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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A21D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A21D
管理番号 1101084
異議申立番号 異議2003-70353  
総通号数 57 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-03-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-02-05 
確定日 2004-05-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3312225号「菓子類の製造法」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3312225号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第3312225号に係る発明についての出願は、平成5年9月9日に特願平5-250215号として出願され、平成14年5月31日にその特許の設定登録がなされ、その後、岩崎 勇及び山崎恭二より特許異議申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成15年10月24日に訂正請求がなされたものである。

II.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1を削除し、請求項2を下記のように訂正する。
「【請求項1】菓子類の製造に際し、その原材料の一つとして、15重量%以下の加熱溶解度と3〜15の膨潤度を有する架橋澱粉を使用し、且つ該架橋澱粉と小麦粉との比率(重量)が7:93乃至70:30の割合で該架橋澱粉を使用することを特徴とする菓子類の製造法。」
イ.訂正事項b
明細書段落【0015】に記載の「膨潤抑制澱粉」を「特定の架橋澱粉」
と訂正する。
ウ.訂正事項c
明細書段落【0016】に記載の「膨潤抑制澱粉、好ましくは特定の架橋澱粉」を「15重量%以下の加熱溶解度と3〜15の膨潤度を有する架橋澱粉」と訂正する。
エ.訂正事項d
明細書段落【0019】に記載の「本発明で使用する膨潤抑制澱粉は、澱粉を加熱糊化した際に澱粉粒子の膨潤が抑制されるように何らかの方法で加工した澱粉であって、その膨潤度が2〜20、好ましくは3〜15で、且つ加熱溶解度が15重量%以下のものであり、更に好ましくは膨潤度が4〜10で、且つ加熱溶解度が10重量%以下である。具体的には架橋澱粉、老化澱粉、湿熱処理澱粉、乳化剤処理澱粉などが挙げられる。膨潤抑制澱粉に於いて、膨潤度が2より低い澱粉では粉っぽい食感を生じ、膨潤度が20を超える場合、重い食感になって口どけが悪くなり、経時変化も改善されない。」を「本発明で使用する架橋澱粉は、その膨潤度が3〜15で、且つ加熱溶解度が15重量%以下のものであり、更に好ましくは膨潤度が4〜10で、且つ加熱溶解度が10重量%以下である。膨潤抑制澱粉に於て、膨潤度が2より低い澱粉では粉っぽい食感を生じ、膨潤度が20を越える場合、重い食感になって口どけが悪くなり、経時変化も改善されない。」と訂正する。
オ.訂正事項e
明細書段落【0020】に記載の「これら膨潤抑制澱粉の中でも、」を「架橋澱粉は膨潤抑制澱粉の一種に包含されるが、他の膨潤抑制澱粉の中でも」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、請求項1を削除し、それに伴い請求項2を訂正したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、また、上記訂正事項bないしeは、上記訂正事項aと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

3.むすび
したがって、本件訂正請求は、特許法120条の4,2項及び同条3項で準用する126条2項及び3項の規定に適合するので、請求のとおり当該訂正を認める。

III.特許異議申立
1.特許異議申立書の理由の概要
(1)異議申立人 岩崎 勇は、甲第1号証及び甲第2号証を提出し、訂正前の本件請求項1に係る発明は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明である、或いは、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条1項3号或いは同条2項の規定により特許を受けることができないと主張している。

甲第1号証:大日本製薬株式会社の湿熱処理澱粉「デリカスター」に関
するカタログ
甲第2号証:「食品化学新聞」(1993年3月4日発行6及び7頁)

(2)異議申立人 山崎恭二は、甲第1号証ないし甲第17号証を提出し、訂正前の本件請求項1ないし2に係る発明は、甲第1号証ないし甲第13号証に記載された発明である、又は、甲第1号証ないし甲第16号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条1項3号又は同条2項の規定により、或いは、本件明細書には不備なところがあるから、特許法36条4項の規定により特許を受けることができないと主張している。

