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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効とする(申立て全部成立) F04B
管理番号 1106979
審判番号 無効2002-35492  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-01-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-11-18 
確定日 2004-10-12 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2567947号発明「可変容量圧縮機」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第2567947号の請求項1、3に記載された発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 【1】手続の経緯
本件特許第2567947号の出願は、平成1年6月16日に出願されたものであって、その特許請求の範囲の請求項1〜4に係る発明に対して、平成8年10月3日に特許権の設定がなされたものである。
その後、請求項1、3に係る特許に対し、株式会社ゼクセルより特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされた後、その指定期間内である平成10年4月13日付けで訂正請求書が提出され、平成11年1月29日にその訂正を認めて、特許維持の決定がなされた。
これに対して、株式会社ゼクセルヴァレオクライメートコントロールより、請求項1、3に係る発明の特許に対する特許無効審判が請求され、特許無効審判請求書の副本が被請求人に送達され、期間を指定して答弁書を提出する機会が与えられたところ、被請求人よりその指定期間内である平成15年2月4日に訂正請求書が提出された。

【2】訂正の適否についての判断
(訂正の要旨;訂正事項)
明細書第11頁第17行に記載される「ベローズ28の上端面は前記弁支持ロッド26の」(特許公報第3頁第6欄第19行参照)を、「ベローズ28の上端面は後述する可動鉄心33の」と訂正する。
(訂正の適否、新規事項の有無、拡張・変更の存否)
この訂正事項は、第2図の記載と一致しない明細書の記載を、第2図の記載に整合させるものであるから、誤記の訂正を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(むすび)
したがって、平成15年2月4日付けの訂正請求による訂正は、特許法第134条第2項の規定、及び同条第5項の規定によって準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

【3】本件発明1、3
前記したように、訂正請求による訂正が認められたことから、本件特許の請求項1、3に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明3」という。)は、平成15年2月4日付け訂正請求書に添付された訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、3に記載された以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】 吸入室と吐出室及びクランク室とを備え、クランク室圧力と吸入圧力との差圧に応じてピストンのストロークが変更され揺動傾斜板の傾斜角が変化して、圧縮容量を制御するようにした角度可変揺動傾斜板型の可変容量圧縮機において、吐出室とクランク室とを連通する給気通路と、前記クランク室と吸入室とを連通する抽気通路とを設け、前記給気通路には該給気通路の開度を調整する調整弁を設け、該調整弁には吸入圧力、クランク室圧力又は吐出圧力などの内部圧力を検知して該調整弁を制御する感圧手段を設け、さらに前記感圧手段に結合して外部入力により該感圧手段に可変荷重を与えて該感圧手段の圧力制御点を可変する外部制御手段を設け、さらに前記外部制御手段は感圧手段とは無関係に前記調整弁を制御して前記給気通路を開放することにより吐出室とクランク室との間を直接的に連通する状態にして容量を強制的に減少させる通路開放手段を備えている可変容量圧縮機。」
