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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B01D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B01D
管理番号 1096380
異議申立番号 異議2003-72910  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-03-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-21 
確定日 2004-04-19 
異議申立件数
事件の表示 特許第3426298号「シリコーン系エマルジョン型消泡剤および消泡方法」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3426298号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 1.本件発明
本件請求項1〜4に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された次に示すとおりのものである(以下、必要に応じて「本件発明1〜4」という)。
「【請求項1】ポリオルガノシロキサンを主成分とするシリコーン系消泡性組成物の100重量部と、シリコーンオイルのシロキサンにおけるケイ素原子とポリオキシアルキレン基における炭素原子とがケイ素-炭素結合することによってポリオキシアルキレン基が結合しているポリオキシアルキレン変性シリコーンオイルの3〜300重量部とよりなる主剤が、相溶することなく水にエマルジョン化されてなり、該主剤の含有割合が20重量%以上70重量%以下であるシリコーン系エマルジョンであって、該シリコーン系エマルジョンは、液温が25℃以上の発泡性液体に添加されることにより、そのエマルジョン粒子の粒径が変化し、その変化の割合が下記の式(i)に示す条件を満足するものであることを特徴とするシリコーン系エマルジョン型消泡剤。
式(i) (b/a)≧2
(但し、aは発泡性液体への添加前におけるエマルジョン粒子の粒径を表し、bは発泡性液体への添加直後におけるエマルジョン粒子の粒径を表す。)
【請求項2】発泡性液体が、セルロース系化合物およびリグニン系化合物から選ばれる少なくとも1種を含有するものである、請求項1に記載のシリコーン系エマルジョン型消泡剤。
【請求項3】請求項1に記載のシリコーン系エマルジョンよりなるシリコーン系エマルジョン型消泡剤を、液温が25℃以上の発泡性液体に直接添加することを特徴とする消泡方法。
【請求項4】発泡性液体が、セルロース系化合物およびリグニン系化合物から選ばれる少なくとも1種を含有するものである、請求項3に記載の消泡方法。」
2.特許異議申立てについて
2-1.特許異議の申立ての理由の概要
特許異議申立人信越化学工業株式会社は、証拠方法として甲第1〜7号証を提出して、請求項1に係る発明は甲第1号証に記載された発明であるか、甲第1〜5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また請求項2〜4に係る発明は甲第1〜7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る発明の特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、請求項1〜4に係る発明は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり取り消されるべきものであると主張している。
2-2.甲各号証の記載内容
(1)甲第1号証:特開昭51-21589号公報
(a)「ポリジオルガノシロキサンオイルとシロキサン-オキシアルキレンブロック共重合体を有効成分として含有するシリコーン離型剤組成物。」(特許請求の範囲第1項)
(b)「また他の成分であるシロキサン-オキシアルキレンブロツクの共重合体は、発泡ポリウレタン製造時の整泡剤として知られており、その分子中に少なくとも1個のシロキサンブロックとオキシアルキレンブロックを有するものであれば線状、分岐状および環状構造のいずれであってもよく、」(第2頁左上欄第10〜16行)
(c)「上記離型剤組成物は、ポリジオルガノシロキサンオイル100部に2〜1900部好ましくは6〜600部のシロキサン-オキシアルキレンブロック共重合体を加えて攪拌、混合することによって得られる。」(第2頁右上欄第8〜12行)
(d)「さらに、前記攪拌混合物は一般にエマルジョンの製造に使用されているコロイドミルその他の乳化装置を通すことによってO/O型エマルジョンを生成し、攪拌しながらこれに水を徐々に加えO/W型エマルジョンにしてもよく、さらにその安定性を増すため乳化時上記O/W型エマルジョンに慣用の乳化剤たとえばアルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどを添加してもよい。」(第2頁右上欄第14行〜左下欄第3行)
