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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1097126
審判番号 不服2001-9901  
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-08-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-06-13 
確定日 2004-05-14 
事件の表示 平成 6年特許願第 13170号「画像記録装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 8月11日出願公開、特開平 7-212556〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年1月11日の出願であって、平成12年10月23日付の拒絶理由通知書が通知され、平成12年12月22日付で意見書と手続補正書が提出され、平成13年5月7日付けでなされた拒絶査定に対し、平成13年6月13日に審判請求がなされるとともに、平成13年7月9日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成13年7月9日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成13年7月9日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正は、次に記載される、平成12年12月22日付の手続補正により補正された請求項1について、
「【請求項1】複写モードとプリンタモードを備えた画像記録装置において、
利用者毎にプリンタモードを選択可能か否かの設定を行う設定手段を有し、
該設定手段の設定によりプリンタモードを選択可能とされた利用者に対し、プリンタモードでの画像記録を実行可能とする画像記録装置。」を、
審判を請求する場合においてする補正により、次のように補正するものを含むものである。
「【請求項1】 複写機とプリンタを組み合せた複合機であって、カラーモードと白黒モードを備えた複合機において、
利用者毎にプリンタを選択可能か否かを第1の設定手段により設定し、前記第1の設定手段による設定によりプリンタを選択可能とされた利用者に対し、プリンタとしての利用を可能とすると共に、利用者毎にカラーモードを選択可能か否かを第2の設定手段により設定し、前記第2の設定手段による設定によりカラーモードを選択可能とされた利用者に対し、カラーモードを利用可能とする複合機。」

(2)特許法17条の2第2項について
上記の補正が、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされた補正であるかないかを検討する。

願書に最初添付した明細書又は図面には、次のことが記載されている。
(ア)段落【0001】
「【産業上の利用分野】本発明は、フルカラーモード、白黒モードなどの複数の記録モードを有する画像処理装置に係り、特に複数の記録モードに対応して予め設定された暗証番号が入力された場合に限り、記録動作を許可する暗証番号入力方式の画像処理装置に於ける制御装置に関する。」
(イ)段落【0005】
「【作用】利用者が入力した暗証番号が予め登録された暗証番号であると、暗証番号ごとのフルカラーモードや白黒モードなどの各記録モードの許可または不許可情報を設定し、この許可情報から記録モードを選択して記録動作を実行する。」
(ウ)段落【0006】〜【0009】
「【0006】【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の画像処理装置に於ける制御装置のブロック図である。なお、本実施例では画像処理装置として、デジタル方式のフルカラー複写機によって説明する。
制御装置は、予め利用者ごとに割り当てられた暗証番号を管理者が装置に登録するための暗証番号登録部1、暗証番号に対応して複写モード、例えばフルカラーモード、白黒モードの使用許可または不許可を登録する複写モード登録部2、利用者が装置を使用する際に暗証番号を入力する暗証番号入力部3および複写モードを入力する複写モード入力部4から成る入力/登録装置10と、暗証番号登録部により登録された暗証番号を記憶する暗証番号記憶装置5、複写モード登録部により登録された複写モードと登録された暗証番号との対応関係を記憶する複写モード記憶装置6、暗証番号入力部から入力される暗証番号を暗証番号記憶装置に記憶されている暗証番号と照合し、登録されている暗証番号であるか否かをチェックする暗証番号照合装置7、利用者が複写モード入力部から入力した複写モードを、暗証番号照合装置からの照合結果に基づいて複写モード記憶装置に記憶されている複写モード情報を照合し、予め設定された複写モードを選択する複写モード照合装置8、暗証番号及び複写モード照合結果を利用者に通知する処理状況通知装置9とから構成されている。
【0007】
複写モード照合装置8は、選択された複写モードの実行を許可または不許可にするための複写モード照合情報を、画像形成を行う機構部を制御するマシンコントローラ20に送る。選択された複写モードが不許可の場合は、利用者に対して不許可である旨のメッセージを表示すると共に、マシンコントローラでは不許可の複写モードの実行を禁止する動作が行われる。マシンコントローラ20は許可情報に対してのみ選択された複写モードを設定して複写を実行する。
処理状況通知装置9は、例えば液晶表示板とその制御回路で構成されており、暗証番号照合装置7において入力された暗証番号が照合され、その結果成功した場合、照合が成功した旨及び複写モードの入力を促す指示メッセージを表示し、利用者に知らせる。図2は複写モード記憶装置に記憶されている複写モードのデータマップの一例を示す。
【0008】
複写モードの登録操作を説明すると、まず管理者等が暗証番号登録装置により暗証番号を入力し、暗証番号記憶装置に記憶する。そして、フルカラー及び白黒の複写モードは複写モード登録装置により入力し、複写モード記憶装置に記憶する。複写モード記憶装置には、図2に示すように、フルカラー、白黒の各複写モードごとの許可(○印)、不許可(×印)情報が、暗証番号を添字とした表として記憶されている。例えば、暗証番号12521の利用者は白黒モード、6374の利用者はフルカラーモード、また88743の利用者はフルカラー、白黒の両モードの複写動作が許可されている。
【0009】
上記制御装置の複写操作について説明する。図3は制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。利用者が暗証番号入力部から暗証番号を入力すると(S100)、暗証番号は暗証番号照合装置により、予め暗証番号記憶装置に記憶されている暗証番号と照合される(S101)。暗証番号の照合が成功すると、利用者は複写モード入力部によりフルカラー、白黒のいずれかの複写モードを入力する(S102)。複写モード照合装置は照合済み暗証番号を添字として複写モード記憶装置に記憶されている図2に示すデータマップを検索し、入力され複写モードが当該暗証番号について許可されているかどうかを照合する(S103)。照合が成功した場合のみ要求された複写モードで複写動作を実行する(S104)。」
(エ)段落【0010】
「【0010】本実施例では、複写モードの照合が不成功の場合に、その旨のメッセージを表示して再度複写モードの入力を促すようになっているが、このような処理に限定されるものでなく、例えば暗証番号から入力させることもできるものであって、その制御方法や表示方法は取捨選択することができる。
また本実施例では画像処理装置として複写機を説明しているが、プリンタやファクシミリ、またはそれらを組み合わせた複合機にも適用可能である。
さらに本実施例では記録モードとして複写機の複写モードを説明しているが、複合機に於ける複数の記録モードとしてはフルカラーモード、白黒モード、プリンタモード、ファクシミリモードなどの選択にも採用することができる。」

