ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C04B 審判 全部申し立て 2項進歩性 C04B 審判 全部申し立て 特39条先願 C04B |
---|---|
管理番号 | 1099649 |
異議申立番号 | 異議2002-71501 |
総通号数 | 56 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1997-07-22 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-06-14 |
確定日 | 2004-04-17 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3240308号「耐火被覆材及び耐火被覆層の形成方法及び耐火被覆構造体」の請求項1〜6に係る発明の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3240308号の請求項1〜6に係る発明の特許を維持する。 |
理由 |
I.手続の経緯 本件特許第3240308号は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴い平成8年9月11日(優先日:平成7年9月14日)に出願されたものであって、平成13年10月19日にその特許の設定登録がなされ、これに対して、平成14年6月14日付けで足立泰守より、その特許につき特許異議の申立がなされ、その後、当該特許異議の申立の主張を基に取消理由通知がなされ、これに対して、指定期間内である平成15年1月14日に明細書の訂正請求がなされたものである。 II.訂正の適否 II-1.訂正事項 平成15年1月14日付け訂正請求は、その訂正請求書に添付の訂正明細書に記載されるとおりの、次の(イ)〜(ヘ)の訂正を求めるものである。 (以下、訂正前の特許時の明細書を「特許明細書」といい、訂正請求書に添付された明細書を「訂正明細書」という。) 〈イ〉特許明細書の特許請求の範囲第1項における、 「鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材であって、・・・」を、 「鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材(押出成形し、湿熱養生したものを除く)であって、・・・」に訂正する。 〈ロ〉特許明細書の特許請求の範囲の請求項2における、 「鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材であって、・・・」を、 「鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材(押出成形し、湿熱養生したものを除く)であって、・・・」に訂正する。 〈ハ〉特許明細書の段落0007における、 「・・・鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材であって、・・・」を、 「・・・鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材(押出成形し、湿熱養生したものを除く)であって、・・・」に訂正する。 〈ニ〉特許明細書の段落0008における、 「鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材であって、・・・」を、 「請求項2の発明は、鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材(押出成形し、湿熱養生したものを除く)であって、・・・」 〈ホ〉特許明細書の段落0013における、 「(2)吸熱物質とは、・・・定義される。例えば、・・・,非発泡又は発泡ひる石などのシリカ-アルミナ物質や、・・・、サテンホワイト,エトリンジャイト,ドロマイト及び硼酸などの他の物質が含まれる。」を、 「(2)吸熱物質とは、・・・定義される。例えば、・・・,非発泡ひる石などのシリカ-アルミナ物質や、・・・、サテンホワイト,エトリンジャイト及び硼酸などの他の物質が含まれる。」に訂正する。 〈ヘ〉特許明細書の段落0046における、 「・・・合格することができる」を、 「・・・合格することができる。」に訂正する。 II-2.訂正の適否の判断 II-2-1.訂正の目的 上記〈イ〉及び〈ロ〉の訂正は、特許明細書の請求項1及び2において、耐火被覆材につき、「押出成形し、湿熱養生したものを除く」というものであって、耐火被覆材を限定するものであり、したがって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 上記〈ハ〉及び〈ニ〉の訂正は、上記〈イ〉及び〈ロ〉の訂正に伴い不一致となった発明の詳細な説明の記載を請求項の記載に整合させるものであり、また、記載内容がどの請求項に関するものか不明瞭であったものを明りょうにするものであり、いずれも、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 上記〈ホ〉の訂正は、吸熱物質と他の成分との関係を明瞭化するため、吸熱物質の例示材料のうち、他の成分と重複する材料を削除するものであり、したがって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 上記〈ヘ〉の訂正は、欠落していた句点を付加するもので、誤記の訂正を目的とするものに該当する。 II-2-2.新規事項の有無 上記〈イ〉及び〈ロ〉の訂正は、先行技術(特開平4-89340号公報)と同一となることを避けるためになされたものと認められることから、特許明細書の記載の範囲内でなされたものである。 また、上記〈ハ〉〜〈ヘ〉の訂正は、上記訂正〈イ〉及び〈ロ〉の訂正にともなってその範囲内でなされたものであり、又は、明りょうでない記載及び明らかな誤記を是正するだけのものであるから、特許明細書の記載の範囲内でなされたことは明らかである。 そうすると、上記(イ)〜(ヘ)の訂正は、いずれも、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でなされるものであって、新規事項の追加には該当しない。 II-2-3.拡張・変更の存否 上記(イ)〜(ヘ)の訂正は、III-2-1.で説示したとおり、特許請求の範囲を減縮し、明細書の記載を明瞭化し、又は、誤記を訂正するだけのものであるから、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものには該当しないことは明らかである。 II-3.訂正の適否の結論 よって、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項、及び、同条第3項において準用する特許法第126条第2項及び3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 III.本件発明 特許明細書は、上記のとおり、平成15年1月14日付けで訂正請求がなされ、その請求どおり訂正されたものであって、訂正後の本件特許第3240308号の請求項1〜9に係る発明(以下、必要に応じて、それぞれ、「本件発明1」〜「本件発明9」という)は、訂正された明細書の特許請求の範囲に記載される次のとおりのものである。 