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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H04N
審判 一部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  H04N
管理番号 1102765
異議申立番号 異議2003-72789  
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-06-16 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-13 
確定日 2004-07-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3406929号「画像通信装置」の請求項1、7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3406929号の請求項1、5に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3406929号の請求項1,7(下記訂正前)に係る発明についての特許出願は平成5年11月30日にされたもので、平成15年3月7日にその発明について特許の設定登録がなされた後、その特許について高橋 四郎より特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成16年5月11日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
訂正事項a:特許請求の範囲を以下のように訂正する。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 ファクシミリ部とプリンタ部とを有する画像通信装置であって、
前記ファクシミリ部は、画像データを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された画像データを格納する格納手段と、前記格納手段に格納された画像データの解像度を変換する解像度変換手段と、前記解像度変換手段によって変換された画像データを前記プリンタ部に転送する手段と、前記格納手段に格納された画像データを前記解像度変換手段で変換しプリンタ部に転送するよう制御する第1の制御手段とを有し、
更に前記プリンタ部は、インク滴を吐出することにより画像を記録する記録ヘッドと、前記ファクシミリ部から転送されるデータを受信する受信手段と、前記受信手段で受信されたラインデータを記録ヘッドのノズル配列に合わせて横縦変換する横縦変換手段と、
前記横縦変換手段によって横縦変換されたデータに応じて記録材上に画像を記録する記録手段と、前記受信手段で受信されたデータを前記横縦変換手段で変換し前記記録手段で記録を行うよう制御する第2の制御手段とを有し、
前記ファクシミリ部は、前記解像度変換手段により解像度変換された所定量のデータが全て所定のデータであることを検知する検知手段を有し、前記転送手段は前記検知手段により全て所定のデータであると検知された所定量のデータをコマンドで転送し、他のデータをドットイメージデータで転送することを特徴とすることを特徴とする画像通信装置。
【請求項2】 前記所定のデータが白データであることを特徴とする請求項1に記載の画像通信装置。
【請求項3】 前記所定量のデータが1ライン分のデータであることを特徴とする請求項1に記載の画像通信装置。
【請求項4】 前記記録手段は熱エネルギーを用いてインクに状態変化を生起させることによりインク滴を吐出することを特徴とする請求項1に記載の画像通信装置。
【請求項5】 画像データを前記プリンタ部に転送する手段は、ライン単位でデータを転送する手段である請求項1に記載の画像通信装置。
【請求項6】 ファクシミリ部とプリンタ部とを有する画像通信装置であって、前記ファクシミリ部は、画像データを受信する受信手段と、前記受信手段により受信された画像データを格納する格納手段と、前記格納手段に格納された画像データの解像度を変換する解像度変換手段と、前記解像度変換手段で解像度変換された画像データを前記プリンタ部に転送するために一時的に蓄積する第1のバッファ手段と、前記第1のバッファ手段のデータをプリンタ部に転送する転送手段と、前記格納手段により格納された画像データの解像度を前記解像度変換手段で変換し前記第1バッファ手段に蓄積させるよう制御する第1制御手段とを有し、
更に、前記プリンタ部は、前記ファクシミリ部から転送されるデータを受信する受信手段と、
前記ファクシミリ部から転送されるデータを一時的に蓄積する第2のバッファ手段と、前記第2のバッファ手段のデータを復号する復号手段と、前記復号化手段で復号されたデータを一時的に蓄積する第3のバッファ手段と、
前記第3のバッファ手段のデータを横縦変換する横縦変換手段と、
前記横縦変換手段で横縦変換されたデータを一時的に蓄積する第4のバッファ手段と、前記第4のバッファ手段のデータを記録する記録手段と、前記横縦変換手段によってデータを横縦変換し前記第4のバッファに蓄積させるよう制御する第2の制御手段とを有することを特徴とする画像通信装置。
【請求項7】 前記第1のバッファ手段は少なくとも1ライン分のデータを蓄積でき、前記解像度変換手段により解像度変換された1ライン分のデータの全てが同一色かどうかを検出する第1の検出手段を更に有することを特徴とする請求項6に記載の画像通信装置。
【請求項8】 前記第1の検出手段が、1ライン分のデータの全てが同一色であることを検出した場合には、前記転送手段は前記プリンタ部に対して前記第1のバッファ手段内の画像データを転送せずに1ライン分のデータの全てが同一色であることを示す信号を送出することを特徴とする請求項7に記載の画像通信装置。
【請求項9】 前記第1の検出手段が、1ライン分のデータの全てが同一色であることを検出した場合には、前記第1制御手段は前記第1のバッファ手段内の前記1ライン分のデータを消去し、次のデータの蓄積を開始することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像通信装置。
【請求項10】 前記横縦変換手段は前記第3のバッファ手段に蓄積されたデータが所定の容量に達した場合に、順次第3のバッファ内のデータの横縦変換を行い、前記第4のバッファ手段にデータを転送することを特徴とする請求項6に記載の画像通信装置。
【請求項11】 前記記録手段による記録は前記第4のバッファ手段に蓄積されたデータが所定の容量に達した場合に開始されることを特徴とする請求項6に記載の画像通信装置。
【請求項12】 前記第2制御手段は、
前記第4バッファ手段内のデータの黒データの存在範囲を検知する範囲検知手段と、
前記黒データの存在範囲を示すデータを記憶する記憶手段と、
前記記録ヘッドの位置に応じた信号をカウントするカウンタ手段とを有し、
前記カウンタ手段のカウント値と前記記憶手段内の黒データの存在範囲を示すデータとに応じて前記記録手段による記録の開始、又はパルスモータ駆動用の信号をカウントするよう制御することを特徴とする請求項6に記載の画像通信装置。
【請求項13】 前記第4のバッファ手段は少なくとも前記記録手段による2回の記録走査分のデータの記憶容量を有することを特徴とする請求項6に記載の画像通信装置。
【請求項14】 前記第2制御手段は、前記記録ヘッドの記録走査終了後、現記録走査の記録終了位置と次の記録走査の黒データの存在範囲に基づいて、前記記録ヘッドの移動距離の短い方を次の記録走査の記録開始位置とすることを特徴とする請求項12に記載の画像通信装置。
【請求項15】 前記第2制御手段は、複数回の記録走査にまたがる線画がある場合、次の記録走査における黒データの存在範囲にかかわらず現記録走査と同一方向に記録走査を行うべく前記記録手段を制御することを特徴とする請求項14に記載の画像通信装置。
