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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A61K 審判 全部申し立て 2項進歩性 A61K 審判 全部申し立て 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 A61K |
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管理番号 | 1101075 |
異議申立番号 | 異議2003-72726 |
総通号数 | 57 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-01-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-11-07 |
確定日 | 2004-05-12 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3405826号「毛髪化粧料組成物」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3405826号の請求項1〜3に係る特許を維持する。 |
理由 |
1 手続の経緯 特許第3405826号の請求項1〜3に係る発明についての出願は、平成6年7月19日に特許出願され、平成15年3月7日にその特許の設定登録がされ、その後、谷川睦子より特許異議の申立てがされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年3月30日に訂正請求がされたものである。 2 訂正の適否についての判断 (1) 訂正事項 本件の訂正事項は平成16年3月30日付け訂正請求書の訂正事項a〜pのとおりのものであり、そのうちの特許請求の範囲に係る訂正は以下の通りである。 訂正事項a 「【請求項1】(i)1種または2種以上のリン脂質を0.1〜10重量%、および(ii)炭素数4〜8の脂肪族一価アルコール、およびベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、ケイ皮アルコール、フェニルプロパノール、フェノキシエタノール、ベンジルオキシエタノール、トリルアルコール、α-メチルベンジルアルコールおよびジメチルベンジルカルビノールよりなる群から選択される芳香族アルコール、から選択される1種または2種以上のアルコールを0.1〜30重量%含有してなる毛髪化粧料組成物。」を 「【請求項1】(i)1種または2種以上のリン脂質を0.1〜10重量%、および(ii)ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、ケイ皮アルコール、フェニルプロパノール、フェノキシエタノール、ベンジルオキシエタノール、トリルアルコール、α-メチルベンジルアルコールおよびジメチルベンジルカルビノールよりなる群から選択される芳香族アルコールから選択される1種または2種以上のアルコールを0.1〜30重量%含有してなるシャンプーを除く毛髪化粧料組成物。」 と訂正する。 訂正事項b 「【請求項2】 該1種または2種以上のリン脂質が、大豆レシチン、卵黄レシチンおよびレシチン誘導体よりなる群から選択される請求項1または2記載の毛髪化粧料組成物。」 を 「【請求項2】 該1種または2種以上のリン脂質が、大豆レシチン、卵黄レシチンおよびレシチン誘導体よりなる群から選択される請求項1記載の毛髪化粧料組成物。」 と訂正する。 訂正事項c 「【請求項3】 該1種または2種以上のアルコールが、ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、ケイ皮アルコール、フェニルプロパノール、α-メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノールおよびジメチルベンジルカルビノールよりなる群から選択される請求項1記載の毛髪化粧料組成物。」を 「【請求項3】 該1種または2種以上のアルコールが、ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、ケイ皮アルコール、フェニルプロパノール、α-メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノールおよびジメチルベンジルカルビノールよりなる群から選択される請求項1記載の毛髪化粧料組成物。」と訂正する。 