これらの記載から、本実施例では画像処理装置として複写機が説明され、その複写機において、フルカラーモード及び白黒モードを利用者に応じて許可または不許可することが記載されており、段落【0010】に、本実施例では画像処理装置として複写機を説明しているが、プリンタやファクシミリ、またはそれらを組み合わせた複合機にも適用可能であること、複合機に於ける複数の記録モードとしてはフルカラーモード、白黒モード、プリンタモード、ファクシミリモードなどがあることが記載されている。
すると、この明細書の「フルカラーモード、白黒モード」は、複写機のフルカラーモード、白黒モードであり、プリンタのフルカラーモード、白黒モードとは認められない。
また、プリンタの印刷モードとして、フルカラーモードと白黒モードとあることは周知のことである。しかし、プリンタモードを選択したうえで、さらに、フルカラーモードと白黒モードを選択することは明細書には記載されていない。しかも、プリンタの設定は通常、プリンタにデータを送るパソコンなどで設定することが通常行われていることであり、プリンタ側で設定することは通常行われていないことであるから、それを本願発明の主目的とするならば、発明の詳細な説明において、その課題、目的、及び、実施例においてどのように設定するのか明確に記載しなければならないが、本願の発明の詳細な説明には、プリンタの設定については詳しく記載されていない。
よって、出願当初の明細書及び図面の記載には、「利用者毎にプリンタを選択可能か否かを第1の設定手段により設定し、前記第1の設定手段による設定によりプリンタを選択可能とされた利用者に対し、プリンタとしての利用を可能とすると共に、利用者毎にカラーモードを選択可能か否かを第2の設定手段により設定し、前記第2の設定手段による設定によりカラーモードを選択可能とされた利用者に対し、カラーモードを利用可能とする複合機」は記載されていない。

