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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C10J
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C10J
管理番号 1099658
異議申立番号 異議2003-72518  
総通号数 56 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-06-04 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-10-14 
確定日 2004-04-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3396313号「有機系廃棄物のガス化方法」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3396313号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3396313号の請求項1ないし3に係る発明についての出願は、平成6年11月21日に出願され、平成15年2月7日に特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、特許異議申立人中田美代子より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年3月3日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断

(1)訂正の内容

ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

イ.訂正事項b
特許請求の範囲における「【請求項2】請求項1の第一工程及び第二工程に加えて、第一工程で発生するガス化ガスを第二燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して前記ガス化ガス中の可燃成分の一部をガス化および/または燃焼させ、タール分やすすを含まないクリーンなガス化ガスを得る第三工程よりなることを特徴とするプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法。」を「【請求項1】有機系廃棄物を酸素含有ガス及び水蒸気により部分酸化、ガス化する有機系廃棄物のガス化方法において、プラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物をガス化炉に供給し、酸素含有ガス及び水蒸気を供給して600〜800℃に加熱して有機物の一部をガス化して可燃成分を含むガス化ガスを発生させ、ガス化の遅い有機物と無機物とからなる残留物を回収する第一工程と、前記残留物を第一燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して450〜700℃であり、かつ、前記第一工程における前記ガス化炉での加熱温度よりも低い温度で加熱し、残留する有機物を完全燃焼させて、未燃物やNOxを含まない排ガスと無機質の残渣を排出する第二工程と、該第二工程に加えて、前記第一工程で発生するガス化ガスを第二燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して前記ガス化ガス中の可燃成分の一部をガス化および/または燃焼させ、タール分やすすを含まないクリーンなガス化ガスを得る第三工程よりなることを特徴とするプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法。」と訂正する。

ウ.訂正事項c
特許請求の範囲における「【請求項3】請求項1の第一工程及び第二工程に加えて、第一工程で発生するガス化ガスを第二燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して前記ガス化ガス中の可燃成分を燃焼させ、熱エネルギを回収する第三工程よりなることを特徴とするプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法。」を、「【請求項2】有機系廃棄物を酸素含有ガス及び水蒸気により部分酸化、ガス化する有機系廃棄物のガス化方法において、プラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物をガス化炉に供給し、酸素含有ガス及び水蒸気を供給して600〜800℃に加熱して有機物の一部をガス化して可燃成分を含むガス化ガスを発生させ、ガス化の遅い有機物と無機物とからなる残留物を回収する第一工程と、前記残留物を第一燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して450〜700℃であり、かつ前記第一工程における前記ガス化炉での加熱温度よりも低い温度で加熱し、残留する有機物を完全燃焼させて、未燃物やNOxを含まない排ガスと無機質の残渣を排出する第二工程と、該第二工程に加えて、前記第一工程で発生するガス化ガスを第二燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して前記ガス化ガス中の可燃成分を燃焼させ、熱エネルギを回収する第三工程よりなることを特徴とするプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法。」と訂正する。

エ.訂正事項d
明細書の段落番号【0007】における、「本発明は(1)有機系廃棄物を酸素含有ガス及び水蒸気により部分酸化、ガス化する有機系廃棄物のガス化方法において、プラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物をガス化炉に供給し、酸素含有ガス及び水蒸気を供給して600〜800℃に加熱して有機物の一部をガス化して可燃成分を含むガス化ガスを発生させ、ガス化の遅い有機物と無機物とからなる残留物を回収する第一工程と、前記残留物を第一燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して450〜700℃に加熱し、残留する有機物を完全燃焼させて、未燃物やNOxを含まない排ガスと無機質の残渣を排出する第二工程よりなることを特徴とするプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法、(2)前記(1)の第一工程及び第二工程に加えて、第一工程で発生するガス化ガスを第二燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して前記ガス化ガス中の可燃成分の一部をガス化および/または燃焼させ、タール分やすすを含まないクリーンなガス化ガスを得る第三工程よりなることを特徴とするプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法、(3)前記(1)の第一工程及び第二工程に加えて、第一工程で発生するガス化ガスを第二燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して前記ガス化ガス中の可燃成分を燃焼させ、熱エネルギを回収する第三工程よりなることを特徴とするプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法、である。」を、「本発明は(1)有機系廃棄物を酸素含有ガス及び水蒸気により部分酸化、ガス化する有機系廃棄物のガス化方法において、プラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物をガス化炉に供給し、酸素含有ガス及び水蒸気を供給して600〜800℃に加熱して有機物の一部をガス化して可燃成分を含むガス化ガスを発生させ、ガス化の遅い有機物と無機物とからなる残留物を回収する第一工程と、前記残留物を第一燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して450〜700℃であり、かつ、前記第一工程における前記ガス化炉での加熱温度よりも低い温度で加熱し、残留する有機物を完全燃焼させて、未燃物やNOxを含まない排ガスと無機質の残渣を排出する第二工程と、該第二工程に加えて、前記第一工程で発生するガス化ガスを第二燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して前記ガス化ガス中の可燃成分の一部をガス化および/または燃焼させ、タール分やすすを含まないクリーンなガス化ガスを得る第三工程よりなることを特徴とするプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法、(2)有機系廃棄物を酸素含有ガス及び水蒸気により部分酸化、ガス化する有機系廃棄物のガス化方法において、プラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物をガス化炉に供給し、酸素含有ガス及び水蒸気を供給して600〜800℃に加熱して有機物の一部をガス化して可燃成分を含むガス化ガスを発生させ、ガス化の遅い有機物と無機物とからなる残留物を回収する第一工程と、前記残留物を第一燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して450〜700℃であり、かつ、前記第一工程における前記ガス化炉での加熱温度よりも低い温度で加熱し、残留する有機物を完全燃焼させて、未燃物やNOxを含まない排ガスと無機質の残渣を排出する第二工程と、該第二工程に加えて、前記第一工程で発生するガス化ガスを第二燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して前記ガス化ガス中の可燃成分を燃焼させ、熱エネルギを回収する第三工程よりなることを特徴とするプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法、である。」と訂正する。