甲第1号証:特開昭63-104643号公報
甲第2号証:露木著「実用コーンスターチ工業」(昭和53年12月1
日発行)155頁
甲第3号証:Thomas E.Luallen、Starch as
a Functional Ingredient,FO
OD TECHNOLOGY-January1985,
60頁
甲第4号証:Frances R.Belshaw,Effects
of Modified Starches on Mo
dern Cake Formulas,CEREAL
FOODS WORLD 、25巻、10号、648〜
649頁
甲第5号証:特開平3-87135号公報
甲第6号証:特開平5-153897号公報
甲第7号証:特開平5-161446号公報
甲第8号証:H.F.ZOBEL及びF.R.SENTI著、THE
BREAD STALING PROBLEM.X-RA
Y DIFFRACTION STUDIES ON
BREADS CONTAINING A CROSS-
LINKED STARCH AND A HEAT
AMYLASE,Cereal Chemistry、
36,441〜451頁
甲第9号証:特開昭64-71433号公報
甲第10号証:食品化学新聞、1993年6月17日号
甲第11号証:日本工業新聞、1993年6月4日号
甲第12号証:食品化学新聞、1993年3月4日号
甲第13号証:食品化学新聞、1993年1月28日号
甲第14号証:「澱粉科学」第22巻3号66〜71頁
甲第15号証:特開平5-15296号公報
甲第16号証:HARRY W.LEACH,L.D.McCOWEN
及びTHOMAS J.SCHOCH著、“ STRU
CTURE OF THE STARCH GRANU
LE I.Swelling and Solubil
ity Patterns of Various
Starches”,CEREAL CHEMISTR
Y,第36巻1-6号534〜545頁
甲第17号証:中村ら編「生物化学実験法19 澱粉・関連糖質実験法」 (1986年10月10日)273〜277頁

2.特許異議申立についての判断
上記「II.」で示したように、請求項1に係る発明は、訂正の結果削除され、異議申立人 岩崎 勇の特許異議の申立ての対象が存在しないので、この特許異議の申立ては、不適法な申立てであって、その補正をすることができないものであり、特許法120条の6、1項で準用する135条の規定によって却下すべきものである。
したがって、以下、特許異議申立人 山崎恭二による特許異議申立について検討する。
(1)本件発明
訂正後の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「菓子類の製造に際し、その原材料の一つとして、15重量%以下の加熱溶解度と3〜15の膨潤度を有する架橋澱粉を使用し、且つ該架橋澱粉と小麦粉との比率(重量)が7:93乃至70:30の割合で該架橋澱粉を使用することを特徴とする菓子類の製造法。」

(2)特許法29条1項3号について
甲第1号証は、油中水型エマルジョンに関し、「(5)ゲル化剤は天然澱粉、化工澱粉又は架橋結合澱粉から成る、特許請求の範囲第1項記載の水/油型エマルジョン」及び「(12)ベーカリ製品用バッターの製造方法において、ベーカリ製品に対するレシピーのマーガリン又はショートニングの代替物として特許請求の範囲第1項から第11項のいずれか1項に記載のエマルジョンを使用することを特徴とする、上記ベーカリ製品。」(いずれも特許請求の範囲の項)が、甲第2号証には、「架橋によりデンプン粒の膨潤が抑制されるので、糊化の初期に粘度が高く、この粘度は加熱を続けても低下がすくない性質を持っている。」(155頁12〜14行)及び「米国ではこのdi-型のリン酸デンプンを、パイ・プリン・缶詰スープ・冷凍食品・幼児食・クレビイ・サラダドレッシング、などの食品方面に既に巾広く利用している。」(155頁27〜29行)が、甲第3号証には、「架橋のみされた澱粉は、高い冷蔵または冷凍安定性を示さない。それらは、・・・パイフィリングやパングレーズのような高温充填系、ならびにプディングおよびチーズソースのような無菌処理された製品に使用される。」(60頁)が、甲第4号証には、架橋澱粉を添加した場合のケーキの水分損失及び官能評価が、甲第5号証には、「(2)上記化工澱粉が、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、架橋エーテル化澱粉、及び架橋エステル化澱粉のすくなくとも1種である請求項(1)に記載のパン類の製造法。」(特許請求の範囲の請求項2)及び「本発明者の研究によれば、パン製造に際し小麦粉の一部好ましくはその5〜40重量%を化工澱粉と活性グルテンで置き換えるときは、パン製造工程中に於けるパン生地の膨張が充分に確保出来る・・・」(2頁右上欄6〜9行)が、甲第6号証には、「加工デンプンがリン酸架橋又はアセチル化又はヒドロキシプロピル化されたものから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のパン用品質改良剤」(特許請求の範囲の請求項2)が、甲第7号証は、「製パン用生地改良剤及び該改良剤を用いたパンの製造方法」に係り「本発明はかかる実績に鑑み、機械耐性を損なうことなく、パン生地の吸水量を大幅に増加させ、ソフトで老化が遅く、ボリュームがあり、口当りの良いパンを提供する生地改良剤及びパンの製造方法を提供する。」(2頁2欄7〜11行)及び「本発明に用いられる化工デンプンとは、天然デンプンに対し、エステル化、エーテル化、リン酸架橋などの化学変性処理したものや、・・・」(2頁2欄42〜44行)が、甲第8号証には、「40%の架橋澱粉を含む還元小麦粉からなり、熱安定性細菌アミラーゼを補充されたパンのかけらの硬さと澱粉の結晶性との関係を調べた。」(441頁、要約)が、及び甲第9号証には、「1.マイクロ波で加熱することによる焼上げ製造物の嗜好性の低下を小さくするために、単に架橋だけを施してある改質澱粉以外の化学的に改質した澱粉を効果的な量混合してあることを特徴とするマイクロ波で加熱しても嗜好性を実質的に維持しうる改善された焼上げ製造物。 2.化学的に改質した澱粉をパン製造業者のパーセントで5から30%混合してある請求項1の改善された焼上げ製造物。」(特許請求の範囲の請求項1及び2)が、それぞれ記載されている。
上記甲第1号証ないし甲第9号証には、架橋澱粉をケーキ或いはパン(パンが本件発明における「菓子類」に該当するかは今は問わない。)に添加することが記載され、さらに、甲第5号証及び甲第7号証には、それぞれ「パン製造工程中に於けるパン生地の膨張が充分に確保出来る」及び「ソフトで老化が遅く、ボリュームがあり、口当りの良いパンを提供する」という本件発明に係る課題と軌を一にする記載はあるが、本件発明に係る特定の架橋澱粉、すなわち、「15重量%以下の加熱溶解度と3〜15の膨潤度を有する架橋澱粉」について開示されているところはない。

