製法において、これは、流加培養型の発酵より成り、ここでリシンAを発現させることのできるE.コリー宿主を、生長培地中で約6.7のpHで培養し、このpHを5.5より大きくかつ6.7より小さい値に低下させ、かつさらなる期間培養し、場合により、この培養の終末部の間に、生長培地の温度を低下させ、かつこの末端部の間にリシンAを収穫することより成ることを特徴とするリシンAの製法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、バイオ技術の分野に関し、特に可溶性組換え分子の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、組換え蛋白質は、細菌宿主例えばE.コリー中で製造され、この発酵は、生長に好適な条件下で、即ち約37℃の温度及び約6.8のpHで実施される。
【0003】
この発酵法は、通例、宿主の細胞生長要件を満たす栄養物を含有する培地中で実施される。典型的な培地には、細胞成分の合成及び熱量のための炭素及び窒素源、イオン例えばスルフィート、ホスフェート、マグネシウム、カルシウム、鉄及び種々の微量元素を含有する。この生長培地の成分として、酵母エキスもしばしば存在する。例えば、ルリアブイヨン(Luria Broth)は、トリプトン及び塩化ナトリウムに加えて、酵母エキス約0.5%を含有する。最近、ルリアブイヨンに酵母エキスを富化させると、これは、酵母エキスバイオマス1〜3%を含有し、β-ガラクトシダーゼ発現が増加されることが報告された(X Li、J.W.Robbins及びK.B.Taylor;Journal of Industrial Microbiology 5、85-94、1990参照)。更に、流加培養法(fed-batch process)で酵母エキス及びグルコースを発酵ブイヨン中に供給することにより、組換えヒトインシュリン類似生長因子を封入体として製造できることも報告されている(L.B.Tsai等のJournal of Industrial Microbiology 2、181-187、1987参照)。
【0004】
米国特許第4894334号明細書には、培養を37℃でかつ6.8のpHで実施し、かつ生長培地の濁りが約10のOD680である場合には、カサミノ酸(casamino acid)の2%溶液を添加することよりなるレシチンAの製法が記載されている。
【0005】
E.コリー中で組換えDNA技術により多くのポリペプチドを製造する場合には、このポリペプチドは不溶性の形で、例えば不溶性集合物又は封入体として得られる。この物質を使用すべき際には、これを生物学的に活性な形に再生することを可能にするため、可溶性にすべきである。この可溶化工程は、一般に、化学品例えば、界面活性又はカオトロピック剤(これらは、使用のためには煩雑かつ高価であり、蛋白質を化学的に変性する)の使用を必要とする。
【0006】
組換えリシンAを製造する際に、不溶性物質が形成される傾向がある。例えば、欧州特許(EP)第237676号明細書中には、E.コリー中、37℃、pH6.8でのリシンAの発現は、不溶性物質をもたらし、これは、尿素とSDSとの混合物での処理により可溶化すべきであることが報告されている。欧州特許第37676号明細書は、リシンAに関する暗号配列が、E.コリーK12のアルカリホスファターゼ構造遺伝子(phoA)のリーダー配列を暗号化するDNAと共に直接読取りフレーム中に配置されている場合に、可溶性リシンAが製造されることを報告している。
【0007】
リシン及びリシン型分子例えばアプリン(abrin)は、植物細胞により製造され、細胞毒特性を有する公知化合物である。この型のトキシンは、ジサルファイド橋を介して連結されている2個のポリペプチド鎖より成る。このポリペプチド鎖の1方(A-鎖)は、トキシン分子の細胞毒特性に第1に責任があり、他方のポリペプチド鎖(B-鎖)は、トキシン分子を細胞表面に結合可能にする。
【0008】
リシンのこの毒性は、識別可能な次の3つの条件に依存する:
(i) B鎖上のガラクトース結合部位と細胞表面上に露呈されている糖蛋白質又は糖脂質との相互作用による細胞表面へのリシン分子の結合;
(ii) 細胞の細胞質ゾル内への少なくともA鎖の侵入;及び
(iii) RNAの酵素的分解により蛋白質合成及び最終的細胞死を阻止するリボソームの60S-サブユニットになる。
【0009】
B鎖は、リシン分子を細胞表面に結合するその1次機能は別として、ここで細胞内へのリシンの吸収を促進する重要な2次機能をすると信じられてもいる。従って、分離されたA鎖及びB鎖は、実質的に無毒性である。それというのも、B鎖は細胞毒性ではなく、A鎖は細胞表面への結合能力に欠け、B鎖の不存在では細胞の細胞質ゾル内に侵入する能力に欠けるからである。
【0010】
リシンのA鎖の毒性は、無差別に結合するB鎖を正常細胞の存在で腫瘍細胞への結合能を有する種々のキャリアで換えることができる場合には、抗腫瘍治療に有用であることが既に暗示されている。従って、リシンA及び腫瘍特異性抗体より成る免疫毒素が抗腫瘍治療で使用できることが提案されている。
【0011】
天然源例えばヒマ(Ricinus communsa)の種子からのリシンA鎖の製造は困難である。特に、リシンAの精製即ちB鎖からA鎖を分離することは困難である。
【0012】
組換えDNA技術により、ポリペプチド例えばリシンAを製造することは可能であるが、なお、可溶性ポリペプチドを製造する改良法は必要である。特に、可溶性リシンAを製造するための改良法は必要である。
【0013】
【発明の構成】
本発明によれば、ポリペプチドを製造する方法が提供され、この方法は、前記ポリペプチドを発現させることのできる宿主を生長培地中で培養し、かつ前記宿主を当初期間の間、この宿主の生長に好適な第1のpH値で培養してポリペプチドを製造し、このpH値を可溶性ポリペプチドの蓄積に好適な第2の値に調節し、かつ前記宿主をさらなる期間の間前記の第2のpH値で培養し、かつ場合により培養の終末部の間に生長培地の温度を低下させ、こうして可溶性ポリペプチドを得ることより成る。
【0014】
特に、本発明の方法は、少なくとも部分的に、不溶性の形で製造される傾向を有するポリペプチドを製造するために使用できる。
【0015】
本発明を用いて製造することのできるポリペプチドの特別な例には、例えばリシンA又はその類縁体が包含される。
【0016】
本発明の1実施態様では、前記ポリペプチドを発現させることのできる宿主を培養し、かつこの方法の間に、可溶性ポリペプチドが得られるようにpHを調節することにより成る、ポリペプチドの製法が提供される。特に、前記ポリペプチドを発現させることのできる宿主を第1期間の間、この宿主の生長に好適な第1pH値で、生長培地中で培養し、pHを可溶性ポリペプチドの蓄積に好適な第2の値に調節し、かつ、この宿主を、この第2のpH値で更なる期間の間培養することよりなる、ポリペプチドの製造法が提供される。
【0017】
温度が低下される方法において、この方法は、一般に、宿主細胞の生長及び可溶性ポリペプチドの生成に好適な温度で、宿主細胞を培養し、この培養の終末部の間に生長培地(及び従って宿主)を冷却し、かつ、前記終末部の間に宿主を収穫することよりなる。
【0018】
温度は、ポリペプチドを可溶性の形に保持するのに好適な温度が有利である。
【0019】
細菌細胞例えばE.コリーの生長に好適である温度は、約25℃〜約39℃(例えば37又は38℃)であり、至適温度は、約37℃である。この温度は、可溶性ポリペプチドを生成させる温度であるのが有利であり、一般に、この温度は40℃を下まわる。一般に、この温度が低下すると、宿主細胞は約25℃を下まわる温度まで例えば、約10℃(又はそれ以下)〜約25℃の範囲の温度まで冷却されることが有利である。
【0020】
細胞内での可溶性ポリペプチド(例えばレシンA)の蓄積が高い場所で、かつ最も有利には、最大特異活性の所で又はその付近で冷却を行なうのが有利である。
【0021】
pHを調節する際に、ポリペプチドを発現させることのできる宿主を、生長培地中で、宿主の生長に好適である第1のpH値で第1期間の間培養し、かつこのpHを第2の値に調節し、かつこの宿主を、この第2値で更なる期間培養することが一般に有利である。このpHは、多くの方法で調節でき、例えば1工程で又は1連の工程で調節することができる。第2のpHは、例えば、可溶性ポリペプチドの蓄積に好適である値より成り、ここで、これは、ポリペプチドを可溶性形に保持し、回収することを促進する。
【0022】
従って、特別な1態様で、ポリペプチドの製法が提供され、この方法は、前記ポリペプチドを発現させることのできる宿主を、第1のpH値及びこの宿主の生長及び可溶性ポリペプチドの生成に好適である温度で培養し、この方法の間にpH値を第2のpH値に調節し、かつ場合により、この宿主を、培養の終末部の間に冷却し、かつ可溶性ポリペプチドを含有する宿主を前記の終末部の間に収穫することよりなる。
【0023】
リシンAの場合に、pHを一般的に調節すると、前記の第2pH値は、第1pH値よりも低くなる。他のポリペプチドを得るために、前記の第2pH値は、ポリペプチドの種類に応じて、第1の値より大きいか又は低くてよい。
【0024】
特別な1態様において、pHを調節する際に、このpH値は、第1の値から第1の値より低い第2の値に変えられる。前記のように、このpHは、多くの方法で低められ、例えば、1工程で又は一連の工程で低下されうる。
【0025】
一般に、例えば、短期間でpHを第1の値から第2の値に調節することが有利であり、特に、このpHは、直接的に、第1の値から第2の値に調節することができる。
【0026】
この培養の第1期間の間のpHの特別な値には、例えば、約6〜8の範囲内の値が包含される。第1期間の間のpHの有利な値は、例えば6.7又は約6.7である。約6.7であるpH値には、例えば6.7±0.1従って、6.8の値も包含される。
【0027】
培養の更なる期間の間のpHの特別な値は、約5.5〜8の範囲特に約6〜8の範囲内の値である。例えば、第1期間の間のpH(即ち前記の第1の値)は、約6.7であり、更なる期間の間の特別なpH値は、6.7より低く、約5.5よりは大きい(殊に約6.0以上)の値である。
