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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E02D
管理番号 1096390
異議申立番号 異議2003-72522  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-10-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-10-14 
確定日 2004-05-17 
異議申立件数
事件の表示 特許第3396789号「地盤注入材」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3396789号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.本件発明
本件特許第3396789号に係る出願は、平成6年3月23日の出願であって、平成15年2月14日に特許の設定登録がなされ、請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。

2.申立ての理由の概要
申立人青木暢子は、本件発明は、甲第1号証(特開昭59-66483号公報)、甲第2号証(特開昭59-152984号公報)、甲第3号証(特開昭59-184283号公報)および甲第4号証(特開平5-140557号公報)に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないと主張している。

3.甲号各証記載の発明
(1)甲第1号証には、特許請求の範囲に「(1)電解質物質を含むゲル化剤および珪酸のコロイド溶液を混合し、この混合物を地盤中に注入することを特徴とする地盤注入工法。・・・(4)特許請求の範囲第1項に記載の地盤注入工法において、前記ゲル化剤はカルシウムイオンを解離する電解質物質を含むゲル化剤である方法。(5)特許請求の範囲第4項に記載の地盤注入工法において、カルシウムイオンを解離する電解質物質にさらに石膏、スラグおよびフライアッシュのうちの少なくとも一種を併用してなる方法。」、3頁左上欄4〜14行に「電解質物質を含むゲル化剤とは前記電解質物質が陽イオンを解離して珪酸のコロイド溶液を不安定化するか或は珪酸と不溶性の塩を形成するものを言う。例えば・・・NaHCO3・・・のように加水分解に酸として作用する塩・・・等の例をあげる事が出来る。」、4頁左下欄表-1実験に用いた珪酸のコロイド液に「SiO2(wt%)30〜31」、同右下欄4〜6行に「注入材-6 表-1に示す珪酸コロイド溶液にCa(OH)2を3wt%加えた液を用いた。」、6頁右上欄16行〜同左下欄17行に「実施例 東京都内の砂レキ地盤にて以下の比較注入試験を行った。一次グラウト(G-1)は1m3当り以下の配合を用いた。・・・G-1g消石灰50kg、スラグ50kg、残り水。二次グラウト(G-2)は以下の配合を用いた。・・・G-3c表-1に示す珪酸のコロイド溶液にCa(OH)2を一重量%加えたもの。注入量は注入深長1m当り一次注入を50l二次注入250lであり」と記載されており、珪酸コロイド溶液はシリカゾルであり、スラグとして高炉水砕スラグ粉末が通常用いられており、また、電解質物質を含むゲル化剤は凝結調整剤といえるから、これらの記載を参照し、実施例での地盤注入材の合計注入量300リットルを基に計算すると、甲第1号証には、
「SiO2として30〜31wt%の量のシリカゾル、地盤注入材1リットル当たり、8.2gの高炉水砕スラグ粉末、少なくとも8.2gの消石灰及び凝結調整剤を含有する地盤注入材」
という発明が記載されていると認められる。
(2)甲第2号証には、特許請求の範囲及び3頁の表-1、表-2の記載を参照すると、「SiO2として30〜31wt%の量のシリカゾル及び消石灰を含有する地盤注入材」という発明が記載されていると認められる。
(3)甲第3号証には、1頁左下欄9,10行、3頁右下欄の表-2、4頁右上欄の表-4の記載を参照し、計算すると、「SiO2の濃度が0.60モル/lのシリカゾル、80〜160g/lのスラグ及び80〜160g/lの石灰を含有する地盤注入材」という発明が記載されていると認められる。
(4)甲第4号証には、特許請求の範囲に「【請求項1】 セメントスラリーとシリカゾルを基本成分とする組成に、金属精錬スラグ粉末を配合してなることを特徴とする地盤注入剤。・・・【請求項4】 請求項1、2又は3記載の地盤注入剤の成分組成が、重量比でシリカゾル(SiO2 換算):セメント:スラグ粉末:凝結調節剤=1: 0.5〜50:0.1〜10:0〜0.2 の割合を有する地盤注入剤。」と記載されている。

4.対比・判断
本件発明と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、両者は、「シリカゾル、高炉水砕スラグ粉末、石灰及び凝結調整剤を含有する地盤注入材」の点で一致しているが、甲第1号証に記載された発明における、地盤注入材1リットル当たりの、シリカゾル、石灰及び凝結調整剤の含有重量ははっきりせず、高炉水砕スラグ粉末の含有重量は本件発明と大きく相違している。
一方、甲第2〜4号証に記載された地盤注入材は、いずれも、含有物質が異なり、地盤注入材1リットル当たりの、各含有物質の含有重量を比較する対象と成り得ない。
そして、本件発明は、各含有物質が請求項に記載されたように限定された重量含有されることにより、明細書記載の「Na、K、SO4などの遊離イオンを含まず、瞬結から緩結にわたる調節されたゲル化時間を有する地盤注入材を得ることができる。そしてこのゲル化時間の調節も容易に行うことができる。本件発明の地盤注入材が地盤中で水によって希釈されても、そのときにはこの注入材は速硬化するから、注入部の外部へは拡散しない。そしてこの注入材のゲル化物はブリージングを殆ど起こさず、良好な止水性を示す。」(段落【0034】)という作用効果を奏するものである。
したがって、本件発明は、上記甲号各証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

5.むすび
以上のとおり、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2004-04-27 
出願番号 特願平6-76590
審決分類 P 1 651・ 121- Y (E02D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 深田 高義  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 山田 忠夫
南澤 弘明
登録日 2003-02-14 
登録番号 特許第3396789号(P3396789)
権利者 ケミカルグラウト株式会社 日産化学工業株式会社
発明の名称 地盤注入材  
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