これに関し、異議申立人は、甲第14号証(特に、「Fig.4」及び「Fig.5」の記載。)及び甲第15号証(特に、「加熱溶解度が8%以下」という記載。)を参酌すると、甲第1号証ないし甲第9号証に係る架橋澱粉は、上記加熱溶解度と膨潤度を有することは明らかであり、したがって、本件発明は、甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明であると主張しているのでこれについて検討する。
甲第14号証は、「澱粉の構造と物性に関する研究」に係り、市販コーンスターチに0.036g/100g澱粉ないし0.714g/100g澱粉のエピクロルヒドリンを作用させると、0.27ないし5.40の架橋度を有する架橋澱粉が生成されること(Table 1のSample2〜7参照。)が記載され、さらに「4.膨潤度、溶解度と架橋度との関係 膨潤度と架橋度との関係をFig.4に示した。架橋度を対数で横軸にとり膨潤度を縦軸にとると、この間には直線的関係が成立する。これはリン酸による架橋澱粉でも示された性質と一致する。一方、溶解度(Fig.5)は膨潤度に比較するとバラツキが大きいが、架橋度C.B./A.G.U.=1/570の辺りまでの間に急激に低下し、それ以上の架橋度になると溶解度は極めて低い。」(70頁)との記載と共に、架橋澱粉を100℃で1時間加熱処理した場合の膨潤度と架橋度との関係が「Fig.4」として、また、溶解度と架橋度との関係が「Fig.5」として図示されている。
この「Fig.4」において、縦軸(膨潤度)は、「12」までの目盛りしかなく、このグラフからは、架橋度が増すにつれて膨潤度は「約12」から低下することが、また、「Fig.5」において、縦軸(溶解度)は、「10%」までの目盛りしかなく、このグラフからは、架橋度が増すにつれて加熱溶解度は「約10%」から低下することがそれぞれ一見読みとれる。
しかし、甲第14号証において、エピクロルヒドリンを作用させなかった「Sample1」に係る膨潤度や加熱溶解度が不明であるところ、本件明細書の「表1」によると、市販のコーンスターチの膨潤度及び加熱溶解度は、それぞれ「22.5」及び「26.3%」であることを参酌すると、「Sample1」と、エピクロルヒドリンを最少量作用させた「Sample2」との間では、膨潤度が22.5〜約12、加熱溶解度が26.3%〜約10%である架橋澱粉、すなわち15以上の膨潤度と15重量%を超える加熱溶解度を示す架橋澱粉が当然に存在すると解される。(本件明細書の表5にも、膨潤度が18.8であり、加熱溶解度が16.6%である架橋澱粉が試料No5として示されている。)
そうすると、甲第14号証を根拠に、甲第1号証ないし甲第9号証に記載の架橋澱粉が、15重量%以下の加熱溶解度と3〜15の膨潤度を有するとは必ずしもいえない。
また、甲第15号証には、「加熱溶解度が8%以下であって、60メッシュの篩を通過しない区分が5%以下の粒子状を有し、冷水膨潤度(Sc)と加熱膨潤度(Sh)の比が1.2≧Sc/Sh≧0.8の関係にあり、且つ冷水膨潤度が4〜15であることを特徴とする加工澱粉。」(特許請求の範囲請求項1)が記載されているものの、「本発明の加工澱粉は、水の存在下で予め加熱処理したものであり、ここで規定される溶解度は更にこれを加熱した時の値であり、これが8%以下、このましくは6%以下であることに留意されるべきである。」(3頁3欄29〜33行)及び「実施例1」の「水120部に硫酸ナトリウム20部を溶解し、市販の馬鈴薯澱粉100部を加えてスラリーとし、撹拌下4%の苛性ソーダ水溶液30部、プロピレンオキサイド4部に、エピクロルヒドリン0.14部、0.2部、0.4部、0.8部をそれぞれ加え、41℃で20時間反応せしめた後、硫酸で中和、水洗した。これらの約500cpsを示す濃度は夫々約10%、12%、15%、16.5%であり、膨潤開始温度は約53℃であった。次いで夫々25%の水性スラリーとし、表面温度150℃のダブルドラムドライヤーで加熱処理し、乾燥した。」(5頁8欄1〜10行)との記載を踏まえると、甲第15号証に記載の架橋澱粉は、α-澱粉の一種と考えられる。
これに対して、甲第1号証ないし甲第9号証には、架橋澱粉を添加してケーキ或いはパン等を製造するに当たり、予め架橋澱粉を加熱処理することについて言及する記載はなく、甲第1号証ないし甲第9号証に記載の架橋澱粉は、架橋反応後に加熱処理を受けておらず、α化されていないため冷水で膨潤することはないと考えられる。
そうすると、甲第15号証に記載の架橋澱粉は、甲第1号証ないし甲第9号証に係る架橋澱粉とは別異のものということができ、甲第15号証を根拠に、甲第1号証ないし甲第9号証に記載の架橋澱粉が、15重量%以下の加熱溶解度と3〜15の膨潤度を有するものであるとは必ずしもいえない。
さらに、特許異議申立人が提出した平成15年5月9日作成の「実験報告書」で使用したリン酸架橋タピオカ澱粉A,B及びCの膨潤度は、それぞれ、18.5,15.9及び23.6といずれも本件発明に係る膨潤度を超えており、しかも、該Cは、加熱溶解度が17.0%であって、本件発明に係る加熱溶解度の範囲外となっている。
したがって、これからも、甲第1号証ないし甲第9号証に記載の架橋澱粉が、必ずしも15重量%以下の加熱溶解度と3〜15の膨潤度を示すとは限らない。
以上のように、普通の架橋澱粉であっても、15重量%以下の加熱溶解度と3〜15の膨潤度という数値範囲を外れるものが存在するのであるから、甲第14号証及び甲第15号証に記載の事項を加味しても、本件発明は、甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明であるとはいえない。

