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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H02M
管理番号 1104418
異議申立番号 異議2003-72672  
総通号数 59 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-12-06 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-06 
確定日 2004-06-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3402389号「電源装置、放電灯点灯装置および照明装置」の請求項1、3、4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3402389号の請求項1、3、4に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本件特許は、平成5年9月30日(優先権主張:平成5年3月31日)の出願であって、平成15年2月28日付けで設定登録された後、異議申立人三菱電機株式会社により特許異議の申し立てがなされ、取消し理由が通知され、その指定期間内である平成16年4月19日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1において、「・・・前記第1の整流素子および前記抵抗を介して放電することにより、電力を供給される補助電源装置」を、「・・・前記第1の整流素子および前記抵抗を介して放電し、前記スイッチング装置の他方がオンした場合には、前記スナバ回路のコンデンサおよび第2の整流素子を介して前記第2の整流素子の出力を平滑するコンデンサを充電し、電力を供給される補助電源装置」と訂正する。
訂正事項b
「段落0009」において、「【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の・・・電源装置である。」を、「【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の・・前記第1の整流素子および前記抵抗を介して放電し、前記スイッチング装置の他方がオンした場合には、前記スナバ回路のコンデンサおよび第2の整流素子を介して前記第2の整流素子の出力を平滑するコンデンサを充電し、・・・電源装置である。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、また、上記訂正事項bは訂正事項aに伴って付随的に生じる記載の不備を解消するものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、いずれも明細書の段落0029及び第1,第3図に記載されている事項であるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3) むすび
よって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する同法第126条第2,3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.本件発明
上記のとおり訂正が認められるから、本件特許第3402389号の請求項1,3,4に係る発明(以下「本件発明1,3,4」という。)は、訂正明細書の請求項1,3,4に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
【請求項1】直流電源装置の出力端間に互いに直列的に設けられ交互にオンオフする一対のスイッチング装置と;
コンデンサ、抵抗および第1の整流素子を直列に含み、前記コンデンサを直流電源装置の正極側にするとともに、前記第1の整流素子の導通方向を前記スイッチング装置の導通方向と逆向きにして前記スイッチング装置の一方に並列接続されたスナバ回路と;
第2の整流素子およびこの整流素子の出力を平滑するコンデンサを有してなり、前記一方のスイッチング装置がオンした場合には、前記スナバ回路のコンデンサの電荷が、前記一方のスイッチング装置、前記第1の整流素子および前記抵抗を介して放電し、前記スイッチング装置の他方がオンした場合には、前記スナバ回路のコンデンサおよび第2の整流素子を介して前記第2の整流素子の出力を平滑するコンデンサを充電し、電力を供給される補助電源装置電力を供給される補助電源装置と;