オ.訂正事項e
明細書の段落番号【0008】における、「すなわち、本発明の方法は次の点を特徴とするものである。1)第一工程においてガス化剤として酸素含有ガス(空気及び/または酸素)と水蒸気を使用し、比較的低温で酸化反応と水性ガス化反応を併起させる。2)第二工程では、空気または酸素を使用し、主として第一工程で残留する酸化やガス化の反応が遅い固形状の炭素分を完全燃焼させる。3)第三工程では、第一工程で得られるガス化ガス中の可燃成分の一部を燃焼させ、タールやすすを含まないクリーンなガス化ガスを得るか、全部を燃焼させて熱エネルギを回収する。」を、「すなわち、本発明の方法は次の点を特徴とするものである。1)第一工程においてガス化剤として酸素含有ガス(空気及び/または酸素)と水蒸気を使用し、比較的低温で酸化反応と水性ガス化反応を併起させる。2)第二工程では、空気または酸素を使用し、主として第一工程で残留する酸化やガス化の反応が遅い固形状の炭素分を第一工程よりも低い温度で加熱して完全燃焼させる。3)第三工程では、第一工程で得られるガス化ガス中の可燃成分の一部を燃焼させ、タールやすすを含まないクリーンなガス化ガスを得るか、全部を燃焼させて熱エネルギを回収する。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否

上記訂正事項aについては、特許請求の範囲の請求項1を削除する訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

上記訂正事項bについては、請求項2において、請求項1の削除に伴い、特許請求の範囲の記載を整合させるために、請求項の番号を繰り上げる訂正、及び、請求項1を引用する記載に代えて、請求項1に記載された技術的事項を請求項2に記載する訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、願書に添付された明細書に記載された事項に基づく訂正であり、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
また、明細書の実施例1、2には、第二工程での加熱温度を第一工程での加熱温度よりも低い温度とすることが記載されており、訂正事項bにおいて、訂正前の請求項2における第二工程で加熱する温度を「前記第一工程における前記ガス化炉での加熱温度よりも低い温度」に限定する訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、願書に添付された明細書に記載された事項に基づく訂正であり、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

上記訂正事項cについては、請求項3において、請求項1の削除に伴い、特許請求の範囲の記載を整合させるために、請求項の番号を繰り上げる訂正、及び、請求項1を引用する記載に代えて、請求項1に記載された技術的事項を請求項3に記載する訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、願書に添付された明細書に記載された事項に基づく訂正であり、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
また、明細書の実施例1、2には、第二工程での加熱温度を第一工程での加熱温度よりも低い温度とすることが記載されており、訂正事項cにおいて、訂正前の請求項3における第二工程で加熱する温度を「前記第一工程における前記ガス化炉での加熱温度よりも低い温度」に限定する訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、願書に添付された明細書に記載された事項に基づく訂正であり、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

上記訂正事項d及びeについては、上記訂正事項a〜cに対応して、明細書の発明の詳細な説明の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるための訂正であり、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、願書に添付された明細書に記載された事項に基づく訂正であり、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立ての理由の概要
異議申立人田中美代子は、訂正前の請求項1〜3に係る発明についての特許に対して、申立ての証拠として、甲第1号証(特開昭56-13029号公報)、甲第2号証(特開平6-256775号公報)、甲第3号証(特開昭56-3810号公報)、甲第4号証(特開平4-113102号公報)、甲第5号証{石川禎昭著「流動床式ごみ焼却炉 設計の実務」(工業出版社、昭和62年6月15日発行)第148頁}を提出して、訂正前の請求項1に記載された発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当する旨、及び、訂正前の請求項2に記載された発明は、甲第1、2、4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正前の請求項3に記載された発明は、甲第1、3、4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項2、3に記載された発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである旨主張している。