「【請求項3】 請求項1記載の発明において、前記給気通路に設けた調整弁の弁体は弁支持ロッド及びべローズなどの感圧部材により支持され、該感圧部材の外側には、吸入圧力を感知する感圧室を設けた可変容量圧縮機。」

【4】請求人の主張及び提出した証拠方法
(請求人の主張)
請求人は、「本件発明1、3の特許を無効にする、審判請求費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、
その理由として、まず、「要旨変更」をあげ、
「(1)本件特許の請求項1に係る発明において、拒絶理由通知に対してなされた平成06年10月24日付け手続補正は、特許請求の範囲を変更乃至拡張するもの(平成5年改正特許法第17条第2項の規定違反)であり、平成5年改正特許法第123条第1項第1号の規定により、無効とされるべきである。/(2)本件特許の請求項1に係る発明において、審判理由補充時になされた平成07年08月07日付け手続補正は、特許請求の範囲を変更乃至拡張するもの(平成6年改正特許法第17条の2第3項の規定違反)であり、平成6年改正特許法第123条第1項第1号の規定により、無効とされるべきである。/(3)本件特許の請求項1に係る発明において、平成10年04月13日付け訂正請求書によりなされた手続補正は、特許請求の範囲を変更乃至拡張するもの(特許法第120条の4第2項の規定違反)であり、特許法第123条第1項第8号の規定により、無効とされるべきである。」旨主張する。
(なお、出願日が平成5年以前の出願における明細書の特許請求の範囲の記載は、平成5年改正前の特許法第41条の規定により、明細書の要旨を変更しない範囲で増加又は変更することができるので、請求人の上記「要旨変更」の(1)、(2)に関する主張は誤りであり、請求人が主張する無効の理由により、上記特許を無効とすることはできない。)
次に、「詳細な説明不記載事項を含む違法な発明」であるとして、
「本件発明1は、明細書の発明の詳細な説明に記載されない事項を請求項に取り込むもの(平成6年改正特許法第36条第6項第1号の規定違反)であり、平成6年改正特許法第123条第1項第4号の規定により、無効とされるべきである。」旨主張する。
さらに、「進歩性の欠如」として、
「(1)本件発明1、3は、補正後の最終の特許請求の範囲を判断の基底に据えても、甲第1号証に記載された発明と、甲第2乃至12号証に記載されたような周知な発明に基づいて容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、よって、この特許は特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とされるべきである。/(2)本件発明1、3は、同様に、甲第1号証に記載された発明と、甲第13号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、よって、この特許は特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とされるべきである。」旨主張し、
この主張を立証するために、その証拠方法として、以下の甲第1〜15号証を提示している。
(証拠方法)
・甲第1号証;特開昭62-282182号公報
・甲第2号証;特開昭63-93614号公報
・甲第3号証;特開昭63-16177号公報
・甲第4号証;特開昭61-283774号公報
・甲第5号証;特開昭62-218669号公報
・甲第6号証;特開昭63-9682号公報
・甲第7号証;実開昭63-26783号公報
・甲第8号証;実開昭63-51174号公報
・甲第9号証;特開昭62-247186号公報
・甲第10号証;特開昭62-253970号公報
・甲第11号証;特開昭62-223475号公報
・甲第12号証;実願昭60-17615号(実開昭61-134580号)のマイクロフィルム
・甲第13号証;特開昭61-55380号公報
・甲第14号証;特許第2600317号公報
・甲第15号証;無効2000-35636号無効審判事件の審決書

【5】被請求人の主張
被請求人は、請求人が主張する「進歩性の欠如」の(1)に対して、平成15年2月4日付け答弁書において、概ね、以下のように反論する。