【0028】
特に、本発明は、リシンA又はその類縁体の製法を提供する。従って、本発明によれば、リシンA又はその類縁体の製法が提供され、この方法は、リシンA又はその類縁体を発現させることのできる宿主を栄養培地中で、宿主の生長に好適である第1pHで第1期間の間培養し、かつ、この宿主を、前記第1pH値よりも低いpHで、更なる期間の間培養し、かつ、場合により、この宿主をこの培養の終末部の間に冷却し、かつ前記終末部の間にこの宿主を収穫することより成る。
【0029】
リシンAの類縁体には、細胞毒活性を示し、1個以上のアミノ酸変更(欠失、付加、置換)によりリシンAの構造とは異なっているリシンAと関連している1次構造を有し、細胞毒活性の欠如の結果をもたらさない、ポリペプチドが包含される。リシンAを発現させることのできる宿主の製造は、例えば、欧州特許(EP)第145111号、国際特許(WO)第85/3508号明細書及びLamb等によるEur.J.Biochem.1985、148、265-270頁に記載されている。
【0030】
前記のように、細胞毒特性を有するポリペプチド例えばリシンAは、腫瘍の治療に使用するための免疫毒素の製造に使用できる。一般に、このような免疫毒素は、処置されるべき腫瘍およびトキシンに対して特異的な抗体よりなる。免疫毒素の製造の例は、公開されたPCT特許出願(WO)第85/003508号明細書中に記載されている。
【0031】
一般に、例えば、この宿主は、細菌細胞例えばE.コリー細胞より成るのが有利である。リシンAの場合には、この宿主はE.コリー菌株例えばDS410より成るのが有利である。
【0032】
この宿主を、一般に、宿主の細胞生長要件を満たす栄養を含有する培地中で培養する。従って、この培地は、一般に、細胞成分の合成及びエネルギーのための炭素及び窒素源、イオン例えば、スルフェート、ホスフェート、マグネシウム、カルシウム、鉄及び微量元素を含有する。
【0033】
この発酵の過程の間に、この発酵培地に酵母エキスを添加するのが有利である。この酵母エキスの添加の方法は、以下の記載に包含される。
【0034】
宿主は、ポリペプチド(例えばリシンA又はその類縁体)に関してコードし、適当なコントロール配列例えばプロモータ配列、リボソーム結合部位及び転写ターミネーター配列のコントロール下にあるDNA配列を含有する。適当なプロモータ配列の特別な例は、トリプトファン(trp)プロモータ配列及びT7A3プロモータである。他のプロモータ例えばlac又はtac-プロモータも使用できる。従って、例えば、この宿主は、リシンAに関してコード化し、trp又はT7A3プロモータのコントロール下にあるDNA配列を有していてよい。
【0035】
特に有利な1態様において、本発明の方法は、流加培養型(fed-batch type)の発酵より成る。
【0036】
ここで使用されている、流加培養-型(fed-batch type)の方法とは、栄養例えば炭素源又は消耗時に微生物の生長を限定する多くの栄養を含有するバッチ生長培地を使用する発酵法である。この栄養が消耗されると、その栄養(nutrient/nutrients)の供給が開始される。この栄養の供給が必要になる時点は、流加培養条件の開始に一致する。この発酵培地には、全般的に、又はこの発酵の間の段階で他の栄養を供給することができる。
【0037】
この方法が流加培養発酵法より成る場合には、流加培養条件に達する時点又はそれ以前に、有利には流加培養地条件に達する前にpHを低めることができる。
【0038】
有利な1態様では、リシンAを製造するための流加培養型の発酵法が提供され、この方法は、リシンAを発現させることのできるE.コリー宿主を、約6.7のpH値で第1期間の間培養し、かつ、この宿主を、前記の6.7より低いpHで更なる期間培養することよりなる。
【0039】
本発明の有利な1態様によれば、リシンA又はその類縁体を製造するための流加培養型の発酵法が提供され、この方法は、リシンA又はその類縁体を発現させることのできる宿主を、生長培地中で、宿主の生長及び可溶性リシンA又はリシンA類縁体の生成に好適な第1のpH値及び温度で第1期間の間培養し、流加培養条件が達成される前に前記第1の値より低い第2の値までpHを調節し、場合により、培養の終末部の間に、この生長培地を、リシンAを可溶性形に保持するのに好適な温度まで冷却し、前記終末部の間に細胞を収穫することより成る。
【0040】
本発明で特許請求されている方法の実施に先立ち、流加培養型の発酵法は、この発酵法の終りに回収されうる可溶性リシンAの収率を減少させる結果をもたらすことが判明した。意外にも、流加培養条件の達成の前に冷却を行なう場合に、ポリペプチドの高水準が可溶性形に保持でき、従って、可溶性ポリペプチドの収穫を促進することが発見された。
【0041】
従って、本発明のもう1つの態様では、次の方法よりなるリシンA又はその類縁体を製造する方法が提供される:
(a) リシンA又はその類縁体を発現させることのできる宿主を、生長培地中で、この宿主の生長及び可溶性リシンA又はその類縁体の生成に好適である温度で培養し、
(b) この生長培地を、この宿主の生長に必須の栄養の消耗に達する(即ち流加培養条件に達する)前に、この宿主の生長に好適でない温度まで冷却し、かつ
(c) 前記栄養の消耗に達する前に細胞を収穫する。
【0042】
この方法は、この方法が流加培養相に入る前に収穫を行なう流加培養法に類似していることが明らかである。従って、宿主の生長のために必須の栄養の消耗が起る時点は、流加培養条件に達する時点と等しい。栄養消耗に達する前に冷却を行ない、有利に、例えば栄養消耗に達する直前に行なう。
【0043】
宿主はOD550=約50で炭素限定されて処方されている培地中で生長させることができ、OD550が約50の場合又はOD550が50に達する前に、この宿主を含有する発酵培地を冷却する。
【0044】
特に、リシンAの製造のための流加培養法で温度を低めることが望ましい場合には、この方法は次の工程を包含していてよい:
(a) リシンAを発現させることのできるE.コリー宿主を栄養培地中で、約37℃〜39℃の範囲の温度で培養し、
(b) この発酵培地を、流加培養条件に達する前に約25℃より下まわる温度まで冷却し、
(c) 宿主細胞を流加培養条件に達する前に収穫する。
【0045】
特別な温度の例は、前記のものである。従って、約10℃(又はそれ以下)から約25℃の範囲の温度まで冷却することができる。
【0046】
前記したように、酵母エキスを添加することもできる。このような方法は、前記の方法がリシンA又はその類縁体を発現させることのできる宿主を生長培地中で培養し、この培養の間に酵母エキスを含有する補充物をこの生長培地に添加するような方法も含める。
【0047】
酵母エキスは、単一バッチ法、一連のアリコート又は実質的な連続的供給の方法で添加することができる。この酵母エキスは、一般に、宿主の生長相の間に添加する。例えば、酵母エキスを含む補充物の添加は、培養の開始後の予め決められた時間で開始するのが有利である。この時間の特別な例は、流加培養条件が達成される前の時点である。
【0048】
酵母エキスを含む補充物の添加速度は、この生長培地の酵母エキスが消耗されないようにするのが有利である。従って、この生長培地の当初組成物中に酵母エキスが含有される場合には、補充物の添加を、当初組成物中に存在する酵母エキスが消費される前に開始するのが有利である。酵母エキス供給の好適な速度には、例えば約0.85〜3.4g/l・hの範囲の供給速度が包含される。供給の特別な速度は、1〜2g/l・hの範囲殊に1.7g/l・hである。
【0049】
前記のように、宿主細胞は、一般に、細菌細胞例えばE.コリーより成っていてよく、例えば、この宿主細胞がリシンAを発現させることのできるものであるのが有利である。
【0050】
発酵は、一般に、宿主の生長に好適である温度で実施される。細菌細胞例えばE.コリーの生長に特に好適である温度は、約37℃である。この温度は、培養の間に(殊に、培養の終末部の間に)、前記のように低下させることができる。
【0051】
E.コリー菌株DS410は、可溶性リシンA製造時に意想外に有効であることも判明した。前記のように、一般に、pHを調節しかつ/又は温度を低めるのが有利である。
【0052】
収穫の後に、細胞を処理してリシンAを回収する。この処理は、通例、細胞を崩壊させ、他の蛋白質物質から、1以上の抽出工程で粗製リシンAポリペプチドを分離し、かつ更に、ゲル濾過、光速液体クロマトグラフィ又は他の慣用の精製法により、リシンAを精製することよりなる。
【0053】
本発明の方法は、可溶性ポリペプチドの製造に有利であることが判明した。
【0054】
一般に、本発明の方法は、可溶性形のポリペプチドの生成及び/又は回収に有利である。殊に、この方法の間に、生長培地のpHを調節することにより、可溶性ポリペプチドの高収率が得られることが判明した。意想外に、培養の終末部の間に生長培地を冷却し、この終末部の間に細胞を収穫すると、可溶性ポリペプチドの高収率が回収されうることも判明した。この冷却工程は、特に有利であることが判明した。それというのも、これは、収穫の前に遅延があっても、可溶性ポリペプチドの高収率が得られる大きな処理範囲をもたらすからである。
【0055】
pHを調節し任意の冷却工程を行なう流加培養法が特に有利であることが判明した。
【0056】
ポリペプチドがリシンAである方法において、本発明の方法は、特に有利であることが判明した。
【0057】
得られる可溶性リシンAの収率は、この方法の間に酵母エキスを添加する際に高められることが判明した。pHも調節される方法殊に、pHが調節される流加培養法は、予想外に、可溶性リシンAの高収率を与えることが判明した。
【0058】
E.コリーDS410も、予想外に、可溶性リシンAの製造に有利であることが判明した。この方法の間に酵母エキスを添加すると、この収率は高められることも判明した。
【0059】
【実施例】
次に、実施例を用い、図面と関連させて、本発明を詳説する:
図1は、pICI0020の構成を説明している図であり;
図2は、pTB344の構成を説明している図であり;
図3は、pICI0042の構成を説明している図であり;