また、【発明の詳細な説明】についての訂正である訂正事項dは、段落【0007】の「炭素数4〜8の脂肪族一価アルコールまたは」を削除し、「毛髪化粧料組成物」を「シャンプーを除く毛髪化粧料組成物」とする訂正、訂正事項eは段落【0010】のアルコールの記載から、炭素数4〜8の脂肪族一価アルコール、ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノールを削除する訂正、訂正事項f〜iおよびkは段落【0014】【0015】【0018】【0019】【0023】においてn-ブチルアルコールを使用した実施例2の削除に伴い実施例番号5を4とする訂正、訂正事項jは段落【0022】の表1中のn-ブチルアルコールを使用した実施例2を削除し、実施例3〜5を2〜4とする訂正、訂正事項l〜oは、実施例2の削除に伴い段落【0024】【0025】【0026】【0027】における実施例6以下の番号を繰り上げる訂正、訂正事項pは段落【0028】における「炭素数4〜8の脂肪族一価アルコールおよび/または」の記載を削除する訂正をおこなうものである。 (2) 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 訂正事項aは【請求項1】において(ii)のアルコール群から「炭素数4〜8の脂肪族一価アルコール」を削除し、毛髪化粧料組成物を「シャンプーを除く毛髪化粧料組成物」とするものであり、訂正事項cは【請求項3】において「ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール」を削除する訂正であるから、これらの訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、訂正事項bは、【請求項2】における「請求項1または2記載の毛髪化粧料組成物」を「請求項1記載の毛髪化粧料組成物」と正すものであって、誤記の訂正を目的とするものである。 その他の訂正事項d〜pは、上記請求項についての訂正内容と明細書の発明の詳細な説明の記載とを整合させるものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、これらの訂正はいずれも特許明細書に記載された事項の範囲内の事項であり、実質上、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する特許法第126条第2〜3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3 特許異議の申立てについての判断 (1) 申立ての理由の概要 異議申立人は、請求項1〜3に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証に記載された発明であり、かつこれらを基に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項3号あるいは同法第29条2項の規定により、特許を受けることができないものである、また、本件特許明細書には、その発明の詳細な説明が当業者が容易に実施することが出来る程度に発明の効果が記載されていないから特許法第36条第4項に違反するとして、本件特許を取り消すべきと主張している。 (2) 本件発明 本件訂正が認容された結果、本件請求項1〜3に係る発明は、訂正明細書に記載された請求項1〜3に記載された事項により特定されるとおりのものである。以下それぞれを本件発明1、2、3という。 (3)甲1、2号証の記載の概要 甲第1号証;特許庁編 周知・慣用技術集 化粧料及び類似品 昭和59年8月21日発行p92〜96 シャンプーの防腐剤、殺菌剤としてフェノール類(具体例;フェノキシエタノール)を用いること、コンディショニング剤として使用するタンパク質、アミノ酸類としてレシチンが記載されている。 甲第2号証(特開平4-5219号公報) 養毛・育毛料の成分として、脂質誘導体(具体例 リン脂質)、奇数の炭素鎖長を有する脂肪族アルコール(具体例 ペンタノール、ヘプタノール)が挙げられ、その配合量は各々0.001〜10%、0.1〜30%であることが記載されている。 (4) 判断 (4-1)特許法第29条第1項3号、同法第29条第2項について 甲第1号証はシャンプーの添加物としてフェノール類やレシチンの記載はあるものの、これらを選択的に組み合わせて使用する点についての記載や示唆はなく、また、シャンプー以外の毛髪化粧料組成物についての記載もなされていない。 また、甲第2号証には、養毛・育毛料の成分としてリン脂質と奇数の炭素鎖長を有する脂肪族アルコールを使用することについての記載はされているが、本件発明1の特定の芳香族アルコールをリン脂質と組み合わせて使用する点についての記載や示唆はなされていない。 そして、本件発明1はリン脂質と特定の芳香族アルコールの併用により毛髪に柔軟性と平滑性を付与し、且つ柔軟性が長期にわたり持続されるという顕著な効果を奏するものであるから、本件発明1は上記甲第1号証又は甲第2号証に記載のものとは同一でないばかりか、それらの記載から当業者が容易に発明をすることができたということはできない。 また、本件発明2、3は本件発明1のリン脂質、芳香族アルコールを具体化した発明であるから、本件発明1と同様の理由により甲第1号証又は甲第2号証に記載のものとは同一でないばかりか、それらの記載から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4-2)特許法第36条第4項について 異議申立人は、本件明細書には2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、ジメチルベンジルカービノールの実施例があるだけで、フェノキシアルコール等を用いた実施例がないからこれを用いたときの具体的な効果については不明であり当業者が容易に実施することができる程度に発明の効果が記載されていないとする。 