【請求項16】 前記記録手段はインク滴を吐出することにより画像を記録
することを特徴とする請求項6乃至15のいずれかに記載の画像通信装置。
【請求項17】 前記記録手段は熱エネルギーを用いてインクに状態変化を生起させることによりインク滴を吐出することを特徴とする請求項16に記載の画像通信装置。」
訂正事項b:段落【0010】を
「【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による画像通信装置は、ファクシミリ部とプリンタ部とを有する画像通信装置であって、前記ファクシミリ部は、画像データを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された画像データを格納する格納手段と、前記格納手段に格納された画像データの解像度を変換する解像度変換手段と、前記解像度変換手段によって変換された画像データを前記プリンタ部に転送する手段と、前記格納手段に格納された画像データを前記解像度変換手段で変換しプリンタ部に転送するよう制御する第1の制御手段とを有し、更に前記プリンタ部は、インク滴を吐出することにより画像を記録する記録ヘッドと、前記ファクシミリ部から転送されるデータを受信する受信手段と、前記受信手段で受信されたラインデータを記録ヘッドのノズル配列に合わせて横縦変換する横縦変換手段と、前記横縦変換手段によって横縦変換されたデータに応じて記録材上に画像を記録する記録手段と、前記受信手段で受信されたデータを前記横縦変換手段で変換し前記記録手段で記録を行うよう制御する第2の制御手段とを有し、前記ファクシミリ部は、前記解像度変換手段により解像度変換された所定量のデータが全て所定のデータであることを検知する検知手段を有し、前記転送手段は前記検知手段により全て所定のデータであると検知された所定量のデータをコマンドで転送し、他のデータをドットイメージデータで転送することを特徴とすることを特徴とする。」
と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(ア)訂正事項aのうち、訂正明細書の請求項1については、訂正前の請求項1に構成要件を加え、訂正明細書の請求項2〜5は訂正後の請求項1を引用することにより構成要件が加わっているから、いずれも、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正明細書の請求項6〜17については、単に請求項に付す番号を訂正したものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(イ)訂正事項bは、訂正事項aにおいて訂正された記載との整合をとるために発明の詳細な説明の記載を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。そして、訂正事項bは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)独立特許要件
訂正明細書の請求項2〜4に係る訂正は、特許異議の申立がされていない請求項についての訂正であって、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当するから、訂正明細書の請求項2〜4に係る発明の独立特許要件について以下検討する。
訂正明細書の請求項2〜4に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項2〜4に記載された事項により特定されたとおりのものであって(上記(1)訂正の内容参照。)、同請求項1に係る発明の構成要件を全て含むものである。
そして、当該請求項1に係る発明が下記3.(4)のように、申立人が提出した全刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものと認めることができないので、同様の理由により、訂正明細書の請求項2〜4に係る発明は、申立人が提出した全刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものと認めることができない。
また、他に特許を受けることができないものとする理由を発見しない。
したがって、訂正明細書の請求項2〜4に係る発明は、出願の際、独立して特許を受けることができるものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
(1)申立ての概要
申立人高橋 四郎は、下記の甲第1〜3号証より、請求項1に係る発明が、及び甲第1〜4号証より、請求項5(訂正前の請求項7)に係る発明の特許が、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、また、請求項1における「前記受信手段で受信されたデータを横縦変換する横縦変換手段」の「横縦変換」の技術的意義が不明であるから特許法第36条第5項に規定する要件を満たしていないものであり、したがって該請求項に係る発明を取り消すべき旨主張している。
甲第1号証:特開平 5-2641号公報
甲第2号証:特公昭62-16596号公報
甲第3号証:特開平 4-353967号公報
甲第4号証:特開平 3-234627号公報

(2)請求項1及び5に係る発明
前示のとおり訂正請求は認められるから、本件請求項1,5に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1,5に記載されたとおりのものである(上記2.(1)参照。)。

(3)引用刊行物に記載された発明
当審で通知した取消しの理由に引用された刊行物1(甲第1号証)には、「ファクシミリインターフェース回路と電子タイプライタとを有するシステムであって、ファクシミリインターフェースは、デジタル画像データを電話回線に出力するためのモデム及びインターフェース回路と、データバッファとして用いられるRAMと、インターフェース回路と電子タイプライタとの間のドット密度変換と、電子タイプライタのCPUとファクシミリインターフェースのCPUとの間でのデータのやりとりを行うデジタル信号処理部と、インターフェース回路全体を制御するためのCPUとを有するシステム。」が記載されている。
同じく刊行物2(甲第2号証)には、「ファクシミリ装置に接続する情報処理装置であって、ファクシミリ装置に接続するための外部制御回路と、インクジェットノズルに印加するに適した画素信号配列とする出力データ処理装置と、インクジェットノズルを含む記録器と、画素信号をインクジェットノズル駆動回路に印加する出力データ処理装置とを有する情報処理装置。」が記載されている。
同じく刊行物3(甲第3号証)には、「バブルジェットプリンタを備える文書処理装置において、文書処理用マイクロコンピュータとファクシミリ用マイクロコンピュータとが、データ列の変換処理とドット密度変換処理とを分担して行う文書処理装置。」が記載されている。
同じく刊行物4(甲第4号証)には、「FAX受信したデータを書き込んだファイルから32ライン分リードし、プリンタ制御プログラムに送ること」が記載されている。

(4)請求項1に係る発明について
請求項1に係る発明と刊行物1〜3記載の発明を対比すると、請求項1に係る発明の「前記ファクシミリ部は、前記解像度変換手段により解像度変換された所定量のデータが全て所定のデータであることを検知する検知手段を有し、前記転送手段は前記検知手段により全て所定のデータであると検知された所定量のデータをコマンドで転送し、他のデータをドットイメージデータで転送すること」が、いずれの刊行物に記載も示唆もされていない。
そして、請求項1に係る発明はこの構成を有することにより、「転送する画像データを一部コマンドで転送するため転送時間が短縮される」といった顕著な効果を奏するものと認められる。
してみると、請求項1に係る発明は、刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとすることができない。