を具備したことを特徴とする電源装置。
【請求項3】請求項1または2に記載の電源装置に放電ランプを点灯させる放電灯点灯手段を接続したことを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項4】器具本体内に請求項3記載の放電灯点灯装置を内蔵し、放電ランプを点灯させることを特徴とする照明装置。

4.引用例に記載の発明
当審で通知した取消理由では、異議申立人の提示した証拠に基づき、以下の引用例を通知した。
(1)引用例1(甲第1号証): 実願平1-8002号(実開平2-103792号)のマイクロフィルム
引用例1には、特に以下の記載が認められる。
イ.「直流電源Eと、この直流電源Eの出力に結合され少なくとも1個のスイッチング素子Q1,Q2を含み高周波出力電圧を発生するインバータ部Aと、このスイッチング素子Q1,Q2のいずれかに並列に接続される第1、第2のスナバー回路部F1,F2と、前記高周波出力電圧に結合される負荷回路5と、前記スイッチング素子Q1,Q2をオン・オフ駆動する制御回路部Bと高周波出力電圧が発生するまでの所定期間平滑用コンデンサC2を充電して成る起動回路6とを備え、前記スナバー回路部F2に発生する電圧を前記制御回路部Bの駆動用電源としたものである。」(8頁4行から15行)
ロ.「第2のスナバー回路部F2は、制御電源回路4を兼用して構成されており、その構成は、スイッチング素子Q2の両端に接続されるコンデンサC4と抵抗R3と逆方向に接続される一方向性素子D1との直列回路と、この一方向性素子D1の両端に順方向に接続される平滑用コンデンサとC2と、この平滑用コンデンとC2両端に接続される定電圧ダイオードZD1とから成るものである。」(9頁1から9行)
ハ.「このトランジスタQ3がオン状態になると、直流電源Eから抵抗R4→オン状態のトランジスタQ3→順方向のダイオードD3を介して平滑用コンデンサC2に充電電流が流れる。そして、定電圧ダイオードZD1で制限される所定電圧V1まで平滑用コンデンサC2の両端電圧が上昇し制御回路1の電源となる。」(10頁5行から11行)
ニ.「(スイッチング素子Q2がオフ状態の場合)
この場合には、スイッチング素子Q2の両端にオン状態のスイッチング素子Q1を介して直流電源Eの電圧が印加され、(第2図(b)に示すVQ2)、この直流電圧VQ2がコンデンサC4と抵抗R3と平滑用コンデンサC1との直列回路に印加され、平滑用コンデンサC1が充電される。」(10頁14行から20行)
ホ.「(スイッチング素子Q2がオン状態の場合)
この場合には、スイッチング素子Q2の両端が短絡状態となるために、コンデンサC4に蓄積されていた電荷がコンデンサC4→オン状態のスイッチング素子Q2→順方向のダイオードD1→抵抗R3の閉回路により放出される。この時のパルス状の放電電流は第2図(C)ID1により示される。
以上のようなスイッチング素子Q1,Q2のオン・オフ動作により、第2のスナバー回路部F2を介して、平滑用コンデンサC2が充電されるのである。」(11頁3行から13行)
ヘ.「第2のスナバー回路F2を利用して平滑用コンデンサC2を充電しているので、新たな経路要素及び損失の増加のないインバータ装置を提供できる。」(12頁5行から8行)
以上の記載によれば、引用例1には、
「直流電源の出力端子間に互いに直列に設けられ交互にオンオフする一対のスイッチング素子を含むインバータ部Aと、
この一対のスイッチング素子に並列に接続される第1、第2のスナバー回路部F1,F2と、前記スイッチング素子をオン・オフ駆動する制御回路部Bと、
前記スナバー回路部F2は、スイッチング素子Q2の両端に接続されるコンデンサC4、抵抗R3と逆方向に接続されるダイオードD1との直列回路と、このダイオードD1の両端に順方向に接続されるダイオードD2を介して接続される平滑用コンデンサC2からなり、
前記スイッチング素子Q2がオフした場合は、直流電源からオン状態の前記スイッチング素子Q1,前記コンデンサC4、抵抗R4、ダイオードD2を介して平滑用コンデンサC2が充電され、前記スイッチング素子Q2がオンした場合は、コンデンサC4に蓄積された電荷がコンデンサC4,オン状態のスイッチング素子Q2,順方向のダイオードD1,抵抗R3の閉回路により放出されることにより、充電される制御回路電源を備えたインバータ装置。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

(2)引用例2(甲第2号証): 特開平3-230406号公報
引用例2の「第6図及び第7図に関する記載(3頁右下欄19行から4頁右下欄13行)によれば、
