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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する G01N
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G01N
管理番号 1105031
審判番号 訂正2004-39174  
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-11-01 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2004-07-21 
確定日 2004-09-14 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2862074号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2862074号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、特許第2862074号(平成4年2月3日に出願した特願平4-48063号の一部を平成8年3月13日に新たな特許出願とした特願平8-56229号に係るものであって、平成10年12月11日に設定登録がされた。)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記訂正事項a、bのとおりに訂正することを求めるものである。
訂正事項a
【特許請求の範囲】【請求項1】において、「a)気密に設けられた試料観察室と、」とあるのを「a)気密に設けられた試料観察室と該試料観察室に設けられた操作開口には手袋が気密に取り付けられると共に、」と訂正する。
訂正事項b
【発明の詳細な説明】【0009】【課題を解決するための手段】において、「上記課題を・・・・・・ a)気密に設けられた試料観察室と、」とあるのを「上記課題を・・・・・・ a)気密に設けられた試料観察室と該試料観察室に設けられた操作開口には手袋が気密に取り付けられると共に、」と訂正する。
2.当審の判断
訂正事項aは、請求項1において「a)気密に設けられた試料観察室」が、「該試料観察室に設けられた操作開口には手袋が気密に取り付けられる」ものであるという限定を付加するものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。この訂正は、明細書の【0013】の記載に基づくものである。
訂正事項bは、訂正事項aにより訂正された請求項1の記載との整合を図るため発明の詳細な説明の記載を訂正するもので、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項a,bは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正後の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない、とする理由を発見しない。
3.むすび
以上のとおりであるから、本件審判請求に係る訂正は、平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、改正前の特許法第126条第1項ないし第3項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
雰囲気制御探針走査型顕微鏡
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 a)気密に設けられた試料観察室と該試料観察室に設けられた操作開口には手袋が気密に取り付けられると共に、b)試料観察室内で先端が試料の表面の近傍に来るように設けられた探針と、c)探針の先端が試料表面に沿って移動するように探針又は試料を3次元的に駆動する探針移動手段と、d)試料観察室内のガスを排出するガス排出手段と、e)試料観察室内にガスを導入するガス導入手段と、f)試料観察室内のガス圧力を検出する圧力センサを備えることを特徴とする探針走査型顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope)、走査型トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscope)等の探針走査型顕微鏡(SPM=Scanning Probe Microscope又はSXM)に関する。
【0002】