しかしながら、実施例は出願人が最良の結果をもたらすと思うものをなるべく多種類掲げて記載すれば足り、すべての成分についての実施例を必須とするものではない。そして、本件明細書段落【0011】において「これらのアルコールは、1種あるいは2種以上を任意に組み合わせて含有させることができ・・・0.5〜10重量%が特に好ましい。含有量が0.1重量%未満であるとリン脂質が毛髪に十分に吸着せず、また30重量%を超えて含有させても、それ以上の向上は認められない。」として、アルコール含有量が0.1重量%以上であることが重要であるが、特定の芳香族アルコールのうちのどの種類を使用するかに左右されるものではないことが明示されている。さらに、フェノキシアルコール等は毛髪化粧品分野においてベンジルアルコールやフェニルアルコールと同様に使用可能な芳香族アルコールとして広く知られているところ、本件発明においては、フェノキシアルコール等は効果を期待できないとする合理的根拠も見いだせない。 したがって、上記理由によっては本件明細書の記載に不備があるとすることはできない。 4 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件発明1〜3についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 毛髪化粧料組成物 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (i)1種または2種以上のリン脂質を0.1〜10重量%、および(ii) ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、ケイ皮アルコール、フェニルプロパノール、フェノキシエタノール、ベンジルオキシエタノール、トリルアルコール、α-メチルベンジルアルコールおよびジメチルベンジルカルビノールよりなる群から選択される芳香族アルコール から選択される1種または2種以上のアルコールを0.1〜30重量%含有してなるシャンプーを除く毛髪化粧料組成物。 【請求項2】 該1種または2種以上のリン脂質が、大豆レシチン、卵黄レシチンおよびレシチン誘導体よりなる群から選択される請求項1 記載の毛髪化粧料組成物。 【請求項3】 該1種または2種以上のアルコールが、 ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、ケイ皮アルコール、フェニルプロパノール、α-メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノールおよびジメチルベンジルカルビノールよりなる群から選択される請求項1記載の毛髪化粧料組成物。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、毛髪に優れた柔軟性および平滑性を付与し、かつ柔軟性が長期にわたり持続される毛髪化粧料組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来より、毛髪に柔軟性を付与するために様々な試みがなされ、現在のヘアトリートメント剤、ヘアリンス剤等の多くの毛髪化粧料がこの目的で開発されている。これらの毛髪化粧料においては、カチオン性界面活性剤および高級アルコール等の油性成分が配合されており、カチオン性界面活性剤の有する正電荷と、毛髪を構成するケラチンタンパク質のカルボニル基等の負電荷とが静電気的に引き合って毛髪に吸着することにより柔軟性が付与されると考えられている。 【0003】 しかしながら、この静電気的な吸着様式の吸着力は弱く、日々のシャンプー洗浄により界面活性剤および油性成分が洗い流されるため、効果は一時的であり持続しない。一方、カチオン性界面活性剤を多量に配合することにより持続性をある程度向上させることが考えられるが、毛髪への吸着様式と同様にして皮膚にも吸着し、カチオン性界面活性剤等に起因する、かゆみ、炎症等の皮膚刺激、あるいは、べたつき等が生じて毛髪の平滑性を損なう等の問題を生じる。 【0004】 また、特開平5-4907号には、リン脂質および高分子量シリコーンを含有してなる毛髪化粧料が開示されている。しかし、この毛髪化粧料においてもコンディショニング効果はある程度持続するもののその効果は十分でなく改善が望まれている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 かかる事情に鑑み、本発明の目的は毛髪に優れた柔軟性と平滑性を付与し、しかもその柔軟性が長期間にわたり持続される毛髪化粧料組成物を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、かかる問題点を考慮し鋭意検討した結果、驚くべきことには、毛髪化粧料組成物にリン脂質と特定のアルコールとを含有させることにより、リン脂質が毛髪表面や毛髪内部に十分に吸着ないしは浸透し、毛髪に優れた柔軟性と平滑性を付与することができ、しかもその柔軟性が長期にわたり持続されることを見い出し本発明を完成するに至った。 