したがって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした補正とは認められない。

(3)特許法17条の2第3項第2号、第3号及び第4号について
上記補正が、特許請求の範囲の減縮であるか、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明であるかどうかを検討する。

平成12年12月22日付の手続補正により補正された請求項1の「利用者毎にプリンタモードを選択可能か否かの設定を行う設定手段」は、本補正の「第1の設定手段」に相当する。すると、本補正の「第2の設定手段」は、平成12年12月22日付の手続補正により補正された請求項1に記載された発明の構成に欠くことのできない事項ではない。
したがって、本件「第2の設定手段」についての補正は、補正前の発明の構成に欠くことのできない事項の全部又は一部を限定するものでないので、特許請求の範囲の減縮ではあっても、特許法第17条の2第3項第2号括弧書の要件に適合していない。
また、誤記の訂正であるとも、明りょうでない記載の釈明であるとも認められない。

(4)むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第2項に違反し、しかも同条第3項第2号、第3号、第4号のいずれにも該当しないものであるから、特許法第159条第1項で準用する同第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成13年7月9日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という)は、平成12年12月22日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】複写モードとプリンタモードを備えた画像記録装置において、
利用者毎にプリンタモードを選択可能か否かの設定を行う設定手段を有し、
該設定手段の設定によりプリンタモードを選択可能とされた利用者に対し、プリンタモードでの画像記録を実行可能とする画像記録装置。」

