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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G07D
管理番号 1101163
異議申立番号 異議2003-70313  
総通号数 57 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-05-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-01-28 
確定日 2004-05-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3331045号「硬貨処理装置」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3331045号の請求項1及び2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯

特許第3331045号の請求項1〜5に係る発明についての出願は、平成5年10月15日になした出願(特願平5-258511号)の一部を分割して出願(特願平6-133257号)され、平成14年7月19日に特許権の設定登録(同年10月7日特許掲載公報発行)がなされたが、平成15年1月28日に吉田春男より全請求項に係る発明についての特許異議の申立てがなされ、当審において平成16年1月5日付けの取消理由が通知され、同年3月16日付けの訂正請求がなされたものである。

2.訂正請求の適否について

平成16年3月16日付けの訂正請求は、特許時の請求項1を減縮して請求項1とし、特許時の請求項2及び3を削除し、特許時の請求項4を減縮して請求項2とし、特許時の請求項5を削除するものであるから、特許法120条の4第2項ただし書き1号に該当し、また、訂正事項は、特許明細書の記載された範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の4第3項で準用する同法126条2項及び3項の規定に適合するものである。したがって、この訂正請求を認める。

3.本件発明

上記のとおり訂正請求が認められる結果、本件発明は、訂正請求に係る次のものである。
【請求項1】投入硬貨の正偽と、正貨の金種とを判別し、偽貨を所定の硬貨通路へ、また正貨を金種毎に格別の硬貨通路へそれぞれ振り分け案内する硬貨選別部と、この硬貨選別部により選別された硬貨を金種毎に蓄積収容する硬貨収容部とを少なくとも有する硬貨処理装置において、
前記硬貨選別部に配設された硬貨振分けレバーと、
該硬貨振分けレバーの下流に配設され、前記硬貨収容部内に水平に蓄積収容された硬貨の収容枚数が各金種毎に一定枚数以上に達したか否かを検出するオーバーフロー検出手段であって、前記収容枚数が一定枚数以上に達すると前記水平に積載収容される硬貨によって一方向に回転を開始し、その後回転を停止する、軸を中心として回動自在に支承されたシャッター部と前記停止したシャッター部を検出する一対の発光及び受光センサからなる検出部とを具えたオーバーフロ検出手段と、
前記硬貨振分けレバーの下流に配設され、かつ、前記オーバーフロー検出手段へ硬貨を案内する硬貨通路と別個独立に配設された硬貨通路であって、前記オーバーフロー検出手段により前記硬貨収容部内に蓄積収容された硬貨の収容枚数が一定枚数以上に達したことを検知した際に前記一定枚数に達した金種の硬貨を前記オーバーフロー検出手段へ案内させることなく前記金庫側へ案内させる硬貨通路とを具えるようにしたことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】複数種類の硬貨の正偽を判別するコイルセンサの判別信号に基づき偽貨を所定の硬貨通路へ、また正貨を金種毎に格別の硬貨通路へそれぞれ振り分け案内する硬貨選別部と、この硬貨選別部により選別された硬貨を金種毎に蓄積収容する硬貨収容部とを少なくとも有する硬貨処理装置において、
前記硬貨選別部に配設された硬貨振分けレバーと、該硬貨振分けレバーの下流に配設され、前記硬貨収容部内に水平に蓄積収容された硬貨の収容枚数が各金種毎に一定枚数以上に達したか否かを検出するオーバーフロー検出手段であって、前記収容枚数が一定枚数以上に達すると前記水平に積載収容される硬貨によって一方向に回転を開始し、その後回転を停止する、軸を中心として回動自在に支承されたシャッター部と前記停止したシャッター部を検出する一対の発光及び受光センサからなる検出部とを具えたオーバーフロー検出手段と、
前記硬貨振分けレバーの下流に配設され、かつ、前記オーバーフロー検出手段へ硬貨を案内する硬貨通路と別個独立に配設された硬貨通路であって、前記オーバーフロー検出手段により前記硬貨収容部内に蓄積収容された硬貨の収容枚数が一定枚数以上に達したことを検知した際に前記一定枚数に達した金種の硬貨を前記オーバーフロー検出手段へ案内させることなく前記金庫側へ案内させるとともに、前記コイルセンサにより前記複数種類の硬貨のうちの最高額の硬貨が投入されたことを判別した場合にも、該最高額の硬貨を前記オーバーフロー検出手段へ案内させることなく前記金庫側へ案内させる硬貨通路とを具えるようにしたことを特徴とする硬貨処理装置。

4.取消理由の概要

平成16年1月5日付けの取消理由通知の概要は、次のとおりである。

・請求項1に係る発明:引用例1若しくは引用例2記載の発明であるか、又は、これらの発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項2に係る発明:引用例1又は/及び引用例2及び引用例3記載の各発明並びに周知・慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項3に係る発明:引用例1若しくは引用例2若しくは引用例6に記載された発明であるか、又は、これらの発明及び周知・慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項4に係る発明:引用例1若しくは引用例2記載の発明であるか、又は、これらの発明及び周知・慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項5に係る発明:引用例1又は/及び引用例2及び引用例3記載の各発明並びに周知・慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
〔証拠方法〕
・引用例1:特開昭52-43497号公報(甲第1号証)
・引用例2:実願平1-64009号(実開平3-6761号)のマイクロフィルム(甲第2号証)
・引用例3:特開平5-54231号公報(甲第3号証)
・引用例4:特開平3-288296号公報(甲第4号証)
・引用例5:特開平5-73758号公報(甲第5号証)
・引用例6:特開平1-50000号公報(甲第6号証)

5.オーバーフロー検出手段の構成についての対比・判断

本件発明1及び本件発明2の構成要件の一部をなす「収容枚数が一定枚数以上に達すると前記水平に積載収容される硬貨によって一方向に回転を開始し、その後回転を停止する、軸を中心として回動自在に支承されたシャッター部と前記停止したシャッター部を検出する一対の発光及び受光センサからなる検出部とを具えたオーバーフロ検出手段」と、引用例3に記載されたオーバーフロー検出手段の構成を比較検討する。
引用例3は、硬貨収納払出装置に関する発明が開示され、その図7には、回転するシャッター部材43とメイン釣銭チューブ47が満杯状態にあることを認識するセンサー機構44が開示され、同じく図8には、該シャッター部材43の背面側に対向するように配置されたセンサー機構45が開示されている。しかし、これらの実施例ではいずれも、硬貨の通過や搬入口の状態を検知するセンサーを備えるものであって、最終搬入硬貨CNfが搬入口47bで斜めに停流することにより、シャッター部材が搬入口を遮断する動作をするものであるから、引用例3には、本件発明1及び本件発明2の上記構成要件の内の「水平に積載載置される硬貨によって一方向に回転を開始し、その回転を停止する」シャッターと、「停止したシャッター部を検出する一対の発光及び受光センサからなる」検出部のいずれも開示も示唆もされていない。
また、異議申立人が提出したその他の証拠をみても、これらの構成の記載も示唆もない。 そして、これらの構成により、本件発明1及び本件発明2は、硬貨のオーバーフロー検出をより確実に行うことができるという顕著な効果を奏するものであると認められる。

6.むすび

以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1及び本件発明2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1及び本件発明2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
硬貨処理装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】投入硬貨の正偽と、正貨の金種とを判別し、偽貨を所定の硬貨通路へ、また正貨を金種毎に格別の硬貨通路へそれぞれ振り分け案内する硬貨選別部と、この硬貨選別部により選別された硬貨を金種毎に蓄積収容する硬貨収容部とを少なくとも有する硬貨処理装置において、
