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審決分類 審判 全部無効 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正を認めない。無効とする(申立て一部成立) B23C
審判 全部無効 証拠 訂正を認めない。無効とする(申立て一部成立) B23C
審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認めない。無効とする(申立て一部成立) B23C
管理番号 1099285
審判番号 無効2000-35104  
総通号数 56 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-08-10 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-02-22 
確定日 2003-04-21 
事件の表示 上記当事者間の特許第2934927号発明「ダイヤモンドロータリカッタ」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2934927号の請求項1ないし3、5、7ないし10に係る発明についての特許を無効とする。 特許第2934927号の請求項4、6に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その10分の2を請求人の負担とし、10分の8を被請求人の負担とする。 
理由 1.特許の経緯
本件特許第2934927号については、平成4年8月5日(優先権主張1991年8月16日米国)に出願がされ、平成11年6月4日に特許権の設定の登録がなされた。
本件特許に対して、平成12年2月14日に茶野尚章より2000年異議第70573号として特許異議申立てがなされ、平成13年2月14日に訂正請求(以下、「前回訂正請求」という。)がされ、平成13年8月7日付けで訂正を認めるとした上で、請求項1ないし10に係る特許を維持する旨の決定がなされた。

2.本件無効審判の経緯
審判請求人ジーエヌツール株式会社は、本件請求項1ないし10に係る特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求めて無効審判を請求した。
これに対し被請求人は、答書提出の指定期間内である平成13年11月19日に訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)をし、この訂正請求に対して平成14年5月28日の口頭審理において、期間を指定して訂正拒絶理由が通知された。

3.審判請求人の主張
請求人は、本件特許の請求項1ないし10に係る発明について、
甲第1号証として米国特許第5031484号明細書(1991年7月16日発行)を、甲第2号証として米国特許第4713286号明細書(1987年12月15日発行)を、甲第3号証として山家菱の陳述書を、甲第4号証として特開平3-277412号公報を、甲第5号証としてスミスインターナショナルインコーポレイテッドのKenneth M.Tholanの名刺を、第6号証としてメガダイヤモンドから請求人に送られた図面を、甲第7号証として請求人のダイナミックツール株式会社からの仕入れ帳を、甲第8号証として各取引先に応じた寸法が記載されたCBNエンドミルの図面を、甲第9号証として松下電器産業株式会社社員の名刺を、甲第10号証として請求人の旭商工社宛の売り掛け帳簿を、甲第11号証として大見工業株式会社の広告を、甲第12号証として東芝タンガロイ株式会社の上原一仁が送られた「スパイラルCBN素材の件」と題する書面を、甲第13号証として東芝タンガロイ株式会社から請求人に送られた請求書を、及び甲第14号証として請求人の東芝タンガロイ株式会社宛の売り掛け帳簿を提示するとともに、請求人代表者西村隆侑(以下、「請求人西村」という。)の当事者尋問を申請し、以下のとおり、主張する。
a.本件請求項1ないし3、5、7ないし10に係る発明は、本件特許に係る出願の出願前米国内において頒布された刊行物である甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。
b.本件請求項4、6にかかる発明は、本件特許に係る出願の出願前米国内において頒布された刊行物である甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明並びに本件特許に係る出願の出願前に国内で公知であった甲第3号証添付の資料1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。

4.これに対し、被請求人は、以下のとおり主張する
a.請求項1及び5について、本件訂正請求の訂正によって限定された構成は、甲第1号証及び甲第2号証のいずれにも記載されておらず、また、甲第2号証は、「溝内にある硬質材の前記ロータリーカッタ円周方向縁辺に凹状フルートが一致するように前記ロータリーカッタを研削してある点」は、示唆されていない。
b.請求項2、3、7及び8において、甲第2号証には、溝の方向をカッタ面に対する接線と正または負のすくい角を形成するようにされておらず、カッタ面に対する接線と正又は負のすくい角を形成するように設定することが周知技術であるとしても、「溝内にある硬質材の前記ロータリーカッタ円周方向縁辺に凹状フルートが一致するように前記ロータリーカッタを研削してある点」と、請求項2,3の技術的事項の組合わせは、甲第2号証と周知技術には、示唆されていない。
c.請求項4及び6について、社会常識上、山家氏が守秘義務がないとはいえないから、「V字型の溝」が、本件特許の出願前に公知となっていたとはいえない。
d.請求項9について、引用した請求項についての主張と同様である。
e.請求項10について、請求項1についての主張及び請求項2,3についての主張と同様である。

4.訂正請求の内容
上記訂正請求は、願書に添付した明細書(前回訂正請求によって訂正された明細書)の特許請求の範囲を、
「【請求項1】第1及び第2の端部を有するロータリカッタ加工素材の側壁に少なくとも一対の溝を形成し、多結晶ダイヤモンド系および立方晶窒化ホウ素系のいずれかから選択された硬質材を前記溝内に固定したロータリカッタにおいて、前記溝がこの溝のそれぞれに隣接させて前記ロータリカッタ加工素材に形成されるフルートのねじれ角と合致する角度に沿って半径方向の彫り込みによって形成され、次いで、前記溝内にある前記硬質材の前記ロータリカッタ円周方向縁辺に前記隣接するフルートの間の凹状フルートが一致するように、前記ロータリカッタ加工素材を研削してなり、この硬質材によって形成される傾斜前縁に沿って前記フルート及び切刃を形成するとともに、前記溝の溝底に丸みが形成されてなり、かつ、前記溝を前記ロータリーカッタ加工素材の半径方向の線から傾斜させて前記凹状フルートと整合してなるとともに、前記溝の互いに角度を形成する側壁は前記丸みのある溝底へ移行するように構成されてなることを特徴とするダイヤモンドロータリカッタ。
【請求項2】前記溝の方向を、カッタ面に対する接線と正のすくい角を形成するように設定したことを特徴とする請求項1記載のダイヤモンドロータリカッタ。
【請求項3】前記溝の方向を、カッタ面に対する接線と負のすくい角を形成するように設定したことを特徴とする請求項1記載のダイヤモンドロータリカッタ。