また、請求項1の記載については、「縦横変換」に関し、「受信手段で受信されたラインデータを記録ヘッドのノズル配列に合わせて横縦変換する横縦変換手段」と訂正されているから、その技術的意義が明確になったと認められる。

(5)請求項5に係る発明について
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当するから、刊行物1〜4を検討してみても、上記(4)で説示した理由と同様に、刊行物1〜4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとすることはできない。

(6)結論
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1及び5に係る発明についての特許を取り消すことはできない。また、他に本件請求項1及び5に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件請求項1及び5に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像通信装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 ファクシミリ部とプリンタ部とを有する画像通信装置であって、
前記ファクシミリ部は、画像データを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された画像データを格納する格納手段と、前記格納手段に格納された画像データの解像度を変換する解像度変換手段と、前記解像度変換手段によって変換された画像データを前記プリンタ部に転送する手段と、前記格納手段に格納された画像データを前記解像度変換手段で変換しプリンタ部に転送するよう制御する第1の制御手段とを有し、
更に前記プリンタ部は、インク滴を吐出することにより画像を記録する記録ヘッドと、前記ファクシミリ部から転送されるデータを受信する受信手段と、前記受信手段で受信されたラインデータを記録ヘッドのノズル配列に合わせて横縦変換する横縦変換手段と、
前記横縦変換手段によって横縦変換されたデータに応じて記録材上に画像を記録する記録手段と、前記受信手段で受信されたデータを前記横縦変換手段で変換し前記記録手段で記録を行うよう制御する第2の制御手段とを有し、
前記ファクシミリ部は、前記解像度変換手段により解像度変換された所定量のデータが全て所定のデータであることを検知する検知手段を有し、前記転送手段は前記検知手段により全て所定のデータであると検知された所定量のデータをコマンドで転送し、他のデータをドットイメージデータで転送することを特徴とする画像通信装置。
【請求項2】 前記所定のデータが白データであることを特徴とする請求項1に記載の画像通信装置。
【請求項3】 前記所定量のデータが1ライン分のデータであることを特徴とする請求項1に記載の画像通信装置。
【請求項4】 前記記録手段は熱エネルギーを用いてインクに状態変化を生起させることによりインク滴を吐出することを特徴とする請求項1に記載の画像通信装置。
【請求項5】 画像データを前記プリンタ部に転送する手段は、ライン単位でデータを転送する手段である請求項1に記載の画像通信装置。
【請求項6】 ファクシミリ部とプリンタ部とを有する画像通信装置であって、前記ファクシミリ部は、画像データを受信する受信手段と、前記受信手段により受信された画像データを格納する格納手段と、前記格納手段に格納された画像データの解像度を変換する解像度変換手段と、前記解像度変換手段で解像度変換された画像データを前記プリンタ部に転送するために一時的に蓄積する第1のバッファ手段と、前記第1のバッファ手段のデータをプリンタ部に転送する転送手段と、前記格納手段により格納された画像データの解像度を前記解像度変換手段で変換し前記第1バッファ手段に蓄積させるよう制御する第1制御手段とを有し、
更に、前記プリンタ部は、前記ファクシミリ部から転送されるデータを受信する受信手段と、
前記ファクシミリ部から転送されるデータを一時的に蓄積する第2のバッファ手段と、前記第2のバッファ手段のデータを復号する復号手段と、前記復号化手段で復号されたデータを一時的に蓄積する第3のバッファ手段と、
前記第3のバッファ手段のデータを横縦変換する横縦変換手段と、
前記横縦変換手段で横縦変換されたデータを一時的に蓄積する第4のバッファ手段と、前記第4のバッファ手段のデータを記録する記録手段と、前記横縦変換手段によってデータを横縦変換し前記第4のバッファに蓄積させるよう制御する第2の制御手段とを有することを特徴とする画像通信装置。
【請求項7】 前記第1のバッファ手段は少なくとも1ライン分のデータを蓄積でき、前記解像度変換手段により解像度変換された1ライン分のデータの全てが同一色かどうかを検出する第1の検出手段を更に有することを特徴とする請求項6に記載の画像通信装置。
【請求項8】 前記第1の検出手段が、1ライン分のデータの全てが同一色であることを検出した場合には、前記転送手段は前記プリンタ部に対して前記第1のバッファ手段内の画像データを転送せずに1ライン分のデータの全てが同一色であることを示す信号を送出することを特徴とする請求項7に記載の画像通信装置。
【請求項9】 前記第1の検出手段が、1ライン分のデータの全てが同一色であることを検出した場合には、前記第1制御手段は前記第1のバッファ手段内の前記1ライン分のデータを消去し、次のデータの蓄積を開始することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像通信装置。
【請求項10】 前記横縦変換手段は前記第3のバッファ手段に蓄積されたデータが所定の容量に達した場合に、順次第3のバッファ内のデータの横縦変換を行い、前記第4のバッファ手段にデータを転送することを特徴とする請求項6に記載の画像通信装置。
【請求項11】 前記記録手段による記録は前記第4のバッファ手段に蓄積されたデータが所定の容量に達した場合に開始されることを特徴とする請求項6に記載の画像通信装置。
【請求項12】 前記第2制御手段は、
前記第4バッファ手段内のデータの黒データの存在範囲を検知する範囲検知手段と、
前記黒データの存在範囲を示すデータを記憶する記憶手段と、
前記記録ヘッドの位置に応じた信号をカウントするカウンタ手段とを有し、
前記カウンタ手段のカウント値と前記記憶手段内の黒データの存在範囲を示すデータとに応じて前記記録手段による記録の開始、又はパルスモータ駆動用の信号をカウントするよう制御することを特徴とする請求項6に記載の画像通信装置。
【請求項13】 前記第4のバッファ手段は少なくとも前記記録手段による2回の記録走査分のデータの記憶容量を有することを特徴とする請求項6に記載の画像通信装置。
【請求項14】 前記第2制御手段は、前記記録ヘッドの記録走査終了後、現記録走査の記録終了位置と次の記録走査の黒データの存在範囲に基づいて、前記記録ヘッドの移動距離の短い方を次の記録走査の記録開始位置とすることを特徴とする請求項12に記載の画像通信装置。
【請求項15】 前記第2制御手段は、複数回の記録走査にまたがる線画がある場合、次の記録走査における黒データの存在範囲にかかわらず現記録走査と同一方向に記録走査を行うべく前記記録手段を制御することを特徴とする請求項14に記載の画像通信装置。
【請求項16】 前記記録手段はインク滴を吐出することにより画像を記録することを特徴とする請求項6乃至15のいずれかに記載の画像通信装置。
【請求項17】 前記記録手段は熱エネルギーを用いてインクに状態変化を生起させることによりインク滴を吐出することを特徴とする請求項16に記載の画像通信装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は受信された画像データに応じて記録材上に画像を記録する画像通信装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