前記硬貨選別部に配設された硬貨振分けレバーと、
該硬貨振分けレバーの下流に配設され、前記硬貨収容部内に水平に蓄積収容された硬貨の収容枚数が各金種毎に一定枚数以上に達したか否かを検出するオーバーフロー検出手段であって、前記収容枚数が一定枚数以上に達すると前記水平に積載収容される硬貨によって一方向に回転を開始し、その後回転を停止する、軸を中心として回動自在に支承されたシャッター部と前記停止したシャッター部を検出する一対の発光及び受光センサからなる検出部とを具えたオーバーフロー検出手段と、
前記硬貨振分けレバーの下流に配設され、かつ、前記オーバーフロー検出手段へ硬貨を案内する硬貨通路と別個独立に配設された硬貨通路であって、前記オーバーフロー検出手段により前記硬貨収容部内に蓄積収容された硬貨の収容枚数が一定枚数以上に達したことを検知した際に前記一定枚数に達した金種の硬貨を前記オーバーフロー検出手段へ案内させることなく前記金庫側へ案内させる硬貨通路とを具えるようにしたことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】複数種類の硬貨の正偽を判別するコイルセンサの判別信号に基づき偽貨を所定の硬貨通路へ、また正貨を金種毎に格別の硬貨通路へそれぞれ振り分け案内する硬貨選別部と、この硬貨選別部により選別された硬貨を金種毎に蓄積収容する硬貨収容部とを少なくとも有する硬貨処理装置において、
前記硬貨選別部に配設された硬貨振分けレバーと、該硬貨振分けレバーの下流に配設され、前記硬貨収容部内に水平に蓄積収容された硬貨の収容枚数が各金種毎に一定枚数以上に達したか否かを検出するオーバーフロー検出手段であって、前記収容枚数が一定枚数以上に達すると前記水平に積載収容される硬貨によって一方向に回転を開始し、その後回転を停止する、軸を中心として回動自在に支承されたシャッター部と前記停止したシャッター部を検出する一対の発光及び受光センサからなる検出部とを具えたオーバーフロー検出手段と、
前記硬貨振分けレバーの下流に配設され、かつ、前記オーバーフロー検出手段へ硬貨を案内する硬貨通路と別個独立に配設された硬貨通路であって、前記オーバーフロー検出手段により前記硬貨収容部内に蓄積収容された硬貨の収容枚数が一定枚数以上に達したことを検知した際に前記一定枚数に達した金種の硬貨を前記オーバーフロー検出手段へ案内させることなく前記金庫側へ案内させるとともに、前記コイルセンサにより前記複数種類の硬貨のうちの最高額の硬貨が投入されたことを判別した場合にも、該最高額の硬貨を前記オーバーフロー検出手段へ案内させることなく前記金庫側へ案内させる硬貨通路とを具えるようにしたことを特徴とする硬貨処理装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は自動販売機、両替機、サービス機器等に使用され、投入硬貨を金種別に選別収容するとともに、選別収容された硬貨を釣銭として払い出す硬貨処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動販売機、両替機、サービス機器等には、従来から投入硬貨を金種別に選別収容するとともに、この選別収容された硬貨を釣銭として払い出す硬貨処理装置が装着されている。
【0003】この硬貨処理装置は大別すると次の3つの部分から構成されている。
【0004】その第1は硬貨処理装置の筐体を構成する装置本体であり、この装置本体の最下部には釣銭を払い出す硬貨払出部が配設さAれている。
【0005】第2は、上述した硬貨払出部の直上に配設され、選別された硬貨を金種別に収容する硬貨収容部である。なお、この硬貨収容部は複数のコインチューブから構成されており、この硬貨収容部は上述した硬貨処理装置の装置本体に対し着脱自在に装着されている。
【0006】そして、第3は、上述した硬貨収容部の直上に配設され、投入硬貨の正偽と正貨を金種別に選別する硬貨選別部である。
【0007】このような構成の硬貨処理装置では、投入硬貨は最初に硬貨選別部に入り、そこで硬貨の正偽と正貨の金種別選別とが行われ、このうち正貨は金種別に硬貨収容部内に選別収容され、さらに釣銭の金種が特定されると、最下部に配設された硬貨払出部により硬貨収容部内に収容された硬貨が、釣銭の金額に応じて選択され払い出される。
【0008】一方、上述した従来の硬貨処理装置では、硬貨収容部に蓄積収容された硬貨が一定枚数以上に達したか否かを検出し、オーバーフローした金種の硬貨を金庫側へ導くオーバーフロー検出案内手段が配設されている。
【0009】このオーバーフロー検出案内手段は、従来は硬貨収容部の上部に配設されたブロックアウトレバーと、このブロックアウトレバーにより進路が変更された硬貨を金庫側に導く硬貨通路とから構成されている。
【0010】そして、このオーバーフロー検出案内手段によると、硬貨収容部内に収容された硬貨の枚数が一定枚数に達すると、つぎに収容される硬貨の重量によりブロックアウトレバーを一方向に回転させ、それにより以降に収容される硬貨を硬貨収容部の背面に形成された硬貨通路へ案内し、これによりオーバーフローした金種の硬貨を金庫側へ案内するようにしている。
【0011】また従来の硬貨処理装置では、選別する硬貨の金種が増えると、その増大した金種の分だけ硬貨収容部のコインチューブの数を増やし、また硬貨選別部にあっては、増大した金種に対応する数だけ選別硬貨を案内する硬貨通路の数を増大させるようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来のブロックアウトレバー形式のオーバーフロー検出案内手段を採用した硬貨処理装置では、ブロックアウトレバーの構造そのものが複雑であるばかりでなく、オーバーフローした硬貨を金庫側に導くために硬貨収容部の背面に新たに硬貨通路を形成しなければならず、そのため硬貨処理装置が厚くなり、大型化する難点があった。
【0013】さらに、従来の硬貨処理装置では、選別する硬貨の金種が増えると、その増大した金種の分だけ硬貨収容部のコインチューブの数を増し、また硬貨選別部にあっては、増大した金種に対応する数だけ選別硬貨を案内する硬貨通路の数を増大させる構成であるため、構造全体が複雑となるばかりでなく、硬貨処理装置が大型化する難点があった。
【0014】なお、近年路上等にはみだして自動販売機等の機器が設置されることのないようこれらの機器の薄型化が求められており、この内部に配設される硬貨処理装置においても同様にその薄型化(小型化)が強く求められている。
【0015】この発明は上述した事情に鑑み、構造が簡単で、しかも装置の小型化を図った硬貨処理装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成するため、この発明の第1の硬貨処理装置では、投入硬貨の正偽と、正貨の金種とを判別し、偽貨を所定の硬貨通路へ、また正貨を金種毎に格別の硬貨通路へそれぞれ振り分け案内する硬貨選別部と、この硬貨選別部により選別された硬貨を金種毎に蓄積収容する硬貨収容部とを少なくとも有する硬貨処理装置において、前記硬貨選別部に配設された硬貨振分けレバーと、該硬貨振分けレバーの下流に配設され、前記硬貨収容部内に水平に蓄積収容された硬貨の収容枚数が各金種毎に一定枚数以上に達したか否かを検出するオーバーフロー検出手段であって、前記収容枚数が一定枚数以上に達すると前記水平に積載収容される硬貨によって一方向に回転を開始し、その後回転を停止する、軸を中心として回動自在に支承されたシャッター部と前記停止したシャッター部を検出する一対の発光及び受光センサからなる検出部とを具えたオーバーフロー検出手段と、前記硬貨振分けレバーの下流に配設され、かつ、前記オーバーフロー検出手段へ硬貨を案内する硬貨通路と別個独立に配設された硬貨通路であって、前記オーバーフロー検出手段により前記硬貨収容部内に蓄積収容された硬貨の収容枚数が一定枚数以上に達したことを検知した際に前記一定枚数に達した金種の硬貨を前記オーバーフロー検出手段へ案内させることなく前記金庫側へ案内させる硬貨通路とを具えるようにしている。
【0017】
【0018】また、この発明の第2の硬貨処理装置では、複数種類の硬貨の正偽を判別するコイルセンサの判別信号に基づき偽貨を所定の硬貨通路へ、また正貨を金種毎に格別の硬貨通路へそれぞれ振り分け案内する硬貨選別部と、この硬貨選別部により選別された硬貨を金種毎に蓄積収容する硬貨収容部とを少なくとも有する硬貨処理装置において、前記硬貨選別部に配設された硬貨振分けレバーと、該硬貨振分けレバーの下流に配設され、前記硬貨収容部内に水平に蓄積収容された硬貨の収容枚数が各金種毎に一定枚数以上に達したか否かを検出するオーバーフロー検出手段であって、前記収容枚数が一定枚数以上に達すると前記水平に積載収容される硬化によって一方向に回転を開始し、その後回転を停止する、軸を中心として回動自在に支承されたシャッター部と前記停止したシャッター部を検出する一対の発光及び受光センサからなる検出部とを具えたオーバーフロー検出手段と、前記硬貨振分けレバーの下流に配設され、かつ、前記オーバーフロー検出手段へ硬貨を案内する硬貨通路と別個独立に配設された硬貨通路であって、前記オーバーフロー検出手段により前記硬貨収容部内に蓄積収容された硬貨の収容枚数が一定枚数以上に達したことを検知した際に前記一定枚数に達した金種の硬貨を前記オーバーフロー検出手段へ案内させることなく前記金庫側へ案内させるとともに、前記コイルセンサにより前記複数種類の硬貨のうちの最高額の硬貨が投入されたことを判別した場合にも、該最高額の硬貨を前記オーバーフロー検出手段へ案内させることなく前記金庫側へ案内させる硬貨通路とを具えるようにしている。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【実施例】以下、この発明に係わる硬貨処理装置の一実施例を詳述する。
