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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E04B
管理番号 1101089
異議申立番号 異議2000-73683  
総通号数 57 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-10-02 
確定日 2001-11-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3028507号「伸縮パネル」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3028507号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 [手続の経緯]
本件特許第3028507号の請求項1に係る発明についての出願は、平成7年9月11日に特許出願され、平成12年2月4日にその特許の設定登録がなされ、その後、その特許について理研軽金属工業株式会社より特許異議の申立がなされ、当審において取消理由通知がなされたところ、その指定期間内である平成13年6月11日に訂正請求がなされたものである。


[訂正の適否についての判断]
【1】訂正の内容
〔1〕訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1を、「【請求項1】目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の躯体に、両端部に取付けられた蝶番状の取付け金具によって取付けられた、所定間隔離間されて少なくとも2個以上取付けられた菱形形状が4個あるいは6個のパンタグラフ状の伸縮アームと、この2個以上の伸縮アームのほぼ中央部の枢支部にそれぞれ回動可能に取付けられたチャンネル状の中央目地板支持金具と、この中央目地板支持金具に支持され両側面でビス止め固定されるチャンネル状の中央目地板と、前記中央目地板支持金具が取付けられた部位の両側部の前記伸縮アームの中央枢支部に少なくとも1個以上取付けられたアングル状の側部目地板支持金具と、この側部目地板支持金具にそれぞれ外側側部がビス止め固定された内側側部の先端部が前記中央目地板にスライド可能に当接する断面クランク状の側部目地板と、前記伸縮アームの両端部に取付けられた前記外側部位の側部目地板をスライド可能に前記中央目地板方向に押し圧することができる固定目地板とを備えることを特徴とする伸縮パネル。」と訂正する。

〔2〕訂正事項b
特許明細書の段落【0006】を、「【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の躯体に、両端部に取付けられた蝶番状の取付け金具によって取付けられた、所定間隔離間されて少なくとも2個以上取付けられた菱形形状が4個あるいは6個のパンタグラフ状の伸縮アームと、この2個以上の伸縮アームのほぼ中央部の枢支部にそれぞれ回動可能に取付けられたチャンネル状の中央目地板支持金具と、この中央目地板支持金具に支持され両側面でビス止め固定されるチャンネル状の中央目地板と、前記中央目地板支持金具が取付けられた部位の両側部の前記伸縮アームの中央枢支部に少なくとも1個以上取付けられたアングル状の側部目地板支持金具と、この側部目地板支持金具にそれぞれ外側側部がビス止め固定された内側側部の先端部が前記中央目地板にスライド可能に当接する断面クランク状の側部目地板と、前記伸縮アームの両端部に取付けられた前記外側部位の側部目地板をスライド可能に前記中央目地板方向に押し圧することができる固定目地板とで伸縮パネルを構成している。」と訂正する。

〔3〕訂正事項c
特許明細書の段落【0026】を、「(1)目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の躯体に、両端部に取付けられた蝶番状の取付け金具によって取付けられた、所定間隔離間されて少なくとも2個以上取付けられた菱形形状が4個あるいは6個のパンタグラフ状の伸縮アームと、この2個以上の伸縮アームのほぼ中央部の枢支部にそれぞれ回動可能に取付けられたチャンネル状の中央目地板支持金具と、この中央目地板支持金具に支持され両側面でビス止め固定されるチャンネル状の中央目地板と、前記中央目地板支持金具が取付けられた部位の両側部の前記伸縮アームの中央枢支部に少なくとも1個以上取付けられたアングル状の側部目地板支持金具と、この側部目地板支持金具にそれぞれ外側側部がビス止め固定された内側側部の先端部が前記中央目地板にスライド可能に当接する断面クランク状の側部目地板と、前記伸縮アームの両端部に取付けられた前記外側部位の側部目地板をスライド可能に前記中央目地板方向に押し圧することができる固定目地板とで構成されているので、左右の建物間の目地部の幅寸法が大きい壁部位にでも、目地板の幅寸法を大きくしなくても覆うことができ、目地板の輸送が容易で、取付け作業も楽に行なうことができる。」と訂正する。


【2】訂正の目的の適否、新規事項の有無および拡張・変更の存否
〔1〕訂正事項aについて
この訂正は、特許明細書の段落【0009】【0023】の記載及び図面の記載の範囲内において、特許請求の範囲の請求項1中の「両端部が目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の躯体に所定間隔離間されて少なくとも2個以上取付けられた菱形形状が4個あるいは6個のパンタグラフ状の伸縮アーム」を、「目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の躯体に、両端部に取付けられた蝶番状の取付け金具によって取付けられた、所定間隔離間されて少なくとも2個以上取付けられた菱形形状が4個あるいは6個のパンタグラフ状の伸縮アーム」として、その構成を限定しようとするものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

