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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  A63F
管理番号 1102748
異議申立番号 異議2003-70450  
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-05-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-02-19 
確定日 2004-07-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3315446号「可変表示装置付遊技機」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3315446号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1・手続の経緯
特許第3315446号の請求項1に係る発明(本件発明)についての特許出願(本件出願)は、平成4年11月9日に出願されたものであって、平成14年6月7日にその特許権の設定登録がなされ、その後、菊池淑乃、岩井浩之及び本間幹雄よりそれぞれ特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年3月30日に訂正請求がなされたものである。
2・訂正の適否についての判断
(2-1)訂正の内容
ア・訂正事項a
特許請求の範囲の請求項2及び3を削除する。
イ・訂正事項b
特許請求の範囲の「可変表示装置」を「液晶表示装置」と訂正する。
ウ・訂正事項c
特許請求の範囲の「可変表示装置付遊技機」を「液晶表示装置付パチンコ遊技機」と訂正する。
エ・訂正事項d
特許請求の範囲の「前面構成部材」を「遊技盤」と訂正する。
オ・訂正事項e
特許請求の範囲の「板状部材」を「機構板」と訂正する。
カ・訂正事項f
特許請求の範囲の「遊技制御を行なう遊技制御基板」を「遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する遊技制御基板」と訂正する。
キ・訂正事項g
特許請求の範囲の「表示制御基板」を「表示制御手段を搭載する基板であって、前記表示制御手段が表示制御に用いる表示制御用データが格納された表示制御用データ格納手段が着脱自在に設けられる表示制御基板」と訂正する。
ク・訂正事項h
特許請求の範囲の「表示窓が形成され、前記前面枠に対して着脱自在に取付けられた」を「表示窓が前記液晶表示装置の表示領域よりも大きいサイズで形成され、かつ前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される一方で裏面に前記遊技制御手段が遊技制御に用いる遊技制御用データが格納された遊技制御用データ格納手段を実装する実装基板を収納した収納ケースが取付けられ、前記前面枠に対して交換可能に取付けられた」と訂正する。
ケ・訂正事項i
特許請求の範囲の「前記表示窓に対応する開口が形成され」を「賞品玉払出装置が設けられるとともに前記表示窓に対応する開口が形成され」と訂正する。
コ・訂正事項j
特許請求の範囲の「とを含み、前記前面枠に」を「とを含み、前記機構板には前記液晶表示装置側に形成された取付孔に対応する取付孔が前記開口の左右両側の上下方向に複数形成され、該複数形成された取付孔のうちの1つと前記液晶表示装置側に形成された取付孔とをねじ止めすることによって、前記液晶表示装置の前記開口に対する上下方向の位置を変更調整して固定することが可能に構成されており、前記機構板には前記遊技制御基板が前記カバー部材によってカバーされた状態で取付けられており、前記遊技盤および前記前面枠には、前記遊技盤を前記前面枠に対し位置合わせするための位置合わせ部が形成されており、前記前面枠に」と訂正する。
サ・訂正事項k
特許明細書の発明の名称の欄の「可変表示装置付遊技機」を「液晶表示装置付パチンコ遊技機」と訂正する。
シ・訂正事項l
特許明細書の段落【0001】中の「パチンコ遊技機やコイン遊技機あるいはスロットマシン等で代表される」を削除する。
ス・訂正事項m
特許明細書の段落【0001】〜【0004】中の「可変表示装置」、「可変表示装置付遊技機」及び「前面構成部材」をそれぞれ「液晶表示装置」、「液晶表示装置付パチンコ遊技機」及び「遊技盤」に訂正する。
セ・訂正事項n
特許明細書の段落【0005】中の「請求項1に記載の本発明は、・・・位置合わせ部が形成されていることを特徴とする。」を「請求項1に記載の本発明は、表示状態が変化可能な液晶表示装置を有し、該液晶表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となる液晶表示装置付パチンコ遊技機であって、遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する遊技制御基板と、前記液晶表示装置を制御する表示制御手段を搭載する基板であって、前記表示制御手段が表示制御に用いる表示制御用データが格納された表示制御用データ格納手段が着脱自在に設けられる表示制御基板と、前記遊技制御基板をカバーするカバー部材と、前記液晶表示装置付パチンコ遊技機の外枠と、当該外枠に対して開閉可能に設けられた前面枠と、前記液晶表示装置の表示状態を遊技者に表示するための表示窓が前記液晶表示装置の表示領域よりも大きいサイズで形成され、かつ前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される一方で裏面に前記遊技制御手段が遊技制御に用いる遊技制御用データが格納された遊技制御用データ格納手段を実装する実装基板を収納した収納ケースが取付けられ、前記前面枠に対して交換可能に取付けられた遊技盤と、前記遊技盤の裏面に位置し、賞品玉払出装置が設けられるとともに前記表示窓に対応する開口が形成され、当該開口に対して前記液晶表示装置を臨ませた状態で前記液晶表示装置を取付ける機構板とを含み、前記機構板には前記液晶表示装置側に形成された取付孔に対応する取付孔が前記開口の左右両側の上下方向に複数形成され、該複数形成された取付孔のうちの1つと前記液晶表示装置側に形成された取付孔とをねじ止めすることによって、前記液晶表示装置の前記開口に対する上下方向の位置を変更調整して固定することが可能に構成されており、前記機構板には前記遊技制御基板が前記カバー部材によってカバーされた状態で取付けられており、前記遊技盤および前記前面枠には、前記遊技盤を前記前面枠に対し位置合わせするための位置合わせ部が形成されており、前記前面枠に前記機構板が取付けられていることを特徴とする。」
ソ・訂正事項o
特許明細書の段落【0006】中の「請求項1に記載の本発明によれば、・・・位置合わせ部が形成されている。」を「請求項1に記載の本発明によれば、遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する遊技制御基板がカバー部材によってカバーされている。前記液晶表示装置を制御する表示制御手段を搭載する表示制御基板には、前記表示制御手段が表示制御に用いる表示制御用データが格納された表示制御用データ格納手段が着脱自在に設けられる。前記液晶表示装置の表示状態を遊技者に表示するための表示窓が形成され、かつ前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される一方で裏面に前記遊技制御手段が遊技制御に用いる遊技制御用データが格納された遊技制御用データ格納手段を実装する実装基板を収納した収納ケースが取付けられた遊技盤は、前記前面枠に対して交換可能に取付けられる。さらに、遊技盤の裏面に位置し、賞品玉払出装置が設けられるとともに前記表示窓に対応する開口が形成された機構板が、外枠に対して開閉可能に設けられた前面枠に取付けられている。そして、前記液晶表示装置は、前記機構板に形成された開口に臨み、前記表示窓に対応する位置となるように前記機構板に取付けられている。つまり、遊技盤と機構板とがともに前記前面枠に取付けられていることから、たとえ、前面枠の開閉を繰返して前面枠と外枠との位置関係に微妙なずれが生じてきたとしても、前面枠と外枠との間の位置関係とは関係なく、遊技盤と機構板との間の位置関係が一定に保たれる。そして、液晶表示装置は機構板に取付けられていることから、遊技盤と液晶表示装置との位置関係についても、前面枠と外枠との間の位置関係とは関係なく、一定に保たれる。しかも、液晶表示装置は遊技盤に設けられていないために、遊技盤を交換した際に液晶表示装置が遊技機側に残ることになる。また、前記機構板には前記液晶表示装置側に形成された取付孔に対応する取付孔が前記開口の左右両側の上下方向に複数形成され、該複数形成された取付孔のうちの1つと前記液晶表示装置側に形成された取付孔とをねじ止めすることによって、前記液晶表示装置の前記開口に対する上下方向の位置を変更調整して固定することが可能に構成されいる。さらに、前記遊技盤に形成された表示窓は、前記液晶表示装置の表示領域よりも大きく構成されており、表示窓から覗く表示領域の中心が多少表示窓の中心からずれていても、表示窓から表示領域の全体が見渡せる。また、前記遊技盤および前記前面枠には、前記遊技盤を前記前面枠に対し位置合わせするための位置合わせ部が形成されている。」と訂正する。
タ・訂正事項p
特許明細書の段落【0094】中の「外枠102により、・・・が形成されている。」を「外枠102により、前記液晶表示装置付パチンコ遊技機の外枠が構成されている。前面枠2により、前記外枠に対して開閉可能に設けられた前面枠が構成されている。遊技盤7により、前記液晶表示装置の表示状態を遊技者に表示するための表示窓が前記液晶表示装置の表示領域よりも大きいサイズで形成され、かつ前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される一方で裏面に前記遊技制御手段が遊技制御に用いる遊技制御用データが格納された遊技制御用データ格納手段を実装する実装基板を収納した収納ケースが取付けられ、前記前面枠に対して交換可能に取付けられた遊技盤が構成されている。図3の機構板18により、前記遊技盤の裏面に位置し、賞品玉払出装置が設けられるとともに前記表示窓に対応する開口が形成され、当該開口に対して前記液晶表示装置を臨ませた状態で前記液晶表示装置を取付ける機構板が構成されている。たとえば、図3あるいは図4に示されるように、前記前面枠に前記機構板が取付けられている。ゲーム制御用基板26により、遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する遊技制御基板が構成されている。基板40により、前記液晶表示装置を制御する表示制御手段を搭載する基板であって、前記表示制御手段が表示制御に用いる表示制御用データが格納された表示制御用データ格納手段が着脱自在に設けられる表示制御基板が構成されている。収納ボックス本体52,および透明カバー体74により、前記遊技制御基板をカバーするカバー部材が構成されている。図6に示されるように、前記表示制御基板は前記遊技制御基板とは別の基板で構成され、カバー部材(カバー303,裏カバー47)によってカバーされている。
前述したように、回動レバー23を時計回り方向に回動した状態で遊技盤7を前面枠2の裏面側から取付け、この回動レバー23を反時計回り方向に回動することにより、遊技盤7が前面枠2側に押しつけられた状態で固定される。また、機構板18を前面枠2の裏面側に押しつけた状態で係止レバー22を反時計回り方向に回動することにより、機構板18を前面枠2側に固定することができる。すなわち、前記遊技盤と前記機構板とが前記前面枠に取付けられている。また、図3〜図5に示されるように、前記液晶表示装置は、前記機構板に形成された開口(符号20,130)に臨み、前記表示窓に対応する位置となるように前記機構板に取付けられている。また、前記遊技盤および前記前面枠には、前記遊技盤を前記前面枠に対し位置合わせするための位置合わせ部(嵌合孔100a,100b、突起101a,101b)が形成されている。」と訂正する。
チ・訂正事項q
特許明細書の段落【0095】中の「請求項1に記載の本発明によれば、・・・正確な位置に取付けることができる。」を「請求項1に記載の本発明によれば、遊技盤と機構板とがともに前記前面枠に取付けられていることから、たとえ、前面枠の開閉を繰返して前面枠と外枠との位置関係に微妙なずれが生じてきたとしても、前面枠と外枠との間の位置関係とは関係なく、遊技盤と液晶表示装置との位置関係について一定に保つことができ、遊技盤の表示窓と、そこから覗く液晶表示装置部分との位置関係が、前面枠と外枠との間の位置関係とは関係なく、当初、調整された状態に保持できる。しかも、液晶表示装置を残したままの状態で遊技盤を他の種類のものに交換することが可能であるために、遊技盤を交換する際のコストを極力抑えることができる。さらに、カバー部材によって遊技制御基板を保護できる。さらに、前記表示窓は、液晶表示装置の表示領域よりも大きいサイズで構成されているために、遊技盤を交換した場合に交換後の遊技盤の前記表示窓と前記液晶表示装置の表示領域との位置関係が多少変化したとしても、液晶表示装置の表示領域全体が遊技盤の表示窓から視認可能となる。また、遊技盤および前面枠には、遊技盤を前面枠に対し位置合わせするための位置合わせ部が形成されているために、遊技盤を前面枠に対して正確な位置に取付けることができる。」と訂正する。
(2-2)訂正の目的、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、請求項を削除するものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、
上記訂正事項bは、「可変表示装置」をその下位概念である「液晶表示装置」に限定するものであり、かつ、このことは、特許明細書の段落【0012】に「可変表示装置9は、液晶表示装置を用いて」と記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、
上記訂正事項cは、「可変表示装置付遊技機」をその下位概念である「液晶表示装置付パチンコ遊技機」に限定するものであり、かつ、このことは、特許明細書の段落【0008】に「可変表示装置付遊技機の一例のパチンコ遊技機」、段落【0012】に「可変表示装置9は、液晶表示装置を用いて」と記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、
上記訂正事項dは、「前面構成部材」をその下位概念である「遊技盤」に限定するものであり、かつ、このことは、特許明細書の段落【0020】に「遊技盤7により・・・前面構成部材が構成されている」と記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、
上記訂正事項eは、「板状部材」をその下位概念である「機構板」に限定するものであり、かつ、このことは、特許明細書の段落【0094】に「機構板18・・・により・・・板状部材が構成されている」と記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、
上記訂正事項fは、遊技制御基板に遊技制御手段が搭載されていることを限定するものであり、かつ、このことは、特許明細書の段落【0014】に「ゲーム制御基板26は、パチンコ遊技機1の遊技制御を行なうものであり・・・プログラムに従ってゲーム制御用基板26に実装されているチップCPU240・・・が動作し、可変表示装置9や可変入賞球装置11等が制御される」、段落【0029】に「CPU・RAMを内蔵したワンチップマイコン69やROM70を内蔵したROMカセット27等が設けられたゲーム制御用基板26」と記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、
上記訂正事項gは、表示制御基板に表示制御手段が搭載されていること、及び、表示制御手段に、表示制御に用いる表示制御用データが格納された表示制御用データ格納手段が着脱自在に設けられること、を限定するものであり、かつ、これらのことは、特許明細書の段落【0024】に「LCDユニット30の表示状態を制御するための基板40が設けられている。この基板40には、LCD制御用マイクロコンピュータ42・・・が実装されている」と、及び、段落【0013】に「基板40・・・には・・・制御用データ格納手段の一例のROMカセット45が着脱自在に設けられている」、段落【0024】に「基板40部分には・・・ROMカセット45を差込むための差込みコネクタ43とが設けられている。ROMカセット45を・・・差込みコネクタ43に差込むことにより、ROMカセット45内に設けられているROM46と基板40とが電気的に接続された状態となる。このROMカセット45は差込みコネクタ43に挿脱自在である」と、それぞれ記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、