【請求項4】前記溝をV型に形成し、カッタ面に対する接線と正のすくい角を形成するように切刃前縁の方向を設定したことを特徴とする請求項1記載のダイヤモンドロータリカッタ。
【請求項5】切削端を第1端部とし基部を第2端部とするロータリカッタ加工素材を形成し、第1の切削端部から第2の基端部に向かってロータリカッタ加工素材の側面に少なくとも一対の溝を形成し、このロータリカッタ加工素材に形成された前記溝に、多結晶ダイヤモンド系および立方晶窒化ホウ素系のいずれかから選択された硬質材を充填し、前記溝内の前記硬質材を多結晶硬質材を形成するのに十分な高圧プレス内で焼結し、ほぼ前記溝の縁端においてロータリカッタ加工素材に凹状フルートを形成するステップを含むロータリカッタの形成方法において、前記溝が半径方向に向けて彫り込まれ、次いでロータリカッタ加工素材に形成される凹状フルートのねじれ角とほぼ一致する角度で、かつ溝底に丸みがあるように前記溝が形成され、前記ロータリカッタ加工素材の前記溝内で形成された硬質材の前記ロータリカッタ円周方向縁辺に前記凹状フルートが一致するように、前記ロータリカッタ加工素材が前記角度とほぼ等しい角度で研削されることにより、前記硬質材の前記縁辺が前記凹状フルートに臨んで成すエッジと前記ロータリカッタの半径方向が成すすくい角に沿って硬質材の切刃を形成し、かつ、前記溝を前記ロータリーカッタ加工素材の半径方向の線から傾斜させて前記凹状フルートと整合させるとともに、前記溝の互いに角度を形成する側壁を前記丸みのある溝底へ移行するように構成することを特徴とするダイヤモンドロータリカッタの形成方法。
【請求項6】前記溝として、この溝底の幅がロータリカッタ加工素材の表面の溝幅よりも狭い”V”字形溝を画定するように”V”字形に傾斜側壁をロータリカッタ加工素材に形成するステップを含み、前記傾斜側壁がカッタ表面に対する接線と正のすくい角を形成することを特徴とする請求項5記載のダイヤモンドロータリカッタの形成方法。
【請求項7】隣接する被切削物に対して正のすくい角度で溝を形成するステップを含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】隣接する被切削物に対して負のすくい角度で溝を形成するステップを含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項9】前記ロータリカッタの基端である第2端部をカッタ心棒にろう付けするステップを含むことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】第1及び第2の端部を有するロータリカッタ加工素材の側壁に少なくとも一対の溝を形成し、多結晶ダイヤモンド系および立方晶窒化ホウ素系のいずれかから選択された硬質材を前記溝内に固定したロータリカッタにおいて、前記溝が、この溝に隣接させて前記ロータリカッタ加工素材に形成されるフルートのねじれ角と合致する角度に沿って半径方向に傾斜する側面を有する彫り込みによって形成され、次いで、前記溝内にある前記硬質材の前記ロータリカッタ円周方向縁辺に前記隣接するフルート間の凹状フルートが一致するように前記ロータリカッタ素材を研削することにより、前記溝内に形成された硬質材によって形成される傾斜前縁に沿って前記フルート及び切刃を形成するとともに、前記溝の方向が、前記切削面に対する接線と正のすくい角を形成するように設定されているとともに、当該溝の溝底に丸みが形成され、前記溝の互いに角度を形成する側壁は前記丸みのある溝底へ移行するように構成されてなることを特徴とするダイヤモンドロータリカッタ。」
と訂正するものである。

5.訂正拒絶理由の内容
前記訂正拒絶理由は、
本件訂正請求によって訂正された特許請求の範囲について、請求項4及び請求項6は、引用する請求項1及び請求項5の訂正に伴い訂正されることとなったが、請求項1及び請求項5において限定された事項と、請求項4及び請求項6で限定された事項を共に満たす実施例は、願書に添付された明細書又は図面に記載されておらず、当該訂正請求は願書に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものとは認められないから、平成6年法律第116号による改正前の特許法第134条第2項ただし書きに規定する要件に適合しない。したがって、この訂正請求は、拒絶すべきものと認める、
というものである。

6.訂正請求の要件に対する判断
審判被請求人は、前記訂正拒絶理由の通知に対して、指定された期間を経過しても、何らの応答をしていない。
前記訂正拒絶理由通知について検討する。
本件訂正請求によって、訂正された特許請求の範囲第4項は、以下のとおりである。
「【請求項4】前記溝をV型に形成し、カッタ面に対する接線と正のすくい角を形成するように切刃前縁の方向を設定したことを特徴とする請求項1記載のダイヤモンドロータリカッタ。」
そして、請求項4が引用する請求項1は、前記訂正請求により、以下のとおり訂正された。
「【請求項1】第1及び第2の端部を有するロータリカッタ加工素材の側壁に少なくとも一対の溝を形成し、多結晶ダイヤモンド系および立方晶窒化ホウ素系のいずれかから選択された硬質材を前記溝内に固定したロータリカッタにおいて、前記溝がこの溝のそれぞれに隣接させて前記ロータリカッタ加工素材に形成されるフルートのねじれ角と合致する角度に沿って半径方向の彫り込みによって形成され、次いで、前記溝内にある前記硬質材の前記ロータリカッタ円周方向縁辺に前記隣接するフルートの間の凹状フルートが一致するように、前記ロータリカッタ加工素材を研削してなり、この硬質材によって形成される傾斜前縁に沿って前記フルート及び切刃を形成するとともに、前記溝の溝底に丸みが形成されてなり、かつ前記溝を前記ロータリーカッタ加工素材の半径方向の線から傾斜させて前記凹状フルートと整合してなるとともに、前記溝の互いに角度を形成する側壁は前記丸みのある溝底へ移行するように構成されてなることを特徴とするダイヤモンドロータリカッタ。」
したがって、訂正がされた請求項4に記載された発明の「溝」の構成は、「ロータリーカッタ加工素材の半径方向の線から傾斜させ」るとともに、「V型に形成し」たものと認められる。
一方、特許明細書には、段落【0024】に、「図7に示す実施態様では、PCDを詰められるロータリカッタ心棒312の溝318を半径方向の線から傾斜させて凹状フルート314と整合させる。さらにまた、ダイヤモンド材330の切刃332は(図示しない)隣接の被工作物に対して正のすくい角を形成する。角度“B”は切刃332のすくい角度である。」と記載され、段落【0027】及び段落【0028】に、「図8に示す実施例ではロータリカッタ410の加工素材412に“V”字形の溝418を形成し、“V”字の底に丸み421が与えてある。上記実施例における底331(図7)同様、底に丸み421を与えることで、図3の説明で上記したように、確実に空隙を発生させず粉体ダイヤモンドをしっかり充填することができる。この実施例でも切削面419は正のすくい角を形成するから、隣接する(図示しない)被切削物に対して切刃432が正のすくい角を、即ち、カッタ面に対する切線との間に正のすくい角を形成する。ここでもフルートは切削面419に沿って形成され、底417のレベルでダイヤモンド切削面419から移行するから、先に述べたように、フルート形成工程及びダイヤモンド刃付け工程において、切粉として除かれるダイヤモンドの量は極めて少ない。」と記載され、それぞれ、ロータリーカッタ加工素材の半径方向の線から傾斜させた溝318、及びV字形状の溝418が記載されている。以上の記載からすれば、溝を半径方向から傾斜させた第7図に示された実施例は、その傾斜角をすくい角と合わせることにより、ダイヤモンド材の切れ刃が正のすくい角を形成するようにしたものであり、第8図に示された実施例は、溝の形状を、すくい角と合わせるようにV型にすることにより、ダイヤモンド材のV型の切刃が正のすくい角を形成するようにしたものと認められる。そして、発明の詳細な説明及び図面には、第7図及び第8図と前記段落【0024】【0027】及び【0028】の他には、半径方向から傾斜させた溝及びV型の溝について言及したものはない。