ト.「電源装置としてインバータを備えるとともに、ランプを点灯するための点灯回路を備えてなる点灯装置。」
チ.「上記点灯装置を内蔵し、ランプを点灯させる照明装置。」
の各構成が記載されているものと認められる。

5.対比・判断
5.1 本件発明1について
本件発明1と引用発明を対比すると、引用発明の「直流電源」は本件発明1の「直流電源装置」に相当し、以下同様に「スイッチング素子Q1」は「他方のスイッチング装置」に、「スイッチング素子Q2」は「一方のスイッチング装置」に、「ダイオードD1」は「第1の整流素子」に、「ダイオードD2」は「第2の整流素子」に、「平滑コンデンサC2」は「第2の整流素子の出力を平滑するコンデンサ」に、「制御回路電源」は「補助電源装置」に、「インバータ装置」は「電源装置」にそれぞれ相当し、引用発明の「スナバー回路部F2」が本件発明1の「スナバ回路」に対応するものと認められるから、
両者は、「直流電源装置の出力端間に互いに直列的に設けられ交互にオンオフする一対のスイッチング装置と;
コンデンサ、抵抗および第1の整流素子を直列に含み、前記コンデンサを直流電源装置の正極側にするとともに、前記第1の整流素子の導通方向を前記スイッチング装置の導通方向と逆向きにして前記スイッチング装置の一方に並列接続されたスナバ回路と;
第2の整流素子およびこの整流素子の出力を平滑するコンデンサを有してなり、前記一方のスイッチング装置がオンした場合には、前記スナバ回路のコンデンサの電荷が、前記一方のスイッチング装置、前記第1の整流素子および前記抵抗を介して放電し、電力を供給される補助電源装置電力を供給される補助電源装置と;
を具備したことを特徴とする電源装置。」で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
本件発明1が「前記スイッチング装置の他方がオンした場合には、前記スナバ回路のコンデンサおよび第2の整流素子を介して前記第2の整流素子の出力を平滑するコンデンサを充電し」と規定しているのに対し、引用発明は「前記スイッチング素子Q2がオフした場合は、直流電源からオン状態の前記スイッチング素子Q1,前記コンデンサC4、抵抗R4、ダイオードD2を介して平滑用コンデンサC2が充電され」と規定し、平滑コンデンサC2に充電する際抵抗R4を介する点で相違する。

[相違点の検討]
上記相違点について検討する。
スナバ回路の構成として、両者ともに正極側からコンデンサ、抵抗、第1の整流素子の直列回路を構成している点で一致するが、補助電源へ充電するための第2の整流素子の接続位置が本件発明1ではコンデンサと抵抗の間であるのに対し、引用発明では、抵抗と第1の整流素子の間である点で相違する。そして、この構成の相違により、補助電源への充電時に引用発明では生じてしまう抵抗での電力損失が、本件発明1では生じない点で一応の効果が認められる。
しかしながら、引用例1の従来例として掲げられた第1図の構成において、スイッチング素子Q1に並列に接続されているスナバ回路(F10,F20)のように、抵抗とコンデンサの直列回路から構成されるものが基本的なものとして知られている。該スナバー回路では、スイッチング素子がオフの場合に発生する高電圧によりコンデンサが充電される場合と、該コンデンサの電荷を放電する場合の両方の場合で、抵抗による電力損失が生じ、その損失が大きいことも知られている。
そして、引用例1の第1図におけるスイッチング素子Q1に並列に接続するスナバー回路部F1は上記基本的なスナバー回路であり、スイッチング素子Q2に並列に接続するスナバー回路部F2は、該基本的なスナバー回路すなわちコンデンサと抵抗の直列回路にさらにダイオードを付加することにより構成されている。すなわち、引用発明のスナバー回路部F2は、コンデンサと抵抗の直列回路からなる基本的なスナバー回路の外部にダイオードD1,D2を設けることによりコンデンサ充電時の電流を利用して制御回路電源を充電するものに改良していると言える。
一方、スナバー回路には、このように単に抵抗とコンデンサを直列に接続するだけでなく、それらの接続点にダイオードを接続する点、及び、それによりコンデンサへの充電時に前記抵抗に充電電流が流れないようにしたものも、例えば、実願昭55-122797号(実開昭57-47888号)のマイクロフィルム(第1図に関する記載)、実願昭59-8950号(実開昭60-121335号)のマイクロフィルム(第1図に関する記載)に記載されているように周知のものにすぎない。