従来よりホストコンピュータ等から出力される画像データを記録する、例えばインクジェットプリンタ等のシリアルプリンタが知られている。この様なプリンタはセントロニクスインタフェース等の汎用インタフェースを介してホストコンピュータと接続され、ホストコンピュータから記録ヘッドの1主走査に対応する画像データが送られ、プリンタ内のバッファに格納されると記録動作を行い、主走査終了毎に記録ヘッドの記録幅に応じた量の紙送り(副走査)を行う。この主走査及び副走査を複数回繰り返すことにより1頁の画像の記録が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとしている課題】
最近この様なシリアルプリンタを記録部として用いたファクシミリ装置が提案されている。この様なファクシミリ装置では、前述のホストコンピュータとプリンタの場合と同様画像データの送受信を制御するファクシミリ部とプリンタ部をセントロニクスインタフェース等の汎用インタフェースで接続して、受信画像データのプリンタ部への転送を行っていた。
【0004】
通常ファクシミリにおいては、画像データはライン単位で扱われる。このためシリアルタイプのプリンタで受信画像データで記録するためには、プリンタのもつ記録ヘッドの記録素子配列に合わせたデータに変換(横縦変換)する必要がある。
【0005】
更に、受信画像データの解像度とプリンタの記録の解像度が異なる場合、画像データの解像度を変換する必要も生じてくる。
【0006】
この様な横縦変換、解像度変換の両方をファクシミリ部で行うと、ファクシミリ部のCPUの負荷が重くなり、プリンタ部へのデータ転送中に別の画像を送信したり受信したりする際過負荷となっていた。
【0007】
又、ファクシミリ部からプリンタ部へのデータ転送は、セントロニクスインタフェースを介して生データとして転送していたため転送するのに多大な時間を要した。
【0008】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ファクシミリ部の負荷を軽減させることが可能な画像通信装置を提供することにある。
【0009】
更に本発明の目的は、受信画像データの記録に要する時間を短縮することが可能な画像通信装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による画像通信装置は、ファクシミリ部とプリンタ部とを有する画像通信装置であって、前記ファクシミリ部は、画像データを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された画像データを格納する格納手段と、前記格納手段に格納された画像データの解像度を変換する解像度変換手段と、前記解像度変換手段によって変換された画像データを前記プリンタ部に転送する手段と、前記格納手段に格納された画像データを前記解像度変換手段で変換しプリンタ部に転送するよう制御する第1の制御手段とを有し、更に前記プリンタ部は、インク滴を吐出することにより画像を記録する記録ヘッドと、前記ファクシミリ部から転送されるデータを受信する受信手段と、前記受信手段で受信されたラインデータを記録ヘッドのノズル配列に合わせて横縦変換する横縦変換手段と、前記横縦変換手段によって横縦変換されたデータに応じて記録材上に画像を記録する記録手段と、前記受信手段で受信されたデータを前記横縦変換手段で変換し前記記録手段で記録を行うよう制御する第2の制御手段とを有し、前記ファクシミリ部は、前記解像度変換手段により解像度変換された所定量のデータが全て所定のデータであることを検知する検知手段を有し、前記転送手段は前記検知手段により全て所定のデータであると検知された所定量のデータをコマンドで転送し、他のデータをドットイメージデータで転送することを特徴とする。
【0013】
又本発明による画像通信装置は、ファクシミリ部とプリンタ部とを有する画像通信装置であって、前記ファクシミリ部は、画像データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された画像データを格納する格納手段と、前記格納手段に格納された画像データの解像度を変換する解像度変換手段と、前記解像度変換手段で解像度変換された画像データを前記プリンタ部に転送するために一時的に蓄積する第1のバッファ手段と、前記第1のバッファ手段のデータをプリンタ部に転送する転送手段と、前記格納手段により格納された画像データの解像度を前記解像度変換手段で変換し前記第1バッファ手段に蓄積させるよう制御する第1制御手段とを有し、更に、前記プリンタ部は、前記ファクシミリ部から転送されるデータを受信する受信手段と、前記ファクシミリ部から転送されるデータを一時的に蓄積する第2のバッファ手段と、前記第2のバッファ手段のデータを復号する復号手段と、前記復号化手段で復号されたデータを一時的に蓄積する第3のバッファ手段と、前記第3のバッファ手段のデータを横縦変換する横縦変換手段と、前記横縦変換手段で横縦変換されたデータを一時的に蓄積する第4のバッファ手段と、前記第4のバッファ手段のデータを記録する記録手段と、前記横縦変換手段によってデータを横縦変換し前記第4のバッファに蓄積させるよう制御する第2の制御手段とを有することを特徴とする。
【0014】
【作用】
第1の発明によれば、ファクシミリ部の制御を行う第1制御手段が画像データの解像度変換を行う解像度変換手段を制御し、プリンタ部の制御を行う第2制御手段が画像データの横縦変換を行う横縦変換手段の制御を行う。
【0015】
又第2の発明によれば、画像データの受信処理の制御を行う第1制御方法が解像度変換手段と、画像データの配列変換手段のうちの一方を制御し、記録処理の制御を行う第2制御手段が他方を制御する。
【0017】
又第3の発明によれば、ファクシミリ部において受信された画像データの解像度変換を行って第1バッファ手段に格納し、転送手段によりプリンタ部に転送する。プリンタ部においては転送されてくる画像データを第2バッファ手段に格納した後復号手段により復号し、その後横縦変換手段により横縦変換した後第4バッファ手段に格納し、記録手段により記録する。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明を適用したファクシミリ装置を示す断面図である。図1において、Aは原稿を光学的に読み取る読取ユニット、Bはインクジェット記録装置である記録ユニット、Cは記録紙カセットとこれに積載されたカットシートである記録紙を分離して記録ユニットに供給する給紙ユニットである。
【0019】
本図において、まず記録紙の流れについての概略説明を行う。一連の記録紙搬送経路は矢印Gで示されており、まず記録紙カセット50に積載された記録紙12は、給紙ローラ51及び分離爪52によってピックアップされ、搬送ローラ5によって搬送されて記録ユニットに送り込まれる。記録ユニットでは記録ヘッド21が紙面垂直方向に往復移動して主走査を行うことによって記録が行われ、装置内をある程度の距離だけ搬送した後、排紙ローラ9によって排紙スタッカ53に排出積載される。排紙ローラ9の軸上には、フォトセンサ13が配置されており、このセンサにより記録ヘッドのインク無しと排紙ローラ付近の記録紙ジャムを検知する様に構成されている。
【0020】
図2は図1に示すファクシミリ装置の記録部Bの概略構成を示す図である。図2において21は記録ヘッドであり、本実施例ではインクタンクを内蔵し、インクが無くなった時に記録ヘッドごと新品と交換し得るカートリッジ式のインクジェット記録ヘッドを搭載している。
【0021】
本実施例で用いる記録ヘッド21は、インクジェット方式の記録ヘッドであり、解像度が360DPIであり、副走査方向(矢印A方向)に64個のノズル列を持ち、ノズル内に設けた電気熱変換素子の発熱によってインク中に生じた膜沸騰の圧力によってノズル先端の吐出口よりインク滴を吐出するものである。
