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審決分類 審判 訂正 判示事項別分類コード:83 訂正する C25D
管理番号 1106974
審判番号 訂正2004-39173  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1987-08-29 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2004-07-22 
確定日 2004-09-29 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2140707号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2140707号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 I.手続の経緯
本件訂正に係る特許第2140707号(昭和60年12月28日出願(パリ条約による優先権主張 1985年9月20日米国)。平成2年9月18日出願公告(特公平2-41589号)。平成11年5月21日設定登録)については、平成11年7月14日に無効審判(平成11年審判35360号)が請求され、平成14年3月18日に本件審判請求は成り立たない旨の審決がなされ、該審決に対して、東京高等裁判所に審決取消訴訟が提起され、平成14年(行ケ)第196号として審理され、平成16年6月7日に審決を取り消す旨の判決(以下、「高裁取消判決」という)言渡しがなされ、該高裁取消判決確定日前である平成16年7月22日に、本件訂正審判が請求された。

II.審判請求の要旨
本件審判請求の要旨は、特許第2140707号の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)を、本件審判請求書添付の明細書(以下、「本件訂正明細書」という。)のとおりに訂正することを求めるものである。

III.訂正の内容
訂正の内容は、具体的には次のとおりである。
1.訂正事項a
本件特許明細書の特許請求の範囲第1項を、
「1.改良されたスズの酸化に対する抵抗力を有するスズ-鉛合金の電気メッキ用電解質溶液であって、
水;所定量の可溶性二価スズ化合物及び可溶性二価鉛化合物;実質的に3以下のpHの溶液を与えるのに充分な量の可溶性アルキルスルホン酸;溶液中に全ての構成成分を溶液状に保持して実質的に32℃以上の曇り点を有する電解質溶液を与えるための湿潤剤としての、実質的に8モル以上の酸化アルキレンを有する可溶性酸化アルキレン縮合化合物と、これに加えて第四アンモニウム脂肪酸化合物;及び二価のスズから四価のスズへの酸化を防止し又は抑制するために充分な量のジヒドロキシベンゼンの位置異性体を含む前記スズ-鉛電気メッキ電解質溶液。」と訂正する。
2.訂正事項b
本件特許明細書の特許請求の範囲第5項を削除するとともに、同第6項から第10項の項番号を繰り上げ、それぞれを第5項から第9項と訂正する。
3.訂正事項c
本件特許明細書の特許請求の範囲第6項を、
「5.スズの酸化による実質的な量のスズスラッジの生成を抑制しながら、スズ-鉛合金を基材に高速で電気メッキする方法であって、
(1)可溶性二価スズ化合物及び可溶性二価鉛化合物と、実質的に3以下のpHを有する溶液を与えるのに充分な量のpH調整剤である可溶性アルキルスルホン酸を含む電気メッキ溶液を調整し、
(2)前記溶液に湿潤剤として実質的に8モル以上の酸化アルキレンを有する可溶性酸化アルキレン縮合化合物および可溶性第四アンモニウム脂肪酸化合物を加えて、実質的に32℃以上の曇り点を有する電解質溶液となし、
(3)前記電解質溶液に電気メッキによって形成された電着物の光沢を改良するのに充分な量の芳香族アルデヒド又はその誘導体を加え、
(4)前記電解質溶液に低電流密度範囲における電気メッキを改良するのに充分な量の可溶性ビスマス化合物、または高電流密度範囲の電気メッキを改良するのに充分な量のアセトアルデヒドを加えて電解質溶液を調整し、
(5)更に、上記電解質溶液に、二価のスズから四価のスズへの酸化を防止するか、もしくは四価のスズを二価のスズに還元するのに充分な量のジヒドロキシベンゼン化合物を加えて、スズ-鉛合金の電気メッキ溶液を調整し、上記電気メッキ溶液に、スズ-鉛合金の電気メッキを施す基材を浸漬し、所定の電流密度範囲に設定して、上記電気メッキ用液を加熱もしくは撹拌することにより、上記基材上に高品質のスズ-鉛合金メッキを高速で形成させることを特徴とする高速電気メッキ方法。」と訂正する。

IV.当審の判断
[1]訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、拡張・変更の存否
1.訂正事項aについて
訂正事項aは、本件特許明細書の特許請求の範囲第1項に記載された電解質溶液が、湿潤剤として「第四アンモニウム脂肪酸化合物」を含むと、湿潤剤の成分をさらに限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
そして、電解質溶液が、湿潤剤として、可溶性酸化アルキレン縮合化合物とともに第四アンモニウム脂肪酸化合物を含むことは、本件特許明細書の特許請求の範囲第5項及び本件特許明細書23頁1〜5行(平成11年12月27日に発行された訂正公報である特公平2-41589号公報(以下、「本件公報」という)第8頁15欄21〜25行参照)に記載されている。
したがって、訂正事項aは、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
2.訂正事項bについて
訂正事項bは、本件特許明細書の特許請求の範囲第5項を削除し、これに伴い、本件特許明細書の特許請求の範囲第6項から第10項の項番号を繰り上げ、それぞれを第5項から第9項と訂正したものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
3.訂正事項cについて
訂正事項cは、本件特許明細書の特許請求の範囲第6項に記載された高速電気メッキ方法において、潤滑剤の成分として、「可溶性酸化アルキレン縮合化合物もしくは可溶性第四アンモニウム脂肪酸化合物」を加えて、実質的に32℃以上の曇り点を有する電解質溶液となしていたものを、湿潤剤の成分として、「可溶性酸化アルキレン縮合化合物および可溶性第四アンモニウム脂肪酸化合物」の両者を必須の成分として加えて、実質的に32℃以上の曇り点を有する電解質溶液となす旨限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
そして、電解質溶液に、湿潤剤として、可溶性酸化アルキレン縮合化合物とともに第四アンモニウム脂肪酸化合物を加えることは、本件特許明細書の特許請求の範囲第5項、本件特許明細書23頁1〜5行(本件公報第8頁15欄21〜25行参照)及び本件特許明細書31頁9行〜32頁13行(本件公報第10頁19欄10〜34行参照)に記載され、また、可溶性酸化アルキレン縮合化合物、第四アンモニウム脂肪酸化合物の両者を加えて電解質溶液の曇り点を32℃以上とすることは、本件特許明細書19頁2〜18行(本件公報第7頁13欄28〜44行参照)に記載されている。
したがって、訂正事項cは、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
4.まとめ
前記のとおり、本件訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項、第2項の規定に適合する。

[2]独立特許要件
1.訂正発明
本件訂正明細書の特許請求の範囲第1項及び第5項に記載されている事項により構成される発明は、以下のとおりである。
「1.改良されたスズの酸化に対する抵抗力を有するスズ-鉛合金の電気メッキ用電解質溶液であって、