それ故、引用発明において、コンデンサと抵抗の直列回路で構成されたスナバー回路の外部にダイオードD2を接続し、かつ、制御回路電源を充電していた構成を、前記直列回路の内部、すなわち、コンデンサと抵抗の接続点に前記制御回路を充電していたダイオードD2を接続する構成とし、その結果、「前記スイッチング素子Q1(本件発明1の「スイッチング装置の他方」に相当)がオンした場合には、前記スナバー回路のコンデンサおよびダイオードD2(本件発明1の「第2の整流素子」に相当)を介して前記ダイオードD2の出力を平滑するコンデンサC2を充電する」構成を得ること、すなわちスナバー回路のコンデンサの充電電流により制御回路電源を充電する時には、スナバー回路の直列抵抗に電流が流れないようにすることに、格別の困難性が認められない。

5.2 本件発明3について
本件発明3は、請求項1に係る発明(または請求項2に係る発明)に、さらに「放電ランプを点灯させる放電灯点灯手段を接続したこと」との構成を付加したものであるが、このような構成は引用例2(上記4.(2)ト.参照)に記載されているように周知の技術にすぎないと認められるので、本件発明1を引用例1に基づいて発明する際、さらに、このような構成を付加することは、当業者が必要に応じて適宜実施し得ることにすぎないと認められる。
したがって、本件発明3は、引用例1記載の発明及び引用例2に記載の周知技術に基づいて容易に当業者が発明をすることができたものである。

5.3 本件発明4について
本件発明4は、請求項3に係る発明にさらに構成を付加して「器具本体内に請求項3記載の放電灯点灯装置を内蔵し、放電ランプを点灯させることを特徴とする照明装置。」としたものであるが、このような構成は、引用例2(上記4.(2)チ.参照)に記載されているように周知の技術にすぎないと認められるので、本件発明3を引用例1に基づいて発明する際、さらに、このような構成を付加することは、当業者が必要に応じて適宜実施し得ることにすぎないと認められる。
したがって、本件発明4は、引用例1に記載の発明及び引用例2に記載の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本件発明1、3,4は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明1,3,4についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電源装置、放電灯点灯装置および照明装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】直流電源装置の出力端間に互いに直列的に設けられ交互にオンオフする一対のスイッチング装置と;
コンデンサ、抵抗および第1の整流素子を直列に含み、前記コンデンサを直流電源装置の正極側にするとともに、前記第1の整流素子の導通方向を前記スイッチング装置の導通方向と逆向きにして前記スイッチング装置の一方に並列接続されたスナバ回路と;
第2の整流素子およびこの整流素子の出力を平滑するコンデンサを有してなり、前記一方のスイッチング装置がオンした場合には、前記スナバ回路のコンデンサの電荷が、前記一方のスイッチング装置、前記第1の整流素子および前記抵抗を介して放電し、前記スイッチング装置の他方がオンした場合には、前記スナバ回路のコンデンサおよび第2の整流素子を介して前記第2の整流素子の出力を平滑するコンデンサを充電し、電力を供給される補助電源装置と;
を具備したことを特徴とする電源装置。
【請求項2】インダクタ装置、第1のスイッチング装置およびこの第1のスイッチング装置の発振制御装置を有するチョッパ回路と;
第2のスイッチング装置、この第2のスイッチング装置を始動させる始動回路および前記第2のスイッチング装置に並列的に設けられたスナバ回路を有し、自己の出力の一部を帰還して発振する自励形のインバ-タ回路と;
このインバ-タ回路の出力を制御可能な出力制御装置と;
このインバ-タ回路の出力にて付勢される負荷と;
前記インバ-タ回路の前記第2のスイッチング装置がオンした場合には、前記スナバ回路のコンデンサの電荷が、前記第2のスイッチング装置、前記第1の整流素子および前記抵抗を介して放電することにより、前記スナバ回路から電力を取出し少なくとも前記発振制御装置に電力供給する相対的に小容量な第1の補助電源装置と;
前記インダクタ装置から電力を取出し前記発振制御装置および前記出力制御装置に電力供給する相対的に大容量な第2の補助電源装置と;
を具備したことを特徴とする電源装置。