【従来の技術】原子間力顕微鏡(AFM)では、尖鋭な先端を有する探針をカンチレバーの先端に取り付け、探針の先端を試料表面の極く近傍(探針の先端と試料表面との間の距離は1nm=10-9mのオーダー)に近づける。この状態で探針を試料の表面に沿って走査させると、探針の先端の原子と試料表面の原子との間に働くファンデルワールス力や斥力により探針は上下に移動し、それに伴ってカンチレバーがたわむ。x-y平面内で探針を走査する間のこのカンチレバーのたわみ(z座標)をレーザー光等によって検出することにより、試料の表面形状の3次元像(凹凸像)を得ることができる。通常は、このカンチレバーのたわみが一定となるようにカンチレバーの高さをフィードバック制御し、試料表面の各点におけるカンチレバーの高さにより試料表面の凹凸像を得る。
【0003】また、走査型トンネル顕微鏡(STM)では、同じく試料の表面の極く近傍に探針を対向配置し、試料と探針との間に電圧を印加する。この電圧を適度に調節することにより、試料と探針との間にはトンネル電流が流れるようになる。STMではこのトンネル電流が一定となるように両者間の間隔を制御しながら探針で試料表面を走査することにより、試料表面の形状を得る。
【0004】このように、探針で試料の表面を走査することにより試料表面の形状を測定する顕微鏡には、これらの他に、レーザ力顕微鏡(LFM=Laser Force Microscope)、磁気力顕微鏡(MFM=Magnetic Force Microscope)、走査イオン伝導顕微鏡(SICM=Scanning Ion-Conductance Microscope)、走査容量顕微鏡(SCM=Scanning Capacitance Microscope)等がある。これらはいずれも探針を原子オーダーで試料の表面に近づけるため、非常に高い解像度(倍率)が得られるという特徴を有する。
【0005】現在、AFMやSTMは主として金属や半導体等の非生体試料の観察を対象としているため、試料は超高真空の試料室内に入れられ、加熱又は劈開により清浄な表面を得るようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】蛋白質やDNA等の生体試料を観察する場合、これらを真空中にセットすると形態が常圧の場合とは大幅に異なってしまう可能性がある。そのため、生体試料の観察は従来より大気中において行われていた。
【0007】しかし、この場合、試料も探針も、何の保護設備もない状態で観察することになるため、大気中の汚染物質が試料や探針に付着するおそれがある。ところが、AFMやSTMの解像度(倍率)は上記の通り非常に高いため、このような汚染物質が試料の表面に付着した状態で観察を行った場合、何を観察しているのか分からなくなる。また、生体試料は真空中では凝集してしまうため、個別の試料の像を得ることができないという問題点もある。
【0008】これらの問題はAFMやSTMに限らず、種々の探針走査型顕微鏡(SPM)で生体試料を観察しようとする場合には必ず生じるものである。本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、探針走査型顕微鏡(SPM)で試料を観察する際の雰囲気を任意に制御し、生体試料に関しても、そのままの状態で観察することができるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために成された本発明に係る雰囲気制御探針走査型顕微鏡は、a)気密に設けられた試料観察室と該試料観察室に設けられた操作開口には手袋が気密に取り付けられると共に、b)試料観察室内で先端が試料の表面の近傍に来るように設けられた探針と、c)探針の先端が試料表面に沿って移動するように探針又は試料を3次元的に駆動する探針移動手段と、d)試料観察室内のガスを排出するガス排出手段と、e)試料観察室内にガスを導入するガス導入手段と、f)試料観察室内のガス圧力を検出する圧力センサを備えることを特徴とする。
【0010】本発明は、上記のような構成をとることによって、ガス排出手段dにより試料観察室a内のガス(通常、大気)を一旦すべて排出した後、ガス導入手段eにより試料観察室a内に別のガスを圧力センサfで検出しながら任意の圧力となるまで導入する。これにより、試料観察室内の雰囲気を任意のものに制御することができる。その後、探針移動手段cにより探針bを試料の表面に沿って走査することにより、試料の表面形状の3次元像を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明を原子間力顕微鏡(AFM)に適用した例を図1〜図5により説明する。本実施例のAFMは図1に示す通り、大別すると観察部10、制御部11及びコンソール部12から構成される。観察部10では、エアサスペンション16により支えられたテーブル15上にメインチェンバ14が設けられている。メインチェンバ14は気密に組み立てられており、複数の透視窓(図1に示されている斜上方透視窓17及び前面透視窓18の他に、上面にも2個の図示せぬ透視窓が設けられている)と2個の操作開口20、21が設けられている。