【0007】 すなわち、本発明は、1種または2種以上のリン脂質を0.1〜10重量%、および 芳香族アルコールから選択される1種または2種以上のアルコールを0.1〜30重量%含有してなるシャンプーを除く毛髪化粧料組成物を提供するものである。 【0008】 以下に本発明を詳しく説明する。 本発明に含有させるべきリン脂質としては、フォスファチジルコリン、ジパルミトイルフォスファチジルコリン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジルセリン、スフィンゴエミリン、大豆レシチン、卵黄レシチン、およびレシチン誘導体等が例示される。また、レシチン誘導体としては、大豆または卵黄レシチンの精製物、水素添加物、水酸化レシチン、リゾレシチン等が例示される。とりわけ、大豆レシチン、卵黄レシチン、および大豆レシチンと卵黄レシチンの精製物、水素添加物、水酸化レシチン、およびリゾレシチンが好ましい。これらはいずれも公知の成分であり、商業的に入手できる。 【0009】 これら成分は、1種または2種以上を任意に組み合せて含有させることができ、その含有量は組成物全量に基づいて0.1〜10重量%が好ましく、1.0〜5.0重量%が特に好ましい。含有量が0.1重量%未満であると毛髪に十分な柔軟性、平滑性を付与できず、10重量%を超えるとべたつき等が生じて使用感が損なわれるので好ましくない。 【0010】 次に、本発明に含有させるべきアルコールは、 芳香族アルコールから選択され、 ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、ケイ皮アルコール、フェニルプロパノール、フェノキシエタノール、ベンジルオキシエタノール、トリルアルコール、α-メチルベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール等が例示できる。とりわけ、 ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、ケイ皮アルコール、フェニルプロパノール、フェノキシエタノール、α-メチルベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノールが好ましく、2-フェニルエタノール、ジメチルベンジルカルビノールが特に好ましい。 【0011】 これらのアルコールは、1種あるいは2種以上を任意に組み合わせて含有させることができ、その含有量は組成物全量に基づいて、0.1〜30重量%が好ましく、0.5〜10重量%が特に好ましい。含有量が0.1重量%未満であるとリン脂質が毛髪に十分に吸着せず、また30重量%を超えて含有させても、それ以上の効果の向上は認められない。 【0012】 本発明の毛髪化粧料組成物は、所望により、公知の界面活性剤、油分、着色料、香料、pH調整剤、および防腐剤等を含有させることができる。本発明の毛髪化粧料組成物は、常法により、液剤、ペースト製剤、泡沫製剤、乳化製剤等の種々の製剤とすることができ、ヘアリンス、乳液、ヘアブロー、ヘアトリートメント、ヘアエッセンス等に利用できる。 【0013】 【実施例】 以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特にことわらない限り「%」は重量%を示す。 【0014】 以下の表1に示す実施例1〜4、比較例1〜5の組成物を常法にて調製し評価した。評価方法は次の通りである。 【0015】 評価方法 1.吸着性の評価 1日1回使用、2日に1回のシャンプー洗浄を仮定して、下記の表1に示される実施例1〜4および比較例1〜5の組成物を用い、以下のように毛束へ処理した。なお、比較例1は、リン脂質が0.1重量%未満の場合、比較例2および4は脂肪族一価アルコールの 場合、比較例3は 芳香族でないアルコールの場合、および比較例5は特開平5-4907号のようにシリコーンとリン脂質とを含有する場合を示す。 各組成物1.5gを、毛束(3g)に均一に噴霧した後、55℃にて1時間乾燥した。 この操作を2回繰り返した後、毛束を10%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)水溶液で洗浄し、水で濯いだ後、55℃にて乾燥した。 この一連の操作を5回繰り返して処理し、下式により毛髪への吸着性を評価した。 【0016】 吸着性(%)=100×(処理後の毛束重量-処理前の毛束重量)/処理前の毛束重量 【0017】 上式においては、吸着性の数値が大きいほど、毛髪の表面あるいは内部に吸着した成分の分量が多いことを示す。 【0018】 2.柔軟性の評価 専門パネラー(20才代女性、5名)が、表1の実施例1〜4および比較例1〜5にて調製した組成物を実際に使用し、以下の判定基準により官能評価を行なった。 ◎:4名以上が柔軟性を認めた。 ○:3名が柔軟性を認めた。 △:2名が柔軟性を認めた。 ×:1名以下が柔軟性を認めた。 【0019】 3.