(1)『本件発明1がクランク室圧力の制御方式に係る発明であることに鑑みれば、引用発明1と引用発明2とではクランク室圧力制御方式が異なり、そうした意味において、両発明は同一技術分野に属するものであるとは言えないのである。』(答弁書第18頁第13〜16行)
(2)『引用発明1と引用発明2とでは、開度調整する対象となる通路が異なり、故に制御手法も異なる。外部制御とは無縁の引用発明1と給気通路制御とは無縁の引用発明2との組み合わせには動機付けが存在しないのであり、請求人の「甲第1号証の発明に、甲第2号証の発明を組み合わせることに格別の困難性はない」(審判請求書31頁6行〜7行)という主張は根拠に欠くのである。』(同第18頁第21〜26行)
(3)『いずれにしても、外部制御とは無縁の甲第1号証、感圧手段による給気通路制御とは無縁の甲第2号証乃至甲第12号証は「給気通路の調整弁を制御する感圧手段の圧力制御点を感圧手段の内部圧力に基づく制御とは無関係に変更することにより、給気通路を開放して吐出室とクランク室との間を直接的に連通する状態にして容量を強制的に減少させる」点を開示しない。特に、甲第9号証乃至甲第12号証は、ただ単に弁の配設位置の交換配置を指摘するのみで、調整弁を制御する感圧手段の圧力制御点を変更する外部制御手段との関連性については全く開示されていないのである。』(同第19頁第11〜19行)
(4)『本件発明1のE構成、特に給気通路の制御であればこそ、「吐出室内からクランク室へダイレクトに高圧ガスを迅速供給でき、吸入圧力とクランク室圧力との差圧を速やかに増大させて容量を減少する方向への切り換え動作を強制的、かつ迅速に行い、容量制御の応答性を向上することができる。」という作用効果(以下、単に「加速カット」という。)を奏するのである。この作用効果は、引用発明2が外部制御手段を有するからといって、抽気通路の開度を調整する調整弁を制御する外部制御手段では奏し得ないものである。加速カットという作用効果は本件発明1の構成に特有のものなのである。』(同第19頁第28行〜第20頁第6行)

【6】甲第1、2号証に記載される事項
(1)甲第1号証:
甲第1号証(以下、「引用例1」という。)には、以下のような技術的事項が記載されている。
・「本発明は容量可変コンプレッサにおける容量制御機構に関するものである。」(第1頁左下欄第14〜15行)、
・「駆動軸5には公知の如くに角度可変ウォブル板8が設けられ、」(第2頁右上欄第9〜10行)、
・「容量調整弁Bにおいて、本体14の一側に圧力応動部Mが設けられる。圧力応動部Mは、本体14に固着された下蓋15に対してダイヤフラム16を挟持した状態で上蓋17を設けると共に該上蓋17にばね箱18を固着し、ばね箱18内に螺着した調整ねじ19とダイヤフラム16の上当金20に当接するばね受け21との間に調整スプリング22を設けて構成する。ダイヤフラム16の他側には連動杆23の当金24が当接している。連動杆23は本体14の摺動孔14aを貫通して延長しており、該連動杆23の一部と当金24は受圧室R1に位置しており、該受圧室R1には吸入圧力Psを導入する通路sに連通する吸入圧力導入口14bが形成されている。摺動孔14aを通って延長する連動杆23は弁室R2に達し、その先端に固着されたボール弁体25が弁座Vを開閉する。そしてボール弁体25に当接するばね受け26と本体14に螺着された調整ねじ27との間には前記調整スプリング22に対抗する調整スプリング28が設けられている。なお、29はシールリングである。弁室R2の一次側には吐出圧力供給通路dと連通する吐出圧力導入口14cが設けられ、二次側にはクランクケース1に対する吐出圧力供給通路d”と連通する吐出圧力供給口14dが形成される。クランクケース1から吸入口Sにかけては、固定オリフィスCを解してクランクケース圧力Pcの逃し通路cが設けられており、」(第2頁左下欄第10行〜同頁右下欄第19行)、
・「上記構成において、吸入圧力Psは通路sを介して吸入圧力導入口14bから受圧室R1に導入され、ダイヤフラム16を介して調整スプリング22と対抗している。そして、吸入圧力Psが低くなるとダイヤフラム16が連動杆23を第1図において押し下げるように作動し、弁体25が弁座Vを開いて吐出圧力Pdをクランクケース1内に導入し、クランクケース内の圧力Pcを高くしてウオブル板を立てることによりピストン4のストロークを小さくする。 吸入圧力Psが上昇すると、逆に動作してクランクケース1内への吐出圧力の供給を遮断する。」(第3頁左上欄第2〜13行)、