(e)「上述したような構成のシリコーン離型剤すなわち、シロキサン-オキシアルキレンブロック共重合体を用いたエマルジョンは、汎用のエマルジョンよりも乳化が容易であり、スターラなどによる攪拌のみで安定なエマルジョンとなる。さらに汎用のエマルジョンの製法によって分散したポリシロキサンの粒子径を0.1μ以下にすることができ、安定な半透明のエマルジョンを容易に得ることができる。このようにエマルジョン粒子がきわめて細かいので、エマルジョンを希釈して非常に薄い均一な離型被膜を形成させることができ、エマルジョンの希釈倍率を大巾に増すことができることにより、ごく少量の塗布によって金型に離型性を付与することができ、経済的にも甚だ有利である。」(第2頁左下欄第18行〜右下欄第12行)
(f)「実施例2
シロキサン-オキシアルキレンブロック共重合体25部
CH3 CH3 CH3 CH3
| | | |
CH3-Si-O-(Si-O)7-(Si-O)3-Si-CH3
| | | |
CH3 CH3 (CH2)3 CH3

(OC2H4)10-OH

ポリジメチルシロキサン(粘度25℃、1,000CS)6部
ソジウムアルキルアリールポリエーテルサルフエート 0.5部
上記組成の配合物をよく混合して間隙7/1000インチにセットしたコロイドミルを通し、次いで攪拌しながら水69.5部を加えて半透明のエマルジョンを得た。」(第3頁左上欄下から第2行〜右上欄第6行、ただし式は第5頁右上欄の補正された式を採用した)
(2)甲第2号証:特公昭54-43015号公報
(a)「(イ)25℃で10〜100000CSの粘度を有するジメチルポリシロキサン100重量部
(ロ)一般式(1)・・・略・・・で表わされ、かつkとl×mとの比、k/l×mが0.02以上0.7未満であるメチルポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体4〜2500重量部と
(ハ)上記した一般式(1)で表わされ、かつkとl×mの比、k/l×mが0.7以上40未満であるメチルポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体20〜4800重量部
(ニ)微粉状シリカ成分(イ)、(ロ)、(ハ)の合計量の0〜20重量%からなる自己乳化性シリコーン組成物。」(特許請求の範囲第1項)
(b)「従来、ジメチルポリシロキサンはそれ単独で離型剤、消泡剤、繊維処理剤、つや出し剤などとして使用されるのは稀であり、水に溶解しないためキシレン、トルエン、パークロルエチレンなどの有機溶剤の溶液として、あるいは、アニオン系または非イオン系の界面活性剤により水に乳化させた乳化液として供給され使用されるのが常であった。」(第1頁第2欄第15〜21行)
(c)「一方メチルポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体は、親油性と親水性の両方を備えており、すなわち非イオン界面活性剤的な性質があり水に溶解しやすいので使用しやすい。ポリウレタンフォーム製造時の整泡剤として広く、また繊維処理剤や化粧品添加剤としても使用されている。しかし、反面ジメチルポリシロキサンにくらべて離型性、消泡性、撥水性、つや出し性などが劣るという欠点がありジメチルポリシロキサンの代替品としては限度がある。そのため、ジメチルポリシロキサンの特徴を残しつつ上記したようなその欠点を克服するにはジメチルポリシロキサンとメチルポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体を混合することが考えられる。そしてかかる試みが特開昭51-21589に開示されている。しかし、乳化性、乳化後の機械的安定性、保存安定性はいまだしの感が強い。」(第2頁第3欄第5行〜第4欄第5行)
(d)「すなわち、本発明の目的は水を加えてあるいは水に加えて簡単に攪拌するのみで容易に乳化可能すなわち自己乳化可能であり、その乳化液の機械的安定性、保存安定性にすぐれており離型剤、消泡剤、繊維処理剤、つや出し剤などとして好適有用なシリコーン組成物を提供することにある。」(第2頁第4欄第7〜13行)
(e)「本発明に使用する成分(イ)のジメチルポリシロキサンは、離型性、消泡性、柔軟性、つや出し性などを付与する本発明の組成物の本体となる成分であり、・・・(略)。」(第2頁第4欄第25〜28行)
(3)甲第3号証:特開昭62-7438号公報
(a)「ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンは水溶性で物理的、化学的安定性にすぐれているために、消泡剤、離型剤、繊維処理剤、化粧品添加剤として、また発泡ポリウレタン製造時の整泡剤として広く利用されている。しかし、このものは通常のジオルガノポリシロキサンを主剤とするものにくらべて消泡性、離型性、撥水性、つや出し性などが劣り、特に消泡性はその曇点以上でないとすぐれた消泡効果を発揮しないという不利をもっている。そのため、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンについてはジメチルポリシロキサンと配合したり、あるいはさらにシリカ充填剤やシロキサン樹脂を配合した消泡剤組成物も提案されており、これは特に高温液流染色時の消泡や水性切削油の消泡、塗料、インキなどのようにペインタビリティが要求される用途に使用されているが、このものは抑泡成分であるジメチルポリシロキサンとシリカ系充填剤およびシロキサン樹脂の添加比率を上げると水への水散性や希釈後の機械的安定性がわるくなるし、逆にポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンの添加比率を増加させると希釈安定性はよくなるが消泡効果がわるくなるという欠点が生じる。」(第2頁左上欄第2行〜右上欄第4行)