【請求項3】請求項1または2に記載の電源装置に放電ランプを点灯させる放電灯点灯手段を接続したことを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項4】器具本体内に請求項3記載の放電灯点灯装置を内蔵し、放電ランプを点灯させることを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、直流電圧をスイッチング装置を用いて高周波電圧に変換するインバータ回路を有する電源装置、放電灯点灯装置および照明装置に関する。
【従来の技術】従来、この種電源装置は各種のものが知られている。また、近時、入力力率を高めながら入力電流の歪も小さく抑える目的から、昇圧チョッパとインバ-タとを組合わせてなる電源装置も提案されている。このような電源装置としては、例えば図7に示すような構成のものが知られている。同図に示す回路は、図示しない電源に接続されたインダクタL1、スイッチング装置SおよびダイオードD1を有するチョッパ回路1に、平滑用のコンデンサCを介してインバータ4が接続されている。そして、インダクタL1に2次巻線L2を設け、この2次巻線L2にコンデンサC1、コンデンサC3、ダイオードD2、ダイオードD4、および抵抗R2を接続して第1の補助直流電源装置を構成している。そしてこの第1の補助直流電源装置にチョッパ制御回路2およびインバータ制御回路3が接続され、インバータ制御回路3は起動用の抵抗R1を介して電源にも接続されている。
一方、インバータ回路4は、ハーフブリッジ形の2つのスイッチング素子Q1,Q2を有しており、これらスイッチング素子Q1,Q2のうちの一方のスイッチング素子Q2には、コンデンサC4およびダイオードD5からなるスナバ回路が設けられている。このスナバ回路のコンデンサC4とダイオードD5との中間からは、ダイオードD6およびコンデンサC5を介してチョッパ制御回路2に電力を供給するようになっている。すなわち、前記ダイオードD6およびコンデンサC5は第2の補助直流電源装置を構成している。
そして、電源が投入されると、起動用の抵抗R1を介してインバータ制御回路3が起動し、インバータ回路4の動作により前記スナバ回路、ダイオードD6およびコンデンサC5(第2の補助直流電源装置)を介して電力を供給されてチョッパ制御回路2が動作し、チョッパ回路1が起動する。その後、チョッパ回路1におけるインダクタL1の2次巻線L2出力によりチョッパ制御回路2およびインバータ制御回路3を動作させ、チョッパ制御回路2およびインバータ制御回路3を駆動している。
ところが、同図に示す従来例の場合には制御回路の消費電流が増加すると、スナバ回路を構成し、かつ、電源インピーダンスとなるコンデンサC4の容量を増加させなければならなくなる。しかしながら、コンデンサC4の容量を増加させると、インバータ回路4のスイッチング素子Q2がオフ時にコンデンサC4に蓄積される電荷が多くなり、スイッチング素子Q2がオンのときに、図6にスイッチング素子Q2の電流波形を示すように、急峻な過電流成分が発生し、スイッチング動作に異常を来す虞がある。
また、図7のものは、起動用の抵抗R1を介して電源からインバ-タ制御回路に電力を供給するようにしているため、この起動用の抵抗R1による出力損失が大きいという問題がある。そして、図7の電源装置の立上がり時間を速くしようとすると、前記起動用の抵抗R1の抵抗値を小さくする必要があり、この場合、一層電力損失が増加する。
【発明が解決しようとする課題】上述のように、図7に示す従来の場合には、制御回路の電源インピーダンスを増加させると、インバータ回路のスイッチング素子のスイッチング動作に異常を来す虞があった。また、電力損失が比較的大きいという問題もある。
そこで本発明は、上記のような不都合を解消するものであり、インバータ回路のスイッチング素子のスイッチング動作の異常を誘発することなく、制御回路に必要な電力を供給でき、また、電力損失の軽減も可能な電源装置、放電灯点灯装置および照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、直流電源装置の出力端間に互いに直列的に設けられ交互にオンオフする一対のスイッチング装置と、コンデンサ、抵抗および第1の整流素子を直列に含み、前記コンデンサを直流電源装置の正極側にするとともに、前記第1の整流素子の導通方向を前記スイッチング装置の導通方向と逆向きにして前記スイッチング装置の一方に並列接続されたスナバ回路と、第2の整流素子およびこの整流素子の出力を平滑するコンデンサを有してなり、前記一方のスイッチング装置がオンした場合には、前記スナバ回路のコンデンサの電荷が、前記一方のスイッチング装置、前記第1の整流素子および前記抵抗を介して放電し、前記スイッチング装置の他方がオンした場合には、前記スナバ回路のコンデンサおよび第2の整流素子を介して前記第2の整流素子の出力を平滑するコンデンサを充電し、電力を供給される補助電源装置とを備えた電源装置である。