そうすると、溝の形状を半径方向から傾斜させ、かつV型としたものについては、願書に添付した明細書又は図面のいずれにも直接記載されておらず、また、これを示唆する記載もない。
したがって、請求項4に係る発明は、願書に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものとは認められないから、本件訂正請求は、平成6年法律第116号による改正前の特許法第134条第2項ただし書きに規定する要件に適合しない。
よって当該訂正は、認められない。

7.本件特許発明と、本件特許に係る出願の出願前の公知発明の認定
(1)本件特許発明
本件特許の請求項1ないし10に係る発明は、願書に添付した明細書(前記前回訂正請求によって訂正された明細書)及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載されたとおりの
「【請求項1】第1及び第2の端部を有するロータリカッタ加工素材の側壁に少なくとも一対の溝を形成し、多結晶ダイヤモンド系および立方晶窒化ホウ素系のいずれかから選択された硬質材を前記溝内に固定したロータリカッタにおいて、前記溝がこの溝のそれぞれに隣接させて前記ロータリカッタ加工素材に形成されるフルートのねじれ角と合致する角度に沿って半径方向の彫り込みによって形成され、次いで、前記溝内にある前記硬質材の前記ロータリカッタ円周方向縁辺に前記隣接するフルートの間の凹状フルートが一致するように、前記ロータリカッタ加工素材を研削してなり、この硬質材によって形成される傾斜前縁に沿って前記フルート及び切刃を形成するとともに、前記溝の溝底に丸みが形成されてなることを特徴とするダイヤモンドロータリカッタ。
【請求項2】前記溝の方向を、カッタ面に対する接線と正のすくい角を形成するように設定したことを特徴とする請求項1記載のダイヤモンドロータリカッタ。
【請求項3】前記溝の方向を、カッタ面に対する接線と負のすくい角を形成するように設定したことを特徴とする請求項1記載のダイヤモンドロータリカッタ。
【請求項4】前記溝をV型に形成し、カッタ面に対する接線と正のすくい角を形成するように切刃前縁の方向を設定したことを特徴とする請求項1記載のダイヤモンドロータリカッタ。
【請求項5】切削端を第1端部とし基部を第2端部とするロータリカッタ加工素材を形成し、第1の切削端部から第2の基端部に向かってロータリカッタ加工素材の側面に少なくとも一対の溝を形成し、このロータリカッタ加工素材に形成された前記溝に、多結晶ダイヤモンド系および立方晶窒化ホウ素系のいずれかから選択された硬質材を充填し、前記溝内の前記硬質材を多結晶硬質材を形成するのに十分な高圧プレス内で焼結し、ほぼ前記溝の縁端においてロータリカッタ加工素材に凹状フルートを形成するステップを含むロータリカッタの形成方法において、前記溝が半径方向に向けて彫り込まれ、次いでロータリカッタ加工素材に形成される凹状フルートのねじれ角とほぼ一致する角度で、かつ溝底に丸みがあるように前記溝が形成され、前記ロータリカッタ加工素材の前記溝内で形成された硬質材の前記ロータリカッタ円周方向縁辺に前記凹状フルートが一致するように、前記ロータリカッタ加工素材が前記角度とほぼ等しい角度で研削されることにより、前記硬質材の前記縁辺が前記凹状フルートに臨んで成すエッジと前記ロータリカッタの半径方向が成すすくい角に沿って硬質材の切刃を形成することを特徴とするダイヤモンドロータリカッタの形成方法。
【請求項6】前記溝として、この溝底の幅がロータリカッタ加工素材の表面の溝幅よりも狭い”V”字形溝を画定するように”V”字形に傾斜側壁をロータリカッタ加工素材に形成するステップを含み、前記傾斜側壁がカッタ表面に対する接線と正のすくい角を形成することを特徴とする請求項5記載のダイヤモンドロータリカッタの形成方法。
【請求項7】隣接する被切削物に対して正のすくい角度で溝を形成するステップを含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】隣接する被切削物に対して負のすくい角度で溝を形成するステップを含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項9】前記ロータリカッタの基端である第2端部をカッタ心棒にろう付けするステップを含むことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】第1及び第2の端部を有するロータリカッタ加工素材の側壁に少なくとも一対の溝を形成し、多結晶ダイヤモンド系および立方晶窒化ホウ素系のいずれかから選択された硬質材を前記溝内に固定したロータリカッタにおいて、前記溝が、この溝に隣接させて前記ロータリカッタ加工素材に形成されるフルートのねじれ角と合致する角度に沿って半径方向に傾斜する側面を有する彫り込みによって形成され、次いで、前記ロータリカッタ素材を研削することにより、前記溝内に形成された硬質材によって形成される傾斜前縁に沿って前記フルート及び切刃を形成するとともに、前記溝の方向が、前記切削面に対する接線と正のすくい角を形成するように設定されているとともに、当該溝の溝底に丸みが形成されてなることを特徴とするダイヤモンドロータリカッタ。」にあるものと認める。

(2)断面V字状の螺旋溝の公知性
(2-1)審判請求人は、甲第3号証の陳述書に添付した資料1には、エンドミル用のブランク素材の外周面に形成された断面V字状の螺旋溝が示されており、資料1は、本件特許の出願前に、東芝タンガロイ株式会社の山家が作成し、審判請求人にFAXしたものであって、両者においてCBNを焼結したブランク素材の内容について第三者に対し秘密を守るべき義務は存在しないから、資料1に記載された内容は、本件特許出願の出願前に公然知られたものである旨主張するので、判断する。
a.審判請求人は、前記甲第3号証の資料1に関し、以下イ〜ト及びリ〜ヲのとおりの事実を主張する。
イ.1990年2月7日に、審判請求人は、ねじれ刃を有する切削工具及びその製造方法の発明について、特許出願をした(甲第4号証参照)。
ロ.1990年6月に、請求人西村は、被請求人の会社のKenneth.M.Thoianと会い、螺旋溝にPCD等を詰めて焼結したブランク材の製作を依頼した。
ハ.同月、被請求人の子会社であるメガダイヤモンドから螺旋溝にPCDを焼結したブランク材の図面(甲第6号証)が届けられた。
ニ.1990年8月に、請求人は、メガダイヤモンドから仲介業者ダイナミックツール株式会社を介して、上記図面のエンドミルブランク材を購入した。
ホ.1990年6月に、取引相手の要望に添った寸法図面(甲第8号証)を作成し、その後松下電器産業株式会社と接触した。
ヘ.1991年5月に、メガダイヤモンドの仲介業者であるダイナミックツールがブランク材を他の工具メーカーに販売した。