水;所定量の可溶性二価スズ化合物及び可溶性二価鉛化合物;実質的に3以下のpHの溶液を与えるのに充分な量の可溶性アルキルスルホン酸;溶液中に全ての構成成分を溶液状に保持して実質的に32℃以上の曇り点を有する電解質溶液を与えるための湿潤剤としての、実質的に8モル以上の酸化アルキレンを有する可溶性酸化アルキレン縮合化合物と、これに加えて第四アンモニウム脂肪酸化合物;及び二価のスズから四価のスズへの酸化を防止し又は抑制するために充分な量のジヒドロキシベンゼンの位置異性体を含む前記スズ-鉛電気メッキ電解質溶液。」(以下、「訂正発明1」という。)
「5.スズの酸化による実質的な量のスズスラッジの生成を抑制しながら、スズ-鉛合金を基材に高速で電気メッキする方法であって、
(1)可溶性二価スズ化合物及び可溶性二価鉛化合物と、実質的に3以下のpHを有する溶液を与えるのに充分な量のpH調整剤である可溶性アルキルスルホン酸を含む電気メッキ溶液を調整し、
(2)前記溶液に湿潤剤として実質的に8モル以上の酸化アルキレンを有する可溶性酸化アルキレン縮合化合物および可溶性第四アンモニウム脂肪酸化合物を加えて、実質的に32℃以上の曇り点を有する電解質溶液となし、
(3)前記電解質溶液に電気メッキによって形成された電着物の光沢を改良するのに充分な量の芳香族アルデヒド又はその誘導体を加え、
(4)前記電解質溶液に低電流密度範囲における電気メッキを改良するのに充分な量の可溶性ビスマス化合物、または高電流密度範囲の電気メッキを改良するのに充分な量のアセトアルデヒドを加えて電解質溶液を調整し、
(5)更に、上記電解質溶液に、二価のスズから四価のスズへの酸化を防止するか、もしくは四価のスズを二価のスズに還元するのに充分な量のジヒドロキシベンゼン化合物を加えて、スズ-鉛合金の電気メッキ溶液を調整し、上記電気メッキ溶液に、スズ-鉛合金の電気メッキを施す基材を浸漬し、所定の電流密度範囲に設定して、上記電気メッキ用液を加熱もしくは撹拌することにより、上記基材上に高品質のスズ-鉛合金メッキを高速で形成させることを特徴とする高速電気メッキ方法。」(以下、「訂正発明2」という。)

2.証拠方法等
本件訂正に係る特許の無効審判(平成11年審判35360号)で提出された証拠方法、その記載事項等は以下のとおりである。
なお、上記無効審判における証拠方法「甲第〇〇号証」を、以下では「審判甲〇〇」と記し、また、証人尋問を行った証人4名の証言内容については記載を省略した。
(1)審判甲1(「鍍金の世界」1983年6月号、昭和58年6月15日東京鍍金材料協同組合発行、第26〜29頁、第72頁の写し);
昭和58年6月2〜5日東京流通センターでMETEC’83-表面技術総合展が開催されたことが記載され、そして、めっき薬品関連の新製品の紹介記事として、その第29頁には、「ソルダロンプロセス=ホウ弗化物を含まない半田めっきプロセスで、90対10あるいは60対40の錫-鉛合金皮膜が広い電流密度範囲にわたって得られる。ソルダロンNF(無光沢)、同BR(光沢)、同MHS(高速用無光沢)、同BHS(高速用光沢)の四種がある。(ジャパン・ロナール(株))」と記載されている。
(2)審判甲2(Fred I.Nobelによる1987年1月27日付の「DECLARATION」の写し(及びその訳文));
1986年4月15日付の米国出願(シリアルナンバー852,063)についての、スズ、スズ-鉛メッキ浴におけるスズスラッジの低減に関する(発明者の一人である)Fred I.Nobelによる1987年1月27日付の宣誓供述書であって、その第5頁(審判甲2訳文第3頁参照)には、「Solderon(登録商標)プロセスとして業界で知られている出願人のプロセスは、メタンスルホン酸、メタンスルホン酸スズ及びメタンスルホン酸鉛、抗酸化剤としてのカテコールならびに好ましくは華氏90度以上の曇点(cloud point)を持つ酸化エチレン縮合物である湿潤剤とからなる浴を包含する。」と記載され、さらに、電気スズメッキ用のソルダロンプロセスの1981年〜1985年の販売実績について記載されている。
(3)審判甲3(昭和59年8月18日付の表面処理グループ尾崎吉方及び倉科匡2名による「ソルダロンNF半田メッキ浴の検討 その1」と題する報告書);
「表-1 基本浴組成」には、ソルダロンアッシド、ソルダロンティンコンク、ソルダロンレッドコンク、ソルダロンNFが基本浴の成分であることが記載されている。
(4)審判甲4(昭和59年9月3日付の表面処理グループ尾崎吉方及び倉科匡2名による「ソルダロンNF半田メッキ浴の検討 その2」と題する報告書);
ジャパンロナール(株)製のソルダロンNF半田メッキ浴を使用したサンプルの耐熱試験、ハンダヌレ性試験結果等について記載されている。
(5)審判甲5(昭和59年6月26日付の中原化興株式会社から大和電機工業株式会社宛の見積書);
ソルダロンティンコンク、レッドコンク、アシッド、BRスターター、BRリプレ、NF、BHSスターター、BHSブライトF、MHSの数量、単価、建浴費等について記載されている。
(6)審判甲6(ジャパンロナール株式会社技術第一課 田村隆昭名(S59.8.2,S59.8.9(2通),S59.8.10付)及び同須田和幸名(S59.8.9,S59.8.22付)のソルダロンNFプロセス、ソルダロンBRプロセスに関する文書);
第1頁、第5頁等には、ソルダロンNFプロセスの浴には、その成分として、ソルダロンアシッド、ソルダロンティンコンク、ソルダロンレッドコンク、ソルダロンNFを含むことが、また、その第3頁、第8頁等には、ソルダロンBRプロセスの浴には、その成分として、ソルダロンアシッド、ソルダロンティンコンク、ソルダロンレッドコンク、ソルダロンBRスターターを含むことが記載されている。
(7)審判甲7の1(特開昭58-42786号公報);(記載内容省略)
(8)審判甲7の2(特開昭59-104491号公報);(記載内容省略)
(9)審判甲7の3(特開昭59-182986号公報);(記載内容省略)
(10)審判甲8の1(吉本雅一、辻清貴、滝下勝久3名による平成13年1月5日付中野修身弁理士宛「ソルダロンBRプロセスに関する報告書」);(記載内容省略)
(11)審判甲8の2(吉本雅一、滝下勝久2名による平成13年1月5日付中野修身弁理士宛「ソルダロンBRプロセスに関する報告書の訂正」);(記載内容省略)
(12)審判甲9の1(「光沢ハンダめっきプロセス ソルダロンBR」、「無光沢ハンダめっきプロセス ソルダロンNF」、「高速用ハンダめっきプロセス ソルダロンBHS」、「高速用ハンダめっきプロセス ソルダロンMHS」と題する文書);
「光沢ハンダめっきプロセス ソルダロンBR」、「無光沢ハンダめっきプロセス ソルダロンNF」、「高速用ハンダめっきプロセス ソルダロンBHS」、「高速用ハンダめっきプロセス ソルダロンMHS」について記載され、ソルダロンBRの浴組成は、「ソルダロンアシッド 240ml/l、ソルダロンティンコンク 75ml/l、ソルダロンレッドコンク3.5ml/l、ソルダロンBRスターター 40ml/l」であり、また、ソルダロンNFの浴組成は、「ソルダロンアシッド 140ml/l、ソルダロンティンコンク 75ml/l、ソルダロンレッドコンク2.2ml/l、ソルダロンNF 80ml/l」であると記載されている。
(13)審判甲9の2(昭和60年8月12日付石原薬品(株)メッキ部開発課名の「ソルダロンBR浴の無電解経時試験」と題する文書);
第1頁「2.実験方法2-1.浴組成」の欄に、ソルダロンBR浴のカタログの基本浴はTM=10.6g/l(浴中Pb15%)となっていると記載され、さらに、「ティンコンク 75ml/l(Sn2+ 9g/l)、レッドコンク 3.5ml/l(Pb 1.6g/l)、(浴中Pb 15%)、アシッド 240ml/l、BRスターター 40ml/l」の浴組成のものが記載されている。
(14)審判甲9の3(昭和59年8月8日付株式会社日東技術情報センター名の「分析結果報告書」);
依頼者(石原薬品)吉本雅一宛の昭和59年8月8日付株式会社日東技術情報センター名の、水溶液溶質成分分析に関する「分析結果報告書」であって、その第1頁には、「ジャパン・メタル サーディップ用ハンダメッキ液 No.2 ソルダロンレッドコンク 固形分 56%、主成分 メタンスルホン酸塩(Pb塩) No.3 ソルダロンSG comp ・・(中略)・・ No.4 Solderon SG make up ・・(中略)・・ No.1(Sn)No.5(光沢剤)未着手」と記載されている。