上記訂正事項hは、前面構成部材から訂正された遊技盤について、表示窓が液晶表示装置の表示領域よりも大きいサイズで形成されること、前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成されること、及び、裏面に遊技制御手段が遊技制御に用いる遊技制御用データが格納された遊技制御用データ格納手段を実装する実装基板を収納した収納ケースが取付けられ、前面枠に対して交換可能に取付けられたこと、を限定するものであり、かつ、これらのことは、特許明細書の特許請求の範囲の欄の請求項2に「前記前面構成部材に形成された表示窓は、前記可変表示装置の表示領域よりも大きく構成されている」と、特許明細書の段落【0008】に「パチンコ玉を1つずつ遊技盤7前面に形成されている遊技領域8内に打込むことができる」と、及び、段落【0036】に「図9は、他の例のパチンコ遊技機1の一部内部構造を示す全体背面図である・・・図2に示したパチンコ遊技機1の場合には、制御用データ格納手段の一例のROMカセット27がゲーム制御用基板26に着脱自在に設けられていたが、この図9のパチンコ遊技機1の場合には、遊技盤7の裏面側に制御用データ格納手段の一例のROM70が固定されて設けられている。そして、遊技盤7とともにROM70を他のものに交換することにより、新たな遊技制御が行なわれるように構成されている。このROM70は基板90に実装され・・・基板90に固められた状態で固定的に設けられている。そしてROM70が設けられた基板90を収納するROMケース92が遊技盤7の裏面側に・・・固定的に設けられている・・・ROM70に記憶されている制御用のプログラムに従ってゲーム制御用基板26が動作してパチンコ遊技機1がゲーム制御される」と、それぞれ記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、
上記訂正事項iは、板状部材から訂正された機構板について、賞品玉払出装置が設けられることを限定するものであり、かつ、このことは、特許明細書の段落【0015】に「機構板18には、さらに賞品玉払出装置19が設けられており」と記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、
上記訂正事項jは、板状部材から訂正された機構板について、機構板に、液晶表示装置側に形成された取付孔に対応する取付孔が開口の左右両側の上下方向に複数形成され、該複数形成された取付孔のうちの1つと前記液晶表示装置側に形成された取付孔とをねじ止めすることによって、前記液晶表示装置の前記開口に対する上下方向の位置を変更調整して固定すること、前記機構板に、遊技制御基板がカバー部材によってカバーされた状態で取付けられること、及び、遊技盤および前面枠に、前記遊技盤を前記前面枠に対し位置合わせするための位置合わせ部が形成されていること、を限定するものであり、かつ、これらのことは、特許明細書の段落【0023】に「開口20が形成された部材(機構板18・・・)の裏面側には、複数・・・のビス孔121が形成された突出部118が複数個・・・設けられており、この突出部118がLCDユニット30の・・・左右に形成された長溝119に入り込み、その状態でビス120によりLCDユニット30が取付け固定される。この長溝119が形成された・・・部分にはビス孔が形成されており、そのビス孔と突出部118に形成されている複数のビス孔121の1つを選択してLCDユニット30のビス孔51を位置合わせした状態でビス120をねじ込むことにより、LCDユニット30の上下方向の位置を変更調整して固定することが可能となる」と、特許明細書の段落【0014】に「機構板18には、さらに、ゲーム制御用基板26を収納したゲーム制御用基板ボックス25が設けられている」と、及び、特許明細書の特許請求の範囲の欄の請求項3に「前記前面構成部材および前記前面枠には、前記前面構成部材を前記前面枠に対し位置合わせするための位置合わせ部が形成されている」と、それぞれ記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、
上記訂正事項k〜qは、上記訂正事項a〜jと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、
いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し、変更するものではない。
(2-3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3・特許異議の申立ての理由及び取消理由についての判断
(3-1)特許異議の申立ての理由の概要
(3-1-1)申立人・菊池淑乃は、
甲第1号証(特開昭64-34391号公報)及び甲第2号証(特開平1-171585号公報)を引用し、
本件発明は、当業者が甲第1号証に記載された発明に基いて、また、当業者が甲第2号証に記載された発明に基いて、さらに、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された各発明に基いて、それぞれ容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとし、
(3-1-2)申立人・岩井浩之は、
(3-1-2-1)本件発明の名称が「可変表示装置付遊技機」であり、権利範囲にスロットマシンを含むものと思われるが、スロットマシンに関する実施例の記載がなく、当業者が容易に実施することができないので、本件出願は特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないとし、
(3-1-2-2)甲第1号証(特開昭64-34391号公報)、甲第2号証(特開平4-215781号公報(平成4年8月6日公開))、甲第3号証(特開平4-231987号公報(平成4年8月20日公開))及び甲第4号証(特開昭62-84785号公報)を引用し、
本件発明は、当業者が甲第1号証〜甲第4号証に記載された各発明に基いて容易に発明をすることことができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとし、
(3-1-3)申立人・本間幹雄は、
甲第1号証(実願昭62-29840号(実開昭63-137674号)のマイクロフィルム)、甲第2号証(特開平1-201286号公報)、甲第3号証(特開昭63-19175号公報)及び甲第4号証(特開平4-215781号公報(平成4年8月6日公開))を引用し、
本件発明は、当業者が甲第1号証〜甲第4号証に記載された各発明に基いて容易に発明をすることことができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとし、
本件発明についての特許は、取り消されるべきものであると主張している。
(3-2)取消理由の概要
(3-2-1)その1
本件発明は、当業者が刊行物1(特開昭64-34391号公報)、刊行物2(特開平4-215781号公報(平成4年8月6日公開))、刊行物3(特開平4-231987号公報(平成4年8月20日公開)),刊行物4(特開昭62-84785号公報)及び刊行物5(実願昭54-181425号(実開昭56-98290号)のマイクロフィルム)に記載された各発明に基いて容易に発明をすることことができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、
(3-2-2)その2
本件発明は、当業者が刊行物1(特開昭62-14878号公報)、刊行物2(特開昭56-80281号公報)、刊行物3(特開平1-265985号公報)、刊行物4(特開平2-277482号公報)、刊行物5(特開平4-231987号公報(平成4年8月20日公開))、刊行物6(特開昭59-105476号公報)、刊行物7(実公平3-46787号公報)、刊行物8(実願昭54-181425号(実開昭56-98290号)のマイクロフィルム)及び刊行物9(特開昭62-84785号公報)に記載された各発明に基いて容易に発明をすることことができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、
本件発明についての特許は、取り消されるべきものである。
(3-3)本件発明
上記(2-3)の所に記したように、上記訂正が認められるので、本件発明は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される下記のとおりである。
「表示状態が変化可能な液晶表示装置を有し、該液晶表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となる液晶表示装置付パチンコ遊技機であって、
遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する遊技制御基板と、
前記液晶表示装置を制御する表示制御手段を搭載する基板であって、前記表示制御手段が表示制御に用いる表示制御用データが格納された表示制御用データ格納手段が着脱自在に設けられる表示制御基板と、
前記遊技制御基板をカバーするカバー部材と、
前記液晶表示装置付パチンコ遊技機の外枠と、
当該外枠に対して開閉可能に設けられた前面枠と、
前記液晶表示装置の表示状態を遊技者に表示するための表示窓が前記液晶表示装置の表示領域よりも大きいサイズで形成され、かつ前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される一方で裏面に前記遊技制御手段が遊技制御に用いる遊技制御用データが格納された遊技制御用データ格納手段を実装する実装基板を収納した収納ケースが取付けられ、前記前面枠に対して交換可能に取付けられた遊技盤と、
前記遊技盤の裏面に位置し、賞品玉払出装置が設けられるとともに前記表示窓に対応する開口が形成され、当該開口に対して前記液晶表示装置を臨ませた状態で前記液晶表示装置を取付ける機構板とを含み、
前記機構板には前記液晶表示装置側に形成された取付孔に対応する取付孔が前記開口の左右両側の上下方向に複数形成され、該複数形成された取付孔のうちの1つと前記液晶表示装置側に形成された取付孔とをねじ止めすることによって、前記液晶表示装置の前記開口に対する上下方向の位置を変更調整して固定することが可能に構成されており、
前記機構板には前記遊技制御基板が前記カバー部材によってカバーされた状態で取付けられており、
前記遊技盤および前記前面枠には、前記遊技盤を前記前面枠に対し位置合わせするための位置合わせ部が形成されており、
前記前面枠に前記機構板が取付けられていることを特徴とする、液晶表示装置付パチンコ遊技機。」
(3-4)申立人・岩井浩之の、本件出願は特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないという主張について
上記(2-1)の訂正事項c〜e、h、j〜qによって、権利範囲にスロットマシンが含まれなくなったことは明らかであるから、上記主張は採用できない。
(3-5)特許異議の申立ての理由において引用された甲号各証に記載された発明及び取消理由において引用された各刊行物に記載された発明
申立人・菊池及び岩井の各甲第1号証並びに取消理由その1の刊行物1である特開昭64-34391号公報(以下、引用例1という)には、
「表示状態が変化可能なリール6を有し、該リール6の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となるスロットマシンであって、
遊技制御を行なう制御基板と、
前記制御基板をカバーするボックスと、
前記スロットマシンの外枠2と、
当該外枠2に対して開閉可能に設けられた前枠8と、
前記リール6の表示状態を遊技者に表示するための窓17が形成され、前記前枠8に対して交換可能に取付けられた表示パネル14と、
前記表示パネル14の裏面に位置し、賞品球払出樋88が設けられるとともに前記窓17に対応するリール孔76が形成され、当該リール孔76に対して前記リール6を臨ませた状態で前記リール6を取付ける中枠7とを含み、
前記前枠8に前記中枠7が取付けられている、スロットマシン」
を構成とする発明が記載されているものと認められる。
申立人・菊池の甲第2号証である特開平1-171585号公報(以下、引用例2という)には、
「基板36と、
前記基板36をカバーする基板ボックス3と、
パチンコ遊技機の外枠14と、
当該外枠14に対して開閉可能に設けられた中枠12と、
前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成され、前記中枠12に対して交換可能に取付けられた遊技盤19とを含む、
パチンコ遊技機」
を構成とする発明が記載されているものと認められる。
申立人・岩井の甲第2号証及び本間の甲第4号証並びに取消理由その1の刊行物2である特開平4-215781号公報(以下、引用例3という)には、
「制御回路基板22と、
前記制御回路基板22をカバーする収納ケース20と、
前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される一方で裏面に前記制御回路基板22をカバーする収納ケース20が取付けられた遊技盤1とを含む、
パチンコ遊技機」
を構成とする発明が記載されているものと認められる。
申立人・岩井の甲第3号証並びに取消理由その1の刊行物3及びその2の刊行物5である特開平4-231987号公報(以下、引用例4という)には、
「表示状態が変化可能な可変表示装置9を有し、該可変表示装置9の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となる可変表示装置9付パチンコ遊技機であって、
制御メイン基板と、
前記可変表示装置9を制御する遊技制御サブ基板21と、
前記制御メイン基板をカバーする基板ケース17と、
前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される一方で裏面に前記基板ケース17及び前記遊技制御サブ基板21が取付けられた遊技盤5と、
前記遊技盤5の裏面に位置し、景品玉払出装置35が設けられる機構板56とを含む、
可変表示装置9付パチンコ遊技機」
を構成とする発明が記載されているものと認められる。
申立人・岩井の甲第4号証並びに取消理由その1の刊行物4及びその2の刊行物9である特開昭62-84785号公報(以下、引用例5という)には、
「前面枠2と、
前記前面枠に対して交換可能に取付けられた遊技盤18と、
前記遊技盤18の裏面に位置し、景品球払出装置が設けられる機構板38とを含み、
前記遊技盤18および前記前面枠2には、前記遊技盤18を前記前面枠2に対し位置合わせするための位置決め孔16及び位置決めピン14が形成されており、
前記前面枠2に前記機構板38が取付けられている、パチンコ遊技機」
を構成とする発明が記載されているものと認められる。
申立人・本間の甲第1号証である実願昭62-29840号(実開昭63-137674号)のマイクロフィルム(以下、引用例6という)には、
「表示状態が変化可能な可変表示装置20を有し、該可変表示装置20の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となる可変表示装置20付パチンコ遊技機であって、
前記可変表示装置20付パチンコ遊技機の外枠と、
当該外枠に対して開閉可能に設けられた前面枠と、
前記可変表示装置20の表示状態を遊技者に表示するための表示窓が形成され、かつ前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成され、前記前面枠に対して交換可能に取付けられた遊技盤12と、
前記遊技盤12の裏面に位置し、景品玉払出装置66が設けられる機構板64とを含み、
前記前面枠に前記機構板64が取付けられている、可変表示装置20付パチンコ遊技機」
を構成とする発明が記載されているものと認められる。
申立人・本間の甲第2号証である特開平1-201286号公報(以下、引用例7という)には、
「表示状態が変化可能な表示装置1を有し、該表示装置1の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となる表示装置付パチンコ遊技機であって、
遊技制御を行なう制御装置19と、
前記表示装置1を制御する表示制御手段13を搭載する基板10であって、前記表示制御手段13が表示制御に用いる表示制御用データが格納された記憶手段と、
前記表示装置1の表示状態を遊技者に表示するための表示窓が前記表示装置1の表示領域よりも大きいサイズで形成され、かつ前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される遊技盤43と、
前記遊技盤43の裏面に位置し、賞球制御機構45が設けられる機構板とを含む、
表示装置1付パチンコ遊技機」
を構成とする発明が記載されているものと認められる。
申立人・本間の甲第3号証である特開昭63-19175号公報(以下、引用例8という)には、
「遊技制御を行なう制御装置55を搭載する回路ベース71と、
前記回路ベース71をカバーする回路カバー72と、
パチンコ遊技機の機枠3と、
当該機枠3に対して開閉可能に設けられた前面枠5と、
前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される一方で裏面に前記制御装置55が取付けられ、前記前面枠5に対して交換可能に取付けられた遊技盤7と、
前記遊技盤7の裏面に位置し、賞球排出装置が設けられるリヤフレーム11とを含み、
前記前面枠5に前記リヤフレーム11が取付けられている、パチンコ遊技機」
を構成とする発明が記載されているものと認められる。