ト.1991年7月に、東芝タンガロイ株式会社の山家菱(以下、「山家」という。)と図面(甲第3号証添付の資料1)のやりとりがされた。
チ.1991年8月16日に、本件特許に係る出願の優先権の主張の基礎となる米国出願がされた。
チ.1991年12月25日及び1992年1月10日に、東芝タンガロイ株式会社と価格交渉が行われた。
リ.1992年2月に、東芝タンガロイ株式会社との間で、ブランク材の寸法規格が決定された。
ヌ.1992年9月に、松下電器がPCDエンドミルを購入した。
ル.1992年10月13日に、東芝タンガロイ株式会社に工具を販売した。
ヲ.1992年12月に、メガダイヤモンドのブランク材を用いて大見工業が工具を販売した。
b.甲第3号証の山家の陳述書には、以下の事項が記載されている。
イ.平成3年4月の初旬、請求人西村から切削工具用ブランク素材に形成されたらせん状の溝内にCBNやPCDを焼結固着してほしいとの依頼があったこと。
ロ.東芝タンガロイ株式会社において提供された溝付きブランクを使用して試験的な焼結を行い、最適な溝の形状を検討し、底部をR状とした断面V字状にしたものが最適であることを見出したこと。
ハ.その結果を請求人西村に連絡し、甲第3号証添付の資料1の設計図を作成し、請求人に送付したこと。
ニ.請求人西村から、ブランク素材から製造される切削工具については、既に特許出願している旨話があったこと。
(2-2)請求人西村の当事者尋問においても、概ね前記(2-1)a.イ〜ト及びリ〜ヲのとおり証言している。そこで、審判請求人が主張する前記事実及び甲第3号証記載の事項をもとに、甲第3号証添付の資料1の内容が本件特許の出願前に公知であったか否かについて判断する。
a.一般に、甲が自ら製造販売する製品の部品について、乙に製造を依頼した場合、当事者間に明示の守秘義務の契約がされていなくても、社会通念上両者の間には、黙示の守秘義務の契約がされていると解するのが相当である。
しかしながら、既に秘密でないことを両者が認識している事項についてまでも、守秘義務があったと解することはできない。
b.そこで、甲第3号証添付の資料1に記載された事項が、既に秘密がないと請求人及び山家が認識できるものであるか否かについて検討する。上記(2-1)a.及びb.の事実からすれば、以下のイ〜ニの事実を認定することができる。
イ.溝付きブランクにダイヤモンド等の硬質材を固着し、その後フルート溝を形成した工具の製造方法について、本件特許に係る出願の優先権主張の日前に、特許出願がされていたことは甲第4号証から明らかであるが、甲第4号証には、第3図に断面矩形状の溝が記載されているのみであって、硬質材を埋め込む溝の形状をV字状にしたものは開示されていない。
ロ.請求人西村は、前記(2-1)a.ハ.のとおり、本件特許に係る出願の優先権主張の日前に、被請求人の子会社であるメガダイヤモンドから螺旋溝にPCDを焼結したブランク材の図面を受け取っているが、甲第6号証には、溝の形状について断面半円状のブランク材の図面が示されているのみである。
ハ.請求人西村は、前記(2-1)a.ホ.のとおり、本件特許に係る出願の優先権主張の日前に、取引相手の要望に添った寸法図面を作成し、その後松下電器産業株式会社と接触しているが、甲第8号証のエンドミルの図面には、溝の形状が示されていない。
ニ.審判請求人は、溝付きブランクにダイヤモンド等の硬質材を焼結固着する技術を持っているとは認められない。
以上のイ〜ニの事実からすると、審判請求人が東芝タンガロイ株式会社に、切削工具用ブランク素材に形成された螺旋状の溝にCBNやPCDを焼結固着してほしいとの依頼がされる以前に、審判請求人が溝の形状をV溝にすることを知っていたという事実を認めることはできない。甲第3号証添付の資料1の図面中、溝の形状をV字状とした点については、むしろ、山家が創作したと解するのが相当であって、少なくとも、山家が審判請求人西村から知得し、これを既に秘密の状態にはなかったと認識していたと認めることはできない。
請求人西村のその他の証言によっても、前記認定を覆す事実は、認めることができない。
したがって、審判請求人の主張する前記(2-1)a.イ〜ト及びリ〜ヲの事実並びに甲第3号証及び請求人西村の当事者尋問の結果によっては、甲第3号証添付の資料1の内容の内、V字形状の溝については、本件特許の出願前に公知であったと認めることはできない。

(3)引用刊行物に記載された発明
甲第1号証及び甲第2号証には、以下のとおりの発明が記載されている。
甲第1号証には、「発明の概要 本発明の目的はダイヤモンド切削面を持つ螺旋フルート溝付きエンドミルを提供することである。さらに詳細には、本件発明の目的は、フルート溝に成形された多結晶ダイヤモンドを満たした螺旋溝を有する螺旋フルート付きエンドミルを提供することである。本発明のその他の目的は、螺旋フルート溝に沿って形成されている溝に多結晶ダイヤモンド粉末を固着する方法を提供するものである。この発明は、第一の切削端部と第二の底端部を有する第一のミルブランクを備えた螺旋フルート溝付きエンドミルから構成される。このミルブランクはさらに少なくとも一組のフルート溝を有し、比較的粘性の強い材料で形成されている。ダイヤモンド粉末材は溝内に詰め込まれて、プレス内で焼結される。このミルブランクは、その底端部でミルシャンクに冶金結合され、フルート溝付きエンドミル切削工具が完成する。従って、本件発明が先行技術に優る有利な点は、エンドミルのフルート溝の螺旋部内にダイヤモンドを採用したことである。」(甲第1号証翻訳文第4頁6-21行目)、「図1の10のように構成されたダイヤモンドエンドミルは、通常、例えば本体の外周面に等間隔に設けた4本のフルート溝14を有するエンドミルブランク本体12から構成される。エンドミルのこの本体12は、例えば、タングステンカーバイドのような硬質で粘性の高い材料から作られる。溝18は、フルート溝14の前縁に形成されている。焼結多結晶ダイヤモンド30は螺旋状に形成された溝18にプレスされる。ドリルブランク12のフルート溝14に隣接して形成された溝18内にプレスされた焼結ダイヤモンド材に、切刃32は切削形成される。タングステンカーバイドドリルブランクは、つぎに、スチール製あるいはカーバイド製のドリルシャンク16と接続部17で冶金結合することができる。冶金結合は、例えば、ろう付けである。次に、図2に移ると、ミル10の端部13には、フルート溝14間の前縁15を形成している溝18が示されている。多結晶ダイヤモンド(PCD)が溝18内に詰め込まれ焼結されている。フルート溝14と切刃32は、焼結工程(図6にその概要を図示している)が完了した後に、この多結晶ダイヤモンド(PCD)材に形成される。次に、図3をみると、タングステンカーバイドドリルブランク本体12には、例えば、螺旋形状に形成された4本の溝18が設けられている。フルート溝14は、ダイヤモンドを溝18に焼結した後でミル本体に形成される。螺旋状に形成された溝18は、ブランク12の外周壁にそって等間隔に設けられており、成形されたPCD粉末の収容部分となる。螺旋溝18の側壁20は溝18丸みのある底部へと延びているのが好ましい。同一形状の側壁20が他の溝にも設けられている。この溝18の底部を丸くした理由は、多結晶ダイヤモンド粉末材を空隙なく溝に確実に詰め込むためである。」