【0022】
記録ヘッド21は不図示のキャリッジにより記録紙12の搬送方向(副走査方向)とは直角方向、即ち主走査方向(紙面垂直方向)に往復移動し、この移動時及び復動時に記録走査を行う。
【0023】
22は記録紙搬送ローラであり、記録紙の給紙、排紙及び記録ヘッド21で記録を実行するときに、副走査方向の位置を定めるために360dpiの精度で記録紙を搬送する。23は記録紙センサであり、本センサの検知部に記録紙がある場合にはON状態になり、ない場合にはOFF状態になる。この記録紙センサ23により、記録紙の有無及び先端、後端を検知する。13は記録紙の記録面の画像密度を検知する反射型ホトセンサである。本実施例では1頁の画像記録後に記録紙後端部に記録される所定パターン(黒マーク)の画像密度をこのセンサにより検出し、検出結果に応じてインクの有無、記録紙の搬送不良をチェックする。このホトセンサはLEDとホトトランジスタで構成され、画像が記録されている部分のような黒率の高い部分ではLEDの反射光が少ないためにホトトランジスタはOFF状態となり、記録紙の地色のような反射率の高い部分ではON状態となる。LED光源はインクの材質等により吸収する波長が異なるので、インクの材質により光源を選択する必要がある。本実施例では赤色の波長に対して吸収率の高いインクを用いているので赤色のLEDを用いている。またホトセンサは機構上排出口の近くにあるので、外光の影響を受けない位置に置くように注意する。排紙ローラ9はゴム等の材質でできており、記録紙及び排紙ローラ9上にない場合、フォトセンサ13はオフ状態となる。
【0024】
図3は図1、図2に示すファクシミリ装置の電気的な構成をデータの流れを中心に表したブロック図である。本実施例におけるファクシミリ装置はファクシミリ部100及びプリンタ部200から成り、ファクシミリ部100からプリンタ部200へのデータ転送をセントロニクスインタフェースを介して行う。まずファクシミリ部100について説明する。図中101は電話回線を介して画像データの送受信を行うためのモデム、102は受信されたデータを復号化する復号化器、103は画像データを符号化する符号化器、104は画像データを蓄積するための画像バッファ、105は画像バッファ104に蓄積された画像データの解像度変換を行う解像度変換回路、106は1ライン分のデータが全て白データであることを検知するための全白検知回路、107は解像度変換回路105により解像度変換されたラインデータを4ライン分格納可能な4ラインバッファで、2ライン分は解像度変換前のデータ格納用に、残り2ライン分は解像度変換後のデータ格納用として用いられる。108は種々のファンクションキー表示器等を備えた操作部、109は送信時及びコピー時に原稿画像を読み取る読取部、110は4ラインバッファ107に格納されたラインデータをプリンタ部200に送出するためのセントロニクス送信回路、111はファクシミリ部100の動作を制御するための制御部(CPU1)である。
【0025】
次にプリンタ部200について説明する。201はセントロニクス送信回路110から送信されてくるデータを受信するためのセントロニクス受信回路、202はセントロニクス受信回路201で受信されたデータを一時的に格納するレシーブバッファ、203はレシーブバッファ202に格納されたデータをプログラム処理によりデコードしデコード後のラインデータを格納するラスタバッファ、204はラスタバッファ203に格納されたラインデータを縦方向のデータに変換する横縦変換回路、205、206は横縦変換回路204から出力されるデータを格納するプリントバッファで、各々記録ヘッドの1回の主走査により記録される領域に対応したデータ記憶容量を持つ。
【0026】
又、207は通信管理レポート出力時にファクシミリ部100より送出されるキャラクタコードデータを格納するテキストバッファ、208はテキストバッファ207内に格納されたキャラクタコードをドットイメージに変換した後プリントバッファ205又は206に送出するためのキャラクタジェネレータ、209はプリントバッファ205又は206から読出されたデータをラッチするラッチ回路、210はラッチ回路209にラッチされたデータに応じて駆動されることによりインク滴を吐出する記録ヘッド(図1、図2の記録ヘッド21に相当)である。
【0027】
又、211は記録ヘッドの記録位置手前で記録紙を検知する記録紙センサ(図1、図2における記録紙センサ23に相当)、212は搬送ローラ5、22、排紙ローラ9等の駆動力を発生するパルスモータ等から成る記録紙搬送部、213はキャリッジを記録紙に対して往復移動させるための駆動力を発生するパルスモータ等から成るキャリッジ駆動部、214は記録紙の後端部に記録される黒マークを検出するためのフォトセンサ(図1、図2のフォトセンサ13に相当)、215はプリンタ部200のデータ転送処理及び各負荷の動作を制御する制御部(CPU2)である。
【0028】
ファクシミリ部100からプリンタ部200へのデータ転送は、セントロニクス送信回路110とセントロニクス受信回路201間の信号線PD0〜PD7により、信号線PSTBに発生するパルス信号に同期したタイミングで行われる。又このデータ転送は信号部BUSYがオフの場合に可能となる。又プリンタ部200のCPU2からファクシミリ部100のCPU1に対して記録紙の位置に応じた信号Paper-sts1、Paper-sts2が出力される。CPU1はこの信号に基づいてフォトセンサ214の黒マークの検知タイミングを決定する。又、フォトセンサ214の出力はファクシミリ部100のCPU1に入力される。
【0029】
次に動作説明する。受信されたデータはモデム101によって復調された後、復号化器102で復号化してドットイメージデータに展開した後、通信エラーのチェックが行われる。その後このドットイメージデータは復号化器103で再び符号化されて、画像バッファ104に格納される。そしてこの画像バッファ104に格納した符号化データを順次再度読出し、CPU1(111)のプログラム処理により復号化して1ラインのドットイメージデータに展開し、4ラインバッファ107に格納する。このドットイメージデータを解像度変換回路105に送出し、解像度変換を行った後4ラインバッファ107の残りの2ライン分に格納する。ここで全白検知回路106が動作し、格納した1ライン分のデータの全てが白データであるかどうかチェックする。全て白データの場合、CPU1(111)に対して全白データであることを通知し、CPU1はセントロニクス送信回路110に1ライン分のデータの全てが白データであることを示すコマンドを送出し、その後4ラインバッファ107内の前述の1ライン分のデータを消去し、次のデータを格納できるようにする。そうでない場合、4ラインバッファ107の解像度変換された画像データをドットイメージデータのまま送出する。
【0030】
4ラインバッファ107に少なくとも1ライン分のデータが格納されると、CPU1はBUSY信号をチェックし、BUSY信号がオフであれば、4ラインバッファ107に格納された解像度変換後のデータをセントロニクス送信回路110及びセントロニクス受信回路201を介してレシーブバッファ202に送出する。このBUSY信号はレシーブバッファ202に空きがあればオフ状態になっている。したがって4ラインバッファ107からレシーブバッファ202へのデータ転送は、レシーブバッファ202に空きがあれば行われる。又、画像バッファ104から4ラインバッファ107への転送は、4ラインバッファ107に少なくとも1ライン分の空きがあれば行われる。
【0031】
ここで解像度変換は、受信画像の解像度が記録の解像度(360dpi×360dpi)と異なるため、画像データの解像度を記録の解像度に合わせるために行われる。
【0032】