(3)特許法29条2項について
上述のように、甲第1号証ないし甲第9号証には、架橋澱粉をケーキ或いはパンに添加する記載が、並びに甲第5号証には「パン製造工程中に於けるパン生地の膨張が充分に確保出来る」、及び甲第7号証には、「ソフトで老化が遅く、ボリュームがあり、口当りの良いパンを提供」するという本件発明に係る課題と軌を一にする記載はあるが、「15重量%以下の加熱溶解度と3〜15の膨潤度を有する架橋澱粉」について開示されるところはなく、また、甲第14号証及び甲第15号証にも、「15重量%以下の加熱溶解度と3〜15の膨潤度を有する架橋澱粉」のみが記載されているとはいえないので、本件発明のように、特定の加熱溶解度と膨潤度を有する架橋澱粉を使用すれば、本件明細書に記載の所期の効果が奏されることは、当業者といえども予測し得るところを超えているといえる。
また、甲第10号証ないし甲第13号証、甲第16号証及び甲第17号証には、湿熱処理澱粉について記載されているだけで、架橋澱粉について言及するところは全くない。
そうすると、本件発明は、甲第1号証ないし甲第17号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(4)特許法36条4項について
異議申立人は、本件明細書には、膨潤抑制澱粉の加熱溶解度を15重量%以下にするための具体的手段、及び架橋澱粉の膨潤度を3〜15の範囲内とする具体的手段はいずれも開示されておらず、しかも、本件明細書には、膨潤抑制澱粉の加熱溶解度を15重量%以下とすること、及び膨潤度を3〜15の範囲内にすることによる顕著な効果についての記載もない、と主張している。
しかし、本件明細書の「参考例1」には、タピオカ澱粉100部にトリメタリン酸ソーダを1.5部、0.75部、0.2部、0.1部及び0.03部作用させると、膨潤度が各々3.2、5.8、8.8、12.2及び18.8、加熱溶解度が各々0.2、0.5、4.2、9.3及び16.6であることが記載されているから(表1参照)、これらの数値を参酌して、トリメタリン酸ソーダの添加量を調整すれば、膨潤度が3〜15,加熱溶解度が15重量%以下である架橋澱粉は、当業者であれば容易に生成できるといえる。
そして、本件明細書の「実験例1」には、種々の試料について、比容積、柔らかさ、食味、食感、経時変化、及び総合評価についての評価が示され、これらの評価によると、本件発明に係る架橋澱粉が、他のものに比べ優れた効果を奏していることが確認できるから、上記主張は、失当といわざるを得ない。