(2)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された、特開平4-256967号公報には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】カラー複写機の登録コード別に複写枚数を管理する複写管理システムにおいて、複写機本体から出力される用紙サイズ情報、使用枚数情報、複写モード情報などを入力する入力部と、前記入力部に入力された各種情報に基づいて登録コード別にモード及びサイズ別使用枚数を記憶手段に記憶させる複写データ処理手段とを備えたカラー複写機の管理装置。
【請求項2】カラー複写機の登録コード別に複写枚数を管理する複写管理システムにおいて、複写機本体から出力される用紙サイズ情報、使用枚数情報、複写モード情報などを入力する入力部と、前記入力部に入力された各種情報に基づいて登録コード別にモード及びサイズ別使用枚数を記憶手段に記憶させる複写データ処理手段と、登録コード別に使用可能な複写モードをを記憶した記憶手段と、前記複写モード情報を複写機本体の複写操作に先立って入力してそのその複写モードが使用可能な複写モードであるか否かの判断を行なうと共に否の場合に複写機の作動禁止信号を出力する判断手段とを備えたカラー複写機の管理装置。」(引用例1の2頁1欄2〜20行)
(イ)「【産業上の利用分野】本発明はカラー複写機の管理装置に関するものであり、更にはデジタルカラー複写機の管理装置に関するものである。」(引用例1の2頁1欄35〜37行)
(ウ)「一方、管理する立場からは経費を押さえるため使用部門別に使用できる複写モードを決めたいという要望があった。例えば、ある部門には利金の高いフルカラーモードを禁止し、別のある部門には白黒複写モードのみを使用できるようにしておくことにより、使用料金を抑制したいというものである。又、複写モード毎のどの位使用されているかの状況を把握したいという要望もあった。
【0005】さらに使用者の立場からは、デジタルカラー複写機の使用モードが多いため、例えば白黒の原稿をフルカラー複写モードにて複写するように、不用な付加価値の付いた複写モードを誤って使用してしまうという問題があった。本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は使用モードに応じて多種の付加価値を設けて使用料金を適切に管理できるカラー複写機の管理装置を提供することにあり、第2の目的は部門別に使用できる複写モードを設定できるようにして経費を適切に管理できるカラー複写機の管理装置を提供することにあり、第3の目的は誤って不用な付加価値の付いた複写モードを使用することを防止できるカラー複写機の管理装置提供することにある。」(引用例1の2頁2欄35行〜3頁3欄5行)
(エ)「【0029】入出力ポート回路128には部門コードが記録された磁気カード129が前記カード挿入部102に挿入されたことを検知するスイッチ130と、磁気ヘッドインタフェース131とが接続され、CPU121はスイッチ130からの検知信号を入力すると、磁気ヘッド127及び磁気ヘッドインタフェース131を介して磁気カード129から部門コードを読み取る。読み取った部門コードが登録されたコードであれば、入出力ポート回路128に接続されたリレー(RL)132を作動させ、複写機1に使用許可信号を送る。 ・・・(中略)・・・
【0030】前記不揮発性メモリ125には各管理項目別に複数の記憶領域が設けられ、図11に示すように領域200には複写した総枚数が、・・・(中略)・・・、領域206には使用可能なモード種類が部門コード別に、・・・(中略)・・・
【0031】前記記憶領域への記録においては部門コードは0〜N(Nは部門合計と対応する自然数)で表される。又、領域206の使用許可モードは16進コードで表され、00は使用不可、0Eは全てのモードが使用可能、01は白黒コードのみ使用可能、・・・(中略)・・・、05は白黒コード、単色、2色、3色、4色(フル)カラーモードが使用可能というようにそれぞれ対応したコードが設定されている。(引用例1の6頁9欄7行〜同頁10欄1行)
(オ)「【0041】次にステップ66でCPU121は磁気ヘッド127で読み取った部門コードが登録コードであるか否かの判断を行なう(ステップ67)。読み取った部門コードが登録コードでなければ、表示器112に「このカードは使えません」の表示(表示2)が行なわれ(ステップ68)、その後、ステップ62に戻る。読み取られた部門コードが登録コードであれば、不揮発性メモリ125から当該部門コードに許可された許可モードを読み出してRAM123に記憶させる(ステップ69)。
・・・(中略)・・・
【0044】本体モードの読み取りは図20にシタガッテ行なわれる。本体モード読取サブルーチンの実行が開始されると、CPU121は複写機1から順次出力されてくる設定枚数信号と、用紙サイズ及び設定モードデータ信号とを入力するとともに、RAM123に設定枚数データ、用紙サイズデータ及び設定モードデータとして記憶させる(ステップ80、ステップ81)。 ・・・(中略)・・・ ステップ83ではステップ81で入力された設定モードと、前記ステップ69でRAM123に記憶された部門別使用許可モードとが比較される。そして、許可モードであればステップ85に進む。ステップ85ではリレー(RL)132がOFF状態にされて複写機1に複写作業禁止信号が送られるとともに、表示器113,115への表示出力がOFFとなって「予定料金です」の表示(表示3)と、「編集モードです」の表示(表示5)が消される。次に表示器114への出力がONとなって「このモードは使用できません」の表示(表示4)がなされる。従って、操作者賀寿分の属する部門に許可されていない複写モードを設定した場合、その使用が確実に禁止されて予め設定された部門毎の使用条件で使用料金を適切に管理できる。」(引用例1の8頁13欄18行〜同頁14欄30行)
(カ)「【0050】以上の実施例において磁気カードを部門コードの入力のみに用いたが、暗証コード、使用可能モードのコードを含めてもよい。また複写した枚数を記録し、これを読み出して更新し、再び書込んでもよい。ICカードを用いてもよい。暗証コード、部門コードをテンキーから入れてもよい。また、管理装置と複写機本体とのデータ通信は各種の態様が考えられ、例えばシリアル通信にしてもよい。また、各モードごとに個別に出力パルス信号を取り出し、各モードごとの枚数をカウントするようにしてもよい。」(引用例1の9頁16欄22〜31行)
と記載されているから、これらの記載より引用例1には次のことが記載されている。
「カラー複写機の部門コード別に複写枚数を管理する複写管理システムにおいて、
複写機本体から出力される用紙サイズ情報、使用枚数情報、複写モード情報(白黒モード、フルカラーモード及び編集モード等)などを入力する入力部と、
前記入力部に入力された各種情報に基づいて部門コード別にモード及びサイズ別使用枚数を記憶手段に記憶させる複写データ処理手段と、
部門コード別に使用可能な複写モードを記憶した記憶手段と、
前記複写モード情報を複写機本体の複写操作に先立って入力してそのその複写モードが使用可能な複写モードであるか否かの判断を行なうと共に否の場合に複写機の作動禁止信号を出力する判断手段と
を備えたカラー複写機の管理装置。」