【0023】図2はこの発明に係わる硬貨処理装置10の概念斜視図である。
【0024】この硬貨処理装置10も、従来と同様に大別すると次の3つの部分から構成されている。
【0025】その第1は硬貨処理装置10の筐体を構成する装置本体11であり、この装置本体11の最下部には釣銭を払い出す硬貨払出部12が配設されている。
【0026】第2は硬貨払出部12の直上に配設され、選別された硬貨を金種別に収容する硬貨収容部13である。なお、この硬貨収容部13も従来と同様に複数のコインチューブから構成されており装置本体11に対し着脱自在に装着されている。
【0027】そして、第3は前記硬貨収容部13の直上に配設され、投入硬貨の正偽と正貨を金種別に選別する硬貨選別部14である。なお、この硬貨選別部14も従来と同様に装置本体11に対し着脱自在に装着されている。
【0028】なお、図2で符号15は、特に使用頻度の高い硬貨を予め収容しておく補助チューブである。
【0029】一方、この装置本体11内から硬貨選別部14を取り外した状態を示す図1の概念斜視図で示すように、この硬貨選別部14には、その右肩にスイッチボックス16が一体形成され、このスイッチボックス16内には、硬貨収容部13内に収容された硬貨を金種毎に強制的に払出す等の指示を与える制御スイッチ群17(いわゆるインベントリースイッチ群)が配設されている。
【0030】またこの硬貨選別部14の背面側に形成されたボックス内には、硬貨払出部12や硬貨選別部14の内部に配設された各種の電子機器の駆動を制御するための電子部品(CPU等)を搭載した制御ボード18が密封収容されている。
【0031】なお、このような硬貨選別部14を図2で示すように、装置本体11内に装着すると、装置本体11の背面内側に配設されたコネクタ(図示せず)と硬貨選別部14の背面に配設されたコネクタ(図示せず)とが連結し、ケーブル19を介し供給される各種の信号線や電力供給線と制御ボード18(図1)とが電気的に接続されることとなる。
【0032】従って、上述した硬貨処理装置10によると、当該硬貨処理装置10内に配設された各種の電子機器の駆動を制御する制御ボード18が、装置本体11に対し着脱自在に装着された硬貨選別部14内に配設されているので、制御ボード18の保守点検作業を行う際は、硬貨選別部14を装置本体11から取り外す簡単な作業によって制御ボード18を硬貨選別部14から取り出し、その調整作業を容易に行うことができることとなる。一方、この硬貨処理装置10では、当該硬貨処理装置10上に落下し、あるいはその内部に進入した液物(洗剤等の液体)に対する被害を避けるため、硬貨処理装置10上に落下した液物を迅速にその外部へ排出するための液物排出手段が各構成部分に形成されている。
【0033】次に上述した硬貨処理装置10の各部に形成された液物排出手段について詳述する。
【0034】まず第1に硬貨選別部14に形成された液物排出手段(第4の液物排出手段)について詳述する。
【0035】図3は硬貨選別部14の要部破断拡大図である。
【0036】この硬貨選別部14には、メインプレート20の上部と、ゲートプレート21との間に硬貨投入口22が形成されている。そして、この硬貨投入口22の略垂直下方には、この硬貨投入口22の下端に連通し、当該硬貨投入口22から投入された硬貨を図面の右方向に転動させる傾斜した第1の硬貨通路23が形成されている。そしてこの第1の硬貨通路23の途中には、投入された硬貨が通過する間に投入硬貨の正偽、及び正貨と見なされた硬貨の金種とを判別するコイルセンサ24が配設されている。なお、このコイルセンサ24は投入された硬貨が通過し得るように、所定間隔を設けて相対向するように配設された図示せぬ発振コイルと受信コイルとから構成されている。
【0037】一方、図3で示す前記硬貨投入口22の一方を形成するメインプレート20には硬貨投入口22内に投入された液物を案内する複数本の液物案内溝25が形成されている。
【0038】この案内溝25は硬貨投入口22の壁面に沿うメインプレート20に所定のピッチで立設され、しかも傾斜して形成された複数のフィン26と、この複数のフィン26の下面から所定のピッチで垂直下方に延出された複数の堰27とから構成されている。
【0039】また、硬貨投入口22の他方を形成するゲートプレート21の壁面には、当該ゲートプレート21の要部背面図で示す図4のように、前記メインプレート20に形成された案内溝25(図3)と対向するように他方の案内溝28が形成されている。なお、このゲートプレート21に形成された案内溝28は、硬貨投入口22の垂直下方に沿って形成された複数のフイン29と該複数のフィン29間に傾斜して形成さた複数の堰30とにより構成されている。
【0040】なお図4で符号31はゲートプレート21に固着され、前記第1の硬貨通路23の一部を構成するゲートレールで、このゲートレール31にも、落下する液物を下方へ案内するスリット32が複数形成されている。
【0041】一方、図3で示すようにメインプレート20の下部にはシュート33が形成されており、このシュート33には複数の長孔34が形成されている。またこのシュート33の下端には垂直下方へ垂れ下がるように複数の突起35が形成され、この複数の突起35の先端は、硬貨投入口22の下方に形成されたボックス形状の液物捕集部36内に臨むように延設されている。
【0042】この液物捕集部36は図3のAA要部拡大断面図で示す図5のように上面が開口したボックス37により構成されており、その左側(図3)には捕集した液物を排出する断面矩形状のパイプ38が形成されている。
【0043】そして、このパイプ38は図2で示すように装置本体11の左側面に形成された切り欠孔11aを介し装置本体11の外部へ露出している。なお、このパイプ38の下流端は装置本体11の左側面に配設された液物排出チューブ39の上流端と連通している。
【0044】上述した硬貨選別部14に形成された液物排出手段(第4の液物排出手段)によると、図5で示すように、硬貨投入口22内に洗剤等の液物(矢印)が流し込まれると、この液物はメインプレート20とゲートプレート21に形成された液物案内溝25、28間に沿って案内され、硬貨投入口22の下方へ落下する。その際、液物の流れはメインプレート20及びゲートプレート21に形成された前記各堰27、30によって塞き止められつつ下方へ落下し、急激に下方へ落下することはない。
【0045】一方、メインプレート20とゲートプレート21とに形成された各液物案内溝25、28間を通過した液物はシュート33の長孔34及び突起35を介して落下し、液物捕集部36を構成するボックス37内に捕集される。
【0046】なお、液物捕集部36を構成するボックス37内に落下する液物は上述したように堰27、30によって塞き止められつつ下方へ落下するので、急激に大量の液物がボックス37内に落下することはなく、従って捕集された液物がボックス37内からオーバーフローし、その周囲に付着することはない。
【0047】なお、ボックス37内に落下した液物は図3の矢印で示すようにパイプ38を介し左側方に案内され、さらにパイプ38を介し案内された液物は、図2で示すようにパイプ38と連通する液物排出チューブ39の上流端に案内され、さらにこの液物排出チューブ39を介し矢印の如く装置本体11の外部へ迅速に排出される。
【0048】従って上述した構成の硬貨選別部14によると、仮に洗剤等の粘着質な液物が硬貨投入口22から流し込まれても、その液物は硬貨投入口22の下端から迅速に硬貨処理装置10を構成する装置本体11の外部へ排出されることとなり、このため洗剤等の粘着質な液物が硬貨選別部14の硬貨通路下流に配設された各種の選別機器等に付着し、その機能を低下させる虞を可及的に低減させることができることとなる。
【0049】なお、上記実施例では、硬貨投入口22内から落下した液物を排出する液物排出手段(第4の液物排出手段)について詳述したが、この発明の硬貨処理装置10では、それ以外の部分に落下した液物を排出する液物排出手段も同様に形成されている。
【0050】次に、上述した硬貨選別部14の硬貨投入口22以外の部分に落下した液物を排出する液物排出手段について詳述する。
【0051】図6及び図7は、前記硬貨選別部14の詳細正面図及び背面図で図1と同一部分を同一符号で示すとともに、この硬貨選別部14の外面に形成された液物排出手段(第2の液物排出手段)を詳細に示したものである。
【0052】図7で示すように、硬貨選別部14の背面は着脱自在なリヤカバー40で覆われている(なお、このリヤカバー40を取外すと図1に示す制御ボード18が露出する)。
【0053】このリヤカバー40には、その表面に3本の堰41、42、43が突設され、この3本の堰41、42、43によって硬貨選別部14の上面14aに落下した液物を案内する液物案内溝44、45、46、47を形成している。
【0054】なお硬貨選別部14の上面14aは、当該硬貨選別部14の背面側へ向け傾斜するように形成されている。
