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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1102082
審判番号 不服2003-13261  
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-03-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-10 
確定日 2004-08-19 
事件の表示 平成 8年特許願第216253号「光ディスクおよびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 3月 6日出願公開、特開平10- 64119〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年8月16日の出願であって、平成15年5月30日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年8月11日付で手続補正がなされたものである。

2.平成15年8月11日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年8月11日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
平成15年8月11日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は下記の請求項1〜3と補正された。
「【請求項1】 円盤状の基板の片面に、トラッキング用の案内溝および記録膜が形成され、保護膜が塗布され、光が照射されて信号が記録または再生される光ディスクにおいて、該保護膜が、前記基板上に粘度400〜600cpsの樹脂を吐出して、第1回転数(R1)500〜1500rpmで所定時間基板を回転させてから、0.1〜0.5秒の間に、第2回転数(R2)2000〜4000rpmに上昇させた後、回転を停止することによって基板の外周部分に広がった樹脂を振り切って、膜厚30〜50μmの保護膜を形成することを特徴とする光ディスク。
【請求項2】 基板は、ポリカーボネートから成り、保護膜は、アクリル系ウレタン樹脂から成り、光ディスクの厚さは、1.2mmであることを特徴とする請求項1記載の光ディスク。
【請求項3】 円盤状のポリカーボネートから成る基板の片面に、トラッキング用の案内溝を形成する工程と、前記基板上に記録膜を形成する工程と、スピンコート法によって前記基板上に保護膜を塗布する保護膜塗布工程とを含む光ディスクの製造方法において、前記保護膜塗布工程において、基板上に粘度400〜600cpsのアクリル系ウレタン樹脂を吐出して、第1回転数(R1)500〜1500rpmで所定時間基板を回転させてから、0.1〜0.5秒の間に、第2回転数(R2)2000〜4000rpmに上昇させた後、回転を停止することによって基板の外周部分に広がったアクリル系ポリウレタン樹脂を振り切って、膜厚30〜50μmの保護膜を形成し、光ディスクの厚さ1.2mmであることを特徴とする光ディスクの製造方法。」

(2)補正の適否
本件補正は、特許法第17条の2第1項第3号において準用する同法第121条第1項の審判を請求する場合において、その審判の請求の日から30日以内にするときになされたものであるところ、同法第17条の2第4項において、同条第1項第3号に掲げる場合において特許請求の範囲についてする補正は、同項第1号乃至第4号に掲げる事項(請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明)を目的とするものに限るとされているので、その規定を満たすか検討する。

本件補正前の特許請求の範囲の記載は、平成14年3月11日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定される次のとおりである。
「【請求項1】 円盤状の厚さ1.2mmの基板の片面に、トラッキング用の案内溝および記録膜が形成され、アクリル系ウレタン樹脂から成る保護膜が塗布され、光が照射されて信号が記録または再生される光ディスクにおいて、保護膜の膜厚W1が30μm≦膜厚W1≦50μmの範囲にあることを特徴とする光ディスク。
【請求項2】 円盤状の基板の片面に、トラッキング用の案内溝を形成する工程と、前記基板上に記録膜を形成する工程と、スピンコート法によって前記基板上に保護膜を塗布する保護膜塗布工程とを含む光ディスクの製造方法において、前記保護膜塗布工程において、基板上に粘度Cの樹脂を吐出して、回転数R1で所定時間基板を回転させて樹脂を基板上に広げてから、回転数を回転数R1から回転数R1よりも大きい回転数R2に上昇させた後、回転数を零に下降させて基板の外周部分に広がった樹脂を振り切って保護膜を塗布し、樹脂を振り切る工程の時間は樹脂を広げる工程の時間よりも短いことを特徴とする光ディスクの製造方法。
【請求項3】 前記保護膜塗布工程において、回転数が回転数R1から上昇し始めるときから、回転数が回転数R2を経由して零になるときまでの時間間隔を時間Tとし、前記樹脂の粘度C、回転数R1、回転数R2および時間Tは下記の関係式(1)〜(4)を満たすことを特徴とする請求項2記載の光ディスクの製造方法。
(1) 400cps≦粘度C≦600cps
(2) 500rpm≦回転数R1≦1500rpm
(3) 2000rpm≦回転数R2≦4000rpm
(4) 0.1秒≦時間T≦0.5秒」