(15)審判甲9の4(昭和59年8月31日付株式会社日東技術情報センター名の「分析結果報告書」);
依頼者(石原薬品)吉本雅一宛の昭和59年8月31日付株式会社日東技術情報センター名の、溶質の組成分析に関する「分析結果報告書」であって、その第1頁には、「LB レイタックA・・・・メタンスルホン酸(約 80%) 水、 JM ソルダロンA・・・・メタンスルホン酸(約50%) 水」と記載されている。
(16)審判甲9の5(昭和59年9月17日付株式会社日東技術情報センター名の「分析結果報告書」);
依頼者(石原薬品)吉本雅一宛の昭和59年9月19日付株式会社日東技術情報センター名の、J-S,L-Sの定性分析に関する「分析結果報告書」であって、その第1頁には、「J-S ソルダロンティンコンク・・・・メタンスルホン酸塩(Sn,Pb塩)、メタンスルホン酸 ・120℃加熱残分約35%、・120℃真空加熱残分約27% L-S スロットレット-S」と記載され、また、第2頁には、J-SではPbも比較的少量であるが確認されたと記載されている。
(17)審判甲9の6(「有機酸ハンダメッキ用光沢添加剤ソルダロンBOB(ジャパンメタル)成分分析」。但し、平成13年1月10日付提出の甲第9号証の6を一部修正し、平成13年2月8日付で再提出したもの。);
「有機酸ハンダメッキ用光沢添加剤ソルダロンBOB(ジャパンメタル)成分分析」と題する文書であって、その第1頁には、結果(成分)及び考察について記載されている。
(18)参考文献1(「界面活性剤の分析と試験法」(講談社サイエンティフィック)1982年3月1日発行);(記載内容省略)
(19)参考文献2(「界面活性剤分析法」(幸書房)昭和50年10月1日発行);(記載内容省略)
(20)参考文献3(「The Aldrich Library of Infrared Spectra EDITION III」(Aldrich Chemical Company, Inc.)1981);(記載内容省略)
(21)参考文献4(「The Aldrich Library of NMR Spectra EDITION II Volume 1」(Aldrich Chemical Company, Inc.)1983);(記載内容省略)

3.高裁取消判決
平成14年(行ケ)第196号審決取消請求事件で言い渡された高裁取消判決では、以下のとおり説示されている。
(1)ソルダロンNFの譲渡による公然実施の認定判断の誤り;
甲5記事(審判甲1)及び甲17カタログによれば,ソルダロンNFはソルダロンプロセスの一態様であることが認められ,A供述書(審判甲2)には,ソルダロンプロセスの主たる成分として,具体的に,メタンスルホン酸,メタンスルホン酸スズ,メタンスルホン酸鉛,抗酸化剤としてのカテコール及び好ましくは華氏90度以上の曇点(cloud point)を持つ酸化エチレン縮合物である湿潤剤の5化学物質を開示しているのであるから,本件発明1(訂正前の本件特許明細書の特許請求の範囲第1項に記載された発明)とソルダロンプロセスとは対比することができ,両者が同一であれば,本件発明1は,特許出願前(本件優先日前)において公然実施された発明として,新規性が否定されるものというべきである。
しかしながら,審決は,本件発明1とソルダロンNFに係る発明との対比判断をしないまま,・・中略・・「ソルダロンNFの試験に当たり,ソルダロンNF発明の技術内容については全く不明であったといわざるを得ない。そうであれば,ソルダロンNF発明は,その技術内容を知り得る状態で実施をされたものであるとはいえない」と判断したものであるから,誤りというほかない。(判決書第23頁下から2行〜第24頁14行参照)
(2)本件発明2(訂正前の本件特許明細書の特許請求の範囲第6項に記載された発明)に係る公然実施の認定判断の誤り;
審決は,「本件発明2が,仮に,ソルダロンBR発明のメッキ浴を用いてメッキを行なったにすぎない電気メッキ方法であったとしても,ソルダロンBR発明が本件出願前に日本国内において公然実施をされた発明と認められない以上,本件発明2は,本件出願前に日本国内において公然実施をされた発明であると認めることはできない」と認定判断したものであるところ,上記(1)のとおり,本件発明1に係る審決の判断が誤りである以上,これを前提とした審決の本件発明2に係る上記判断も誤りである。(判決書第24頁16〜26行参照)

4.訂正発明1、2とソルダロンプロセスの同一性について
4-1.訂正発明1について
高裁取消判決の上記説示(1)にしたがえば、“訂正発明1とソルダロンプロセスを対比し、両者が同一であれば,訂正発明1は,特許出願前(本件優先日前)において公然実施をされた発明として、新規性が否定されるものというべきである”とされているので、訂正発明1とソルダロンプロセスが同一であるか否かを以下に検討する。
訂正発明1は、その成分として、少なくとも、水、可溶性二価スズ化合物、可溶性二価鉛化合物、可溶性アルキルスルホン酸、湿潤剤としての酸化アルキレンを有する可溶性酸化アルキレン縮合化合物及び第四アンモニウム脂肪酸化合物、;及び二価のスズから四価のスズへの酸化を防止し又は抑制するジヒドロキシベンゼンの位置異性体を含有するスズ-鉛電気メッキ電解質溶液である(「IV.[2]1.訂正発明」参照)。
一方、ソルダロンプロセスは、主たる成分として,メタンスルホン酸,メタンスルホン酸スズ,メタンスルホン酸鉛,抗酸化剤としてのカテコール及び好ましくは華氏90度以上の曇点(cloud point)を持つ酸化エチレン縮合物である湿潤剤を含有するスズ-鉛電気メッキ浴である(審判甲2、取消判決の上記説示(1))ところ、ソルダロンプロセスにおける「メタンスルホン酸」、「メタンスルホン酸スズ」、「メタンスルホン酸鉛」、「抗酸化剤としてのカテコール」及び「華氏90度以上の曇点(cloud point)を持つ酸化エチレン縮合物である湿潤剤」は、訂正発明1の「可溶性アルキルスルホン酸」、「可溶性二価スズ化合物」、「可溶性二価鉛化合物」、「二価のスズから四価のスズへの酸化を防止し又は抑制するジヒドロキシベンゼンの位置異性体」及び「湿潤剤としての酸化アルキレンを有する可溶性酸化アルキレン縮合化合物」にそれぞれ相当する。
そうすると、訂正発明1とソルダロンプロセスとは、その成分として、可溶性二価スズ化合物、可溶性二価鉛化合物、可溶性アルキルスルホン酸、湿潤剤としての酸化アルキレンを有する可溶性酸化アルキレン縮合化合物、及び二価のスズから四価のスズへの酸化を防止し又は抑制するジヒドロキシベンゼンの位置異性体を含有するスズ-鉛電気メッキ電解質溶液である点で一致するが、訂正発明1では、湿潤剤としてさらに第四アンモニウム脂肪酸化合物を含有するのに対して、ソルダロンプロセスでは、湿潤剤として第四アンモニウム脂肪酸化合物を含有するか否か明らかでない点で両者は相違する。
そこで、上記相違点について検討するに、審判甲1によれば、ソルダロンプロセスには、ソルダロンNF(無光沢)、同BR(光沢)、同MHS(高速用無光沢)、同BHS(高速用光沢)の四種の態様があると認められるところ、メッキ浴成分の具体的な分析結果が示されている審判甲9の2〜6の記載をみても、ソルダロンプロセスあるいはその前記各態様において、湿潤剤として第四アンモニウム脂肪酸化合物が含有されていることを認めるに足る根拠はない。
また、審判甲3〜9の1、参考文献1〜4のいずれにも、ソルダロンプロセスあるいはその前記各態様において、湿潤剤として第四アンモニウム脂肪酸化合物を含有することについての開示はなく、さらに、証拠調べにおける証人4名の供述によっても、ソルダロンプロセスあるいはその前記各態様で、湿潤剤として第四アンモニウム脂肪酸化合物を含有している事実を認めることはできない。
しかも、スズ-鉛電気メッキの技術分野において、電気メッキ用電解質溶液中に湿潤剤として第四アンモニウム脂肪酸化合物を含有させることは、当業者が当然に採用すべき程度に周知慣用の技術手段であるとも認められない。