・「〔発明の効果〕 本発明は上記した如くに、ピストンシリンダの吐出側からクランクケース内に連通する吐出圧力供給通路に介設した弁体を該ピストンシリンダの吸入圧力により制御し、該クランクケース内から固定オリフィリスを介して該ピストンシリンダの吸入側に至る圧力逃し通路を設けたものであるから、吸入圧力の変動時におけるクランクケース内外の差圧の変化を緩やかにしてコンプレッサの運転の円滑性を確保することができ、また圧縮機の構造を簡略化することが可能となる。」(第3頁右上欄第1〜11行)
そして、クランクケース1内の空間が「クランク室」であり、また、調整ねじ19は、外部より調整されるものであることは、当業者にとって自明である。
したがって、甲第1号証(引用例1)には、
『吸入口Sと吐出口D及びクランク室とを備え、クランク室圧力と吸入圧力との差圧に応じてピストン4のストロークが変更されウォブル板8の傾斜角が変化して、圧縮容量を制御するようにした角度可変ウォブル板を有する容量可変コンプレッサにおいて、吐出口Dとクランク室とを連通する吐出圧力供給通路d”と、前記クランク室と吸入口Sとを連通する逃し通路Cとを設け、前記吐出圧力供給通路d”には該吐出圧力供給通路d”の開度を調整する調整弁Bを設け、該調整弁Bには吸入圧力を検知して該調整弁Bを制御するダイヤフラム16を設け、さらに前記ダイヤフラム16に結合して外部より該ダイヤフラム16に可変荷重を与えて該ダイヤフラム16の圧力制御点を可変する調整ねじ19及び調整スプリング22を設けると共に、
さらに、前記吐出圧力供給通路d”に設けた調整弁Bの弁体25は連動杆23及びダイヤフラム16により支持され、該ダイヤフラム16の外側には、吸入圧力を感知する受圧室R1を設けた、容量可変コンプレッサ。』、
という発明(以下、「引用例1に記載された発明」という。)が記載されているものと認められる。
(2)甲第2号証:
甲第2号証(以下、「引用例2」という。)には、以下のような技術的事項が記載されている。
・「1.クランク室から低圧室へのガス逃げ量を調節する圧力制御弁を設け、前記クランク室の圧力に応じてワーブルプレートの揺動角度を変えるようにした可変容量コンプレッサを有する自動車用空調装置において、前記圧力制御弁は、弁体と、この弁体に連結され、前記コンプレッサの吸入圧力に応じて伸縮する圧力応動部材と、前記弁体を押圧する力を調節するソレノイドとを有し、また、温度設定器と少なくとも1つの検出器とを含む信号発生手段と、この信号発生手段の出力信号が所定条件を満たすか否かを判定する判定手段と、この判定手段の判定結果に応じて前記圧力制御弁のソレノイドへの通電を制御する作動制御手段とを設けたことを特徴とする自動車用空調装置。
2.信号発生手段は冷房サイクルを構成する蒸発器の温度を実質的に検出する温度検出器を含むことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の自動車用空調装置。
3.信号発生手段は傾斜及び加速度を検出し得る加速度検出器を含むことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の自動車用空調装置。」(特許請求の範囲)、
・「第3図において、圧力制御弁18は、ケース45と、このケース45の一端に固定された弁座体46とを有し、ケース45内にはソレノイド47が設けられている。このソレノイド47は、電磁コイル48、アーマチユア49及びステータ50から構成され、アーマチユア49はケース45に対して軸方向に移動自在であり、ステー夕50はケース45に対して固定されており、このアーマチユア49とステータ50とは、テーパ状に形成された互いの端面が対向し、電磁コイル48への通電に応じてアーマチユア49とステー夕50との間に磁力が発生し、後述する弁体53を押圧する力を調節するようになっている。弁座体46は、前述したクランク室に接続される第1の連通孔51と、前述した吸入圧力室44に接続される第2の連通孔52とが形成されている。第1の連通孔51の他端周囲には弁座面が形成され、この弁座面にポペツト状の弁体53が着座できるようになっている。この弁体53は、例えばべローズから成る圧力応動部材54が連結され、この圧力応動部材54は、第2の連通孔52を介して吸入圧力室44と連通する収納室55内に収納され、吸入圧力が高くなるのに従って収納(収縮)し、弁体53を図中左方向へ引っ張るようになつている。