〔2〕訂正事項b,cについて
これらの訂正は、上記訂正事項aの訂正に伴い、それとの整合を図るために特許明細書の発明の詳細な説明の記載を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。


【3】訂正の適否についてのまとめ
以上のとおりであるから、特許明細書に対する本訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。


[特許異議申立について]
【1】請求項1に係る発明
訂正後の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の躯体に、両端部に取付けられた蝶番状の取付け金具によって取付けられた、所定間隔離間されて少なくとも2個以上取付けられた菱形形状が4個あるいは6個のパンタグラフ状の伸縮アームと、この2個以上の伸縮アームのほぼ中央部の枢支部にそれぞれ回動可能に取付けられたチャンネル状の中央目地板支持金具と、この中央目地板支持金具に支持され両側面でビス止め固定されるチャンネル状の中央目地板と、前記中央目地板支持金具が取付けられた部位の両側部の前記伸縮アームの中央枢支部に少なくとも1個以上取付けられたアングル状の側部目地板支持金具と、この側部目地板支持金具にそれぞれ外側側部がビス止め固定された内側側部の先端部が前記中央目地板にスライド可能に当接する断面クランク状の側部目地板と、前記伸縮アームの両端部に取付けられた前記外側部位の側部目地板をスライド可能に前記中央目地板方向に押し圧することができる固定目地板とを備えることを特徴とする伸縮パネル。」


【2】特許異議申立の理由の概要
特許異議申立人・理研軽金属工業株式会社は、証拠方法として、甲第1号証〔実開平4-68101号公報、但し、当審の取消理由通知の取消理由では、その出願当初の明細書の内容を示す、実願平2-111911号(実開平4-68101号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という)を引用した)〕、甲第2号証〔特開平3-202526号公報(以下、「刊行物2」という)〕、及び、甲第3号証〔実願平7-370号(実開平7-43657号)のCD-ROM(以下、「刊行物3」という)〕を提出し、本件発明は、甲第1〜3号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件発明に係る特許は、同法第113条第2項の規定により取り消されるべきものであると主張している。(尚、当審の取消理由通知書の取消理由は、特許異議申立人が提出した証拠方法と主張をほぼそのまま採用している。)