(同第5頁7行目-第6頁2行目)、「第1端部、第2端部を有するカッターブランクの周壁に、前記第1及び第2端部間に延在する少なくとも一組の溝が設けられ、前記周壁に設けられた溝にはダイヤモンド材が固着され、このダイヤモンド材とカッターブランクは、その後の行程で機械加工されて、前記ダイヤモンド材が作る前縁に沿って切刃が形成されているダイヤモンド回転カッター」(同第10頁2-6行目)及び「第1の切削端部と第2の底端部を有すると共に、この第1の切削端部から底端部へ向かって延びる少なくとも一組の螺旋フルート溝を有する、硬質金属のエンドミルブランクを形成する工程、前記フルート溝に、第1の切削端部と底端部の間において実質的にこのフルート溝の螺旋に従って延びる少なくとも一組の溝を形成する工程、前記エンドミルブランクのフルート溝に形成された溝にダイヤモンド材を充填する工程、前記ダイヤモンド材をプレス機中で前記エンドミルブランクの溝に固着する工程、前記エンドミルブランク材の溝に焼結されたダイヤモンド材を研磨して焼結ダイヤモンド材の前縁に沿って沿ってダイヤモンド切刃を設ける工程、からなるダイヤモンドエンドミルの製造工程。」(同第11頁12-23行目)と記載され、図5には、断面略半円形状の溝18が示されていることから、甲第1号証には、「第1及び第2の端部を有するエンドミルブランクの周壁に前記第1及び第2端部間に延在する、ブランクの半径方向に断面略半円状とした一組の溝が設けられ、焼結多結晶ダイヤモンドが前記周壁に設けられた溝に固着され、前記溝がフルート溝間の前縁側に螺旋状に設けられ、フルート溝がダイヤモンドを焼結した後にミル本体及び焼結多結晶ダイヤモンドに研削により形成され、前記溝は丸みのある底部となっているダイヤモンドエンドミル」(以下、「引用発明1」という。)、「第1の切削端部と第2の底端部を有するエンドミルブランクを形成し、この第1の切削端部から底端部へ向かって延びる一組の螺旋フルート溝が後に形成される、硬質金属のエンドミルブランクを形成し、前記フルート溝に、第1の切削端部と底端部の間において実質的にこのフルート溝の螺旋に従って延びる、ブランクの半径方向に断面略半円状とした一組の溝を底に丸みがあるように形成し、前記エンドミルブランクのフルート溝に形成された溝に焼結多結晶ダイヤモンドを充填し、前記焼結多結晶ダイヤモンドをプレス機中で前記エンドミルブランクの溝に焼結し、その後フルート溝を機械加工により形成し、前記エンドミルブランク材の溝に焼結されたダイヤモンドを研磨して焼結多結晶ダイヤモンドの前縁に沿ってダイヤモンド切刃を設け、さらにミルシャンクをエンドミルブランクの第2の底端部にろう付する工程を含むダイヤモンドエンドミルの製造方法。」(以下、「引用発明2」という。)及び「第1端部、第2端部を有するエンドミルブランクの周壁に、前記第1及び第2端部間に延在する一組の溝が設けられ、前記周壁に設けられた螺旋状の溝には焼結多結晶ダイヤモンドが固着され、その後、前記焼結多結晶ダイヤモンドとエンドミルブランク材にフルート溝及び切刃が研削により形成され、前記溝は丸みのある底部となっているダイヤモンドエンドミル」(以下、「引用発明3」という。)の発明が記載されていると認められる。
甲第2号証には、「研磨粒子、例えば、ダイヤモンドあるいは立方体窒化ホウ素を好適なバインダー(例えば、パラフィン)と混合して、円錐端を含む溝を完全に充填するように詰め込む。・・・粒子はこの焼結工程において粒子相互にかつ超硬合金に直接的に結合し、研磨体が完全に焼結すると、ブランクはプレスから取り出される。図2に示すように、ここでできる混合焼結研磨体の先端は、埋設される先端を横切る十分に焼結された研磨粒子からなる研磨脈を具備した超硬合金の筒体によって形成される。」(甲第2号証抄訳第1頁3-10行目)、「・・・図4に示すように、機械加工あるいは研削されて、螺旋フルート溝18が先端部及び減径部へと延びている。フルート溝は、研磨脈のどちらかの側の超硬合金の円錐端から始まり、先端部を螺旋角で回っている。図6に示すように、研磨脈は、ドリルのウエブ19及びランド20,21を形成する。脈のテーパー部は、突出するエッジ22,23をもたらし、これらエッジがドリルのカッティングリップを構成する。フルート溝形成時に超硬合金は取除かれ、研磨脈部分が露出してフルート溝部の構成壁となる。エッジ22,23の背後にあるウエッブには、先端部を入れて焼結する金型のキャップ部をそのような形状とすることによって、あるいは、焼結後に研磨することによって、適当な角度あるいは傾斜が設けられている。ドリルのデザインにより、リブ24,25は、焼結工程で形成され、その後、ランド20,21の残留部分を研削して超硬合金を取除いて露出するようにできる。研磨脈は研削するには非常に硬く、研削が非常に困難で時間がかかるものである。従って、ドリルに好ましい仕上げ形状にできるだけ近い形に形作った後に焼結することが好ましい。」(同第1頁11-25行目)及び「先端部の構造の他の実施例が図7,8に示されている。図7a,7bの実施例においては、先端部27の端部を横切って延び、両サイドにおいて僅かに下がっている浅い溝に、研磨脈が充填されている。一方、図8a,8b,8cの実施例においては、研磨脈は不連続に設けられたセグメント28,29であり、ブランク材の直径の両端であって先端部30の端部に形成されている溝部内に充填されている。この溝部は、先端部の角に形成され、溝部の深さは研磨脈が先端部の端部の少なくとも一部分を横切って露出するとともに先端部の両サイドに沿って露出するのに十分な深さである。溝の両部分の縁31は、フルート溝方向に螺旋角で好ましくテーパー付けられている。従って、溝部に充填されている研磨脈セグメントのリーディングエッジは、フルート溝が研削されると、そのフルート溝に適合することになる。図7、8の実施例において、研磨脈は先端部の先端に位置し、先端部の端部で、両サイドに沿って露出している。フルート溝を研削し、先端部を尖らせると、研磨脈がドリルのカッティング面を形成する。こうして、研磨材が設けられている角部において、ドリルのカッティング作用が最大になり、その結果の生じる摩耗も最大になる。図8の実施例では、溝部は超硬合金の部分として分割されて図示してあるが、この溝部は、場合によっては、当該部分を引き延ばし、その結果部分は研磨脈となるが、こうして、先端部の端部を連続して横切るようにすることが望ましい。図8、7の実施例において、図1、2と同様に、研磨混合材は溝に充填され、この一体になったブランク材と研磨材がモールド内に置かれて、高圧・高温プレスで焼結される。先端部は、次に、シャンク部の減径部に取付けられて、ドリルの本体にフルート溝が形成される。先端部の端部が次に尖らされて、仕上げをされ、ドリルが完成する。」(同第2頁1-23行目)と記載されており、甲第2号証には、「超硬合金ドリルの先端部に形成された溝に、ダイヤモンドを適当なバインダーと混合して、充填して詰め込み、焼結によって研磨脈を形成して超硬合金と結合した後、フルート溝を形成して超硬合金を取除き、研磨脈部分を露出してフルート溝部の構成壁とするドリルにおいて、研磨脈は、研削が困難なので、ドリルに好ましい仕上げ形状にできるだけ近い形状に形作った後に焼結する」ことが記載されていると認められる。

8.本件特許発明と、引用刊行物との対比・判断
(1)請求項1に係る発明