そうすると、訂正発明1は、湿潤剤として第四アンモニウム脂肪酸化合物を含有する点で、ソルダロンプロセスにおける電気メッキ用電解質溶液とはその成分を明らかに異にするものであるから、訂正発明1が、ソルダロンプロセスと同一であるとはいえない。
したがって、ソルダロンプロセスが公然実施をされたという事実のみによって、訂正発明1が、本件訂正に係る特許の特許出願前(優先日前)に日本国内において公然実施をされた発明であるとすることはできない。

4-2.訂正発明2について
訂正発明2は、基材上に高品質のスズ-鉛合金メッキを高速で形成させる高速電気メッキ方法であって、電気メッキ溶液中に、湿潤剤として“実質的に8モル以上の酸化アルキレンを有する可溶性酸化アルキレン縮合化合物および可溶性第四アンモニウム脂肪酸化合物”を含むものである(「IV.[2]1.訂正発明」参照)ところ、前記「4-1.訂正発明1について」で述べたように、ソルダロンプロセスでは、電気メッキ用電解質溶液中に、湿潤剤として可溶性第四アンモニウム脂肪酸化合物を含有していることを認めることはできない。
そうすると、訂正発明2は、湿潤剤として第四アンモニウム脂肪酸化合物を含有するという点において、少なくともソルダロンプロセスのメッキ溶液とは成分の異なるメッキ溶液を用いて電気メッキをする方法なのであるから、訂正発明2が、ソルダロンプロセスと同一であるとはいえない。
したがって、訂正発明1と同様、訂正発明2が、本件訂正に係る特許の特許出願前(優先日前)に日本国内において公然実施をされた発明であるとすることはできない。

5.まとめ
前記のとおり、無効審判(平成11年審判35360号)において提出された証拠方法によっては、訂正発明1、訂正発明2は、本件訂正に係る特許の特許出願前(優先日前)に日本国内において公然実施をされた発明であるとは認められないから、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとすることはできない。
また、他に、訂正発明1、訂正発明2について、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとする理由を発見しない。
よって、本件訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第3項の規定に適合する。

V.むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項乃至第3項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スズ-鉛電気メッキ溶液およびそれを用いた高速電気メッキ方法
(57)【特許請求の範囲】
1.改良されたスズの酸化に対する抵抗力を有するスズ-鉛合金の電気メッキ用電解質溶液であって、
水;所定量の可溶性二価スズ化合物及び可溶性二価鉛化合物;実質的に3以下のpHの溶液を与えるのに充分な量の可溶性アルキルスルホン酸;溶液中にすべての構成成分を溶液状に保持して実質的に32℃以上の曇り点を有する電解質溶液を与えるための湿潤剤としての、実質的に8モル以上の酸化アルキレンを有する可溶性酸化アルキレン縮合化合物と、これに加えて第四アンモニウム脂肪酸化合物;及び二価のスズから四価のスズへの酸化を防止又は抑制するために充分な量のジヒドロキシベンゼンの位置異性体
を含む前記スズ-鉛電気メッキ電解質溶液。
2.ジヒドロキシベンゼンの位置異性体がレゾルシノールである特許請求の範囲第1項記載の電解質溶液。
3.スルホン酸がメタンスルホン酸である特許請求の範囲第1項または第2項記載の電解質溶液。
4.さらに芳香族アルデヒド、アセトアルデヒド、ベンザルアセトン、ビスマス化合物またはこれらの組合わせを含む特許請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の電解質溶液。
5.スズの酸化による実質的な量のスズスラッジの生成を抑制しながら、スズ-鉛合金を基材に高速で電気メッキする方法であって、
(1)可溶性二価スズ化合物及び可溶性二価鉛化合物と、実質的に3以下のpHを有する溶液を与えるのに充分な量のpH調整剤である可溶性アルキルスルホン酸を含む電気メッキ溶液を調製し、
(2)前記溶液に湿潤剤として実質的に8モル以上の酸化アルキレンを有する可溶性酸化アルキレン縮合化合物および可溶性第四アンモニウム脂肪酸化合物を加えて、実質的に32℃以上の曇り点を有する電解質溶液となし、
(3)前記電解質溶液に電気メッキによって形成された電着物の光沢を改良するのに充分な量の芳香族アルデヒド又はその誘導体を加え、
(4)前記電解質溶液に低電流密度範囲における電気メッキを改良するのに充分な量の可溶性ビスマス化合物、または高電流密度範囲の電気メッキを改良するのに充分な量のアセトアルデヒドを加えて電解質溶液を調製し、
(5)更に、上記電解質溶液に、二価のスズから四価のスズへの酸化を防止するか、もしくは四価のスズを二価のスズに還元するのに充分な量のジヒドロキシベンゼン化合物を加えて、スズ-鉛合金の電気メッキ溶液を調製し、上記電気メッキ溶液に、スズ-鉛合金の電気メッキを施す基材を浸漬し、所定の電流密度範囲に設定して、上記電気メッキ溶液を加熱もしくは撹拌することにより、上記基材上に高品質のスズ-鉛合金メッキを高速で形成させることを特徴とする高速電気メッキ方法。
6.電解質溶液を機械的もしくは流動的撹拌手段によって充分に撹拌しながら電気メッキを行う特許請求の範囲第5項記載の方法。
7.電解質溶液を加熱手段によって所定の温度に加熱して電気メッキを行う特許請求の範囲第5項または第6項記載の方法。
8.加熱温度が35℃以上である特許請求の範囲第5項〜第7項のいずれかに記載の方法。
9.加熱温度が60℃以上であることを特徴とする特許請求の範囲第8項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明はスズ、鉛、及び特にスズ-鉛合金メッキ用のアルキルスルホン酸塩電気メッキ浴の調製に関するものである。
〔従来の技術〕
一般にはんだ付けと呼ばれるスズ-鉛合金メッキの従来からの方法は、過剰のフッ化ホウ酸及びホウ酸と共に、これらの二つの金属がフッ化ホウ酸塩として溶液中に存在するようにする。より滑らかなメッキ堆積物を得るためには、ペプトン、膠、ゼラチン、又は肉蛋白質のような種々の蛋白質を添加するのが普通である。ペプトンを含有するフッ化ホウ酸塩の浴は最も普通に使用され、又、それは滑らかでつや消しのメッキ堆積物を得るのに商業的に成功している。
より光沢のあるスズ-鉛はんだ堆積物は、これらのフッ化ホウ酸塩浴に、芳香族アルデヒド、ピリジン化合物、可溶性のエチレン酸化物湿潤剤及びホルムアルデヒドのような種々の光沢剤の添加によって得ることができる。
これらのフッ化ホウ酸塩浴についての主要な問題は、フッ化ホウ酸イオン自身である。フッ化ホウ酸塩は高度に有毒であるのみではなく、またメッキ環境内で使用される設備に対しても高度の腐蝕性を示す。フッ化ホウ酸塩は又メッキ操作に使用後の排水から除去することも困難で、廃棄物処理技術者に対し深刻な問題を提供している。
アルキルグループ内に1ないし5個の炭素原子を含むアルカンないしアルキルスルホン酸は以前より電気メッキ浴に使用されてきた。例えば、プロエル(Proell)の米国特許第2,525,942号参照。
アルカノールスルホン酸塩、フェノールスルホン酸塩及びクレゾールスルホン酸塩も又電気メッキ浴に使用されてきた。例えば、N.土肥、及びK.小畑の論文、題名“アルカノールスルホン酸塩浴からの光沢性スズ-鉛合金の電着”中間仕上会報80、更に又、米国特許第4,132,610号及び第3,905,878号を参照。
小畑氏らの米国特許第4,459,185号はスズ、鉛ないしスズ-鉛合金メッキ用のアルキル又はアルカノールスルホン酸浴を開示している。これらの浴は少なくとも1つの陰イオン性、両性又は非イオン性界面活性剤をレベリング剤といっしょに含有されている。