3.まとめ
以上のとおりであるから、特許異議申立人 山崎恭二による特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、特許異議申立人 岩崎 勇による特許異議申立は、不適法な申立であって、その補正をすることができないものであるので、特許法120条の6、1項で準用する135条の規定によって却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
菓子類の製造法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
菓子類の製造に際し、その原材料の一つとして、15重量%以下の加熱溶解度と3〜15の膨潤度を有する架橋澱粉を使用し、且つ該架橋澱粉と小麦粉との比率(重量)が7:93乃至70:30の割合で該架橋澱粉を使用することを特徴とする菓子類の製造法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は菓子類の製造法に関し、その目的とする所は、体積が大きくて食感に優れると共に軽い食感を有し、しかも経時変化の少ない菓子類を製造しうる方法を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
一般に菓子類に於ては体積が大きくて内相、食感に優れ、しかも経時変化の少ない製品が望まれている。この場合の体積が大きいことはスポンジケーキなどに見られる焼成後の沈みも含めて、要するに得られた製品の体積が大きいことである。更に、近年では食感的に軽くて口どけのよい菓子類が好まれる傾向にある。
【0003】
これら問題の改善策として種々の方法が提案されている。これらの提案は焼成後の沈みを防止する為に、焼成直後のケーキにショックを与えるなどの物理的方法を除くと、小麦粉の改質と添加剤(原材料の置換も含め)に大別される。
【0004】
小麦粉を改質する方法としては、▲1▼原料小麦粉を熱処理するか、又は塩素処理する方法、▲2▼低蛋白の小麦粉を使用する方法、▲3▼蔗糖脂肪酸エステル及び水を加えて均一に混合した後乾燥する方法(特開昭63-14650号)などが知られている。
【0005】
しかし、これらの方法では充分に満足できるには至らず、それぞれに問題を残していた。即ち、▲1▼の方法では焼成後の沈みは防止されるものの体積が小さくなり、食感も悪くなる問題があり、▲2▼の方法では焼成直後の体積が大きくなる程焼成後の沈みが大きくなる問題があり、▲3▼の方法では大量生産する場合、少量の蔗糖脂肪酸エステルを均一に小麦粉に添加することが難しく、得られた製品がバラツキ易い難点があった。更に、これらの方法に共通した問題として、経時的に食感が劣化する欠点があった。
【0006】
添加剤による方法としての代表例は、乳化剤や乳化油脂を添加する方法であり、乳化剤や乳化油脂の添加は、食感を改善し、ある程度の経時変化の防止効果が得られるので広く利用されている。しかし、体積を大きくすることはできず、食感的にも重いものとなり、経時変化防止効果に於ても充分満足出来るものではなく、加えて乳化剤の味及び臭いが残って、菓子類本来の風味を減ずる欠点があった。
【0007】
また、澱粉類を用いる方法も提案されている。未処理の小麦澱粉、コーンスターチを小麦粉と置換する方法に就いては種々検討されているが(例えば、日本家政学会誌 Vol39 No.2 109-117,1988)、小麦粉を澱粉で置換することは上記の▲2▼の低蛋白の小麦粉を用いることに通じ、同様な問題があった。
【0008】
菓子類に加工澱粉を用いる提案もある。特開平1-218538号では、甘味料として砂糖に替えて液糖類を使用して、スポンジケーキ類を製造する方法が開示されている。しかし、この方法は砂糖に替えて液糖を使用するため水分が多くなり、単にその水分を吸収して液糖でも使用できるようにするものであって、ここで使用されている加工澱粉は澱粉粒の一部をα-化して水分を吸収し易くしたα-化澱粉の一種である。
【0009】
特開昭60-160833号では、ガム質、澱粉類、蛋白質の特定比率から成る老化防止剤が開示されている。この場合の澱粉類には未処理澱粉ばかりでなく化工澱粉も含むとされている。しかし、この場合、化工澱粉として膨潤抑制澱粉を示唆するものは無く、且つこの方法では乾燥フルーツなどを含むパン、ケーキを対象とし、乾燥フルーツなどへの水分の移行によって生ずる老化促進を、該老化防止剤を好ましくは溶解して乾燥フルーツなどに付着させ、ケーキなどの生地に加えることにより改善しているもので、いわば特殊なケーキなどの老化防止剤に関するものである。
【0010】
