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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C08G 審判 全部申し立て 発明同一 C08G 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08G 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備 C08G |
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管理番号 | 1096226 |
異議申立番号 | 異議2003-72219 |
総通号数 | 54 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1993-02-23 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-09-04 |
確定日 | 2004-03-01 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3383670号「反応性オルガノポリシロキサン」の請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3383670号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 |
理由 |
(1)手続の経緯 本件特許3383670号の発明は、平成3年8月16日に出願され、平成14年12月20日にその特許の設定登録がなされ、その後、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社より特許異議の申立てがなされ、それに基づく取消理由通知がなされ、それに対して、特許異議意見書が提出されるとともに、その指定期間内である平成16年1月27日付けで訂正請求がなされたものである。 (2)訂正の適否についての判断 ア、訂正の内容 訂正事項a:特許請求の範囲の訂正 a-1、請求項1の 「【請求項1】 1分子中に、ケイ素原子に直接結合したa)次式: -R1-X(式中、R1は直接結合または炭素原子数1ないし20の二価炭化水素基を表し、Xは、グリシジルオキシ基、アミノエチルイミノ基[-NH(CH2)2NH2]、アミノ基、カルボキシル基、アシル基、メルカプト基、メタクリロキシ基、イソシアネート基、ウレイド基、ビニル基、アミド基、イミド基、イミノ基、アルデヒド基、ニトロ基、ニトリル基、オキシム基、アゾ基又はヒドラゾン基から選ばれる有機反応性を有する官能基を表す)で表される有機反応性官能基と、 b)次式: (式中、R2は炭素原子数2ないし5のアルキレン基を表し、R3およびR4は互いに独立して水素原子または炭素原子数1ないし5のアルキル基を表し、aは2または3の整数である)で表される縮合性シリルアルキル基とをそれぞれ少なくとも1個有する反応性オルガノポリシロキサン。」を、 「【請求項1】 1分子中に、ケイ素原子に直接結合したa)次式: -R1-X(式中、R1は、炭素原子数1ないし20のアルキレン基を表し、Xは、カルボキシル基またはメタクリロキシ基から選ばれる有機反応性を有する官能基を表す)で表される有機反応性官能基と、 b)次式: (式中、R2は炭素原子数2ないし5のアルキレン基を表し、R3およびR4は互いに独立して水素原子または炭素原子数1ないし5のアルキル基を表し、aは2または3の整数である)で表される縮合性シリルアルキル基とをそれぞれ少なくとも1個有する反応性オルガノポリシロキサン。」と訂正する。 a-2、請求項2の 「【請求項2】 次式: 〔式中、Rは互いに独立して水素原子、一価炭化水素基またはハロゲン化アルキル基を表し、 Yは次式: -R1-X(式中、R1は直接結合または炭素原子数1ないし20の二価炭化水素基を表し、Xは、グリシジルオキシ基、アミノエチルイミノ基[-NH(CH2)2NH2]、アミノ基、カルボキシル基、アシル基、メルカプト基、メタクリロキシ基、イソシアネート基、ウレイド基、ビニル基、アミド基、イミド基、イミノ基、アルデヒド基、ニトロ基、ニトリル基、オキシム基、アゾ基又はヒドラゾン基から選ばれる有機反応性を有する官能基を表す)で表される有機反応性官能基を表し、 Zは次式: (式中、R2は炭素原子数2ないし5のアルキレン基を表し、R3およびR4は互いに独立して水素原子または炭素原子数1ないし5のアルキル基を表し、aは2または3の整数である)で表される縮合性シリルアルキル基を表し、 Mは上記R、YおよびZから選択される基を表し、 pは0ないし500の整数であり、 qは0ないし200の整数であり、 rは0ないし200の整数であるが、ただしqが0の場合はMがYで、かつrは1以上の整数であり、 rが0の場合はMがZで、かつqは1以上の整数である〕 で表される反応性オルガノポリシロキサン。」