【請求項1】鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材(押出成形し、湿熱養生したものを除く)であって、 少なくとも水硬性セメントを含む無機質結合材100重量部に対し、吸熱物質15重量部〜500重量部,無機質軽量骨材と有機質軽量骨材を2:1〜20:1の割合により配合した軽量骨材12重量部〜220重量部からなり、かつ、前記無機質結合材及び吸熱物質を合計した100容積部に対し前記軽量骨材が100〜300容積部であることを特徴とする耐火被覆材。 【請求項2】鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材(押出成形し、湿熱養生したものを除く)であって、 少なくとも水硬性セメントを含む無機質結合材100重量部に対し、吸熱物質15重量部〜500重量部,無機質軽量骨材と有機質軽量骨材を2:1〜20:1の割合により配合した軽量骨材12重量部〜220重量部,及び無機質充填材300重量部以下を加えるとともに、前記無機質結合材,吸熱物質,及び無機質充填材を合計した100容積部に対し前記軽量骨材が100〜300容積部であることを特徴とする耐火被覆材。 【請求項3】前記請求項1又は2記載の組成物の耐火被覆材に水を添加して調整した硬化可能なモルタルを、吹付けあるいはコテ塗りにより、構造部材上に耐火被覆層として形成することを特徴とする耐火被覆層の形成方法。 【請求項4】前記耐火被覆層の硬化体の気乾比重が0.6〜1.5となることを特徴とする前記請求項3記載の耐火被覆層の形成方法。 【請求項5】前記請求項1又は2記載の組成物の耐火被覆材に水添硬化させた耐火被覆層を、鉄製の構造部材表面に構築することを特徴とする耐火被覆構造体。 【請求項6】前記耐火被覆層の硬化体の気乾比重が0.6〜1.5となることを特徴とする前記請求項5記載の耐火被覆構造体。 IV.特許異議申立の概要 特許異議申立人は、以下の証拠を提示し、次のように主張する。 【理由-1】特許明細書の請求項1〜6に係る発明(訂正後においては本件発明1〜6)において規定される配合成分につき、その対象となる範囲が重複しており、本件請求項1〜6に係る発明の特許は特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、 【理由-2】特許明細書の請求項1〜6に係る発明(訂正後においては本件発明1〜6)は、甲第1号証における請求項1、8及び9の発明と同一であり、それら特許は特許法第39条第1項の規定に違反して特許されたものであり、 【理由-3】特許明細書の請求項1〜6に係る発明(訂正後においては本件発明1〜6)は、甲第2及び3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、それら特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、 したがって、それら特許は取り消されるべきものである。 甲第1号証:特許法第41条第1項の優先権の主張を伴う(優先日:平成 7年9月14日、先の出願番号:特願平7-237421号 )特願平7-304700号の願書に添付された明細書及び 図面に替わる、特許第3223255号公報 甲第2号証:特開平7-48184号公報 甲第3号証:特開平4-89340号公報 V.証拠の記載内容 V-1.甲第1号証(特許第3223255号公報)には、以下の発明が記載されている。 (A-1)「【請求項1】鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材であって、 少なくとも水硬性セメントを含む無機質結合材100重量部に対し、吸熱物質15重量部〜500重量部,無機質軽量骨材10重量部〜200重量部,有機質軽量骨材2重量部〜20重量部からなることを特徴とする耐火被覆材。 【請求項2】前記無機質結合材が、水硬性石灰、天然セメント、ポルトランドセメント、アルミナセメント、石灰混合セメント、エトリンジャイト、混合ポルトランドセメント、及び高硫酸塩スラグセメント等の水硬性セメントから選択される1種以上を含むことを特徴とする前記請求項1記載の耐火被覆材。 【請求項3】前記無機質結合材が、更に、石膏、マグネシアセメント、及びドロマイト等の気硬性セメントから選択される1種以上を含むことを特徴とする前記請求項2記載の耐火被覆材。 【請求項4】前記吸熱物質が、水酸化アルミニウム、ギブザイトミネラル、ボーマイト、及びジアスポール等の酸化アルミニウムの水和物、斜方沸石、ヒューランダイト、及びモルデナイト等のゼオライト物質、アロファン、ハロイサイト、非発泡ひる石、及び発泡ひる石等のシリカ-アルミナ物質、ブルサイト及びアタパルジャイト等のマグネシア物質、サテンホワイト、エトリンジャイト、ドロマイト、及び硼酸等の他の物質から選択される1種以上であることを特徴とする前記請求項1〜3のいずれか記載の耐火被覆材。 【請求項5】前記無機質軽量骨材が、膨張バーミキュライト、パーライト、膨張頁岩、軽石、シラスバルーン、シリカゲル発泡物、スラグの造粒発泡物、ガラス屑の造粒発泡物、粘土粉体を利用した造粒発泡物から選択される1種以上であることを特徴とする前記請求項1〜4のいずれか記載の耐火被覆材。 【請求項6】前記有機質軽量骨材が、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレン-酢酸ビニル共重合物、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、天然ゴム、及び合成ゴム等の発泡物から選択される1種以上であることを特徴とする前記請求項1〜5のいずれか記載の耐火被覆材。 【請求項7】前記有機質軽量骨材の粒径範囲が、0.3〜2.5mmであることを特徴とする前記請求項1〜6のいずれか記載の耐火被覆材。 【請求項8】前記請求項1〜7のいずれか記載の組成の耐火被覆材に水を添加して硬化可能なモルタルを調整し、吹付け又はコテ塗りにより、鉄製の構造部材上に耐火被覆層を形成することを特徴とする耐火被覆層の形成方法。 【請求項9】前記請求項1〜7のいずれか記載の組成の耐火被覆材を硬化体とした耐火被覆層を、鉄製の構造部材表面に有することを特徴とする耐火被覆構造体。」(特許請求の範囲) V-2.甲第2号証(特開平7-48184号公報)には、以下のことが記載されている。 (B-1)「【請求項1】気泡モルタル中に、かさ比重が0.2kg/l以下の軽量骨材を混入したことを特徴とする吹付け、コテ塗り作業等に有効な気泡モルタル組成物。」(特許請求の範囲第1項) (B-2)「【請求項3】かさ比重が0.2kg/l以下の軽量骨材が、発泡スチロールの粉砕品である請求項1または2に記載の吹付け、コテ塗り作業等に有効な気泡モルタル組成物。」(特許請求の範囲第3項) (B-3)「【産業上の利用分野】この発明は吹付け、コテ塗り作業等に有効な気泡モルタル組成物に関し、1回当たりの吹付けで大きな肉厚に塗布することができ、作業性が大幅に改善され、かつ極めて軽量な建築用の断熱材、耐火材等を提供することが可能な吹付け、コテ塗り作業等に有効な気泡モルタル組成物を提供しようとするものである。」