また一方、ケーキ類の中でも特にスポンジケーキは水分含量が高く、しかも生クリームなどの腐敗し易い副材料が使用される点から、冷蔵保存が望ましいが、冷蔵保存すると極く短期間の内に食感的に変化して「硬くなってぼそつく」「口どけが悪くなる」などの品質的劣化が起こり、常温でその日の内に消費されるようにするなどの煩雑な手段が講じられている。
【0011】
また、クリスマスケーキの場合、一度に大量消費される為に予め製造して冷凍保存し、その日に合わせて解凍して供給されているが、冷凍-解凍に於ける食感的劣化は避けがたく、これらの改善が望まれていた。
【0012】
特開昭61-187740号では、水溶性糊料類及び/又はグルテンと澱粉糖類を添加して、水分活性を低下し、且つ老化し難いスポンジ菓子の製造法が開示されている。しかし、この場合体積を大きくする効果や軽い食感にする効果は見られない。
【0013】
このように菓子類に求められる種々の要件を総合的に改善する方法はなく、これらを満たし、更に近年の嗜好傾向である食感的に軽い菓子類を得る簡便な方法が求められていた。
【0014】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、体積が大きくて食感に優れると共に、軽い食感を有し、且つ経時的な食感の劣化が改善された菓子類の提供にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
斯かる状況に鑑み、本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、菓子類の製造に際し、特定の架橋澱粉を使用することによってこの課題が著しく改善されることを見出し、本発明を完成した。
【0016】
即ち、本発明は、菓子類の製造に際し、その原材料の一つとして15重量%以下の加熱溶解度と3〜15の膨潤度を有する架橋澱粉を小麦粉に対し特定の割合で使用することを特徴とする。
【0017】
【発明の作用】
本発明に於いて、菓子類とは小麦粉、砂糖、卵を主原料とし、更に場合によっては油脂類をこれに含めた主原料に、種々の副原料及び適量の水を加えて混練して得た生地を、焼く又は蒸すという加熱処理を施して得られる菓子類を指称し、通常その水分含量が約15重量%程度以上の菓子類である。具体的には洋焼き菓子として、デコレーションケーキ、ショートケーキ、ロールケーキなどのスポンジケーキ類、パウンドケーキ、バウムクーヘン、フルーツケーキ、マドレーヌなどのバターケーキ類、その他ワッフル、ホットケーキ、ブッセなどが挙げられる。焼き和菓子類としては、どら焼き、今川焼き、たい焼き、カステラなどが例示出来る。
【0018】
蒸し菓子としては、蒸しケーキ、蒸しカステラ、饅頭(特にその皮)などが例示される。
【0019】
本発明で使用する架橋澱粉は、その膨潤度が3〜15で、且つ加熱溶解度が15重量%以下のものであり、更に好ましくは膨潤度が4〜10で、且つ加熱溶解度が10重量%以下である。膨潤抑制澱粉に於て、膨潤度が2より低い澱粉では粉っぽい食感を生じ、膨潤度が20を越える場合、重い食感になって口どけが悪くなり、経時変化も改善されない。
【0020】
架橋澱粉は膨潤抑制澱粉の一種に包含されるが、他の膨潤抑制澱粉の中でも、老化澱粉、湿熱処理澱粉、乳化剤処理澱粉では、膨潤度は適度に調節することができるが、加熱溶解度の調節が難しい場合があり、その点架橋澱粉ではこの両者を容易に調節することができ、好ましい澱粉と言える。
【0021】
なお老化澱粉とは澱粉を糊化した後、冷蔵或いは冷凍-解凍の繰り返しなどによって澱粉を老化させ(この老化の程度により膨潤度は異なる)、次いで乾燥、粉砕して得られ、その具体例としては市販の春雨を粉砕したものが挙げられる。
【0022】
湿熱処理澱粉とは、澱粉を糊化するには不十分な水分の存在下で、加熱処理した澱粉を指称し、例えば澱粉の水分を20〜25%程度に調整し、これを約100〜130℃で、0.5〜5時間程度加熱処理して得られる。この際、糊化しない範囲で水分を多くし、加熱温度を高くして処理時間を永くすると、膨潤度はより抑制される。
【0023】
乳化剤処理澱粉とは、脂肪酸モノグリセライド、蔗糖脂肪酸エステルなどの如き乳化剤が澱粉分子内に取り込まれるように処理した澱粉であり、例えば澱粉を30〜40%の水懸濁液とし、これに乳化剤を加えて数時間撹拌後、脱水、乾燥して得られる。
【0024】
又架橋澱粉はトリメタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、オキシ塩化リン、エピクロロヒドリンなどの常用の架橋剤を用いて、澱粉を架橋することによって得られる。
【0025】