4.特許異議申立てについての判断

(1)本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1、2(以下、「本件発明1、2」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された次のとおりのものである。

『【請求項1】有機系廃棄物を酸素含有ガス及び水蒸気により部分酸化、ガス化する有機系廃棄物のガス化方法において、プラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物をガス化炉に供給し、酸素含有ガス及び水蒸気を供給して600〜800℃に加熱して有機物の一部をガス化して可燃成分を含むガス化ガスを発生させ、ガス化の遅い有機物と無機物とからなる残留物を回収する第一工程と、前記残留物を第一燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して450〜700℃であり、かつ、前記第一工程における前記ガス化炉での加熱温度よりも低い温度で加熱し、残留する有機物を完全燃焼させて、未燃物やNOxを含まない排ガスと無機質の残渣を排出する第二工程と、該第二工程に加えて、前記第一工程で発生するガス化ガスを第二燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して前記ガス化ガス中の可燃成分の一部をガス化および/または燃焼させ、タール分やすすを含まないクリーンなガス化ガスを得る第三工程よりなることを特徴とするプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法。
【請求項2】有機系廃棄物を酸素含有ガス及び水蒸気により部分酸化、ガス化する有機系廃棄物のガス化方法において、プラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物をガス化炉に供給し、酸素含有ガス及び水蒸気を供給して600〜800℃に加熱して有機物の一部をガス化して可燃成分を含むガス化ガスを発生させ、ガス化の遅い有機物と無機物とからなる残留物を回収する第一工程と、前記残留物を第一燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して450〜700℃であり、かつ前記第一工程における前記ガス化炉での加熱温度よりも低い温度で加熱し、残留する有機物を完全燃焼させて、未燃物やNOxを含まない排ガスと無機質の残渣を排出する第二工程と、該第二工程に加えて、前記第一工程で発生するガス化ガスを第二燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して前記ガス化ガス中の可燃成分を燃焼させ、熱エネルギを回収する第三工程よりなることを特徴とするプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法。』

(2)甲各号証の記載
甲第1号証には、「反応塔内に・・・第1の隔壁を設置することによって流動層を熱分解ガス化部分と燃焼加熱部分に分け、・・・第2の隔壁を設けて前記熱分解ガス化部分と燃焼加熱部分をそれぞれ2つづつの区画に分け、流動層の下部の位置あるいは中間の任意の位置に水蒸気あるいは空気あるいは酸素と水蒸気の混合ガスを送入することによって該流動層の各区画を濃厚流動層の状態で流動化する」(第1頁左下欄第7行〜右下欄第2行)こと、「該可燃物を500〜950℃の範囲で熱分解ガス化して可燃ガスを発生させ、熱分解ガス化によって生成した炭素質あるいは炭素質を含む残留物質粒と前記粉粒体との混合物を、前記第2の隔壁によって2つに仕切られた該流動層熱分解ガス化部分の一方において主として自重によって下方に移動させ、前記の第1の隔壁の下端を過って該混合物を流動層の熱分解ガス化部分の下部から流動層の燃焼加熱部分に移動させ」(第1頁右下欄第6〜第14行)ること、「殆ど窒素を含まない濃厚な可燃ガスを製造する」(第3頁左下欄第17〜第18行)こと、「反応塔内で隔壁2によって仕切られた濃厚流動層は、第1図、第2図、第3図、第4図、第5図、第6図に示される送入口7、7’;8、8’;9、9’を通じて送入される水蒸気によって・・熱分解ガス化反応を受ける。」(第4頁右上欄第19行〜左下欄第6行)こと、「第1図の濃厚流動層において熱分解ガス化を行なう部分の下端は隔壁2の下端が開いていることから、濃厚流動層の他の部分すなわち原料の熱分解ガス化によって生成した炭素質物質の燃焼によって循環する粉粒体を加熱する部分の下端と連続している。」(第4頁左下欄第6行〜第11行)こと、「隔壁2によって仕切られた濃厚流動層の一方が500〜950℃の熱分解ガス化部分、他方が700〜1050℃の燃焼加熱部分である」(第4頁左下欄第18〜右下欄第1行)こと、「第1図の反応塔における隔壁2の濃厚流動層の上半分で熱分解ガス化を受けて生成した炭素質固体」(第4頁右下欄第20行〜第5頁左上欄第2行)、「第2図の反応塔1の濃厚流動層内、隔壁2の左側で熱分解ガス化を受けて生成した固体状炭素質は粉粒体に伴われて第2図の隔壁3よりもこちら側の区画に入り、レベルBとCを経てDまで下降するが、水平断面Dのレベルで送入される水蒸気によって隔壁2の右側に入る。」(第5頁左上欄第15〜第20行)こと、「粉粒体に同伴する炭素質は第3図の区画23内濃厚流動層において、・・ほとんど燃焼を完了する。このような、炭素質の燃焼あるいは部分酸化による加熱」(第5頁右上欄第20行〜左下欄第4行)、「熱分解ガス化によって生成する炭素質を濃厚流動層の他の部分において空気あるいは酸素と水蒸気の混合ガスを用いて燃焼あるいは部分酸化する」(第5頁右下欄第10〜第13行)こと、「生成した燃焼ガスあるいは可燃ガスは第1図、第2図の出口28から排出され」(第6頁左上欄第1〜第2行)ること、「原料中の無機物質が灰となって残留するが、その粒径の小さいものは生成ガスおよび燃焼ガスに伴われて系外に去るが、粗粒状のものは例えば第1図の反応塔下部に蓄積するので、連続的あるいは断続的に底部より抜き出して篩分し、灰分を除去した粉粒体は適当な位置から反応塔に戻すことによって濃厚流動層の質、量を一定に保つことができる。」(第6頁右上欄第12〜第20行)こと、「実施例2 実施例1と同じ装置および粉粒体として平均粒径0.2mmの砂粒を用い、下記のような都市系固体廃棄物を平均径5mm以下に粉砕して下記の条件で熱分解ガス化を行った。」(第7頁左上欄第2〜第6行)ことが記載され、実施例2には、「都市系固体廃棄物組成」として、木質、繊維、紙、厨房ごみ、・・・プラスチックス等の重量比が記載され、「流動層熱分解ガス化部温度 705℃」(第7頁左上欄第17行)が記載されている。