(第2頁左欄第15〜21行) (B-4)「また、上記かさ比重が0.2kg/l以下の軽量骨材が、発泡スチロール、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン等の発泡プラスチックであること、特に発泡スチロールの粉砕品であることが望ましい。その理由としては、発泡プラスチックと気泡モルタルとの親和性が良好であることはもちろん、かさ比重が小さいことと弾力性があることとが相まって気泡モルタル中の気泡をつぶさないためである。 上記かさ比重が0.2kg/l以下の軽量骨材としては、上記発泡スチロール、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン等の発泡プラスチック等の有機素材以外にも、ひる石等の無機素材が有効に使用できる。なお軽量骨材のかさ比重が0.2kg/l以上になると、軽量骨材として発泡プラスチック等の衝撃吸収作用のあるものが使用されたとしても、吹き付け時の衝撃を吸収することが難しくなる。」(第2頁右欄第1〜16行) (B-5)「<実施例1> 普通ポルトランドセメント43.1重量%、水酸化アルミニウム38.3重量%、炭酸カルシウム14.4重量%、混和剤0.6重量%を水で混練してスラリー状とし、別途起泡剤0.9重量%を起泡したものを用意しておいて上記スラリー状混和物と混ぜ合わせ、気泡を有するスラリー状混和物を得た。 上記気泡を有するスラリー状混和物にかさ比重が0.05kg/l以下の発泡スチロール破砕粒2.7重量%を投入して混練し、目的とする気泡モルタル組成物を得た。」(第3頁左欄第3〜12行) (B-6)「<実施例3> 実施例1によって得た気泡モルタル組成物を使用し、スプレイガンで図2のようにH型鋼からなる鉄骨柱11の表面に吹付けて、25mm厚さの気泡モルタル層12を形成した。この気泡モルタル層12は財団法人建材試験センター中央試験所で試験したところよれば、「昭和44年建設省告示第2999号別記第1に規定する耐火構造の柱の1時間耐火性能試験」に合格する性能を有することが判明した。」(第3頁右欄第8〜15行) V-3.甲第3号証(特開平4-89340号公報)には、以下のことが記載されている。 (C-1)「セメントと補強繊維と繊維状保水剤と増粘剤とを主成分として含有する押出成形用セメント組成物において、セメント100重量部に対して、水酸化アルミニウム0.5〜50重量部と粒径5mm以下の弾性を有する軽量骨材0.1〜20重量部と無機軽量骨材0〜100重量部とを含有することを特徴とする押出成形用セメント組成物。」(特許請求の範囲) (C-2)「本発明は、押出成形用セメント組成物に関し、詳しくは、特に軽量で高強度であり、更に、養生時間が短く、床材、外装壁材、屋根材等に好適に用いることができる押出セメント成形硬化体を製造するための押出成形用セメント組成物に関する。」(第1頁左下欄第15〜末行) (C-3)「そこで、かかる押出セメント成形硬化体を軽量化するために、押出成形用セメント組成物に無機軽量バルーンを軽量骨材として配合することが知られている。しかし、この無機軽量バルーンは、原料の混合混練時や、押出機内で加えられる剪断応力によって容易に破壊するので、従来、目的とする軽量の押出セメント成形硬化体を得ることが困難であった。・・・・ (発明が解決しようとする課題) 本発明は、従来の押出成形用セメント組成物における上記した問題を解決するためになされたものであって、アスベストを含まず、軽量高強度で異形断面を有するセメント押出成形硬化体を得るための押出成形用セメント組成物を提供することを目的とする。」(第1頁右下欄第10行〜2頁左上欄第10行) (C-4)「本発明によれば、上記弾性軽量骨材と共に、好ましくは軽量無機骨材が併用され、これによって、押出成形機内での剪断応力による組成物中の無機軽量骨材の破壊が防止されるので、軽量のセメント成形硬化体を得ることができると共に、弾性軽量骨材は、押出機内で加圧された後、金型から押し出されたとき、スプリングバックして、成形体の表面に自然な模様を形成する。」(第3頁右上欄第11〜18行) (C-5)「更に、本発明による押出成形用セメント組成物は、水酸化アルミニウムを含有するので、養生時間を短縮することができ、そのうえ、得られる成形硬化体にすぐれた防火性や耐火性を与える。」(第3頁右下欄第19行〜第4頁左上欄第1行) (C-6)「実施例3 原料組成(重量部)で、普通セメント100、水酸化アルミニウムC-1(三機工業製サンキライトY-02)15、発泡スチレンビーズ(積水化成品製、粒径1mm、嵩比重0.025)2、コールフォローターCFB(ユニオン化成製フライアッシュバルーン、比重0.40)10、シリカ粉10を含有するセメント組成物 実施例4 原料組成(重量部)で、普通セメント100、ハイジライトH-10(昭和電工製水酸化アルミニウム)30、発泡スチレンビーズ(積水化成品製、粒径1mm、嵩比重0.025)3、コールフォローターCFB(ユニオン化成製フライアッシュバルーン、比重0.40)10、シリカ粉10を含有するセメント組成物 実施例7 原料組成(重量部)で、普通セメント100、ハイジライトH-10(昭和電工製水酸化アルミニウム)20、発泡スチレンビーズ(積水化成品製、粒径1mm、嵩比重0.025)3、コールフォローターCFB(ユニオン化成製フライアッシュバルーン、比重0.40)10、フライアッシュ50を含有するセメント組成物」旨(第4頁左上欄第4行〜右下欄末行) VI.異議申立に対する当審の判断 VI-1.理由-1(特許法第36条第6項に規定する要件について) ここでの、特許異議申立人の主張を要約すれば、以下の(イ)〜(ハ)の点で、その対象となる範囲が重複しているというものである。 (イ)特許明細書において、その段落0012では請求項でいう無機質結合剤として「ドロマイト」が挙げられ、また、その段落0013では請求項でいう吸熱物質として「ドロマイト」が挙げられている。このように、共にドロマイトを例示しており、無機質結合剤成分と吸熱物質成分の範囲が実質的に重複している。 (ロ)特許明細書において、その段落0013では請求項でいう吸熱物質として「発泡ひる石」が挙げられ、また、その段落0015では請求項でいう無機質軽量骨材として「膨張バーミキュライト」が挙げられている。そして、バーミキュライト(vermiculite)は、ひる石の同意語に外ならず、また、発泡したものは膨張体となっている。そうすると、吸熱物質成分と無機質軽量骨材成分の範囲が実質的に重複している。 (ハ)特許明細書において、その段落0018では請求項でいう無機質充填材として「石灰」が挙げられ、また、その段落0012では請求項でいう無機質結合剤として「水硬性石灰」が挙げられている。このように、共に石灰を挙げており、無機質充填材成分と無機質結合剤成分の範囲が実質的に重複している。 そこで、以下に検討する。 上記(イ)及び(ロ)について 特許明細書は、前記したとおり、平成15年1月14日付けの訂正請求どおり訂正されたものであり、これにより、その段落0013において、吸熱物質から「ドロマイト」及び「発泡ひる石」が削除されたものである。 その結果、ドロマイトに起因する無機質結合剤成分と吸熱物質成分との重複、及び、発泡ひる石ないしは膨張バーミキュライトに起因する吸熱物質成分と無機質軽量骨材成分の混同ないしは重複については、もはや、存在しないことになったものである。 したがって、特許明細書が訂正された結果、当該(イ)及び(ロ)の点からは、本件出願が特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていないとはいえない。 