本件特許の請求項1に係る発明と前記引用発明1とを対比すると、引用発明1の「エンドミル」、「エンドミルブランク」、「エンドミルブランクの周壁」及び「焼結多結晶ダイヤモンド」は、請求項1に係る発明の「ロータリカッタ」、「ロータリカッタ加工素材」、「ロータリカッタ加工素材の側壁」及び「多結晶ダイヤモンド系の硬質材」に相当し、引用発明1の如く「溝がフルート溝間の前縁側に設けられる」ことは、フルートが形成されることにより、硬質材によって形成される前縁に沿ってフルート及び切刃が形成されることとなるから、両者は、「第1及び第2の端部を有するロータリカッタ加工素材の側壁に少なくとも一対の溝を形成し、多結晶ダイヤモンド系の硬質材を前記溝内に固定したロータリカッタにおいて、前記溝がこの溝のそれぞれに隣接させて前記ロータリカッタ加工素材に形成されるフルートのねじれ角と合致する角度に沿って半径方向に形成され、次いで、前記ロータリカッタ加工素材を研削して、この硬質材によって形成される傾斜前縁に沿って前記フルート及び切刃を形成するとともに、前記溝の溝底に丸みが形成されてなることを特徴とするダイヤモンドロータリカッタ。」の点で一致し、請求項1に係る発明は、「溝が半径方向の彫り込みによって形成」されるのに対し、引用発明1では、溝の形成方法が特定されていない点(以下、「相違点1」という。)及び請求項1に係る発明は、「溝内にある硬質材のロータリーカッタ円周方向縁辺に隣接するフルートの間の凹状フルートが一致するようにロータリーカッタ加工素材を研削する」ものであるのに対し、引用発明1では、溝内のダイヤモンド材の前縁と研削されるフルートとの関係が特定されていない点(以下、「相違点2」という。)で相違する。
相違点1について判断する。
金属材料の素材に溝を形成するに際し、切削工具等で削って形成することは、普通に行われているから、引用発明1において、溝を形成するに際し、彫り込みで行うことは、単なる設計的事項にすぎない。
相違点2について判断する。
請求項1に係る発明の「溝内にある硬質材のロータリーカッタ円周方向縁辺に隣接するフルートの間の凹状フルートが一致するようにロータリーカッタ加工素材を研削する」の構成は、凹状フルートを研削除去することで硬質材の円周方向縁辺を露出させ、切刃を形成することを意味すると解されるところ、甲第2号証には、ダイヤモンドを焼結した研磨脈によって切刃を構成するに際し、研磨脈の研削を避けるために、仕上げ形状に近い形に研磨脈を形成した後焼結することが記載されおり、甲第2号証に記載されたものは、引用発明1と同様、回転工具であるドリルブランク材に溝を形成し、この溝内にダイヤモンドを充填して焼結して研磨脈となし、その後ドリル本体にフルート溝を研削して、研磨脈が工具のカッティングエッジを構成するものであるから、甲第2号証に記載された技術を、引用発明1に適用し、焼結ダイヤモンドの前縁をロータリーカッタの切刃にできる限り近い形状とし、請求項1に係る発明のごとく構成することは、当業者が容易に構成することができたものである。
そして、請求項1に係る発明は、引用発明1及び甲第2号証に記載されたものから予測し得ない格別の効果を奏するものとも認められない。
したがって、本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された引用発明1及び甲第2号証に記載されたものに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)請求項2に係る発明について
請求項2に係る発明と、引用発明1とを対比すると、両者は、前記相違点1及び2に加え、請求項2に係る発明が、溝の方向を、カッタ面に対する接線と正のすくい角を形成するように設定したのに対し、引用発明1では、溝の方向は、エンドミルブランクの半径方向に形成されている点(以下、「相違点3」という。)で相違する。
相違点3について判断する。
ロータリーカッタにおいて、すくい角は、被削材の材質、切削条件等に応じて、正負いずれかに適宜選択されるものである。そして、切刃に正のすくい角を形成した場合に、焼結された前縁をロータリーカッタの切刃に近い形状に形作るためには、ダイヤモンドが固定される溝のフルート凹部に面するカッタ面に対する接線と正のすくい角を形成するように、溝の前縁を形成する必要があることは、当業者が当然に認識することができるものであり、一方、一つの面が、カッタ面に対する接線と所定の角度をなす溝を形成するに際し、その溝の方向を、カッタ面に対する接線と所定の角度をなすようにして形成することは、普通に採用する手段と認められるから、溝の方向をカッタ面に対する接線と正のすくい角を形成するように設定することは、引用発明1の溝に焼結された前縁がロータリーカッタの正のすくい角を形成する切刃に近い形状に形作り、凹状フルートを研削除去することで硬質材の円周方向縁辺を露出させ、切刃を形成するに際し、当業者が容易に採用することができたものである。
したがって、本件特許の請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された引用発明1及び甲第2号証に記載されたものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)請求項3に係る発明について
請求項3に係る発明と、引用発明1とを対比すると、両者は、前記相違点1及び2に加え、請求項3に係る発明が、溝の方向を、カッタ面に対する接線と負のすくい角を形成するように設定したのに対し、引用発明1では、溝の方向は、エンドミルブランクの半径方向に形成されている点(以下、「相違点4」という。)で相違する。
相違点4について判断する。
ロータリーカッタにおいて、すくい角は、被削材の材質、切削条件等に応じて、正負いずれかに適宜選択されるものである。そして、切刃に負のすくい角を形成した場合に、焼結された前縁をロータリーカッタの切刃に近い形状に形作るためには、ダイヤモンドが固定される溝のフルート凹部に面するカッタ面に対する接線と負のすくい角を形成するように、溝の前縁を形成する必要があることは、当業者が当然に認識することができるものであり、一方、一つの面が、カッタ面に対する接線と所定の角度を形成する溝を形成するに際し、その溝の方向を、カッタ面に対する接線と所定の角度をなすようにして形成することは、普通に採用する手段と認められるから、溝の方向をカッタ面に対する接線と負のすくい角を形成するように設定することは、引用発明1の溝に焼結された前縁がロータリーカッタの正のすくい角を形成する切刃に近い形状に形作り、凹状フルートを研削除去することで硬質材の円周方向縁辺を露出させ、切刃を形成するに際し、当業者が容易に採用することができたものである。
したがって、本件特許の請求項3に係る発明は、甲第1号証に記載された引用発明1及び甲第2号証に記載されたものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)請求項4に係る発明について
請求項4に係る発明と、引用発明1とを対比すると、両者は、前記相違点1及び2に加え、請求項4に係る発明が、溝の形状をV字型に形成し、カッタ面に対する接線と正のすくい角を形成するように切刃前縁の方向を設定したのに対し、引用発明1では、溝の断面が略半円状である点(以下、「相違点5」という。)で相違する。
相違点5について判断する。
溝の形状をV字形状にすることは、甲第1号証及び甲第2号証のいずれにも記載されていない。
そして、ロータリー工具のカッタ面に対する接線と正のすくい角を形成するに際し、ダイヤモンドが固定される溝のV字形状の一側面を利用することを示唆する記載も、甲第1号証及び甲第2号証のいずれにも記載されておらず、かつ他にこれが容易であるとする根拠もない。

(5)請求項5に係る発明について