(4)甲第4号証:特公昭59-69110号公報
(a)「そのため、シリコーン系消泡剤についてはこのジメチルポリシロキサンに代えてポリオキシアルキレン基で変性したオルガノポリシロキサンを主剤としてなるものが提案されており(特開昭51-10188号公報参照)、これは、高温染色時における染色液の消泡などに応用されているが、これには前記したジメチルポリシロキサンを主成分とするエマルジョンタイプの消泡剤にくらべて消泡効果が著しく劣り、これはまたその曇点以上の温度でないと消泡効果がないため、室温付近の低温域での消泡効果が劣るという欠点がある。」(第2頁右上欄第13行〜左下欄第5行)
(5)甲第5号証:北原文雄他著「分散・乳化系の化学」工学図書株式会社版、第64頁、第235〜239頁、(昭和63年4月1日)
(a)「非イオン活性剤の大部分は親水基として酸化エチレン基をもち,その水溶性は酸化エチレン基の酸素と水分子との水素結合によっている。それゆえ,酸化エチレン基の数の多いものほど水溶性が大きくなり,HLB値も大になる。温度を上げると水素結合は切断されるので,非イオン活性剤の水溶性も低下し,ある温度に至ると析出をはじめ溶液は濁りだす。この温度を非イオン活性剤の曇り点または曇点(cloudy point)という。曇り点以上では非イオン活性剤は親油性が打勝って油溶性になる。したがって,非イオン活性剤を乳化剤として用いるとき,Bancroftの規則(p.63)により,曇り点以下の温度ではO/W型,曇り点以上ではW/O型エマルションが生成することになる。」(第64頁第5〜13行)
(b)「エマルションの安定性が失なわれること,すなわち破壊のプロセスを考えてみると,図6・1に示したように,クリーミング(creaming),凝集(flocculatIon),合一(coalescence)という三つの過程がある。」(第235頁6・1第10〜12行)
(6)甲第6号証:「消泡剤 オイル型・溶液型・エマルジョン型」信越化学工業株式会社カタログ
(a)「添加法-1/事前に発泡液中に添加しておく方法」(第8頁右欄)
(b)「添加法-2/点滴で連続的に添加する方法」(第8頁右欄)
(c)「用途および応用-8 パルプ・製紙工業」(第15頁右欄)
(7)甲第7号証:「泡トラブルと消泡技術-総合技術資料集-」兵庫経営開発センター出版部 第95〜130頁(昭和58年10月1日)
(a)「このようなBLの発泡は,チオリグニンなど木材からの溶出有機物によるものであって一般にリグニン分子の炭素原子数の多いほど泡立ちは多いようである。表-1で針葉樹の赤松と広葉樹のブナ,それぞれのリグニン量を見ても前者の蒸解によるBLの発泡が強い事が分る。」(第96頁3・1)
(b)「クラフトパルプは木材を細かく砕いたチップをNa2S,NaOHを含んだ薬液(白液)を用いて高温,高圧下で蒸解し,セルロース繊維だけを回収する方法である。」(第116頁1・1第4〜5行)
2-3.対比・判断
甲第1号証の上記(1)(a)には「ポリジオルガノシロキサンオイルとシロキサン-オキシアルキレンブロック共重合体を有効成分として含有するシリコーン離型剤組成物」が記載されている。
ここで、上記「シロキサン-オキシアルキレンブロック共重合体」は、上記(1)(f)に記載された式から「シリコーンオイルのシロキサンにおけるケイ素原子とポリオキシアルキレン基における炭素原子とがケイ素-炭素結合することによってポリオキシアルキレン基が結合しているポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル」であることは明らかである。
また、上記(1)(c)には、ポリジオルガノシロキサンオイル100部にシロキサン-オキシアルキレンブロック共重合体を2〜1900部加えて攪拌、混合することが記載されている。
さらに、上記(1)(f)には、ポリジメチルシロキサン6部、シロキサン-オキシアルキレンブロック共重合体25部、ソジウムアルキルアリールポリエーテルサルフエート 0.5部、よく混合し攪拌しながら水69.5部を加えてエマルジョンを得たことが記載されており、計算するとポリジメチルシロキサンとシロキサン-オキシアルキレンブロック共重合体は合わせて31重量%である。
これら記載を本件発明1の記載ぶりに則って整理すると、甲第1号証には、「ポリジオルガノシロキサンオイル100部と、シリコーンオイルのシロキサンにおけるケイ素原子とポリオキシアルキレン基における炭素原子とがケイ素-炭素結合することによってポリオキシアルキレン基が結合しているポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル2〜1900部とよりなる主剤が、相溶することなく水にエマルジョン化されてなり、該主剤の含有割合が31重量%であるシリコーン系エマルジョン型離型剤組成物」という発明(以下、必要に応じて「甲1発明」という)が記載されていると云える。