取消理由その1の刊行物5及びその2の刊行物8である実願昭54-181425号(実開昭56-98290号)のマイクロフィルム(以下、引用例9という)には、
「表示状態が変化可能なCRT3を有し、該CRT3の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となるCRT3付パチンコ遊技機であって、
前記CRT3を制御する制御装置15と、
前記CRT3付パチンコ遊技機の外枠20と、
前記CRT3の表示状態を遊技者に表示するための透孔2が前記CRT3の表示領域よりも大きいサイズで形成され、かつ前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される遊技盤1と、
前記遊技盤1の裏面に位置し、前記透孔2に対応する挿入孔23が形成され、当該挿入孔23に対して前記CRT3を臨ませた状態で前記CRT3を取付ける中仕切板21とを含む、
CRT3付パチンコ遊技機」
を構成とする発明が記載されているものと認められる。
取消理由その2の刊行物1である特開昭62-14878号公報(以下、引用例10という)には、
「表示状態が変化可能な表示器621を有し、該表示器621の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となる表示器621付パチンコ遊技機であって、
遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する制御回路基板と、
前記制御回路基板をカバーする基板ボックス235と、
前記表示器621付パチンコ遊技機の側枠211と、
当該側枠211に対して開閉可能に設けられた主枠部材610と、
前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される一方で裏面に前記制御回路基板を収納した前記基板ボックス235が取付けられ、前記主枠部材610に対して交換可能に取付けられた遊技盤620と、
前記遊技盤620の裏面に位置し、賞品玉放出機構224が設けられる機構板640とを含み、
前記主枠部材610に前記機構板640が取付けられている、表示器621付パチンコ遊技機」
を構成とする発明が記載されているものと認められる。
取消理由その2の刊行物2である特開昭56-80281号公報(以下、引用例11という)には、
「表示状態が変化可能な可変表示手段40を有し、該可変表示手段40の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となる可変表示手段40付パチンコ遊技機であって、
遊技制御を行なう遊技制御回路60と、
前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される遊技盤1と、
前記遊技盤1の裏面に位置し、賞品玉払出機構34が設けられる裏パネルとを含む、
可変表示手段40付パチンコ遊技機」
を構成とする発明が記載されているものと認められる。
取消理由その2の刊行物3である特開平1-265985号公報(以下、引用例12という)には、
「表示状態が変化可能な図柄表示装置10を有し、該図柄表示装置10の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となる図柄表示装置10付パチンコ遊技機であって、
遊技制御を行なう制御回路基板と、
前記制御回路基板をカバーする制御基板ケース34と、
前面枠2と、
前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される一方で裏面に前記制御基板ケース34が取付けられた遊技盤7と、
前記遊技盤7の裏面に位置し、賞品球排出装置31が設けられる機構板28とを含む、
図柄表示装置10付パチンコ遊技機」
を構成とする発明が記載されているものと認められる。
取消理由その2の刊行物4である特開平2-277482号公報(以下、引用例13という)には、
「表示状態が変化可能な可変表示装置13を有し、該可変表示装置13の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となる可変表示装置13付パチンコ遊技機であって、
遊技制御を行なう制御回路基板と、
前記制御回路基板をカバーする制御基板ボックス69と、
前面枠2と、
前面にパチンコ玉が流下する遊技領域12が形成される遊技盤10と、
前記遊技盤10の裏面に位置し、景品玉払出装置61が設けられる機構板52とを含み、
前記機構板52には前記制御回路基板が前記制御基板ボックス69によってカバーされた状態で取付けられており、
前記前面枠2に前記機構板52が取付けられている、可変表示装置13付パチンコ遊技機」
を構成とする発明が記載されているものと認められる。
取消理由その2の刊行物6である特開昭59-105476号公報(以下、引用例14という)には、
「遊技制御を行なう基盤14と、
前記基盤14をカバーするボックス15と、
パチンコ遊技機の機枠1と、
当該機枠1に対して開閉可能に設けられた前面枠2と、
前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される一方で裏面に前記基盤14を収納したボックス15が取付けられ、前記前面枠2に対して交換可能に取付けられた遊技盤3と、
前記遊技盤3の裏面に位置し、景品玉排出装置22が設けられる機構板5とを含み、
前記前面枠2に前記機構板5が取付けられている、パチンコ遊技機」
を構成とする発明が記載されているものと認められる。
取消理由その2の刊行物7である実公平3-46787号公報(以下、引用例15という)には、
「表示状態が変化可能な可変表示装置19を有し、該可変表示装置19の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となる可変表示装置19付パチンコ遊技機であって、
前記可変表示装置19付パチンコ遊技機の外枠31と、
当該外枠31に対して開閉可能に設けられた前面枠32と、
前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成され、前記前面枠32に対して交換可能に取付けられた遊技盤1と、
前記遊技盤1の裏面に位置し、賞球排出装置が設けられる機構板34とを含み、
前記遊技盤1および前記前面枠32には、前記遊技盤1を前記前面枠32に対し位置合わせするための位置決め孔13a,13b及び位置決め突起48a,48bが形成されており、
前記前面枠32に前記機構板34が取付けられている、可変表示装置19付パチンコ遊技機」
を構成とする発明が記載されているものと認められる。
(3-6)本件発明と引用例1〜引用例15に記載された各発明との対比及び判断
本件発明(前者)と引用例1〜引用例15に記載された各発明とを対比すると、
引用例1に記載された発明の
「制御基板」、「ボックス」、「前枠8」、「窓17」、「賞品球払出樋88」、「リール孔76」及び「中枠7」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「遊技制御手段を搭載する遊技制御基板、遊技制御基板」、「カバー部材」、「前面枠」、「表示窓」、「賞品玉払出装置」、「開口」及び「機構板」
に相当するものと認められ、
また、
引用例2に記載された発明の
「基板36」、「基板ボックス3」及び「中枠12」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する遊技制御基板、遊技制御基板」、「カバー部材」及び「前面枠」
に相当するものと認められ、
また、
引用例3に記載された発明の
「制御回路基板22」及び「収納ケース20」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する遊技制御基板、遊技制御基板」及び「カバー部材」
に相当するものと認められ、
また、
引用例4に記載された発明の
「制御メイン基板」、「遊技制御サブ基板21」、「基板ケース17」及び「景品玉払出装置35」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する遊技制御基板、遊技制御基板」、「表示制御手段を搭載する基板」、「カバー部材」及び「賞品玉払出装置」
に相当するものと認められ、
また、
引用例5に記載された発明の
「景品球払出装置」及び「位置決め孔16及び位置決めピン14」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「賞品玉払出装置」及び「位置合わせ部」
に相当するものと認められ、
また、
引用例6に記載された発明の
「景品玉払出装置66」
がその機能に照らし、
前者の
「賞品玉払出装置」
に相当するものと認められ、
また、
引用例7に記載された発明の
「制御装置19」、「記憶手段」及び「賞球制御機構45」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「遊技制御手段を搭載する遊技制御基板」、「表示制御用データ格納手段」及び「賞品玉払出装置」
に相当するものと認められ、
また、
引用例8に記載された発明の
「制御装置55」、「回路ベース71」、「回路カバー72」、「機枠3」、「賞球排出装置」及び「リヤフレーム11」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「遊技制御手段」、「遊技制御基板」、「カバー部材」、「外枠」、「賞品玉払出装置」及び「機構板」
に相当するものと認められ、
また、
引用例9に記載された発明の
「制御装置15」、「透孔2」および「挿入孔23」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「表示制御基板」、「表示窓」及び「開口」
に相当するものと認められ、
また、
引用例10に記載された発明の
「制御回路基板」、「基板ボックス235」、「側枠211」、「主枠部材610」及び「賞品玉放出機構224」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「遊技制御基板」、「カバー部材」、「外枠」、「前面枠」及び「賞品玉払出装置」
に相当するものと認められ、
また、
引用例11に記載された発明の
「遊技制御回路60」、「賞品玉払出機構34」及び「裏パネル」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「遊技制御手段を搭載する遊技制御基板」、「賞品玉払出装置」及び「機構板」
に相当するものと認められ、
また、
引用例12に記載された発明の
「制御回路基板」、「制御基板ケース34」及び「賞品球排出装置31」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「遊技制御手段を搭載する遊技制御基板、遊技制御基板」、「カバー部材」及び「賞品玉払出装置」
に相当するものと認められ、
また、
引用例13に記載された発明の
「制御回路基板」、「制御基板ボックス69」及び「景品玉払出装置61」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「遊技制御手段を搭載する遊技制御基板、遊技制御基板」、「カバー部材」及び「賞品玉払出装置」
に相当するものと認められ、
また、
引用例14に記載された発明の
「基盤14」、「ボックス15」、「機枠1」及び「景品玉排出装置22」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「遊技制御手段を搭載する遊技制御基板、遊技制御基板」、「カバー部材」、「外枠」及び「賞品玉払出装置」
に相当するものと認められ、
また、
引用例15に記載された発明の
「賞球排出装置」及び「位置決め孔13a,13b及び位置決め突起48a,48b」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「賞品玉払出装置」及び「位置合わせ部」
に相当するものと認められるから、
前者の内、
「表示状態が変化可能な液晶表示装置を有し、該液晶表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となる液晶表示装置付パチンコ遊技機」という点は、表示装置が液晶のものではない点を除けば、引用例1、4、6,7,9〜13、15に記載された各発明に備わっているものと認められ、かつ、表示装置として液晶を利用する点は単なる設計事項と認められ、
「遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する遊技制御基板」という点は、引用例1〜4,7,8,10〜14に記載された各発明に備わっているものと認められ、
「表示装置を制御する表示制御手段を搭載する基板であって、表示制御手段が表示制御に用いる表示制御用データが格納された表示制御用データ格納手段が着脱自在に設けられる表示制御基板」という点は、表示制御用データ格納手段が着脱自在のものではない点を除けば、引用例7に記載された発明に備わっているものと認められ、かつ、データ格納手段を着脱自在とすることは従来周知であり(必要なら、引用例2第7頁の第8図参照)単なる設計事項と認められ、
「遊技制御基板をカバーするカバー部材」という点は、引用例1〜4,8,10,12〜14に記載された各発明に備わっているものと認められ、
「表示装置付パチンコ遊技機の外枠」という点は、引用例1,2,6,8〜10,14,15に記載された各発明に備わっているものと認められ、
「外枠に対して開閉可能に設けられた前面枠」という点は、引用例1,2,6,8,14,15に記載された各発明に備わっているものと認められ、
「液晶表示装置の表示状態を遊技者に表示するための表示窓が前記液晶表示装置の表示領域よりも大きいサイズで形成され、かつ前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される」という点は、引用例7,9に記載された各発明に備わっているものと認められ、
「前面枠に対して交換可能に取付けられた遊技盤」という点は、引用例2,6,8,10,14,15に記載された各発明に備わっているものと認められ、
「遊技盤の裏面に位置し、賞品玉払出装置が設けられる機構板」という点は、引用例4〜8,10〜15に記載された各発明に備わっているものと認められ、
「表示窓に対応する開口が形成され、当該開口に対して表示装置を臨ませた状態で前記表示装置を取付ける機構板」という点は、表示装置を取付ける部材が中仕切板であって機構板ではないという点を除けば、引用例9に記載された発明に備わっているものと認められ、かつ、中仕切板を機構板に置き換えることは単なる設計事項と認められ、
「機構板には前記遊技制御基板が前記カバー部材によってカバーされた状態で取付けられている」という点は、引用例13に記載された発明に備わっているものと認められ、
「遊技盤および前面枠には、前記遊技盤を前記前面枠に対し位置合わせするための位置合わせ部が形成されている」という点は、引用例5,15に記載された各発明に備わっているものと認められ、
「前面枠に機構板が取付けられている」という点は、引用例1,5,6,8,10,13〜15に記載された各発明に備わっているものと認められるから、
当業者が、引用例1〜引用例15に記載された各発明を総合して、
「表示状態が変化可能な液晶表示装置を有し、該液晶表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となる液晶表示装置付パチンコ遊技機であって、
遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する遊技制御基板と、
前記液晶表示装置を制御する表示制御手段を搭載する基板であって、前記表示制御手段が表示制御に用いる表示制御用データが格納された表示制御用データ格納手段が着脱自在に設けられる表示制御基板と、
前記遊技制御基板をカバーするカバー部材と、
前記液晶表示装置付パチンコ遊技機の外枠と、
当該外枠に対して開閉可能に設けられた前面枠と、
前記液晶表示装置の表示状態を遊技者に表示するための表示窓が前記液晶表示装置の表示領域よりも大きいサイズで形成され、かつ前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成され、前記前面枠に対して交換可能に取付けられた遊技盤と、
前記遊技盤の裏面に位置し、賞品玉払出装置が設けられるとともに前記表示窓に対応する開口が形成され、当該開口に対して前記液晶表示装置を臨ませた状態で前記液晶表示装置を取付ける機構板とを含み、
前記機構板には前記遊技制御基板が前記カバー部材によってカバーされた状態で取付けられており、
前記遊技盤および前記前面枠には、前記遊技盤を前記前面枠に対し位置合わせするための位置合わせ部が形成されており、
前記前面枠に前記機構板が取付けられている、液晶表示装置付パチンコ遊技機」
というところまでは構成し得ても、
前者の特徴となる、
遊技盤が前面枠に対して交換可能に取付けられ、かつ、遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する遊技制御基板が機構板に取付けられている液晶表示装置付パチンコ遊技機において、
遊技盤の裏面に、「前記遊技制御手段が遊技制御に用いる遊技制御用データが格納された遊技制御用データ格納手段を実装する実装基板を収納した収納ケースが取付けられ」ているという構成、