【3】特許法第29条第2項の規定違反について
〔1〕各刊行物に記載された発明
(1)刊行物2〔特開平3-202526号公報〕には、以下の技術事項が記載されている。
(ア)「隣接する建築物の相互間に形成された目地を覆うものであって、隣接する建築物にそれぞれ回動可能に取付けられた支持基体と、4本のリンクを回動可能に連結して構成され、対向する角部を前記両支持基体に回動可能に連結した平行四節リンク機構と、両側を前記平行四節リンク機構の対向する2本のリンクに回動可能に連結するようにして平行配置された複数本の連結リンクと、これら連結リンクに該連結リンクの回動が可能なように連結支持され、互いに所定量重なり合うように配置されて前記両建築物間の目地を覆う複数枚のカバー板とを具備してなる建築物の目地カバー。」(特許請求の範囲)
(イ)「本発明・・・の目的は、一枚一枚のカバー板としては、製造コストの低い幅狭のものを使用できると共に、全体の幅寸法も小さくすることができる建築物の目地カバーを提供するにある。」(2頁右上欄13〜17行)
(ウ)「第1図において、11及び12は隣接する第1及び第2の建築物であり、それらの間には所定幅の目地13が設けられている。14及び15は略C字状の嵌合部14a及び15aを有した上下方向に長尺な第1及び第2のレール部材で、これらは、両建築物11及び12の側面に目地13の近傍に位置するようにして固定されている。16及び17は左右両側に取付板部16a,16b及び17a,17bを突設した上下に長尺な第1及び第2の支持基体で、これらは、基端の断面円形の支持部16c及び17bcを第1及び第2のレール部材14及び15の嵌合部14a及び15aに回動可能に嵌合支持せしめている。さて、18は平行四節リンク機構で、これは、・・・長さの等しい第1ないし第4のリンク19ないし22をピン23により互いに回動可能に連結して構成されている。」(2頁右下欄5行〜3頁左上欄1行)
(エ)「31は中央取付具で、これは、略コ字形の枢支部31aの左右両側に略L字形の取付部31b及び31cを対称形に延設してなるもので、枢支部31aを・・・中央の連結リンク26にその小孔30に挿通されたピン32を介して回動可能に連結支持されている。33は略L字形の枢支部33aの右側に略L字形の取付部33bを延設してなる右第1取付具、34は・・・略L字形の枢支部34aの左側に略L字形の取付部34bを延設してなる左第1取付具であり、・・・中央の連結リンク26の左右両側の連結リンク25及び27にその小孔30に挿通されたピン35を介して回動可能に連結支持されている。36は略L字形の枢支部36aの右側に略L字形の取付部36bを延設してなる右第2取付具、37は・・・略L字形の枢支部37aの左側に略L字形の取付部37bを延設してなる左第2取付具であり、・・・最外側の連結リンク24及び28にその小孔30に挿通されたピン38を介して回動可能に連結支持されている。」(3頁右上欄5行〜同頁左下欄7行)
(オ)「39は上下方向に長尺な中央カバー板で、これは、左右両側に略L字形の水切部39a及び39bを有しており、その両水切部39a及び39bを中央取付具31の両取付部31b及び31cにねじ40により固定している。41及び42は上下方向に長尺な右第1カバー板及び左第1カバー板であり、これらは、左右両側に略L字形の水切部41a,41b及び42a,42bを有している。そして、右第1カバー板41は、左側半分を中央カバー板39に所定量重ね合わせるようにして右側の水切部41aを右第1取付具33の取付部33bにねじ43により固定している。また、左第1カバー板42は、右側半分を中央カバー板39に所定量重ね合わせるようにして左側の水切部42aを左第1取付具34の取付部34bにねじ44により固定している。45及び46は上下方向に長尺な右第2カバー板及び左第2カバー板であり、これらも、左右両側に略L字形の水切部45a,45b及び46a,46bを有している。そして、右第2カバー板45は、左側半分を右第1カバー板41に所定量重ね合わせるようにして右側の水切部45aを右第2取付具36の取付部36bにねじ47により固定している。また、左第2カバー板46は、右側半分を左第1カバー板42に所定量重ね合わせるようにして左側の水切部46aを左第2取付具37の取付部37bにねじ48により固定している。49は上下方向に長尺な右第3カバー板で、これは、左右両側に略L字形の取付部49a及び水切部49bを有しており、左側半分を右第2カバー板45に所定量重ね合わせるようにして取付部49aを第1の支持基体16の取付板部16bにねじ50により固定している。51は上下方向に長尺な左第3カバー板で、これは、・・・右左両側に略L字形の取付部51a及び水切部51bを有おり、右側半分を左第2カバー板46に所定量重ね合わせるようにして取付部51aを第2の支持基体17の取付板部17bにねじ52により固定している。なお、右第1カバー板41の連結リンク25への連結構成を第3図に示す。」(3頁左下欄8行〜4頁左上欄7行)
(カ)「このような各カバー板39,41,42,45,46,49,51の外側或いは内側へのスライドによって、両建築物11及び12の横揺れが吸収される。」(4頁左下欄6〜9行)
これら(ア)〜(カ)の記載及び図面の記載を含む刊行物2全体の記載からみて、刊行物2には、建築物の目地カバーに関して、以下の発明が記載されている。
「目地13を介して建てられた建築物11及び12の目地13近傍の躯体側面に、両端部に取付けられた第1のレール部材14及び第2のレール部材15とそれらの嵌合部にそれぞれ基端の支持部を回動可能に嵌合支持せしめた第1の支持基体16及び第2の支持基体17によって取付けられた、所定間隔離間されて少なくとも2個以上取付けられた平行四節リンク機構18からなるパンタグラフ状の伸縮アームと、この2個以上の伸縮アームの中央の連結リンク26の小孔にそれぞれピンを介して回動可能に連結支持された略コ字形の枢支部の左右両側に略L字形の取付部を対称形に延設してなる中央取付具31と、この中央取付具31に支持され左右両側の略L字形の水切部を中央取付具31の両取付部にねじにより固定される中央カバー板39と、前記中央取付具31が取付けられた中央の連結リンク26の両側部の前記伸縮アームの左右両側の連結リンク27、28及び25、24の小孔に取付けられたそれぞれ略L字形の枢支部及び取付部を延設してなる左右第1取付具34,33、左右第2取付具37,36と、この左右第1取付具34,33、左右第2取付具37,36にそれぞれ外側の略L字形の水切部がねじにより固定された内側の略L字形の水切部の先端部が前記中央カバー板39にスライド可能に重ね合わされる左右第1カバー板42,41、左右第2カバー板46,45と、前記伸縮アームの両端部に取付けられた前記外側部位の左右第1カバー板42,41、左右第2カバー板46,45とスライド可能に重ね合わされる左右第3カバー板51,49とを備える建築物の目地カバー。」

(2)刊行物1〔実願平2-111911号(実開平4-68101号)のマイクロフィルム〕には、実用新案登録請求の範囲、1頁16行〜2頁5行、3頁12行〜4頁12行、6頁2〜19行の記載及び図面の記載を含む刊行物1全体の記載からみて、2つの躯体相互間に設けられ躯体が相互に大きな変位量で地震などによって変位したときその変位を許容することができる伸縮継手装置に関して、以下の技術事項が記載されている。
建造物である躯体2,3にそれぞれ固定した縁材5とパンタグラフ4とをヒンジ6により連結し、パンタグラフ4に止水板67,68を固定してなる躯体2,3間に配置する伸縮継手装置1において、ヒンジ6は、縁材5に固定した取付片40にボルト46を用いて結合するヒンジ片44と、このヒンジ片44にヒンジピン50によって角変位可能に連結するヒンジ片49とからなり、また、パンタグラフ4は、複数のピン8,8a,9,11を用いて複数のリンク7,10を枢支すると共に、ピン8に止水板67,68を支持固定し、躯体2,3間の目地部の寸法変動にリンク7,10及び止水板67,68を追従可能としたこと。