甲第2号証には、「酸化剤として、空気の代わりに酸素を使用する。」(段落0008、第5行)こと、「第1段ガス化工程において酸素による部分酸化と、水性ガス化反応の併発により、約90〜95%以上の高ガス化率でガス化した後、さらに第2段ガス化工程で未反応有機物及びタールガスをガス化して100%のガス化率を達成する。」(段落0012、第13〜第17行)こと、「第2段ガス化工程ではガス状未反応有機物及びタールをさらに完全ガス化する」(段落0012、第23〜第24行)こと、「図1に示す2段ガス化炉で、以下の仕様の装置を使用してガス化を行った。このとき、生成ガス中に未反応炭素は含まれなかった。」(段落0017、第2〜第4行)ことが記載されている。

甲第3号証には、「2は流動層熱分解炉、11はサイクロン燃焼炉である。」(第2頁右下欄第20行〜第3頁左上欄第1行)こと、「フリーボード7からのガスを吸引し、サイクロン燃焼炉11に供給する」(第3頁右上欄第2〜第4行)こと、「熱分解により生成したチャーと可燃性ガス及び部分燃焼により完成した灰分と燃焼排ガスは、全て塔頂部フリーボード7から分解炉出口8に出て、空気エジエクタ9においてブロア10により供給される加圧空気によって、吸引加速され、空気とガスとの混合ガスはサイクロン燃焼炉11に接線方向に高速で送られ、矢印12の方向に強力な旋回流を生ぜしめられて熱分解生成物は(ガス及びチャー)は燃焼される。」(第3頁右上欄第15行〜左下欄第3行)こと、「燃焼排ガスはサイクロン炉の出口18より熱交換器19、・・・を通して系外に排出される。」(第3頁左下欄第20行〜右下欄第3行)こと、「流動層熱分解炉2に供給する空気はブロワ21により熱交換器19を介して昇温されてガス入口4に供給される。」(第3頁右下欄第7〜第8行)ことが記載されている。

甲第4号証には、「石炭(10)および脱硫剤(11)は、流動層ガス化炉(1)に供給される。この流動層ガス化炉(1)では、石炭(10)がガス化され、石炭中の硫黄分は脱硫剤(11)により硫化カルシウムとして固定される。石炭(10)のガス化により生じた可燃ガス(13a)は、脱塵装置(3a)で脱塵される。脱塵後の可燃ガス(13b)は二次コンバスタ(5)へ導入される。一方、流動層ガス化炉(1)でガス化されずに石炭から生じたチャーと脱硫剤の混合物(15a)、および脱塵装置(3a)で回収されたチャーと脱硫剤の混合物(15b)は、流動層燃焼炉(2)に供給される。この流動層燃焼炉(2)には空気(12b)も供給され、チャーの燃焼反応と塩化カルシウムを酸化して石膏に転換する反応が進む。・・・二次コンバスタ(5)では、可燃ガス(13b)が燃焼ガス(14b)中の残存酸素と空気(12c)によって燃焼し、生じた燃焼ガス(17)は例えばガスタービン(図示せず)へ送り込まれる。」(第3頁左上欄第19行〜右上欄第19行)こと、「高効率のガス化燃焼を実現することができる。」(第4頁右上欄第12〜第13行)ことが記載されている。

甲第5号証は、「流動床式ごみ焼却炉 設計の実務」と題する文献であり、「1200〜1300℃付近から急激にNOx発生量が増大するが、ごみ焼却炉の排ガス温度は通常1000℃以下であり、この点ではThermal-NOxはほとんど発生しないと言える。」(第148頁右欄第11〜第15行)ことが記載されている。