請求項2に記載の発明は、インダクタ装置、第1のスイッチング装置およびこの第1のスイッチング装置の発振制御装置を有するチョッパ回路と、第2のスイッチング装置、この第2のスイッチング装置を始動させる始動回路および前記第2のスイッチング装置に並列的に設けられたスナバ回路を有し、自己の出力の一部を帰還して発振する自励形のインバ-タ回路と、このインバ-タ回路の出力を制御可能な出力制御装置と、このインバ-タ回路の出力にて付勢される負荷と、前記インバ-タ回路の前記第2のスイッチング装置がオンした場合には、前記スナバ回路のコンデンサの電荷が、前記第2のスイッチング装置、前記第1の整流素子および前記抵抗を介して放電することにより、前記スナバ回路から電力を取出し少なくとも前記発振制御装置に電力供給する相対的に小容量な第1の補助電源装置と、前記インダクタ装置から電力を取出し前記発振制御装置および前記出力制御装置に電力供給する相対的に大容量な第2の補助電源装置と、を具備したことを特徴とする電源装置である。
また、請求項3に記載の発明の放電灯点灯装置は、請求項1または2記載の電源装置に放電ランプを点灯させる放電灯点灯手段を接続したことを特徴とする。
さらに、本発明の照明装置は、器具本体内に上記放電灯点灯装置を内蔵し、放電ランプを点灯させることを特徴とする。
【作用】請求項1記載の発明によれば、スナバ回路を構成する直列回路には抵抗が介挿されているため、コンデンサが放電するときの急峻な過電流成分を抑制できるため、そのコンデンサの容量を大きくすることが可能になり、よって、補助直流電源装置の電源インピーダンスを低下させることができる。
請求項2記載の発明によれば、チョッパ回路の発振制御装置、インバ-タ回路の出力制御装置のいずれにも図7のような起動用の抵抗が不要である。電源を投入することにより、インバ-タ回路の第2のスイッチング装置が始動回路により始動し、その後自己の出力により自励発振する。これにより、スナバ回路に電圧が発生し、第1の補助電源装置はこの電圧に応じてチョッパ回路の発振制御装置に電力を供給する。チョッパ回路の発振制御装置が作動すると、チョッパ回路は所定の出力を発生するようになり、インダクタにも所定の電圧が発生するから、これ以降は主として第2の補助電源装置から前記発振制御装置および出力制御装置に電力を供給する。
請求項3に記載の発明は、上記1または2記載の発明の電源装置にて放電灯が点灯される。
請求項4に記載の発明は、上記3記載の発明の放電灯点灯装置にて放電灯が点灯される照明器具となる。
【実施例】以下,図面を用いて本発明の実施例を説明する。
図2において、11は器具本体で、この器具本体11の下面には反射面が形成され、この反射面の両端にランプソケット12,12が取り付けられ、これらランプソケット12,12間には放電ランプFLが接続されている。また器具本体11には図1に示す回路が内蔵されている。
図1に示すように、商用交流電源Eに全波整流器21が接続され、この全波整流器21には力率改善、高調波対策用の昇圧チョッパ回路22が接続されている。この昇圧チョッパ回路22は、インダクタL11、スイッチング装置Q11としての電界効果トランジスタおよびダイオードD11にて構成されている。
そして、この昇圧チョッパ回路22の出力端子には、平滑用のコンデンサC11を介して、高周波変換用のインバータ回路23が接続されている。
このインバータ回路23は、ハーフブリッジ形に設けられたスイッチング装置Q12、Q13としてのトランジスタを主として構成され、このスイッチング装置Q12のベース、エミッタ間には、たとえば可飽和形である変流器Tr1の制御巻線Tr1bが接続され、スイッチング装置Q13のベース、エミッタ間には、変流器Tr1の制御巻線Tr1cが接続され、スイッチング装置Q12のエミッタおよびスイッチング装置Q13のコレクタ間と全波整流器21の負極との間には、変流器Tr1の入力巻線Tr1aが接続されている。
さらに、インバータ回路23には、直流カット用のコンデンサC12およびチョークコイルL12を介して放電ランプFLのフィラメントが接続され、これらフィラメントの非電源側端子間には、始動用のコンデンサC13が接続されている。