及び、
開口が形成された機構板において、
「液晶表示装置側に形成された取付孔に対応する取付孔が前記開口の左右両側の上下方向に複数形成され、該複数形成された取付孔のうちの1つと前記液晶表示装置側に形成された取付孔とをねじ止めすることによって、前記液晶表示装置の前記開口に対する上下方向の位置を変更調整して固定することが可能」という構成は、
引用例1〜引用例15に記載された各発明のいずれにも備わっておらず、
しかも、前者は、前者の特徴となる構成によって、
特許明細書の段落【0036】に記載された「遊技盤7とともにROM70を他のものに交換することにより、新たな遊技制御が行なわれるように構成されている」
という効果、
及び、
特許明細書の段落【0023】に記載された「これを調整することにより、ゲーム内容を新しくするべく遊技盤を他のゲーム内容に対応する遊技盤に交換する場合において、表示窓が以前のものと位置が上下方向に異なっているような場合であっても対応させることができる」
という効果、
を奏するものと認められるから、
前者は、当業者が引用例1〜引用例15に記載された各発明に基いて容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(3-7)まとめ
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠並びに取消理由及び証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
別掲
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
液晶表示装置付パチンコ遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 表示状態が変化可能な液晶表示装置を有し、該液晶表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となる液晶表示装置付パチンコ遊技機であって、
遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する遊技制御基板と、
前記液晶表示装置を制御する表示制御手段を搭載する基板であって、前記表示制御手段が表示制御に用いる表示制御用データが格納された表示制御用データ格納手段が着脱自在に設けられる表示制御基板と、
前記遊技制御基板をカバーするカバー部材と、
前記液晶表示装置付パチンコ遊技機の外枠と、
当該外枠に対して開閉可能に設けられた前面枠と、
前記液晶表示装置の表示状態を遊技者に表示するための表示窓が前記液晶表示装置の表示領域よりも大きいサイズで形成され、かつ前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される一方で裏面に前記遊技制御手段が遊技制御に用いる遊技制御用データが格納された遊技制御用データ格納手段を実装する実装基板を収納した収納ケースが取付けられ、前記前面枠に対して交換可能に取付けられた遊技盤と、
前記遊技盤の裏面に位置し、賞品玉払出装置が設けられるとともに前記表示窓に対応する開口が形成され、当該開口に対して前記液晶表示装置を臨ませた状態で前記液晶表示装置を取付ける機構板とを含み、
前記機構板には前記液晶表示装置側に形成された取付孔に対応する取付孔が前記開口の左右両側の上下方向に複数形成され、該複数形成された取付孔のうちの1つと前記液晶表示装置側に形成された取付孔とをねじ止めすることによって、前記液晶表示装署の前記開口に対する上下方向の位置を変更調整して固定することが可能に構成されており、
前記機構板には前記遊技制御基板が前記カバー部材によってカバーされた状態で取付けられており、
前記遊技盤および前記前面枠には、前記遊技盤を前記前面枠に対し位置合わせするための位置合わせ部が形成されており、
前記前面枠に前記機構板が取付けられていることを特徴とする、液晶表示装置付パチンコ遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶表示装置付パチンコ遊技機に関する。詳しくは、表示状態が変化可能な液晶表示装置を有し、該液晶表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技価値が付与可能な遊技者にとって有利な状態に制御可能となる液晶表示装置付パチンコ遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の液晶表示装置付パチンコ遊技機において、従来から一般的に知られているものに、たとえば、パチンコ遊技機の前面側を構成している遊技盤の所定箇所に表示窓が形成され、その表示窓に対応する位置となるように液晶表示装置が前記遊技盤に取付けられているものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この種の従来の液晶表示装置付パチンコ遊技機に設けられている液晶表示装置は、近年比較的高価なものが用いられる傾向にある。ところが、従来の液晶表示装置付パチンコ遊技機においては、遊技場に設置されているパチンコ遊技機のイメージチェンジを図るべく前記遊技盤を他の種類のものに取替えた場合には、その遊技盤に前記液晶表示装置が取付けられていたために、その高価な液晶表示装置も遊技盤と共に取替える状態となり、遊技盤の交換に際してコストが高くつくという欠点があった。
【0004】
本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、遊技盤を交換する際のコストを極力抑えることのできる液晶表示装置付パチンコ遊技機を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、表示状態が変化可能な液晶表示装置を有し、該液晶表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様になったことを条件として遊技者にとって有利な状態に制御可能となる液晶表示装置付パチンコ遊技機であって、
遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する遊技制御基板と、
前記液晶表示装置を制御する表示制御手段を搭載する基板であって、前記表示制御手段が表示制御に用いる表示制御用データが格納された表示制御用データ格納手段が着脱自在に設けられる表示制御基板と、
前記遊技制御基板をカバーするカバー部材と、
前記液晶表示装置付パチンコ遊技機の外枠と、
当該外枠に対して開閉可能に設けられた前面枠と、
前記液晶表示装置の表示状態を遊技者に表示するための表示窓が前記液晶表示装置の表示領域よりも大きいサイズで形成され、かつ前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される一方で裏面に前記遊技制御手段が遊技制御に用いる遊技制御用データが格納された遊技制御用データ格納手段を実装する実装基板を収納した収納ケースが取付けられ、前記前面枠に対して交換可能に取付けられた遊技盤と、
前記遊技盤の裏面に位置し、賞品玉払出装置が設けられるとともに前記表示窓に対応する開口が形成され、当該開口に対して前記液晶表示装置を臨ませた状態で前記液晶表示装置を取付ける機構板とを含み、
前記機構板には前記液晶表示装置側に形成された取付孔に対応する取付孔が前記開口の左右両側の上下方向に複数形成され、該複数形成された取付孔のうちの1つと前記液晶表示装置側に形成された取付孔とをねじ止めすることによって、前記液晶表示装置の前記開口に対する上下方向の位置を変更調整して固定することが可能に構成されており、
前記機構板には前記遊技制御基板が前記カバー部材によってカバーされた状態で取付けられており、
前記遊技盤および前記前面枠には、前記遊技盤を前記前面枠に対し位置合わせするための位置合わせ部が形成されており、
前記前面枠に前記機構板が取付けられていることを特徴とする。
【0006】
【作用】
請求項1に記載の本発明によれば、遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する遊技制御基板がカバー部材によってカバーされている。前記液晶表示装置を制御する表示制御手段を搭載する表示制御基板には、前記表示制御手段が表示制御に用いる表示制御用データが格納された表示制御用データ格納手段が着脱自在に設けられる。前記液晶表示装置の表示状態を遊技者に表示するための表示窓が形成され、かつ前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される一方で裏面に前記遊技制御手段が遊技制御に用いる遊技制御用データが格納された遊技制御用データ格納手段を実装する実装基板を収納した収納ケースが取付けられた遊技盤は、前記前面枠に対して交換可能に取付けられる。さらに、遊技盤の裏面に位置し、賞品玉払出装置が設けられるとともに前記表示窓に対応する開口が形成された機構板が、外枠に対して開閉可能に設けられた前面枠に取付けられている。そして、前記液晶表示装置は、前記機構板に形成された開口に臨み、前記表示窓に対応する位置となるように前記機構板に取付けられている。つまり、遊技盤と機構板とがともに前記前面枠に取付けられていることから、たとえ、前面枠の開閉を繰返して前面枠と外枠との位置関係に微妙なずれが生じてきたとしても、前面枠と外枠との間の位置関係とは関係なく、遊技盤と機構板との間の位置関係が一定に保たれる。そして、液晶表示装置は機構板に取付けられていることから、遊技盤と液晶表示装置との位置関係についても、前面枠と外枠との間の位置関係とは関係なく、一定に保たれる。しかも、液晶表示装置は遊技盤に設けられていないために、遊技盤を交換した際に液晶表示装置が遊技機側に残ることになる。また、前記機構板には前記液晶表示装置側に形成された取付孔に対応する取付孔が前記開口の左右両側の上下方向に複数形成され、該複数形成された取付孔のうちの1つと前記液晶表示装置側に形成された取付孔とをねじ止めすることによって、前記液晶表示装置の前記開口に対する上下方向の位置を変更調整して固定することが可能に構成されいる。さらに、前記遊技盤に形成された表示窓は、前記液晶表示装置の表示領域よりも大きく構成されており、表示窓から覗く表示領域の中心が多少表示窓の中心からずれていても、表示窓から表示領域の全体が見渡せる。また、前記遊技盤および前記前面枠には、前記遊技盤を前記前面枠に対し位置合わせするための位置合わせ部が形成されている。
【0007】
【発明の実施例】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0008】
図1は、可変表示装置付遊技機の一例のパチンコ遊技機1を示す全体正面図である。パチンコ遊技機1の前面枠2の右下隅には、回動調整可能な打球操作ハンドル6が設けられており、遊技者がこの打球操作ハンドル6を操作することにより、玉貯留皿3上に貯留されているパチンコ玉を1つずつ遊技盤7前面に形成されている遊技領域8内に打込むことができる。遊技領域8には、複数種類の図柄を可変表示することにより表示状態が変化可能な可変表示装置9が臨んでいる。この可変表示装置9の周囲を囲む状態で飾り部材10が遊技盤7に設けられている。
【0009】
遊技領域8には、始動入賞口16a,16b,16cが設けられており、遊技領域8内に打込まれたパチンコ玉が始動入賞領域16a,16b,16cに入賞すれば、その始動入賞玉が始動入賞玉検出器17a,17b,17cにより検出される。その検出出力に基づいて、可変表示装置9が可変開始された後停止制御され、停止時の表示結果が特定の表示態様(たとえば777)となった場合に、可変入賞球装置11の開閉板12が開成されて遊技者にとって有利な第1の状態となる。この開閉板12は、ソレノイド13が励磁されていない通常の状態では閉成して遊技者にとって不利な第2の状態となっているが、ソレノイド13が励磁されることにより開成して第1の状態となる。
【0010】
第1の状態となった可変入賞球装置11内に入賞したパチンコ玉は、10カウント検出器15により検出される。また、この可変入賞球装置11内の所定箇所には特定入賞領域(Vポケット)が設けられており、その特定入賞領域に入賞したパチンコ玉が特定入賞玉検出器14により検出される。可変表示装置9が特定の表示態様となり大当り状態が発生して可変入賞球装置11が第1の状態となった後、その可変入賞球装置への所定個数(たとえば10個)のパチンコ玉の入賞あるいは所定期間(たとえば30秒間)の経過のうちいずれか早い方の条件が成立することにより可変入賞球装置11が第2の状態となる。第1の状態となっている可変入賞球装置11内に進入したパチンコ玉が特定入賞領域に入賞して特定入賞玉検出器14により検出された場合には、その回の第1の状態が終了するのを待って可変入賞球装置11が再度第1の状態に繰返し継続制御される。その繰返し継続制御の上限回数はたとえば16回に定められている。この可変入賞球装置11が第1の状態となることにより比較的短時間の間に大量のパチンコ玉が入賞可能となり、所定の遊技価値が付与可能な状態となる。そして、入賞玉の発生に基づいて賞品玉が玉貯留皿3内に払出されるのであり、玉貯留皿3が賞品玉により満杯となりその以上貯留できなくなった余剰玉は、下方に設けられている余剰玉貯留皿5内に排出される。
【0011】
可変表示装置9が可変表示している最中に再度パチンコ玉が始動入賞口16a,16b,16cに入賞した場合には、その始動入賞が記憶され、可変表示装置9の可変表示が停止して再度可変表示可能な状態となったときにその始動入賞記憶に基づいて可変表示装置9が再び可変表示される。その始動入賞記憶の上限値はたとえば「4」に定められている。
【0012】
なお、本実施例においては、可変表示装置9は、液晶表示装置を用いて複数種類の図柄を可変表示するものを示すが、その他に、たとえば、CRTやプラズマやLEDやエレクトロルミネセンスやドットマトリックスを用いて可変表示するもの、回転ドラム式の可変表示装置、あるいは、複数のランプや発光ダイオードが走行点灯するもの等、種々のものが含まれる。また、可変入賞球装置11の第2の状態は、打玉が入賞可能であるが入賞困難な状態であってもよい。
【0013】
図2は、パチンコ遊技機1の一部内部構造を示す全体背面図である。遊技盤7の裏面側には機構板18が設けられており、その機構板18には、開口20が形成されている。この開口20に対応する位置に、可変表示装置を構成しているLCDユニット30が設けられる。このLCDユニット30は、取付孔51にビス止めすることにより機構板18の裏面側に固定されている。この状態で、LCDユニット30の表示部88(図5参照)が遊技盤7前面側から視認できる。LCDユニット30はカバーで覆われており、そのカバー内には、マイコンインターフェイス41やLCD制御用マイクロコンピュータ42が実装された基板40がビスにより取付けられている。基板40の図示左側には、コネクタ44が設けられているとともに、制御用データ格納手段の一例のROMカセット45が着脱自在に設けられている。
【0014】
機構板18には、さらに、ゲーム制御用基板26を収納したゲーム制御用基板ボックス25が設けられている。このゲーム制御用基板26は、パチンコ遊技機1の遊技制御を行なうものであり、その図示左側に、コネクタ72,73が設けられている。コネクタ72とコネクタ44とが電気的に接続され、ゲーム制御用基板26と可変表示装置の基板40との間でデータの伝送が可能に構成されている。機構板18の裏面側には、さらに開口21が設けられており、この開口21部分に中継端子基板28が設けられ、その中継端子基板28のコネクタ29とゲーム制御用基板26のコネクタ73とが電気的に接続され、データの送受信ができるように構成されている。この中継端子基板28は、遊技機1の前面側に設けられているランプやLEDやセンサ等とゲーム制御用基板26とを電気的に中継するためのものである。ゲーム制御用基板26には、制御用データ格納手段の一例のROMカセット27が着脱可能に設けられている。このROMカセット27には、パチンコ遊技機1のゲーム制御を行なうための制御用データの一例のプログラムが記憶されており、そのプログラムに従ってゲーム制御用基板26に実装されているチップCPU240(図18参照)が動作し、可変表示装置9や可変入賞球装置11等が制御される。
【0015】
機構板18には、さらに賞品玉払出装置19が設けられており、パチンコ玉の入賞に伴ってこの賞品玉払出装置19が作動して所定個数の賞品玉が玉貯留皿3に払出される。また図中24は打球発射装置であり、操作ハンドル6の操作に従って駆動し、パチンコ玉を1つずつ遊技領域8内に打込むためのものである。
【0016】
図中23は回動レバーであり、この回動レバー23を時計回り方向に回動した状態で遊技盤7を前面枠2の裏面側から取付け、この回動レバー23を反時計回り方向に回動することにより、遊技盤7が前面枠2側に押しつけられた状態で固定される。また22は係止レバーであり、図示矢印に示すように回動可能に構成されており、機構板18を前面枠2の裏面側に押しつけた状態でこの係止レバー22を反時計回り方向に回動することにより、機構板18を前面枠2側に固定することができる。
【0017】