してみると、本件補正は、少なくとも、光ディスクの発明にかかる請求項1において、補正前における請求項1の基板の厚さである「1.2mm」及び保護膜の材質である「アクリル系ウレタン樹脂」の構成を削除する補正を含むものであり、これら補正は、特許法第17条の2第4項で規定する請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものとは認められない。
したがって、本件補正は、他の請求項について検討するまでもなく、特許法第17条の2第4項に違反するので、同法第159条第1項の規定で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成15年8月11日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成14年3月11日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「円盤状の厚さ1.2mmの基板の片面に、トラッキング用の案内溝および記録膜が形成され、アクリル系ウレタン樹脂から成る保護膜が塗布され、光が照射されて信号が記録または再生される光ディスクにおいて、保護膜の膜厚W1が30μm≦膜厚W1≦50μmの範囲にあることを特徴とする光ディスク。」

(1)引用例
原査定で引用された特開平7-272320号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、
(i)「【請求項1】基板の一主面に記録膜と高分子材料からなる保護膜とが順次積層されてなる情報記録媒体において、前記基板の厚さが1mm以下のとき、前記保護膜の厚さを20μm以上としたことを特徴とする情報記録媒体。」(【請求項1】参照)、及び、
(ii)「【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、情報記録媒体に関し、さらに詳しくは、レーザ光の照射により情報の記録及び/又は再生が行われる光ディスクに関する。」(段落【0001】参照)こと、
(iii)「【0011】 図7に、対物レンズの開口数NAと、計算により求めた対物レンズの開口数が0.5、基板の厚さが1.2mmである場合と同等の光学的安定性が得られる基板の厚さを示す。図中破線は5.25インチ光磁気ディスクを基準とした場合の特性線図を、実線はコンパクトディスク(CD)を基準とした場合の特性線図を示している。 図7からわかるように、対物レンズの開口数NAを現状より大きい0.55とするときには、基板の厚さを0.8mmとすることにより、現状の記録再生システムと同等の光学的安定性が得られ、ディスクの傾きに対する許容度が実用範囲内となる。 したがって、基板の厚みhを小さくすることは、ディスクの光学系に対する傾き角θの許容度を実用範囲内としつつ、光ディスクの高密度化を図るために有効な手段となる。
【0012】 しかし、基板等の板の曲げ剛性Dは、式3で示すように板の厚みhが小さくなるにつれて急激に小さくなり、板が曲がり易くなる。
D=Eh3 /[12(1-ν2 )]……(3)
E:板の縦弾性係数
h:板の厚み
ν:ポアソン比
図8に示す実験結果のように、基板の厚みhが小さくなるにつれて、急激に曲がり易くなる。」(段落【0011】〜【0012】参照)こと、
(iv)「【0013】 【発明が解決しようとする課題】 上記のように、基板を薄くすることは、光ディスクの高密度化に対して有効な手段である反面、曲げ剛性の低下を招くことになる。これに伴い、環境温度が変動した場合における光ディスクの反り(skew)が変化するという事態が顕著となる。例えば、室温で長時間放置している光ディスク基板を記録再生装置に装着した場合には、当該記録再生システム内の温度が比較的高温となっているために、急激な環境温度の変動によって光ディスクの反りが変化する。」(段落【0013】参照)こと、