(3)刊行物3〔実願平7-370号(実開平7-43657号)のCD-ROM〕には、実用新案登録請求の範囲、段落【0001】,【0008】,【0014】,【0017】,【0018】,【0022】の記載及び図面の記載を含む刊行物3全体の記載からみて、建築構造物の躯体の相互間の隙間を塞ぎかつ地震や地盤の不等沈下および建築構造物の膨張収縮などの変化を許容することができる伸縮継手装置に関して、以下の技術事項が記載されている。
建築構造物である躯体1,1aの間隔2に臨む内面4,4aにそれぞれ固定したブラケット71,71aに、リンク77〜82がボルト83〜85によってピン結合して菱形形状を複数個形成してなるリンク手段76を、ボルト86,87によってピン結合し、また、躯体1,1aの間隔2に臨む内面4,4aにそれぞれ固定した縁材57,57aに、カバー部材58の外側端部を固定してなる躯体1,1a間に配置する伸縮継手装置3において、ボルト84の外部側一端部に設けた連結部材93によりカバー部材58の内側端部を固定し、また、躯体1,1aの間隔2が大きい場合には、カバー部材58の数に合わせて菱形形状の数を増加(図6において、連結部材93が3個であればボルト84も3本であるから、菱形形状は4個である)させた前記リンク手段76と類似の構成を有するリンク手段112を用いること。

〔2〕本件発明と刊行物2に記載された発明との対比・判断
(1)本件発明と刊行物2に記載された発明との対比
刊行物2に記載された発明の「目地13」,「建築物11及び12」,「第1のレール部材14及び第2のレール部材15とそれらの嵌合部にそれぞれ基端の支持部を回動可能に嵌合支持せしめた第1の支持基体16及び第2の支持基体17」,「左右第3カバー板51,49」及び「建築物の目地カバー」は、本件発明の「目地部」,「左右の建物」,「蝶番状の取付け金具」,「固定目地板」及び「伸縮パネル」にそれぞれ対応し、
また、刊行物2に記載された発明の「伸縮アームの中央の連結リンク26の小孔」,「小孔にそれぞれピンを介して回動可能に連結支持された」及び「略コ字形の枢支部の左右両側に略L字形の取付部を対称形に延設してなる中央取付具31」は、本件発明の「伸縮アームのほぼ中央部の枢支部」,「枢支部にそれぞれ回動可能に取付けられた」及び「チャンネル状の中央目地板支持金具」にそれぞれ対応し、
また、刊行物2に記載された発明の「左右両側の略L字形の水切部を中央取付具31の両取付部にねじにより固定される中央カバー板39」及び「中央取付具31が取付けられた中央の連結リンク26」,「連結リンク26の両側部の伸縮アームの左右両側の連結リンク27、28及び25、24の小孔」は、本件発明の「両側面でビス止め固定されるチャンネル状の中央目地板」,「中央目地板支持金具が取付けられた部位」及び「部位の両側部の伸縮アームの中央枢支部」にそれぞれ対応し、
さらに、刊行物2に記載された発明の「それぞれ略L字形の枢支部及び取付部を延設してなる左右第1取付具34,33、左右第2取付具37,36」,「外側の略L字形の水切部及び内側の略L字形の水切部を設けた左右第1カバー板42,41、左右第2カバー板46,45」及び「外側の略L字形の水切部がねじにより固定された内側の略L字形の水切部」は、本件発明の「少なくとも1個以上取付けられたアングル状の側部目地板支持金具」,「断面クランク状の側部目地板」及び「外側側部がビス止め固定された内側側部の先端部」にそれぞれ対応するから、本件発明と刊行物2に記載された発明とは、
「目地部を介して建てられた左右の建物の目地部近傍の躯体に、両端部に取付けられた蝶番状の取付け金具によって取付けられた、所定間隔離間されて少なくとも2個以上取付けられたパンタグラフ状の伸縮アームと、この2個以上の伸縮アームのほぼ中央部の枢支部にそれぞれ回動可能に取付けられたチャンネル状の中央目地板支持金具と、この中央目地板支持金具に支持され両側面でビス止め固定されるチャンネル状の中央目地板と、前記中央目地板支持金具が取付けられた部位の両側部の前記伸縮アームの中央枢支部に少なくとも1個以上取付けられたアングル状の側部目地板支持金具と、この側部目地板支持金具にそれぞれ外側側部がビス止め固定された内側側部の先端部が前記中央目地板にスライド可能に重ね合わされる断面クランク状の側部目地板と、前記伸縮アームの両端部に取付けられた前記外側部位の側部目地板とスライド可能に重ね合わされる固定目地板とを備える伸縮パネル。」の点で構成が一致し、以下の点で構成が相違する。
〈相違点1〉
伸縮アームを取り付ける目地部近傍の躯体の位置に関して、本件発明が、躯体の「目地部側」であるのに対して、刊行物2に記載された発明では、躯体の側面である点。
〈相違点2〉
パンタグラフ状の伸縮アームに関して、本件発明が、「菱形形状が4個あるいは6個」 の構造のものであるのに対して、刊行物2に記載された発明では、平行四節リンク構造のものである点。
〈相違点3〉
断面クランク状の側部目地板に関して、本件発明が、その「内側側部の先端部が中央目地板にスライド可能に当接する」 ものであるのに対して、刊行物2に記載された発明では、側部目地板(左右第1カバー板42,41、左右第2カバー板46,45)が、その内側側部の先端部が中央目地板(中央カバー板39)にスライド可能に重ね合わされるものの、当接して重ね合わされるのか否か定かでない点。
〈相違点4〉
固定目地板に関して、本件発明が、「伸縮アームの両端部に取付けられた外側部位の側部目地板をスライド可能に中央目地板方向に押し圧することができる」ものであるのに対して、刊行物2に記載された発明では、固定目地板(左右第3カバー板51,49)が、伸縮アームの両端部に取付けられた側部目地板(左右第1カバー板42,41、左右第2カバー板46,45)とスライド可能に重ね合わされるものの、前者が後者を中央目地板(中央カバー板39)方向に押し圧することができるように重ね合わされるものであるのか否か定かでない点。