【0055】このような傾斜した上面14aと案内溝44、45、46、47とによると、図1に示す硬貨選別部14の上面14aに落下した液物(矢印)は硬貨選別部14の側方と背面側へ流れるが、このうち、硬貨選別部14の側方へ流れた液物は、図1及び図7で示すように、案内溝44、45、46を介し、図7で示す硬貨選別部14の背面右側へ案内される。
【0056】また図1の矢印で示すように硬貨選別部14の背面側に流れた液物は、図7の矢印で示すように案内溝47、46を介し、これも図7で示す硬貨選別部14の背面右側へ案内される。
【0057】そして、図7で示す硬貨選別部14の背面右側へ案内された液物は、後述する装置本体11内に形成された液物捕集部内に落下し、しかる後、図1で示す装置本体11の左側方に形成された孔11bとこの孔11bに連設した溝11cとを介し装置本体11の外部へ迅速に排出される。
【0058】従って上述した第2の液物排出手段によると、仮に洗剤等の粘着質な液物が硬貨選別部14の上面14aに落下しても、その液物は硬貨選別部14の背面を覆うリヤカバー40に形成された傾斜した上面14aと案内溝44、45、46、47とを介し装置本体11の外部へ排出されるので、硬貨選別部14の上面14aに落下した液物が硬貨選別部14内に侵入し、各種の選別機器等に付着して、その機能を低下させることはない。
【0059】次に、図1の矢印で示すように装置本体11の上面50に落下した液物を排出する液物排出手段(第1の液物排出手段)について詳述する。
【0060】この硬貨処理装置10の装置本体11の上面50には、その周縁に沿って凹部51が形成されている。また、この凹部51の底面は装置本体11の背面52側へ向け傾斜するように形成され、またその背面52側の中央部には切り欠53が前記凹部51内と連通するように形成されている。
【0061】従って、装置本体11の上面50に落下した液物は、凹部51により装置本体11の背面52側に案内され、さらに切り欠53を介し背面52の下方へ落下する。
【0062】一方、装置本体11の背面には、図8及び図8の一部破断拡大上面図で示す図9のように複数本の溝54からなる第1の液物案内溝55が形成されている。この液物案内溝55は図8で示すように、上流端が前記切り欠53に臨み、途中で右側に折れ曲がり、そのまま下流端が装置本体11の右側縁に沿って下方へ延出するように形成されている。
【0063】また、前記第1の液物案内溝55の途中には、装置本体11の背面途中から右方向に横切って形成された、これも複数本の溝56からなる第2の液物案内溝57が交わっている。
【0064】従って、上述した凹部51と第1及び第2の液物案内溝55、57とからなる第1の液物排出手段によると、装置本体11の上面50に落下した液物は、凹部51と、この凹部51に連通する第1の液物案内溝55を介し装置本体11の背面右側へ案内され、さらに下方に落下して装置本体11の外部へ迅速に排出される。
【0065】また図8で示すように、第1の液物案内溝55からオーバーフローした液物(矢印)は、装置本体11の背面途中から右方向に横切って形成された第2の液物案内溝57により捕集され、これも同様に装置本体11の背面右側へ案内されて落下し、装置本体11の外部へ迅速に排出されることとなる。
【0066】一方、図1で示すように装置本体11の上面50に落下した液物のうち、ケーブル19が露出する周辺に落下した液物は、このケーブル19を伝わって下方へ落下するので、このケーブル19を伝わって下方へ落下する液物を排出するため、この発明の硬貨処理装置10では以下に詳述するような液物排出手段(第3の液物排出手段)が形成されている。
【0067】図10は図8のBB要部断面図である。
【0068】この図10で示すように、ケーブル19は、装置本体11と一体に形成された複数の取付リブ60によって、装置本体11の内側から装置本体11の背面52側へ向けて密着するように取り付けられている。
【0069】一方、ケーブル19が密着する装置本体11の背面52には、図8で示すようにケーブル19の延出方向に沿って、複数個の液物排出孔61が形成されている。この複数個の液物排出孔61は図10で示すようにそれぞれケーブル19の表面に臨んで開口し、その底面61aは装置本体11の背面52側へ向けて傾斜するように形成されている。
【0070】また図8で示すようにケーブル19の延設方向に沿って形成された複数の液物排出孔61のうち、最上部の液物排出孔61を除く各液物排出孔61は、前記第1の液物案内溝55の下流に臨んで開口している。
【0071】従って、上述した液物排出手段によると、図10で示すように、ケーブル19を伝わって下方に落下する液物(矢印)の一部は、液物排出孔61を介し装置本体11の背面52に排出され、さらに図8で示す第1の液物案内溝55を介して装置本体11の外部へ迅速に排出される。
【0072】一方、ケーブル19の下流端は、図2のCC概念断面図で示す図11のように、ピン62によってL字形状に折り曲げられているが、その折り曲げ部19aの下方にはボックス63によって構成された液物捕集部64が装置本体11と一体に形成されている。またこの液物捕集部64であるボックス63の左端は、図2で示す装置本体11の左側面下方に形成された前記孔11bに連通している。
【0073】よって上述した第3の液物排出手段によると、図11で示すようにケーブル19を伝わって下方に落下する液物(矢印)は液物捕集部64であるボックス63に捕集され、さらに装置本体11の左側面下方に形成された孔11bと、この孔11bに連設された溝11cとを介して装置本体11の外部へ迅速に排出されることとなる。
【0074】なお、図7で示した第2の液物排出手段の案内溝44、45、46、47を介し硬貨選別部14の背面右側へ案内された液物も、図11の矢印で示すように、液物捕集部64であるボックス63内に落下し、次に孔11bと、この孔11bに連設された液物案内溝11cとを介して装置本体11の外部へ迅速に排出されることとなる。
【0075】従って、上述した第1乃至第4の各液物排出手段によると、実施例の硬貨処理装置10では、その上面に落下した液物は、全て第1乃至第4の各液物排出手段を介し硬貨処理装置10の外部に迅速に排出されることとなり、このため液物が硬貨処理装置10内に侵入して各電子機器に付着し、そして各電子機器の作動を不良ならしめる等の弊害が可及的に除去されることとなる。
【0076】次に、上述した硬貨処理装置10を構成する本願発明に係わる硬貨選別部14の選別機構を詳述する。
【0077】図12は、硬貨選別部14の硬貨選別機能を簡単に説明するための概念正面図で図3と同一部分を同一符号で示してある。なお、この図12では図3乃至図5に示した硬貨選別部14の液物排出手段の記載は省略している。
【0078】この硬貨選別部14は、基本的に互いに相異なる4種類の硬貨(正貨)A、B、C、Dと偽貨の選別を行うものである。
【0079】この硬貨選別部14の硬貨投入口22の直下には図面の右方向に傾斜した第1の硬貨通路23が形成され、その途中には硬貨の正偽と正貨の金種とを判別するコイルセンサ24が配設されている。
【0080】一方、この第1の硬貨通路23の終端には、該第1の硬貨通路23から転送された硬貨を正偽貨に振分け、正貨と偽貨とを格別の硬貨通路へ案内する第1の硬貨振分けレバー70が配設されている。なお、この第1の硬貨振分レバー70は下端の軸70aを中心に上端が図面に対し垂直方向に開閉するタイプの硬貨振分レバーである。
【0081】そしてこの第1の硬貨振分レバー70により、前記第1の硬貨通路23の終端は、投入された硬貨のうち偽貨のみを案内する第2の硬貨通路71と正貨の硬貨グループのみを案内する第3の硬貨通路72とに分岐されている。
【0082】一方、前記第3の硬貨通路72の下流端には、該第3の硬貨通路72内に転送された正貨の硬貨グループ、即ちA、B、C、Dの4種類の正貨のうち、硬貨A、Bのグループと、硬貨C、Dのグループとに振分ける第2の硬貨振分レバー73が配設されている。そして、この第2の硬貨振分レバー73により前記第3の硬貨通路72は硬貨グループA、Bのみを案内する図面の左側へ傾斜した第4の硬貨通路74と、硬貨グループC、Dのみを案内する第5の硬貨通路75とに分岐している。
【0083】なお、上述した第2の硬貨振分レバー73は図12で示す如く全体として正面形状が略L字形状に形成されている。この第2の硬貨振分レバー73は、その要部斜視図で示す図13のように、メインプレート20から突出した際に第4の硬貨通路74を開放し、また図14で示すようにメインプレート20側に吸引された際に第4の硬貨通路74を閉塞する第1のゲート73aと、図13で示すように、メインプレート20から突出した際に第5の硬貨通路75を閉塞し、また図14で示すようにメインプレート20側に吸引された際に第5の硬貨通路75を開放する第2のゲート73bとから構成されている。
【0084】このような、第2の硬貨振分レバー73によると、当該第2の硬貨振分レバー73が図15で示すようにメインプレート20から突出すると、第4の硬貨通路74が開放され、かつ第5の硬貨通路75が閉塞するので、硬貨グループA、Bのみが図面の左側へ傾斜した第4の硬貨通路74へ案内される。
【0085】また、第2の硬貨振分レバー73が図16で示すようにメインプレート20側に吸引されると第4の硬貨通路74が閉塞され、かつ第5の硬貨通路75が開放されるので、硬貨グループC、Dのみが下方の第5の硬貨通路75へ案内されることとなる。