(v)「【0014】 透明基板、記録膜および保護膜の三層構造を有する従来の光磁気ディスクを例にとって、ディスクの反りを定量的に説明する。従来の光磁気ディスクにおけるアクリル系光硬化保護膜の厚さは15μm程度であるが、保護膜の厚さをこの厚さに維持したまま、高密度化を図るために基板の厚さを現状の1.2mmよりも薄い0.8mmとした場合には、湿度50%で環境温度が20〜60℃の範囲で変動すると、ディスクの半径方向に沿う反りの変化は、±7mrad程度と大きかった。
【0015】 このようにディスクの反りが大きいと、波面収差が発生し、読み出し時の信号振幅が小さくなり、レーザ光の焦点が記録膜に確実に合致し難くなり、情報の記録、再生を精度良く行うことが困難となる。 また、高密度化に伴う狭いトラックピッチを考えた場合、従来のような反り変化によってクロストークの影響がより大きく発生し、この問題がより助長されることになる。 これらの理由から、光ディスクには、反りの変化の小さいことが従来より要求されている。」(段落【0014】〜【0015】参照)こと、
(vi)「【0017】本発明は、高密度化を目的として基板を薄くしても、現状の積層構造を維持しつつ、反りを抑制し得る情報記録媒体を提供することを目的とする。」(段落【0017】参照)こと、
(vii)「【0019】 【作用】 ・・(中略)・・・ また、基板の厚さを薄くすることによって当該基板の剛性は低下するものの、高分子材料からなる保護膜を20μm以上の厚さでコートすることにより、環境温度が変動しても情報記録媒体の反りは抑制され、波面収差などの不具合の発生が生じ難いものとなる。 さらに、保護膜の厚さ寸法を現状と異ならせるだけで反りを制御でき、情報記録媒体の積層構造は現状のものと同じ構造に維持されている。このため、現行の製造工程を改変することなく、反りを抑制し得ると共に高密度化を図った情報記録媒体を製造できる。」(段落【0019】参照)こと、
(viii)「【0022】 また、保護膜1は、基板3の上にスパッタされた記録膜2を保護するために、スピンコート法などにより均一に形成された膜であり、保護膜1の材料としては、高分子材料、例えば、アクリル系光硬化樹脂などが挙げられる。 この保護膜1に用いて好ましい高分子材料としては特にアクリル系光硬化樹脂にのみ限定されない・・・(後略)。」(段落【0022】参照)こと、
(ix)「【0031】図4のグラフから、図3のグラフと式4から予想された保護膜1によるディスク4の反りと記録膜2によるディスク4の反りとが相殺し合っていることが分かる。さらに、保護膜1の厚さを変化させれば、光磁気ディスク4の温度に対する反り変化を制御できることがわかり、保護膜1の厚さを厚くすれば、前記反りの変化を小さくすることができることもわかる。
【0032】 図5は、環境温度が60℃のときにおける上記試験用ディスク<1>および<2>の反り量をプロットしたものである。このグラフより、高密度化を目的として基板3の厚さを1mm以下に薄くするときにあっては、ディスクの光学系に対する傾き角θの許容度を実用的な範囲である±5mrad以内とするためには、保護膜1の厚さを少なくとも20μm以上としなければならないことが分かる。また、保護膜1の厚さが必要以上に厚いと、ディスクの反りが+5mradを越えることから、保護膜1の厚さは50μm以下とすることが好ましい。
【0033】 本発明者らは、実験の結果、0.8mm厚の基板3を用いた場合、記録膜2の厚さが0.4μm以下であれば、アクリル系光硬化保護膜1の厚さを20〜50μmとすることにより、20〜60℃(湿度50%)の温度変化に対する光ディスク4の半径方向の反りの変化を±2mrad以下に抑えることが可能となったことを確認した。」(段落【0031】〜【0033】参照)こと、が記載され、更に、
(x)図8には、基板の厚さが0.8mmおよび1.2mmのものについて、温度と反り量の関係が図示されている。
なお、図8を次に示す。