図3は、パチンコ遊技機1を構成する主要部を分解した分解斜視図である。パチンコ遊技機1は、主に、前面枠2と遊技盤7と遊技機枠体の一例の外枠102とから構成されている。前面枠2には、ガラス扉301と前面板3とが開閉自在に設けられている。この前面板3によって開閉される位置には、打球発射レール140が設けられており、打球発射装置24によって弾発されたパチンコ玉がこの打球発射レール140を通って遊技領域8内に打込まれる。前面枠2の下方には、打球操作ハンドル6と余剰玉貯留皿5とが設けられている。前面枠2の裏面側には、遊技盤7と機構板18とを保持するためのミドルプレート107が取付けられている。さらにミドルプレート107の裏面側には突起101a,101bが設けられている。
【0018】
一方、遊技盤7の上下位置には、嵌合孔100a,100bが穿設されており、この嵌合孔100a,100bを前面枠2側の突起101a,101bに嵌合させて遊技盤7を前面枠2に対し位置合わせする。その状態で、前述した回動レバー23を反時計回り方向に回動させることにより、遊技盤7がミドルプレート107側に押しつけられた状態で固定される。この遊技盤7には、ほぼ中央に表示窓の一例の開口300が形成されており、この開口300の周囲に飾り部材10が設けられている。そして、前述したように、この開口300の位置に可変表示装置9の表示部が臨むように構成されており、遊技者がこの開口300から可変表示装置9の表示部を視認することが可能となる。遊技盤7には、さらに開口105とその開口の前面側をカバーする飾り部材106とが設けられている。
【0019】
機構板18には、前記開口300に対応する位置に開口20が形成されており、この開口20にLCDユニット30が位置するようにLCDユニット30が取付けられる。図中121はビス孔(図5参照)であり、後述するように、LCDユニット30の上下方向の取付位置を変更調整できるように構成されている。機構板18には、さらに開口21が設けられており、前述したようにこの開口21に対応する遊技盤7の裏面に中継端子基板28が設けられる。機構板18の左上隅には、玉切れランプ103と賞球ランプ104とが設けられており、組付状態でこの玉切れランプ103と賞球ランプ104とが遊技盤7に形成された開口105内に入り込み、その前面が飾り部材106で覆われた状態となる。
【0020】
遊技盤7が取付けられた前面枠2と機構板18とが外枠102に対し回動自在および取外し可能に設けられ、パチンコ遊技機1が構成される。遊技盤7により、前記可変表示装置の表示状態を遊技者に表示するための表示窓が形成され、遊技機の前面側を構成している前面構成部材が構成されている。なお、本実施例では、機構板18を前面枠2側に設けるようにしたが、外枠102側に設けるようにしてもよい。
【0021】
図4は、パチンコ遊技機の他の例を示す分解斜視図である。このパチンコ遊技機1も、前述と同様に、遊技盤7と前面枠2と機構板18と外枠102とから構成されている。以下、主に図3のパチンコ遊技機との相違点について説明する。このパチンコ遊技機1は、前面枠2の裏面側に取付けられたミドルプレート137に、LCDユニット30の表示部が臨む開口130が設けられており、その開口130に位置するようにLCDユニット30がミドルプレート137の裏面側に取付けられる。そして、ミドルプレート137の前面側に突起131a,131bが設けられており、遊技盤7に穿設された嵌合孔100a,100bがこの突起131a,131bに嵌合するように遊技盤7が前面枠2の前面側から装着される。
【0022】
機構板18には、開口108が形成されており、組付状態でこの開口108に前記LCDユニット30の後部が入り込むように構成されている。なお、図3に示したパチンコ遊技機と同じ機能を有する同じ部品については同一の参照番号を付した。この図4に示したパチンコ遊技機1においては、遊技盤7により、可変表示装置の表示状態を遊技者に表示するための表示窓(遊技盤7の開口300)が形成され、遊技機の前面側を構成している前面構成部材が構成されている。また、前面枠2と外枠102とにより、前記前面構成部材が着脱自在に取付けられた遊技機枠体が構成されている。
【0023】
図5は、LCDユニット30を開口20の位置に取付け固定するための取付構造を示す斜視図である。開口20が形成された部材(機構板18またはミドルプレート137)の裏面側には、複数(図面では3つ)のビス孔121が形成された突出部118が複数個(図面では4個)設けられており、この突出部118がLCDユニット30のLCDカバー板89の左右に形成された長溝119に入り込み、その状態でビス120によりLCDユニット30が取付け固定される。この長溝119が形成されたLCDカバー板89部分にはビス孔が形成されており、そのビス孔と突出部118に形成されている複数のビス孔121の1つを選択してLCDユニット30のビス孔51を位置合わせした状態でビス120をねじ込むことにより、LCDユニット30の上下方向の位置を変更調整して固定することが可能となる。これを調整することにより、ゲーム内容を新しくするべく遊技盤を他のゲーム内容に対応する遊技盤に交換する場合において、表示窓が以前のものと位置が上下方向に異なっているような場合であっても対応させることができる。なお88はLCDカバー板89に設けられLCD32(図6参照)による表示を表示窓から表示させるための表示部である。
【0024】
図6は、LCDユニット30の背面部を示す部分分解斜視図である。LCDユニット30は、LCD32が取付けられたユニットベース31とその裏面側を覆うカバー303とを含む。カバー303の裏面側には、LCDユニット30の表示状態を制御するための基板40が設けられている。この基板40には、LCD制御用マイクロコンピュータ42やマイコンインターフェイス41が実装されている。カバー303の裏面側には嵌合孔50が穿設されている。一方、裏カバー47には前記嵌合孔50に嵌合する嵌合突起49が設けられており、この嵌合突起49を嵌合孔50に嵌合させた状態で裏カバー47が基板40を覆うように取付けられる。この裏カバー47にはROMカセット45を挿入するための開口部48が設けられている。一方、この裏カバー47の組付状態において開口部48に臨む基板40部分には、ゲーム制御用基板26に接続するためのコネクタ44と、ROMカセット45を差込むための差込みコネクタ43とが設けられている。ROMカセット45を開口部48を通してこの差込みコネクタ43に差込むことにより、ROMカセット45内に設けられているROM46と基板40とが電気的に接続された状態となる。このROMカセット45は差込みコネクタ43に挿脱自在であるために、他の種類の表示用データが記憶されたROMカセット45に容易に交換可能である。
【0025】
カバー303内には凹部33が形成されており、この凹部33内にCFLユニット34を挿脱可能に構成されている。このCFLユニット34は、LCD32のためのCFLバックライト35が組付けられており、CFLユニット34を凹部33内に挿入して取付けることにより、ユニットベース31の裏面側から光が照射される状態となり、LCD32の表示が見えるようになる。なお、このCFLユニット34にはコネクタ36が設けられており、このコネクタ36がコネクタ37に挿脱自在に構成されている。CFLユニット34を凹部33に挿入して取付け、コネクタ36と37とを接続した状態で側部カバー38を取付ける。この側部カバー38は、ビス孔51および305が設けられており、ユニットベース31側に形成されているビス孔304と位置合わせした状態でビスをねじ込むことにより、側部カバー38がユニットベース31側に固定される。このように構成することにより、CFLバックライト35が使用に伴って暗くなったとしても、CFLユニット34を容易に取替えることができるために取替え作業が楽になる。
【0026】
また、基板40の下辺中央にはボリウム調整孔39が形成されており、ドライバ等を用いてこのボリウム調整孔39を通してユニット30内の基板(図示せず)に形成されているボリウムを調整することにより、液晶表示の輝度を調整することができる。
【0027】
図7は、遊技盤前面側から見た可変表示装置9を示す正面図である。遊技盤に形成された開口300(図3参照)の周囲には飾り部材10が設けられており、可変表示装置9の表示部88がその飾り部材10により囲まれた状態となる。そして、この表示部88よりも開口300(図3参照)の方が少し大きめに構成されており、その結果、表示部88の周囲のLEDカバー板89の一部が開口300から一部露出する状態となっている。つまり、図示するように、開口の横幅がW2であり高さがH2であるのに対し、可変表示装置9の表示部88の横幅がW1であり高さがH1であり、W2>W1,H2>H1の関係となっている。このように構成することにより、遊技盤の交換にともない、開口部と表示部の位置関係が多少変化したとしても、可変表示装置9の表示部88の全体が遊技盤前面側から視認可能となり、前記ビス孔121のピッチを細かく多数設けなくても対応可能となる。なお、可変表示装置9をCRTにより構成した場合には、CRTの表示部の周囲が不鮮明な表示となる関係上、その不鮮明部分を隠すべく、W1>W2,H1>H2の関係にして不鮮明な表示部分が遊技盤により隠れるように構成するのが望ましい。
【0028】
図8は、ゲーム制御用基板ボックス25の分解斜視図である。ゲーム制御用基板ボックス25は、収納ボックス本体52、透明板64および透明カバー体74を備えている。収納ボックス本体52は、導電性を有するようにするために、たとえばポリプロピレンにカーボンを混ぜた合成樹脂で形成されている。この樹脂の色は黒色である。なお、導電性を有する金属板で構成してもよい。また、透明板64および透明カバー体74は、ポリカーボネート等で透明に形成されている。
【0029】
収納ボックス本体52の底板53の四隅には、取付ボス56が設けられている。また、透明板64の四隅には嵌合部65が設けられている。嵌合部65を取付ボス56に嵌め込むことにより、透明板64が収納ボックス本体52に取付けられる。CPU・RAMを内蔵したワンチップマイコン69やROM70を内蔵したROMカセット27等が設けられたゲーム制御用基板26の四隅には、取付孔67が設けられている。ビス68をこの取付孔67,嵌合部65を介して取付ボス56にねじ込むことにより、ゲーム制御用基板26を収納ボックス本体52に固定する。収納ボックス本体52の底板53には、開口部54,55が設けられているので、ゲーム制御用基板26の裏面の配線パターンを、この開口部54,55から透明板64を介して視認することができる。
【0030】
収納ボックス本体52の側壁58には、係合孔59が設けられており、透明カバー体74に設けられた係止片75がその係合孔59に挿入される。そして、収納ボックス本体52に設けられたビス孔60と係止片75に設けられたビス孔76とにビス61をねじ込むことにより、透明カバー体74を収納ボックス本体52に固定する。
【0031】
なお、透明カバー体74の側面板79がゲーム制御用基板26に設けられたコネクタ72,73より内側になるように構成しているので、これらコネクタ72,73に対するコネクタの接続取外し作業は、透明カバー体74を取外さなくてもすることができる。また、透明カバー体74と収納ボックス本体52とにわたって封印シール80が貼られている。さらに、透明カバー体74には、切欠き78が設けられており、透明カバー体74の組付状態で、この切欠き78を通してROMカセット27(70)をゲーム制御用基板26に対し着脱自在となるように構成されている。その結果、ROMカセット27(70)を他の種類のものに容易に取替えることができ、他の種類の遊技制御用プログラムが記憶されたROMカセット27(70)に取替えることにより遊技制御を容易に変更することが可能となる。なお、このROMカセット27(70)とゲーム制御用基板26あるいは収納ボックス本体52との間に封印シール71が貼着される。封印シール80,71を貼着することにより、遊技場側の人間が不正に遊技内容を変更すべくゲーム制御用基板26の変換あるいは改造、またはROMカセット27(70)の交換を不正に行なった場合には、封印シールが破られるのでその行為があったことを確認することができる。
【0032】
透明カバー体74と収納ボックス本体52には、それぞれ、多数の放熱孔77,63が設けられている。この放熱孔77,63によってゲーム制御用基板26上に設けられた電子装置からの熱を外部に逃がす。なお、放熱孔77,63は、透明カバー体74,収納ボックス本体52の全体に形成されており、図8ではそれが省略されている。機構板18には、基板収納ボックス取付板81が固定されており、その基板収納ボックス取付板81には起立壁83が設けられている。この基板収納ボックス取付板81は、ポリプロピレンにカーボンを混ぜた合成樹脂または導電性を有する金属板等で構成されている。基板収納ボックス取付板81には、1対の取付レール82が設けられている。また、収納ボックス本体52の底板53には1対の摺動部62(1つは図面上省略されている)が設けられており、収納ボックス本体52の側壁58を基板収納ボックス取付板81の起立壁83と当接させながら、収納ボックス本体52を図示右方向へスライドさせると、案内レール82と摺動部62とが噛み合うようになっている。
【0033】
ゲーム制御用基板ボックス25を基板収納ボックス取付板81に取付ける場合には、側壁58を起立壁83に当接させながらゲーム制御用基板ボックス25を右方向へスライドさせる。次に、押圧部84を押し下げることにより係止片85を押し下げ、その状態でゲーム制御用基板ボックス25を右方向にスライドさせる。そして、係合片85を係合孔57に係合させることにより、ゲーム制御用基板ボックス25を基板収納ボックス取付板81に固定する。
【0034】
また、ゲーム制御用基板ボックス25を取外す場合は、押圧部84を図示下方へ押し下げることにより、係合片85と係合孔57との係合を解除し、ゲーム制御用基板ボックス25を左側にスライドさせれば、ゲーム制御用基板ボックスを簡単に取外すことができる。また、基板収納ボックス取付板81には、開口部86,87が設けられている。ゲーム制御用基板ボックス25と機構板18との間にパチンコ玉が溢れ落ちて入り込んだ場合には、ゲーム制御用基板ボックス25を取外せばそのパチンコ玉を開口部86,87から取出すことができる。
【0035】
ゲーム制御用基板26と基板40とにより、前記制御用データ格納手段に格納されている制御用データに従って遊技に関する制御を行なう制御手段が構成されている。
【0036】
図9は、他の例のパチンコ遊技機1の一部内部構造を示す全体背面図である。図2に示したパチンコ遊技機1と同じ機能を有する同じ部品に対しては同じ参照番号を付し、ここでは、図2に示したパチンコ遊技機1との相違点について主に説明する。図2に示したパチンコ遊技機1の場合には、制御用データ格納手段の一例のROMカセット27がゲーム制御用基板26に着脱自在に設けられていたが、この図9のパチンコ遊技機1の場合には、遊技盤7の裏面側に制御用データ格納手段の一例のROM70が固定されて設けられている。そして、遊技盤7とともにROM70を他のものに交換することにより、新たな遊技制御が行なわれるように構成されている。このROM70は基板90に実装され、シリコン91により基板90に固められた状態で固定的に設けられている。そして、ROM70が設けられた基板90を収納するROMケース92が遊技盤7の裏面側に取外し不能な状態で固定的に設けられている。この基板90と中継端子基板28とが配線ケーブル93により接続されており、基板90とゲーム制御用基板26とが、中継端子基板28のコネクタ94,コネクタ95を介して電気的に接続されている。そして、ROM70に記憶されている制御用のプログラムに従ってゲーム制御用基板26が動作してパチンコ遊技機1がゲーム制御される。
【0037】
図10は、さらに他の例のパチンコ遊技機1の一部内部構造を示す全体背面図である。図2に示したパチンコ遊技機1と同じ機能を有する同じ部品については同じ参照番号を付し、ここでは、図2に示したパチンコ遊技機1との相違点について主に説明する。このパチンコ遊技機1に設けられている賞品玉払出装置19は、たとえばモータ等の駆動力によりパチンコ玉を1つずつ払い出すことが可能なものであり、その払出用モータを制御したり、入賞玉処理を制御するための賞球払出制御基板109が機構板18に設けられている。そしてこの賞球払出制御基板109のコネクタ110とゲーム制御用基板26のコネクタ111とが電気的に接続されており、ゲーム制御用基板26と賞球払出制御基板109との間でデータの送受信が可能となるように構成されている。この図10に示すパチンコ遊技機1には、表示用データを専用に記憶しているROMカセットは設けられておらず、ゲーム制御用基板26に設けられている制御用データ格納手段の一例のROMカセット112によりその表示用データ専用のROMカセットが兼用構成されている。このROMカセット112の構成が図11に示されている。
【0038】
図11は、ROMカセット112の構成を示す説明図であり、(a)は下方から見た図、(b)は正面から見た図である。ROMカセット112内には、基板113が内蔵されており、この基板113には、賞球データを記憶する賞球データ記憶部115と、ゲーム制御用データを記憶するゲーム制御用データ記憶部116と、可変表示装置9による表示データ(図柄データ)を記憶する表示データ記憶部117とが形成されている。賞球データとは、どこの入賞口にパチンコ玉が入賞した場合には何個賞品玉を払出すかというデータであり、ゲーム制御用データとは、可変表示装置9や可変入賞球装置11を制御してゲームを制御するための制御用のプログラムであり、表示データとは、可変表示装置9により表示される図柄に関するデータである。この基板113には、端子114が形成されており、この端子114によりゲーム制御用基板26と電気的に接続される。そして、このROMカセットの賞球データ記憶部115に記憶されている賞球データに基づいて賞球払出制御基板119が動作し、その賞球払出制御基板119の制御動作に従って賞品玉払出装置19が動作し、賞球データ記憶部115の記憶データに従った個数の賞品玉が払出される。