図4は、pICI1079の構成を説明している図であり;
図5は、pICI1187の構成を説明している図であり;
図6は、E.コリーリゼートのクマシーブルー染色SDSゲルを示す図であり、ここでトラックAは、pICI1102、BはpICI0020であり、Cは分子量マーカーであり;
図7は、ピークRがリシンAを示しているpICI1102のゲルプロフィルを示す図であり、
図8は、pICI1102により産生されたリシンAのウェスタンブロットであり、ここでトラック1は分子量マーカーであり、2及び3は、非-リシン産生クローンであり、4はpICI1102であり、5はpICI0020(対照プラスミド-非リシンA配列)であり;
図9は、pICI1102の部分配列であり;
図10は、pICI1102の構成を説明している図であり;
図11は、プラスミドの製造で用いられているフラグメントを示す図であり、
図12は、pICI0042のプラスミド地図であり、
図13は、転写ターミネーターの配列を示す図であり、
図14は、pICI1079のプラスミド地図であり、
図15、図16及び図17は、それぞれDS410に関するバイオマス、全リシンA蓄積及び可溶性フラクション中のリシンAの分配率に及ぼす流加培養発酵の影響を示す図であり;
図18、図19、図20及び図21は、それぞれ、バイオマス濃度、全リシンA蓄積、可溶性フラクション中の可溶性リシンA分配率及び可溶性リシンAの収率に及ぼすpHの影響を示す図であり;
図22は、使用pHプロフィルを示す図であり;
図23、図24及び図25は、冷却の影響を示す図である。
【0060】
生長培地
LCM50の組成

このLCM50生長培地中の酵母エキスの濃度は各々の例中に詳述する。
【0061】
微量元素溶液(TES)は次の組成を有する: %/脱イオン水10ml
AlCl3・6H2O 2.0
CoCl2・6H2O 0.8
KCr(SO4)2・12H2O 0.2
CuCl2・2H2O 0.2
H3BO3 0.1
KI 2.0
MnSO4・H2O 2.0
NiSO4・6H2O 0.09
Na2MoO4・2H2O 0.4
ZnSO4・7H2O 0.4
菌株
ここで使用されるE.コリー菌株は、自由に入手可能である。例えばE.コリーMM294及びW3110は、自由に入手可能である。MM294及びW3110は、例えば、E.コリー・ジェネティック・ストック・センター(E.coli genetic Stock Center、Yele University、USA)から入手できる。W3110のΔlac誘導体は、当業者により容易に製造される。
【0062】
E.コリーDS410は、公知であり(Dougan及びSherratt、Molecular and General Genetics,Vol.151、p151-160、1977)、公開されたゲノタイプF- ara azi tonA lacY minA minB rpsL malA xyl mtl thiを有する。この菌株は、一般的に自由に入手可能であり、更に、本発明者により1985年6月7日に、ブタペスト条約のもとで、ナショナル・コレクション・オブ・インダストリアル・&・マリン・バクテリアLtd.アバディーン・スコットランド(National Collection of Industrial&Marine Bacteria Ltd,Aberdeen,Scotland)に寄託番号12100で寄託されている。
【0063】
例1
E.コリー菌株MM294,DS410,およびW3110Δlacと呼ばれるW3110のΔlac誘導体を、pICI 1187を用いて形質転換した。
生じた菌株MM294(pICI 1187)、DS410(pICI 1187)およびW3110Δlac(pICI 1187)を精製し、グリセロールストック中で-80℃で維持した。それぞれの培養基のアリコートをストックから除去し、L-テトラサイクリンの寒天プレートに画線培養し、単一コロニーを37℃で一晩中生長させた後に分離した。
【0064】
DS410(pICI 1187)、W3110Δlac(pICI 1187)およびMM294(pICI 1187)の単一コロニーを除去し、別々にL-テトラサイクリンブイヨン10mlに再懸濁させ、100μlをただちに、L-テトラサイクリンブイヨン75mlを含有する10個の250mlの三角フラスコにそれぞれ接種した。往復振盪器で37℃で16時間生長させた後、10個のそれぞれのセットのフラスコの内容物を集め、LCM50(酵母エキス10g/l)を含有する3つの別々の発酵槽に接種するために使用した。
【0065】
発酵は37℃の温度で、2M硫黄および6M水酸化ナトリウム溶液の自動添加により調節してpH6で実施した。溶存酸素圧(dOT)設置点は50%の空気飽和であり、最初に発酵槽の攪拌速度の自動調整により制御した。発酵槽への空気流は常に、1容量容量/分(VVM)に相当する20L/分である。
【0066】
発酵は14.25時間行なわれ、この時間の間に光学密度(OD550)、細胞乾燥重量、細胞中のリシンAの蓄積および分配率を測定するためにサンプルを取った。リシンA蓄積は、公知のように、試料採取した細菌の全ての細胞リゼイトのクーマシーブルー(Coomassie blue)染色SDS-PAGEゲルを走査することにより測定した。細胞の細胞質(可溶性)および封入体(不溶性)フラクション中のリシンAの分配率は、公知のように、試料採取した細菌を音波処理溶菌にかけることにより測定した。
【0067】
プラスミドpICI 1187に対するE.コリー宿主菌株の変化は、可溶性の細胞質フラクション中に分配されたリシンAの水準における予想外の変化を引き起こした。第1表は、DS410(pICI 1187)、W3110Δlac(pICI 1187)およびMM294(pICI 1187)菌株について、発酵の終了(14.25時間)での、得られたバイオマス、全リシンA蓄積および可溶性フラクション中に分配しているリシンAのパーセンテージを表わした。
【0068】


* TMPは全微生物タンパク質を表わす
E.コリー宿主菌株の変化により、リシンAの分配率における劇的変化を引き起こすことができる。
【0069】
例2
菌株DS410(pICI 1187)、W3110Δlac(pICI 1187)およびMM294(pICI 1187)を用いるLCM50増殖培地(酵母エキス20g/l)を用いて、例1に記載した発酵工程を繰り返した。酵母エキスの溶液(333gl-1)を、発酵槽に接種した後4.25hから、0.85gl-1h-1で発酵槽中に供給した。この酵母エキスの供給速度を、発酵槽に接種した後5.75hで、1.7gl-1h-1に増大させた。発酵槽中の炭素源が枯渇した場合、(dOP中の急速増加を引き起こす)、グリセロール(714gl-1)および硫酸アンモニウム(143gl-1)を含んだ飼料を、発酵槽中に細菌の酸素取り上げ速度を制限する速度でポンプ輸送した。
【0070】
高めたバッチ酵母エキス濃度及び発酵の間の酵母エキス溶液の供給を除いて、3つの発酵槽の培地及び発酵条件は、例1に記載された工程と同様である。
【0071】
この実施例に記載した発酵工程は、例1と比較して、全て3つの菌株のバイオマスにおける改良、菌株DS410(pICI 1187)、W3110Δlac(pICI 1187)およびMM294(pICI 1187)の可溶性フラクション中に分配されたリシンAの量の改良および、全菌株の可溶性リシンAの全収量における改良を生じさせた。第2表は、最終的なバイオマス濃度、全リシンA蓄積、可溶性フラクション中に分配されたリシンAのパーセンテージ、および発酵の終了時(16.25時間)の可溶性リシンAの計算された収量を表わす。
【0072】

* 発酵ブイヨン1リットルあたり可溶性リシンAの計算した収量mg
(1)は、約150〜200mg-1の例1に記載した発酵工程での3つの菌株に対する可溶性リシンAの計算した収量と比較した。
【0073】
LCM500中の酵母エキス濃度が10g/Lであり、酵母エキスを発酵槽中に供給するおよび/または酵母エキスを0.85gl-1h-1、1.7gl-1h-1または3.4gl-1h-1で発酵槽中にポンプ供給する場合に、同じ結果が得られた。
【0074】
酵母エキスの供給は、このように、可溶性フラクション中に分配されたリシンAの%および発酵ブイヨン1リットルあたりの可溶性リシンの収量を増大させることができる。
【0075】
例3
E.コリー菌株MM294(pICI 1187)、W3110Δlac(pICI 1187)およびDS410(pICI 1187)を用いて、Lトリプトファン100mgl-1を追加したLCM50増殖培地(酵母エキス10g/l)を用いて、例1に記載した発酵工程を繰り返した。L-トリプトファン溶液(10gl-1)は、発酵の間中、90mgl-1h-1で発酵槽中にポンプ供給される。
【0076】
第3表は、3つの菌株についての発酵の終了時(14.25h)で、バイオマス濃度、全リシンA蓄積および可溶性フラクション中に分配されたリシンAのパーセンテージを比較している。L-トリプトファンの補充および供給は、公知のようにトリプトファンプロモータの活性に影響を及ぼすために実施した。例1及び特に例2に記載した発酵工程と比較して、不利な効果が全般的に観察された。菌株MM294(pICI 1187)はより高いバイオマスを製造するが、可溶性フラクション中に分配するリシンAのパーセンテージは減少した。菌株DS410(pICI 1187)およびW3110Δlac(pICI 1187)はリシンAの分配率において変化を示さなかったが、製造されたバイオマスの水準は減少した。例2に記載した酵母エキスを用いて達成された結果は、添加した酵母エキスが著しい量のトリプトファンを含有するため、最も意想外であった。
【0077】


例4
例2の発酵工程を、LCM50(酵母エキス20g/l)中のE.コリー菌株DS410(pICI 1187)を用いて繰り返した。
【0078】