また、この弁体53は、アーマチユア49からステータ50の中心に延びる連結ロツド56と連結ピン57を介して連結固定され、ソレノイド47の磁力が高くなるのに従って図中右方向の押圧力を受けるようになつている。さらに、アーマチユア49は、調節ねじ58でセツト力を調節することができる押圧スプリング59により右方向に押圧されている。したがって、弁体53は、ベローズ54に作用する吸入圧力、ソレノイド47に作用する磁力及びアーマチユア49を押圧するスプリング力がバランスした点に位置し、それらの吊り合いにより弁座面との間の開度、即ちクランク室と吸入圧力室44との連通度が調節されるものである。」(第3頁右下欄第3行〜第4頁右上欄第1行)、
・「第4図には蒸発器6の温度をパラメータとして圧力制御弁18の作動を制御する例が示されている。即ち、同図において、マイクロコンピュータ15はメインスイッチ(図示せず)が閉じられることによりステップ200からプログラムの実行を開始し、次のステップ210において、マルチプレクサ13及びA/D変換器14を介して入力した蒸発器6の検出温度TEが、基準温度T0 に不安定動作を防止するため設けられるヒステリシス量DTを加えた値以上か否かが判定され、YES即ち蒸発器温度TEがT0 +DT以上であると判定された場合はステップ220へ、NO即ちT0 +DT以下と判定された場合はステップ270へそれぞれ進む。ステップ220では前述のステップ210のYESは冷房サイクルの不作動状態に相当することから励磁回路17を介して電磁クラッチ19がオン状態とされ、ステップ230へ進む。ステップ230では後述する冷却時間tEがゼロにリセツトされステップ240へ進み、ステップ240では前述の蒸発器温度TEが所定値T1 以下か否かが判定される。そして、YES即ちTEがT1 以下の場合はステップ250へ、NO即ちTEがT1 以上の場合はステップ260へそれぞれ進む。ステップ250ではドライバ回路16の出力電流iをi=iB+A(T1 -TE)に設定した場合、この電流がドライバ回路16の最大電流imaxより小さいか否かが判定される。ここでiBは基準吐出容量を得る通常時の出力電流で、Aは定数である。ドライバ回路16の出力電流は通常、温度設定器10の設定に対応して変えられるようになつており、この温度設定器10の調節ダイヤル(図示せず)と前述の出力電流iBとの関係は第9図二点鎖線に示されるように一対一の関係となつている。判定の結果、YES即ちiB+A(T1 -TE)がimaxより小さい場合はステップ252へ進み、出力電流iはiB+A(T1 -TE)に設定される(第9図実線部参照)。この結果、圧力制御弁18の弁体53は所定値T1 と蒸発器温度TEとの差に応じて第1の連通孔51をより閉じる方向へ作用し、可変容量コンプレツサ8の低圧室の吸入圧は増加するので、可変容量コンプレツサ8はさらに小容量運転状態となる。また、NO即ちiB+A(T1 -TE)がimax以上の場合はステップ254へ進み、出力電流iはimaxに設定される。これによつて、圧力制御弁18の弁体53は第1の連通孔51をより閉じる方向へ作用し、可変容量コンプレツサ8は最小容量運転となる。一方、前述のステップ240でNOと判定され、ステップ260へ進むと、ここでは前述のように出力電流を変えることなくiBのままとする。ステップ252,254又は260を終了した後は再び前述したステップ210へ戻り同様な制御が繰り返される。」(第4頁右上欄第6行〜第5頁左上欄第2行)、
・「第7図には加速度に応じて制御する場合の他の制御例が示されている。同図において、マイクロコンピュータ15はステップ600からスタートし、ステップ610へ進んで加速度GがG1 以上か否かの判定が行なわれる。G1 以上と判定されるとステップ620へ進み、iB+B(G-G1 )がimax以上か否かが判定される。ここでiBは前述したように通常、手動設定されたドライバ回路16の電流である。Bは比例定数である。判定の結果、imax以上の場合はステップ640へ、imax以下の場合はステップ630へそれぞれ進む。ステップ630ではドライバ回路16の出力電流iは前述したiB+B(G-G1 )に設定される(第12図実線部分参照)。この結果、可変容量コンプレッサ8は出力電流の増加分即ちB(G-G1 )に対応して運転容量が小さくなる。一方、ステップ640では出力電流iはimaxに設定され、可変容量コンプレツサ8は最小容量運転状態となる。そして、これらステップ630,640の後は共に最初のステップ610へ戻り、前述と同様の制御が繰り返されることとなる。」(第6頁左下欄第17行〜右下欄第18行)、