を、 「【請求項2】 次式: 〔式中、Rは互いに独立して水素原子、一価炭化水素基またはハロゲン化アルキル基を表し、 Yは次式: -R1-X(式中、R1は、炭素原子数1ないし20のアルキレン基を表し、Xは、カルボキシル基またはメタクリロキシ基から選ばれる有機反応性を有する官能基を表す)で表される有機反応性官能基を表し、 Zは次式: (式中、R2は炭素原子数2ないし5のアルキレン基を表し、R3およびR4は互いに独立して水素原子または炭素原子数1ないし5のアルキル基を表し、aは2または3の整数である)で表される縮合性シリルアルキル基を表し、Mは上記R、YおよびZから選択される基を表し、 pは0ないし500の整数であり、 qは0ないし200の整数であり、 rは0ないし200の整数であるが、ただし qが0の場合はMがYで、かつrは1以上の整数であり、 rが0の場合はMがZで、かつqは1以上の整数である〕 で表される反応性オルガノポリシロキサン。」と訂正する。 訂正事項b:発明の詳細な説明の訂正 b-1、特許明細書の段落【0005】及び【0006】中の 「(式中、R1は直接結合または炭素原子数1ないし20の二価炭化水素基を表し、Xは、グリシジルオキシ基、アミノエチルイミノ基[-NH(CH2)2NH2]、アミノ基、カルボキシル基、アシル基、メルカプト基、メタクリロキシ基、イソシアネート基、ウレイド基、ビニル基、アミド基、イミド基、イミノ基、アルデヒド基、ニトロ基、ニトリル基、オキシム基、アゾ基又はヒドラゾン基から選ばれる有機反応性を有する官能基を表す)」を、 「(式中、R1は、炭素原子数1ないし20のアルキレン基を表し、Xは、カルボキシル基またはメタクリロキシ基から選ばれる有機反応性を有する官能基を表す)」と訂正する。 b-2、特許明細書の段落【0014】に記載の「実施例1」を、「実施例1(参考例)」と訂正する。 b-3、特許明細書の段落【0015】に記載の「実施例2」を、「実施例2(参考例)」と訂正する。 イ、訂正の適否 訂正事項aは、特許請求の範囲に関する訂正であり、訂正事項a-1及びa-2は、ともに、R1について、直接結合を削除し、二価炭化水素基をアルキレン基と限定し、さらに、Xについて、カルボキシル基またはメタクリロキシ基と限定するものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮するものと認められる。 上記訂正事項b(b-1〜b-3)は、発明の詳細な説明における訂正であり、特許請求の範囲の訂正である訂正事項aに伴い、特許請求の範囲との整合性をはかるための、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められ、上記訂正事項aと同様に、願書に添付した明細書の範囲内の訂正と認められる。 また、上記訂正事項a及びbは、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項で準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 (3)特許異議の申立てについての判断 ア、申立て理由の概要 特許異議申立人は、甲第1号証(特公昭59-5219号公報)、甲第2号証(特開平2-298549号公報)、甲第3号証(特公昭60-43870号公報)、甲第4号証(特開平4-31462号公報)、甲第5号証(特公昭62-37049号公報)、甲第6号証(特開平3-47841号公報)、甲第7号証(特開昭50-65596号公報)、甲第8号証(特開昭58-69244号公報)及び甲第9号証(伊藤邦雄編「シリコーンハンドブック」、日刊工業新聞社、1990年8月31日、第152,153,172〜175,391,392頁)を提出し、以下の理由1〜4により訂正前の請求項1〜7に係る発明の特許は、取り消されるべきものであると主張している。 (理由1)訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1〜3号証に記載された発明であり、また、訂正前の請求項2及び3に係る発明は甲第1及び3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当する発明である。 (理由2)訂正前の請求項1〜7に係る発明は、甲第1〜3及び5〜9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (理由3)訂正前の請求項1〜3に係る発明は、甲第4号証として出願公開された特願平2-136839号の願書に最初に添付した明細書に記載された発明であり、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。 (理由4)発明の詳細な説明には、当業者が容易に実施できる程度に、発明の目的、構成及び効果が記載されていないから、本件出願は特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。 