上記(ハ)について 水硬性石灰とは、「粘土質石灰石を通常の石灰の場合よりやや高温で焼成し、ケイ酸カルシウムやアルミン酸カルシウムなどを生成させ、余分のCaOは消火して安定化したもの。」(必要ならば、社団法人日本セラミックス協会編「セラミックス辞典」、丸善株式会社、昭和63年7月30日、第211頁左欄第14〜19行、等を参照)であって、当該水硬性石灰は、通常いうところの石灰とは区別できる材料である。 まして、本件明細書では、無機質充填材として挙げられる石灰は、その段落0018の記載からみて明らかなとおり、吹付け作業やひび割れ製の改良や表面の平滑性を得るだけのために用いるのであるから、その石灰に、水硬性という特異な物性を具備するところの水硬性石灰が含まれるはずがない。 してみれば、無機質充填材として石灰が例示され、また、無機質結合剤として水硬性石灰が例示されているとしても、このことから、特許異議申立人がいうような無機質充填材成分と無機質結合剤成分との混同ないしは重複が生ずるものであるということはできない。 したがって、当該(ハ)の点からは、本件出願が特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていないとはいえない。 VI-2.理由-2(特許法第39条第1項に規定する要件について) 本件特許第3240308号の出願は、前記したとおり、特許法第41条第1項の優先権の主張を伴う(優先日:平成7年9月14日、出願番号:特願平7-237422号)出願であり、また、本件発明1〜6は、先の出願(特願平7-237422号)の願書に最初に添付した明細書又は図面に実質上記載されたものであるといえる。したがって、特許法第41条第2項の規定により、本件発明1〜6に対する特許法第39条第1項〜第4項の規定の適用については、先の出願の時、すなわち、平成7年9月14日に出願されたものとみなされる。 一方、甲第1号証(特許第3223255号明細書)に係る出願は、特許法第41条第1項の優先権の主張を伴う(優先日:平成7年9月14日、出願番号:特願平7-237421号)出願であって、その請求項1〜9に記載された発明は先の出願(特願平7-237421号)の願書に最初に添付した明細書又は図面に実質上記載されたものであり、したがって、特許法第41条第2項の規定により、甲第1号証の請求項1〜9に係る発明に対する特許法第39条第1項〜第4項の規定の適用については、先の出願の時、すなわち、平成7年9月14日に出願されたものとみなされる。 このように、両者の出願日は、いずれも、平成7年9月14日とみなされ、両者は同日出願とみなされるものである。 そうすると、甲第1号証に記載された発明は、本件出願日前の異なった日に出願されたものであるといえず、したがって、当該甲第1号証に記載された発明の存在により、本件発明1〜6は、特許法第39条第1項の規定に違反して特許されたということは、いえるものではない。 以上のとおり、特許異議申立人のここでの主張は、失当という外はない。 但し、当審の取消理由通知においては、甲第1号証の発明の出願と本件発明1〜6の出願とは同日に出願されたものとみなされ、本件請求項1〜6に係る発明(訂正後においては本件発明1〜6)の特許は特許法第39条第2項の規定に違反してなされたものである旨の取消理由を通知しているので、この取消理由につき、以下に検討する。 VI-2-1.甲第1号証の発明を先願発明とした場合 本件発明1及び2と、甲第1号証の請求項1〜9に記載の発明とを対比すると、両者は、 「鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材であって、 少なくとも水硬性セメントを含む無機質結合材100重量部に対し、吸熱物質15重量部〜500重量部,軽量骨材12重量部〜220重量部を含む耐火被覆材」である、又は、当該耐火被覆材の特定事項を具備する点で一致し、少なくとも、以下の点で相違する。 【相違点1】本件発明1及び2は、「無機質軽量骨材と有機質軽量骨材を2:1〜20:1の割合により配合する」のに対して、甲第1号証の請求項1〜9に記載の発明では、その旨の規定をされないし、また、それが自明なものであるいうこともできず、当該特定事項を具備しない。 【相違点2】本件発明1は、「前記無機質結合材及び吸熱物質を合計した100容積部に対し前記軽量骨材が100〜300容積部である」であるのに対して、甲第1号証の請求項1〜9に記載の発明では、その旨の規定をされないし、また、それが自明なものであるいうこともできず、当該特定事項を具備しない。 本件発明2は、「前記無機質結合材,吸熱物質及び無機質充填材を合計した100容積部に対し前記軽量骨材が100〜300容積部である」であるのに対して、甲第1号証の請求項1〜9に記載の発明では、その旨の規定をされないし、また、それが自明なものであるいうこともできず、当該特定事項を具備しない。 そして、本件訂正明細書の記載によれば、上記相違点1及び2に関する特定事項を具備することにより、その余の構成と相俟って、本件発明1及び2は有用な効果を奏したものである。 してみれば、本件発明1及び2は、甲第1号証の請求項1〜9に記載の発明と同一であるということはできない。 また、本件発明3〜6は、本件発明1又は2の全ての特定事項を直接ないしは間接的に引用するものであり、したがって、上記した理由と同じ理由により、本件発明3〜6は、甲第1号証の請求項1〜9に記載の発明と同一であるということはできない。 VI-2-2.本件発明1〜6を先願発明とした場合 甲第1号証の請求項1に記載の発明と、本件発明1〜6とを対比すると、両者は、 「鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材であって、少なくとも水硬性セメントを含む無機質結合材100重量部に対し、吸熱物質15重量部〜500重量部を含む耐火被覆材」である、又は、当該耐火被覆材の特定事項を具備する点で一致し、少なくとも、以下の点で相違する。 【相違点a】甲第1号証の請求項1に記載の発明は、「無機質結合材100重量部に対し、無機質軽量骨材10重量部〜200重量部」用いるのに対し、本件発明1〜6では、無機質軽量骨材を用いるものの、そのような重量部用いることが示されず、また、それが自明なものであるいうこともできず、したがって、当該特定事項を具備しない。 【相違点b】甲第1号証の請求項1に記載の発明は、「無機質結合材100重量部に対し、有機質軽量骨材2重量部〜20重量部」用いるのに対し、本件発明1〜6では、有機質軽量骨材を用いるものの、そのような重量部用いることが示されず、また、それが自明なものであるいうこともできず、したがって、当該特定事項を具備しない。 そして、甲第1号証に記載の発明の詳細な説明及び図面の記載によれば、当該相違点a及びbの特定事項を具備することにより、その余の構成と相俟って、甲第1号証の請求項1に記載の発明は有用な効果を奏したものである。 してみれば、甲第1号証の請求項1に記載の発明は、本件発明1〜6と同一であるということはできない。 また、甲第1号証の請求項2〜9に記載される発明は、甲第1号証の請求項1の全ての特定事項を直接又は間接的に引用するものであり、したがって、上記した理由と同じ理由により、甲第1号証の請求項2〜9に記載の発明は本件発明1〜6と同一であるということはできない。 