しかしながら、先行技術のいずれも、スズ-鉛電解質調製の本発明者らの新規な方法を開示していない。その上更に、先行技術はいずれも、以下に述べるような特殊目的に用いる種々の添加物の添加を認識していなかった。
〔発明の概要〕
本発明は、スズ、鉛、及び特にスズ-鉛合金メッキ用の電解質調製の方法に関するものである。メッキ浴は鉛および/またはスズアルキルスルホン酸塩と、メッキ浴のpHを約3以下、有利には約2以下に保持するに充分な過剰のアルキルスルホン酸と、メッキ堆積物の光沢と、有用な電流密度範囲と、および/または、スズ-鉛メッキ堆積物のはんだ付着能力とを改良する種々の添加物とが含まれている。そうした添加物は、ある種のアルキレン酸化物化合物、脂肪酸ラジカルを含む第四窒素湿潤剤、芳香族アルデヒドおよびその誘導体、アセトアルデヒド、および/または、ビスマス化合物を含んでいる。
〔発明の具体的説明〕
本発明によって使用可能なスズ及び鉛化合物は、アルキルスルホン酸に可溶であるもので、アルキルまたはアルキロールスルホン酸塩を形成するものである。ある種のアルキルスルホン酸とそれらのスズ及び鉛化合物は公知の化合物で、この技術分野の熟練者には、例えば、米国特許第2,525,942号に開示されている方法、さらには又、その特許に引用された先行技術の方法から容易に調製しうる。
本発明によって有用な好ましいアルキルスルホン酸は、水溶性又は電解質浴中に可溶なものである。これは約1-7個の炭素原子を含有する低アルキルスルホン酸である。
スズ及び/又は鉛金属はメッキ浴へ種々の形にして添加でき、可溶性アルキルスルホン酸塩として添加されねばならぬものではない。例えば、鉛は酢酸鉛として添加できる。かくしてこれらのメッキ浴は、本発明の有利な結果を生ずるに充分なスルホン酸塩イオンが存在する限りは、スルホン酸塩以外のイオンを含有していてもよい。しかしながら、本発明の電解質内では金属はスルホン酸塩が優先している。
アルキルスルホン酸塩を使っている時、全体の金属塩の量は、約8重量パーセント以下が、電解質を低電流密度で使用し、均一電着性を望む時には有利である。金属塩の量を増加すると、溶液の均一電着性を、特に低電流密度で著しく減少する。最も有利な量は金属ないし金属ら(複数)としての含有量が、約4.5ないし2パーセントの金属塩、または約3ないし1パーセントの、スルホン酸塩である。
本発明は改良されたスズおよび/または鉛アルキルスルホン酸浴で、可溶性の第四窒素-脂肪酸湿潤剤を含み、浴の高電流密度範囲と均一電着性と、更に又メッキ堆積物の表面仕上げとを改良するようにしたものを含んでいる。
好ましい可溶性の第四窒素-脂肪酸湿潤剤は両性であって、水ないしメッキ溶液可溶性のイミダゾリン、モノアゾリン、および/またはアミドベタイン化合物である。これらの形の湿潤剤はこの技術分野において公知で、ロンザ(Lonza)社から、商品名アンフォタージ(ANPHOTERGE)として、ミラノル(Miranol)化学会社から商品名ミラノール(MIRANOL)及びミラテーヌ(MIRATAINE)として、又、モナ(Mona)工業会社より商品名モナテリックス(MONATERICS)として市販されている。また、これらの材料の他の製造者もある。アンフォタージ(AMPHOTERGE)化合物はアルキルジカルボキシイミダゾリン界面活性剤で、それらは一般的にアルキルイミダゾリンとしてカテゴリー化できる。また、以下に記すように、これらの材料の塩も使用しうる。これらの化合物の使用についての唯一の制限はそれらが電解質内に可溶であることである。
可溶性のモナテリックス(MONATERICS)湿潤剤は両性のアミノベタイン及びイミダゾリン誘導体を含む。これは1-(ヒドロキシエチル)-2-アルキルイミダゾリンのようなモナゾリン化合物を含んでいるだろう。
最も好ましい化合物は次の式で示されるイミダゾリンである。

この中でRは脂肪酸ラジカル;R1はH、NaまたはCH2COOMであり、R2はCOOM、CH2COOMまたはCHOHCH2SO3Mであり;MはNa、Hまたは陽イオン性界面活性硫酸塩ないしスルホン酸塩である。
最も有利な化合物は、それの中でRが6個の炭素原子以上を含み、R1はCH2COOH、R2はCOOM、R3はOHである。現在、最良の効果があるものは、RがC7H15(カプリック)、R1がCH2COONa、R2がCOONa、R3がOHであるもの(AMPHOTERAGE KJ-2)である。
可溶性のカルボキシルまたはスルホン酸-脂肪酸湿潤剤で第三窒素を含むもの、第(5)式のような化合物もまた使用でき、第四窒素を含むものは浴内に含まれた酸により適合して形成される。
RがC12H20(ココナット油)になっている同じ化合物もまた優れた効果を与える。オレインヒドロキシエチルアルキルイミダゾールとN’ココイルN-N’ジメチルグリシンとは、可溶性のイミダゾリン湿潤剤の他の特殊例である。
本発明に有効な他の化合物は

で、ここにRは上記の式(1)に対してつけたと同じ意味を有する。種々のアルキルラジカル及びグループの鎖の長さは、水またはメッキ溶液に対する溶解度が維持され、化合物が可溶性の湿潤剤性質を保持する限りにおいては、これらを変えることが可能である。
式(3)及び(4)の化合物は現在では二次的興味のものである。式(3)及び(4)の特殊な化合物の例には、ジメチル〔3ココアミドプロピル〕アミノエタノエイト及びココアミドプロピルジメチルアンモニア-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸塩が含まれている。それらは改良された仕上げと均一電着性とを生ずるが、式(1)及び(2)の化合物程良くはない。式(1)及び(2)による化合物は、現在一般に使用されているペプトン含有フッ化ホウ酸塩の浴から得られるものとすべての方面で等しい滑らかなつや消し仕上げのはんだ堆積物を生ずる。
Rは上式では脂肪酸ラジカルとして指示されていた。脂肪族グループは飽和でも不飽和でもありうる。炭素数に対する唯一の上限はメッキ浴溶液中での化合物の溶解度であろう。そしてこれは使用されている化合物によって変りうる。例えば、式(2)の化合物は式(1)のものよりもより多くの炭素原子を脂肪族グループ内に含むことができ、しかもなお、水溶解性を維持する。上式内の特殊な陽イオンは決定的ではないが、しかし、ナトリウムが好ましい。湿潤剤の混合物もまた使用できる。
本発明によって有用な両性湿潤剤は、脂肪酸から誘導された酸基と一つ以上の溶解性化基を含む第四窒素湿潤剤として広汎に定義される。溶解性化基はカーボキシルまたはスルホン酸基等である。
これらの湿潤剤の量は決定的ではなく、最適量は使用するため選ばれた特殊剤とその中でそれが使用されるところの浴によって変るだろう。望む効果を得るには充分な量の湿潤剤を使用すべきである。普通には、1ないし2モル/lの湿潤剤が純スズ及び60/40スズ-鉛合金浴では優れた効果を生ずる。より多い量も使用できようが、そうする特別の理由はない。メッキ浴の鉛含量が増加するにつれ、これらの湿潤剤を追加した量で使用すべきかも知れない。純鉛浴は、改良された表面特性と改良された均一付着性を得るには、これらの湿潤剤の40ml/l以上も多くを必要とするだろう。
第四窒素湿潤剤の添加は低い電流密度(0.5〜2.2A/dm2)での電解堆積物の適用範囲を著しく改良した。そうした浴はかくして、低い電流密度が使用され、高い均一電着性が必要とされるところの、回路盤のようなラックメッキに対して特に有利である。もっと有利な湿潤剤では0.1ないし0.2A/dm2までも低い電流密度できえ、適用範囲を得ることができる。