イ、訂正明細書の請求項1〜7に係る発明 訂正明細書の請求項1〜7に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」〜「本件発明7」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 1分子中に、ケイ素原子に直接結合したa)次式: -R1-X(式中、R1は、炭素原子数1ないし20のアルキレン基を表し、Xは、カルボキシル基またはメタクリロキシ基から選ばれる有機反応性を有する官能基を表す)で表される有機反応性官能基と、 b)次式: (式中、R2は炭素原子数2ないし5のアルキレン基を表し、R3およびR4は互いに独立して水素原子または炭素原子数1ないし5のアルキル基を表し、aは2または3の整数である)で表される縮合性シリルアルキル基とをそれぞれ少なくとも1個有する反応性オルガノポリシロキサン。 【請求項2】 次式: 〔式中、Rは互いに独立して水素原子、一価炭化水素基またはハロゲン化アルキル基を表し、 Yは次式: -R1-X(式中、R1は、炭素原子数1ないし20のアルキレン基を表し、Xは、カルボキシル基またはメタクリロキシ基から選ばれる有機反応性を有する官能基を表す)で表される有機反応性官能基を表し、 Zは次式: (式中、R2は炭素原子数2ないし5のアルキレン基を表し、R3およびR4は互いに独立して水素原子または炭素原子数1ないし5のアルキル基を表し、aは2または3の整数である)で表される縮合性シリルアルキル基を表し、Mは上記R、YおよびZから選択される基を表し、 pは0ないし500の整数であり、 qは0ないし200の整数であり、 rは0ないし200の整数であるが、ただし qが0の場合はMがYで、かつrは1以上の整数であり、 rが0の場合はMがZで、かつqは1以上の整数である〕 で表される反応性オルガノポリシロキサン。 【請求項3】 Rが一価炭化水素基またはフロロアルキル基を表す請求項2記載の反応性オルガノポリシロキサン。 【請求項4】 素材間の接着性改質剤として用いられる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の反応性オルガノポリシロキサン。 【請求項5】 塗料改質剤として用いられる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の反応性オルガノポリシロキサン。 【請求項6】 繊維の表面改質剤として用いられる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の反応性オルガノポリシロキサン。 【請求項7】 有機材と無機材との間の接着性改質剤として用いられる請求項4記載の反応性オルガノポリシロキサン。」 ウ、引用刊行物等に記載された事項 当審が通知した取消理由に引用された引用刊行物等は、次のとおりである。 刊行物1:特公昭59-5219号公報 (特許異議申立人提出甲第1号証) 刊行物2:特開平2-298549号公報 (同甲第2号証) 刊行物3:特公昭60-43870号公報 (同甲第3号証) 刊行物4:特公昭62-37049号公報 (同甲第5号証) 刊行物5:特開平3-47841号公報 (同甲第6号証) 刊行物6:特開昭50-65596号公報 (同甲第7号証) 刊行物7:特開昭58-69244号公報 (同甲第8号証) 刊行物8:伊藤邦雄編「シリコーンハンドブック」、日刊工業新聞社、1990年8月31日、第152、153、172〜175、391、392頁 (同甲第9号証) 先願1:特願平2-136839号(特開平4-31462号公報参照) (同甲第4号証) a、刊行物1 「1.(A)一般式 ……… (D)(イ)ケイ素原子にR4を介して結合せるトリアルコキシシリル基を有するシロキサン単位を分子中に少なくとも1個 (たゞしR4はアルキレン基またはオキシジメチルシリルアルキレン基から選ばれた2価の基を示す)、 (ロ)ケイ素原子にR5を介して結合し、かつオキシラン酸素原子を有する1価の炭化水素基を有するシロキサン単位を分子中に少くとも1個(たゞしR5はエーテル型酸素を有し/または有しないアルキレン基を示す)、 (ハ)ケイ素原子に直結した水素原子を有するシロキサン単位を分子中に少くとも1個 をもつ、前記(A)成分と相溶性のあるオルガノポリシロキサン…… からなる、ゴム状に硬化しうるポリオルガノシロキサン組成物。」(特許請求の範囲請求項1) 「本発明は、……プライマーを使用することなく金属およびプラスチックなどの基材に対し強固に接着する自己接着性シリコーンゴム組成物に関するものである。」(第2頁第4欄26〜29行) b、刊行物2 「(1)〔(1)は、○の中に数字1が記載されているものである。以下同じ〕1分子中に……… (3)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも1個、ケイ素原子に直結した炭素原子を介してケイ素原子に結合したフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基を少なくとも1個、ケイ素原子に直結した炭素原子を介してケイ素原子に結合したエポキシ基及び/又はトリアルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物…… とから成ることを特徴とする接着性組成物。」(特許請求の範囲) c、刊行物3 「1(A)一般式(省略) (式中、R1は……、R2は少なくとも2個の炭素原子を介してケイ素原子に結合せるトリアルコキシシリル基を有する1価の置換炭化水素基、………、かつ、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少くとも2個有し、……であるオルガノポリシロキサン、 (B)一般式 ……… とから基本的になる硬化しうるオルガノポリシロキサン組成物。」