(2)構成の相違点についての検討
〈相違点1について〉
建物の躯体相互間に設けられて隙間を塞ぎ且つ躯体が相互に大きく変位したときその変位を許容することができる伸縮継手装置の技術分野において、伸縮アームを左右の建物の躯体の目地部側に取り付けることは、刊行物1,3に記載され、また、後述の周知例である、実願平1-144290号(実開平3-82705号)のマイクロフィルム、実願平3-108166号(実開平5-67709号)のCD-ROM等に記載されているように従来周知であるから、本件発明の当該相違点1についての構成は、上記刊行物1,3に記載された技術及び上記各周知例に記載された周知技術から当業者が容易に想到し得たものと認められる。
〈相違点2について〉
同上、伸縮継手装置の技術分野において、パンタグラフ状の伸縮アームとして、菱形形状を複数個形成してなるものを用いることは、刊行物1,3に記載されており、しかも、刊行物3には、その図6に、菱形形状の数を4個としたリンク手段112を用いることが開示され、これは、本件発明の「菱形形状が4個あるいは6個のパンタグラフ状の伸縮アーム」に相当する。
また、菱形形状の数を増加してその数を適宜数に設定することは、当業者が必要に応じて随時採用する程度の設計的事項と認められるから、本件発明の当該相違点2についての構成は、刊行物1,3に記載された技術から当業者が容易に想到し得たものと認められる。
〈相違点3について〉
同上、伸縮継手装置の技術分野において、中央或いは内側の目地板に対してその外側の目地板の内側側部の先端部をスライド可能に当接することは、例えば、当審の取消理由通知の取消理由で示した、実願昭59-87281号(実開昭61-1516号)のマイクロフィルム、実願平1-144290号(実開平3-82705号)のマイクロフィルム、実願平3-108166号(実開平5-67709号)のCD-ROM等に記載されているように従来周知であるから、本件発明の当該相違点3についての構成は、上記各周知例に記載された周知技術から当業者が容易に想到し得たものと認められる。(尚、各周知例において、「摺動」は、スライド可能に当接することと技術的にみてほぼ同義である。)
〈相違点4について〉
同上、伸縮継手装置の技術分野において、外側の目地板に対してその外側の固定目地板をスライド可能に中央目地板方向に押し圧することは、例えば、上記〈相違点3について〉の項で示した各周知例等に記載されているように従来周知であるから、本件発明の当該相違点4についての構成は、上記各周知例に記載された周知技術から当業者が容易に想到し得たものと認められる。(尚、各周知例において、「摺動」は、スライド可能に押し圧することと技術的にみてほぼ同義である。)

(3)まとめ
そして、本件発明に係る構成によって奏し得る効果も、刊行物2に記載された発明並びに刊行物1,3に記載された技術及び上記周知例等に記載された従来周知技術に固有の機能に基づき普通に予測できる範囲内のものであって、格別なものがあるとは認められないから、本件発明は、刊行物2に記載された発明並びに刊行物1,3に記載された技術及び従来周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