・「以上、述べたようにこの発明によれば、圧力制御弁の電流を蒸発器の温度等に応じて所定のパターンにしたがって変えるようにしたので、デューテイ比制御の場合のような複雑回路を必要とすることなく簡易な構成となる。しかも、種々のパラメータに応じて制御できるようにしたので、きめ細かなコンプレッサの容量制御ができる自動車用空調装置を提供することができるという効果を奏するものである。」(第7頁右上欄第15行〜左下欄第3行)
以上の記載等からみて、甲第2号証(引用例2)には、
『吸入圧力室44と高圧室41及びクランク室22とを備え、クランク室圧力と吸入圧力との差圧に応じてピストン33のストロークが変更されワブルプレート31の傾斜角が変化して、圧縮容量を制御するようにした角度可変ワブルプレートを有する可変容量コンプレッサにおいて、前記クランク室22と吸入圧力室44とを連通する連通孔51、52を設け、前記連通孔51、52には該連通孔51、52の開度を調整する圧力制御弁18を設け、該圧力制御弁18には吸入圧力を検知して該圧力制御弁18を制御するベローズ54を設け、さらに前記ベローズ54に結合して外部入力により該ベローズ54に可変荷重を与えて該ベローズ54の圧力制御点を可変するソレノイド47を設け、さらに前記ソレノイド47はベローズ54とは無関係に前記圧力制御弁18を制御して前記連通孔51、52を閉鎖することにより吸入圧力室44とクランク室22との間を連通しない状態にして容量を強制的に減少させる通路制御手段を備え、該通路制御手段は、iBをimaxとし得る温度設定器10,温度検出器11、加速度検出器12、マイクロコンピュータ15等からなる』ことが、記載されているものと認められる。

【7】対比・判断
(1)本件発明1に対して;
(対比)
そこで、本件発明1と引用例1に記載された発明とを対比すると、引用例1に記載された発明の「吸入口S」、「吐出口D」、「ウォブル板8」、「吐出圧力供給通路d”」、「逃し通路C」、「ダイヤフラム16」、「容量可変コンプレッサ」は、それぞれ、本件発明1の「吸入室」、「吐出室」、「揺動傾斜板」、「給気通路」、「抽気通路」、「感圧手段」、「可変容量圧縮機」に相当する。
また、引用例1に記載された発明の「調整ねじ19、調整スプリング22」と本件発明1の「外部制御手段」は、共に、外部より感圧手段に可変荷重を与えて該感圧手段の圧力制御点を可変するものであるから、「制御点可変手段」といい得るものである。
それゆえ、両者は、
『吸入室と吐出室及びクランク室とを備え、クランク室圧力と吸入圧力との差圧に応じてピストンのストロークが変更され揺動傾斜板の傾斜角が変化して、圧縮容量を制御するようにした角度可変揺動傾斜板型の可変容量圧縮機において、吐出室とクランク室とを連通する給気通路と、前記クランク室と吸入室とを連通する抽気通路とを設け、前記給気通路には該給気通路の開度を調整する調整弁を設け、該調整弁には吸入圧力、クランク室圧力又は吐出圧力などの内部圧力を検知して該調整弁を制御する感圧手段を設け、さらに前記感圧手段に結合して外部より該感圧手段に可変荷重を与えて該感圧手段の圧力制御点を可変する「制御点可変手段」を設けた可変容量圧縮機』の点で一致し、以下の相違点で相違する。
(相違点)
本件発明1では、「制御点可変手段」が外部制御手段であり、この外部制御手段は、感圧手段とは無関係に調整弁を制御して給気通路を開放することにより吐出室とクランク室との間を直接的に連通する状態にして容量を強制的に減少させる通路開放手段を備えるものであるのに対し、引用例1に記載された発明では、調整ねじ19及び調整スプリング22で構成される点。
(相違点の検討・判断)
そこで、上記各相違点について検討する。
引用例2に記載された発明の「吸入圧力室44」、「高圧室41」、「ワブルプレート31」、「可変容量コンプレッサ」、「連通孔51、52」、「圧力調整弁18」、「ベローズ54」、「ソレノイド47」は、それぞれ、本件発明1の「吸入室」、「吐出室」、「揺動傾斜板」、「可変容量圧縮機」、「抽気通路」、「調整弁」、「感圧手段」、「外部制御手段」に相当するから、
引用例2には、