【0086】一方、図12で示すように、前記第4の硬貨通路74の下流端には、該第4の硬貨通路74内に転送された硬貨グループA、Bを硬貨Aと硬貨Bとに振り分ける第3の硬貨振分レバー76が配設されている。そして、この第3の硬貨振分レバー76により前記第4の硬貨通路74は硬貨Aのみを案内する第6の硬貨通路77と、硬貨Bのみを案内する第7の硬貨通路78とに分岐している。なお、この第3の硬貨振分レバー76は左端の軸76aを中心に右端76bが図面に対し垂直方向に開閉するタイプの硬貨振分レバーである。
【0087】一方、図12で示すように、前記第5の硬貨通路75の下流端には、メインプレート20の背面側に形成され、図示せぬ金庫側へ通ずる第8の硬貨通路79と第5の硬貨通路75下流の第9の硬貨通路80とに振り分ける本願発明に係わる第4の硬貨振分レバー81が配設されている。
【0088】そして、この本願発明に係わる第4の硬貨振分レバー81により、後述する硬貨収容部に蓄積された特定金種の硬貨がオーバーフローした際は、そのオーバーフローした金種の硬貨を前記金庫側へ通じる第8の硬貨通路79へ振分案内するとともに、硬貨収容部に蓄積された硬貨がオーバーフローしない通常時には、第5の硬貨通路75を通過した硬貨グループC、Dを第9の硬貨通路80へ振分案内する。なお、この第4の硬貨振分レバー81も下端の軸81aを中心に上端が図面に対し垂直方向に開閉するタイプの硬貨振分レバーである。
【0089】一方、上述した第4の硬貨振分レバー81と前記第3の硬貨振分レバー76は一つのソレノイドプランジャにより連動して駆動される。
【0090】図17は第4の硬貨振分レバー81と前記第3の硬貨振分レバー76とを連動させる連動装置90の概念斜視図で、図12と同一部分を同一符号で示す。
【0091】この連動装置90は、第3の硬貨振分レバー76の先端部に固着されたピン91と、第4の硬貨振分レバー81の軸81aにアーム92を介して固着されたピン93と、この各ピン91、93に係合する凹部94、95を有するL字形状のスライダ96とからなるリンク機構により構成されている。
【0092】このようなリンク機構からなる連動装置90によると、スライダ96の背面96aに配設された図示せぬソレノイドプランジャを介して、スライダ96を矢印で示す方向に往復運動させると、第4の硬貨振分レバー81と前記第3の硬貨振分レバー76とが連動し、それぞれ軸76a、81aを中心に所定の回転角度回動する。
【0093】即ち、スライダ96を矢印左側方向へ移動させると、第3の硬貨振分レバー76は軸76aを中心に反時計方向へ回動し、また第4の硬貨振分レバー81は軸81aを中心に時計方向に回動する。
【0094】このように、第3の硬貨振分レバー76が軸76aを中心に反時計方向へ回動し、また第4の硬貨振分レバー81が軸81aを中心に時計方向に回動すると、第3の硬貨振分レバー76により図12で示す第6の硬貨通路77が閉塞されて、第7の硬貨通路78が開放されることとなり、また第4の硬貨振分レバー81により第8の硬貨通路79が閉塞されて第9の硬貨通路80が開放されることとなる。
【0095】一方、スライダ96を図17で示すように、矢印右側方向へ移動させると、第3の硬貨振分レバー76は軸76aを中心に時計方向へ回動し、また第4の硬貨振分レバー81は軸81aを中心に反時計方向に回動する。
【0096】このように、第3の硬貨振分レバー76が軸76aを中心に時計方向へ回動し、また第4の硬貨振分レバー81が軸81aを中心に反時計方向に回動すると、第3の硬貨振分レバー76により図12で示す第6の硬貨通路77が開放されて、第7の硬貨通路78が閉塞されることとなり、また第4の硬貨振分レバー81により第8の硬貨通路79が開放されて第9の硬貨通路80が閉塞されることとなる。
【0097】つまり、上述したリンク機構からなる連動装置90によると、通常2つの硬貨振分レバーを駆動するためには2つのソレノイドプランジャが必要であるが、上述した連動装置90により、一つのソレノイドプランジャにより2つの硬貨振分レバーを駆動させることができ、このため部品点数を削減させることができるという作用効果がある。
【0098】一方、図12で示すよう、第9の硬貨通路80の下流端には、この第9の硬貨通路80に案内される硬貨グループC、Dを硬貨Dと硬貨Cとに振り分ける第5の硬貨振分レバー100が配設されている。そして、この第5の硬貨振分レバー100により前記第9の硬貨通路80は硬貨Cのみを案内する図面の左側へ傾斜した第10の硬貨通路101と、メインプレート20の背面側に形成された硬貨Dのみを案内する第11の硬貨通路102とに分岐されている。
【0099】なお、上述した第1乃至第5の硬貨振分レバー(70、73、76、81、100)は、概念的にはそれぞれ図18で示すように、ソレノイド104により、スライダ105及びこのスライダ105に係合するピン106を介して開閉駆動されるが、実施例のスライダ105は特に磁力により吸着される金属(例えば鉄板)により構成されている。
【0100】このような鉄製のスライダ105によると、ソレノイド104の消磁状態では、図18で示すようにメインプレート20とスライダ105との間に配設されたコイルスプリング107の付勢力F1と、ソレノイド104のプランジャ104aを常時は図面の左方向へ付勢するコイルスプリング108の付勢力とが平衡して硬貨振分レバー109を図示の初期位置に停止させているが、一方、ソレノイド104が励磁され、図19で示すようにプランジャ104aを図面の右側へ吸引すると、スライダ105はスプリング107の付勢力F1に加え、当該鉄製のスライダ105を吸着するプランジャ104aの磁力F3が加わるので瞬時に図面の右側へ移動し、このため硬貨振分レバー109を軸109aを中心に迅速に反時計方向へ回転駆動する。なお、図18、19で硬貨振分レバー109は第1乃至第5の硬貨振分レバー70、73、76、81、100を概念的に総称したものである。
【0101】従って、上述した鉄製のスライダ105を使用したものでは、硬貨振分レバーの作動時にソレノイド104の磁力を、その作動力に加えることができるので硬貨振分レバーの駆動レスポンスを一層向上させることができるという作用効果を生ずる。なお、図18で示す実施例ではスライダ105全体を磁力により吸着される金属(鉄板)により形成したが、スライダ105の略全体をプラスチック等の合成樹脂(非磁性体)で形成し、さらにプランジャ104aの先端部と対向する部分のみ磁力により吸着される金属で構成するようにしてもよい。
【0102】次に、上述した本願発明に係わる硬貨選別部14の硬貨選別動作を以下に詳述する。
【0103】図12と同一部分を同一符号で示す図20のように、硬貨投入口22から投入された硬貨Gが、コイルセンサ24の検出信号に基づき偽貨と判定されると、その判定信号に基づいて第1の硬貨振分レバー70は第2の硬貨通路71を拡開して、同時に第3の硬貨通路72の上流を閉塞する。すると、第1の硬貨通路23内を転動する偽貨Gは第1の硬貨振分レバー70により第2の硬貨通路71内に案内され、さらに、この第2の硬貨通路71に連通する偽貨排出シュート120を介して図示せぬ硬貨返却口に返却される。
【0104】次に、図12と同一部分を同一符号で示す図21のように、硬貨投入口22から硬貨が投入され、その硬貨がコイルセンサ24の検出信号に基づき硬貨Aと判断されると、その判定信号に基づいて第1の硬貨振分レバー70が作動し、第2の硬貨通路71の上流を閉塞して第3の硬貨通路72の上流を拡開するとともに、同時に第2の硬貨振分レバー73が作動し第5の硬貨通路75の上流を閉塞して第4の硬貨通路74の上流を拡開し、さらに、第3の硬貨振分レバー76が作動し第7の硬貨通路78の上流を閉塞して第6の硬貨通路77の上流を拡開する。すると、図21の如く、第1の硬貨通路23内を転動する硬貨Aは第1の硬貨振分レバー70により第3の硬貨通路72内に案内され、さらに第3の硬貨通路72内に案内された硬貨Aは第2の硬貨振分レバー73により傾斜した第4の硬貨通路74に案内され、さらにこの第4の硬貨通路74に案内された硬貨Aは第3の硬貨振分レバー76により第6の硬貨通路77に案内され、その下方から落下して後述する硬貨収容部13の硬貨A専用のコインチューブ内に蓄積収容されることとなる。
【0105】次に、図12と同一部分を同一符号で示す図22のように、硬貨投入口22から硬貨が投入され、その硬貨がコイルセンサ24の検出信号に基づき硬貨Bと判断されると、その判定信号に基づいて第1の硬貨振分レバー70が作動し、第2の硬貨通路71の上流を閉塞して第3の硬貨通路72の上流を拡開するとともに、同時に第2の硬貨振分レバー73が作動し第5の硬貨通路75の上流を閉塞して第4の硬貨通路74の上流を拡開し、さらに、第3の硬貨振分レバー76が作動し第7の硬貨通路78の上流を開放して第6の硬貨通路77の上流を閉塞する。すると、図22の如く、第1の硬貨通路23内を転動する硬貨Bは第1の硬貨振分レバー70により第3の硬貨通路72内に案内され、さらに第3の硬貨通路72内に案内された硬貨Bは第2の硬貨振分レバー73により傾斜した第4の硬貨通路74に案内され、さらにこの第4の硬貨通路74に案内された硬貨Bは第3の硬貨振分レバー76により第7の硬貨通路78に案内され、その下方から落下して後述する硬貨収容部13の硬貨B専用のコインチューブ内に蓄積収容されることとなる。