(特許請求の範囲第1項) d、刊行物4 刊行物4には、「アルコキシシリル機能性シリコーン」についての発明が記載され、第3頁第5欄5〜8行に、「本発明は長期間にわたる通常使用下において、優れた減摩性及び柔軟性のような他の性質を種々の編織布に与え得る新規なアルコキシシリルアルキル機能性シリコーンを提供するものである。」と記載されている。 e、刊行物5 刊行物5には、「アルコキシシリルアルキル基含有オルガノポリシロキサン」についての発明が記載され、第1頁右下欄9〜15行に、「本発明は、新規なアルコキシシリルアルキル基含有オルガノポリシロキサンに関し、特にはコンクリート、モルタル、スレート、軽量気泡コンクリート等の水硬性無機物に添加して、耐候性、耐久性のある優れた撥水性を付与しうる新規なアルコキシシリルアルキル基含有オルガノポリシロキサンに関するものである。」と記載されている。 f、刊行物6 刊行物6には、「エポキシ基を含有するオルガノポリシロキサンの製造方法」についての発明が記載され、第1頁右下欄4〜11行に、「この発明は、エポキシ基を含有するオルガノポリシロキサンの有利な製造方法に関するものであり、さらに詳しくは白金触媒の存在下で、脂肪族二重結合を有するエポキシ化合物と比較的低分子量のオルガノハイドロジエンポリシロキサンとを付加反応させて目的のエポキシ基を含有するオルガノポリシロキサンを安定に収率よく製造する方法を提供するものである。」と記載されている。 g、刊行物7 「(A)エポキシ樹脂、および (B)式R1aR2bSiO4-a-b/2(式中、R1はR2を除く置換もしくは非置換の1価炭化水素基、R2はエポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基またはカルボン酸エステル基を含有する1価炭化水素基、……)で表わされるオルガノシロキサン単位を1分子中に少なくとも1個有し、25℃における粘度が1〜500,000センチストークスのオルガノポリシロキサン (A)成分の0.01〜10重量% を主剤とする成形用エポキシ樹脂組成物。」(特許請求の範囲) h、刊行物8 「シリコーンオイルは、表面張力が小さく、独特の界面特性をもっているため、塗料やインキに微量添加すると、塗料の表面張力を下げ塗布時の塗料の伸展性を改良でき、またゆず肌防止など塗膜の表面均一性を向上させる効果がある。」(第153頁7〜11行) 「エポキシ変性シリコーンオイルは、エポキシ基の反応性を生かしてプラスチック添加剤、繊維油剤、樹脂改質用オイルあるいは艶出し剤などの用途が挙げられる。」(第174頁17〜19行) 「(7)付加型シリコーンゴムは硬化触媒として白金化合物を用いており、この白金化合物がある種の化合物と比較的強い相互作用をもち、ヒドロシリル化の能力を失い、硬化不良をおこすという欠点を有している。この被毒物質としては、N、P、S等を含む有機化合物、……などがあり、具体例としては……等があげられる。」(第391頁下から7行〜第392頁、表の下、2行) h、先願1 「1(A)平均組成式RaSiO(4-a)/2(式中、Rは置換または非置換の1価炭化水素基、aは1.0〜2.3の数である)で示され、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、 (B)1分子中に、炭素原子を介してケイ素原子に結合したトリアルコキシシリル基1個以上とエポキシ基含有有機基1個以上とケイ素原子結合水素原子3個以上とを含有し、主鎖中のケイ素原子数が5個以上であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン および (C)ヒドロシリル化反応用触媒 よりなる、硬化性オルガノポリシロキサン組成物。」(特許請求の範囲請求項1) エ、対比・判断 a、特許法第29条第1項及び第2項違反について 本件発明1と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、1分子中に、ケイ素原子に直接結合した有機反応性官能基と、特定式で表される縮合性シリルアルキル基とをそれぞれ少なくとも1個有する反応性オルガノポリシロキサンである点で一致し、本件発明1では、有機反応性官能基としてカルボキシル基またはメタクリロキシ基から選ばれるとするのに対し、刊行物1ではオキシラン酸素原子を有する1価の炭化水素基としている点で相違するものと認められる。 上記相違点について検討する。 刊行物2では、有機反応性官能基としてエポキシ基、また、刊行物3では、同じくビニル基がそれぞれ記載されているが、本件発明1で特定するカルボキシル基、メタクリロキシ基についての記載はなく、示唆も認められない。 また、刊行物4〜8には、本件発明1で特定する縮合性シリルアルキル基、あるいは、同じく本件発明1で特定する有機反応性官能基のどちらかを有するオルガノポリシロキサンが記載されているものの、本件発明1のように、縮合性シリルアルキル基及び有機反応性官能基の両方の基を併せ持つことの記載は認められないし、示唆も認められない。 