「吸入室と吐出室及びクランク室とを備え、クランク室圧力と吸入圧力との差圧に応じてピストンのストロークが変更され揺動傾斜板の傾斜角が変化して、圧縮容量を制御するようにした角度可変揺動傾斜板型の可変容量圧縮機において、前記クランク室と吸入室とを連通する抽気通路を設け、前記抽気通路には該抽気通路の開度を調整する調整弁を設け、該調整弁には吸入圧力を検知して該調整弁を制御する感圧手段を設け、さらに前記感圧手段に結合して外部入力により該感圧手段に可変荷重を与えて該感圧手段の圧力制御点を可変する外部制御手段を設け、さらに前記外部制御手段は感圧手段とは無関係に前記調整弁を制御して前記抽気通路を閉鎖することにより吸入室とクランク室との間を連通しない状態にして容量を強制的に減少させる通路制御手段を備えている」、
という発明(以下、「引用例2に記載された発明」という。)が記載されているものと認められる。
そして、
(a)引用例1に記載された発明と、引用例2に記載された発明とは、クランク室圧力の制御方式が異なるものであるとはいえ、共に、角度可変揺動傾斜板型の可変容量圧縮機に関する発明であって、同一の技術分野に属するものと認められ、また、
(b)角度可変揺動傾斜板型の可変容量圧縮機における調整弁の制御手段に、電磁ソレノイドを用いることは、当業者がごく普通に利用する程度の常套手段にすぎないものであり、しかも、
(c)引用例1に記載された発明の「制御点可変手段」に、引用例2に記載されるような電磁ソレノイド等からなる外部制御手段を用いることを妨げる特段の事情が存在するものとは認められない以上、
引用例1に記載された発明に引用例2に記載された発明の技術思想を適用し、もって、引用例1に記載された発明の単なる「調整手段」を、感圧手段の圧力制御点を可変とする外部制御手段(電磁ソレノイド)に変更することは、当業者が容易になし得るものというべきである。
また、角度可変揺動傾斜板型の可変容量圧縮機において、揺動傾斜板の傾斜角を変化させ、圧縮容量を制御するための調整弁は、吐出室とクランク室とを連通する給気通路に設けられる場合と、クランク室と吸入室とを連通する抽気通路に設けられる場合とがあり、このことは、一例として、甲第9号証と甲第10号証、甲第12号証、‥‥等に記載されるように、本件出願前、当業者にとって周知の技術事項であることを鑑みれば、上記した適用の容易性はさらに首肯すべきものと認められる。
そして、この場合、給気通路に設けられた調整弁と、抽気通路に設けられた調整弁は、揺動傾斜板の傾斜角を変更するに際し、正反対の作動をすること、即ち、揺動傾斜板の傾斜角を大きくしようとする場合には、クランク室圧力を減少させるために、前者は、給気通路を閉鎖するように、後者は、抽気通路を開放するように作動し、また、揺動傾斜板の傾斜角を小さくしようとする場合には、クランク室圧力を増加させるために、前者は、給気通路を開放するように、後者は、抽気通路を閉鎖するように作動する。
しかも、角度可変揺動傾斜板型の可変容量圧縮機において、吐出室とクランク室とを連通する給気通路に電磁弁を設け、揺動傾斜板の傾斜角を迅速に小さくして、可変容量圧縮機の容量を強制的に減少させる時には、前記電磁弁を制御して給気通路を迅速に開放させようとすることは、例えば、甲第9号証、甲第12号証、甲第13号証、‥‥等に記載されるように、本件出願前、当業者にとって周知の技術事項(以上、「周知事項A」という。)にすぎない。
してみると、引用例1に記載された発明の外部制御手段に引用例2に記載された発明の技術思想を適用すれば、引用例2に記載された発明の「通路制御手段」は、必然的に給気通路を開放することにより吐出室とクランク室との間を直接的に連通する状態にして容量を強制的に減少させるものとなることは、当業者が容易に想到し得るものと認められる。
そして、その時、iBをimaxとし得る温度設定器10自体、或いは、温度検出器11又は加速度検出器12からの信号を入力するマイクロコンピュータ15は、「感圧手段とは無関係に調整弁を制御して給気通路を開放することにより吐出室とクランク室との間を直接的に連通する状態にして容量を強制的に減少させる通路開放手段」にならざるを得ないのである。
(効果について)
そうであるならば、引用例1に記載された発明に引用例2に記載された発明の技術思想を適用したものが、本件発明1の構成が奏する前記「加速カット」という作用効果が生じることは明らかであり、また、この「加速カット」という作用効果自体は、上記「周知事項A」が奏する作用効果と同様のものであって、本件出願前、当業者によく知られた作用効果にすぎない。