(3)対比・判断

訂正前の請求項1に係る発明は削除されているので、特許法第29条第1項第3号についての判断は行わない。よって、以下、訂正後の請求項1、2に対して、特許法第29条第2項についてのみ判断した。

ア.本件発明1について

本件発明1と甲第1号証に記載の発明とを対比すると、後者における「500〜950℃の熱分解ガス化部分」の工程は、前者における「600〜800℃に加熱して有機物の一部をガス化して可燃成分を含むガス化ガスを発生させる第一工程」に相当し、後者における「700〜1050℃の燃焼加熱部分」の工程は、前者における「450〜700℃で加熱する第二工程」に相当するから、両者は、「有機系廃棄物を酸素含有ガス及び水蒸気により部分酸化、ガス化する有機系廃棄物のガス化方法」である点、「プラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物をガス化炉に供給し、酸素含有ガス及び水蒸気を供給して600〜800℃に加熱して有機物の一部をガス化して可燃成分を含むガス化ガスを発生させる第一工程」、「第一燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して450〜700℃で加熱する第二工程」を有する点で一致している。
しかしながら、前者は、第二工程において、「第一工程におけるガス化炉での加熱温度よりも低い温度で加熱」しているのに対して、後者では、この点については記載されていない点(相違点1)、前者は「第一工程で発生するガス化ガスを第二燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して前記ガス化ガス中の可燃成分の一部をガス化および/または燃焼させ、タール分やすすを含まないクリーンなガス化ガスを得る第三工程」を有しているのに対して、前者では第三工程については記載されていない点(相違点2)、前者は、第一工程が「ガス化の遅い有機物と無機物とからなる残留物を回収」し、第二工程が「残留する有機物を完全燃焼させて、未燃物やNOxを含まない排ガスと無機質の残渣を排出」するものであるのに対し、後者では、この点が記載されていない点(相違点3)で相違する。
そこで、以下、前記相違点について検討する。
まず、上記相違点1について検討すると、甲第2、3号証には、有機物を加熱してガス化する第一工程は記載されているが、第一工程の残留物に酸素含有ガスを供給して450〜700℃で加熱する第二工程については何ら記載されていない。
また、甲第4号証には、有機物を加熱してガス化する第一工程、及び、第一工程の残留物を加熱する第二工程について記載されているが、第二工程において、第一工程におけるガス化炉での加熱温度よりも低い温度で加熱することについては、何ら具体的に記載されていない。
さらに、甲第5号証には、有機物を第一工程及び第二工程に区分して処理することについては何ら記載されていない。
そして、本件発明1が属する技術分野において、第二工程において、第一工程におけるガス化炉での加熱温度よりも低い温度で加熱することが周知技術であったとも認められない。
してみると、本件発明1の第二工程において、第一工程におけるガス化炉での加熱温度よりも低い温度で加熱することは、当業者が容易に想到し得ることとは認められない。
また、甲第1〜5号証を併せ検討しても、本件発明1の第二工程において、「第一工程におけるガス化炉での加熱温度よりも低い温度で加熱する」という構成を導き出すことはできない。
そして、本件発明1は、「装置を大型化することなく、効率のよいガス化処理が可能である。得られた可燃成分を含むガス化ガスは、第三工程において全量を燃焼させて熱回収を行うことができる。また、同伴するタール分やすすなどの固形成分のみを燃焼またはガス化させることにより他工程において化学原料や燃料として利用可能なクリーンなガス化ガスを得ることができる。」という明細書に記載の効果を奏するものである。
してみると、前記相違点2、3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1〜5号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。