これらの記載および光ディスクの基板は当然円盤状であることからすると、引用例には、記録再生システム内の温度が比較的高温となっても反りの増大が少ない光ディスクに関し、「円盤状の基板の一主面に記録膜が形成され、アクリル系光硬化樹脂から成る保護膜が塗布され、レーザ光の照射により記録または再生がされる光ディスクにおいて、保護膜の厚さを20〜50μmとした光ディスク。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(2)対比、判断
本願発明と引用発明と対比すると、両者は、光ディスクの再生装置あるいは記録装置が昇温しても反りの増大が少ない光ディスクに関し、「円盤状の基板の片面に、記録膜が形成され、アクリル系樹脂から成る保護膜が塗布され、光が照射されて信号が記録または再生される光ディスクにおいて、保護膜の膜厚が30μm以上50μm以下の範囲にある光ディスク。」の発明で一致する。
他方、本願発明は次の(a)〜(c)が規定されているのに対し、引用発明ではそのような規定がされていない点で相違する。
(a)基板の厚さは1.2mmである点、
(b)基板の片面にはトラッキング用の案内溝が形成されている点、
(c)保護膜は「アクリル系ウレタン樹脂」から成るとされている点。

(a)の点について
引用例では、円盤状の基板の厚さが1mm以下のものを「実施例」として記載されているが、それは高密度化に伴うディスクの傾きの許容度の観点からなされているにすぎない。 これに関して、審判請求人は、平成14年3月11日付け意見書において、段落【0012】の基板の剛性は基板の厚みの3乗に比例する旨の記載(摘示(iii)参照)を引用して、厚さ1.2mmと0.8mmでは3.4倍(=1.23/0.83の剛性の差があるため、厚さ1.2mmの基板における保護膜は、厚さ0.8mmの基板の保護膜よりも薄くて良いことになる旨を主張している。
しかしながら、仮にそのような剛性の差があるとしても、上記引用例の図8には保護膜厚み15μmのときに、基板厚み0.8mmの場合よりも反りの増加割合が若干小さいものの、周知のCD(コンパクトディスク)等の規格として採用されている厚み1.2mmの基板においても、高温になるに従って反り量が増大することが明確に図示されている。
そして、光ディスクの再生装置あるいは記録装置における昇温下でも基板の反りは少ない程好ましいことは当然のこと(摘示(v)にも、「光ディスクには、反りの変化の小さいことが従来より要求されている。」と明示されている)であるから、厚さ1.2mmの基板においても、高温時の反りの抑制を図ることは当然考えることである。 そして、そのために、引用例に記載の保護膜の厚さを厚くすることで反りの抑制を達成する技術を採用することは、当業者であれば当然想起することであり、格別の創意工夫が必要であるとは認められない。
なお、審判請求人は、前記意見書において更に、本願発明の光ディスクは(引用例の場合に比べて)より厳しい記録再生環境下に対応できるものであり、解決しようとする課題が異なる旨を主張するが、どの程度の厳しい環境下で使用するかは恣意的なものにすぎず、またどの程度まで高温下の反りを抑えるかも程度の問題にすぎず、必要乃至所望に応じて決められる程度のことというべきであって、解決しようとする課題が本質的に異なると解すべきではない。 そして、要求される環境の厳しさの程度によって且つどの程度の反りまで許容するかによって必要な保護層の膜厚は異なるけれども、当業者であれば容易に検討設定して選択できる程度のことというべきで、基板厚さ1.2mmの場合であっても、前記認定の如く保護膜の膜厚を30μm〜50μmを採用し得ることは明らかである。
そして、基板厚さが厚いほど高温時の反りの発生は小さいものであるから、30μm〜50μmの保護膜の厚さであれば、本願発明の如き基板厚み1.2mmの光ディスクが、引用例に明示される基板厚み0.8mmの光ディスクよりもより厳しい記録再生環境下に対応し得ることは当然予測されることである。
したがって、CD等において広く採用されている基板厚さ1.2mmの光ディスクを対象とすることは、当業者であれば容易に思い至る程度のことと認められる。

(b)の点について
光ディスクにおいて基板上にトラッキング用の案内溝を形成することは周知慣用の技術であるから、基板上にトラッキング用の案内溝を形成することを規定する点に困難性はない。

(c)の点について
引用例に記載される光ディスクの保護膜を形成するアクリル系光硬化樹脂として、アクリル系ウレタン樹脂は代表的なものの一つであり、また、本願明細書において、「アクリル系ウレタン樹脂」を採用する格別の技術的意義は示されていないから、従来技術として使用されていた「アクリル系ウレタン樹脂」(本願明細書段落【0002】の従来例の説明を参照)をそのまま使用していたにすぎないものを保護膜の材質として規定する点に格別の困難性はない。
なお、審判請求人は、平成14年3月11日付け意見書において、本願発明と引用例とでは保護膜の材質が異なるから所望の厚みの効果が得られる厚みの範囲が異なる旨を主張している。 しかしながら、仮に好適な厚みの範囲が異なるとしても、アクリル系光硬化樹脂としてアクリル系ウレタン樹脂だけが他のものと本質的に著しく異なると解すべき理由も示されておらず、また本願明細書にも記載はなく何ら認識されていない作用効果の主張であるから、採用できるものではない。
また、審判請求人は審判請求理由において、引用例の場合には20℃で湿度50%から60℃で湿度50%への変化時の反りを検討しているのに対し、本願発明では55℃で湿度30%とのより厳しい環境条件を採用している旨を主張している。 そして、そのより厳しいとの根拠が、「アクリル系保護膜は、ポリカーボネートより湿度変化の膨張率が大きいことである。この現象は本明細書に記載されていないが、当業者には知られていない。」とのことである。 しかしながら、そのような本願明細書に記載もなく(当然に本願出願時に認識していたとは認められず)また自明でもなく、その具体的根拠も示されていないことを、参酌すべき理由はない。 そもそも、本願発明は、基板の材質がポリカーボネートであることを特定するものではないから、発明の特定事項に基づかない主張は採用できない。

以上総合的に勘案しても、それら(a)〜(c)の点を組合せ採用することは、格別の阻害要因も無く、当業者が容易に思い至る程度のことであり、またその組合せによって格別予想外の作用効果があるとも認められない。

(3)むすび
したがって、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-06-18 
結審通知日 2004-06-22 
審決日 2004-07-05 
出願番号 特願平8-216253
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G11B)
P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 蔵野 雅昭  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 小林 秀美
川上 美秀
発明の名称 光ディスクおよびその製造方法  
代理人 杉山 毅至  
代理人 廣瀬 峰太郎  
代理人 西教 圭一郎  

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