【5】むすび
以上のとおりであるから、本件発明に係る特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
伸縮パネル
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の躯体に、両端部に取付けられた蝶番状の取付け金具によって取付けられた、所定間隔離間されて少なくとも2個以上取付けられた菱形形状が4個あるいは6個のパンタグラフ状の伸縮アームと、この2個以上の伸縮アームのほぼ中央部の枢支部にそれぞれ回動可能に取付けられたチャンネル状の中央目地板支持金具と、この中央目地板支持金具に支持され両側面でビス止め固定されるチャンネル状の中央目地板と、前記中央目地板支持金具が取付けられた部位の両側部の前記伸縮アームの中央枢支部に少なくとも1個以上取付けられたアングル状の側部目地板支持金具と、この側部目地板支持金具にそれぞれ外側側部がビス止め固定された内側側部の先端部が前記中央目地板にスライド可能に当接する断面クランク状の側部目地板と、前記伸縮アームの両端部に取付けられた前記外側部位の側部目地板をスライド可能に前記中央目地板方向に押し圧することができる固定目地板とを備えることを特徴とする伸縮パネル。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は目地部を介して建てられた左右の建物の壁面部位の目地部を覆う伸縮パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の伸縮パネルは一方の建物の躯体に取付けられた固定金具に回動可能に一方の目地板を取付けるとともに、他方の建物の躯体に取付けられた固定金具に回動可能でかつ前記一方の目地板と先端部がスライド可能に重なり合う他方の目地板と、前記前面に位置する目地板が取付けられた固定金具に所定間隔で取付けられた後面に位置する目地板を該前面の目地板とで挟んでスライド可能に支持する複数個の支持金具とで構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の伸縮パネルは左右の建物に固定金具を介して取付けられた左右の目地板の先端部をスライド可能に重ね合せているため、左右の目地板の幅寸法を大きくすると重くなり、取付けに苦労するとともに、固定金具や支持金具を強固並なものにしなければならないという欠点があるため、小さな幅寸法の目地部にしか設置することができないという欠点があった。
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、取付け作業が容易で、大きな目地部の幅寸法の壁部位にでも、伸縮可能に目地部を覆うように取付けることができる伸縮パネルを提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照し合せて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を構成するために、本発明は目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の躯体に、両端部に取付けられた蝶番状の取付け金具によって取付けられた、所定間隔離間されて少なくとも2個以上取付けられた菱形形状が4個あるいは6個のパンタグラフ状の伸縮アームと、この2個以上の伸縮アームのほぼ中央部の枢支部にそれぞれ回動可能に取付けられたチャンネル状の中央目地板支持金具と、この中央目地板支持金具に支持され両側面でビス止め固定されるチャンネル状の中央目地板と、前記中央目地板支持金具が取付けられた部位の両側部の前記伸縮アームの中央枢支部に少なくとも1個以上取付けられたアングル状の側部目地板支持金具と、この側部目地板支持金具にそれぞれ外側側部がビス止め固定された内側側部の先端部が前記中央目地板にスライド可能に当接する断面クランク状の側部目地板と、前記伸縮アームの両端部に取付けられた前記外側部位の側部目地板をスライド可能に前記中央目地板方向に押し圧することができる固定目地板とで伸縮パネルを構成している。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0008】
図1ないし図18の本発明の第1の実施の形態において、1は目地部2を介して建てられた左右の建物3、3の壁面部位の目地部2を覆う本発明の伸縮パネルで、この伸縮パネル1は両端部が前記左右の建物3、3の目地部2側の躯体3a、3aに所定間隔離間されて少なくとも2個以上取付けられた菱形形状が6個できるパンタグラフ状の伸縮アーム4と、これらの伸縮アーム4のほぼ中央部に中央目地板支持金具5を用いて回動可能に取付けられた中央目地板6と、この中央目地板6の両側部を覆うように少なくとも1個以上、本実施の形態では左右の2個の側部目地板支持金具7、7、7A、7Aを用いて回動可能に取付けられた左右の2個の側部目地板8、8、8、8と、前記伸縮アーム4の両端部に取付けられた固定金具9、9に取付けられた前記外側部位の側部目地板8、8をスライド可能に前記中央目地板6方向に押し圧することができる固定目地板10、10とで構成されている。
【0009】
前記伸縮アーム4は図4に示すように、菱形形状が6個できるように形成されたボルト状の中央枢支ピン11、11、11、11を有するパンタグラフ状の伸縮アーム本体12と、この伸縮フーム本体12の両端部に枢支ピン13、13によって回動可能に取付けられた躯体3a、3aに複数本のビス14、14によって固定される蝶番状の取付け金具15、15とで構成されている。