この発酵は、37℃の温度で、2M硫黄および6M水酸化ナトリウム溶液の自動添加により調節されたpH6.7で実施した。溶存酸素圧(dOT)設置点は50%空気飽和であり、最初に発酵槽の攪拌速度の自動調節により制御した。発酵槽への空気流は、最初に、1容量容量/分(VVM)に相当する20L/分であり、発酵槽の攪拌速度が最大に達した場合に手作業で45L/分に増大させた。この発酵は、34時間実施され、この時間の間に光学密度(OD550)、細胞乾燥重量、細菌細胞中のリシンAの蓄積および分配率を測定するためにサンプルを取った。リシンAの蓄積は、公知のように、試料採取した細菌の全ての細胞リゼイトのクーマシーブルー(Coomassie blue)染色SDS-PAGEゲルを走査することにより測定した。細胞の細胞質(可溶性)および封入体(不溶性)フラクション中のリシンAの分配率は、公知のように、試料採取した細菌を音波処理溶菌にかけることにより測定した。酵母エキス(333gl-1)の溶液は、接種の後4.5時間に、発酵槽へ1.7gl-1h-1でポンプ供給された。
【0079】
接種の後の12〜13時間の間に、発酵における炭素源の供給は枯渇し、50%空気飽和からdOTにおいて急速増加を引き起こす。この時点から、グリセロール(714gl-1)および硫酸アンモニウム(143gl-1)を含有する飼料を、細菌の酸素取り込み速度(OUR)を発酵槽の最大酸素移動速度の約80%までに制限する速度で、発酵槽へポンプ供給し、その間にdOTは50%空気飽和に戻り、次いでこれを維持した。
【0080】
バイオマス製造での流加発酵(fed-batch fermentation)、全リシンA蓄積および可溶性フラクション中でのリシン分配率への影響は、図15,16および17にそれぞれ表わした。流加発酵を開始した時点は、それぞれの図に表示した(FB)。可溶性フラクション中でのリシン分配率に関する流加発酵の効果は明らかである。
【0081】
例5
DS410(pICI 1187)のシングルバイアルをストックから除去し、この培養100μlを除去し、即座にL-テトラサイクリンブイヨン600mlを含有する3つの2リットルの三角フラスコにそれぞれ接種した。往復振盪機上で37℃で16時間培養した後、フラスコの内容物を、LCM50増殖培養地(酵母エキス20g/l)を含有する3つの発酵槽に接種するために用いた。
【0082】
この発酵は37℃で、2M硫酸および6M水酸化ナトリウム溶液の自動添加により制御するつぎのpHで実施した。
【0083】
(A) 発酵の間じゅうpH6.7
(B) 接種後10時間までpH6.7、その後pH6.0に調節
(C) 接種後10時間までpH6.7、その後pH7.6に調節
この溶存酸素圧(dOT)設定点は50%空気飽和であり、最初に発酵槽攪拌速度を自動調節することにより制御した。発酵槽への空気流は、最初に1容量容量/分に相当して20L/分であり、発酵槽攪拌速度が最大(1000rpm)にたした場合に45L/分に手作業で増大させた。この発酵槽への空気流は、発酵の後半に向かう場合、手作業で20L/分に減少させ、攪拌速度は自動的に約500rpmに減少した。
【0084】
この発酵は23時間実施され、この時間の間に、光学密度(OD550)、細胞乾燥重量、可溶性フラクション中のリシンAの蓄積および分配率を測定するためにサンプルを取った。リシンAの蓄積は、公知のように、試料採取した細菌の全ての細胞リゼイトのクーマシーブルー(Coomassie blue)染色SDS-PAGEゲルを走査することにより測定した。細胞の細胞質(可溶性)および封入体(不溶性)フラクション中のリシンAの分配率は、公知のように、試料採取した細菌を音波処理溶菌にかけることにより測定した。
【0085】
酵母エキス(333gl-1)の溶液は、接種の後4.5時間から発酵槽へ1.7gl-1h-1でポンプ供給された。
【0086】
発酵において炭素源が枯渇する場合(50%空気飽和からdOTにおいて急速増加が引き起こされる)、グリセロール(714gl-1)および硫酸アンモニウム(143gl-1)を含有する飼料を、細菌の最大炭素需要に適合するために十分な速度で、発酵槽にポンプ供給した。この制限された炭素源および硫黄アンモニウムの供給速度は、次いで発酵の残りの間、変化させなかった。
【0087】
3つの異なるpH制御体系(A,BおよびC)の効果を図18,19,20および21に示し、これはバイオマス濃度、全リシンA蓄積、可溶性フラクション中に分配するリシンAのパーセンテージおよび可溶性リシンAの計算された収量をそれぞれ示す。図22は発酵の間の増殖培地のpHを表わす。pH6.7〜pH6.0への変更の可溶性リシンの収量に関する有利な効果が明らかに示されている。
【0088】
例6
例4に記載した発酵工程を繰り返すが、発酵槽の接種後11.5時間に、発酵温度を次第に減少させた。
【0089】
リシン可溶性の意想外な持続が観察された。図23,24および25は得られた結果を示した。図25は工程中の発酵温度を表わした。
【0090】
プラスミドの製造
次に、先に使用したpICI 1187の製造を表わした。組換えリシンAを製造するために使用したベクターの誘導における多様な中間工程を記載した。
【0091】
実験手順
1. 合成オリゴヌクレオチド
合成オリゴヌクレオチドは、リシン遺伝子の特異的DNA変更を導くために使用した。引き続き記載した全てのオリゴヌクレオチドはApplied Biosystems 380AのDNA合成装置で、Applied Biosystems Inc.により提供された手引書に従って、5′-ジメトキシトリチル塩基保護されたヌクレオシド-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホラミジットおよび制御孔ガラス担体に連結させた保護されたヌクレオシドから0.2マイクロモル規模で製造した。
【0092】
それぞれのオリゴヌクレオチドを、固体担体から切り離し、全ての保護基を除去した後に、水(1ml)に溶かし、濃度の測定のために260nmでの吸光度の測定を使用した。
【0093】
2. 酵素
多様な制限エンドヌクレアーゼおよびDNA変性酵素は、次に記載する操作において使用される。これらは多くの供給元(Amersham International,Bethesda Research Laboratories,Boehringer MannheimまたはNew England Biolabs)の一つから得られ、反応条件に関する製造説明書に従って使用した。
【0094】
3. ジェネクリーン(Geneclean(TM))
このキットは1) 6Mヨウ化ナトリウム、2) 塩化ナトリウム/水 エタノール/水洗浄を製造するための塩化ナトリウム、トリスおよびEDTAの濃溶液;3) グラスミルク(Glassmilk(TM))-水中のシリカマトリックスの懸濁液1.25mlを含有する1.5mlバイアルからなる。
【0095】
これは、VogelsteinおよびGillespieの方法(National Academy df Sciences USAの会報(1979)76版、615頁に公開)を基礎とするDNA精製のための技術である。
【0096】
もう一つは、“Molecular Cloning-a laboratory manual”Second Edition,Sambrook,FritschおよびManiatis(Cold Spring Harbor Laboratory,1989)に記載された方法のいくつかが使用できる。
【0097】
4. シーケナーゼ(Sequenase(TM))
化学的に変成したT7 DNAポリメラーゼ
TaborおよびRichardsonの方法(“Proceedings of the National Academy of Science USA(1987)vol 84 pp4767-4771に公開)を基礎とする。
【0098】
5. pICI発現ベクターの組み立て
5.a) pICI 0020
プラスミドベクターpICI 0020は、pAT153ベースのプラスミドであり、この中で、651 bp EcoRI-AccI領域は、
(1) 合成E.コリー trp プロモータおよびtrpリーダーリボソーム結合部位
(2) 翻訳開始コドン
(3) KpnI、BamHI、XbaI、SalI、PstI、SphIおよびHindIIIを含有するM13mp18から誘導された多重制限酵素認識配列
(4) 合成転写末端配列
からなる167 pb EcoRI-ClaIフラグメントに置き換えられる。
【0099】
この領域のDNA配列は図11に表わした。
【0100】
合成trpプロモータ配列を含有するプラスミドベクターの組み立て法は公開されている(Windass et al Nuc.Acids Res.10 p6639-6657,1982)。プロモータフラグメントは、酵素EcoRIおよびHpaIを用いた消化および電気溶離(“Molecular Cloning-A Laboratory Manual”Maniatis,FristschおよびSambrook,CSH laboratoryにより出版、第2版1989および後に“Maniatis”として報告)によりアガロースゲルからの適当なバンドの精製の後で、このようなベクターから単離される。
【0101】
本来のtrpリーダーリボソーム結合部位、翻訳開始コドンおよび3′KpnIクローニング部位を提供するプロモータフラグメントのHpaI末端にリゲートすることとなる相補性合成オリゴヌクレオチドのペアが製造される。このようなオリゴヌクレオチドは、等モル濃度で混合され、100℃に加熱されることによりアニーリングし、引き続きゆっくりと室温に冷却される。
【0102】
このプロモータフラグメントおよびアニーリングしたオリゴヌクレオチドを、次にリゲートし、適当なバンドをポリアクリルアミドゲルから電気溶離により単離した。次に、このフラグメントを、HindIII部位中にクローンしたtrpアテニュエーター配列(合成オリゴヌクレオチドから生成した)を含有し、かつアテニュエーターに対して3′に付加的にClaI制限部位を導入しているMl3mp18ベクター誘導体とリゲートさせた。このリゲートしたDNAを、CaCl2法(Maniatis,chapter 1p82)によりコンピテントしたE.コリー菌株JM109へトランスフェクションした。平板培養し、このプレートをインキュベートした後、プラークを、あらかじめ単離したEcoRI-HpaIプロモータフラグメントのニックトトランスレーション法により生成した32P標識プローブを用いるBentonおよびDavies(Maniatis,chapter 4p41)の方法によりスクリーニングした。一本鎖DNAはポジティブのハイブリット形成プラークから、標準方法(Maniatis,chapter 4p29)により製造し、いくつかのサプライヤー、たとえばシークエナーゼ(United States Bioscience)によりキャットの形で提供されているように、M13万能プライマーおよびサンガーダイデオキシチェインターミネーター法(Sanger dideoxy chain termination method)を用いて配列決定させた。