そこで本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「ポリジオルガノシロキサンオイル」は、本件発明1の「ポリオルガノシロキサンを主成分とするシリコーン系組成物」に相当するから、両者は「ポリオルガノシロキサンを主成分とするシリコーン系組成物と、シリコーンオイルのシロキサンにおけるケイ素原子とポリオキシアルキレン基における炭素原子とがケイ素-炭素結合することによってポリオキシアルキレン基が結合しているポリオキシアルキレン変性シリコーンオイルとよりなる主剤が、相溶することなく水にエマルジョン化されてなるシリコーン系エマルジョン剤」という点で一致し、また「シリコーン系組成物」と「ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル」との割合の数値範囲や、主剤の含有割合の数値範囲が、本件発明1と甲1発明とで重複するから、結局、次の点で相違していると云える。
相違点(イ):本件発明1では、シリコーン系組成物がシリコーン系消泡性組成物であり、シリコーン系エマルジョン剤がシリコーン系エマルジョン型消泡剤であるのに対して、甲1発明では、そのシリコーン系組成物が消泡性であるとは示されず、また、そのシリコーン系エマルジョン型剤がシリコーン系エマルジョン型離型剤組成物であると示されるだけで、消泡剤とはいえない点
相違点(ロ):本件発明1では、シリコーン系エマルジョンは、液温が25℃以上の発泡性液体に添加されることにより、そのエマルジョン粒子の粒径が変化し、その変化の割合が下記の式(i)に示す条件を満足するものである 式(i) (b/a)≧2
(但し、aは発泡性液体への添加前におけるエマルジョン粒子の粒径を表し、bは発泡性液体への添加直後におけるエマルジョン粒子の粒径を表す。)のに対して、
、甲1発明では、この点について何ら言及されていない点
次にこれら相違点のうち特に相違点(ロ)を検討する。
甲第1号証には、エマルジョンの粒径について、0.1μ以下にすることにより「エマルジョンを希釈して非常に薄い均一な離型被膜を形成させることができ、エマルジョンの希釈倍率を大巾に増すことができることにより、ごく少量の塗布によって金型に離型性を付与することができる」ことは記載されているが(上記(1)(e)参照)、発泡性液体への添加前におけるエマルジョン粒子の粒径と発泡性液体への添加直後におけるエマルジョン粒子の粒径との対比について、とりわけ「(b/a)≧2」の数値条件については記載も示唆もされていない。
次に、当該相違点(ロ)につき、その他の甲各号証をみる。
甲第2号証には、ジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体等からなる自己乳化性シリコーン組成物については記載されているが、発泡性液体への添加前におけるエマルジョン粒子の粒径と発泡性液体への添加直後におけるエマルジョン粒子の粒径との対比について、とりわけ「(b/a)≧2」の数値条件については記載も示唆もされていない。
甲第3号証には、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンが、甲第4号証には、ポリオキシアルキレン基で変性したオルガノポリシロキサンを主剤とするシリコーン系消泡剤が、甲第5号証には、曇り点以上ではW/O型エマルションが生成することが、甲第6号証には、消泡剤の添加方法が、甲第7号証には、リグニン分子による泡立ちが、それぞれ記載されているが、発泡性液体への添加前におけるエマルジョン粒子の粒径と発泡性液体への添加直後におけるエマルジョン粒子の粒径との対比について、とりわけ「(b/a)≧2」の数値条件については記載も示唆もされていない。
そして、本件明細書表1(本件特許掲載公報第6頁)記載の実施例1〜3においてエマルジョン粒子径の「1分後」/「添加前」の比が2以上であることと、実施例1〜3と比較例1〜5における安定残留泡層体積からみる効果の差異からみて、本件発明1は上記相違点(ロ)により顕著な効果を奏すると云える。
してみると、上記相違点(ロ)は当業者が容易に想到し得るものであるとすることはできない。
したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできないし、また甲第1〜7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
(2)本件発明2〜4について
本件発明2〜4は、少なくとも請求項1を引用しさらに限定したものであるから、上記(1)と同じ理由で、甲第1〜7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
3.むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては、本件請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件請求項1〜4に係る発明の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2004-03-25 
出願番号 特願平5-250941
審決分類 P 1 651・ 113- Y (B01D)
P 1 651・ 121- Y (B01D)
最終処分 維持  
特許庁審判長 多喜 鉄雄
特許庁審判官 野田 直人
米田 健志
登録日 2003-05-09 
登録番号 特許第3426298号(P3426298)
権利者 ダウ コーニング アジア株式会社
発明の名称 シリコーン系エマルジョン型消泡剤および消泡方法  
代理人 小島 隆司  
代理人 小林 克成  
代理人 重松 沙織  

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