【0106】次に、図12と同一部分を同一符号で示す図23のように、硬貨投入口22から硬貨が投入され、その硬貨がコイルセンサ24の検出信号に基づき硬貨Cと判断されると、その判定信号に基づいて第1の硬貨振分レバー70が作動し、第2の硬貨通路71の上流を閉塞して第3の硬貨通路72の上流を拡開するとともに、同時に第2の硬貨振分レバー73が作動し第5の硬貨通路75の上流を拡開して第4の硬貨通路74の上流を閉塞し、さらに、同時に第4の硬貨振分レバー81が作動し第9の硬貨通路80の上流を開放して第9の硬貨通路79の上流を閉塞し、さらに、同時に第5の硬貨振分レバー100が作動し第10の硬貨通路101の上流を開放して第11の硬貨通路102の上流を閉塞する。
【0107】すると、図23の如く、第1の硬貨通路23内を転動する硬貨Cは第1の硬貨振分レバー70により第3の硬貨通路72内に案内され、さらに第3の硬貨通路72内に案内された硬貨Cは第2の硬貨振分レバー73により下方の第5の硬貨通路75に案内され、さらにこの第5の硬貨通路75に案内された硬貨Cは第4の硬貨振分レバー81により第9の硬貨通路80に案内され、さらにこの第9の硬貨通路80に案内された硬貨Cは第5の硬貨振分レバー100により第10の硬貨通路101に案内され、さらにその下方から落下して後述する硬貨収容部13の硬貨C専用のコインチューブ内に蓄積収容されることとなる。
【0108】次に、図12と同一部分を同一符号で示す図24のように、硬貨投入口22から硬貨が投入され、その硬貨がコイルセンサ24の検出信号に基づき硬貨Dと判断されると、その判定信号に基づいて第1の硬貨振分レバー70が作動し、第2の硬貨通路71の上流を閉塞して第3の硬貨通路72の上流を拡開するとともに、同時に第2の硬貨振分レバー73が作動し第5の硬貨通路75の上流を拡開して第4の硬貨通路74の上流を閉塞し、さらに、同時に第4の硬貨振分レバー81が作動し第9の硬貨通路80の上流を開放して第9の硬貨通路79の上流を閉塞し、さらに、同時に第5の硬貨振分レバー100が作動し第10の硬貨通路101の上流を閉塞して第11の硬貨通路102の上流を開放する。
【0109】すると、図24の如く、第1の硬貨通路23内を転動する硬貨Dは第1の硬貨振分レバー70により第3の硬貨通路72内に案内され、さらに第3の硬貨通路72内に案内された硬貨Dは第2の硬貨振分レバー73により下方の第5の硬貨通路75に案内され、さらにこの第5の硬貨通路75に案内された硬貨Dは第4の硬貨振分レバー81により第9の硬貨通路80に案内され、さらにこの第9の硬貨通路80に案内された硬貨Dは第5の硬貨振分レバー100により第11の硬貨通路102に案内され、さらにその下方から落下して後述する硬貨収容部13の硬貨D専用のコインチューブ内に蓄積収容されることとなる。
【0110】なお、上述した硬貨選別部14の選別動作により、各硬貨A、B、C、Dが選別されると、各硬貨A、B、C、Dは後述する硬貨収容部13の各専用コインチューブ毎に順次蓄積収容されることとなる。
【0111】しかし、このコインチューブ内に蓄積される硬貨の枚数がその収容枚数を越えると、オーバーフローすることとなるので、この硬貨処理装置10では後述する各専用コインチューブ毎に配設された本願発明に係わるオーバーフロー検出手段により、硬貨収容部13の各専用コインチューブ毎に、その収容された硬貨の枚数が一定枚数に達するとそれを検知するようにしている。
【0112】そこで、仮に硬貨Bが硬貨収容部13の専用コインチューブ内に蓄積収容され、その収容枚数が一定枚数に達したとオーバーフロー検出手段により検出されたと仮定すると、上述した硬貨選別部14は以下のような選別動作を行う。
【0113】図12と同一部分を同一符号で示す図25のように、硬貨投入口22から硬貨が投入され、その硬貨がコイルセンサ24の検出信号に基づき硬貨Bと判断され、かつ後述するオーバーフロー検出手段により、硬貨収容部13の各専用コインチューブ内に収容された硬貨Bの枚数が一定枚数に達したことが検知されると、これらの判定信号に基づいて第1の硬貨振分レバー70が作動し、第2の硬貨通路71の上流を閉塞して第3の硬貨通路72の上流を拡開するとともに、同時に第2の硬貨振分レバー73が作動し第5の硬貨通路75の上流を拡開して第4の硬貨通路74の上流を閉塞する。さらに、同時に本願発明に係わる第4の硬貨振分レバー81が作動し第9の硬貨通路80の上流を閉塞して第9の硬貨通路79の上流を開放する。
【0114】すると、図25の如く、第1の硬貨通路23内を転動する硬貨Bは第1の硬貨振分レバー70により第3の硬貨通路72内に案内され、さらに第3の硬貨通路72内に案内された硬貨Bは第2の硬貨振分レバー73により下方の第5の硬貨通路75に案内される。さらにこの第5の硬貨通路75に案内された硬貨Bは第4の硬貨振分レバー81により第8の硬貨通路79に案内され、さらにこの第8の硬貨通路79に案内された硬貨Bは下方に落下し、さらにこの第8の硬貨通路79に連通するシュート(図1の符号66)を介し処理装置10下方の図示せぬ金庫内に収容される。
【0115】なお、上述したオーバーフロー時における硬貨選別部14の硬貨選別処理は硬貨Bにかかわらず、オーバーフロー検出センサにより一定枚数に達した他の全ての硬貨に対しても同様に行われる。
【0116】つまり、この発明に係わる硬貨処理装置10では、硬貨収容部13内に蓄積収容された硬貨のうちのいずれの硬貨であっても、その収容枚数が一定以上に達すると、その硬貨は硬貨収容部13内に収容されることなく、本願発明に係わる第4の硬貨振分レバー81により第8の硬貨通路79に案内され金庫内に収容されることとなる。
【0117】なお、上記実施例では、硬貨収容部13内からオーバーフローした硬貨を全て第4の硬貨振分レバー81により第8の硬貨通路79に案内し金庫内に収容するようにしたが、この第4の硬貨振分レバー81による硬貨振分動作は硬貨のオーバーフロー処理だけでなく、選別金種の増大に対応させることができる。
【0118】即ち、この発明に係わる硬貨処理装置10では、上述したオーバーフロー処理に加え、硬貨の正偽の選別と硬貨(正貨)A、B、C、Dの選別に加えて、更に高額の硬貨Eを選別することも可能である。
【0119】つまり、図26で示すように、コイルセンサー24の選別機能に新たな高額の硬貨Eの判定機能を加え、このコイルセンサー24の検出信号に基づき以下のような硬貨選別処理を行えばよい。
【0120】図12と同一部分を同一符号で示す図26のように、硬貨投入口22から硬貨が投入され、その硬貨がコイルセンサ24の検出信号に基づき硬貨Eと判断されると、この判定信号に基づいて第1の硬貨振分レバー70が作動し、第2の硬貨通路71の上流を閉塞して第3の硬貨通路72の上流を拡開するとともに、同時に第2の硬貨振分レバー73が作動し第5の硬貨通路75の上流を拡開して第4の硬貨通路74の上流を閉塞する。さらに、同時に第4の硬貨振分レバー81が作動し第9の硬貨通路80の上流を閉塞して第9の硬貨通路79の上流を開放する。
【0121】すると、図26の如く、第1の硬貨通路23内を転動する硬貨Eは第1の硬貨振分レバー70により第3の硬貨通路72内に案内され、さらに第3の硬貨通路72内に案内された硬貨Eは第2の硬貨振分レバー73により下方の第5の硬貨通路75に案内される。またこの第5の硬貨通路75に案内された硬貨Eは第4の硬貨振分レバー81により第8の硬貨通路79に案内され、さらにこの第8の硬貨通路79に案内された硬貨Eは下方に落下し、この第8の硬貨通路79に連通するシュート66(図1)を介して金庫内に収容される。
【0122】このようにして、本願発明に係わる硬貨選別部14では、第4の硬貨振分レバー81による硬貨振分処理により、硬貨のオーバーフロー処理と金種の増大に伴う選別処理の双方を同時に行うことができる。
【0123】次に、前述した硬貨収容部13の各専用コインチューブ内に収容された硬貨の枚数が、それぞれ一定枚数に達するとそれを検知する本願発明に係わるオーバーフロー検出手段について詳述する。
【0124】図1で示すように、硬貨処理装置10の装置本体11内に装着された硬貨収容部13は複数のコインチューブ110、111、112、113により構成されており、このうち、コインチューブ110は硬貨Aの、コインチューブ111は硬貨Bの、コインチューブ112は硬貨Cの、コインチューブ113は硬貨Dの専用コインチューブである。
【0125】一方、上述したコインチューブ110、111、112、113のうち、コインチューブ111、112、113の上端と硬貨選別部14の下端14bとには、図27の概念一部破断斜視図で示すように、本願発明に係わるオーバーフロー検出手段300が配設されている。なお、この図27は、図2で示すように硬貨選別部14を装置本体11内に装着した状態の概念一部破断斜視図である。
【0126】このオーバーフロー検出手段300は、硬貨収容部13の背面に配設されたシャッター部121と、硬貨選別部14の下端14b内に配設された検出部122とから構成されている。
【0127】このうち、シャッター部121は、硬貨収容部13背面に立設された複数のリブ123に嵌着した軸124と、この軸124にそれぞれ回動自在に支承された3枚のシャッタ130、131、132とから構成されている。