本件発明1は、カルボキシル基またはメタクリロキシ基という有機反応性官能基と、縮合性シリルアルキル基を併せ持つことにより、素材間の接着性改質剤、塗料用改質剤、繊維の表面改質剤等として使用した場合に、優れた耐候性、耐熱性及び耐久性を有するという明細書記載の作用効果を奏するものと認められる。 よって、本件発明1は、刊行物1〜3に記載された発明でもなく、また、刊行物1〜8に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。 本件発明2は、本件発明1における反応性オルガノポリシロキサンとして、特定式で示されるオルガノポリシロキサンとするものであり、本件発明1と同様の理由により、刊行物1及び3に記載された発明でもなく、また、刊行物1〜8に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。 本件発明3は、本件発明2を引用し、オルガノポリシロキサンをさらに限定するものであるから、本件発明2と同様の理由により、刊行物1及び3に記載された発明でもなく、また、刊行物1〜8に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。 本件発明4〜6は、本件発明1〜3を引用し、それぞれ素材間の接着改質剤、塗料改質剤及び繊維の表面改質剤として用いられるとするものであるから、本件発明1〜3と同様に、刊行物1〜8に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 本件発明7は、本件発明4を引用し、さらに、有機材と無機材との間の接着性改質剤として用いられるとするものであるから、本件発明4と同様の理由により、刊行物1〜8に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 b、特許法第29条の2違反について 先願1に記載の発明には、1分子中に、ケイ素原子に直接結合した有機反応性官能基としてエポキシ基含有有機基、特定式で表される縮合性シリルアルキル基とをそれぞれ少なくとも1個有する反応性オルガノポリシロキサンが記載されているものの、本件発明1で特定する有機反応性官能基としてカルボキシル基またはメタクリロキシ基から選ばれる基とすることの記載はなく、本件発明1と同一とすることはできない。また、本件発明1と同様の理由により、本件発明2及び3と同一とすることもできない。 c、特許法第36条第4項違反について 本件発明1〜7について、上記訂正により、R1及びXについて、特許異議申立人の主張する実施可能要件を満たさないとするものについてはすべて削除されており、特許法第36条第4項違反は解消されたものと認める。 (4)むすび 以上のとおりであるから、本件各特許異議申立人の提出した証拠方法によっては、本件特許を取り消すことができない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 反応性オルガノポリシロキサン (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 1分子中に、ケイ素原子に直接結合した a)次式: -R1-X (式中、R1は、炭素原子数1ないし20のアルキレン基を表し、Xは、カルボキシル基またはメタクリロキシ基から選ばれる有機反応性を有する官能基を表す)で表される有機反応性官能基と、 b)次式: (式中、R2は炭素原子数2ないし5のアルキレン基を表し、R3およびR4は互いに独立して水素原子または炭素原子数1ないし5のアルキル基を表し、aは2または3の整数である)で表される縮合性シリルアルキル基 とをそれぞれ少なくとも1個有する反応性オルガノポリシロキサン。 【請求項2】 次式: 〔式中、Rは互いに独立して水素原子、一価炭化水素基またはハロゲン化アルキル基を表し、 Yは次式: -R1-X (式中、R1は、炭素原子数1ないし20のアルキレン基を表し、Xは、カルボキシル基またはメタクリロキシ基から選ばれる有機反応性を有する官能基を表す)で表される有機反応性官能基を表し、 Zは次式: (式中、R2は炭素原子数2ないし5のアルキレン基を表し、R3およびR4は互いに独立して水素原子または炭素原子数1ないし5のアルキル基を表し、aは2または3の整数である)で表される縮合性シリルアルキル基を表し、 Mは上記R、YおよびZから選択される基を表し、 pは0ないし500の整数であり、 qは0ないし200の整数であり、 rは0ないし200の整数であるが、ただし qが0の場合はMがYで、かつrは1以上の整数であり、 rが0の場合はMがZで、かつqは1以上の整数である〕 で表される反応性オルガノポリシロキサン。 【請求項3】 Rが一価炭化水素基またはフロロアルキル基を表す請求項2記載の反応性オルガノポリシロキサン。 【請求項4】 素材間の接着性改質剤として用いられる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の反応性オルガノポリシロキサン。 【請求項5】 塗料改質剤として用いられる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の反応性オルガノポリシロキサン。 