請求項5に係る発明と、引用発明2とを対比すると、引用発明2の「底端部」、「エンドミル」、「エンドミルブランク」、及び「焼結多結晶ダイヤモンド」は、請求項1に係る発明の「基部」、「ロータリカッタ」、「ロータリカッタ加工素材」、及び「多結晶ダイヤモンド系の多結晶硬質材」に相当し、引用発明2の如く「エンドミルブランク材の溝に焼結された焼結多結晶ダイヤモンドの前縁に沿ってダイヤモンド切刃を設ける」ことは、ロータリーカッタ加工素材の溝内で形成された硬質材の縁辺が凹状フルートに望んでなすエッジとロータリカッタの半径方向がなすすくい角に沿って硬質材の切刃を形成するであるから、両者は、「切削端を第1端部とし基部を第2端部とするロータリカッタ加工素材を形成し、第1の切削端部から第2の基端部に向かってロータリカッタ加工素材の側面に少なくとも一対の溝を形成し、このロータリカッタ加工素材に形成された前記溝に、多結晶ダイヤモンド系および立方晶窒化ホウ素系のいずれかから選択された硬質材を充填し、前記溝内の前記硬質材を多結晶硬質材を形成するのに十分な高圧プレス内で焼結し、ほぼ前記溝の縁端においてロータリカッタ加工素材に凹状フルートを形成するステップを含むロータリカッタの形成方法において、前記溝が半径方向に向けて彫り込まれ、次いでロータリカッタ加工素材に形成される凹状フルートのねじれ角とほぼ一致する角度で、かつ溝底に丸みがあるように前記溝が形成され、前記ロータリカッタ加工素材の前記溝内で形成された硬質材の前記ロータリカッタ円周方向縁辺に前記凹状フルートが一致するように、前記ロータリカッタ加工素材が前記角度とほぼ等しい角度で研削されることにより、前記硬質材の前記縁辺が前記凹状フルートに臨んで成すエッジと前記ロータリカッタの半径方向が成すすくい角に沿って硬質材の切刃を形成することを特徴とするダイヤモンドロータリカッタの形成方法。」の点で一致し、請求項5に係る発明は、「溝が半径方向に向けて彫り込まれる」されるのに対し、引用発明2では、溝の形成方法が特定されていない点(以下、「相違点6」という。)及び請求項1に係る発明は、「ロータリーカッタ加工素材の溝内で形成された硬質材のロータリーカッタ円周方向縁辺に凹状フルートが一致するように」ロータリーカッタ加工素材が研削されるものであるのに対し、引用発明2では、溝内のダイヤモンド材の前縁と研削されるフルートとの関係が特定されていない点(以下、「相違点7」という。)で相違する。
相違点6について判断する。
金属材料の素材に溝を形成するに際し、切削工具等で削って形成することは、普通に行われているから、引用発明2において、溝を形成するに際し、彫り込みで行うことは、単なる設計的事項にすぎない。
相違点7について判断する。
請求項5に係る発明の「ロータリーカッタ加工素材の溝内で形成された硬質材のロータリーカッタ円周方向縁辺に凹状フルートが一致するように」ロータリーカッタ加工素材が研削される構成は、凹状フルートを研削除去することで硬質材の円周方向縁辺を露出させ、切刃を形成することを意味すると解されるところ、甲第2号証には、ダイヤモンドを焼結した研磨脈によって切刃を構成するに際し、研磨脈の研削を避けるために、仕上げ形状に近い形に研磨脈を形成した後焼結することが記載されおり、甲第2号証に記載されたものは、引用発明2と同様、回転工具であるドリルブランク材に溝を形成し、この溝内にダイヤモンドを充填して焼結して研磨脈となし、その後ドリル本体にフルート溝を研削して、研磨脈が工具のカッティングエッジを構成するものであるから、甲第2号証に記載された技術を引用発明2に適用して、焼結ダイヤモンドの前縁をロータリーカッタの切刃にできる限り近い形状とし、請求項5に係る発明のごとく構成することは、当業者が容易に構成することができたものである。

(6)請求項6に係る発明について
請求項6に係る発明と、引用発明2とを対比すると、両者は、前記相違点6及び7に加え、請求項6に係る発明が、溝として、この溝底の幅がロータリカッタ加工素材の表面の溝幅よりも狭い”V”字形状溝を確定するように”V”字形に傾斜側壁をロータリカッタ加工素材に形成するステップを含み、前記傾斜側壁がカッタ表面に対する接線と正のすくい角を形成するようにしたのに対し、引用発明2では、溝の断面が略半円状である点(以下、「相違点8」という。)で相違する。
相違点8について判断する。
溝の形状をV字形状にすることは、甲第1号証及び甲第2号証のいずれにも記載されていない。
そして、ロータリー工具のカッタ面に対する接線と正のすくい角を形成するに際し、ダイヤモンドが固定される溝のV字形状の一側面を利用することを示唆する記載も、甲第1号証及び甲第2号証のいずれにも記載されておらず、かつ他にこれが容易であるとする根拠もない。

(7)請求項7に係る発明について
請求項7に係る発明と、引用発明2とを対比すると、両者は、前記相違点6及び7に加え、請求項7に係る発明が、隣接する被切削物に対して正のすくい角で溝を形成するものであるのに対し、引用発明2では、溝の方向は、エンドミルブランクの半径方向に半円状に形成されている点(以下、「相違点9」という。)で相違する。
相違点9について判断する。
ロータリーカッタにおいて、すくい角は、被削材の材質、切削条件等に応じて、正負いずれかに適宜選択されるものである。そして、切刃に正のすくい角を形成した場合に、焼結された前縁をロータリーカッタの切刃に近い形状に形作るためには、ダイヤモンドが固定される溝のフルート凹部に面するカッタ面に対する接線と正のすくい角を形成するように、溝を形成する必要があることは、当業者が当然に認識することができるものであり、一方、一つの面が、カッタ面に対する接線と所定の角度をなす溝を形成するに際し、その溝の方向を、カッタ面に対する接線と所定の角度をなすようにして形成することは、普通に採用する手段と認められるから、溝の方向をカッタ面に対する接線と正のすくい角を形成するように設定することは、引用発明2の溝に焼結された前縁がロータリーカッタの正のすくい角を形成する切刃に近い形状に形作り、凹状フルートを研削除去することで硬質材の円周方向縁辺を露出させ、切刃を形成するに際し、当業者が容易に採用することができたものである。
したがって、本件特許の請求項7に係る発明は、甲第1号証に記載された引用発明2及び甲第2号証に記載されたものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(8)請求項8に係る発明について
請求項8に係る発明と、引用発明2とを対比すると、両者は、前記相違点6及び7に加え、請求項8に係る発明が、隣接する被切削物に対して負のすくい角で溝を形成するものであるのに対し、引用発明2では、溝の方向は、エンドミルブランクの半径方向に半円状に形成されている点(以下、「相違点10」という。)で相違する。
相違点10について判断する。
ロータリーカッタにおいて、すくい角は、被削材の材質、切削条件等に応じて、正負いずれかに適宜選択されるものである。そして、切刃に負のすくい角を形成した場合に、焼結された前縁をロータリーカッタの切刃に近い形状に形作るためには、ダイヤモンドが固定される溝のフルート凹部に面するカッタ面に対する接線と負のすくい角を形成するように、溝を形成する必要があることは、当業者が当然に認識することができるものであり、一方、一つの面が、カッタ面に対する接線と所定の角度をなす溝を形成するに際し、その溝の方向を、カッタ面に対する接線と所定の角度をなすようにして形成することは、普通に採用する手段と認められるから、溝の方向をカッタ面に対する接線と負のすくい角を形成するように設定することは、引用発明2の溝に焼結された前縁がロータリーカッタの正のすくい角を形成する切刃に近い形状に形作り、凹状フルートを研削除去することで硬質材の円周方向縁辺を露出させ、切刃を形成するに際し、当業者が容易に採用することができたものである。