【0103】
RF DNAは、プロモータ/リポソーム結合部位/アテニュエーターが確認された一つの単離物から製造された。このDNAは、EcoRIおよびClaIを用いて消化され、適当なフラグメントが、前記したようにポリアクリルアミドゲルから単離される。プラスミドpAT153は酵素EcoRIおよびAccIを用いて消化され、単離したプロモータフラグメントとリゲートされた。リゲートされたDNAは、コンピテントしたE.コリーHB101(Bethesda Research Laboratories)を形質転換するために用いられ、およびアンピシリン耐性コロニーが選択された。
【0104】
多数のクローンからなるプラスミドDNAが製造され、DNA配列はEcoRIおよびClaI部位の間の領域から誘導される。正確なプロモータ/アテニュエーター領域を含有すると確認されたクローンは、pICI 0020と命名した。
【0105】
この組み立て法は図1に略述した。
【0106】
5.b) pICI 0042
pICI 0042(図12)はプラスミドであり、その中で、pAT153の抗生物質耐性マーカーは、プラスミドRP4からの単一な誘導テトラサイクリン耐性遺伝子により置き換えられる(遺伝子tetAによりコード化され、tetR遺伝子の製造により調節される)。この遺伝子は、Klock et al(J.Bacteriol.161 p326-332,1985)により特徴が示された。プラスミド安定機能(cer)も組み込まれていた。これは、製造工程の全てのパートにおいて、β-ラクタム抗生物質にとっての必要物を除き、最終生成物においてこれについて分析させる。この新規の耐性マーカーは抗生物質の存在でのみ表現されるため、tetA遺伝子生物は、プラスミドをテトラサイクリンの不在で維持する培養中の組換えリシンAの潜在的汚染物ではない。
【0107】
このベクターの生成における最初の段階はpAT153の誘導体を製造することであり、これからテトラサイクリン耐性をコード化する遺伝子を完全に除去された。合成オリゴヌクレオチドの相補性ペアは、pAT153からのEcoRI-AvaIフラグメントを、その後のクローニングのための多様なユニーク制限エンドヌクレアーゼを含有する短い配列に置き換えるために設計された。
【0108】
pAT153プラスミドDNAは酵素EcoRIおよびAvaIにより消化され、2.175KbpプラスミドDNAフラグメントはGeneclean(Bio 101,California)を用いる0.7%アガロースゲルから、製造説明書に従って単離した。テトラサイクリン耐性遺伝子を含有する1.425Kbpフラグメントはこのようにして除去される。
【0109】
このオリゴヌクレオチド(exp79および80)を、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いてホスホリレート化され、等モル量を一緒にアニーリングさせた。アニーリングしたオリゴヌクレオチドのサンプルを、次いで、pAT153からのプラスミドフラグメントとリゲートした。リゲートしたDNAをE.コリーHB101(BRL)中へ形質転換させ、アンピシリン耐性コロニーを選択した。
【0110】
多様なコロニーを、小規模プラスミドDNA製造のために取り(Maniatis,chapter 1p25に明らかにされたようなBirnboimおよびDolyの方法)、所望の組み立てを、適当な酵素、たとえばEcoRI、AvaIおよびBamHIを用いて制限分析により確認した。正確な制限パターンを有するものとして確認された3つの単離物の構造は、pBR322EcoRI部位右回りプライマー(New England Biolabs)を用いるDNA配列分析により確認された。単離物をpICI 0019と命名した。
【0111】
RP4プラスミドDNAは、現存のストックから、HolmesおよびQuigley(Maniats,chapter 1p29)の方法により単離した。このDNAは、BglIIを用いて、次いで部分的にはXmaI(25℃で、35分まで)を用いて、多様な時点でサンプルを取りながら、tetRおよびtetAを含有する2.45Kbpフラグメントが明らかに確認されるまで完全に切断した。pUC8 DNAのサンプル(Amersham International)はBamHIおよびXmaIを用いて完全に消化させた。リゲーションはテトラサイクリン耐性遺伝子をpUC8へ挿入するために行なった。リゲートしたDNAは、CaCl2法(Maniatis,chapter 1p82)によりコンピテントしたE.コリーC600(Appleyard,R.K.Genetics 39 p440,1954)を形質転換するために用いられ、テトラサイクリン耐性コロニーを選択した。プラスミドDNAは8クローンから製造され(HolmesおよびQuigley)、RP4 tetRおよびA遺伝子の存在は、制限分析により確認された。これらの単離物の一つをpTB344と命名した。
【0112】
テトラサイクリン耐性遺伝子を、次に、pICI 0019からのEcoRI/PstIフラグメントをpTB344からの相応するフラグメントに置き換えることにより、pICI 0019(前記した)中に挿入した。これは、結果として、pICI 0019中のアンピシリン耐性遺伝子の大半がテトラサイクリン耐性遺伝子に置き換えられることになる。プラスミドDNAの消化およびリゲート、引き続きE.コリー C600の形質転換の後、コロニーを、表現形、つまりTcRおよびApSに基づき選択した。プラスミドDNAをこのような4つのクローンから製造し、酵素、たとえばBamHI/PstI/SstI、EcoRI/SalI、SmaI、StyI/SalIおよびAvaI/PstIの組み合わせを用いて消化させた。制限パターンを製造した全ての4つのクローンは所望の組み立てと一致している。これらの一つをpTB351と表わした。
【0113】
SummerおよびSherratt(Cell 36 p1097-1103,1984)は、ColEI(たとえばpAT153)から誘導されたプラスミドの不安定性が、親プラスミド中に存在する283bp配列、cerの損失を引き起こすことを明らかにした。この配列は、プラスミドオリゴマーの形成の妨害を補助し、後者は、いまだ不確定の方法で分配されるプラスミドを崩壊させると思われる。このcer配列(Summers,D.et al MGG 201,p334-338,1985)は、Prof.d.ScherrattによりpUC18(pKS492)中にクローンされたフラグメントの形で、念入りに製造された。pKS492プラスミドDNAは、BamHIおよびTaqIを用いて消化させ、289bpのcer含有フラグメントを放出させた。プラスミドpTB351DNA(dam-宿主E.コリー GM48から単離、Arraj,J.A.およびMarinus,M.G.J.Bact.153 p562-565,1983)を、BamHIおよびClaIで完全に消化させ、所望のpKS492DNAとリゲートさせた。コンピテントE.コリー C600のリゲートしたDNAを用いた形質転換の後、テトラサイクリン耐性コロニーを選択した。推定クローンから酵素、AvaI、MluIおよびPvuIを用いたプラスミドDNAの制限分析は、cerの存在の確認のために用いられた。正確な構造を有する単離物の一つをpICI0042と命名した。
【0114】
このようなプラスミドの組み立ては、図2および図3に概略した。
【0115】
5.c) pICI 1079
プラスミドベクターpICI 1079は、アンピシリン耐性のpAT153誘導プラスミドであり、これは、EcoRIおよびStyI制限部位の間に次の要素:
(i) ファージλからのCI857遺伝子
(ii) λPLプロモータ
(iii) 合成リボソーム結合部位
(iv) 合成インターフェロンα2遺伝子配列
(v) ファージT4からSalIおよびStyI制限部位の間に誘導された合成転写ターミネーター配列を含有する。この転写ターミネーターのDNA配列は図13に記載した。pICI 1079は図14に示した。
【0116】
pICI 1079は、ブタペスト条約に基づき寄託されている。この寄託はNCIMB,23 St Machaer Drive,Aberdeen,Scotlandで行なわれた。
【0117】
このプラスミドは、リシンA発現クローンpICI 1185(下記の7.d参照)の生成のためのT4転写ターミネーターの供給源を提供するために用いられた。このプラスミドの生成のための出発点は、pICI 1043である。pICI 1043はpICI 0020(前記の3.a参照)をベースとしたプラスミドであり、この中で、λPLプロモータおよびインターフェロンα2遺伝子を含有する発現カセット(Edge et al Nuc.Acids Res.11 p6419-6435,1983)はEcoRIおよびSalI部位の間に存在する。
【0118】
オリゴヌクレオチドの相補的ペアは、5′SalIおよび3′SphI付着末端を有するバクテリオファージT4の遺伝子32から転写ターミネーターの生成のために合成される。このフラグメントを、SalIおよびSphIで完全に消化したpICI 1043から単離したプラスミドフラグメントとリゲートした。このように製造した中間プラスミド(pICI 1078)は、T4ターミネーターおよびtrpアテニュエーター配列の両方を連結して含有する。
【0119】
相補的オリゴヌクレオチドの第2のペアは、次に、pICI 1078のSphIおよびStyI部位の間へ挿入することにより、trpアテニュエーター配列(およびテトラサイクリン耐性遺伝子の残りの部分)を置き換えるために使用した。ユニークBamHI部位は、この合成フラグメントの中で導入された。