イ.本件発明2について

本件発明2は、本件発明1における前記相違点1を必須の構成とするものであることから、本件発明1における判断「ア.」で述べた理由と同じ理由により、本件発明2は、甲第1〜5号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1、2の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1、2の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1、2についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してなされたものとは認められない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
有機系廃棄物のガス化方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 有機系廃棄物を酸素含有ガス及び水蒸気により部分酸化、ガス化する有機系廃棄物のガス化方法において、プラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物をガス化炉に供給し、酸素含有ガス及び水蒸気を供給して600〜800℃に加熱して有機物の一部をガス化して可燃成分を含むガス化ガスを発生させ、ガス化の遅い有機物と無機物とからなる残留物を回収する第一工程と、前記残留物を第一燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して450〜700℃であり、かつ、前記第一工程における前記ガス化炉での加熱温度よりも低い温度で加熱し、残留する有機物を完全燃焼させて、未燃物やNOxを含まない排ガスと無機質の残渣を排出する第二工程と、該第二工程に加えて、前記第一工程で発生するガス化ガスを第二燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して前記ガス化ガス中の可燃成分の一部をガス化および/または燃焼させ、タール分やすすを含まないクリーンなガス化ガスを得る第三工程よりなることを特徴とするプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法。
【請求項2】 有機廃棄物を酸素含有ガス及び水蒸気により部分酸化、ガス化する有機系廃棄物のガス化方法において、プラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物をガス化炉に供給し、酸素含有ガス及び水蒸気を供給して600〜800℃に加熱して有機物の一部をガス化して可燃成分を含むガス化ガスを発生させ、ガス化の遅い有機物と無機物とからなる残留物を回収する第一工程と、前記残留物を第一燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して450〜700℃であり、かつ、前記第一工程における前記ガス化炉での加熱温度よりも低い温度で加熱し、残留する有機物を完全燃焼させて、未燃物やNOxを含まない排ガスと無機質の残渣を排出する第二工程と、該第二工程に加えて、前記第一工程で発生するガス化ガスを第二燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して前記ガス化ガス中の可燃成分を燃焼させ、熱エネルギを回収する第三工程よりなることを特徴とするプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物を部分酸化、ガス化して可燃成分を含むガス化ガスを回収し、有効利用するとともに、無公害の廃棄物のみを排出するプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、木材、農作物(砂糖きび、とうもろこしなど)、一般植物(藻、雑草など)などの有機物のガス化が行われているが、最近では産業廃棄物としてのプラスチック類、故紙、廃棄自動車中のプラスチック類を破砕したいわゆるシュレッダーダストなどの有機物を主体とする廃棄物のガス化技術が開発され、有効利用されるようになってきている。従来のガス化や燃焼方法においては、一般に1段式の移動層型または流動層型の熱分解炉や燃焼炉が使用され、廃熱の回収を主目的に実施されている。また最近ではプラスチック類を含む廃棄物について、1段式熱分解炉で熱分解して油分を回収する方法の技術開発が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の方法には次のような問題点がある。
1)熱分解またはガス化により熱分解・ガス化ガスまたは熱分解油を得る方法;この方法の場合、プラスチック類は通常複数の素材が混在しているため、熱分解温度が約300〜800℃の広範囲になり、運転が難しく、未反応炭素によるすすの発生、及び装置壁面へのコーキング発生が問題となっている。さらに、これらの未反応炭素の混入により熱分解油の品質が低下し、低品質の燃料油としてしか使用できない。シュレッダーダストについても同様な問題がある。また、木材、農作物、一般植物などでは約40〜60%の残留炭素が発生し、熱分解ガスはCO2が多いので発熱量が低く、燃料ガスとして使用できない。
【0004】
さらに廃棄物中には、プラスチック類と木材のように熱分解またはガス化特性が著しく異なる物質が混在している場合がある。プラスチック類は熱可塑性のもので一般に約400〜550℃、熱硬化性のもので一般に約500〜650℃で熱分解が終了する。ところが木材の場合には、木材の種類によっても相違するが、一般には約400〜550℃で熱分解が終了した後に炭素成分を主体とするいわゆる木炭が残存する。この木炭は、プラスチック類に比べてガス化速度が約1/10程度で非常に遅い。したがって、これらの特性が相違する混合廃棄物のガス化または燃焼を単一工程で行う場合には、装置が大型化ならざるをえない。
【0005】
2)空気による燃焼により廃熱を回収する方法;燃焼排ガスの組成は通常N2、CO2が主成分であり、ガスの発熱量が非常に低いので燃料として使用できない。また、不完全燃焼によりすすやNOxが副生し、さらにダイオキシン類発生等の二次公害が問題となっている。特にプラスチック類の場合には、燃焼により約1200℃以上の高温になるために燃焼炉の壁面を損傷しやすい。
【0006】
本発明は上記技術水準に鑑み、有機系廃棄物のガス化に際し、未燃炭素分の残留しやすいプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物を使用した場合でも、未燃炭素の残留を防止でき、燃料などに利用し得るガス化ガスを得ることのできるガス化方法を提供しようとするのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は(1)有機系廃棄物を酸素含有ガス及び水蒸気により部分酸化、ガス化する有機系廃棄物のガス化方法において、プラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物をガス化炉に供給し、酸素含有ガス及び水蒸気を供給して600〜800℃に加熱して有機物の一部をガス化して可燃成分を含むガス化ガスを発生させ、ガス化の遅い有機物と無機物とからなる残留物を回収する第一工程と、前記残留物を第一燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して450〜700℃であり、かつ、前記第一工程における前記ガス化炉での加熱温度よりも低い温度で加熱し、残留する有機物を完全燃焼させて、未燃物やNOxを含まない排ガスと無機質の残渣を排出する第二工程と、該第二工程に加えて、前記第一工程で発生するガス化ガスを第二燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して前記ガス化ガス中の可燃成分の一部をガス化および/または燃焼させ、タール分やすすを含まないクリーンなガス化ガスを得る第三工程よりなることを特徴とするプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法、