【請求項6】 繊維の表面改質剤として用いられる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の反応性オルガノポリシロキサン。 【請求項7】 有機材と無機材との間の接着性改質剤として用いられる請求項4記載の反応性オルガノポリシロキサン。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は反応性オルガノポリシロキサンに関し、より詳しくは、素材間の接着性改質剤、塗料改質剤、繊維の表面改質剤等として有用であり、優れた耐候性、耐熱性および耐久性を示す新規な反応性オルガノポリシロキサンに関する。 【0002】 【従来の技術】 1分子中にアルコキシシリル基と有機反応性官能基とを有するオルガノポリシロキサンは英国特許第1409741号に開示されている。しかしながら、このオルガノポリシロキサンを2つの素材間(特に有機材と無機フィラー等の無機材間)の接着性改質剤、塗料改質剤、繊維の表面改質剤等として使用する場合、基材との反応性に劣る等の欠点があった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は上記した欠点を解決するためになされたものであり、素材間(特に有機材と無機フィラー等の無機材間)の接着性改質剤、塗料改質剤、繊維の表面改質剤等として使用した場合に、優れた耐候性、耐熱性および耐久性を示す新規な反応性オルガノポリシロキサンを提供することを課題とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本発明者等は鋭意研究の結果、1分子中に、ケイ素原子に直接結合した、有機反応性官能基と縮合性シリルアルキル基をそれぞれ少なくとも1個有する反応性オルガノポリシロキサンにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。 【0005】 すなわち、本発明は、1分子中に、ケイ素原子に直接結合した a)次式: -R1-X (式中、R1は、炭素原子数1ないし20のアルキレン基を表し、Xは、カルボキシル基またはメタクリロキシ基から選ばれる有機反応性を有する官能基を表す)で表される有機反応性官能基(Y基)と、 b)次式: (式中、R2は炭素原子数2ないし5のアルキレン基を表し、R3およびR4は互いに独立して水素原子または炭素原子数1ないし5のアルキル基を表し、aは2または3の整数である)で表される縮合性シリルアルキル基(Z基) とをそれぞれ少なくとも1個有する反応性オルガノポリシロキサンに関する。 【0006】 本発明は特に次式: 〔式中、Rは互いに独立して水素原子、一価炭化水素基またはハロゲン化アルキル基を表し、 Yは次式: -R1-X (式中、R1は、炭素原子数1ないし20のアルキレン基を表し、Xは、カルボキシル基またはメタクリロキシ基から選ばれる有機反応性を有する官能基を表す)で表される有機反応性官能基を表し、 Zは次式: (式中、R2は炭素原子数2ないし5のアルキレン基を表し、R3およびR4は互いに独立して水素原子または炭素原子数1ないし5のアルキル基を表し、aは2または3の整数である)で表される縮合性シリルアルキル基を表し、 Mは上記R、YおよびZから選択される基を表し、 pは0ないし500の整数であり、 qは0ないし200の整数であり、 rは0ないし200の整数であるが、ただし qが0の場合はMがYで、かつrは1以上の整数であり、 rが0の場合はMがZで、かつqは1以上の整数である〕 で表される反応性オルガノポリシロキサンに関する。 【0007】 上記式中、Rは互いに独立して水素原子、一価炭化水素基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、フェニル基、フェネチル基等またはハロゲン化アルキル基、例えばトリフロロプロピル基、クロロプロピル基であるが、特に一価炭化水素基、とりわけメチル基、およびフロロアルキル基が好ましい。 【0008】 上記Y基の中のR1は直接結合または炭素原子数1ないし20のニ価炭化水素基、例えば-CH2-,-CH2CH2-,-CH2CH2CH2-,-CH(CH3)CH2-,-(CH2)4-,-(CH2)6-,-(CH2)8-,-CH2CH2C6H4-,-(CH2)12-,-(CH2)16-であり、好ましくはプロピレン基である。また、Y基のXは有機反応性を有する官能基、例えばグリシジルオキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、アシル基、メルカプト基、メタクリロキシ基、イソシアネート基、ウレイド基、ビニル基、アミド基、イミド基、イミノ基、アルデヒド基、ニトロ基、ニトリル基、オキシム基、アゾ基、ヒドラゾン基である。Y基の具体例としては、-(CH2)3OH,-(CH2)3SH,-(CH2)3NH2,-(CH2)7COOH, 等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。 【0009】 上記Z基の中のR2は炭素原子数2ないし5のアルキレン基、例えば-CH2CH2-,-CH2CH2CH2-,-CH(CH3)CH2-,-(CH2)4-,-(CH2)5-等であり、好ましくはエチレン基である。