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審決分類 |
審判 査定不服 特39条先願 特許、登録しない。 C07D |
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管理番号 | 1105584 |
審判番号 | 審判1999-18816 |
総通号数 | 60 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1991-06-07 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-11-29 |
確定日 | 2004-10-21 |
事件の表示 | 平成 2年特許願第269742号「スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン」拒絶査定不服審判事件〔平成 3年 6月 7日出願公開、特開平 3-133966〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成2年10月9日(優先権主張、1989年10月12日、ドイツ連邦共和国)に特許出願されたものであって、平成11年12月28日付け手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その請求項1〜7に係る発明は、特許請求の範囲に記載されたとおりものであって、その請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、次のとおりのものである。 「1. 一般式(I) 式中、R1 は、シクロプロピルを表わすか、C1〜C3-アルコキシを表わし、 R2 は、置換されていないか、またはフッ素及び/もしくは塩素またはメトキシもしくはエトキシで置換されているC1〜C4-アルキルを表わすか、C3〜C6-シクロアルキルを表わすか、C1〜C3-アルコキシを表わすか、C1〜C3-アルキルアミノを表わすか、或いはジ-(C1〜C2-アルキル)-アミノを表わし、 R3が基 を表わし、ここにR4 がフッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2-クロロ-エトキシ、2-メトキシ-エトキシ、C1〜C3-アルキルチオ、C1〜C3-アルキルスルフィニル、C1〜C3-アルキルスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ジエチルアミノスルホニル、N-メトキシ-N-メチルアミノスルホニル、フェニル、フェノキシまたはC1〜C3-アルコキシ-カルボニルを表わし、 R5 が水素、フッ素、塩素または臭素を表わし; 更にR3 が基 を表わし、ここにRがC1〜C4-アルキルを表わす のスルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン並びに式(I)の化合物の塩(但し、4-シクロプロピル-5-メチル-2-(2-メトキシカルボニル-フェニルスルホニル-アミノカルボニル)-2,4-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-オンを除く)。」 2.先願発明 これに対する原査定の拒絶の理由に引用した本願の優先権主張の日前の平成1年5月9日(パリ条約による優先権主張日1988年5月9日、ドイツ連邦共和国)の出願であって、平成10年2月6日に特許権の設定登録がされた特許第2744064号の特許請求の範囲第1項に係る発明(以下、先願発明という。)は、その特許請求の範囲第1項に記載されたとおりの発明であるが、その特許請求の範囲の記載は膨大であるので、本願発明との対比に必要な部分のみを以下に示す。 「一般式(I) 式中、R1 は……;場合によりフッ素、塩素、臭素および/もしくはC1〜C4-アルキルによって置換されていてもよいC3〜C6-シクロアルキル;……;場合によりフッ素、塩素、シアノ、C1〜C4-アルコキシもしくはC1〜C4-アルコキシカルボニルによって置換されていてもよいC1〜C6-アルコキシ;……を意味し、 R2 は……;場合によりフッ素、塩素、臭素、シアノ、C1〜C4-アルコキシもしくはC1〜C4-アルコキシカルボニルによって置換されていてもよいC1〜C6-アルキル;場合によりフッ素、塩素、臭素および/もしくはC1〜C4-アルキルによって置換されていてもよいC3〜C6-シクロアルキル;……;場合によりフッ素、塩素、シアノ、C1〜C4-アルコキシもしくはC1〜C4-アルコキシカルボニルによって置換されていてもよいC1〜C6-アルコキシ;……;またはジ-(C1〜C4-アルキル)アミノを意味……し、 そしてR3は基 を意味し、 ここでR4およびR5は同一もしくは異なり、そして水素、フッ素、塩素、臭素……、C1〜C6-アルキル[この基は場合によりフッ素……よって置換されていてもよい]、……、C1〜C4-アルコキシ[この基は場合によりフッ素、塩素……、C1〜C4-アルコキシ……によって置換されていてもよい]、C1〜C4-アルキルチオ[……]、……または基-S(O)p-R6を意味し、ここでpは1または2を意味し、そしてR6 はC1〜C4-アルキル[……]、……ジ-(C1〜C4-アルキル)アミノ……を意味し、R4 および/またはR5は、さらに、フェニルまたはフェノキシ、……、または基-CO-R8を意味し、ここでR8は……、C1〜C6-アルコキシ、……を意味し、……さらにR3は基 を意味し、ここでR19およびR20は同一もしくは異なり、そして水素、……またはC1〜C4-アルコキシカルボニルを意味し、そしてAは……、イオウ……を意味する、 のスルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン類および式(I)の化合物の塩類。」 3.