(2)有機廃棄物を酸素含有ガス及び水蒸気により部分酸化、ガス化する有機系廃棄物のガス化方法において、プラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物をガス化炉に供給し、酸素含有ガス及び水蒸気を供給して600〜800℃に加熱して有機物の一部をガス化して可燃成分を含むガス化ガスを発生させ、ガス化の遅い有機物と無機物とからなる残留物を回収する第一工程と、前記残留物を第一燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して450〜700℃であり、かつ、前記第一工程における前記ガス化炉での加熱温度よりも低い温度で加熱し、残留する有機物を完全燃焼させて、未燃物やNOxを含まない排ガスと無機質の残渣を排出する第二工程と、該第二工程に加えて、前記第一工程で発生するガス化ガスを第二燃焼炉に導き、酸素含有ガスを供給して前記ガス化ガス中の可燃成分を燃焼させ、熱エネルギを回収する第三工程よりなることを特徴とするプラスチック類と木材とが混在する有機系廃棄物のガス化方法、
である。
【0008】
すなわち、本発明の方法は次の点を特徴とするものである。
1)第一工程においてガス化剤として酸素含有ガス(空気及び/または酸素)と水蒸気を使用し、比較的低温で酸化反応と水性ガス化反応を併起させる。
2)第二工程では、空気または酸素を使用し、主として第一工程で残留する酸化やガス化の反応が遅い固形状の炭素分を第一工程よりも低い温度で加熱して完全燃焼させる。
3)第三工程では、第一工程で得られるガス化ガス中の可燃成分の一部を燃焼させ、タールやすすを含まないクリーンなガス化ガスを得るか、全部を燃焼させて熱エネルギを回収する。
【0009】
【作用】
本発明のガス化方法においては次のような作用がある。
1)部分酸化;従来は、酸化剤として燃焼に必要な理論酸素量以上の過剰な空気(または酸素)を使用してガス化している。この場合、空気中の酸素が有機物と反応して燃焼(酸化)する際に、燃焼速度が非常に速く、有機物の表面がまず燃焼し、酸素が消費される。その後、有機物表面への酸素の拡散による補給は、燃焼より拡散が遅いために酸素補給が追いつかなくなり、その結果、有機物の表面には窒素が残存し、部分的に酸素欠乏状態が発生する。一方、燃焼により有機物の表面は高温状態になるが、酸素欠乏のために燃焼反応は起こらず、炭素物質の縮合反応のみが加速され、その結果、すすが発生することになる。このすすは、燃焼ガス中に塩素分が存在すると反応して有害物質であるダイオキシン類副生の原因となる。また、酸素欠乏状態はNOx発生の原因ともなる。そこで、空気(または酸素)の供給量を抑制し、600〜800℃を保持するために必要な量の酸素のみを供給し、いわゆる部分酸化反応により反応温度を一定に保持することによりすすの副生やNOxの発生を防止する。
【0010】
2)酸化反応と水性ガス化反応との併用;酸化反応は発熱反応であるが、水性ガス化反応は吸熱反応であるため、両者を併起させて穏やかな反応を進行させることにより、酸化反応の暴走によるすすの副生やNOxの発生を防止できる。
【化1】
酸化反応 C+O2→ CO2 ▲1▼
水性ガス化反応 C+H2O→ CO+H2 ▲2▼
【0011】
3)ガス化工程の分割;例えば、プラスチック類と木材が混在する廃棄物の場合、プラスチック類は一般に、熱可塑性のもので約400〜550℃、熱硬化性のもので約500〜650℃で熱分解が終了する。ガス化反応についても約700℃位までに十分終了する。ところが、木材の場合には、木材の種類にもよるが一般には約400〜550℃で熱分解が終了した後に炭素成分を主体とするいわゆる木炭が残存する。この木炭はプラスチック類に比べてガス化速度が約1/10程度で非常に遅い。従ってこれらの混合物の場合には、まずプラスチック類の熱分解領域で熱分解し、生成した分解ガスをさらにガス化または燃焼させる。この時、酸素と水蒸気を使用するとH2、COを主成分とする可燃ガスが生成する。この可燃ガスは化学原料やガスタービンなどの燃料として有効利用できる。また、空気と水蒸気を使用した場合、生成したガスを燃焼させて燃焼熱を水蒸気などとして回収することができる。
【0012】
一方木材も同様に約500〜650℃に加熱すると、木材の一部が熱分解してH2、CO、CO2、酢酸及び低沸点の炭化水素ガス(CH4,C2H6など)などが生成する。これらの生成ガスは、プラスチック類の分解ガスと同様にガス化または燃焼させることができる。しかしながら木材の場合には、熱分解後に炭素を主成分とする固体、すなわち木炭が残存する。この木炭は炭素間の結合力が強く、ガス化または燃焼速度はプラスチック類の場合の1/10以下である。そのため、前記ガス化または燃焼工程の後、木炭をガス化または燃焼ガスと分離して、次の第二工程で空気により燃焼させる。第一工程では、前記1)で述べたようにすすの発生を抑制するために水蒸気が必要であるが、第二工程では、木材のように炭化水素成分が完全に熱分解してほとんど炭素成分のみになる場合には、炭素の燃焼が目的となるため、空気のみを供給する。できれば、高酸素濃度の方が燃焼に好ましいため、酸素を混合してもよい。第二工程は450〜700℃の温度が好ましい。
【0013】
4)ガス化ガス燃焼工程;第三工程において前記第一工程で発生するガス化ガス中の可燃成分の一部(生成ガスに同伴されるタール分や未燃のすすなど)を燃焼させ、タールやすすを含まないクリーンなガス化ガスを得ることができる。また、第一工程で発生するガス化ガスの全部を燃焼させて熱エネルギを回収するようにすることもできる。
【0014】
以下、本発明の方法の実施態様を図1に基づいて説明する。有機物を主体とする有機系廃棄物からなる原料1が第一工程2のガス化炉に供給される。ガス化炉に供給された原料を、空気、酸素または空気と酸素との混合物などの酸素含有ガス3と水蒸気4とによりガス化または燃焼させる。残留固体5は第二工程6の第一燃焼炉に導びかれ、酸素含有ガス7(通常は空気、必要により水蒸気を加えてもよい)により、さらに完全燃焼させ可燃物を含まない無機物質のみの残渣9として排出される。第一燃焼炉から排出される排ガス8はすすやNOxを含まない排ガスである。一方、第一工程で生成する可燃成分を含むガス化ガス10は第三工程11の第二燃焼炉に導びかれ、酸素含有ガス12で燃焼またはガス化させ、タール分やすすを除き、クリーンなガス化ガス13として排出され、化学原料や燃料として利用される。なお、第三工程において第一工程から送られるガス化ガス中の可燃成分を全て燃焼させ、発生する熱を熱源として蒸気を発生させるなどの方法によりエネルギの回収を行うこともできる。
【0015】
すなわち、本発明の方法は第一工程において数分〜20分程度でガス化する有機物をガス化し、ガス化または燃焼にさらに長時間を必要とする残留成分は第二工程において燃焼処理するものである。両工程における反応の制御は、反応時間(滞留時間)及び供給する酸素含有ガス中の酸素濃度などによって行う。本発明の方法はFRP廃船などGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)と木材が混在する有機系廃棄物やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)など比較的ガス化の容易なプラスチック成分とガス化反応の遅い炭素あるいは炭化水素成分の混在する有機系廃棄物のガス化処理に好適である。
【0016】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
表1に示す仕様の装置を使用し、木材を含むGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)廃棄物のガス化処理を行った。原料のGFRP廃棄物(木材含有率約35重量%)の供給量は100g/hrとし、その他の運転条件は表2のとおりとした。その結果は表3に示すとおりで第二工程の第一燃焼炉からは有機物が完全にガス化して白色のガラス繊維のみからなる残渣と未燃焼のすす等を含まない排ガスが排出された。また、第三工程の第二燃焼炉からはすすやタールを含まないクリーンなガス化ガスが得られた。
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
【表3】