R3およびR4は互いに独立して水素原子または炭素原子数1ないし5のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であり、好ましくはR3はメチル基、R4はメチル基またはエチル基である。aは2または3の整数であるが、反応性の点から3が好ましい。Z基の具体例としては、-CH2CH2Si(OCH3)3,-CH2CH2Si(OC2H5)3,-CH2CH2Si(CH3)(OCH3)2,-CH2CH2Si〔OCH(CH3)2〕3,-(CH2)3Si(CH3)(OC2H5)2,-(CH2)5Si(C2H5)(OC2H5)2等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。 【0010】 本発明の反応性オルガノポリシロキサンの具体例としては、以下のものを挙げることができるが、もちろんこれらに限定されるものではない: 【0011】 本発明の反応性オルガノポリシロキサンはそれ自体公知である従来の合成方法の組合せにより製造することができる。例えば、上記式(1)で表される化合物の場合、対応するメチルハイドロジェンポリシロキサンに とCH2=CHSi(OCH3)3とを白金系触媒の存在下で付加反応させることによって得られる。同様に、上記式(2)で表される化合物の場合、対応するメチルハイドロジェンポリシロキサンに とCH2=CHSi(OC2H5)3とを白金系触媒の存在下で付加反応させることによって得られる。さらに、上記式(3)で表される化合物の場合、対応するメチルハイドロジェンポリシロキサンにCH2=CHCH2OHとCH2=CHSi(OCH3)3とを白金系触媒の存在下で付加反応させることによって得られる。また、上記式(4)で表される化合物の場合、対応するメチルハイドロジェンポリシロキサンにCH2=CHCH2ClとCH2=CHSi(OCH3)3とを白金系触媒の存在下で付加反応させ、次に得られた生成物をエチレンジアミンと反応させることによって得られる。 【0012】 本発明の反応性オルガノポリシロキサンは、例えば2つの素材間(特に有機材と無機フィラー等の無機材間)の接着性の改質剤として利用することができ、天然ゴムやスチレン-ブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴム、イソブチレン-イソプレン共重合ゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム、イソプレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム、エチレン-プロピレン共重合ゴム等の合成ゴムや、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリスチレン等の合成樹脂相互の、またはこれらと他のゴムや樹脂との接着に際して使用されるゴム系接着剤またはウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤等に配合したり、このオルガノポリシロキサンを接着剤の主成分とすることもできる。また、ゴムや樹脂の混合における組成物間の界面の接着剤として有効である。さらに、本発明のオルガノポリシロキサンは、上記ゴムや樹脂等の有機材と金属やシリカ、石英、タルク、クレー、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、雲母、カーボンブラック等の無機フィラーやガラス等の無機材との接着に際しても優れた接着強度を示し、耐候性および耐熱性の高い強化プラスチックや高強度エラストマー等が得られる。また、塗料改質剤としてポリエステル樹脂やアクリル樹脂等からなる塗料用樹脂に配合され、金属、木材、コンクリートなどへの耐候性、耐久性および耐熱性に優れた塗装を可能とする。さらに、繊維の表面改質剤としては、その素材として羊毛、絹、麻、木綿、アスベスト等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、アセテート等の再生繊維、ポリエステル、ポリエステルエーテル、ポリアクリロニトリル、ビニロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の有機合成繊維、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機合成繊維等のいかなる繊維であってもよく、また織物、編物、不織布、樹脂加工布等のいかなる形態のものであってもその繊維の表面を処理することができ、該繊維に耐候性や耐久性等を付与する。従って、本発明は、素材間の接着性改質剤、塗料改質剤および繊維の表面改質剤としての上記の本発明に係る反応性オルガノポリシロキサンの使用に関し、中でも、本発明のオルガノポリシロキサンは、有機材と無機材との間の接着性改質剤として好適に使用される。 【0013】 【実施例】 次に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 【0014】 実施例1(参考例) 機械的攪拌機、凝縮器、温度計および窒素送入口を備えた500mlの3つ口フラスコ中に、ビニルトリメトキシシラン35g、γ-グリシドキシ-1-プロペン80g、トルエン100g、白金含量が20ppmとなるように塩化白金酸の10%エタノール溶液を入れた。