VI-2-3.特許法第39条第2項の規定に関する結論 以上のとおり、本件発明1〜6は甲第1号証の請求項1〜9に記載される発明と同一であるということはできず、本件発明1〜6は、特許法第39条第2項の規定に違反して特許されたものであるということができない。 VI-3.理由-3(特許法第29条第2項に規定する要件について) VI-3-1.本件発明1 甲第2号証には、その前記摘示箇所(B-3)及び(B-6)によれば、H型鋼からなる鉄骨柱に塗布する耐火材に関するものであって、そして、その耐火材は、前記摘示箇所(B-1)、(B-2)、(B-4)及び(B-5)によれば、具体的には、普通ポルトランドセメント43.1重量%、水酸化アルミニウム38.3重量%、炭酸カルシウム14.4重量%、嵩比重が0.05kg/l以下の発泡スチロール破砕粒2.7重量%等からなる気泡モルタル組成物であるという、発明が記載される。 そこで、本件発明1と甲第2号証の上記摘示された発明とを対比する。 甲第2号証に記載の発明の耐火材は、鉄骨柱に塗布するものであるから、本件発明1の「鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材」の概念に含まれるものである。 そして、甲第2号証に記載の発明の「普通ポルトランドセメント」、「水酸化アルミニウム」及び「嵩比重が0.05kg/l以下の発泡スチロール破砕粒」は、本件発明1の「水硬性セメントを含む無機質結合材」、「吸熱物質」及び「有機質軽量骨材」にそれぞれ相当し、また、その普通ポルトランドセメントと水酸化アルミニウムの配合重量は、本件発明1の数値範囲に含まれる。 よって、両者は、 「鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材であって、少なくとも水硬性セメントを含む無機質結合材100重量部に対し、吸熱物質15重量部〜500重量部、及び軽量骨材からなる耐火被覆材」である点で、一致する。 しかし、本件発明1は、当該軽量骨材につき、更に、「無機質軽量骨材と有機質軽量骨材を2:1〜20:1の割合により配合した(無機質結合材100重量部に対し)軽量骨材12重量部〜220重量部からなり、かつ、前記無機質結合材及び吸熱物質を合計した100容積部に対し前記軽量骨材が100〜300容積部である」という特定事項を具備するものである。一方、甲第2号証に記載の発明では、その軽量骨材として、嵩比重が0.05kg/l以下の発泡スチロール破砕粒(有機質軽量骨材)を添加するものの、それは無機質軽量骨材と共に添加されることまでが示されるものではなく、また、軽量骨材の無機質結合材100重量部に対する添加重量が、計算によれば、約6.3重量部で上記12重量部〜220重量部の数値範囲を満たすものではなく、更には、軽量骨材の添加容量が、無機質結合材及び吸熱物質を合計した100容積部に対し100〜300容積部であることが示されるものでなく、したがって、甲第2号証に記載の発明は、軽量骨材に関するところの上記した「無機質軽量骨材と有機質軽量骨材を2:1〜20:1の割合により配合した(無機質結合材100重量部に対し)軽量骨材12重量部〜220重量部からなり、かつ、前記無機質結合材及び吸熱物質を合計した100容積部に対し前記軽量骨材が100〜300容積部である」という特定事項を具備しておらず、この点で、両者は相違する。 以下、この相違点につき検討する。 訂正明細書の記載(特に、段落0002〜0006及び0022〜0024)によれば、本件発明1は、上記相違点である軽量骨材に関する特定事項を具備することにより、耐火性能試験において、その耐火被覆材で被覆されるところの鉄製構造部材の表面温度上昇を鈍化させることができ、耐火性につき有用な効果を奏したものである。 これに対して、甲第2号証に記載の発明においては、前記摘示箇所(B-4)によれば、嵩比重が0.05kg/l以下の発泡スチロール破砕粒等の軽量骨材は、耐火材の気泡モルタル中の気泡を潰さないために用いられるものであり、このように、その軽量骨材を耐火性の観点から用いるものでない。 してみれば、甲第2号証に記載の発明において、上記相違点に係る特定事項に想到する動機付けがそもそも存在しないものである。 次に、上記相違点につき、甲第3号証の記載をみる。 甲第3号証には、その前記(C-1)〜(C-3)及び(C-5)によれば、水酸化アルミニウム、軽量骨材等を含有する防火性や耐火性の押出成形用セメント組成物が記載されており、そして、前記(C-6)によれば、その実施例7において、普通セメント100重量部、水酸化アルミニウム20重量部、発泡スチレンビーズ(嵩比重0.025)3重量部、フライアッシュバルーン(比重0.40)10重量部、フライアッシュ50重量部を含有するセメント組成物が示されるので、この記載につき、更に、検討を進める。 (なお、甲第3号証の実施例3は明らかに容量割合が異なり、また、同実施例4のものでは、シリカ粉の密度が与えられない。) この実施例7の普通セメント、水酸化アルミニウム、発泡スチレンビーズ、フライアッシュバルーン、フライアッシュは、それぞれ、本件発明1の無機質結合材、吸熱物質、有機質軽量骨材、無機質軽量骨材、無機質軽量骨材に相当する。そして、普通セメント100重量部に対する発泡スチレンビーズ、フライアッシュバルーン及びフライアッシュの合計重量部は計算によれば63重量部となり、また、フライアッシュバルーンとフライアッシュの合計重量部に対する発泡スチレンビーズの重量部の比は20:1となる。更に、本件明細書の段落0032の記載から普通セメントの密度1.2、水酸化アルミニウムの密度を1.2、フライアッシュの密度を1.2であると仮定して、当該実施例7に記載のものの容量配合割合を計算により求めると、普通セメントと水酸化アルミニウムを合計した100容量部に対し、発泡スチレンビーズ、フライアッシュバルーン及びフライアッシュを合計した容量部は約187となる。 そうすると、甲第3号証に記載の実施例7のものは、上記相違点の軽量骨材の成分並びにその配合量の要件を満たすものである。 しかし、甲第3号証においては、その押出セメント組成物は、防火性や耐火性の特性を有しているとしても、前記(C-5)によれば、その特性は、水酸化アルミニウムに由来するものであり、一方、そこでの軽量骨材は、前記(C-4)によれば、無機軽量骨材の破壊を防止して軽量のセメント成形硬化体を得るために採択されるもので、耐火性の観点から用いるものでない。 してみれば、実施例7で記載される甲第3号証に記載の技術を、甲第2号証に記載の発明に適用して、本件発明1のようにする動機付けがないものである。 そうすると、甲第2号証に記載の発明に対して甲第3号証に記載のものを併せてみても、上記した意味合いの本件発明1の上記相違点に関する特定事項を採択することが、当業者の容易に想到できるものではない。 したがって、本件発明1は甲第2及び3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない。 VI-3-2.本件発明2 甲第2号証には、上記VI-3-1.で説示したとおりの発明が記載される。 そこで、本件発明2と甲第2号証に記載の発明とを対比すると、両者は、少なくとも、次の点で相違する。 