【0020】
(実施例2)
実施例1と同じ装置を使用し、同じGFRP廃棄物を同じ量で供給し、酸素の代わりに空気を使用して表4に示す運転条件でガス化を行い、第二燃焼炉では可燃成分の全てを燃焼させた。運転結果は表5のとおりで、高品質のガスは得られなかったが、第一燃焼炉から排出される残渣は白色のガラス繊維で、未反応炭素は残存せず、排ガス中にも未燃焼のすす等は含まれていなかった。第二燃焼炉からも不完全燃焼によるすすの発生はなかった。
【0021】
【表4】

【0022】
【表5】

【0023】
【発明の効果】
本発明のガス化方法によれば、木材などのガス化反応速度の遅い成分を含む有機系廃棄物をガス化するに当たり、先ず部分酸化により有機成分の大部分をガス化してH2及びCOなどの可燃成分を含むガス化ガスを発生させ、残存するガス化しにくい成分は別工程において完全燃焼させて処理するようにしているので、装置を大型化することなく、効率のよいガス化処理が可能である。得られた可燃成分を含むガス化ガスは、第三工程において全量を燃焼させて熱回収を行うことができる。また、同伴するタール分やすすなどの固形成分のみを燃焼またはガス化させることにより他工程において化学原料や燃料として利用可能なクリーンなガス化ガスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明のガス化方法の概要を示す概略フロー図。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-03-31 
出願番号 特願平6-286545
審決分類 P 1 651・ 113- YA (C10J)
P 1 651・ 121- YA (C10J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 木村 敏康  
特許庁審判長 板橋 一隆
特許庁審判官 佐藤 修
加藤 浩
登録日 2003-02-07 
登録番号 特許第3396313号(P3396313)
権利者 三菱重工業株式会社
発明の名称 有機系廃棄物のガス化方法  
代理人 加藤 公清  
代理人 萩原 亮一  
代理人 加藤 公清  
代理人 萩原 亮一  
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