(3)対比
そこで、本願発明と引用例1の発明とを比較すると、
引用例1の「カラー複写機」は、画像を記録する点では、本願発明の「画像記録装置」に、引用例1の「部門コード別」は、本願発明の「利用者毎」にそれぞれ相当し、
また、引用例1においても、部門に応じて、白黒モードだけを使用可能にするか、白黒モードとフルカラーモードを使用可能とするかを決めているから、そのためにはそれを決めるための設定をしなければならないことは明白であり、したがって、何らかの設定を行なう手段が存在していることは明らかであるから、
両者は、
「複数の記録モードを備えた画像記録装置において、
利用者毎に記録モードを選択可能か否かの設定を行う設定手段を有し、
該設定手段の設定により選択可能とされた利用者に対し、利用可能とされた記録モードでの画像記録を実行可能とする画像記録装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
[相違点1]
画像記録装置が、本願発明が、複写モードとプリンタモードを備えているのに対して、引用例1のものは、複写機である点。
た画像記録装置
[相違点2]
利用者毎の記録モードが、本願発明のものが、利用者毎にプリンタモードを選択可能か否かの設定を行うのに対して、引用例1のものは、白黒モード、フルカラーモード及び編集モード等が選択可能である点。
[相違点3]
本願発明のものは、設定手段の設定によりプリンタモードを選択可能とされた利用者に対し、プリンタモードでの画像記録を実行可能とするのに対して、引用例1のものは、利用可能とされたモードにより、複写動作を行う点。

(4)判断
上記相違点について
[相違点1]について
本願出願当時において、複写機能、プリンタ機能及びファクス機能を備えた複合機は周知のものであるから、画像記録装置において複写モードとプリンタモードを備えたもとすることは当業者にとって単なる設計事項である。
[相違点2]、[相違点3]について
一般的に、装置が複数の機能を持つときに、利用者に応じてその機能の利用を制限することは、すなわち、利用者に応じて、どの機能が利用可能か設定し、利用可能とされた利用者にのみ、利用可能とされた機能を利用させるようにすることは、引用例1を含めて周知のことである。
引用例1においては、部門別に、白黒モードだけを利用できるか、白黒モードとフルカラーモードとの両方を利用できるかを決めて、部門に応じて、利用できるモードを選択できるようにしている。このように、利用者に応じて、どの機能が利用可能か設定し、利用可能とされた利用者にのみ、利用可能とされた機能を利用させるようにするという考え方があるときに、画像記録装置に複写モードとプリンタモードとがあり、利用者に応じてプリンタモードを利用可能とするときに、利用者毎にプリンタモードを選択可能か否かの設定をし、設定によりプリンタモードを選択可能とされた利用者に対し、プリンタモードでの画像記録を実行可能とすること、すなわち、本願発明のようにすることは当業者が容易に考えられることである。

尚、本願発明の出願当初の明細書には、実施例においては複写機のフルカラーモードと白黒モードの選択について記載されているだけであり、プリンタ、ファクシミリについては、段落【0010】に、「また本実施例では画像処理装置として複写機を説明しているが、プリンタやファクシミリ、またはそれらを組み合わせた複合機にも適用可能である。さらに本実施例では記録モードとして複写機の複写モードを説明しているが、複合機に於ける複数の記録モードとしてはフルカラーモード、白黒モード、プリンタモード、ファクシミリモードなどの選択にも採用することができる。」と記載されているのみである。この記載からでは、プリンタ、ファクシミリの利用を利用者別に制限することの目的、構成、効果が十分に記載されているとは認めることは出来ない。

さらに、請求項2では、複写モードとファクシミリモードを備えた画像記録装置について述べられているが、ファクシミリ機能を有する複合機において、ファクシミリ機能の利用を、コードを用いて利用者別に制限することは、例えば、特開平4-50871号公報(6頁上左欄18行〜同頁上右欄4行参照)等により周知のことである。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-02-10 
結審通知日 2004-02-25 
審決日 2004-03-22 
出願番号 特願平6-13170
審決分類 P 1 8・ 561- Z (H04N)
P 1 8・ 572- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂本 聡生酒井 伸芳渡辺 努  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 井上 信一
江頭 信彦
発明の名称 画像記録装置  
代理人 中野 佳直  

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