【0010】
前記中央目地板支持金具5は図5に示すように、アルミ、アルミ合金あるいはステンレス材を断面チャンネル状に形成された中央目地板支持金具本体16と、この中央目地板支持金具本体16の中央部に凹部17を形成し、その中央部に形成した前記伸縮アーム本体12の中央部の枢支ピン13が挿入される枢支ピン挿入孔18とで形成されている。
【0011】
前記中央目地板6は図6に示すように、前記中央目地板支持金具5に支持されるアルミ、アルミ合金、ステンレス材で断面チャンネル状に形成され、該中央目地板6の両側板6a、6aと前記中央目地板支持金具5の両側位置5a、5aとはビス19、19によって固定される。
【0012】
前記側部目地板支持金具7、7Aは図7および図8に示すように、アルミ、アルミ合金、ステンレス材で先端部に前記伸縮アーム本体12の中央枢支ピン11が挿入される枢支ピン挿入孔20が形成された取付け板21と、この取付け板21の後端部と一体に形成された支持板22とをアングル状に形成されたもので、中央部側に取付けられる側部目地板支持金具7の支持板22の高さ寸法よりも外側に取付けられる側部目地板支持金具7Aの支持板22の高さ寸法が大きくなるように形成されている。
【0013】
前記側部目地板8は図9に示すように、アルミ、アルミ合金、ステンレス材でクランク状に曲げ加工されたものが使用されている。
【0014】
前記固定目地板10は図10に示すように、アルミ、アルミ合金、ステンレス材でチャンネル状に形成された固定目地板本体23と、この固定目地板本体23の一方の側面板23aの先端部に外方へ突出する取付け板24とで構成されている。
【0015】
上記構成の伸縮パネル1は左右の建物3、3の前面よりも内側部位の目地部2の躯体3a、3a部分に、図11に示すように伸縮アーム4の取付け金具15、15を複数本のビス14によって固定する。このように取付けられた伸縮アーム4の上部あるいは下部に所定間隔離間させて同様に伸縮アーム4を取付ける。
【0016】
次に、図12に示すように伸縮アーム4の中央部のボルト状の中央枢支ピン11に中央目地板支持金具5の枢支ピン挿入孔18に挿入し、枢支ピン11にナット25、25を取付け、中央目地板支持金具5を回動可能に取付ける。
【0017】
しかる後、中央目地板支持金具5、5に図13に示すように中央目地板6を支持させ、該中央目地板支持金具5、5の側板5a、5aと中央目地板6の側板6a、6aとをビス19、19によって固定する。
【0018】
次に、中央部の中央枢支ピン11の両側部位の中央枢支ピン11、11に、図14に示すように側部目地板支持金具7、7を取付ける。この時、側部目地板支持金具7、7と伸縮アーム本体12との間に外方に取付ける側部目地板支持金具7A、7Aと干渉しないように隙間を設けて取付け、図15に示すように側部目地板支持金具7、7の支持板22、22の先端部に複数本のビス26によって、先端部が中央目地板6に当接するように側部目地板8、8に取付ける。
【0019】
同様に、前述した側部目地板8、8の外側部位に、図16に示すように側部目地板支持金具7A、7Aを取付け、図17に示すように側部目地板支持金具7A、7Aの支持板22、22の先端部に複数本のビス26、26によって先端部が側部目地板8、8にそれぞれ当接するように側部目地板8、8を取付ける。
【0020】
次に図18に示すように伸縮アーム本体12の両端部に固定金具9、9を取付け、該固定金具9、9に複数本のビス27によって先端部が外側部位の側部目地板8、8にそれぞれ当接するように固定目地板10、10を取付け、該固定目地板10、10の取付け部位と躯体3a、3aとの間にシール剤28、28を充填する。
【0021】
上記構成の伸縮パネル1は、左右の建物3、3が地震等で上下・左右・前後方向に揺れ動いても、伸縮アーム4、4が伸縮して左右方向の揺れ動きを吸収するとともに、伸縮アーム本体12と蝶番状の取付け金具15、15とが枢支ピン13、13で取付けられているため、上下・前後方向の揺れ動きを吸収する。
また、中央目地板6、側部目地板8、8、8、8および固定目地板10、10とは上下・左右方向にスライド移動し、その動きを吸収する。
【0022】
【発明の異なる実施の形態】
次に図19ないし図24に示す本発明の異なる実施の形態につき説明する。なお、これらの本発明の異なる実施の形態の説明に当って、前記本発明の第1の実施の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0023】
図19ないし図21の本発明の第2の実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と主に異なる点は、菱形形状が4個できるパンタグラフ状の伸縮アーム4を用いるとともに、中央目地板6と固定目地板10、10との間にそれぞれ1個の側部目地板8、8を配置した点で、このように構成した伸縮パネル1Aにしても、前記本発明の第1の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
【0024】
図22ないし図24の本発明の第3の実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と主に異なる点は、伸縮アーム4Aの取付け金具15A、15Aに固定金具9、9を一体成形した点で、このように形成した伸縮アーム4Aを用いた構成した伸縮パネル1Bにしても、前記本発明の第1の実施の形態と同様な作用効果が得られるとともに、前後方向の揺れ動きにも十分に対応することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0026】