【0012】図2(a)に示すように、メインチェンバ14の中には試料ステーション23が設けられている。試料ステーション23において、試料24はピエゾドライバ25の上面に載置される。試料観察の際は、試料24の上部に設けられたカンチレバー保持機構の粗移動モータにより、カンチレバー26の先端に取り付けられた探針が試料24の近傍に来るようにセットされる。その後、ピエゾドライバ25により試料24を僅かずつ持ち上げ(z方向に移動する)、試料表面と探針の先端との距離を更に小さくしてゆく。両者の間の原子間力によりカンチレバー26が所定量だけたわんだ時点でピエゾドライバ25のz方向の移動を停止し、次に試料24を同じくピエゾドライバ25によりx-y平面内で走査する。このように走査を行っている間、カンチレバー保持機構ではカンチレバー26のたわみ量をレーザ27からカンチレバーに照射したレーザ光の振れ角により検出し、制御部11に送信する。制御部11ではこのカンチレバー26のたわみ量が常に一定となるようにピエゾドライバ25をz方向に駆動し、試料24を上下に移動させる。こうして所定の領域についての走査が終了したとき、試料24の表面形状の3次元像が得られる。
【0013】図3に示すように、メインチェンバ14の側壁には試料導入パイプ30が接続されており、試料導入パイプ30の途中には、前後をバルブ32、33で挟まれた試料チェンバ31が設けられている。また、メインチェンバ14の他の方向の側壁に設けられた操作開口20、21には、それぞれ、ゴム手袋35、36が気密に取り付けられており、また、ゴム手袋35、36を引き出した後は各操作開口20、21を気密に遮蔽することのできるシャッタ37、38も設けられている。
【0014】本実施例のAFMでは、メインチェンバ14内のガス雰囲気を制御することができる。そのためのガス系統はテーブル15の下に設けられており、その配管等は図4に示す通りとなっている。本実施例のAFMでは、メインチェンバ14内のガス(最初は空気)を排出するために、ロータリーポンプ(RP)41及びターボ分子ポンプ(TMP)40を使用している。また、メインチェンバ内を別のガス(例えばアルゴンガス等)で満たす場合のために、ガスボンベ49を接続するためのターミナル48を備えている。ガス系統には更に、これらのポンプ40、41やボンベ49とメインチェンバ14、試料チェンバ31及び操作開口20、21のシャッタ37、38とゴム手袋35、36との間の空間を接続するためのパイプ42及び種々のバルブ43、44、45、46、47が含まれる。
【0015】本実施例のAFMにより生体試料を観察する際の手順を図5のフローチャートに従い説明する。最初に、ゴム手袋35、36を外部に引き出した後、シャッタ37、38により両操作開口20、21を閉鎖するとともに、バルブ33を閉鎖する(ステップS1)。そしてバルブ43、47を開け、真空ポンプ40、41によりガス排出口39からメインチェンバ14内の空気を排出する(ステップS2)。これにより、汚染物質を含んだ空気がメインチェンバ14内から排出される。メインチェンバ14内の空気を十分に排出した後バルブ47を閉じ、ガスボンベ49へのバルブ46を開けて所定の雰囲気ガスをメインチェンバ14に導入する(ステップS3)。メインチェンバ14内のガス圧力が所定値に達した時点で(メインチェンバ14内のガス圧力は、圧力センサ34により検出される)バルブ46を閉鎖する。こうして、メインチェンバ14内の雰囲気が、汚染された空気から清浄なガスに完全に入れ換えられたことになる。ここで、生体試料を観察する場合には、新しいガス雰囲気としては、不活性ガス(アルゴンガス、ヘリウムガス等。窒素ガスでもよい。)と水蒸気との混合ガスを1気圧にして使用するのが望ましい。もちろん、他の種類の試料を観察する場合には、ガスボンベ49を取り替えるだけで任意のガスに置換することができ、また、その圧力も任意の値に設定することができる。
【0016】観察しようとする試料はまず試料チェンバ31に入れる(ステップS4)。この試料チェンバ31内の空気も、上記メインチェンバ14の場合と同様に、バルブ45、47、46等を操作することにより新しい雰囲気ガスに置き換える(ステップS5)。一方、両操作開口20、21の部分でも、ゴム手袋35、36とシャッタ37、38との間の空間にも僅かではあるが汚染空気が残留しているので、この部分も同様にバルブ44、47、46を操作することにより新しい雰囲気ガスに置き換える(ステップS6)。
