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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E01D
管理番号 1097417
審判番号 不服2003-6391  
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-11-16 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-16 
確定日 2004-05-27 
事件の表示 特願2000-136578「鋼板とコンクリートの合成プレキャスト床版及びその継手構造」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月16日出願公開、特開2001-317012〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年5月10日に出願したものであって、平成15年3月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月16日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願は、請求項の数4から成り、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「継手部相当位置の本体鋼板の上方に、一定間隔を保持して帯状鋼板を位置させて、両者をボルトを用いて締結するとともに帯状鋼板上面から添接板をボルト取り付け可能に形成し、帯状鋼板上を除き、必要な厚さにコンクリートを打設してなることを特徴とする鋼板とコンクリートの合成プレキャスト床版。」

3.引用刊行物
(a)原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である実願昭60-78611号(実開昭61-198310号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。
「この考案は橋桁上の床版打替用PCコンクリート版接合装置に関し」(第2頁第5〜6行)
「第3、4図に接合部Cをさらに拡大しているが、その両側PCコンクリート版15、15の端部構造は第5、6図の方が分りやすい。即ち、主桁11上に載る端部には、この例では上面から凹んだ上面凹陥部32が7個並んでおり、夫々に垂直ボルト穴17と露出鉄筋21が交互に納まつている。
垂直ボルト穴17は第3、4図に示すように、PCコンクリート版15の成形時、コンクリート打設前に適当を内径の管を入れて作つたものでその管の上下端は上面凹陥部底面に入れた鋼板24と、版端部下面に入れた鋼板25はまり固定されたものである。」(第6頁第14行〜第7頁第6行)
「ボルト頭下の座金20外周にはまる穴をもつ連結板23をかけ渡し、その外周を凹陥部32底面の鋼板に溶接している。」(第7頁第16〜19行)
上記記載及び第1、2図を含む刊行物1全体の記載から、刊行物1には、以下の発明が開示されていると認められる。
「接合部Cの鋼板25の上方に、一定間隔を保持して鋼板24を位置させて、両者に管をはめ固定するとともに鋼板24上面から鋼板23を溶接可能に形成し、鋼板24上を除き、必要な厚さにコンクリートを打設してなるPCコンクリート床版。」

(b)原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2000-120021号公報(以下、「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。
「2は主桁1の上に設けられたサンドイッチ形床版、3は橋面舗装、4は地覆部である。床版2は、上下の鋼製板5,6間にコンクリート7を打設してなるものである。この上下の板5,6は、予め工場で上下に一定間隔を保つように組まれたプレハブ部材9として現場に搬入され、現場で橋梁の幅員方向(以下では単に幅員方向という。)に相隣る主桁1,1間に架設され、現場でコンクリート7が打設される。」(段落【0031】)
「本形態についてはその要部が図10に示されている。すなわち、この形態は、主桁1の上フランジ1aの両外側において上板5と下板6との間にこの両板5,6の間隔を保持するスペーサナット17が設けられ、該スペーサナット17に対して上下の板5,6がボルト14によって上下から締め付けられ、主桁1の上フランジ1aとその上に重ねられた下板6の側端部とがボルト15とナット27とによって結合され、縦接続板11と上板5の側端部とがボルト15とナット27とによって結合されていることを特徴とし、他は実施形態1と同じである。」(段落【0051】)