【0039】
図12は、遊技機の一例のスロットマシン150を示す全体正面図である。図13は、スロットマシン150の一部内部構造を示す斜視図である。スロットマシン150の機枠151には前面枠152が開閉自在で取外し自在に設けられており、その前面枠152の上方部分の前面の所定箇所にはカラー印刷された表示パネル154が着脱自在に設けられている。そしてこの表示パネル154の裏面側に位置するように液晶またはプラズマ等を使用した画像表示装置からなる可変表示装置181が機枠151に取付られている。この可変表示装置181はCRTで構成してもよい。また、小型の画像表示装置を複数個組合せて可変表示装置181を構成してもよい。この表示パネル154により、可変表示装置の表示状態を遊技者に表示するための表示窓が構成されている。この表示パネル154には、可変表示装置181によって可変表示される図柄等の識別情報を遊技者に視認させるための可変表示部155,156,157が設けられている。この左可変表示部155,中可変表示部156,右可変表示部157は、それぞれに上下3段に識別情報を可変表示可能な大きさに構成されている。前面枠152は、通常時は施錠機構176により閉成状態で施錠されており、遊技場の係員が所定の錠をドア開閉用錠孔173に挿入して操作することにより解鍵されて前面枠152が開成可能となる。
【0040】
スロットマシン152は、遊技者が遊技を行なう場合には、コインをコイン投入口159から投入する。このコインの投入枚数によって賭数を設定することが可能であり、1枚賭,2枚賭,3枚賭の3種類の賭数が設定可能となっている。1枚賭の場合には、当りライン表示ランプ174の▲1▼のみが点灯し、中段横1列のみが当りラインとなる。可変表示装置181の可変停止時の表示結果が、この当りライン上において特定の識別情報の組合せ(たとえば777)が揃えば特定遊技状態が発生し、コインの払出やボーナスゲーム或いはビッグボーナスゲーム等が発生する所定の遊技価値が付与可能な状態となる。2枚賭の場合には、当りライン表示ランプ174の内▲1▼と▲2▼のランプが点灯し、上段,中段,下段の横方向3本の当りラインが有効となる。3枚賭の場合には、当りライン表示ランプ174のすべてが点灯し、横方向3本の当りラインと斜め対角線上に2本の当りラインとの合計5本の当りラインが有効となる。
【0041】
コインが投入された後遊技者がスタートレバー160を押圧操作すれば、可変表示装置181が可変開始されて各可変表示部155,156,157により複数種類の識別情報が可変表示される。次に、遊技者が各ストップボタン163,164,165を押圧操作すれば、それに対応する可変表示部155,156,157の可変表示が停止されるように構成されている。なお、遊技者がいずれのストップボタン163〜165をも押圧操作しなければ、所定の時間の経過により可変表示装置181が自動的に停止制御される。この可変表示装置181が可変開始されてから停止する1回の可変停止により1ゲームが終了し、可変停止時の表示結果が特定の表示態様になれば前述したように所定の遊技価値が付与可能となる。
【0042】
本実施例におけるスロットマシン150は、いわゆるクレジットゲームもできるように構成されている。クレジットゲームとは、予め大量のコインを投入して有価価値として蓄積しておき、或いは賞品として付与されるコインを有価価値として蓄積しておき、いちいちコインを投入することなくその予め蓄積されている有価価値を使用して遊技を行なうゲームである。遊技者がゲーム切換ボタン162を1回押圧操作することにより通常のゲームからクレジットゲームに切換えることができ、さらにこのゲーム切換ボタン162を再度押圧操作すればクレジットゲームから通常のゲームに切換えることができる。クレジットゲームの場合には、合計コイン50枚分の価値を予め記憶させておくことができ、クレジット操作ボタン161を1回押圧操作することにより前述した1枚賭の遊技となり、クレジット操作ボタン161を2回押圧することにより前述した2枚賭の遊技となり、クレジット操作ボタン161を3回押圧することにより前述した3枚賭の遊技となる。なお、それぞれの賭数に対応してクレジット操作ボタンを設け、1枚賭用クレジット操作ボタンを押圧することにより1枚賭のゲームとなり、2枚賭用クレジット操作ボタンを押圧することにより2枚賭のゲームとなり、3枚賭用クレジット操作ボタンを押圧することにより3枚賭の遊技ができるように構成してもよい。
【0043】
図中175は遊技に関するメッセージを遊技者に表示するためのランプである。ビッグボーナスゲームが発生してそのビッグボーナスゲームが終了してゲームオーバーとなった場合でかつゲームオーバー有りのモードになっている場合には、このスロットマシン150はリセット操作を行なわない限り再ゲームの続行可能な状態にはならない。そのリセット操作はリセット用鍵孔171に所定のキーを挿入して回転操作することにより行なわれる。このリセット用鍵孔171の回転操作がリセットスイッチ172により検出され、その検出出力に基づいてスロットマシン150がリセットされて再び遊技が可能となる。図中28はスピーカであり、入賞時やビッグボーナスゲーム時、ボーナスゲーム時における効果音の発生や異常時における警報音の発生等が行なわれる。また153,158は、カラー印刷された装飾パネルである。169はコインが払出されて貯留されるコイン貯留皿である。
【0044】
機枠151内には、ICカード等に記憶された制御用データや表示用データを読取るためのカードリーダ179,電源ボックス178,コイン払出ホッパー177,ゲーム制御用基板を収納しているゲーム制御用基板ボックス180等が設けられている。カードリーダ179は、制御用プログラム等の遊技に関する所定の制御用データを記憶しているICカード等からなる制御用データ格納手段が挿入され、その制御用データ格納手段に格納されている制御用データを読取る。そして読取った制御用データに従って制御用基板に設けられているマイクロコンピュータが動作し、スロットマシン150が遊技制御される。この制御用基板ボックス180内に設けられている制御用基板により、前記制御用データ格納手段に格納されている制御用データに従って遊技に関する制御を行なう制御手段が構成されている。
【0045】
なお、本実施例ではパチンコ機,スロットマシンともに前面枠に対し遊技盤あるいは表示パネルを交換するようにしたが、遊技盤や表示パネルは前面枠から取外さないように構成し、交換の際には前面枠ごと交換するようにしてもよい。
【0046】
図14は、遊技機用セキュリティシステムを示す全体システムブロック図である。図15ないし図17は、図14に示した全体システムブロック図の各ブロックを拡大した拡大図である。次に、図14ないし図17に基づいて、遊技機制御用システムを説明する。
【0047】
本発明に係るマイクロコンピュータのチップは半導体チップメーカ201により製造される。半導体チップメーカ201は、マイクロコンピュータにおけるMPU(Micro Processing Unit),RAM(Random Access Memory),入出力ポート(I/Oポート)をワンチップ化した半導体チップを製造する。この半導体チップメーカ201により製造されるチップには、後に詳しく説明するが、量産用チップ223aと開発用チップ223bとがある。量産用チップ223aとは、この量産用チップ223aに接続されたROMに記憶されているプログラムが後述する第三者試験機関211による試験に合格した適正なものであるか否かを判定する判定機能を有するものである。開発用チップ223bは、前述した判定機能を有しないチップであり、判定機能を有しない点を除いては量産用チップ223aと同じものである。
【0048】
半導体チップメーカ201からチップ流通会社202に入荷されたチップのうち量産用チップ223aは量産用チップ流通部門202aによって流通されチップ流通管理機関203に搬入される。一方、開発用チップ223bの方は、チップ流通会社202の開発用チップ流通部門202bによって流通されてチップ流通管理機関203に搬入される。なおこのチップ流通会社202は、完全な民営の会社でもよく、また国が出資して作った公共の企業団体であってもよい。チップ流通管理機関203は、チップが適正に流通しているか否かを管理して所定の遊技機メーカ等にチップの流通を斡旋するための機関である。このチップ流通管理機関203を省いてチップ流通会社202から遊技機メーカーに直接チップを搬入してもよい。
【0049】
チップ流通管理機関203に搬入された量産用チップ223aと開発用チップ223bとは、それぞれ遊技機メーカ204の量産部門206と開発部門205とに搬入される。遊技機メーカ204の開発部門205では、図示207に示すように搬入された開発用チップ223bを用いてプログラムを開発し、製品開発を行なう。そして開発部門205は開発した開発プログラムが記憶された申請マスターROM210aを、図14(A),図15,16に示されるように、チップ流通会社202のセキュリティ管理部門202cに、セキュリティコード打込を依頼する。セキュリティ管理部門202cは、所定のセキュリティコードをこのROM210aに書込み、図14(B)に示されるように遊技機メーカー204の開発部門205に返還する。開発部門205は、返送された申請マスタROM210aを量産用チップ223aに実装し、さらにこれらを搭載して申請用遊技機を作成するとともに、申請用の書類を作成し、それら申請マスターROM10aが搭載された複数台の申請用遊技機・作成書類209等からなる申請用提出物208を提出して図14(C),図17に示される様に第三者試験機関211に試験を申請する。
【0050】
第三者試験機関211は、たとえば警察等の公的な監督機関の依託機関等で構成されている。この第三者試験機関211には、試験業務部門212と鑑定業務部門213とがあり、試験業務部門212に前記試験用提出物208が搬入され、図示214に示すようにその試験申請を受付ける。試験業務部門212では、その受付けた試験用提出物208を図示215に示すように試験し、図示216で示すようにその試験結果の合否の判定を行なうとともに図14(D)に示す様に遊技機メーカー204に遊技機を返還する。ただし1台はそのまま第三者試験機関211に保管され、また申請マスターROM210aは遊技機から取外され、図14(E)に示す様にチップ流通管理機関203に引渡される。そして不合格と判定された場合には試験業務部門212は図示217に示すようにチップ流通管理機関203にその引渡したROM210aの廃棄を依頼する。チップ流通管理機関203は、このROM210aを、外部に流出することがない様処分する。また、合格と判定された場合には、図示218に示すようにチップ流通管理機関203に対し、遊技機メーカー204の謄本交付申請書の提出および引渡したROM210aの遊技機メーカー204への返還を依頼する。これを受けて、チップ流通管理機関203では、図14(F),図15に示すようにROM210aを遊技機メーカー204に返還するとともに謄本交付申請書の提出依頼があったことを遊技機メーカーに連絡する。連絡を受けた遊技機メーカー204は図14(G),図17に示すように謄本交付申請書およびROM210aを第三者試験機関211に提出する。そして、図14(H),図17に示す様に第三者試験機関211から遊技機メーカー204に謄本が交付される。なお、第三者試験機関211に保管される遊技機の申請マスターROM210aは、量産用マスターROM210bとして鑑定業務に用いられる。
【0051】
一方、各都道府県の警察等で構成された管轄監督機関225も申請用遊技機について検定を行い、第三者試験機関211により合格と判断されかつ管轄監督機関225により適正と判断された場合には遊技場への遊技機の設置が認められる。この第三者試験機関211と管轄監督機関225とにより、後述する開発製造会社の開発した制御用データが一定の基準に合格するか否かを試験する第三者機関が構成されている。前記セキュリティコードとは、第三者機関により合格と判断されて市場に出回った遊技機に搭載されたROMに記憶されているプログラムが前記第三者機関の試験に合格した適正なものであるか否かを判定するために用いられるセキュリティ情報である。
【0052】
このセキュリティコードは、例えばプログラムデータを所定の演算式に従って演算した演算結果の値である。この場合において、プログラムデータすべてをセキュリティコード作成の基準としてもよいし、プログラムデータのうち、特に重要な部分(例えば大当り確率や可変入賞球装置の開放時間などのデータ部分)をセキュリテイーコード作成の基準としてもよい。
【0053】
返還された申請用マスタROM210aのいくつかは、量産用マスタROM210bとして、遊技機メーカ204の量産部門206に搬入される。量産部門206は量産用マスターROM210bに記憶されている記憶情報を図示219に示すようにコピーする。量産用マスターROM210bの記憶情報がコピーされたROM210cが基板26に実装される。さらに、チップ流通管理機関203から搬入されてきた量産用チップを図示220に示すように基板26に実装する。
【0054】
基板26にチップ69とROM70とを実装した状態で、後述するように電源を投入する毎に、実装ROM70の記憶情報に含まれている前記セキュリティコードに基づいて実装ROM70に記憶されているプログラムが第三者機関の試験に合格した適正なものであるか否かの判定が行なわれる。一旦ROMを実装した後そのROMに記憶されているプログラムを改ざんしたり、実装ROM70を不正に作られたプログラムが記憶されたROMに交換したりした場合には、後述するROMに記憶されているセキュリティコードとROMに記憶されているプログラムとが食違って整合性を失う。そのために、プログラムが不正に改造されたことを判定することが可能となる。
【0055】
このプログラムおよびセキュリティコードのROMへのコピーおよび基板への実装作業を遊技機メーカ204に行なわせる代わりに、量産用マスターROM210bをチップ流通会社202に搬入してチップ流通会社202でROMコピーとROMの基板への実装作業を行ない、その後基板を遊技機メーカ204に搬入するようにしてもよい。この遊技機メーカ204により、遊技機制御用の制御手段を動作させるための制御用データを開発する開発製造会社が構成されている。なおこの開発製造会社は、遊技機メーカに限らず、その遊技機メーカの下請けであるプログラム開発製造会社で構成してもよい。
【0056】
前述したように、量産用チップ223aは、接続されたROMに記憶されているプログラムを改造等して最初のプログラムと異なったものにした場合にはプログラムが不正に改造された旨の判定を行なってマイクロコンピュータが通常の状態では動作しないようにする機能を有している。そのため量産用チップ223aを用いて前述した開発部門205による開発を行なった場合には、ROMに記憶されているプログラムのデバグ等を行なってプログラムを変更する度に不適正である旨の判定が行なわれてマイクロコンピュータが正常に動作しなくなる不都合が生じる。しかし、前述したように開発用チップ223bは前記セキュリティチェック機能を有しない。したがって、開発用チップ223bを用いて前記デバグ等を行なえばマイクロコンピュータが通常状態で動作し、プログラム開発に好都合となる。また、量産用チップ223aのパッケージをたとえばプラスチックとし、開発用チップ223bのパッケージをたとえばセラミックで構成し、チップの外観から量産用チップ223aと開発用チップ223bとの区別ができるようにしている。
【0057】
チップとROMが実装された基板が組付けられた遊技機1は、遊技場224に搬入される。遊技場224では、搬入されてきた遊技機1を複数台設置して遊技者による遊技が可能な状態にする。
【0058】
管轄監督機関225は、遊技場224に設置された遊技機1を抜打ち的に検査して図示226で示すように動作がおかしいと思われる遊技機のROMの照合処理を行なう。そしてROMの照合を行なったにもかかわらず適否を決めがたいものについて、第三者試験機関211の鑑定業務部門213に鑑定依頼を行なう。たとえば、実装チップ69と実装ROM70との両者を不正に作られた別のものに取替えた場合には、前述したセキュリティチェックが行われることなく改造プログラムに従って遊技機が動作することになるのであり、そのような場合に鑑定業務部門213に鑑定依頼を行なうのである。
【0059】
鑑定業務部門213では、鑑定依頼された実装チップ69と実装ROM70とが搭載された基板26を検査して図示233で示すように遊技機検証・照合を行なう。この遊技機検証・照合233は、基板26に実装されたROM70を取去ってその代わりに適正なプログラムが記憶されている量産用マスターROM210bを実装して実装チップ69が正常に動作するか否かの検証・照合をすることにより行なう。その結果、図示2に示すように鑑定作業・書類の作成を行ない、管轄監督機関225に鑑定結果を報告する。前述した申請マスタROM210a,量産用マスタROM210b,実装ROM70はたとえばEPROMで構成されている。なお、表示用データを記憶しているROMカセット45のROMとLCD制御用マイクロコンピュータ42とを図14ないし図17に示したセキュリティーシステムの対象としてもよい。