その際、用いる原料澱粉としては市販の澱粉、例えば馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉などいずれも使用することができる。また、これら原料澱粉を予め処理した澱粉、例えば漂白処理した澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉なども、それぞれの処理の程度によって架橋の程度を変える必要はあるが、同じように用いることができる。
【0026】
また、これら架橋澱粉はいずれも優れた効果を発揮するが、その中でもタピオカ澱粉を原料にした架橋タピオカ澱粉が最も効果が大きく最も好ましい。
【0027】
尚、本発明で述べる膨潤度、加熱溶解度は以下の方法に従って測定される。
【0028】
<膨潤度、加熱溶解度>
乾燥物換算で試料1.0gを純水100mlに分散し、90℃、30分間加熱後30℃に冷却する。次いで、この糊化液を遠心分離(3000rpm、10分間)してゲル層と上澄層に分け、ゲル層の重量を測定して、これをAとする。次に重量測定したゲル層を乾固(105℃、恒量)して重量を測定してこれをBとし、A/Bで膨潤度を表す。一方、この時の上澄液の容量及び上澄液に含まれる全糖量をフェノール硫酸法で測定して加熱溶解度を算出する。
【0029】
本発明に於いては上記の架橋澱粉を菓子類の製造に際し、その原材料の一つとして用いる。本発明の対象とする菓子類(即ち架橋澱粉を使用して、改善しようとする菓子類)は、その原材料の一つとして小麦粉が必ず使用されており、その割合は架橋澱粉と小麦粉との比率が7:93乃至70:30の割合(重量)で用いる場合、効果は顕著となる。
【0030】
本発明の菓子類の製造に於ける製造工程は従来の製造工程を踏襲することができ、その中で従来用いていた小麦粉を上記の範囲で置き換えて小麦粉と同様に使用することで、体積が大きくて食感に優れると共に軽い食感を有し、しかも経時変化の少ない菓子類が得られる。この際、架橋澱粉は予め小麦粉と混合したプレミックスとして使用することもできるし、それぞれを別々に添加することもできる。
【0031】
また、菓子類には小麦粉、卵、砂糖、場合によって油脂類の主原料の他に、種々の副材料が用いられている。例えば、乳化油脂、乳化剤、膨張剤、香料、色素、水あめ、オリゴ糖、デキストリン、人工甘味料、リキュール、各種トッピング材などで、これらは必要に応じ従来と同様に用いることができる。
【0032】
また、バッター粘度の調節及びレーズン、ナッツなどのトッピング材の均一な分散などの目的で、α-化澱粉、天然ガムなどを添加することもできる。但し、この場合添加量が多くなると体積増大作用を抑制する傾向にあるので、悪影響がない程度に添加量は制限される。
【0033】
以下に参考例、実験例、実施例を挙げ、更に詳しく本発明を説明する。但し、部とあるは重量部を示す。
【0034】
【参考例1】
水120部に硫酸ソーダ10部、タピオカ澱粉100部を加えたスラリーを5点用意し、これらに攪拌下3%苛性ソーダ水溶液を加えて、pH11.1〜11.3に維持しながら、トリメタリン酸ソーダ1.5部、0.75部、0.2部、0.1部、0.03部をそれぞれに加え、39℃で10時間反応した後、塩酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して試料No.1〜5の5種類の架橋澱粉を得た。これらの物性を表1に示す。
【0035】
【参考例2】
参考例1に於てタピオカ澱粉をコーンスターチに替え、トリメタリン酸ソーダの添加量を0.25部とした他は同様に行い、試料No.6の架橋澱粉を得た。その物性も表1に示す。
【0036】
【参考例3】
市販の春雨を微粉砕した粉末を60メッシュの篩を通して試料No.7の老化澱粉を得た。その物性を表1に示す。また、市販の小麦澱粉、コーンスターチを夫々試料No.8及びNo.9として、その物性を表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
【実験例1】
参考例1及び2で得た架橋澱粉と参考例3で得た老化澱粉(試料No.1〜7)及び小麦澱粉(試料No.8)、コーンスターチ(試料No.9)を用いて、表2に示す配合割合のケーキ用原料の内、全卵、砂糖、水を仕込み、ホバートミキサーを用いて生地比重を0.25に起泡させた後、小麦粉及び/又は試料No.1〜9を加えて混合して生地比重0.4のスポンジケーキ生地を調製した。
【0039】
この生地300gを直径18cmの焼型に入れ、電気オーブンにて180℃で30分焼成した。得られたスポンジケーキについて下記基準に基いて評価し、その結果を表3及び表4に示す。
【0040】
【表2】