4.対比
そこで、本願発明と刊行物1記載の発明とを比較すると、刊行物1記載の発明の「接合部C」、「鋼板23」は、それぞれ本願発明の「継手部相当位置」、「添接板」に相当し、本願発明の「本体鋼板」と刊行物1記載の発明の「鋼板25」は、「下方の鋼板」で共通し、本願発明の「帯状鋼板」と刊行物1記載の発明の「鋼板24」は、「上方の鋼板」で共通し、本願発明の「ボルトを用いて締結する」と刊行物1記載の発明の「管をはめ固定する」は、「連結する」で共通し、本願発明の「ボルト取り付け」と刊行物1記載の発明の「溶接」は、「結合」で共通し、本願発明の「鋼板とコンクリートの合成プレキャスト床版」と刊行物1記載の発明の「PCコンクリート床版」は、「プレキャスト床版」で共通するから、両者は、
「継手部相当位置の下方の鋼板の上方に、一定間隔を保持して上方の鋼板を位置させて、両者を連結するとともに上方の鋼板上面から添接板を結合可能に形成し、上方の鋼板上を除き、必要な厚さにコンクリートを打設してなるプレキャスト床版。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]本願発明は、鋼板とコンクリートの合成プレキャスト床版で下方の鋼板が本体鋼板であるのに対し、刊行物1記載の発明は、PCコンクリート床版で、下方の鋼板が本体鋼板でない点。
[相違点2]上方の鋼板に関し、本願発明は、帯状鋼板であるのに対し、刊行物1記載の発明は、帯状でない点。
[相違点3]上方の鋼板と下方の鋼板の連結に関し、本願発明は、ボルトを用いて締結するのに対し、刊行物1記載の発明は、管をはめ固定する点。
[相違点4]添設板の結合に関し、本願発明は、ボルト取り付けであるのに対し、刊行物1記載の発明は、溶接である点。

5.判断
上記相違点1について検討する。
プレキャスト床板を鋼板とコンクリートの合成プレキャスト床版とし、本体鋼板を下方に設けることは、本願出願前に周知技術(例えば、特開平4-24306号公報参照。)であるから、刊行物1記載の発明に該周知技術を適用し、本願発明の上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

相違点2について検討する。
上方の鋼板の形状をどのような形状とするかは当業者が必要に応じ適宜選択し得る程度のことであり、本願発明の上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

相違点3について検討する。
ボルトを用いて上方の鋼板と下方の鋼板を締結することは、刊行物2に記載されており、刊行物1記載の発明に該技術を適用し、本願発明の上記相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

相違点4について検討する。
ボルト取り付けで添設板を結合することは、本願出願前に周知技術(例えば、特開平4-24306号公報、刊行物2参照。)であるから、刊行物1記載の発明に該周知技術を適用し、本願発明の上記相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本願発明の作用効果も、刊行物1、2記載の発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

なお、請求人は、本願発明の発明者が、平成12年2月6日に社団法人土木学会北海道支部が開催した「平成11年度年次技術発表会」において、文書をもって発表し、特許法第30条第1項の規定の適用を受けるべく、「新規性の喪失の例外証明書提出書」を提出して特許出願をしたものであるから、本願発明の発表の日から特許出願前までに生じた事由によって、本願発明の新規性を喪失することはなく、発表日と本願発明の特許出願日との間に発行された刊行物2を引用することは誤っている旨主張する。
しかしながら、特許法第30条第1項の規定により、特許法第29条第1項各号の一に該当するに至らなかったものとみなされるのは、特許法第30条第4項に規定する手続が適法になされた発明であって、本願の「新規性の喪失の例外証明書提出書」に添付された文書である「土木学会北海道支部 論文報告集 第56号(A) I-85 鋼合成プレキャスト床版の新しい継ぎ手構造について」と題する文書に記載された発明が、特許法第29条第1項3号に該当しないものとみなされるとしても、上記文書に記載された発明と異なる発明が記載された刊行物2記載の発明までも特許法第29条第1項3号に該当しないものとみなされるものではない。また、刊行物2が特許法第30条第1項あるいは同第3項の規定を受けるための手続はなされていない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、本願出願前に頒布された刊行物1、2記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-03-24 
結審通知日 2004-03-30 
審決日 2004-04-12 
出願番号 特願2000-136578(P2000-136578)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柳澤 智也  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 長島 和子
新井 夕起子
発明の名称 鋼板とコンクリートの合成プレキャスト床版及びその継手構造  
代理人 宇野 晴海  
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