対比・判断 本願発明と先願発明を対比すると、先願発明には、先願明細書に記載された式(I)において、 R1が置換されていないC3-シクロアルキル(シクロプロピル)、又は置換されていないC1〜C3-アルコキシを表わし、 R2 が、場合によりフッ素、塩素又はC1〜C2-アルコキシ(メトキシもしくはエトキシ)によって置換されていてもよいC1〜C4アルキル;置換されていないC3〜C6-シクロアルキル;置換されていないC1〜C3-アルコキシ;又はジ-(C1〜C2-アルキル)アミノを表わし; R3が を表わし、ここにR4 及びR5は同一もしくは異なり、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-アルキル(メチル)、フッ素によって置換されているC1-アルキル(トリフルオロメチル)、C1-アルコキシ(メトキシ)、フッ素によって置換されたC1-アルコキシ(ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ)、塩素によって置換されたC2-アルコキシ(2-クロロ-エトキシ)、C1-アルコキシによって置換されたC2-アルコキシ(2-メトキシ-エトキシ)、C1〜C3-アルキルチオ、基-S(O)p-R6[p=1、R6=C1〜C3-アルキル(C1〜C3-アルキルスルフィニル)、p=2、R6=C1〜C3-アルキル(C1〜C3-アルキルスルホニル)、p=2、R6=ジ-(C1〜C2-アルキル)アミノ(ジメチルアミノスルホニル、ジエチルアミノスルホニル]、フェニル、フェノキシ、又は基-CO-R8[R8=C1〜C3-アルコキシ(C1〜C3-アルコキシ-カルボニル)]を表わし、さらにR3が基 [R19及びR20=水素、又はC1〜C4-アルコキシカルボニル、A=イオウを表わす場合、 R=C1〜C4-アルキル]を表わす場合に相当する化合物が包含されており、これらの化合物は、本願特許請求の範囲の記載において、但し書きにより、4-シクロプロピル-5-メチル-2-(2-メトキシカルボニル-フェニルスルホニル-アミノカルボニル)-2,4-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-オンが本願発明から除かれたことにより、この化合物については同一といえなくなった他は、本願発明の化合物を包含するから、本願発明の化合物群と先願発明の化合物群が重複していることは明らかである。 そして、先願明細書には、先願発明の化合物群に該当する具体的化合物として、4-シクロプロピル-5-メチル-2-(2-メトキシカルボニル-フェニルスルホニル-アミノカルボニル)-2,4-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-オンが、調整実施例における化合物45として融点と共に記載されている。(先願特許公報119頁参照) 本願特許請求の範囲の記載では、先願明細書の化合物45である4-シクロプロピル-5-メチル-2-(2-メトキシカルボニル-フェニルスルホニル-アミノカルボニル)-2,4-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-オン自体は、但し書きにより本願発明から除かれることとなる。しかし、先願明細書には、先願発明の化合物群について化学構造式により特定され、その製造方法及び除草剤としての有用性が開示され、これに該当する複数の具体的化合物について調整実施例及び除草活性の実施例が記載されており、上記した化合物45についての調整実施例も、上述した本願発明化合物群と重複する先願発明の化合物群の一例として記載されているものであって、先願発明の化合物は、先願明細書に物理恒数をもって記載されているものに限定されるものではない。 他方、本願発明では、R1 がシクロプロプロピル基又はアルコキシ基である上記した本願化合物群のいくつかの化合物について融点などの物理恒数をもって本願明細書に記載されているものの、本願発明もまたこれらの物理恒数をもって記載された化合物のみに限定されるものではないから、本願発明には、依然として、先願発明と重複する多くの化合物が含まれている。 したがって、本願発明は、先願発明と同一である。 請求人は、本願発明の化合物のいくつか(実施例9、11、12、16、19、26、28、35、40、85、86、89、91、99及び111)と先願発明の化合物のいくつか(先願明細書の実施例17、19、22、23、32、33、37、41、44、45)の除草効果を比較して、本願発明の化合物は、先願発明の化合物と比較して除草活性が著しく優れているばかりでなく、栽培植物に対してより無毒で安全であり、比較した本願発明の化合物については先願明細書には記載されていないので、本願発明は先願発明に対して選択発明としての要件を充足する旨を主張している。 しかし、既に述べたとおり、本願発明には上記比較結果が示されている化合物以外の多くの化合物が含まれているのである。例えば、本願発明には、式(I)において、R2 がフッ素又は塩素で置換されているC1〜C4-アルキル基;C4〜C6-シクロアルキルを表わし、R3が を表わし、R4がフッ素、塩素、臭素、メトキシ、ジフルオロメトキシ、2-クロロ-エトキシ、2-メトキシ-エトキシ、C1〜C3-アルキルチオ、C1〜C3-アルキルスルフィニル、C1〜C3-アルキルスルホニル、ジエチルアミノスルホニル、フェニル又はフェノキシを表わす化合物が包含されるが、本願明細書にはこれらの化合物については物理恒数等をもって具体的に記載されていない。先願明細書にも、一般式(I)のR2 がフッ素又は塩素で置換されているC1〜C4-アルキル基;C4〜C6-シクロアルキルを表わし、R3が を表わし、R4がフッ素、塩素、臭素、メトキシ、ジフルオロメトキシ、2-クロロ-エトキシ、2-メトキシ-エトキシ、C1〜C3-アルキルチオ、C1〜C3-アルキルスルフィニル、C1〜C3-アルキルスルホニル、ジエチルアミノスルホニル、フェニル又はフェノキシを表わす化合物が包含され、これらは本願発明と重複するものであって、これらの化合物については、本願明細書及び先願明細書には、発明の構成及び効果について、同程度の記載があるにすぎない。 そうすると、請求人が除草効果を具体的に示した上記の特定の化合物の比較例をもって、本願発明に包含される化合物全体が、先願発明の化合物全体に比べて予想できない程の顕著に優れた効果をもつということはできず、本願発明が先願発明の選択発明に該当するとはいえない。 以上のとおり、先願発明における上記化合物群の具体例である4-シクロプロピル-5-メチル-2-(2-メトキシカルボニル-フェニルスルホニル-アミノカルボニル)-2,4-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-オン(化合物45)を除いただけでは、本願発明には先願発明との重複部分が依然として存在する。 5.したがって、本願発明は、先願発明と同一であると認められるので、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-05-19 |
結審通知日 | 2004-05-28 |
審決日 | 2004-06-09 |
出願番号 | 特願平2-269742 |
審決分類 |
P
1
8・
4-
Z
(C07D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 横尾 俊一 |
特許庁審判長 |
竹林 則幸 |
特許庁審判官 |
渕野 留香 小柳 正之 |
発明の名称 | スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン |
代理人 | 小田島 平吉 |