この混合物に、温度を80〜100℃に維持するような速度で、次式: で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン100gを徐々に添加し、この温度を維持しながら攪拌を続け、反応を進行させた。この反応の終了はSiHに対するAgNO3試験が負になることで判定した。次に反応混合物をNaHCO3で中和後ろ過し、ロータリーエバポレーターにより50℃/1mmHgで溶媒を除去すると、次式: で表されるオルガノポリシロキサン204gが得られた。 【0015】 実施例2(参考例) トルエン100g、ビニルトリメトキシシラン9.3g、γ-グリシドキシ-1-プロペン5.7g、次式: で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン200g、および白金含量20ppmとなるような塩化白金酸の10%エタノール溶液を用いて、実施例1と同様の操作を行うと次式: で表されるオルガノポリシロキサン202gが得られた。 【0016】 実施例3(参考例) トルエン50g、ビニルトリメトキシシラン120g、次式:CH2=CHCH2OHで表されるアリルアルコール23g、次式: で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン100g、および白金含量20ppmとなるような塩化白金酸の10%エタノール溶液を用いて、実施例1と同様の操作を行うと次式: で表されるオルガノポリシロキサン218gが得られた。 【0017】 実施例4 トルエン50g、ビニルトリエトキシシラン60g、アリルメタクリレート120g、次式: で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン100gおよび白金含量20ppmとなるような塩化白金酸の10%エタノール溶液を用いて、実施例1と同様の操作を行うと次式: で表されるオルガノポリシロキサン250gが得られた。 【0018】 実施例1〜4で合成した式(A)〜(D)で表される本発明のオルガノポリシロキサンと比較のための対照として下式(E)および(F)で表されるオルガノポリシロキサンを用いて以下の試験を行った。 【0019】 試験例1 ベークライト(BAKELITE)ポリエチレンDYNH1.0kg、石英粉末1.0kg、上記試験化合物のいずれか10gおよびダイカップ(Dicup,HERCULES社製)30gを2本ロールを用いて121℃で混合した。次に177℃で20分間圧縮成形し、成形物の引張強度を測定した。結果を下に示すが、本発明のオルガノポリシロキサンを用いたものはブランクや対照に比べ非常に高い引張強度を示した。 【0020】 試験例2 ベークライトエポキシ樹脂ERL-2774 500g、メチルナジック酸無水物(硬化剤)400g、ベンジルジメチルアミン(触媒)2.5g、試験化合物10gおよびウオラストナイト(ケイ酸カルシウム)500gを混合した。次いで、室温で16時間硬化させ、さらに177℃で2時間硬化させ、硬化直後と72時間煮沸後の曲げ強度を測定した。結果を下に示すが、本発明によるものは、硬化直後および72時間煮沸後の両方においてブランクや対照に比べ高い曲げ強度を示し、特に72時間煮沸後でも曲げ強度の低下率が低かった。 【0021】 【発明の効果】 本発明の反応性オルガノポリシロキサンは、そのケイ素原子に直接結合した、有機反応性官能基(Y基)と縮合性シリルアルキル基(Z基)をそれぞれ少なくとも1個有し、十分な反応性を示す。従って、本発明の反応性オルガノポリシロキサンを素材間(特に有機材と無機フィラー等の無機材間)の接着性の改質剤、塗料改質剤、繊維の表面改質剤等として使用した場合、基材との反応性に富み、優れた耐候性、耐熱性および耐久性をそれら基材に付与する。また、本発明の反応性オルガノポリシロキサンはその合成原料の多様性から、改質すべき各基材や各用途にあわせた多様な分子設計が可能で、設計どおりの特性を容易に付与できるものである。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-02-16 |
出願番号 | 特願平3-229655 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(C08G)
P 1 651・ 161- YA (C08G) P 1 651・ 531- YA (C08G) P 1 651・ 113- YA (C08G) |
最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
井出 隆一 |
特許庁審判官 |
佐野 整博 佐藤 健史 |
登録日 | 2002-12-20 |
登録番号 | 特許第3383670号(P3383670) |
権利者 | 日本ユニカー株式会社 |
発明の名称 | 反応性オルガノポリシロキサン |
代理人 | 河備 健二 |
代理人 | 久保田 芳譽 |
代理人 | 河備 健二 |