本件発明2は、当該軽量骨材につき、「無機質軽量骨材と有機質軽量骨材を2:1〜20:1の割合により配合した(無機質結合材100重量部に対し)軽量骨材12重量部〜220重量部からなり、かつ、前記無機質結合材、吸熱物質及び無機質充填材を合計した100容積部に対し前記軽量骨材が100〜300容積部である」という特定事項を具備するものであるのに対して、甲第2号証に記載の発明は、軽量骨材として嵩比重が0.05kg/l以下の発泡スチロール破砕粒(有機質軽量骨材)を添加するものの、その余の特定事項を具備しない点で相違する。 そして、訂正明細書の記載によれば、本件発明2は、上記相違点である軽量骨材に関する特定事項を具備することにより、耐火性能試験において、その耐火被覆材で被覆されるところの鉄製構造部材の表面温度上昇を鈍化させることができたというもので、耐火性につき有用な効果を奏したものである。 これに対して、甲第2号証に記載の発明においては、そこで用いられる嵩比重が0.05kg/l以下の発泡スチロール破砕粒等の軽量骨材は、耐火材の気泡モルタル中の気泡を潰さないために用いられるものであって、耐火性の観点から用いるものでないものである。 また、甲第3号証において軽量骨材に関する上記特定事項が示されている可能性があるとしても、そこで用いられる軽量骨材は、そもそも、耐火性の観点から用いるものでない。 してみれば、甲第3号証に記載の技術を、甲第2号証に記載の発明に適用して、本件発明2のようにする動機付けがないものである。 そうすると、甲第2号証に記載の発明に対して甲第3号証に記載のものを併せてみても、上記した意味合いの本件発明2の上記相違点に関する特定事項を採択することが、当業者の容易に想到できるものではない。 したがって、本件発明2は甲第2及び3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない。 VI-3-3.本件発明3〜6 本件発明3〜6は、本件発明1又は本件発明2の特定事項の全てを、直接又は間接的に引用するものである。 してみれば、VI-3-1.及びVI-3-2.で説示した理由と同じ理由により、本件発明3〜6は、甲第2及び3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない。 VII. まとめ 特許異議申立の理由及び証拠によっては、訂正後の本件請求項1〜6に係る発明の特許を取り消すことができない。 また、他に訂正後の本件請求項1〜6に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 耐火被覆材及び耐火被覆層の形成方法及び耐火被覆構造体 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材(押出成形し、湿熱養生したものを除く)であって、 少なくとも水硬性セメントを含む無機質結合材100重量部に対し、吸熱物質15重量部〜500重量部,無機質軽量骨材と有機質軽量骨材を2:1〜20:1の割合により配合した軽量骨材12重童部〜220重量部からなり、かつ、前記無機質結合材及び吸熱物質を合計した100容積部に対し前記軽量骨材が100〜300容積部であることを特徴とする耐火被覆材。 【請求項2】 鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材(押出成形し、湿熱養生したものを除く)であって、 少なくとも水硬性セメントを含む無機質結合材100重量部に対し、吸熱物質15重量部〜500重量部,無機質軽量骨材と有機質軽量骨材を2:1〜20:1の割合により配合した軽量骨材12重量部〜220重量部,及び無機質充填材300重量部以下を加えるとともに、前記無機質結合材,吸熱物質,及び無機質充填材を合計した100容積部に対し前記軽量骨材が100〜300容積部であることを特徴とする耐火被覆材。 【請求項3】 前記請求項1又は2記載の組成物の耐火被覆材に水を添加して調整した硬化可能なモルタルを、吹付けあるいはコテ塗りにより、構造部材上に耐火被覆層として形成することを特徴とする耐火被覆層の形成方法。 【請求項4】 前記耐火被覆層の硬化体の気乾比重が0.6〜1.5となることを特徴とする前記請求項3記載の耐火被覆層の形成方法。 【請求項5】 前記請求項1又は2記載の組成物の耐火被覆材に水添硬化させた耐火被覆層を、鉄製の構造部材表面に構築することを特徴とする耐火被覆構造体。 【請求項6】 前記耐火被覆層の硬化体の気乾比重が0.6〜1.5となることを特徴とする前記請求項5記載の耐火被覆構造体。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、例えば鉄骨構造による高層ビル,駐車場等を火災等から保護するための耐火被覆材及び耐火被覆層の形成方法及び耐火被覆構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来において、鉄骨構造の高層ビル,駐車場等の鉄骨等は、火災時高温により、軟化変形し、建物が崩壊するのを防ぐため、鉄骨の温度が高くならないように、耐火被覆材で被覆することが規定されている。 【0003】 耐火被覆材として、単に断熱効果を奏する材料、例えばロックウールを主体とする被覆材を用いた場合には、定められた温度以下に鋼材を保つためには、施工厚みを厚くせざるを得ないので、最近では高温で吸熱分解する材料を併用して、施工厚みを薄くする方法が検討されている。 【0004】 例えば、特開昭61-77687号公報には、水硬性セメント、軽量骨材及び水化度の大きい物質を配合した耐火性組成物が開示されており、これは、水と混合して吹付け耐火被覆材として使用されるものである。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、従来の組成物では、1時間ないし3時間の耐火性能試験の中では、加熱温度曲線において問題はないものの、一層耐火性能の向上が求められている。 【0006】 また、近年では、日本国内だけでなく、欧米諸国の試験方法に合せた試験方法において合格する組成物が望まれている。本発明は、使用する鋼材等の表面の温度上昇の鈍化を実現することができる優れた耐火性能を有する耐火被覆材及び耐火被覆層の形成方法及び耐火被覆構造体を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するための請求項1の発明は、鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材(押出成形し、湿熱養生したものを除く)であって、少なくとも水硬性セメントを含む無機質結合材100重量部に対し、吸熱物質15重量部〜500重量部,無機質軽量骨材と有機質軽量骨材を2:1〜20:1の割合により配合した軽量骨材12重量部〜220重量部からなり、かつ、前記無機質結合材及び吸熱物質を合計した100容積部に対し前記軽量骨材が100〜300容積部であることを特徴とする耐火被覆材を要旨としています。 【0008】 請求項2の発明は、鉄製の構造部材に用いる耐火被覆材(押出成形し、湿熱養生したものを除く)であって、少なくとも水硬性セメントを含む無機質結合材100重量部に対し、吸熱物質15重量部〜500重量部,無機質軽量骨材と有機質軽量骨材を2:1〜20:1の割合により配合した軽量骨材12重量部〜220重量部,及び無機質充填材300重量部以下を加えるとともに、前記無機質結合材,吸熱物質,及び無機質充填材を合計した100容積部に対し前記軽量骨材が100〜300容積部であることを特徴とする耐火被覆材を要旨としています。 