【0060】
図18は、量産用チップが基板に実装された状態の実装チップおよびそれに接続される各種装置や回路を示すブロック図である。
【0061】
この実装チップ69は、制御動作を所定の手順で実行することのできる中央処理装置すなわちCPU(Central Processing Unit)240と、必要なデータの書込みおよび呼出しができるRAM241と、入力信号を受けてCPU240に入力データを与えるとともにCPU240からの出力データを受けて外部に出力するI/Oポート244等がワンチップ化されて構成されている。実装チップ69に設けられているクロック発生回路246には、外部に設けられた水晶発振子245からの水晶振動信号が入力される。この水晶発振子245からの水晶振動信号は動作クロックの2倍の振動数のものである。なお、水晶発振子245に変えてセラミックを発振子としたセラミック発振子による振動信号をクロック発生回路246に入力してもよい。
【0062】
クロック発生回路246からのクロック信号が入力されたプログラマブルクロック分周回路247は、入力されたクロック信号を分周して所定のクロック信号をサウンドジェネレータ248や可変表示装置表示駆動用IC249に出力する。このサウンドジェネレータ248は遊技機に設けられたスピーカ4,170(図1,12参照)に音発生用の制御信号を出力するものである。また可変表示装置表示駆動用IC249は遊技機に設けられた可変表示装置9,181(図1,13参照)を制御するためのものであり、CPU,RAM,ROM,I/Oポートがワンチップ化されたもので構成されている。なお、この可変表示装置表示駆動用IC249は図示一点鎖線で示すようにプログラマブル割込み要求タイマ250,251に接続させた状態で設けてもよく、また、可変表示装置表示駆動用IC249を設けることなく可変表示装置90を直接I/Oポート244からの出力信号により制御するようにしてもよい。
【0063】
プログラマブル割込要求タイマ0(250),1(251)は、16bitのプログラマブルカウンタタイマで構成されており、フリー・ランニング・カウンタ,コンペア・レジスタ(2組)を内蔵している。このプログラマブル割込要求タイマ0(250),1(251)は、主要機能として、インターバル・タイマ機能,イベント・カウント機能,ワンショット出力機能,PWM(パルス幅変調)出力機能を有するばかりでなく、パルス幅測定機能と時間差測定機能とを有する。
【0064】
パルス幅測定機能とは、たとえば遊技機に設けられた始動入賞玉検出器17a,17b,17cや10カウント検出器15(図1参照)の検出信号の波形長さを測定する機能である。時間差測定機能とは、前述した各種のスイッチからの検出信号があった後次回の検出信号があるまでの時間を測定する機能である。このパルス幅測定機能と時間差測定機能とは、プログラマブル割込要求タイマ0(250),1(251)のカウンタのクロックソースを外部入力に選択した場合に達成可能となる。
【0065】
カウンタのクロックソースとしては、クロックを選択してリフレッシュカウンタとして利用することもでき、また、他方のプログラマブル割込要求タイマからの出力をクロックソースに選択して32bitのカウンタとして使用することもできる。これらのクロックソースを選択する方法としては、プログラム内部で選択するやり方を採用する。つまり、ある番地にレジスタがあり、ここに所定の数字を書込み、その書込まれた数字の種類によってクロックソースを選択するようにする。
【0066】
このプログラマブル割込要求タイマ0(250),1(251)は、カウンタ出力およびコンペア出力により割込みの設定が可能であり、また、割込みを、ユーザリセット,マスカブル割込み,ノンマスカブル割込みのいずれかの例外処理にルーティング設定できる。さらに、プリスケーラの働きにより、タイマのクロック単位時間を任意に設定できるとともに、コンペア・レジスタ(2組)の値を任意に設定できる。このプログラマブル割込要求タイマ0(250),1(251)からの出力信号がリセット/割込みコントローラ252に入力される。
【0067】
このリセット/割込みコントローラ252は、システムリセット機能とユーザリセット機能とを有する。システムリセットとは、I/Oポート244を含む実装チップ69全体を初期化して電源立上げ状態からのリスタートを行なうことである。一方ユーザリセットとは、CPU240のみをリセットして実装チップ69のウォームリスタートを行なうことである。このユーザリセットは、たとえば2msec毎に1回行なわれて割込み処理が可能となる。このリセット/割込みコントローラ252には、割込み要求信号発生回路254から、システムリセット信号、ウォームリスタートを行なうためのユーザリセット信号,ノンマスカブル割込み要求信号,マスカブル割込み要求信号が入力される。リセット/割込みコントローラ252から割込み要求信号発生回路254に対してはシステムリセット出力信号が出力される。
【0068】
このリセット/割込みコントローラ252に入力されるシステムリセット信号は、ロウアクティブでレベル入力となっている。つまり、入力される信号がハイレベルからロウレベルに切替わったときにリセットされるようになっている。リセット/割込みコントローラ252に入力されるユーザリセット信号も同様にロウアクティブでレベル入力となっている。なお、この割込み要求信号発生回路254は設けない場合もある。
【0069】
実装チップ69にはアドレス・デコード回路257とデータ出力時間調整回路258とが設けられている。アドレス・デコード回路257には、外部I/O67と外部ROM70とが接続されている。この実装チップ69と外部ROM70によってマイクロコンピュータが構成される。このマイクロコンピュータは、実装チップ69と外部ROM70と、さらにはサウンドジェネレータ248を含めてワンチップ化しても良い。アドレス・デコード回路257は、外部入出力マップエリアと外部ROMエリアとをメモリ(物理アドレス)上の空間へ設定するアドレス・デコード(チップセレクト信号生成)機能を有している。
【0070】
外部入出力マップエリアは外部入出力マップエリア・サイズを256B〜2KBまで設定できるとともに、8分割したエリア毎にチップセレクト信号(6本)を割当てることができる。また、外部ROMエリアは、外部ROM70のチップセレクト信号を生成する。
【0071】
データ出力時間調整回路258は、低速の入出力機器とのインターフェイスを行なうために、マシンサイクルを延ばすウエイト機能を提供する。設定により、最大4マシンサイクル分のウエイト・ステートが可能となる。このアドレス・デコード回路257からの出力信号はI/Oポート244にも入力され、出力されたアドレスに応じてI/Oポート244のbitを指定して入出力ポートを特定できるように構成されている。
【0072】
I/Oポート244は、8bit(ポートA用)および4bit(ポートB用)の周辺機器インターフェイスポート(PIP)を、各1ポート有する。これらのポート端子は、汎用入出力ポート機能のほかに、外部入出力のチップセレクト端子およびハンドシェイク端子(1ポート分)とを兼ねている。図示しないがたとえば、a,b,cの3つのモードを有し、その3つのモードのいずれを選択するかの選択命令が外部ROM70からCPU240を介してI/Oポート244に与えられる。そして、cのモードが選択された場合には、bit単位で入出力設定のできる8bitの汎用入出力ポートと6bitのチップセレクト機能が提供される。ハンドシェイク機能を持たせたい場合にはaまたはbのモードを選択する。すると、Byte単位で入出力設定のできる8bit汎用入出力ポートが提供される。ただしポートA用のハンドシェイク用端子として2端子(P8,P9)が設定され、このハンドシェイク端子P8,P9は、タイミング信号とリード,ライト信号が入出力される。このハンドシェイク用端子は割込み設定が可能である。さらに、ハンドシェイク用端子の割込みをマスカブル割込みの例外処理にルーティング設定できる。また、モードaを選択した場合には、P10〜P13の端子がチップセレクト信号ポートとなり、モードbを選択した場合には、P10〜P13の端子はポートBのためのハンドシェイク機能なしのPIPとなる。
【0073】
このI/Oポート44に対し遊技機の各種駆動回路255と各種スイッチ回路256とが接続されている。そして、I/Oポート244を介して各種スイッチ回路256からの信号がCPU240に与えられ、I/Oポート244を介してCPU240からの制御信号が各種駆動回路255に与えられる。
【0074】
実装チップ69に設けられたウォッチドッグタイマ260は、ノイズや電源電圧の低下等の原因による誤動作(暴走)を検出して正常な状態に戻す機能を提供するものである。このウォッチドッグタイマ260からの信号がシステムチェック回路261とリセット/割込みコントローラ252とに与えられる。このウォッチドッグタイマ260は、タイマのリセットタイミングが最大許容リセット・インターバル・タイム以上になったときにウォッチ・ドッグ・タイマ信号が出力されるように構成されている。この最大許容リセット・インターバル・タイムは遊技機メーカ4が所望の時間に設定することができる。さらにこのウォッチドッグタイマ260は、8bitプリスケーラの働きにより、タイマのクロック単位時間が設定できる。このウォッチドッグタイマ信号の出力を、ユーザリセット,マスカブル割込み,ノンマスカブル割込みのいずれかの例外処理にルーティング設定できる。なおシステムチェック回路261は設けない場合もある。
【0075】
実装チップ69に設けられた外部バスインターフェイス243にはアドレスバス端子(16端子)とデータバス端子(8端子)とが接続されており、アドレスバス信号とデータバス信号とがそれぞれ出力される。また外部バスインターフェイス243からは、データバスがリードサイクルであることを示す信号,データバスがライトサイクルであることを示す信号,メモリ空間へのアクセスであることを示す信号,オペコードフェッチサイクル実行中であることを示す信号が出力される。これらの出力信号は、プログラム開発の際にワンチップマイクロコンピュータICE用アダプタボード259に出力される。このワンチップマイクロコンピュータICE用アダプタボード259には、セキュリティチェック回路262からモニタ装置260への出力端子を除くこの実装チップ69の入出力端子の全てが接続される。また、アドレスバス端子からのアドレスバス信号とデータバス端子からのデータバス信号とはそれぞれ外部I/Oポート267,外部ROM70にも出力される。また、データバス端子からのデータバス信号を可変表示装置表示駆動用IC249のI/Oポートおよびデータバスに入力して可変表示装置表示駆動用ICを動作させるようにしてもよい。この場合に可変表示装置表示駆動用ICに入力される信号の内容としては、たとえば遊技機が大当たりになるようにするための命令信号が考えられる。一方、この可変表示装置表示駆動用IC249に入力する命令信号としては、前記I/Oポート244からの出力信号を命令信号として入力してもよい。
【0076】
図中269は大容量のコンデンサであり、RAM241の電源をバックアップするためのものである。なおこのコンデンサ269を設けない場合もある。このRAM241は、セキュリティチェック回路262からのバンク切替え信号によりバンク切替えが可能に構成されている。このことを図19に基づいて説明する。
【0077】
図19は、メモリマップを示す説明図である。図19に示すように、アドレス0000から7FFFまでが外部ROM70に割振られたアドレスであり、8000から81FFまでがRAM41に割振られたアドレスであり、F000からF7FFまでが外部I/O267に割振られたアドレスであり、FF00からFFFFまでが内部I/O244に割振られたアドレスである。そして、RAM241は、アドレス8000から81FFまでの同じアドレスに256/512B(コンデンサ69によるバックアップが可能)と256Bとの2つの領域を有している。ただし、RAM241の容量が256Bの時は、そのアドレスは8000から80FFまでである。そして、後述する一般ユーザモードの場合には256/512Bのワーキングエリアが用いられ、後述するユーザテストモードの場合にはバンク切替えが行なわれて256Bの方のワーキングエリアが用いられる。なお、256/512Bの内、256の方がパチンコ遊技機用であり512の方がスロットマシーン用である。
【0078】
また、外部ROM70には、前述のようにアドレス0000から7FFFが割当てられており、このアドレス内に収まるように適正プログラムは作成される。もしもこのアドレス外の命令を実行するようにプログラムが作成されている場合、このプログラムは不正に改造されたものと判断される。そのような場合には、CPU240は自動的に停止し、命令を実行することがないように構成されている。
【0079】
RAM241は、コンデンサ269によりバックアップされている。しかし、何らかの原因で電源の瞬断等があった場合には、CPU動作が不安定となり、RAM241への異常なアクセスにより、RAM241のデータが破壊されるおそれがある。そのため、RAM241には、電源瞬断時のバックアップ電源からの出力に応答して、RAM241へのアクセスを禁止するためのアクセス制御機能が付加されている。
【0080】
すなわち、RAM241には、アクセス制御レジスタが設けられており、その所定のビットの値に応じてRAM241へのアクセスの可否を制御する。このビットの書換えは、CPU240が、電源の瞬断時にバックアップ電源が発生するノンマスカブル割込などに応答して、まだ動作が安定している間に行なう。このビットがアクセス不可を示す値であるときには、RAM41からのデータ読出しも、書込みも行なうことができず、遊技機が異常な動作に陥ることを予防できる。
【0081】
実装チップ69に設けられているセキュリティチェック回路262は、CPU263,ROM264,RAM265を有し、ROM264には後述する図20(a)に示すプログラムが記憶されている。
【0082】
なお、セキュリティチェック回路262は、CPU,ROM,RM等を用いることなく、ハード回路(ロジック回路)により構成してもよい。
【0083】
外部ROM70には、実行されるアドレス範囲を記憶するための実行範囲記憶領域が形成されており、この領域に記憶されているアドレス範囲内に収まるように適正プログラムは作成されている。もしこのアドレス外の命令を実行するようにプログラムが作成されている場合、このプログラムは不正に改造されたものと判断される。そのような場合には、CPU240は自動的に停止し、命令を実行することがないように構成されている。
【0084】
また外部ROM70には、演算式記憶領域が形成されており、この領域に所定の演算式が暗号化された形で記憶されている。この演算式は、後述するように、プログラムが適正であるか否かを判断するために用いられる。さらに外部ROM70には、セキュリティコードを記憶しているセキュリティコード領域が形成されている。
【0085】
図20は、セキュリティのチェック動作を説明するためのフローチャートであり、(a)はセキュリティチェック回路62の動作、(b)はCPU240の動作を示すものである。
【0086】
電源が投入され、システムリセットがなされてステップS(以下単にSという)1により外部ROM70に書込まれているすべてのデータを読出す処理がなされる。S2に進み、読出したデータのうち暗号化された演算式を複合化する処理が行なわれる。この複合化するために必要となる複合化鍵はセキュリティチェック回路のROM264に記憶されている。次にS3に進み、複合化された演算式に基づいて読出したプログラムデータを演算し、セキュリティコードと比較する処理が行なわれる。このセキュリティコードは前述したように外部ROM70のセキュリティコード領域に記憶されているものであり、前記演算式によりプログラムデータを演算した演算結果である。そしてS4により、比較結果両者が一致するか否かの判断を行ない、一致する場合にはS6に進む。
【0087】
S6では、ユーザーテスト用タイマが終了しているか否かの判断が行なわれる。このユーザーテスト用タイマとは、S5によりセットされる約1分間程度の時間であり、ユーザーテスト用タイマがセットされていない場合にはS6によりYESの判断がなされてS8に進む。S8では、アドレス範囲の入力があったか否かの判断が行なわれ、ない場合には、S6に戻る。そして、CPU240によって実行されたプログラムのアドレス範囲がセキュリティチェック回路262に入力されれば(S15参照)、S8によりYESの判断がなされてS9に進む。S9では、入力されたアドレス範囲と外部ROMの実行範囲記憶領域に記憶されている実行範囲と比較し、S10により実行範囲外であるか否かの判断が行なわれる。実行範囲内であればS6に戻るが、実行範囲外の場合にはS11に進み、システムリセットがかけられる。そしてその後再びS1に戻る。
【0088】