本発明のメッキ浴はまた、光択あるメッキ堆積物が望まれる時には、フッ化ホウ酸塩浴に通常使用される材料を添加することにより光択あるメッキ堆積物を作るのにも有利に使用できる。これらの公知の光沢剤はクロロベンツアルデヒド、ベンツアルデヒド、ベンザアルデヒドのような芳香族アルデヒドおよびベンサルアセトン、芳香族ケトンのような芳香族アルデヒドの誘導体が有効である。フッ化ホウ酸塩浴と使われてきた他の光沢用剤には芳香族ピリジン化合物、エチレンオキサイド湿潤剤、及びホルムアルデヒドがある。これらの材料はフッ化ホウ酸浴に使われるのとほぼ同じ割合で使用できる。そして、フッ化ホウ酸塩浴に芳香族アルデヒドおよびその誘導体を用いることは当業者にとってよく知られており、その典型的な例として米国特許第4000047号、同4135991号、同4072582号、同3785939号、同3769182号、同3749649号、同3730853号などの米国特許が挙げられる。さらに、上記特許の中で、米国特許第3785939号および同3769182号において、低脂族アルデヒドは芳香族アルデヒドと共に用いられることも開示している。一方、米国特許第4118289号には、好適な光沢剤として、カルボキシアルデヒド、ケトン及びカルボン酸が使用できることを開示している。また、米国特許第3730853号及び同3769182号は、ベンザルアセトン(又はベンジリデンアセトン)の使用を、他のベンズアルデヒド誘導体と同等に使用できることを開示している。本発明においては、これらの光沢剤を同様に用いることができ、特にクロロベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、ベンザルアセトンは最も望ましい化合物である。
光沢剤として使用されてきた適切なエチレンオキサイド湿潤剤には、エチレンオキサイドとアルキルフェノールまたは高級アルコールの縮合生成物(英国特許明細書第1,151,460号及び米国特許第3,905,878号に示されている);脂肪族アルコール、ソルビタンアルキルエステル、またはアルキルフェノールエチレンオキサイド縮合物(米国特許第3,875,029号);アルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール(米国特許第4,242,182号);ポリグリコールの水溶性エーテル(米国特許第3,361,652号);ポリエチレングリコール誘導アルキルフェノール、エーテル、またはアルキルアミド化合物(米国特許第3,661,730号);ポリエトキシル化アルキルフェノールまたはポリエトキシル化脂肪酸モノアルカノルアミド及び関連アミン(米国特許第4,118,289号);及び、他の化合物との縮合生成物またはポリアルキレンオキサイド(米国特許第4,000,047号の第III表)。
上記したアルキレンオキサイド化合物は多年にわたり、フッ化ホウ酸塩スズ及びスズ-鉛メッキ浴に使用されてきた。従来技術は、すべてのアルキレンオキサイド化合物はお互いにほぼ等価であると常に考えた。小さいスケールの応用またはテスト応用に対しては、これは真実であるかも知れない。しかしながら、現在、アルキレンオキサイド化合物の多くの物がアルキルスルホン酸のメッキ浴に商業的に使用できないことが発見された。約32℃以下の曇り点を有するこれらのアルキレンオキサイド化合物は減少した陰極効率を惹起し、又メッキ堆積物は、曇り点が約32℃より上のアルキレンオキサイド化合物を含む浴と比較してはんだ付着能力が貧弱である。
若干のアルキレンオキサイド化合物は、アルキルスルホン酸浴に使われた時、アルキレンオキサイドが始めに添加される時には透明であるが、約一日の使用後には、曇ってこよう。そうすると、メッキ浴は陰極効率を失うものと期待され、はんだ付着能力が減少した特性のメッキ堆積物を生ずる。上記したごとくに、重要なのは水だけの中のアルキレンオキサイドの曇り点より、むしろ、使用されている特殊電解質溶液中でのアルキレンオキサイドの曇り点である。なぜなら、メッキ浴の環境条件が曇り点を変化させるからである。この現象は有害か有益かであり得る。メッキ浴環境が曇り点を32℃以下に減ずる時は有害である。これは浴を処方するとすぐ起るか、または時間をかけた浴の使用後に起り得る。
浴の中の他の薬剤及び化合物がそうしたアルキレンオキサイドを含んでいる浴の曇り点に影響する。これらの薬剤は、アルキレンオキサイドが水中で有するだろうところの曇り点をより高いか、より低い値まで変化させることができる。例えば、イミダゾリン化合物の添加は種々のアルキレンオキサイド界面活性剤を含むメッキ浴の曇り点を引上げよう。かくして、そうした場合には、水だけの中で32℃以下の曇り点を有するアルキレンオキサイド化合物は、もしも曇り点がイミダゾリンまたは他の類似の薬剤の添加により望むレベル(即ち、少なくとも32℃以上)へ上げられない位に低くはないならば、そうした電解質内に使用されることができる。メッキ浴環境内で、適切な曇り点(すなわち、32℃以上)を有するか達成できるところのアルキレンオキサイド含有メッキ浴のみが、本発明により使用されることができる。
これらのメッキ浴は低電流密度範囲(0.5〜2.2A/dm2)内で滑らかなつや消しのメッキ堆積物を生成するのに使用することができ、又、溶融後、堆積物表面は滑らかでより細かい粒になり光沢があり良好なはんだ付着能力を示した。高電流密度範囲では堆積物は暗色で、焼けた区域が30から50%あった。しかしながら、適切なアルキレンオキサイド化合物の使用はメッキ範囲を増大し、その上では有用なメッキ堆積物を得ることができる。
本発明によると、最も好ましいアルキレンオキサイド湿潤剤はエチレンオキサイドの縮合生成物および/またはスチレン化したフェノール付きのプロピレンオキサイド、高級アルコール、アルキルフェノール類、脂肪酸アミン類、アルキルアミン類、エステル化したソルビタン、燐酸塩、または脂肪酸アミド類である。少くとも、なるべくは12以上のモルのアルキレンオキサイド(すなわち、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、又はそれらの混合物)が32℃より大きい必要なメッキ浴曇り点を確実に示す。
そうした縮合物をアルキレンオキサイドによって形成するために有用な好ましい化合物の例は、スチレン化フェノール類でなるべくはモノ、ヂ、またはトリ、スチレン化フェノール、モノ、またはヂ、スチレン化クレゾール、及びモノ、またはヂ、スチレン化フェニルフェノールである。高級アルコールで典型的なものは、オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、ステアリルアルコール、エイコサノール、セチルアルコール、オレイルアルコール及びドコサノールである。アルキルフェノールの実例となるのは、モノ、ヂ、またはトリ、アルキル置換フェノールでは、p-ターシャリブチルフェノール、p-イソオクチルフェノール、p-ノニルフェノール、p-ヘキシルフェノール、2,4-ジブチルフェノール、2,4,6-トリブチルフェノール、p-ドデシルフェノール、p-ラウリルフェノール及びp-ステアリルフェノールのようにものである。アルキルナフトール類にはアルキル化したα、またはβ、ナフトールが含まれる。アルキルナフトール内のアルキル置換体としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル及びオクタデシルがあり、ナフタレン核のどの位置にあってもよい。脂肪酸アミドは、プロピオン、ブチル、カプリル、ラウリル、ミリスチック、パルミチン、ステアリン及びベヘン酸などであるとよい。燐酸塩は、燐酸の1ないし2個のヒドロキシ基をC1ないしC20アルコールでエステル化して得られるエステルである。高級脂肪酸でエステル化したソルビタンの典型的なものは、モノ、ジ、またはトリ、エステル化1、4-、1、5-または3、6-ソルビタンで、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンジオレエート、及びソルビタンの混合脂肪酸エステル類である。この技術分野の熟練者は本発明のアルキレンオキサイド化合物を形成するに使用しうる他の化合物を知っている。上記したごとく、少なくとも8モルのアルキレンオキサイド化合物が必要である。
アルキレンオキサイド化合物と組合せて使用される第四窒素-脂肪酸化合物、特にイミダゾリン類の使用は、期待されるだろうよりも更に別の改良を与える、すなわち、相乗作用的に働くのである。
本発明により有用なピリジンまたはキノリン化合物類は米国特許第4,000,047号に記載されているものである。ピリジン化合物が好ましい。本発明の電解質中に含まれるピリジンないしキノリン化合物の量は米国特許第4,000,047号に記載されたものと同じである。