また、昇圧チョッパ回路22のインダクタL11には出力巻線L13が磁気的に結合され、この出力巻線L13の一端は全波整流器21の負極に接続され、他端はダイオードD12およびコンデンサC14を介して前記負極に接続されている。そしてこれらダイオードD12およびコンデンサC14の接続点には、昇圧チョッパ回路22のスイッチング装置Q11を制御する発振制御装置24が接続されている。
一方、スイッチング装置Q13には、コンデンサC15、限流抵抗R12および第1の整流素子D15としてのダイオードからなるスナバ回路が図示の関係接続されている。このスナバ回路のコンデンサC15と抵抗R12との中点には、第2の整流素子D13としてのダイオードが接続され、さらに、この第2の整流素子D13の出力を平滑するコンデンサC17が設けられている。この第2の整流素子D13およびコンデンサC17は補助電源装置を形成している。そして、この補助直流電源装置の出力はインバータ23の出力を制御する出力制御回路25に供給されるようになっている。前記出力制御装置25は、本実施例では前記変流器Tr1を制御し、もって、変流器Tr1の飽和時間、スイッチング装置Q12、Q13のスイッチング周波数を変化させて出力を変化させるものである。
さらに、この補助直流電源装置の出力は、抵抗R11およびダイオードD15を介してチョッパの発振制御装置24に供給されるようになされている。
なお、図1では省略したが、図7のような起動用の抵抗、あるいは周知のインバ-タ23始動回路が適宜設けられる。
次に、上記図1に示す回路の実施例の動作について説明する。まず、商用交流電源Eの電圧を全波整流器21で全波整流し、昇圧チョッパ回路22では、スイッチング装置Q11が動作していないため昇圧動作せず、前記起動用の抵抗、あるいは周知のインバ-タ23始動回路により、先にインバータ23が作動する。このインバータ23が動作すると、スナバ回路のコンデンサC15を介して補助直流電源装置が充電され、出力制御装置25に電力を供給するとともに、発振制御装置24にも電力を供給する。これにより、発振制御装置24は昇圧チョッパ回路22を動作させる。そして、昇圧チョッパ回路22が動作を始めると、この昇圧チョッパ回路22のインダクタL11に設けられた出力巻線L13出力により、発振制御装置24に電力が供給される。
その後、昇圧チョッパ回路22により、力率を向上させるとともに、高調波を抑制して昇圧し、インバータ23で高周波に変換して放電ランプFLを高周波点灯させる。
ここで、出力制御装置25および発振制御装置24の電源を構成するスナバ回路および補助直流電源装置の動作について説明すると、図3に示すようにインバータ23のスイッチング装置Q12およびQ13が交互にスイッチングして、同図(a)に示すように、スイッチング装置Q12がオン、スイッング装置Q13がオフのとき、コンデンサC15をおよび第2の整流素子D13を介してコンデンサC17を充電するとともに、各制御装置25、24に電力を供給する。また、同図(b)に示すように、インバータ23のスイッチング装置Q12がオフ、スイッチング装置Q13がオンした場合には、コンデンサC15の電荷はスイッチング装置Q13、第1の整流装置D15および限流抵抗R12を介した閉ループで放電されるため、その限流抵抗R12により、コンデンサC15が放電するときの急峻な過電流成分の発生を抑制する。
したがって、インバータのスイッチング素子の異常動作を来すことなくコンデンサC15の容量を大きくすることが可能で、補助直流電源装置の電源インピーダンスを低下させることができるようになる。
また、この図1に示すようにインバータ23を必ず先に動作させると、昇圧チョッパ回路22が軽負荷により必要以上に電圧が上昇することがなくなり、信頼性が向上するという利点がある。
なお、本実施例では、補助直流電源装置の電力を主としてインバ-タの出力制御装置に供給するものであったが、この他、主としてチョッパの発振制御装置に供給するもの、主として両方に供給するもの、あるいはそれ以外のものに供給するものであってもよいものである。また、この発明においては、チョッパとの組合せを必須とするものでもない。
次に、他の実施例を図4を用いて説明する。
同図に示す回路は、図1に示した回路において、インダクタL11の出力巻線をなくし、昇圧チョッパ22の始動後も、発振制御装置24は補助直流電源装置の出力により動作されるものである。
したがって、同図に示した回路の場合も、インバータ23が必ず先に動作するので、昇圧チョッパ22が軽負荷により必要以上に電圧が上昇することがなくなり、信頼性が向上するという利点がある。