平滑性の評価 専門パネラー(20才代女性、5名)が、実施例1〜4および比較例1〜5にて調製した組成物を実際に使用し、以下の判定基準により官能評価を行なった。 ◎:4名以上が平滑性を認めた。 ○:3名が平滑性を認めた。 △:2名が平滑性を認めた。 ×:1名以下が平滑性を認めた。 【0020】 4.柔軟性の持続性の評価 2.および3.の評価をした後に、専門パネラーに洗髪、乾燥させてもらい、以下の判定基準により毛髪の柔軟性の官能評価を行った。 ◎:4名以上が柔軟性を認めた。 ○:3名が柔軟性を認めた。 △:2名が柔軟性を認めた。 ×:1名以下が柔軟性を認めた。 【0021】 5.総合評価 前記4項目の評価結果から、以下の判定基準により総合的に評価した。 ○:毛髪への吸着性が3.0以上、毛髪の柔軟性、平滑性、柔軟性の持続性が、それぞれ◎または○の条件を満たす。 ×:上記の条件を満たさない。 【0022】 【表1】 【0023】 表1に示す結果から、実施例1〜4の組成物で処理した毛束は、本発明の必須成分を含まない比較例1〜5の組成物で処理した毛束に比して、毛髪への優れた吸着性が認められ、毛髪に優れた柔軟性および平滑性を付与し、かつ、柔軟性効果の持続性が認められた。 【0024】 実施例5 乳液組成物 成 分 配合量(%) (A) 卵黄レシチン 3.0 2-フェニルエタノール 3.0 ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル 1.5 グリセリン 2.0 カルボキシビニルポリマー 0.1 水 残 量 (B) スクワラン 2.0 (C) トリエタノールアミン 0.1 合 計 100.0 成分(A)を混合して60℃に加熱し、これに60℃に加熱した成分(B)を添加し、撹拌混合して乳化させる。十分に乳化させたら、該乳化物を撹拌しつつ徐々に冷却し、撹拌混合して乳化させる、該組成物の温度が約50℃になったら成分(C)を添加して、さらに撹拌して均一化して乳液組成物を得た。 【0025】 実施例6 ヘアブロー組成物 成 分 配合量(%) 水酸化レシチン 2.0 ベンジルアルコール 3.0 ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5 香料 0.1 95%エタノール 10.0 水 残 量 合 計 100.0 上記成分を混合溶解してヘアブロー組成物を得た。 【0026】 実施例7 ヘアトリートメント組成物 成 分 配合量(%) (A) 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0 リゾレシチン 4.0 ジメチルベンジルカービノール 5.0 セチルアルコール 3.0 ジメチルポリシロキサン(100センチストークス) 3.0 (B) プロピレングリコール 5.0 防腐剤 微 量 水 残 量 (C) 香料 0.1 合計 100.0 成分(B)を混合して80℃に加熱し、これに80℃に加熱した成分(A)を添加し、撹拌混合して乳化させる。十分に乳化させたら、該乳化物を撹拌しつつ徐々に約50℃に冷却し、成分(C)を添加してヘアトリートメント組成物を得た。 【0027】 実施例8 泡沫状ヘアトリートメント組成物 成 分 配合量(%) (A) フォスファチジルコリン 1.5 2-フェニルエタノール 3.0 ポリオキシエチレン(5)セチルエーテル 0.5 ポリエーテル変性シリコーン 0.5 水 残 量 (B) 95%エタノール 5.0 ジブチルヒドロキシトルエン 微 量 香料 0.1 合 計 100.0 成分(A)と(B)を混合して製造した原液90重量部と噴射剤(液化石油ガス)10重量部とをエアゾール容器に充填する。 このように製造した実施例5〜8の組成物は、前記したのと同様の試験を行ったところ、毛髪に優れた柔軟性と平滑性を付与し、かつ該柔軟性効果の長期にわたる持続性も認められた。 【0028】 【発明の効果】 本発明によれば、1種または2種以上のリン脂質と、1種または2種以上の 芳香族アルコールとを組み合わせることにより、毛髪柔軟成分が毛髪の表面または内部に十分に吸着ないし浸透し、毛髪に優れた柔軟性と平滑性を付与し、かつその柔軟性が長期にわたり持続される毛髪化粧料が提供される。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-04-26 |
出願番号 | 特願平6-166817 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YA
(A61K)
P 1 651・ 532- YA (A61K) P 1 651・ 121- YA (A61K) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 高原 慎太郎 |
特許庁審判長 |
森田 ひとみ |
特許庁審判官 |
谷口 博 深津 弘 |
登録日 | 2003-03-07 |
登録番号 | 特許第3405826号(P3405826) |
権利者 | サンスター株式会社 |
発明の名称 | 毛髪化粧料組成物 |
代理人 | 青山 葆 |
代理人 | 青山 葆 |
代理人 | 田中 光雄 |
代理人 | 田中 光雄 |