次にプリンタ部200におけるデータの流れについて説明する。前述の如くファクシミリ部100よりセントロニクスインタフェースを介して送られてくるデータはRAMにより構成されたレシーブバッファ202に一時格納される。ここで、レシーブバッファ202に格納されるデータは解像度変換回路105により所望の解像度(360dpi)に変換された1ラインのドットイメージデータ及びコマンドである。CPU2(215)はレシーブバッファ202の内容をチェックする。画像データの場合はレシーブバッファ202から読出され、ラスタバッファ203に転送される。又、コマンドの場合その内容を解釈する。コマンドが1ラインのデータが全白であることを示す白スキップコマンドの場合、ラスタバッファ203の該当する記憶領域にはデータを格納せず、次のラインに次の画像データを格納する様にする。
【0033】
ここで、ラスタバッファ203は8ライン分の容量(8×3640ビット)を持つメモリである。このラスタバッファ203に8ライン分のデータが格納されると、ラスタバッファ203の左端のデータから順番に横縦変換回路204に送り、横縦変換を行い、プリントバッファ1(205)又はプリントバッファ2(206)の一方に転送する。プリントバッファ1、2は共に記録ヘッド21の1回の走査により記録されるデータ量に応じた記憶容量(64×3640ビット)を持ったメモリであり、一方がデータの読み出し(記録)に用いられる間、他方は次走査のためのデータの格納に用いられる。
【0034】
CPU2は8ライン分のデータの横縦変換の回数をカウントし、8回カウントを行うと即ち、64ライン分のデータの横縦変換が終了すると、1主走査分のデータが揃ったと判断して印字スタート信号を出力し、キャリッジの移動を開始してプリントバッファ1(205)又はプリントバッファ2(206)に格納されたデータに基づく記録動作を開始する。そして64ドットごとにデータをラッチ回路209に送り、ラッチ回路209にラッチされたデータに応じて記録ヘッド210の吐出ヒータが駆動されて記録が行われる。この間、他方のプリントバッファには次の主走査のデータが格納される。
【0035】
CPU2はプリントバッファ内の黒データがどのアドレスからどのアドレス迄格納されているか予め検知し、その最後のアドレス迄データが転送されるとその走査を終了し、プリントバッファを切り換え、データ格納に用いられたプリントバッファを記録用に、記録に用いられたプリントバッファをデータ格納用にする。
【0036】
次に、実際の記録動作及び、レシーブバッファ202からプリントバッファ205又は206へのデータの転送タイミングについて説明する。まずファクシミリ部100から画像データが転送され、そのデータがレシーブバッファ202に格納される。RAM216のワークエリアにはラスタバッファ203に格納されたライン数をカウントするカウンタ1が転送されており、CPU2はラスタバッファ203に1ラインのデータを格納するごとに、カウンタ1をインクリメントした後、カウンタ1のカウント値が8に達したか否かを判断する。カウンタ1のカウント値が8に達するまではレシーブバッファ202からラスタバッファ203へのデータ転送を続行する。そしてカウンタ1のカウント値が8に達すると、レシーブバッファ202からラスタバッファ203へのデータ転送を中断し、更にラスタバッファ203内のデータを左端から順番に横縦変換を行った後、そのデータをプリントバッファ1(205)に格納する。RAMのワークエリアには又、この横縦変換の実行回数をカウントするカウンタ2を持ち、CPU2は8ライン分のデータの横縦変換を実行する毎にインクリメントした後、カウンタ2のカウント値が8に達したか否かを判断する。カウンタ2のカウント値が8に達するまで、即ち64ライン分のデータの格納が終了するまでは、前述のレシーブバッファ202からラスタバッファ203への8ライン分のデータ転送、及びラスタバッファ203からプリントバッファ1(205)へのデータ転送を繰り返し実行する。ここでカウンタ2はたかだか8回分のカウント値をカウントすればよいので、1主走査分データ数(64×3640)をカウントするよりもはるかに簡単である。
【0037】
カウント2のカウント値が8に達すると、CPU2はプリントバッファ1に格納された1走査目のデータの記録を行うための記録スタート信号を発生する。ここでCPU2記録に先立ちプリントバッファ1(205)に格納されたデータのうち黒データがどのアドレスからどれだけの幅存在するか(図3.areal参照)を予め検知しRAM216の所定領域に記憶しておく。ここでプリントバッファ1、2は、そのアドレスが記録ヘッド210により行われる走査領域上の位置と1対1の対応関係にあるものである。又、記録ヘッド210の位置は不図示のホームポジションを基準として、キャリッジ駆動部213のキャリッジ駆動用パルスモータに供給されたパルス数をカウントするカウンタ4のカウント値に応じて判断される。即ちホームポジションから離れる方向に移動を行う場合は、キャリッジ駆動用パルスモータに供給されたパルス数をカウントするカウンタ4のカウント値をインクリメントし、ホームポジションに戻る方向に移動を行う場合は、キャリッジ駆動用パルスモータに供給されるパルス数に応じてカウンタ4のカウント値をデクリメントする。尚、このカウンタ4もRAM216の所定領域に設定されているものである。このカウント値により記録ヘッド210の現在位置を検知することができる。
【0038】
記録スタート信号の発生後記録ヘッド210がホームポジションから移動し、黒データの存在する最初のカラム位置に応じた位置に到達したことを検知すると、プリントバッファ1に格納されたデータは、この位置から64ドットずつ順番に読み出され、ラッチ回路209にラッチされ、ラッチデータに応じて記録ヘッド210のインク吐出ヒータが駆動されて第1走査の記録が行われていく。RAM216の所定領域には黒データの幅に応じたカラム数がセット可能なカウンタ3が設定されており、黒データの存在する最初のカラム位置からデータが読み出され、記録が行われる毎にデクリメントされていく。このカウント動作もキャリッジ駆動用パルスモータに供給されるパルスに応じたパルス信号をカウントすることにより行われる。そしてこのカウンタ3のカウント値が0になると第1走査は終了と判断し記録ヘッドはその位置に停止する。そして第1走査終了に応じて記録紙搬送中212が駆動され、記録ヘッド210の記録幅に応じた距離の紙送り(副走査)が行われる。
【0039】
尚、第1走査目のデータの記録中に第2走査目のデータは第1走査目のデータ転送と同様にしてレシーブバッファ202からプリントバッファ2(206)に転送され、格納される。従って、第1走査の終了前に第2走査目のデータプリントバッファ2(206)に格納完了していれば、第1走査の終了時点でプリントバッファ2(206)をデータ読み出し用に、プリントバッファ1(205)をデータ格納用に切り換え、第1走査の場合と同様にプリントバッファ2(206)からデータが読み出されて第2走査目の記録が行われ、プリントバッファ1(205)に第3走査目のデータの格納が行われる。
【0040】
又、第1走査の終了時点で第2走査目のデータがプリントバッファ2(206)に格納されていない場合は、記録ヘッド210は第1走査の印字終了位置で第2走査目のデータがプリントバッファ2に揃うまで待機する。又、待機中所定時間(例えば2秒)経過すると記録ヘッド210は一旦ホームポジションに戻る。そして第2走査目のデータが揃うと、プリントバッファ2(206)をデータ読み出し用に、プリントバッファ1(205)をデータ格納用に切り換え、プリントバッファ2(206)からデータが読み出されて第2走査目の記録が行われる。又、この第2走査の記録の間、第3走査目のデータがプリントバッファ1(205)に格納されていく。そして第2走査終了に応じて記録ヘッド210の記録幅に応じた紙送りが行われる。
【0041】
この様に、プリントバッファ1、2を交互にデータ読み出し(記録)用、データ格納用に切り換えて前述した動作を以降繰り返すことにより1頁の画像の記録を行う。
【0042】