【0041】
<評価基準>
比容積
焼成した菓子類を室温に1日放冷し、菜種法で体積(ml)を測定し、この体積を焼き上り重量(g)で除して、比容積(ml/g)とした。
【0042】
柔らかさ
触感により柔らかさを下記基準で評価
食味
食した時の好ましい風味の強弱、好ましくない臭いの有無を下記基準で評価
食感
食した時の舌ざわり、口どけ、軽い食感を下記基準で評価
【0043】
経時変化
冷蔵庫(4℃)に3日間保存し、上述の柔らかさと食感を評価
総合評価
上述の評価結果を総合した評価
<基準>
◎:良好、 ○:やや良好、 △:普通、 ×:やや劣る、 ××:劣る
【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
【実験例2】
実験例1に於いて、参考例1で得た試料No.2の架橋澱粉を用いて、表5に示す配合割合のケーキ用原料を用い、その他は同様にしてスポンジケーキを製造し、同様に評価した。その結果を表6に示す。
【0047】
【表5】

【0048】
【表6】

【0049】
【実施例】
以下に実施例を示す。
【0050】
【実施例1】
参考例1で得た試料No.2の架橋澱粉を用いて、表7に示す配合割合のケーキ用原料を仕込み、ミキサーを使用して生地比重を0.4に起泡して、バタースポンジケーキ生地を調製した。この生地(300g)を直径18cmの焼型に入れ、電気オーブンにて180℃で30分間焼成した。得られたバタースポンジケーキを前記の評価基準に従って評価し、その結果を表8に示す。
【0051】
【表7】

【0052】
【表8】

【0053】
【実施例2】
参考例1で得た試料No.2の架橋澱粉を用いて、表9に示す配合割合のケーキ用原料を仕込み、以下実施例1と同様に処理してスポンジケーキを製造して同様に評価し、その結果を表10に示す。
【0054】
【表9】

【0055】
【表10】

【0056】
【実施例3】
参考例1で得た試料No.3の架橋澱粉を用いて、表11に示す配合割合の原料を仕込み、ミキサーを用いて生地比重0.4に起泡し、蒸しカステラ生地を調製した。この生地300gを16cm角、深さ4cmの型に入れ、25分間蒸し上げて蒸しカステラを製造した。これを同様に評価し、その結果を表12に示す。
【0057】
【表11】

【0058】
【表12】

【0059】
【実施例4】
参考例1で得た試料No.2の架橋澱粉を使用して、表13に示す配合割合のケーキ用原料を仕込み、ミキサーを用いて生地比重0.7に起泡してパウンドケーキ生地を調製した後、レーズンを混合した。次いでこの生地を直径18cmの焼型に入れ、電気オーブンにて180℃で30分間焼成してレーズン入りパウンドケーキを製造した。得られたパウンドケーキを同様に評価した。但し、この場合経時変化は4℃に1週間保存後に評価した。その結果を表14に示すが、対照区に比し、レーズンの沈みもなく、優れたパウンドケーキであった。尚、α化澱粉としては市販品(松谷化学工業製「マツノリンTG600」を使用した。
【0060】
【表13】

【0061】
【表14】

【0062】
【実施例5】
参考例1で得た試料No.2の架橋澱粉を用いて、表15に示す配合割合のどら焼き用原料を混ぜ合わせて種を調製し、この種を油をよく引いた平鍋に丸形に流して焼き上げ、どら焼きを製造した。これを同様に評価し、その結果を表16に示す。尚、α化澱粉としては市販品(松谷化学工業製「パインソフト」)を用いた。
【0063】
【表15】

【0064】
【表16】

 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-04-28 
出願番号 特願平5-250215
審決分類 P 1 651・ 113- YA (A21D)
P 1 651・ 121- YA (A21D)
最終処分 維持  
特許庁審判長 田中 久直
特許庁審判官 鵜飼 健
田村 聖子
登録日 2002-05-31 
登録番号 特許第3312225号(P3312225)
権利者 松谷化学工業株式会社
発明の名称 菓子類の製造法  
代理人 尾関 弘  
代理人 風早 信昭  
代理人 尾関 弘  
代理人 浅野 典子  

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