• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  C22C
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  C22C
管理番号 1096414
異議申立番号 異議2002-72220  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-12-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-09-11 
確定日 2004-05-06 
異議申立件数
事件の表示 特許第3265123号「メカニカルデスケーリング性と生引き性に優れた線材」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3265123号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3265123号の請求項1に係る発明についての出願は、平成6年6月3日に特許出願され、平成13年12月28日にその発明について特許権の設定登録がされ、その後、その請求項1に係る発明の特許について、特許異議申立人住友金属工業株式会社により特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成15年7月4日に訂正請求がなされたが、この訂正に対し、訂正拒絶理由が通知されたところ、その指定期間内に何らの応答もなされなかったものである。
2.訂正の適否
2-1.訂正事項a
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許権者が求めている訂正事項aは、以下のとおりである。
明細書の特許請求の範囲の請求項1に、「凹部の入り口の長さに対して底までの深さ」とあるを、「凹部の入り口の長さ(凹部入り口の隣り合う屈曲点間の距離)に対して凹部入り口からの深さ(凹部の底側の屈曲点と凹部入り口側の隣り合う屈曲点の中間点との距離)」に訂正する。
2-2.当審の判断
上記訂正事項aは、「凹部入り口の長さ」とは、「凹部入口の隣り合う屈曲点間の距離」であり、「凹部入り口からの深さ」とは、「凹部の底側の屈曲点と凹部入り口側の隣り合う屈曲点の中間点との距離」であると、それぞれ訂正するものであるが、「凹部入り口の長さ」が「凹部入口の隣り合う屈曲点間の距離」であること、「凹部入り口からの深さ」が「凹部の底側の屈曲点と凹部入り口側の隣り合う屈曲点の中間点との距離」であることについては、願書に添付した明細書又は図面に記載されておらず、また、当該訂正事項が願書に添付した明細書又は図面に記載された事項から自明であるとも認められないので、上記訂正事項aは、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものではない。
2-3.むすび
したがって、当該訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第2項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
3.取消理由の概要
平成15年4月25日付けの取消理由のうち(2)の理由は、本件明細書の記載が不備であるから、特許法第36条第4項及び第5項の規定に違反しており、特許を受けることができないというものである。
4.当審の判断
本件明細書の請求項1に記載の「長さ方向に垂直な断面の表面にある凹部の入り口の長さに対して底までの深さの比が0.5以下で、凹部の入り口からの深さが7μm以下の表面凹凸を持ち」という事項について、その「表面凹凸」や「凹部」がどのようなものか明確に定義されているわけではないから、「凹部の入り口の長さ」や「底までの深さ」を明確に定量することができない。
してみると、「凹部の入り口の長さ」に対する「底までの深さ」の比は、その定義如何によって変動することとなるから、請求項1の記載は発明の構成を明確に特定しているとはいえない。
また、請求項1の「同じ結晶方位を有する領域の面積が0.0005mm2以下」という事項についても、この領域を特定する数値として表層から50μm以内の部分という深さ方向の数値が特定されているだけであるから、「同じ結晶方位を有する領域の面積」とは、どの領域の面積であるか特定することができず、しかも前記「領域の面積」も定量することはできない。
してみると、請求項1の「同じ結晶方位を有する領域の面積が0.0005mm2以下」という記載も発明の構成を明確に特定しているとはいえない。
5.むすび
したがって、本件請求項1に係る発明は、その記載が特許法第36条第4項及び第5項の規定に違反しているから、本件請求項1に係る発明の特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2004-03-09 
出願番号 特願平6-144106
審決分類 P 1 651・ 531- ZB (C22C)
P 1 651・ 534- ZB (C22C)
最終処分 取消  
特許庁審判長 沼沢 幸雄
特許庁審判官 綿谷 晶廣
平塚 義三
登録日 2001-12-28 
登録番号 特許第3265123号(P3265123)
権利者 新日本製鐵株式会社
発明の名称 メカニカルデスケーリング性と生引き性に優れた線材  
代理人 森 道雄  
代理人 萩原 康弘  
代理人 穂上 照忠  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