図5を参照して他の実施例を説明する。図1と同じあるいは対応する部分には同じ符号を付して説明を省略する。本実施例におけるインバ-タ30は主として自己の出力の一部を帰還して発振する自励形のものであり、図1のものと同様に変流器Tr1を有している。また、始動回路31を有している。この始動回路31は、時定数回路CR、トリガ素子T等にて構成されるもので、それ自体は周知のものである。そして、この始動回路31の電流は図7の起動用抵抗に比し小さくてよいから、この始動回路31による電力損失はわずかである。さらに、図1あるいは図6のもののように、第2のスイッチング装置Q13としてのトランジスタと並列的にスナバ回路を設け、このスナバ回路から電力を取出す第1の補助電源装置32を有している。この第1の補助電源装置32はチョッパ22の発振制御装置24に対し、電力を供給するようになっている。そして、この第1の補助電源装置32は、後述する第2の補助電源装置33との関係において、相対的に小容量の電源装置を構成する。
チョッパ22のインダクタL11には、図1のものと同様に出力巻線L13を設け、この出力巻線L13の出力を整流、平滑して第2の補助電源装置33を構成している。そして、この第2の補助電源装置33は前記第1の補助電源装置32より相対的に大きい容量に構成されており、前記発振制御装置24、出力制御装置25に電力を供給する。本実施例において、第1の補助電源装置32と第2の補助電源装置33とは、平滑用のコンデンサC18を共用している。
本実施例の作用を図6を参照して説明する。電源Eをt1にて投入する(図6(a))ことにより、インバ-タ30のスイッチング装置Q13が始動回路31により始動し、その後自己の出力により自励発振する(図6(c))。これにより、スナバ回路に電圧が発生し、第1の補助電源装置32の電圧(C18の電圧)がチョッパ22の発振制御装置24の作動電圧Vcに達すると(図6(d))、発振制御装置24が作動し、チョッパ22は所定の出力を発生するようになり(図6(b))、インダクタL11にも所定の電圧が発生するから、これ以後は主として第2の補助電源装置33から前記発振制御装置24および出力制御装置25に電力を供給する。また、これにより、出力制御装置25も作動可能電圧を供給されるようになる。
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、補助直流電源装置に電力を供給するスナバ回路には抵抗が介挿されているため、コンデンサが放電するときの急峻な過電流成分を抑制できるため、そのコンデンサの容量を大きくすることが可能で、よって、補助直流電源装置の電源インピーダンスを低下させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、起動用抵抗を不要にでき、したがって、電力損失を低減できる。
請求項3に記載の発明は、上記1または2記載の発明の電源装置にて放電灯を点灯することにより、上記した効果を奏する放電灯点灯装置を提供できる。
請求項4に記載の発明は、上記3記載の発明の放電灯点灯装置にて放電灯が点灯される照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放電灯点灯装置の一実施例を示す回路図である。
【図2】同上照明装置の外観を示す斜視図である。
【図3】実施例における回路動作を示す説明図である。
【図4】本発明の放電灯点灯装置の他の実施例を示す回路図である。
【図5】本発明の放電灯点灯装置のさらに他の実施例を示す回路図である。
【図6】図5に示す実施例の作用を説明する図である。
【図7】従来の放電灯点灯装置を示す回路図である。
【図8】図7に示す回路の波形図である。
【符号の説明】
22…昇圧チョッパ、 23…インバータ、 24…発振制御装置、 25…出力制御装置、 31…始動回路、 32…第1の補助直流電源装置、 33…第2の補助直流電源装置、 FL…放電ランプ、 C15…コンデンサ、 D15…ダイオード、 R11…抵抗。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-05-13 
出願番号 特願平5-245689
審決分類 P 1 652・ 121- ZA (H02M)
最終処分 取消  
前審関与審査官 川端 修  
特許庁審判長 三友 英二
特許庁審判官 村上 哲
岩本 正義
登録日 2003-02-28 
登録番号 特許第3402389号(P3402389)
権利者 東芝ライテック株式会社
発明の名称 電源装置、放電灯点灯装置および照明装置  
代理人 和泉 順一  
代理人 和泉 順一  
代理人 宮田 金雄  
代理人 高瀬 彌平  
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