【0009】 請求項3の発明は、前記請求項1又は2記載の組成物の耐火被覆材に水を添加して調整した硬化可能なモルタル(例えばスラリー)を、吹付けあるいはコテ塗りにより、構造部材上に耐火被覆層として形成することを特徴とする耐火被覆層の形成方法を要旨とする。 【0010】 請求項4の発明は、前記耐火被覆層の硬化体の気乾比重が0.6〜1.5となることを特徴とする前記請求項3記載の耐火被覆層の形成方法を要旨とする。請求項5の発明は、前記請求項1又は2記載の組成物の耐火被覆材に水添硬化させた耐火被覆層を、鉄製の構造部材表面に構築することを特徴とする耐火被覆構造体を要旨とする。 【0011】 請求項6の発明は、前記耐火被覆層の硬化体の気乾比重が0.6〜1.5となることを特徴とする前記請求項5記載の耐火被覆構造体を要旨とする。 【0012】 【発明の実施の形態】 以下、上述したこの発明の各構成要素について、詳しく説明する。 (1)上記無機質結合材としては、水及び/又は湿気により硬化する結合剤では、水硬性石灰,ポルトランドセメント,アルミナセメント,石灰混合セメント,混合ポルトランドセメント,高硫酸塩スラグセメント等から選択される水硬性セメントを必須成分とする。あるいは水硬性セメントに加えて、石膏,ドロマイト,マグネシアセメント等から選択される気硬性セメントを添加して利用することができる。 【0013】 (2)吸熱物質とは、加熱された時、熱分解が生じ水を発生する物質として定義される。例えば、100℃から600℃へと加熱した時に、減量する物質の例としては、水酸化アルミニウム,ギブザイトミネラル,ボーマイト,ジアスポールなどの酸化アルミニウムの水和物や、斜方沸石,ヒューランダイト,モルデナイトなどのゼオライト物質や、アロファン,ハロイサイト,非発泡ひる石などのシリカ-アルミナ物質や、ブルサイト及びアタパルジャイトなどのマグネシア物質や、サテンホワイト,エトリンジャイト及び硼酸などの他の物質が含まれる。 【0014】 水酸化アルミニウムが、吸熱物質として特に適した物質であるのは、分子構造上の全分子量中のOH基の割合が、他の物質に比較して大きいことや、生産量が多く入手しやすく、又安全であると考えるからである。 (3)この発明における軽量骨材とは、無機質軽量骨材と有機質軽量骨材をいう。 【0015】 無機質軽量骨材とは、天然鉱物の発泡又は膨張した物質である膨張バーミキュライト,パーライト,膨張頁岩,軽石,シラスバルーン等の他、シリカゲルを発泡させた物,各種のスラグを造粒して発泡させた物,ガラス屑を造粒して発泡させた物,粘土粉体を造粒して発泡させた物等のような人工軽量骨材を含む。これらの内、膨張又は発泡した物質が結晶的にみてさほど「ガラス化」が進んでいないもので且つかさ比重の小さいものが好ましく、膨張バーミキュライト,パーライト,軽石,シラスバルーンが望ましい。 【0016】 有機質軽量骨材とは、合成樹脂又はゴムの発泡物等が利用され、その例としてはポリスチレン,ポリエチレン,ポリエチレン-酢酸ビニル共重合物,ポリプロピレン,ポリウレタン,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,天然ゴム,合成ゴム等などがある。また、これらのうち、ポリスチレン,ポリエチレン,ポリエチレン-酢酸ビニル共重合物,ポリウレタン,ポリ塩化ビニルが望ましく、その形状は、粒状物、発泡体などが利用できる。尚、軽量であればよく、発泡物でなくとも、例えば繊維状や不織布状の物質も採用できる。 【0017】 ・また、これらの有機質軽量骨材は、粒径範囲として0.1〜3.0mmにあるものを用いる時、より効果的となる。これは、この範囲にある有機質軽量骨材を用いた時に、作業性や平滑性が良くなる為である。この有機質軽量骨材が0.1mmより小さい粒径のものである時、所定のフロー値を得るための水量が多くなり作業性が低下する。逆に、3.0mmより大きなものを用いた時には表面の平滑性が低下する。 【0018】 ・これらの有機質軽量骨材を用いることにより、鋼材温度が100℃近傍の低温域での断熱効果に優れ、またそれ以後の昇温の程度が緩やかになる。 (4)無機質充填材とは、耐火粘土,耐火性酸化物,珪砂,石灰等の粉体から選択される物質であり、適宜配合することにより吹付作業性やひび割れ性の改良や表面の平滑性が得られる。 【0019】 (5)これらの必須構成成分の配合割合は、次の通りである。 ▲1▼請求項1の発明 無機質結合材 100重量部 吸熱物質 15〜500重量部 軽量骨材 12〜220重量部 無機質軽量骨材と有機質軽量骨材の割合 2:1〜20:1 また、必須構成成分の容積部は、次の通りである。 【0020】 無機質結合材と吸熱物質 100容積部 軽量骨材 100〜300容積部 ▲2▼請求項2の発明 無機質結合材 100重量部 吸熱物質 15〜500重量部 軽量骨材 12〜220重量部 無機質充填材 300重量部以下 無機質軽量骨材と有機質軽量骨材の割合 2:1〜20:1 また、必須構成成分の容積部は、次の通りである。 【0021】 無機質結合材と吸熱物質と無機質充填材 100容積部 軽量骨材 100〜300容積部 ・ここで、前記無機質結合材100重量部に対する吸熱物質の配合量は、15〜500重量部の範囲において選択されるが、15重量部より少ない場合には、吸熱による鋼材温度上昇の鈍化の程度が小さく耐火性に劣る。500重量部を越える時は相対的に結合材の配合量が少なくなり、実用上必要となる強度が得られない。 【0022】 ・同様にして軽量骨材の量は、12〜220重量部の範囲の中から選択されるが、12重量部未満の時は、作業性及び耐火性能が劣り、220重量部を越える時は、モルタルの混練水量が多くなり、モルタル強度が低下し、ひび割れ発生の原因となる。 【0023】 ・請求項2では、無機質充填材の量は、300重量部以下から選択されるが、300重量部を越えるときは、相対的に結合材および吸熱材の配合量が少なくなり、実用上必要となる強度が得られないとともに、耐火性に劣る。 ・無機質軽量骨材と有機質軽量骨材の割合は、2:1〜20:1の範囲から選択されるが、2:1未満の時は、100℃近傍の低温域での断熱効果に優れるものの、多量の有機質軽量骨材が燃焼するため発熱量が増大し、鋼材温度が上昇する結果となり、20:1を越えるときには、比較的低温部での断熱効果が期待できる。 【0024】 ・無機質結合材と吸熱物質と(請求項2では)無機充填材とが100容積部に対し、軽量骨材が100〜300容積部の範囲において選択されるが、100容積部より少ない場合は、断熱性,吹付け作業性,ひび割れ抵抗性に劣り、300容積部を越えると、モルタルの強度、耐火性能・平滑性に劣る。 【0025】 (6)上述した成分以外では、必要に応じて硬化体である耐火被覆層の亀裂防止や組成物の粘性調整材として、ガラス繊維・岩綿繊維・パルプ繊維等の繊維状物や界面活性剤など、組成物のタレ防止材や配合物の分離防止材や粘度調整材として、セルロース系水可溶性樹脂や液状の合成樹脂エマルションあるいは水に混ぜた時エマルションとなる合成樹脂粉末等も、耐火性能を阻害せず、機械的強度や付着性に問題のない範囲において適量配合できる。 【0026】 (7)前記発明の耐火被覆材を使用するに際しては、適当量の水と混合し、塗装手段に合せたモルタルを調整し、例えば吹付け(噴霧)あるいはコテ塗り等の手段により被覆すべき対象下地に被覆すればよい。 (8)硬化体の気乾比重は、0.6〜1.5の範囲において選択されるが、0.6より小さい場合は、モルタルの強度,耐火性能,平滑性に劣り、1.5を越える場合は、断熱性,吹付け作業性,ひび割れ抵抗性に劣る。 【0027】 (9)また、前記発明の耐火被覆材からなるモルタルを、スチール構造部材表面に吹付け等によって塗布した後に硬化させることにより、スチール構造部材表面に耐火被覆層を備えた、優れた耐火性能を有する耐火被覆構造体を得ることができる。 【0028】 【実施例】 以下、本発明を実施例により説明する。ここでは、実施例による性能を確認するために下記の試験を行い、それぞれの性能を求めた。 【0029】 (1)まず、その一に耐火試験として、JISA1304の「建築構造部分の耐火試験方法」に準じた耐火試験を行った。耐火試験では、JISの加熱曲線にならい加熱し、2時間で火を止め、試験体の変形,剥離,脱落の有無を確認した。また、昇温時の鋼材温度(図1〜図3参照)または加熱終了時の鋼材温度(表5,表6参照)も併せて記録した。 【0030】 (2)作業性試験では、壁用軽量セメントを吹付け施工する時に使用される、スネーク式圧送機と吹付けガンを使用し、吹付け作業を5時間行い、機械に詰まり、過負荷がなく、問題なく使用できることを確認した。 (3)平滑性の試験では、鋼材の上に40mmの厚さが得られる広さ30cm角の型枠を設置し、その中へフロー値160±20mmに調整したモルタルを充填し、その後金ごてにより表面を押さえ、うまく押さえられるかどうか、硬化後の表面の状態を観察した。 【0031】 (4)ひび割れ性の試験では、平滑性を調べた試験体を20℃,65%RH条件下の恒温室に入れ、1週間養生した時、試験体表面におけるひび割れ発生の有無を確認した。 (5)強度試験では、JASS15M-102に準じた方法により試験体を作成し、圧縮試験を実施し、10kgf/cm2以上を示すか確認した。 【0032】 下記表1及び表2に、実施例(実施例1〜10)となる耐火被覆材の配合を示す。尚、表中上段の数値は重量部による配合割合を示し、下段の数値は、容積部による配合割合を示す(但し容積比と気乾比重は除く)。この容積部を算出するに当り、各成分のかさ比重を、ポルトランドセメント;1.2、ドロマイトプラスター;0.7、水酸化アルミニウム;1.2、フライアッシュ;0.9、炭酸カルシウム;1.49、パーライト;0.2、膨張バーミキュライト;0.15、発泡スチレン;:0.067として計算を行った。 【0033】 【表1】 【0034】 【表2】 【0035】 下記表3及び表4に、比較例(比較例1〜7)となる耐火被覆材の配合を示す。 【0036】 【表3】 【0037】 【表4】 【0038】 また、前記表1〜4において、無機質結合材をA成分、吸熱成分をB成分、無機質軽量骨材をC成分、有機質軽量骨材をD成分とすると、前記実施例1〜10及び比較例1〜7の成分の特徴は下記の通りである。 ・実施例1;C,D成分やや多め ・実施例2;C,D成分中位 ・実施例3;B,D成分やや多め、C成分少なめ ・実施例4;B成分やや多め ・実施例5 ・実施例6;A成分少なめ ・実施例7;B成分やや少なめ ・実施例8;D成分少なめ ・実施例9;D成分やや多め ・実施例10;C成分やや少なめ、粉末エマルションなし ・比較例1;D成分なし ・比較例2;C成分なし、容積比が3倍を上回る ・比較例3;D成分なし ・比較例4;B成分やや多め、D成分なし ・比較例5;D成分少な過ぎ ・比較例6;C成分やや少なめ、D成分多過ぎ ・比較例7;B成分やや多め、D成分なし、容積比が1倍未満 以下、表5及び表6に、実施例と比較例の諸性能結果を示すが、その判定の評価基準は、次の様にした。 【0039】 ▲1▼作業性試験の評価 ○ 詰まり、過重荷なく施工できる × 詰まり又は過重荷があり施工に問題がある ▲2▼平滑性試験の評価 ○ 平滑に押さえられない × 平滑に押さえられる ▲3▼ひび割れ性の評価 ○ ひび割れなし △ ヘアクラックが発生する × ひび割れが発生する ▲4▼強度の評価 ○ 圧縮強度が10kgf/cm2以上 × 圧縮強度が10kgf/cm2以上 【0040】 【表5】 【0041】 【表6】 【0042】 この表5及び表6から明らかな様に、本実施例の組成のものは、作業性、平滑性、ひび割れ性、圧縮強度の全ての点で優れており、好適であった。それに対して比較例の組成のものは、作業性、平滑性、ひび割れ性、圧縮強度のいずれかにおいて劣っており、好ましくない。 【0043】 また、昇温時の温度変化を図1〜3に示した。図1に示す様に、実施例7の組成のものは、温度上昇が緩やかであり、120分後にも350℃に達せず好適であった。尚、この図1にて、100℃近傍で長時間温度上昇が停止しているのは、添加した有機軽量骨材が溶融等の変質する際に、外部から多くの熱量を吸収するためと思われる。それによって、以後の温度上昇も押さえられると判断される。 【0044】 図2に示す様に、比較例3の有機軽量骨材を含まないものは、温度上昇が急であり、120分後に350℃を上回り好ましくない。図3に示す様に、比較例6の有機軽量骨材を過度に含むものは、加熱初期は温度上昇が緩やかであるが、その後急激な温度上昇に変化し、120分後に350℃を上回るので好ましくない。 尚、この図3にて、100℃近傍である程度温度上昇が停止しているのは、添加した有機軽量骨材が溶融等の変質する際に、外部から多くの熱量を吸収するためと思われ、その後温度上昇が急変するのは、多量の有機軽量骨材の燃焼によって、発熱量が増大するからと思われる。 【0045】 尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。 【0046】 【発明の効果】 以上詳述した様に、請求項1〜6の発明は、使用する鋼材の表面の温度上昇が鈍化するという顕著な効果を奏する。例えば、鋼材温度の比較的低温部での断熱性に優れる。また、欧米諸国の試験方法に合せた試験方法において合格することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 実施例7の実験結果を示すグラフである。 【図2】 比較例3の実験結果を示すグラフである。 【図3】 比較例6の実験結果を示すグラフである。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-03-25 |
出願番号 | 特願平8-240588 |
審決分類 |
P
1
651・
537-
YA
(C04B)
P 1 651・ 4- YA (C04B) P 1 651・ 121- YA (C04B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 徳永 英男 |
特許庁審判長 |
多喜 鉄雄 |
特許庁審判官 |
野田 直人 西村 和美 |
登録日 | 2001-10-19 |
登録番号 | 特許第3240308号(P3240308) |
権利者 | 太平洋マテリアル株式会社 菊水化学工業株式会社 日本化成株式会社 富士川建材工業株式会社 |
発明の名称 | 耐火被覆材及び耐火被覆層の形成方法及び耐火被覆構造体 |
代理人 | 足立 勉 |
代理人 | 足立 勉 |
代理人 | 足立 勉 |
代理人 | 足立 勉 |
代理人 | 足立 勉 |