【0120】
この操作を、図4に概略した。
【0121】
6. リシンA発現クローンの生成
6.a) pUC8RAプラスミドDNAの製造
リシンAに対するcDNAを含有するクローン(pUC8RA)を生成した。このクローンは、プラスミドpUC8(Vieria,J and Messing,J.Gene,19,p259,1982)中の公開されたcDNA配列(Lamb,I.F.,Roberts,L.M.,Lord,J.M.Eur.J.Biochem,1985,148,p265-279)に従って、リーダー配列中の塩基番号-74からB-鎖内(塩基番号857)でBamHI部位までA鎖cDNAを含有する。さらに、部位突然変異は、成熟リシンAの最終コマンドに対して3′付近の翻訳終止コマンドを生成するために用いられた(O’Hare,M et al FEBS Letters,1987,216,P73-78に報告)。全体のA鎖をコード化する領域はこのクローンからBamHIフラグメントに含まれる。
【0122】
小量のpUC8RAプラスミドDNAは、創作者から得られた。後の保持のために、このDNAの希釈液を、E.コリー DH5αコンピテント細胞(Bethesda Research Laboratories)の形質転換のために使用し、アンピシリン耐性形質転換体を選択した。このクローンからのプラスミドDNAは変更Birnboim-Doly法(Maniatis,chapter 1p25)により製造した。このDNAサンプルは、BamHIおよびBanIを用いて別々に消化し、アガロース上で電気泳動の後に、DNAのオリジナルサンプルの相応する消化物と比較した。制限パターンにおける差異は観察されず、これに基づき2つのDNAサンプルは同一と断定された。
【0123】
6.b) M13へのサブクローニング
pUC8RAプラスミドDNAのBamHI消化物およびファージM13菌株K19(Anglian Biotechnology)からのRF(複製型)DNAは、標準の条件(Maniatis,chapter 1p68)を用いて「ショットガン」リゲートした。対照リゲーションも実施される。これらのリゲートされたDNAは、CaCl2法(Maniatis,chapter 1p82)によりコンピテントにしたE.コリー菌株TGl(Gibson,1984/Anglian)を形質転換するために用いられた。
【0124】
有効リゲーションおよび組換えファージを表わす形質転換頻度は子孫に現われた。組換えファージは、lacZ(β-ガラクトシダーゼ)遺伝子の破壊のためIPTG+X-gel(BRL)含有プレート上に透明プラークを生じることが予想される。野生型ファージは、βガラクトシダーゼによるX-galの転換のため青色プラークを生じる。
【0125】
多数の透明プラークを一本鎖DNAの製造のために取った。溶菌したファージ懸濁液の直接ゲル電気泳動は、ファージクローンが、リシンA鎖コード化配列を配列決定により確認されたかなりの大きさの挿入物を含有することを示した。成熟リシンAコード化配列の182塩基だけが確認されたが、これは完全なリシンA遺伝子の存在についての十分な形跡として受け取られた。このクローンはM13K19RAと命名した。
【0126】
6.c) M13K19RAの突然変異誘発
成熟リシンAの開始部でpICI発現ベクターと一致するKpnI部位の生成のために、次の変化(アンダーラインで示した)が必要である:

を次のように変化させ:
【0127】
【化1】

【0128】
ATGコドンがオーバーラップするKpnI部位が生じる。KpnIフラグメントを含有するリシンAを、突然変異体から取り出し、一連のICI発現ベクター中に挿入することができる。2つのN末端アミノ酸修飾が行なわれた(ile-pheからmet-val)。
【0129】
M13K19RAから製造した一本鎖DNAは、それぞれの突然変異戦略のための突然変異誘発工程のための鋳型である。この戦略のための突然変異的な全ての変化を誘導する一本鎖オリゴヌクレオチド(DTR16)が合成された。
【0130】

多様な手引書が、部位突然変異による特異的DNA配列変化の導入のために存在する。以下に概略したこれらの手引書は、キットの形で提供されているような、Eckstein et al(Nuc.Acid Res.,1985,13 p8749-8764および1986,14,p9679-9698)の方法を用いて達成され、その製造手引書に従って使用した。
【0131】
この方法の原則は、一本鎖DNA鋳型に突然変異オリゴヌクレオチドを挿入し、dATPの代わりにdATPαSを組み込んだ相補的鎖を合成することである。このヌクレオチドの使用は、ホスホロチオエート結合の形成を生じさせ、この結合は特定の制限酵素(たとえばNciI)により分解されない。第2の鎖の合成の後に、NciIは親鎖の切開のために用いられ、エキソヌクレアーゼIIIは突然変異点を過ぎて後方を消化させるために添加した。DNAポリメラーゼIは親鎖を最合成させる。結果として、この突然変異オリゴヌクレオチドは最合成の鋳型として行動し、この突然変異は、形質転換する前に双方の鎖に導入される。全子孫の96%までの突然変異頻度が要求され、スクリーニングはDNA配列分析のためランダムでプラークをピッキングすることにより簡単に行なわれた。
【0132】
ここでの実験において、4つのプラークの中の4つが正確に突然変異を起こしていた。
【0133】
突然変異体(MRA16)が選択されてから、RF DNAが製造され、新たに生成された制限フラグメント、たとえばKpnIの存在について確認した。
【0134】
6.d) クローニング、発現および最初の特性表示
発現ベクター(セクション5参照)の一連のpICIは、Trpプロモータに隣接したユニークKpnI制限部位中に、クローンされたDNAフラグメントを受け入れることができる。KpnI部位は翻訳開始コドン(ATG)をオーバーラップし、これはこのプロモータのShine-Dalgarno部位(AGGA)から8bp下方に位置している。
【0135】
MRA16の配列の確認の後、大規模の(-5μg RF DNA)KpnI消化を行ない、関連するリシンAコード化DNAフラグメントを、製造手引書に従って、アガロースゲル(Nu-Sieve GTG アガロース、FMC Bio-生成物)から、切除したゲルスライスのフェノール抽出により単離した。
【0136】
pICI 0020(5a参照)は、KpnIで消化され、次に、子牛腸アルカリ性ホスファターゼ(CIP-Boehringer Mannheim)を用いて脱ホスホリレートした。後の処理は、リゲーションの際のベクターの再環化を防ぎ、これは形質転換子孫中の親の高い割合を導く。
【0137】
リゲーションは、多様な戦略のために、8:1(w/w)〜1:3のプラスミドベクター対単離したフラグメントの割合で始めた。ホスファターゼ処理、リガーゼ活性等の効果を試験するための対照リゲーションを包含した。このリゲーション条件は、使用したT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs or Amersham)の供給源にとって適当であった。反応物は一般に15℃で一晩中インキュベートした。
【0138】
それぞれのリゲーション(5μl)反応物の50%を100μlまで1×TNE(トリス50mM、NaCl50mM、EDTA1mM)で希釈し、コンピテントE.コリー DS410200μlを添加した。標準の形質転換手引書(Maniatis,chapter 1p74)に従って、細胞を、ストレプトマイシン(25μg/ml)およびアンピシリン(100μg/ml)を添加されたL寒天上にプレートし、37℃で一晩中インキュベートした。E.コリー DS410は染色体ストレプトマイシン耐性遺伝子を有している。
【0139】
形質転換プレートはインキュベートの後に試験された。一般に、5〜10倍以上のクローンが、リガーゼなしの対照と比較したリゲーションにおいて見られた。これらのいくつかの場合、リガーゼの存在又は不在で産生されるクローンの数においてわずかな差異が生じ、ベクターの不完全な消化または乏しいリガーゼ活性を示す。
【0140】
形質転換体、さらに関連する対照を、ハイブリダイゼーションスクリーニングのためのL寒天プレート上に置いたニトロセルロースフィルターに取った(Maniatis,chapter 1p98に記載されたように、GrunsteinおよびHognessの方法を基礎とする)。インキュベートの後、コロニーを10%SDSおよび1MNaOHを用いてその場で溶菌し、1Mトリス(pH7.5)を用いて中和し、真空中で80℃で3時間乾燥した。
【0141】
ハイブリダイゼーションプローブを、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いる突然変異オリゴヌクレオチドの32P標識により生成した。このフィルターは、室温で試験され、次いで55〜65℃までの範囲内で洗浄し、オートラジオグラフィーの前に、非特異的結合カウントを除去した。特異的ハイブリダイゼーションは推定のリシンADNA含有クローンを示す。
【0142】
小規模DNA製造(Maniatis,chapter 1p25に特徴付けられたように、HolmesおよびQuigleyまたはBirnboim-Dolyの方法による)はポジティブな雑種形成クローンから作られた。このDNAは、関連する制限酵素、たとえばKpnIおよびEcoRI/BglIIを用いて消化され、アガロースゲル上での電気泳動により分析した。ベクターDNAおよび突然変異RF DNAは、これらの酵素により切断され、正確なクローンについて予想されるフラグメントサイズが立証された。
【0143】
それぞれのクローンの大規模プラスミドDNA製造(Birnboim-Doly)は、より詳細な制限分析、たとえばClaI、HindIII、BamHI、EcoRI/BglII、KpnIおよびScaIのために使用された。アガロースゲル上で、これらの消化物は挿入されたフラグメントのサイズ、この配向の表示、およびいくつかのユニークリシンA-鎖酵素部位の獲得を示した。