一方、S3による比較結果両者が一致していない場合にはS5に進み、ユーザーテスト用タイマがセットされる。このユーザーテスト用タイマは、CPU240を一定時間(たとえば1分間)に限り能動化する処理すなわち前述したユーザーテストモードに制御を移行させるためのものである。S5によりユーザーテスト用タイマがセットされた後においては、S6によりNOの判断がなされてS7の判断を行ない、マイナス1してユーザーテスト用タイマが終了するまでS6,S7のループを巡回する。そして、マイナス1してユーザーテスト用タイマが終了する段階に達した場合にはS11に進み、システムリセットがかけられた後S1に戻る。
【0089】
CPU240の方では、S12ないしS16の処理をたとえば2msec毎に1回実行する。そして、まずS12により、スタックセット処理がなされ、S13によりRAMエラーがあったか否かの判断が行なわれる。この判断は、図18のRAM241の所定アドレスの内容を読出し、その値が所定の値と等しいか否かを調べることにより行なわれる。プログラムの暴走時や電源投入直後には、RAM241の格納データが不定であるため、この判断の答えはNOとなって制御はS16に進む。S16においては、RAM241の所定アドレスに初期データが書込まれる。そしてその後リセット待ち(ユーザリセット待ち)の状態となり、CPU240にリセット信号が入力されたことにより再びS12から処理を繰返す。このメインルーチンの次回の実行に際しては、S16により初期データが書込まれているために、S13によりYESの判断がなされ、S14に進む。S14ではサブルーチン処理が行なわれ、外部ROMに記憶されている制御用のプログラムに従ってパチンコ遊技機を制御する処理がなされる。次にS15に進み、実行されたプログラムのアドレス範囲をセキュリティチェック回路262に出力する処理が行なわれてリセット待ちとなる。
【0090】
前記S11によるシステムリセットがかけられた場合には、CPU240のみをリセットする定期リセットとは異なり、実装チップ69全体をリセットするものであり、マイクロコンピュータが初期化されることになる。その結果、たとえば可変入賞球装置11が開成した大当たり制御の最中にシステムリセットされればその大当たり制御が途中で打切られて通常の遊技状態になってしまい、始動入賞記憶があるあ場合にもその始動入賞記憶がクリアされて始動入賞記憶が「0」となってしまい、通常の遊技状態を続行できなくなる。この遊技制御の初期化は、実行されるプログラムのアドレス範囲が実行範囲記憶領域に記憶されている所定の範囲から逸脱する度に行なわれ、また、S3による比較結果両者が一致していない場合には、遊技テスト用タイマ(1分間)が経過する度に行なわれることになる。その結果、パチンコ遊技機1やスロットマシン150等の遊技機は、正常な遊技を続行することができなくなる。このことにより、外部ROM70を不正に改造したプログラムを記憶しているものに差替えた場合には、システムリセットがかかり、通常の遊技を続行することができなくなる。
【0091】
次に、別実施例を説明する。
(1) 前記制御用データ格納手段としては、ROMカセットのようなカセットタイプのものに限らず、通常のROMを用いてもよく、また、図13で説明したようにICカードで構成してもよい。このICカードは、樹脂からなるプレート状のカードの所定箇所にMPU,RAM,ROM等からなるチップを埋込み、そのチップと外部との間でデータの送受信を行なうための接触端子をカード表面に露出した一般的なものである。また、演算機能を有しないICカードすなわちデータを記憶しておく機能のみを有するICカードであってもよい。さらに、ICカードよりもさらに記憶容量の大きいICメモリカートリッジにより制御用データ格納手段を構成してもよい。さらに制御データ格納手段の他の例としては、CD-ROM(コンパクトディスクリードオンリメモリ)であってもよい。また、磁気カード,磁気ディスクパック,フレキシブルディスク・カートリッジ等のように残留磁界を利用した記録媒体でもよい。なお、フレキシブルディスク・カートリッジとは、磁性材料を塗布した円板状の媒体をジャケットと称する収容物に格納したものをいう。磁気を利用した他の例としては、磁気バブルやCCD等であってもよい。磁気バブルとは、直流コイルによる回転磁界と永久磁石による静磁界で情報を伝送し、磁気ディスクのランダムアクセスとほとんど同じアクセス機構をもった媒体である。原理は、非磁性体基板上に磁性体(磁性ガーネット)単結晶をフィルム状に形成し、ここに、直流コイルと永久磁石による強力な外部磁界を加えると磁性体内の磁束がバブルと呼ばれる小さい丸い円筒形となって存在するようになる。バブルの外部磁界の強さによる生起-消滅の性質を利用してディスク情報を記憶する。磁区を導く仕掛けは、磁性体上に蒸着された転送エレメントを「道」として作り、回転磁界によって行なう。CCDは、シリコン盤上に酸化膜を付け、その上に多くの電極を並べたMOS構造をし、電極間に電圧の印加によるポテンシャル井戸を形成し、電荷信号としてディスク情報を蓄積するものである。また、制御用データ格納手段として、現在ファミリーコンピュータに用いられているゲームパック用のもので構成してもよい。
【0092】
(2) 前述したROMカセット27,45,70を通常時基板側に電気的に接続された状態でロックしておき、エジェクトボタンまたはエジェクトレバーを操作することによりそのロックが解除されてROMカセットを抜取ることができるように構成してもよい。またこのROMカセットの取付場所は、前述した実施例には限定されない。
【0093】
(3) セキュリティチェック回路262のROM264に記憶されている複合化鍵は、遊技機毎に異なった種類のものあるいは遊技機の機種毎に異なった種類のものあるいは遊技機メーカ毎に異なった種類のもので構成してもよい。その場合には、その複合化鍵に対応する暗号化鍵により演算式を暗号化し、その暗号化された演算式を外部ROM70の演算式記憶領域に記憶させる必要がある。具体的には、チップ流通会社等により量産用チップにそれぞれ識別番号を付し、その識別番号を手掛かりに量産用チップ単位または遊技機メーカ単位等で暗号化鍵や複合化鍵の管理を行なう。そして、暗号化鍵を公開し複合鍵を機密にするいわゆる公開鍵暗号化方式を利用してもよい。つまり、同じ種aから公開鍵K1と複合化鍵K2とを作成し、公開鍵である暗号化鍵K1により演算式を暗号化して外部ROM70に記憶させ、秘密鍵である複合化鍵K2をその外部ROM70に接続される量産用チップ69のセキュリティチェック回路262のROM262に記憶させる。また、演算式をすべてセキュリティチェック回路262に記憶させてもよいし、セキュリティチェック回路262と外部ROM70の両方にそれぞれ演算式の一部を記憶させるようにしてもよい。
【0094】
(4) 可変表示装置は、たとえばボクシングの試合を映像表示し、遊技者側のボクサーが勝てば所定の遊技価値を付与するものでもよい。つまり、複数種類の図柄をスクロール表示または切換表示するものに限らず、かつ、表示結果が導出表示された後においても引き続き可変表示され続けるものでもよい。
前記ROMカセット45,27により、遊技に関する所定の制御用データが格納された制御用データ格納手段が構成されている。前記ゲーム制御用基板26により、前記制御用データ格納手段に格納されている制御用データに従って遊技に関する制御を行なう制御手段が構成されている。そして、前述したように、前記制御手段を遊技機に残したままで前記制御用データ格納手段を遊技機に対し着脱交換可能に構成した。
その結果、遊技に関する制御を他のものに変更する際に制御手段まで交換する必要がなくなり、制御手段の交換に伴うコストが不要となり、極力低コストで遊技に関する制御を他のものに変更することが可能となる。
図5に基づいて説明したように、前記可変表示装置は、前記表示窓に対し位置調整ができるように前記遊技機枠体側に取付位置変更可能に配設されている。これにより、前面構成部材を交換した場合において表示窓の位置が交換前のものと多少異なったとしても交換後の表示窓に対応させることが極力可能となる。
図7に基づいて説明したように、前記表示窓は、前記可変表示装置の表示領域よりも大きく構成されている。
一方、前記可変表示装置をカソードレイチューブ(CRT)により構成し、前記表示窓を前記可変表示装置の表示領域よりも小さく構成する。このようにした場合には、CRTの表示部の周囲が不鮮明な表示となる関係上、その不鮮明部分を隠すことが可能となる。
前記制御用データ格納手段は、所定の演算式が暗号化された暗号化演算式も格納されており、前記制御手段は、前記制御用データ格納手段から前記制御用データと前記暗号化演算式とを読出し、該読出した暗号化演算式を復号化してその演算式により前記読出した制御用データを演算して、その演算結果と予め記憶されているセキュリティコードとが所定の関係になっている(一致する)か否かを判別してセキュリティチェックを行なうセキュリティチェック手段を含む(S1〜S5)。これにより、制御用データ格納手段に格納されている制御用データが改竄された場合には、その改竄された後の制御用データとセキュリティコードとが一致しなくなるために、改竄されたことがチェック可能となる。
前記制御用データ格納手段に格納されている正規の制御用データの実行アドレス範囲が予め定められており、前記S15,S8〜S10により、前記制御手段によって実行された前記制御用データのアドレス範囲と前記正規の実行アドレス範囲とを比較して、前記実行されたアドレス範囲が前記正規の実行アドレス範囲外であるか否かを判定してセキュリティチェックを行なう実行アドレス範囲セキュリティチェック手段が構成されている。この実行アドレス範囲セキュリティチェック手段の働きによって、制御用データ格納手段に格納されている制御用データが不正に改竄された場合には、正規の制御用データの実行アドレス範囲と実際に実行された制御用データのアドレス範囲とが食い違ってくるために、制御用データが改竄された旨を判定することが可能となる。
外枠102により、前記液晶表示装置付パチンコ遊技機の外枠が構成されている。前面枠2により、前記外枠に対して開閉可能に設けられた前面枠が構成されている。遊技盤7により、前記液晶表示装置の表示状態を遊技者に表示するための表示窓が前記液晶表示装置の表示領域よりも大きいサイズで形成され、かつ前面にパチンコ玉が流下する遊技領域が形成される一方で裏面に前記遊技制御手段が遊技制御に用いる遊技制御用データが格納された遊技制御用データ格納手段を実装する実装基板を収納した収納ケースが取付けられ、前記前面枠に対して交換可能に取付けられた遊技盤が構成されている。図3の機構板18により、前記遊技盤の裏面に位置し、賞品玉払出装置が設けられるとともに前記表示窓に対応する開口が形成され、当該開口に対して前記液晶表示装置を臨ませた状態で前記液晶表示装置を取付ける機構板が構成されている。たとえば、図3あるいは図4に示されるように、前記前面枠に前記機構板が取付けられている。ゲーム制御用基板26により、遊技制御を行なう遊技制御手段を搭載する遊技制御基板が構成されている。基板40により、前記液晶表示装置を制御する表示制御手段を搭載する基板であって、前記表示制御手段が表示制御に用いる表示制御用データが格納された表示制御用データ格納手段が着脱自在に設けられる表示制御基板が構成されている。収納ボックス本体52、および透明カバー体74により、前記遊技制御基板をカバーするカバー部材が構成されている。図6に示されるように、前記表示制御基板は前記遊技制御基板とは別の基板で構成され、カバー部材(カバー303、裏カバー47)によってカバーされている。
前述したように、回動レバー23を時計回り方向に回動した状態で遊技盤7を前面枠2の裏面側から取付け、この回動レバー23を反時計回り方向に回動することにより、遊技盤7が前面枠2側に押しつけられた状態で固定される。また、機構板18を前面枠2の裏面側に押しつけた状態で係止レバー22を反時計回り方向に回動することにより、機構板18を前面枠2側に固定することができる。すなわち、前記遊技盤と前記機構板とが前記前面枠に取付けられている。また、図3〜図5に示されるように、前記液晶表示装置は、前記機構板に形成された開口(符号20、130)に臨み、前記表示窓に対応する位置となるように前記機構板に取付けられている。また、前記遊技盤および前記前面枠には、前記遊技盤を前記前面枠に対し位置合わせするための位置合わせ部(嵌合孔100a,100b、突起101a,101b)が形成されている。
【0095】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明によれば、遊技盤と機構板とがともに前記前面枠に取付けられていることから、たとえ、前面枠の開閉を繰返して前面枠と外枠との位置関係に微妙なずれが生じてきたとしても、前面枠と外枠との間の位置関係とは関係なく、遊技盤と液晶表示装置との位置関係について一定に保つことができ、遊技盤の表示窓と、そこから覗く液晶表示装置部分との位置関係が、前面枠と外枠との間の位置関係とは関係なく、当初、調整された状態に保持できる。しかも、液晶表示装置を残したままの状態で遊技盤を他の種類のものに交換することが可能であるために、遊技盤を交換する際のコストを極力抑えることができる。さらに、カバー部材によって遊技制御基板を保護できる。さらに、前記表示窓は、液晶表示装置の表示領域よりも大きいサイズで構成されているために、遊技盤を交換した場合に交換後の遊技盤の前記表示窓と前記液晶表示装置の表示領域との位置関係が多少変化したとしても、液晶表示装置の表示領域全体が遊技盤の表示窓から視認可能となる。また、遊技盤および前面枠には、遊技盤を前面枠に対し位置合わせするための位置合わせ部が形成されているために、遊技盤を前面枠に対して正確な位置に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
遊技機の一例のパチンコ遊技機を示す全体正面図である。
【図2】
パチンコ遊技機の一部内部構造を示す全体背面図である。
【図3】
パチンコ遊技機の分解斜視図である。
【図4】
他の例のパチンコ遊技機の分解斜視図である。
【図5】
LCDユニットの取付構造を説明するための斜視図である。
【図6】
LCDユニットの構造を説明するための分解斜視図である。
【図7】
可変表示装置の遊技盤前面側からみた状態を示す正面図である。
【図8】
遊技制御用基板ボックスの分解斜視図である。
【図9】
他の例のパチンコ遊技機の一部内部構造を示す全体背面図である。
【図10】
さらに他の例のパチンコ遊技機の一部内部構造を示す全体背面図である。
【図11】
ROMカセットの構成を示す図である。
【図12】
遊技機の一例のスロットマシンを示す全体正面図である。
【図13】
スロットマシンの分解斜視図である。
【図14】
遊技機用セキュリティシステムの全体を示すシステムブロック図である。
【図15】
図14に示したシステムブロック図の一部を拡大した図である。
【図16】
図10に示したシステムブロック図の一部を拡大した図である。
【図17】
図14に示したシステムブロック図の一部を拡大した図である。
【図18】
遊技機制御用マイクロコンピュータを構成する実装チップおよびそれに接続される周辺機器の回路を示すブロック図である。
【図19】
遊技機制御用マイクロコンピュータのメモリマップを示す説明図である。
【図20】
遊技機制御用マイクロコンピュータのセキュリティチェック動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1はパチンコ遊技機、2は前面構成部材の一部を構成する前面枠、7は前面構成部材一部を構成する遊技盤、100には遊技機枠体の一例の外枠、300は表示窓の一例の開口、45,27は制御用データ格納手段の一例のROMカセット、18は機構板、26は制御手段の一例のゲーム制御用基板、40は制御手段の一例の基板、9は可変表示装置、11は可変入賞球装置、150は遊技機の一例のスロットマシン、152は前面構成部材を構成する前面枠、151は遊技機枠の一例の機枠、180はゲーム制御用基板ボックス、154は表示窓の一例の表示パネル、201は半導体チップメーカ、224は遊技場、69は実装チップ、70は外部ROM、204は遊技機メーカ、211は第三者試験機関、225は管轄監督機関、264はセキュリティチェック回路、240はCPUである。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-06-16 
出願番号 特願平4-298986
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A63F)
P 1 651・ 531- YA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 神 悦彦澤田 真治  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 渡部 葉子
渡戸 正義
登録日 2002-06-07 
登録番号 特許第3315446号(P3315446)
権利者 株式会社三共
発明の名称 液晶表示装置付パチンコ遊技機  
代理人 塚本 豊  
代理人 中田 雅彦  
代理人 塚本 豊  
代理人 森田 俊雄  
代理人 中田 雅彦  
代理人 深見 久郎  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  

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