前述のように本実施例におけるファクシミリ装置は、プリントバッファ1(205)又は2(206)に格納されたデータのうち黒データがどの位置からどれだけの幅存在するかを予め検知しRAMに記憶している。
【0043】
従って、主走査終了後次の主走査を開始する際、現走査の記録終了位置と次走査の黒データの存在範囲を参照することによって、終了位置からキャリッジの移動距離が短い方を次の主走査の印字開始位置として記録を行う。このためムダなキャリッジの移動がない高速の印字が実現できる。
【0044】
ただし、例えばケイ線のように連続する2つの主走査にまたがる線のデータが存在する場合、印字方向を各々の主走査で逆にするとケイ線ズレをおこすので記録終了位置、次の主走査の印字範囲にかかわらず同一方向に印字されるよう制御されている。
【0045】
又、通信終了後又はユーザにより操作部108から通信管理レポートの出力が指示された時CPU1は通信管理情報をキャラクタデータでセントロニクスインタフェースを介してプリンタ部200に送る。この場合受信データの記録時とは異なり、画像バッファ104、4ラインバッファ107は用いられない。プリンタ部200側では、受信されたキャラクタデータがレシーブバッファ202に格納される。レシーブバッファ202に格納されたデータは順次読み出され、解析された後テキストバッファ207に格納される。テキストバッファ207に格納されたデータキャラクタはキャラクタジェネレータによりドットイメージに展開されてプリントバッファ1(205)又は2(206)に格納される。
【0046】
以後の記録動作は受信画像記録時と同様である。
【0047】
図4〜図6は上記動作を行うためにCPU1、2が行う制御のフローチャートである。以下更に説明する。
【0048】
図4は図3で示したブロック図において、CPU1がセントロニクス送信回路110に画像データを転送する際のフローチャートである。
【0049】
まずステップS1でセントロニクス送信回路110内に2面ある入力バッファ1、2のどちらに画像データを転送するかを調べる。ここでIBWSELがHならば、入力バッファ1に転送する順番であるので、ステップS2で入力バッファ1が画像データライトイネーブルなっているかを調べる。ここでイネーブルとなっていればステップS3で入力バッファ1に画像データを転送する。ステップS4で画像データの転送が終了したならばステップS5に進み、CPU1はIBWENDをセントロニクス送信回路110に対して出力することにより、画像データの転送終了をセントロニクス送信回路110に通知する。この時点でセントロニクス送信回路110は入力バッファ1にある画像データをセントロニクス送信回路110内の出力バッファ1に転送を開始する。ここでは入力バッファ1に格
納された画像データは出力バッファ1に、入力バッファ2に格納された画像データは出力バッファ2に必ず転送される。またステップS5でIBWENDを出力することにより、ステップS1でのIBWSELが切り替わり、次ラインの転送時には入力バッファを切り換えることができる。ステップS6で次ラインの画像データがある場合にはステップS1に戻り、今回はIBWSELがLとなっているのでステップS7に進み、入力バッファ2が画像データライトイネーブルとなっているかを調べる。ここでイネーブルであれば、ステップS8に進み、入力バッファ2に画像データを転送する。ステップS9で画像データの転送が終了すれば、同様にステップS5に進みIBWENDを出力し入力バッファを切り換え、ステップS6に進む。
【0050】
図5は図3においてセントロニクス送信回路110の出力バッファ1、2からプリンタ部のセントロニクス受信回路201への画像データ転送を示すフローチャートである。
【0051】
図5において、まずステップS11でセントロニクス送信回路110のステータスであるOUTENBがHかどうかを調べる。このステータスは次に出力される順番のバッファが出力イネーブルで、かつ画像データ出力中でなければHとなる。ここでOUTENBがHであればステップS12に進み、次に出力される画像データが全白検知回路106により全白と判断されているか否かを調べる。ここで次に出力される画像データが全白でなければステップS13に進み、セントロニクス送信回路110に対してOUTENDCを出力し、プリンタ部に対してこの出力バッファ中の画像データの転送を開始する。データの転送を開始したらステップS14でデータ転送の終了を待つ。このDBSYはデータ転送中にHとなるステータスである。DBSYがLになれば画像データの転送が終了しているのでステップS15に進み、次ラインの画像データがあるかどうかを調べる。
【0052】
先のステップS12において、次に転送する画像データが全白であると判断されれば、ステップS16に進み、画像データを転送するかわりに白スキップコマンドをプリンタ部に出力する。そしてステップS17で、この画像データは出力する必要がないので、そのまま出力バッファを切り換える操作を行う。ここで出力されずに残った画像データは、次に入力バッファからこの出力バッファに画像データが転送される時点で消去される。そしてステップS15に進み、次ラインの画像データがあるかどうかを調べる。ここで次ラインがない場合にはステップS19で排紙コマンドをプリンタ部に送出し終了する。
【0053】
図6は図3におけるCPU2のセントロニクス送信回路110より転送されたデータの処理を示すフローチャートである。ここではすでに記録紙の記録位置の給紙と頭出しは正常に完了しているものとする。
【0054】
最初に、ステップS21においてCPU2はレシーブバッファ202からのデータを取り込む。このデータをステップS22でコマンドか画像データの一部かを判断する。このデータが画像データならばステップS23に進み、ラスタバッファ203の次のアドレスに格納する。このラスタバッファ203は前述のように8ライン分の容量を持ったメモリである。次にステップS24でこのラスタバッファ203に8ライン分の画像データが揃ったかを調べる。8ライン分のデータが揃っていなければステップS21に戻り、次のデータを取り込む。ステップS24で8ライン分の画像データが揃っていればステップS25に進み、この8ライン分のデータの横縦変換を行い記録ヘッド210の1主走査分の容量を持つプリントバッファ1又は2に格納する。次にステップS26に進み、このプリントバッファ1又は2に記録ヘッド210の1主走査分の画像データが揃ったならばステップS27に進み印字動作を開始する。そしてプリントバッファを切り換え、今までデータ格納用に用いていたプリントバッファが印字動作用になり、印字動作用であったプリントバッファをデータ格納用とする。ステップS26でプリントバッファに記録ヘッド210の1主走査分の画像データが揃っていなければステップS21に戻って再びデータを取り込む。先のステップS22において、取り込んだデータがコマンドであると判断した場合にはステップS29に進み、白スキップコマンドかどうかを判断する。このデータが白スキップコマンドである場合には画像データを格納するラスタバッファ203のアドレスを1ライン分先に進める。そしてステップS24に進み、ラスタバッファ203に8ライン分のデータが揃ったかを調べる。
【0055】
ステップS29で白スキップコマンドでない場合にはステップS31に進み、記録紙排紙コマンドかどうかを調べる。記録紙排紙コマンドである場合には1頁分の画像データの転送が終了したので、ステップS32でラスタバッファ203に残っている画像データの横縦変換を行いプリントバッファに格納し、このプリントバッファ中の画像データの印字を開始する。印字終了後にステップS34で記録紙の排紙動作を行い、1頁の記録動作を終了する。
【0056】
以上説明したように、本実施例によれば以下の効果がある。
(1)ファクシミリ部とプリンタ部で解像度変換と水平/垂直変換を分散させて行うことにより、ファクシミリ部の負荷を軽減させることができ、プリンタ部に画像転送中でも別の画像を電話回線を介して送信したり受信したりする際も過負荷にならない。