【0144】
6.e) 発現調査
ハイブリダイゼーションおよび制限スクリーニングによりポジティブと同定されたこれらのクローンは、全細胞リゼイトのSDS-PAGE分析によりリシンAの発現について試験した。発現調査のための標準条件を次に示す:
1) L-ブイヨン+抗生物質10mlに単一コロニーを接種し、温和に振盪させながら一晩中37℃で生長させた。
【0145】
2) 一晩たったL-ブイヨン750μlを取り、マイクロフュージ(microfuge)中で、(6500rpmで1分)細胞をペレット化させた。
【0146】
3) ペレットをM9培養基(Maniatis,appendix A.3)300μl+0.02%のカゼイン水解物+0.2%グルコース+チアミン50μg/mlに再懸濁させ、同様のもの10mlへ接種した。
【0147】
4) 温和に振盪させながら7時間または一晩中37℃でインキュベートした。
【0148】
5) インキュベートの後、OD540を測定し、セルをペレット化させ、OD540=10per mlまで、Lermmli飼料衝撃液(Maniatis,chapter 18p53)中に再懸濁させた。15分間煮沸した。
【0149】
6) 全細胞リゼイト20μlをSDSポリアクリルアミドゲル上に移し、電気泳動し、クーマシーブルーで染色し、脱色し、可視化した。
【0150】
SDS-PAGEにより調査したクローンの中の一つだけは、-29KDの等しい分子量を有する付加的バンドを示した(非グリコシル化した、成熟リシンAに対して評価されたものと同じ)。ゲル走査は、全細胞タンパク質の5〜10%の細胞内まで発現レベルを示した。このクローンはpICI 1102と、命名した。
【0151】
pICI 1102の組み立ては図5に概略した、発現調査の結果は図6および図7に示した。
【0152】
6.f) 組換えリシンAのウェスタントランスファーおよび免疫検出
組換えリシンA-鎖タンパク質の確認は、まず、SDS-ポリアクリレートアミドゲルのクーマシーブルー染色により観察し、ウェスタンブロットにより確認された。タンパク質バンドはニトロセルロースフィルターに移され、リシンAに特異的な抗体、引き続きペルオキシダーゼにより標識付けしたアンチグロブリンを用いて検出した。
【0153】
15%SDS-PAGEゲルは、8mAで一晩中経過させ、少なくとも30分間トランスファー緩衝液中で平衡させた。
【0154】
次に、ゲル上のタンパク質バンドを、Bio-Rad Trans Blot装置中で70Vで電気泳動により、ニトロセルロース膜に移した。このフィルターは、乾燥した後、封止したプラスチックバック中で-20℃で貯蔵することができる。
【0155】
リシンA.1は、ウサギにおいて、リシンAの合成ペプチドフラグメントに対抗する多クローン性抗体である。予備の調査はリシンAについての良好な親和性を示すが、多数のE.コリータンパク質とのかなりの公差反応性を示す。この交差反応性により引き起こされる高いバックグラウンドを克服するため、抗体はE.コリーリゼイトで予備インキュベートした。
【0156】
このように、E.コリー菌株DS410のL-ブイヨン一晩培養液10mlを、4000rpmで10分間遠心分離し、細胞をペレット化させた。このペレットを細胞緩衝液5mlに再懸濁させ、氷上で30秒間隔で冷却しながら、4〜6μで6×10秒バーストで音波処理した。
【0157】
音波処理物0.5mlを、次に、リシンA.1抗血清0.5mlと混合し、室温で90分間インキュベートした。細胞の残骸は5分間13000rpmでスピンダウンし上澄みを-20℃で貯蔵した。
【0158】
ウェスタントランスファーからのニトロセルロースフィルターは、5%BSA-PBS/ツイーン中で室温での一晩のインキュベーションによりブロックした。(PBS ツイーン=PBS1リットルあたりツイーン20 5ml)。PBS/ツイーン中で3×3分間洗浄した。0.5%BSA-PBS/ツイーン中のブロックされたリシンA.1抗体の1/4000希釈液を用いて、室温で2時間(または一晩中)インキュベートした。PBS/ツイーン中で3×3分間洗浄した。0.5%BSA/PBS/ツイーン中のヤギ-抗-ウサギ抗血清の1/1000希釈液を用いて1時間インキュベートした。PBS/ツイーン中で3×3分間洗浄した。0.5%BSA-PBS/ツイーン中のウサギペルオキシダーゼ-抗-ペルオキシダーゼ抗血清のl/5000希釈液と共に、室温で1時間インキュベートした。PBS/ツイーン中で3×3分間洗浄した。PBSで120mlにし、過酸化水素12μlを含有するメタノール20ml中の4-クロロナフトール(60mg)の溶液中で浸漬することにより展開した。バンドが可視化するとすぐにこの膜を溶液から除去し、乾燥し、撮影した。
【0159】
典型的なウェスタンブロット分析を図8に示した。
【0160】
6.g) 組換えリシンAタンパク質の生物学的アッセイ
この目的は、E.コリー細胞からリシンA鎖精製の間に生成した試料を、無細胞試験管内タンパク質合成アッセイにおける生物学的活性についての試験を行なうことができる条件を確定することであった。
【0161】
ウサギの網状赤血球リゼイトを、AllenおよびSchweet(J Biol Chem(1962),237,760-767)の方法により製造した。このアッセイは、新規に合成されたタンパク質中へ14C標識ロイシンの組み込みの欠乏により、無細胞系におけるタンパク質合成の阻害を証明した。
【0162】
6.g i) アッセイ手引書
ストック溶液:1mMアミノ酸混合物-ロイシン。ロイシンを除く全てのL-アミノ酸を1mMで含有する溶液(NaOHでpH7.4に調節し、-70℃で貯蔵)。
【0163】
溶液A
酢酸マグネシウム 40mM
酢酸アンモニウム 2M
トリス(HClでpH7.4、4℃で貯蔵) 0.2M
溶液B
ATP(シグマ A5394) 246mg/ml
GTP(シグマ G8752) 24.4mg/ml
アッセイ混合物:アミノ酸混合物 1ml
溶液A 1ml
溶液B 0.1ml
クレアチンホスフェート 103mg
クレアチンキナーゼ 1mg
H2O 510μl
L-14C-ロイシン(New England Nuclear,NEC-279E)
600μl(60μCi)
反応混合物:テストサンプル 25μl
アッセイ混合物 12.5μl
ウザギ網状赤血球リゼイト 25μl
ブランク溶液はPBS中のBSA2mg/ml
全てのアッセイは2重で行なった。
【0164】
アッセイ混合物12.5μlを無菌ガラス管に置いた。ブランクのために最初の4つにPBS中のBSA 25μlを添加した。テストサンプル25μlを残りの試験管に添加した。0.1M KOH 1mlを最初の2つの試験管に添加した(バックグラウンドブランク)。これらの試験管を水浴中で28℃に平衡させた。ウサギ網状赤血球リゼイト(液体窒素温度から溶かした)25μlを、20秒間隔でそれぞれの試験管に添加した。最初の試験管を12分間インキュベートした際に、0.1M KOH 1mlを、再び20秒間隔でそれぞれの試験管に添加し、全ての試験管を12分間インキュベートさせた。20%の過酸化水素を2滴、それぞれの試験管に添加し、引き続き20%TCA1mlを添加した。試験管内容物を混合し、少なくとも1時間、または一晩中4℃で放置した。沈殿物を、2.5cmのGFCディスクで濾過し、5%TCA3×4mlで洗浄し、シンチレーションバイアルに移し、シンチラント(Ready-Solv.MP,Beckman)10mlを添加した。1時間後にこのバイアルを振盪し、計測した。
【0165】
6.g. ii) E.コリーリゼートを用いるための技術の確立
L-ブイヨン一晩培養液10mlを37℃で生長させた。アリコート400μlを13000rpmで30秒間ペレット化させ、上澄み液の大半をデカントした。
【0166】
このペレットに、ドライアイス/EtOH中での急速冷凍、引き続き37℃で解凍を2回行なった。トリスHCl pH8.0 50mM中の25%のスクロース12μlを添加し、引き続きリゾチームの10mg/ml溶液4μlを添加した。
【0167】
15分間氷上でインキュベートした後、0.25M EDTA 8μlを添加し、15分間インキュベートを続けた。サンプルを水で400μlに希釈することにより、浸透圧により溶菌を起こさせた。この方法は1mlあたり80〜100のバイアル細胞数を製造した。
【0168】
このリゼイトのアリコート25μlをアッセイ反応混合物に添加する場合、新たに合成されたタンパク質への14C-ロイシンの組み込みのレベルは、リゼートを除いてブランクの-10%であった。これは、リシンA8ng/mlにより製造されたものと同様の阻害のレベルであった。E.コリーリゼイトの希釈物を、次に製造し、このアッセイを繰り返した。この結果は、ブランクのものと等しくなるまで、最小の16-倍の希釈物がリゼイトの効果の減少のために必要であったことを明らかに示した。
【0169】
E.コリーの溶菌およびE.コリーリゼイトはリシンA毒性に影響を及ぼさないことを可能なかぎり確実にするため、2対照アッセイを行なった。最初は、植物由来のリシンAを、16倍希釈E.コリー細胞ペレットに添加し、細胞溶菌後のアッセイ混合物中の8ng/mlの最終濃度にした。双方のこの対照は、リシンAの阻害活性に関してリゼイトまたは溶菌手順からの有害な影響を示さなかった。
【0170】
これらの技術は、生化学的活性、pICI 1102からの組換えリシンAおよび次に記載するクローンの合成を確認するために用いた。
【0171】
6.h) DNA配列分析
プラスミドDNA配列決定は、pICI 1102の分析のために用いた。この選択した手引書は、Zagursky et al(Gene Analysis Techniques Vol 2,No.5)から修正され、プライマーのアニーリングの前の二本鎖プラスミドDNAのアルカリ性変性および多様な製造元からキッド形(たとえばシーケナーゼ(United States Bioscience)で提供されるような標準の手順による配列決定を包含する。β-ラクタマーゼの3′末端で取り付けるためのオリゴヌクレオチドおよび多数のA鎖中間プライマーを使用する際に、プロモータおよびリシンA遺伝子の双方の鎖の配列決定が可能であった。