したがって、本件特許の請求項8に係る発明は、甲第1号証に記載された引用発明2及び甲第2号証に記載されたものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(9)請求項9に係る発明について
引用発明2の「ミルシャンク」は、請求項9の「カッタ心棒」に相当するから、請求項9で限定された構成は、引用発明2に記載されており、請求項5に係る発明と同様、甲第1号証に記載された引用発明2及び甲第2号証に記載されたものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(10)請求項10に係る発明について
請求項10に係る発明と、前記引用発明3とを対比すると、引用発明3の「エンドミル」、「エンドミルブランク」、「エンドミルブランクの周壁」及び「焼結多結晶ダイヤモンド」は、請求項1に係る発明の「ロータリカッタ」、「ロータリカッタ加工素材」、「ロータリカッタ加工素材の側壁」及び「多結晶ダイヤモンド系の硬質材」に相当し、引用発明1の如く「溝がフルート溝間の前縁側に設けられる」ことは、フルートが形成されることにより、硬質材によって形成される前縁に沿ってフルート及び切刃が形成されることとなるから、両者は、「第1及び第2の端部を有するロータリカッタ加工素材の側壁に一対の溝を形成し、多結晶ダイヤモンド系および立方晶窒化ホウ素系のいずれかから選択された硬質材を前記溝内に固定したロータリカッタにおいて、前記溝が、この溝に隣接させて前記ロータリカッタ加工素材に形成されるフルートのねじれ角と合致する角度に沿って半径方向に傾斜する側面を有する彫り込みによって形成され、次いで、前記ロータリカッタ素材を研削することにより、前記溝内に形成された硬質材によって形成される傾斜前縁に沿って前記フルート及び切刃を形成するとともに、前記溝の方向が、前記切削面に対する接線と正のすくい角を形成するように設定されているとともに、当該溝の溝底に丸みが形成されてなることを特徴とするダイヤモンドロータリカッタ。」の点で一致し、請求項10に係る発明は、溝が「彫り込みによって形成」されるのに対し、引用発明3では、溝の形成方法が特定されていない点(以下、「相違点11」という。)、請求項10に係る発明が、「溝内に形成された硬質材に依って形成される傾斜前縁に沿ってフルート及び切刃を形成する」ものであるのに対し、引用発明3では、溝内のダイヤモンドの前縁と研削されるフルートとの関係が特定されていない点(以下、「相違点12」という。)及び請求項10に係る発明が、溝が「半径方向に傾斜する側面を有」、「溝の方向が、切削面に対する接線と正のすくい角を形成するように設定されている」のに対し、引用発明3では、半円状の溝が半径方向に形成されている点(以下、「相違点13」という)で相違する。
相違点11について判断する。
金属材料の素材に溝を形成するに際し、切削工具等で削って形成することは、普通に行われているから、引用発明3において、溝を形成するに際し、彫り込みで行うことは、単なる設計的事項にすぎない。
相違点12について判断する。
請求項10に係る発明の「溝内に形成された硬質材に依って形成される傾斜前縁に沿ってフルート及び切刃を形成する」の構成は、凹状フルートを研削除去することで硬質材の円周方向縁辺を露出させ、切刃を形成することを意味すると解されるところ、甲第2号証には、ダイヤモンドを焼結した研磨脈によって切刃を構成するに際し、研磨脈の研削を避けるために、仕上げ形状に近い形に研磨脈を形成した後焼結することが記載されおり、甲第2号証に記載されたものは、引用発明3と同様、回転工具であるドリルブランク材に溝を形成し、この溝内にダイヤモンドを充填して焼結して研磨脈となし、その後ドリル本体にフルート溝を研削して、研磨脈が工具のカッティングエッジを構成するものであるから、甲第2号証に記載された技術を引用発明3に適用し、焼結ダイヤモンドの前縁をロータリーカッタの切刃にできる限り近い形状とし、請求項10に係る発明のごとく構成することは、当業者が容易に構成することができたものである。
相違点13について判断する。
ロータリーカッタにおいて、すくい角は、被削材の材質、切削条件等に応じて、正負いずれかに適宜選択されるものである。そして、切刃に正のすくい角を形成した場合に、焼結された前縁をロータリーカッタの切刃に近い形状に形作るためには、ダイヤモンドが固定される溝のフルート凹部に面するカッタ面に対する接線と正のすくい角を形成するように、溝を形成する必要があることは、当業者が当然に認識することができるものであり、一方、一つの面が、カッタ面に対する接線と所定の角度をなす溝を形成するに際し、その溝の方向を、カッタ面に対する接線と所定の角度をなすようにして形成することは、普通に採用する手段と認められるから、溝の方向をカッタ面に対する接線と正のすくい角を形成するように設定することは、引用発明1の溝に焼結された前縁がロータリーカッタの正のすくい角を形成する切刃に近い形状に形作り、凹状フルートを研削除去することで硬質材の円周方向縁辺を露出させ、切刃を形成するに際し、当業者が容易に採用することができたものである。
したがって、本件特許の請求項10に係る発明は、甲第1号証に記載された引用発明1及び甲第2号証に記載されたものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

9.結論
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし3、5及び7ないし10に係る発明は、本件特許に係る出願の出願前に米国において頒布された甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、本件特許の請求項4及び6に係る特許は、無効審判請求における審判請求人が主張する理由及び証拠によっては、無効とすることができない。
よって結論の通り審決する。
審判費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第64条を適用して、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-11-25 
結審通知日 2002-11-28 
審決日 2002-12-10 
出願番号 特願平4-208803
審決分類 P 1 112・ 121- ZE (B23C)
P 1 112・ 841- ZE (B23C)
P 1 112・ 06- ZE (B23C)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 八日市谷 正朗小椋 正幸  
特許庁審判長 小林 武
特許庁審判官 宮崎 侑久
加藤 友也
登録日 1999-06-04 
登録番号 特許第2934927号(P2934927)
発明の名称 ダイヤモンドロータリカッタ  
代理人 窪田 雅也  
代理人 吉田 哲  
代理人 辻本 一義  
代理人 稲葉 良幸  
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