(2)セントロニクス送信回路及びセントロニクス受信回路間を転送する画像データを一部コマンドで転送するため転送時間が短縮される。
(3)画像を記録する際、複数走査分のプリントバッファをもつようにしたため、印字スピードも高速化し、プリントバッファのアドレス管理も容易になった。
(4)双方向印字を行うとともに2つの主走査にまたがる様なケイ線等の画像データの場合は印字方向を同じにするので、高速化とともにケイ線ズレ等のない高画質の記録を行うことができる。
(5)解像度変換装置、垂直/水平変換のいずれか一方をプリンタ側にもたせること等によって設けた各バッファの容量と各バッファ間の転送のタイミングを最適化することで高速記録ができローコストのファクシミリ装置を提供できるようになった。
【0057】
尚、上記実施例では、特にインクジェット記録方式の中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記録を行うインクジェット方式の装置を例にとり説明した。
【0058】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、米国特許第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0059】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、米国特許第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行うことができる。
【0060】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成としてもよい。
【0061】
加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59-123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59-138461号公報に基づいた構成としてもよい。
【0062】
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0063】
また、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有効である。
【0064】
更に、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでもよいが、異なる色の複色カラー、又は混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置としてもよい。
【0065】
以上説明した本発明実施例においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化するもの、もしくは液体であるもの、あるいは上述のインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0066】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで防止するか、またはインクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとして吐出するものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質のインクとしてもよい。このような場合インクは、特開昭54-56847号公報あるいは特開昭60-71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部又は貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0067】
更に加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、上述のようなファクシミリの形態を採るものの他ワードプロセッサやコンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体又は別体に設けられるもの、リーダ等と組み合わせた複写装置の形態を採るものであってもよい。
【0068】
又、熱エネルギーを用いてインク滴を吐出するものに限らず、ピエゾ素子等を用いてインク滴を吐出するものであってもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上の様に、第1の発明によれば、ファクシミリ部の制御を行う第1制御手段で解像度変換手段を制御し、プリンタ部の制御を行う第2制御手段で横縦変換手段を制御するので、第1制御手段の負荷を軽減することができ、画像データの送信又は受信と記録動作を並列に行う場合でも、記録に要する時間を増大させることなく処理できる。
【0070】
又第2の発明によれば、受信処理を制御する第1制御手段が解像度変換手段及び画像データの配列変換手段のうちのいずれか一方を制御し、記録処理の制御を行う第2制御手段が他方を制御するので、第1制御手段の負荷を軽減することができ、受信動作と記録動作を並列に行う場合でも、記録に要する時間を増大させることなく処理できる。
【0072】
又第3の発明によれば、ファクシミリ部の制御を行う第1制御手段で解像度変換手段を制御し、プリンタ部の制御を行う第2制御手段で横縦変換手段を制御するので、第1制御手段の負荷を軽減でき、更にプリンタ部においてファクシミリ部から転送されてくるデータを復号して記録する様にしたので、ファクシミリ部からプリンタ部へのデータ転送時間を短縮することができ、記録に要する時間の短縮が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明を適用したファクシミリ装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】
図1に示すファクシミリ装置の記録部の構成を示す図である。
【図3】
図1に示すファクシミリ装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】
セントロニクス送信回路にデータを転送する際のフローチャートである。
【図5】
セントロニクス送信回路からセントロニクス受信回路へのデータ転送を示すフローチャートである。
【図6】
プリンタ部におけるデータ処理のフローチャートである。
【符号の説明】
9 排紙ローラ
13 フォトセンサ
21 記録ヘッド
22 記録紙搬送部
23 記録紙検知センサ
27 マーク
104 画像バッファ
105 解像度変換回路
106 全白検知回路
110 セントロニクス送信回路
111 CPU1
201 セントロニクス受信回路
202 レシーブバッファ
203 ラスタバッファ
204 横縦変換回路
205 プリントバッファ
206 プリントバッファ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-06-18 
出願番号 特願平5-299880
審決分類 P 1 652・ 121- YA (H04N)
P 1 652・ 534- YA (H04N)
最終処分 維持  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 加藤 恵一
深沢 正志
登録日 2003-03-07 
登録番号 特許第3406929号(P3406929)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 画像通信装置  
代理人 森島 なるみ  
代理人 内尾 裕一  
代理人 西山 恵三  
代理人 西山 恵三  
代理人 内尾 裕一  

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