【0172】
この最初に配列決定データは、付加的KpnIフラグメントがプロモータとリシンAをコード化する配列との間に存在するという意想外の結果を示した。すなわち:
【0173】
【化2】

【0174】
付加的KpnIフラグメントは、M13K19RAから得られ、制限酵素部位に加えてpUC8RAからクローンしたリシンリーダー配列を含む。リシンA鎖の5′領域は突然変異誘発の間に誘導される塩基変化を含む。
【0175】
この配列の調査は、最初の翻訳開始コドン(ATG)がシリンAをコード化する領域の枠外にあることを表わす。さらに、枠内の終止コドン(TAG)はリシンA開始コドンおよび第2のATGからの翻訳の再開始することができる推定Shine-Dalgarno配列(AGGA)の前にある。
【0176】
その後の調査は、意想外に、E.コリー中のリシンA鎖の蓄積レベルに関して、この付加的DNAフラグメントが、これを削除してあるものからのクローンと比較して明かな利点を与えたことを表わした。
【0177】
pICI 1102に含まれるリシンA遺伝子の完全DAN配列は図9に示した。
【0178】
7. 引き続くリシンA発現クローンの生成
7.a) サブクローニングさせるためのリシンAクローンpICI 1102の突然変異
リシンA発現について完全な方向で、偶発的に生成したpICI 1120からの2つのKpnIフラグメントをサブクローニングすることは困難である。従って、単一塩基置換(AからT)により、最初のKpnI認識部位を変更することを計画した。これは、この部位でのKpnI開裂を妨げ、単一のKpnIフラグメントのtrp/RBSベクターへの部位へサブクローニングさせる。KpnI認識部位(GGTACC)のアデニンを、チミン(たとえばGGTTCC)に置換する際に、リシンAの最初の残基は変更しない(GTA/GTT=Val)。たとえば:
【0179】
【化3】

【0180】
を次の用の変化させる:
【0181】
【化4】

【0182】
この変化を製造するために合成したオリゴヌクレオチドが、アンダーラインで示した塩基は突然変異的変化を表わす次の配列:

を有する。
【0183】
比較による発現調査のために、突然変異したリシンAフラグメントをtrp発現ベクターの部位へクローンすることを計画した。pICI 0020へのクローニングは、単一塩基置換が合った場合に、発現に関する効果を測定するために、pICI 1102との比較を提供する。
【0184】
7.b) 突然変異誘発
突然変異誘発のための鋳型はMRA16であり、これはpICI 1102中に存在する2つのKpnIフラグメントを含むM13クローンである。突然変異誘発の後に、所望の突然変異を有する単離体は、ランダムサンプリングおよび突然変異オリゴヌクレオチドが特異的に結合する部位にわたるDNA配列測定により確認された。
【0185】
突然変異した鋳型は、MRA22と命名された。これは、さらに、非特異的突然変異の不在の確認のために、完全なリシンAをコード化する配列のDNA配列測定により分析された。
【0186】
7.c) サブクローニング
突然変異した一本鎖DNAは、単一プラークを製造するコンピテントE.コリーTGI細胞に形質転換するために用いられた。次に、個々のプラークをピッキングし、複製型(RF、二本鎖)DNAを、塩化セシウム/エチジウムブロミド浮遊密度勾配でバンド形成させることにより精製した。精製したRFDNAはKpnIにより完全に消化された。クローニングは、適当なKpnI切断により消化したRF DNAと、ホスファターゼ処理した発現ベクターとのショットガンリゲーションにより、またはアガロースゲルからのその精製後のリシンAの特異的リゲーションにより行なわれた。リゲートしたDNAはE.コリーGlまたはHB101へ形質転換された。
【0187】
リシンAを含有するクローンは、他のリシンAを含有するクローン(pICI 1121)から単離したKpnIフラグメントのランダムヘキサヌクレオチドプライミングにより製造した32P標識リシンAプローブを用いるハイブリダイゼーションスクローニングにより同定された。ポジティブなハイブリダイゼーションを示すコロニーは、さらにKpnI単一消化およびEcoRI/BglII二重消化を用いるプラスミドDNAの制限分析によりスクリーニングした。KpnIは挿入されたフラグメントのサイズを同定し、EcoRI/BglIIはフラグメントの配向を測定する。
【0188】
発現のための完全な配向においてリシンAフラグメントを有しているとして確認されたクローンは、クローン選択成長およびSDS-PAGEによる分析、引き続きクーマシー染色および複製ゲルのウェスタンブロッテイングにかけられる。これらのクローン中のシリンA蓄積のレベルは、pICI 1102から検出したものと同様であった。
【0189】
単離物を選択し、pICI 1131と命名した。
【0190】
7.d) 択一的転写ターミネーター要素の使用
これら実験において、trpプロモータおよびリシンAフラグメントは、酵素EcoRIおよびSalIを用いた消化により切り取られる。後者の酵素は、リシンAをコードする配列の3′末端およびtrpA転写ターミネータとの間を開裂する。生じたフラグメントは、アガロースゲル(2%NuSieve GTGアガロース、FMC Bioproducts)から切り取られ、フェノールおよびクロロホルム抽出により、引き続きエタノール沈殿により精製した。この精製したフラグメントは、EcoRIおよびSalIにより切断されたpICI 1079とリゲートされた。後者のプラスミドはユニークSalIとSphI部位との間にT4ターミネータを有する。
【0191】
リゲートしたDNAは、コンピテントしたE.コリーHB101(BRL)を形質転換するために用いられ、ハイブリダイゼーションスクリーニングは、先の実験においてと同様に、リシンA DNAの存在を検出するために用いられた。ポジティブにハイブリッドしたクローンはプラスミドDNA製造のために、引き続いて適当なサイズのフラグメントの存在を確認すると共に、EcoRIおよびSalIを用いた制限分析のために制限される。
【0192】
完全な組み立てを有する単離物を同定し、pICI 1185と命名した。
【0193】
7.e) 択一的プラスミドバックグラウンドの使用
プラスミドDNAは、pICI 1185から製造され、trpプロモータ/RBS1/リシンA(MRA22)フラグメント/T4ターミネータを有する発現カセットを切り取ると共に、EcoRIおよびSphIを用いて消化した。このフラグメントは、6.dに概略した方法により単離され、EcoRIおよびSphIにより切断したpICI 0042とリゲートさせた。
【0194】
リゲートしたDNAは、E.コリーHB101を形質転換するために用いられた。HB101形質転換は、L寒天+テトラサイクリンにプレートし、37℃で一晩中インキュベートし、コロニーを32P標識リシンA DNAプローブを用いるハイブリダイゼーションによりスクリーニングした。
【0195】
両方の場合において、ポジティブに同定されたクローンは、EcoRI/SphIおよびEcoRI/BglII消化を用いるプラスミドDNAの制限分析により確認した。3つの単離物が同定され、この一つの(pICI 1187)は前記した形質転換において用いられた。図10にpICI 1187の組み立てを概略した。
【0196】
次のものは、本発明において参照された配列のリストである。この配列は、通常5′から3′の方向で記載されている。
【0197】


【図面の簡単な説明】
【図1】
pICI 0020の構成を説明する図;
【図2】
pTB344の構成を説明する図;
【図3】
pICI 0042の構成を説明する図;
【図4】
pICI 1079の構成を説明する図;
【図5】
pICI 1187の構成を説明する図;
【図6】
E.コリーリゼートのクマシーブルー染色SDSゲルを示す図、
【図7】
ピークRがリシンAを示しているpICI 1102のゲルプロフィルを示す図、
【図8】
pICI 1102により産生されたリシンAのウェスタンブロットを示す図、
【図9】
pICI 1102の部分配列を示す図、
【図10】
pICI 1102の構成を説明する図、
【図11】
プラスミドの製造で用いられるフラグメントを示す図、
【図12】
pICI 0042のプラスミド地図、
【図13】
転写ターミネーターの配列を示す図、
【図14】
pICI 1079のプラスミド地図、
【図15】
DS410に関するバイオマスに及ぼす流加培養の影響を示す図;
【図16】
DS410に関する全リシン蓄積に及ぼす流加培養の影響を示す図、
【図17】
DS410に関する可溶性フラクション中のリシンAの分配率に及ぼす流加培養の影響を示す図
【図18】
バイオマス濃度に及ぼすpHの影響を示す図
【図19】
全シリンA濃度に及ぼすpHの影響を示す図
【図20】
可溶性フラクション中の可溶性リシンA分配率に及ぼすpHの影響を示す図
【図21】
可溶性リシンAの収量に及ぼすpHの影響を示す図
【図22】
使用pHプロフィルを示す図
【図23】
可溶性リシンの収率(%)に及ぼす冷却の影響を示す図
【図24】
可溶性リシンの収量(mg/l)に及ぼす冷却の影響を示す図、
【図25】
発酵温度と時間の関係を示す図
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-02-02 
出願番号 特願平4-39857
審決分類 P 1 651・ 531- YA (C12P)
P 1 651・ 113- YA (C12P)
P 1 651・ 534- YA (C12P)
P 1 651・ 121- YA (C12P)
最終処分 維持  
前審関与審査官 冨永 みどり  
特許庁審判長 鵜飼 健
特許庁審判官 種村 慈樹
佐伯 裕子
登録日 2002-07-05 
登録番号 特許第3325597号(P3325597)
権利者 インペリアル・ケミカル・インダストリーズ・ピーエルシー
発明の名称 ポリペプチドの製法  
代理人 矢野 敏雄  
代理人 山崎 利臣  
代理人 矢野 敏雄  
代理人 山崎 利臣  

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