【0128】この各シャッタ130、131、132のうち、シャッタ130は硬貨Bを収容するコインチューブ111の上部に、シャッタ131は硬貨Cを収容するコインチューブ112の上部に、またシャッタ132は硬貨Dを収容するコインチューブ113の各上部にそれぞれ配設されている。
【0129】この各シャッタ130、131、132は各コインチューブ111、112、113に臨む面が断面くの字形状部130a、131a、132aに形成され、また検出部122に臨む面が扇形形状部130b、131b、132bに形成されている。
【0130】一方、検出部122は、図27及び図6で示すように硬貨収容部13の下端14bであって、その突出する中央部14cに形成された3つのスリット14d、14e、14f内に配設された、3つのホトセンサ140、141、142から構成されている。なお、この3つのホトセンサ140、141、142のうち、ホトセンサ140はシャッタ130の動きを、またホトセンサ141はシャッタ131の動きを、またホトセンサ142はシャッタ132の動きを検出するものである。
【0131】なお、この各ホトセンサ140、141、142は互いにスリット幅Lの間隔を設けて離間し配設された一対の発光及び受光センサにより構成されている。なお、この発光及び受光センサは具体的には発光及び受光ダイオード等により構成されている。
【0132】なお、図27において、符号145は各コインチューブ111、112、113の上部を各コインチューブ111、112、113毎に覆うカバーである。
【0133】次に、上述した本願発明に係わるオーバーフロー検出手段300の作用を説明する。
【0134】コインチューブ111とホトセンサ140の要部断面図で示す図28のように、コインチューブ111内に硬貨Bが所定枚数以上収容されるとシャッタ130のくの字形状部130aが収容された硬貨Bにより押圧されて軸124を中心に時計方向へ回動するので、これに応じて扇形形状部130bも時計方向へ回動し、このため扇形形状部130bが、ホトセンサ140の発光及び受光センサ間の光の通過が遮断されるので、コインチューブ111内に硬貨Bが所定枚数以上収容されたことが検出される。
【0135】なお、他のコインチューブにおいても、上述したと同様の動作により各コインチューブ内に一定枚数収容されたことが検出される。
【0136】従って、上述した本願発明のオーバーフロー検出手段300によると、従来の如くブロックアウトレバーを使用して、硬貨収容部からオーバーフローした硬貨を金庫側へ導くものと比較して構造が簡単となるばかりでなく、オーバーフロー検出手段の検出部122を構成するホトセンサ140、141、142を硬貨選別部14側に配置したので、この硬貨選別部14を装置本体11から取り外す簡単な作業で検出部122の保守点検作業を行うことができることとなる。
【0137】次に、上述した硬貨収容部13に収容された硬貨を釣銭の額に応じて払い出す硬貨払出部12について詳述する。
【0138】図1に示すように、硬貨払出部12は装置本体11の最下部に配設され、コインチューブ110、111、112、113と補助チューブ15に収容された各硬貨を釣銭の額に応じて払い出す。
【0139】図29は上述した硬貨払出部12の概念斜視図である。
【0140】この硬貨払出部12は、一つの駆動モータ150と、この駆動モータ150の駆動力を伝達する歯車伝動手段(後述する)が内部に配設されたギャボックス151と、このギャボックス151内の歯車伝動手段を介し伝達された駆動力により一方向に回転する一対のペイアウトカム152、153と、このペイアウトカム152、153の下面に突設されたピン152a、153aと係合する溝154a、154bを有し、ペイアウトカム152、153が矢印方向へ一回転すると、図の初期位置から矢印の方向へ往復運動するペイアウトリンク154と、このペイアウトリンク154に対し着脱自在に係合し、ペイアウトリンク154の往復運動に従動して矢印方向へ往復運動するペイアウトスライド155とから構成されている。
【0141】このペイアウトスライド155には、図1に示すコインチューブ111の最下面に収容された硬貨Bを一枚だけ収容する孔155aと、コインチューブ112の最下面に収容された硬貨Cを一枚だけ収容する孔155bと、コインチューブ113の最下面に収容された硬貨Dを一枚だけ収容する孔155cと、補助コインチューブ15の最下面に収容された硬貨を一枚だけ収容する孔155dとがそれぞれ形成されている。なお、この孔155a、155b、155c、155dの下面の一部は硬貨収容部13の底面13aに覆われている。
【0142】一方、前記ペイアウトリンク154内には、先端が前記ペイアウトスライド155の各孔155a、155b、155c、155dの下面に臨み、常時は各硬貨の払出を規制するチェンジスライド156、157、158、159が出没自在に嵌挿している。
【0143】このチェンジスライド156、157、158、159うち、チェンジスライド156の先端156aは孔155aに、チェンジスライド157の先端157aは孔155bに、チェンジスライド158の先端158aは孔155cに、またチェンジスライド159の先端159aは孔155dに臨むように配設されている。
【0144】また、この各チェンジスライド156、157、158、159の後端は、図示のチェンジスライド158の後端158bで代表するように、各チェンジスライド156、157、158、159毎に独立して配設されたチェンジソレノイド160のプランジャ160aと係合し常時はその移動が規制されている。
【0145】上述した、硬貨払出部12によると、例えば硬貨Dを一枚払い出す信号が入力されると、その信号に基き、モータ150の回転力によりペイアウトカム152、153が矢印方向に一回転しペイアウトスライド155を矢印方向へ往復運動させて、ペイアウトスライド155の各孔155a、155b、155c、155d内に収容された硬貨B、C、Dと補助チューブ15に収容された硬貨を一枚ずつ孔155a、155b、155c、155dの下方から同時払出をしようとするが、その際、硬貨Dを一枚払い出す信号に基づき、チェンジスライド158の後端158bの動きを規制するチェンジソレノイド160のプランジャ160aのみが作動してチェンジスライド158の後端158bとの係合を解除するので、チェンジスライド158のみが硬貨Dにより後方へスライド移動して孔155Cの底面を開放し、そのため硬貨Dは孔155Cの下方へ落下して払い出される。なお他のチェンジスライド156、157、159はその後端がチェンジソレノイドのプランジャによりその動きが規制されているので各孔155a、155b、155dの底面はチェンジスライド156、157、159の各先端156a、157a、159aにより開放されず、よって他の硬貨(B、C、補助チューブ内の硬貨)はペイアウトスライド155が矢印方向へ往復運動しても各孔155a、155b、155dの底面から落下して払い出されることはない。
【0146】すなわち、上述した硬貨払出部12では、払い出す硬貨に対応したチェンジソレノイド160のプランジャ160aを作動させて、払い出す硬貨に対応したチェンジスライドの規制を解除すれば、その硬貨を払い出すことができるように構成されている。勿論同一種類の硬貨を複数枚払い出す場合は、その硬貨の払出を規制するチェンジソレノイドを作動させてチェンジスライドの規制を解除し、その後その払出枚数分だけペイアウトスライド155を往復運動させればよく、また複数種類の硬貨を同時に払い出す場合は、その複数種類の硬貨に対応する複数のチェンジソレノイド160のプランジャ160aを同時に作動させて、払い出す複数種類の硬貨に対応したチェンジスライドの規制を解除すれば、その複数種類の硬貨を同時に払い出すことができることとなる。
【0147】一方、上述した硬貨払出部12には、硬貨収容部13のコインチューブ110(図1)に収容された硬貨Aを払い出すための硬貨払出手段170が配設されている。
【0148】図29で示すように、この硬貨払出手段170は、ギャボックス151内の歯車伝動手段を介し伝達された一つの駆動モータ150の駆動力により一方向に回転するペイアウトカム171と、このペイアウトカム171の下面に突設されたピン171aと係合する溝172aを有し、ペイアウトカム171が矢印方向へ一回転すると、図の初期位置から矢印の方向へ往復運動するペイアウトスライド172から構成されている。
【0149】このペイアウトスライド172には、図1に示すコインチューブ110の最下面に収容された硬貨Aを一枚だけ収容する孔172bが形成されている。なお、この孔172bの下面の一部は硬貨払出部12を構成するプレート173により覆われている。
【0150】上述した硬貨払出手段170によると、ギャボックス151内の歯車伝動手段を介しモータ150の回転力によりペイアウトカム171が矢印方向に一回転し、ペイアウトスライド172を矢印方向へ往復運動させると、このペイアウトスライド172の孔172bに収容された硬貨Aが一枚ずつ当該孔172b内から下方に落下して払い出される。
【0151】一方、前記ギャボックス151内の歯車伝動手段とペイアウトカム171との間にはクラッチ機構が介在されている。
【0152】以下そのクラッチ機構について詳述する。
【0153】図30はギャボックス151内を示す概念断面図で、このギャボックス151内には、複数の歯車からなる歯車伝動手段180が収容されている。