本発明によって有用な芳香族アルデヒド類、更には又その量もまた米国特許第4,000,047号に記載されているものである。
かくて、米国特許第4,000,047号はその中に参考として、特に、本発明によって使用し得るピリジン、キノリン、及び芳香族アルデヒド類の種類及び量の開示に関しての記載がある。
本発明では、メッキ堆積物の低電流密度の改良にビスマス化合物を使用しうる。本発明で有用なビスマス化合物は、水または溶液に可溶性で、ビスマス化合物から生じた陽イオンがスズまたは鉛塩と干渉し、それらの沈殿を惹起するようなことが無いものであるべきである。硝酸ビスマスは許容可能なビスマス化合物の一例である。ビスマスの量は望む低電流密度範囲を得るに充分であるべきである。硝酸ビスマスとして0.1g/l位の少いビスマス金属が有用な電流密度範囲をゼロ付近に近くまで低下させ、かくして浴をバレルメッキに非常に有効にする。ビスマス単独では低電流密度で光沢を与えない。しかしながら、もしも芳香族アルデヒドおよび/またはエチレンオキサイド湿潤剤がビスマス化合物と併せて使用されれば光沢あるメッキ堆積物が得られる。
アセトアルデヒドはメッキ浴の高電流密度を増大するのに使用されうる。増大の程度は異常で、期待外であり高度にドラマチックである。アセトアルデヒドの量は有用な電流密度範囲を望む値に上げるに充分であるべきである。1ml/lが電流密度範囲は2.2A/dm2(アセトアルデヒド添加しない場合)から21.5A/dm2へ上げるに充分であることが見い出されている。
塩基性電解質と共に使用される添加物の特別な組合せは望まれるメッキ堆積物の状態又は種類による。良好なはんだ付着能力のつや消しメッキ堆積物は適切な曇り点のアルキレンオキサイドとイミダゾリンまたは第四化合物を使用することによって得られる。光沢メッキ堆積物はエチレンオキサイドと芳香族アルデヒドを添加して得られる。有効電流密度はアセトアルデヒドの添加で高領域へ伸ばし得る(2.2から21.5A/dm2へ)。又、ゼロよりわずか上の低区域へはビスマス化合物の添加で伸ばしうる。
メッキ浴はスズおよび/または鉛スルホン酸塩をアルキルスルホン酸の過剰の中に置き、酸含量を調整して必要なpHにし、なにか不溶解物は濾過して除き、それから水で最終の望む容積にして調製できる。
メッキ浴は一般に室温で操作される。メッキ速度の増加には攪拌が必要である。
メッキ溶液中に使用されるスズ-鉛金属比にしたがって種々の合金が作られうる。60:40スズ-鉛合金は、例えば、20g/lのスズ金属と10g/lの鉛金属で作られる。そうしたメッキ浴では、アルキルスルホン酸は100パーセントアルキルスルホン酸の約150g/lの存在が有利である。
メッキ浴へ還元剤を少量添加すると、スズを可溶性二価状態に保つのに助けになる。これは二価スズが四価スズに変換するのを防ぐが、後者は一般に浴環境で不溶性である。0.5g/lのヒドロキシフェニール化合物は酸化防止剤(還元剤)として有効である。レゾルシノール、ピロカテコール、ヒドロキノン、フロログリシノール、ピロガロール、3-アミノフェノールまたはヒドロキノン硫酸エステル、あるいはこれらと類似の薬品でこの目的を達成することができる。
〔発明の実施例〕
以下に本発明の一実施例を挙げ、さらに具体的に説明するが、これらの実施例の記載内容のみによって本発明の技術的範囲はなんら制約を受けるものではない。
実施例 1
市販のロンザ(Lonza)社の製品、商品名アンフォタージ(ANPHOTERGE)KJ-2であるカプリックジカルボキシイミダゾリン2ml/lを下記のメッキ浴に添加した。
スズ金属(メタンスルホン酸塩) 18g/l
鉛金属(メチルスルホン酸塩) 9g/l
メチルスルホン酸(100%) 70ml/l
室温で、0.5ないし1.6A/dm2でメッキを達成した。その結果の60:40スズ/鉛合金メッキ堆積物は白いつや消しのもので、低電流密度適用範囲は、イミダゾリン無しで同条件下での浴に比して著しく改良される。イミダゾリン無しで得られたメッキ堆積物は暗い灰色のつや消しのものであった。
実施例 2
2ml/lのアンフォタージKJ-2と、2ml/lのココベタイン[式(2)による。ここでRはココアルキルラジカルでミラノール(Miranol)化学社から商品名ミラテーヌ(MIRATAINE)CDMBとして販売〕とを下記のメッキ浴に添加した。
スズ金属(メタンスルホン酸塩) 20g/l
メタンスルホン酸(100%) 70ml/l
室温
電流密度 0.5〜1.6A/dm2
純スズメッキ堆積物は白いつや消しの外観で、低電流密度適用範囲はイミダゾリンの無い場合の浴と比較して著しく改良されていた。イミダゾリン無しで得られたメッキ堆積物は暗灰色の外観であった。
実施例 3
モナ(Mona)工業社で商品名モナテリック(MONATERIC)CAで製造されているココナツイミダゾリン両性界面活性剤の4ml/lを下記のメッキ浴に添加した。
スズ金属(メチルスルホン酸塩) 90g/l
メチルスルホン酸(100%) 150ml/l
室温
電流密度 1.1〜2.7A/dm2
白いつや消しのメッキ堆積物と低電流密度適用範囲とは、イミダゾリン無しの同条件下の浴と比較してかなり改良された。イミダゾリン無しのメッキ堆積物は暗灰色つや消しの外観を呈した。
実施例 4
40ml/lの1-ヒドロキシエチル-2-オレインイミダゾリンを下記のメッキ浴に添加した。
鉛金属(醋酸塩として) 15g/l
メチルスルホン酸(100%) 50ml/l
室温
電流密度 0.5〜1.6A/dm2
結果の純鉛メッキ堆積物は白いつや消しの外観で、低電流密度適用範囲は、イミダゾリン無しで同条件の浴に比しかなり改良された。イミダゾリン無しでのメッキ堆積物は暗灰色つや消しの外観であった。
実施例 5
スズ金属(メタンスルホン酸として) 20g/l
鉛金属(メタンスルホン酸として) 2g/l
メタンスルホン酸(100%基底) 70ml/l
AMPHOTERGE KJ-2(Lonza社) 1ml/l
室温
電流密度 0.2〜3.2A/dm2
生じたメッキ堆積物は白色つや消しで、分析すると90%スズ、10%鉛であった。他の組成比の合金はメッキ浴内のスズと鉛との含有比を調整することによって可能である。
また、もしもメッキ浴の溶液電導度または均一電着性を改良する必要があれば、電導性塩を添加することも可能である。浴のpHの調整に使用したスルホン酸のアルカリ塩は、例えば、この目的に使用できる。
実施例 6
スズ金属(メチルスルホン酸として) 15g/l
鉛金属(メチルスルホン酸として) 2g/l
メチルスルホン酸ナトリウム塩 75g/l
AMPHOTERGE KJ-2(Lonza社) 1〜1/2ml/l
pH(メチルスルホン酸による調整) 2.0
室温
電流密度 2.2〜4.3A/dm2
上記の浴は白いつや消しのメッキ堆積物を生じた。
以下の実施例においては下記の塩基性電解質浴を使用した。
第一スズメタンスルホン酸塩としてのスズ 18g/l
鉛メタンスルホン酸塩としての鉛 9g/l
メタンスルホン酸 150g/l
ハルセルパネルは以下の実施例のすべてにおいて1アンペア5分間の合計電流で操作した。
実施例 7
10g/lのポリオキシエチレンラウリルエーテル〔23モルのエチレンオキサイド縮合物〔Brij-35-Atlas)〕を塩基性電解質に添加した。
メッキ浴は、低電流密度範囲では滑らかでつや消しであり、高電流密度区域では約30から50%焼けがあるハルセルパネルを生じた。溶融後、メッキ堆積物表面は非常に滑らかで、光沢があり、平滑で、良好なはんだ付着能力を示した。
実施例 8
実施例7へ1g/lのカプリックジカルボキシイミダゾリン両性表面活性剤(AMPHOTERGE KJ-2-Lonza)を添加した。この浴はメッキ堆積物の焼けや暗色化の傾向が無い増大した高電流密度範囲を示した。溶融後、メッキ堆積物は非常に滑らかで光沢があり平らで、良好なはんだ付着能力を示した。
実施例 9
10g/lのノニルフェノール/12エチレンオキサイド縮合物を塩基性電解液に加えた。浴は単に50%の高電流密度範囲が暗色で焼けている滑らかなメッキ堆積物を示した。
実施例 10