(1) 目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の躯体に、両端部に取付けられた蝶番状の取付け金具によって取付けられた、所定間隔離間されて少なくとも2個以上取付けられた菱形形状が4個あるいは6個のパンタグラフ状の伸縮アームと、この2個以上の伸縮アームのほぼ中央部の枢支部にそれぞれ回動可能に取付けられたチャンネル状の中央目地板支持金具と、この中央目地板支持金具に支持され両側面でビス止め固定されるチャンネル状の中央目地板と、前記中央目地板支持金具が取付けられた部位の両側部の前記伸縮アームの中央枢支部に少なくとも1個以上取付けられたアングル状の側部目地板支持金具と、この側部目地板支持金具にそれぞれ外側側部がビス止め固定された内側側部の先端部が前記中央目地板にスライド可能に当接する断面クランク状の側部目地板と、前記伸縮アームの両端部に取付けられた前記外側部位の側部目地板をスライド可能に前記中央目地板方向に押し圧することができる固定目地板とで構成されているので、左右の建物間の目地部の幅寸法が大きい壁部位にでも、目地板の幅寸法を大きくしなくても覆うことができ、目地板の輸送が容易で、取付け作業も楽に行なうことができる。
【0027】
(2)前記(1)によって、左右の建物が地震等によって前後・上下・左右方向に揺れ動いても、その揺れ動きを吸収することができ、損傷を防止して、長期間使用することができる。
【0028】
(3)前記(1)によって、伸縮アームに中央目地板、側部目地板、固定目地板を取付けておき、現場で左右の建物に取付けることもでき、取付け方法を選択使用することができる。
【0029】
(4)前記(1)によって、菱形形状が4個あるいは6個のパンタグラフ状の伸縮アームを用いているので、目地部が狭くなる方向に収縮しても菱形形状が1個や2個のものよりも上下方向に幅寸法をとらず大きく突出しないので、左右の建物間の目地部の幅寸法が大きい壁部位であっても上下方向に複数の伸縮アームを用いることができる。
したがって、目地板を上下方向に複数配設される伸縮アームに取付けるので、左右の建物間の目地部の幅寸法が大きい壁部位であっても目地板の取付け強度を充分に保つことができ、耐久性のある伸縮パネルを設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す正面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す背面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す伸縮アームの説明図。
【図5】本発明の第1の実施の形態を示す中央目地板支持金具の説明図。
【図6】本発明の第1の実施の形態を示す中央目地板の説明図。
【図7】本発明の第1の実施の形態の側部目地板支持金具の説明図。
【図8】本発明の第1の実施の形態の側部目地板支持金具の説明図。
【図9】本発明の第1の実施の形態の側部目地板の説明図。
【図10】本発明の第1の実施の形態の固定目地板の説明図。
【図11】伸縮アームの取付け状態の説明図。
【図12】中央目地板支持金具の取付け状態の説明図。
【図13】中央目地板の取付け状態の説明図。
【図14】側部目地板支持金具の取付け状態の説明図。
【図15】側部目地板の取付け状態の説明図。
【図16】外側の側部目地板支持金具の取付け状態の説明図。
【図17】外側の側部目地板支持金具の取付け状態の説明図。
【図18】固定目地板の取付け状態の説明図。
【図19】本発明の第2の実施の形態の断面図。
【図20】本発明の第2の実施の形態の正面図。
【図21】本発明の第2の実施の形態の背面図。
【図22】本発明の第3の実施の形態の断面図。
【図23】本発明の第3の実施の形態の正面図。
【図24】本発明の第3の実施の形態の要部拡大断面図。
【符号の説明】
1、1A、1B:伸縮パネル、 2:目地部、
3:建物、 4、4A:伸縮アーム、
5:中央目地板支持金具、 6:中央目地板、
7、7A:側部目地板支持金具、8:側部目地板、
9:固定金具、 10:固定目地板、
11:中央枢支ピン、 12:伸縮アーム本体、
13:枢支ピン、 14:ビス、
15、15A:取付け金具、 16:中央目地板支持金具本体、
17:凹部、 18:枢支ピン挿入孔、
19:ビス、 20:枢支ピン挿入孔、
21:取付け板、 22:支持板、
23:固定目地板本体、 24:取付け板、
25:ナット、 26:ビス、
27:ビス、 28:シール剤。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2001-09-06 
出願番号 特願平7-259317
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (E04B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 鈴野 幹夫  
特許庁審判長 幸長 保次郎
特許庁審判官 伊波 猛
中田 誠
登録日 2000-02-04 
登録番号 特許第3028507号(P3028507)
権利者 ドーエイ外装有限会社
発明の名称 伸縮パネル  
代理人 桑原 英明  
代理人 三浦 光康  
代理人 三浦 光康  

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