【0017】このようにしてメインチェンバ14及びその周辺の空間の汚染空気が清浄な雰囲気ガスに置き換えられた後、バルブ33を開けて試料をメインチェンバ14内に入れる(ステップS7)。そして、両操作開口20、21のシャッタ37、38を開け、操作者がゴム手袋35、36に手を入れて試料を試料台上の所定位置にセットする(ステップS8)。このとき、斜上方や前方等の透視窓17、18によりメインチェンバ14内を見ることができるため、操作者は細かい作業でも確実に行うことができる。こうして試料のセットが終了した後は、上記の通り、制御部11の制御の下にAFM観察を行う(ステップS9)。
【0018】上記実施例では原子間力顕微鏡(AFM)について説明したが、本発明は走査型トンネル顕微鏡(STM)についても全く同様に適用することができる。その場合には、図2(a)に示した試料ステーションを図2(b)に示したようなSTM専用のステーションに変えるだけであり、図3に示した試料セット用機構や図4に示したガス系統は全く同様のものを用いることができる。なお、図2(b)のSTM用試料ステーション73において、74は試料台、75は防振台、76は探針(チップ)移動用のピエゾドライバ、77は探針(チップ)、78は粗移動用のマイクロメータである。また、同様に、前述のレーザ力顕微鏡(LFM)や磁気力顕微鏡(MFM)等、他の探針走査型顕微鏡についても本発明を適用することができる。
【0019】本発明の他の実施例であるAFMを図6に示す。この実施例のAFMではメインチェンバ114はベース部151とその上に気密に固定されたガラスケース150から構成され、試料を操作するためのゴム手袋135、136をメインチェンバ114内に入れるための開口はベース部151に設けられる。また、ガス系統では、メインチェンバ114からガスを排出するための排気管153と別のガスを導入するための導入管154とが別々に設けられている。なお、他の構成部品は、図1〜図4に示した同じ下2桁の数字が付されたものと同じである。
【0020】本発明の更に別の実施例であるAFMを図7に示す。一時的に真空中に置かれた程度では変形しないような試料であれば、最初に試料をメインチェンバ214内の試料ステーション223にセットしておき、その後メインチェンバ214を閉め切って内部の汚染空気を清浄な雰囲気ガスに置換することができる。この場合、メインチェンバ214の中に手を入れたり内部を見たりする必要がなくなるため、メインチェンバ214の構造は図7に示すように簡単にすることができる。図7においても、他の構成部品は、図1〜図4に示した同じ下2桁の数字が付されたものと同じである。
【0021】
【発明の効果】任意の探針走査型顕微鏡(SPM)において、試料を任意の種類の、任意の圧力の雰囲気ガスの下で観察することができるようになる。特に、生体試料を観察する場合、初めに試料観察室内から汚染物質を含む大気を排除し、代わりに清浄な不活性ガス(及び水蒸気)で試料観察室を1気圧に調整することにより、生体試料が変形したり凝集したりすることがなくなり、試料の正しい(大気圧下での状態の)表面形状を観察することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である雰囲気制御原子間力顕微鏡(AFM)の正面図。
【図2】実施例のAFMのメインチェンバの縦断面図。
【図3】メインチェンバの横断面図。
【図4】実施例のAFMのガス系統図。
【図5】実施例のAFMで生体試料を観察する際の手順を示すフローチャート。
【図6】本発明の他の実施例であるAFMの概略構成図。
【図7】本発明の更に別の実施例であるAFMの概略構成図。
【符号の説明】10…観察部11…制御部12…コンソール部14…メインチェンバ17、18…透視窓20、21…操作開口23…試料ステーション24…試料25…ピエゾドライバ26…カンチレバー27…レーザ30…試料導入パイプ31…試料チェンバ32、33…バルブ34…圧力センサ35、36…ゴム手袋37、38…シャッタ39…ガス排出口40…ターボ分子ポンプ41…ロータリポンプ42…パイプ43、44、45、46、47…バルブ48…ボンベ取付ターミナル49…雰囲気ガスボンベ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2004-09-02 
出願番号 特願平8-56229
審決分類 P 1 41・ 853- Y (G01N)
P 1 41・ 851- Y (G01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 篠崎 正  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 長井 真一
橋場 健治
登録日 1998-12-11 
登録番号 特許第2862074号(P2862074)
発明の名称 雰囲気制御探針走査型顕微鏡  
代理人 喜多 俊文  
代理人 江口 裕之  
代理人 江口 裕之  
代理人 喜多 俊文  
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