実施例9へ0.18g/lのピコリン酸と、0.1g/lのオルソオキシヒドロキシベンズアルデヒドのアリルエーテル及び0.16ml/lのオルソクロロベンズアルデヒドを添加した。
このメッキ浴からの堆積物は1.6から4.3A/dm2に光沢ある電流密度範囲を示した。低電流密度範囲はもうろうとしたところから鈍いところがあり、高電流密度範囲は鈍く焼けていた。
実施例 11
実施例10へ1ml/lのアセトアルデヒドを添加した。メッキ堆積物は2.2から21.5A/dm2にわたる電流密度で輝きがあった。この実施例においては、実施例10の光沢剤を含むアルキルスルホン酸電解質で、有用電流密度範囲を非常に上げるアセトアルデヒドの効果を示す。
実施例 12
実施例10へ、0.1g/lのビスマス金属を硝酸ビスマスとして添加した。メッキ浴はゼロ付近から4.3A/dm2にわたる電流密度で輝きをもつメッキ堆積物が得られた。
この実施例は、実施例10の光沢剤を含むアルキルスルホン酸電解質で、有用な電流密度範囲を極端に減少して非常に低い値にするビスマスの効果を示す。
実施例 13(比較例)
0.1g/lのビスマス金属を硝酸ビスマスとして実施例7の浴へ添加すると、低電流密度領域においてなんらの改良も無い。これは、米国特許第4,000,047号にリストされた光沢剤と芳香族アルデヒドとの組合せ中にビスマスを使用することによる低電流密度改良の相乗作用を示す。
実施例 14
実施例11を繰返すが、しかし、この場合にはピコリン酸は除がいした。メッキ堆積物は4.3〜21.5A/dm2にわたる光沢電流密度で輝いている。この例は特許第4,000,047号のピリジン型材料を省くことができ、そしてなお、より高い電流密度で良好な結果が得られることを示す。低電流密度範囲は、実施例11では2.2A/dm2が最低限度で、本実施例では4.3A/dm2までで若干の損失はあるが、しかし、ただ高電流密度範囲のみを必要とするか希望するような場合においてはこの損失は重大ではない。
実施例 17
8g/lのプルロニック(Pluronic)L-62[ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)ブロックポリマ/20%エチレンオキサイド含有〕を実施例2のメッキ浴へ添加した。
1アンペア5分間のハルセル試験は均質なつや消しパネルで許容できる均一電着性のあるものを生じた。
上記のすべての実施例において電解質溶液は水で稀釈して望む容積にした。
以下の実施側において、本発明をさらに具体的に説明するが、これら実施例は、単に本発明の一例をより具体的に示すことを目的とするものであって、いかなる意味においても、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
実施例 19
メッキをするために次のAおよびBに示す組成のメッキ浴を調製した。

メッキ浴は次の3種のそれぞれの温度に維持した。
(1)60℃
(2)49℃
(3)27℃
メッキ浴の攪拌を引き起こすため空気をポンピング運動によリメッキ浴の中へ取り入れた。すなわち、定期的に空気を各メッキ浴の中へバブリングし、これを50時間継続した。50時間経過後、3種の温度での空気酸化の結果を調べるためメッキ浴中で酸化された二価のスズ含有量を分析した。
その結果を以下に示す。


27℃のメッキ浴では、メッキ浴A+ヒドロキノンと比較して、メッキ浴B+ヒドロキノン中では二価のスズの酸化が少ないことが確認された。49℃及び60℃では、酸化防止剤を含むすべてのフルオボレイトメッキ浴(A)中でのスズの酸化はかなり生じていたが、同じ酸化防止剤を含むメタンスルホン酸メッキ浴中ではスズの酸化はかなり減少していた。
実施例 21
エレクトロニクス及び通信産業の分野で使用されるワイヤの大手製造業者において、生産設備であるフルオートメーション装置によリワイヤにスズの電気メッキを行なった。電気メッキには次に示すフルオボレイトをベースにした組成のメッキ浴を用いた。
塩化フルオボレイトとしてのスズ金属 150g/l
フルオボリック酸 200ml/l
ゼラチン 6g/l
ベータナフトール 1g/l
ヒドロキノン 3g/l
電流密度 161.5A/dm2
温 度 60℃
スズ酸(メタスズ酸)をベースにしたスズスラッジが電着スズ136000kgにつき27200kgの割合で生じた。この量は、10個のドラムカンで、毎月処理又は精製される廃棄物となる。
実施例 22
実施例21と同じ製造業者において、スズ電気メッキ浴の組成を以下のように変えて、実施例21と同様にして電気メッキを行つた。
塩化メタンスルホン酸(スルホン酸塩)としてのスズ金属 100g/l
メタンスルホン酸 200ml/l
アルキレンオキサイド及び四元界面活性剤 5g/l
カテコール 1g/l
電流密度 215.3A/dm2
温度 60℃
この結果、酸化第二スズを主成分とするスラッジが、電着スズ136000kgに対して、わずか680kgであった。この量は、毎月および1/4ドラムカンに相当する量であって、生成するスラッジの量が極めて少ないことを示している。
実施例 23
電気接触器及び接続器の大手の製造業者において、生産設備であるフルオートメーション装置により連続して60対40のスズ-鉛合金を電気メッキした。電気メッキ浴は、以前は以下の組成のフルオボレイトベースのメッキ浴を用いていた。
塩化フルオボレイトとしてのスズ金属 60g/l
鉛フルオボレイトとしての鉛金属 30g/l
フルオボリック酸 200ml/l
ベータナフトール 1g/l
ヒドロキノン 3g/l
光沢剤 所望の光沢を得る必要がある場合に使用される。
温度 24℃〜30℃
電流密度 10.8A/dm2
スラッジは急激に増加し、電流効率、はんだづけ性及び光沢性が劣化した。また、スラッジは陽極を被覆し、攪拌機構を不能にするため、2カ月毎にメッキ浴を廃棄しなければならなかった。新しいメッキ浴は、スラッジにより被覆されてしまったメッキ槽、陽極、フィルタ及びポンプなどを完全に清掃した後にメッキ装置に使用された。このメッキ浴の交換及び洗浄工程は2カ月毎に繰り返さなければならなかった。
実施例 24
実施例23と同じ製造業者において、スズ-鉛電気メッキ浴の組成を以下のように変えた。
塩化メタンスルホン酸エステル(スルホン酸塩)としてのスズ金属 40g/l
鉛メタンスルホン酸エステル(スルホン酸塩)としての鉛金属 15g/l
メタンスルホン酸 200ml/l
酸化アルキレン(BASFによるLutenson AP-14) 2.5g/l
四元界面活性剤(Lonzaによる両性表面活性剤K) 2.5g/l
カテコール 1g/l
O-クロロベンザアルデヒド 0.3g/l
アセトアルデヒド 1.5g/l
温度 24〜30℃
電流密度 16.1A/dm2
この溶液を用いた結果、スラッジの生成量は最少となり、電気メッキ装置の清掃あるいはメッキ浴の交換を行う必要性が全くなくなった。
ここに開示した発明は望む結果を達成すべくよく計画されているが、数々の修正と実施態様とがこの技術分野における熟練者により改良されることは認められるが、本発明の付属する特許請求の範囲にはすべてのそうした修正と態様とが本発明の真の技術的思想ならびに特許請求の範囲に入るように意図されているものである。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2004-09-16 
出願番号 特願昭60-293667
審決分類 P 1 41・ 83- Y (C25D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中嶋 清酒井 雅英岡田 万里  
特許庁審判長 影山 秀一
特許庁審判官 瀬良 聡機
池田 正人
登録日 1999-05-21 
登録番号 特許第2140707号(P2140707)
発明の名称 スズ-鉛電気メッキ溶液およびそれを用いた高速電気メッキ方法  
代理人 橋本 幸治  
代理人 橋本 幸治  
代理人 千田 稔  
代理人 千田 稔  
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