【0154】この歯車伝動手段180のうち、符号181は図29で示すモータ150の駆動軸で、この駆動軸181はピニオン182を介して歯車伝動手段180の従動ギヤ183に歯合している。よってモータ150が回転すると、ピニオン182を介して歯車伝動手段180の全てのギャを所定の方向へ回転させる駆動力が伝達されることとなる。なお、図30で符号184はペイアウトカム152に固着された軸であり、符号185はペイアウトカム153に固着された軸である。
【0155】一方、上述した歯車伝動手段180の左端には、前記ペイアウトカム171に回転力を与える軸190が配設されており、この軸190は当該軸190に固着された従動ギャ191を介して常時歯車伝動手段180を構成する他のギヤ192と歯合している。
【0156】一方、図29の要部断面図で示す図31で示すように、ペイアウトカム171の小径部171bと軸190の下端との間には、クラッチ機構200が形成されている。
【0157】このクラッチ機構200は、ペイアウトカム171の小径部171b内に形成された断面半月形状の凹部201と、軸190の下端に形成され、前記断面半月形状の凹部201内に嵌着自在な断面半月形状の凸部202とによって構成されている。
【0158】一方、軸190に固着された従動ギャ191の下面とギャボックス151の下面との間には、常時は従動ギャ191を介して軸190を上方へ押し上げ、断面半月形状の凹部201と断面半月形状の凸部202との嵌合を解除するコイルバネ203が介在されている。また、軸190の上端には、硬貨Aの払出信号が送給された際に、軸190をコイルバネ203の押圧力に抗して下方に押し下げ断面半月形状の凹部201と断面半月形状の凸部202とを嵌合させる押圧手段210が配設されている。
【0159】この押圧手段210は、図29で示すようにギャボックス151の上面に軸211を介して回動自在に支承されたL字形状のレバー212と、このレバー212の後端212aをリンク機構213を介して吸引し、レバー212の先端212bを軸211を中心に反時計方向へ回転させるソレノイドプランジヤ214とから構成されている。そして、このレバー212の先端212bは図31で示すように、先端に鋼球215が支承された軸190の先端と当接している。
【0160】上述した押圧手段210によると、硬貨Aの払出信号が送給されると、図32で示すようにソレノイドプランジヤ214が作動して、レバー212を軸211を中心に反時計方向へ回転させるので、軸190はコイルバネ203の押圧力に抗して下方に押し下がり、このため断面半月形状の凹部201と断面半月形状の凸部202とが嵌合してペイアウトカム171が矢印方向へ回転し、図29で示すようにペイアウトスライド172の孔172bに収容された硬貨Aが一枚ずつ当該孔172b内から下方に落下して払い出されることとなる。
【0161】なお図33は図32のII断面図で、特に断面半月形状の凹部201と断面半月形状の凸部202とが嵌合した状態を示している。
【0162】なお、上述した硬貨払出部12によると、一つのモータ150により全ての硬貨(実施例では5種類)を払い出すことができるので部品点数が削減し安価に硬貨払出部12を提供することができるという作用効果があり、またリンク機構による払出を採用することによりペイアウトスライドが往復動する際の負荷がなくなり、円滑な払出を行うことが可能となる作用効果もある。
【0163】
【発明の効果】以上説明したように、第1の発明の硬貨処理装置では、硬貨選別部に配設された硬貨振分けレバーと、該硬貨振分けレバーの下流に配設され、前記硬貨収容部内に水平に蓄積収容された硬貨の収容枚数が各金種毎に一定枚数以上に達したか否かを検出するオーバーフロー検出手段であって、前記収容枚数が一定枚数以上に達すると前記水平に積載収容される硬貨によって一方向に回転を開始し、その後回転を停止する、軸を中心として回動自在に支承されたシャッター部と前記停止したシャッター部を検出する一対の発光及び受光センサからなる検出部とを具えたオーバーフロー検出手段と、前記硬貨振分けレバーの下流に配設され、かつ、前記オーバーフロー検出手段へ硬貨を案内する硬貨通路と別個独立に配設された硬貨通路であって、前記オーバーフロー検出手段により前記硬貨収容部内に蓄積収容された硬貨の収容枚数が一定枚数以上に達したことを検知した際に前記一定枚数に達した金種の硬貨を前記オーバーフロー検出手段へ案内させることなく前記金庫側へ案内させる硬貨通路とを具えることとしたから、構造が簡単になる。また、従来の如くオーバーフローした硬貨を金庫側へ導く硬貨通路を硬貨収容部の背面に設ける必要がないので、硬貨処理装置を薄く、しかも小型することができる。また、第2の発明の硬貨処理装置では、硬貨選別部に配設された硬貨振分けレバーと、該硬貨振分けレバーの下流に配設され、前記硬貨収容部内に水平に蓄積収容された硬貨の収容枚数が各金種毎に一定枚数以上に達したか否かを検出するオーバーフロー検出手段であって、前記収容枚数が一定枚数以上に達すると前記水平に積載収容される硬貨によって一方向に回転を開始し、その後回転を停止する、軸を中心として回動自在に支承されたシャッター部と前記停止したシャッター部を検出する一対の発光及び受光センサからなる検出部とを具えたオーバーフロー検出手段と、前記硬貨振分けレバーの下流に配設され、かつ、前記オーバーフロー検出手段へ硬貨を案内する硬貨通路と別個独立に配設された硬貨通路であって、前記オーバーフロー検出手段により前記硬貨収容部内に蓄積収容された硬貨の収容枚数が一定枚数以上に達したことを検知した際に前記一定枚数に達した金種の硬貨を前記オーバーフロー検出手段へ案内させることなく前記金庫側へ案内させるとともに、前記コイルセンサにより前記複数種類の硬貨のうちの最高額の硬貨が投入されたことを判別した場合にも、該最高額の硬貨を前記オーバーフロー検出手段へ案内させることなく前記金庫側へ案内させる硬貨通路とを具えることとしたから、硬貨処理装置の構造が簡単になるとともに硬貨収容部の背面に独立した硬貨通路を設ける必要が無くなり、しかも選別硬貨の金種が増えた場合であっても、硬貨選別部に増えた金種に対応して新たな硬貨選別通路を設ける必要がなく、また硬貨収容部においても、増大した金種に対応してコインチューブの数を増す必要がないので、その構造が一層簡単となるとともに、硬貨処理装置の小型化が達成されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本願発明に係わる硬貨処理装置の概念分解斜視図。
【図2】図2は本願発明に係わる硬貨処理装置の概念斜視図。
【図3】図3は硬選別部の要部破断面図。
【図4】図4はゲートレバーの背面図。
【図5】図5は図3のAA断面図。
【図6】図6は硬貨選別部の正面図。
【図7】図7は硬貨選別部の背面図。
【図8】図8は硬貨処理装置の背面図。
【図9】図9は装置本体の一部拡大上面図。
【図10】図10は装置本体の一部破断面図。
【図11】図11は装置本体の一部破断面図。
【図12】図12は硬貨選別部の概念正面図。
【図13】図13は第2の硬貨振分レバーの概念斜視図。
【図14】図14は第2の硬貨振分レバーの概念斜視図。
【図15】図15は第2の硬貨振分レバーの概念斜視図。
【図16】図16は第2の硬貨振分レバーの概念斜視図。
【図17】図17は第3と第4の硬貨振分レバーの概念斜視図。
【図18】図18は硬貨振分レバーとソレノイドプランジャの構造を示す要部破断面図。
【図19】図19は硬貨振分レバーとソレノイドプランジャの構造を示す要部破断面図。
【図20】図20は硬貨選別部の選別機能を示す概念正面図。
【図21】図21は硬貨選別部の選別機能を示す概念正面図。
【図22】図22は硬貨選別部の選別機能を示す概念正面図。
【図23】図23は硬貨選別部の選別機能を示す概念正面図。
【図24】図24は硬貨選別部の選別機能を示す概念正面図。
【図25】図25は硬貨選別部の選別機能を示す概念正面図。
【図26】図26は硬貨選別部の選別機能を示す概念正面図。
【図27】図27はオーバーフロー検出手段の概念斜視図。
【図28】図28はオーバーフロー検出手段の作用を示す断面図。
【図29】図29は硬貨払出部の概念斜視図。
【図30】図31はギャボックスの内部を示す図。
【図31】図31はクラッチ機構を示す断面図。
【図32】図32はクラッチ機構を示す断面図。
【図33】図33は図32のII断面図である。
【符号の説明】
10…硬貨処理装置
11…装置本体
14…硬貨選別部
13…硬貨収容部
81…硬貨振分けレバー
121…シャッター部
122…検出部
300…オーバーフロー検出手段
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-04-14 
出願番号 特願平6-133257
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G07D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岩田 洋一岡崎 克彦  
特許庁審判長 橋本 康重
特許庁審判官 長浜 義憲
今井 義男
登録日 2002-07-19 
登録番号 特許第3331045号(P3331045)
権利者 株式会社日本コンラックス
発明の名称 硬貨処理装置  
代理人 木村 高久  
代理人 木村 高久  

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