それゆえ、本件発明1の構成によってもたらされる効果は、引用例1、2に記載された発明及び上記周知事項から当業者であれば容易に予測できる程度のものにすぎない。
(むすび)
したがって、本件発明1は、引用例1、2に記載された発明及び上記周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
それゆえ、前記【5】の「被請求人の主張」の箇所で既述した被請求人の主張(1)〜(4)は、いずれも採用することはできない。

(2)本件発明3に対して;
次に、本件発明3と引用例1に記載された発明とを対比すると、引用例1に記載された発明の「ダイヤフラム16」、「連動杆23」、「受圧室R1」は、それぞれ、本件発明3の「ベローズなどの感圧部材」、「弁支持ロッド」、「感圧室」に相当する。
また、本件発明1に対して新たに追加された本件発明3の構成は、全て、引用例1に記載された発明が具備している。
してみると、両者は、上記「相違点」と同様の相違点で相違するものの、その余の点で一致することは明らかである。
そして、この相違点については、本件発明1において検討した前示「判断」と同様の判断が成り立つから、本件発明3は、引用例1、2に記載された発明及び上記周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

【8】結論
以上のとおりであるから、本件発明1、3の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、同法第123項第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
また、審判に関する費用については、特許法169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
可変容量圧縮機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸入室と吐出室及びクランク室とを備え、クランク室圧力と吸入圧力との差圧に応じてピストンのストロークが変更され揺動傾斜板の傾斜角が変化して、圧縮容量を制御するようにした角度可変揺動傾斜板型の可変容量圧縮機において、
吐出室とクランク室とを連通する給気通路と、前記クランク室と吸入室とを連通する抽気通路とを設け、前記給気通路には該給気通路の開度を調整する調整弁を設け、該調整弁には吸入圧力、クランク室圧力又は吐出圧力などの内部圧力を検知して該調整弁を制御する感圧手段を設け、さらに前記感圧手段に結合して外部入力により該感圧手段に可変荷重を与えて該感圧手段の圧力制御点を可変する外部制御手段を設け、さらに前記外部制御手段は感圧手段とは無関係に前記調整弁を制御して前記給気通路を開放することにより吐出室とクランク室との間を直接的に連通する状態にして容量を強制的に減少させる通路開放手段を備えている可変容量圧縮機。
【請求項2】 請求項1記載の発明において、前記給気通路に設けた調整弁の弁体は弁支持ロッド及びベローズなどの感圧部材により支持され、該感圧部材の外側には前記給気通路の一部となり、クランク室圧力を感知する感圧室を設けた可変容量圧縮機。
【請求項3】 請求項1記載の発明において、前記給気通路に設けた調整弁の弁体は弁支持ロッド及びベローズなどの感圧部材により支持され、該感圧部材の外側には、吸入圧力を感知する感圧室を設けた可変容量圧縮機。
【請求項4】 請求項1記載の発明において、前記給気通路に設けた調整弁の弁体は弁支持ロッド及びベローズなどの感圧部材により支持され、該感圧部材の外側には、給気通路の一部となり、かつ吐出圧力を感知する感圧室を設け、さらに、前記通路開放手段による給気通路の開放時に前記抽気通路を閉鎖可能に、該抽気通路の途中に前記弁体を設けた可変容量圧縮機。
【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
この発明は車両空調用などに使用される可変容量圧縮機に係わり、さらに詳しくは吸入室と吐出室及びクランク室とを備え、クランク室圧力と吸入圧力との差圧に応じてピストンのストロークが変更され揺動傾斜板の傾斜角が変化して、圧縮容量を制御するようにした角度可変揺動傾斜板型の可変容量圧縮機に関するものである。
[従来の技術]
この角度可変揺動傾斜板型の可変容量圧縮機として、従来、特開昭63-16177号公報に開示されたものが提案されている。この圧縮機はクランク室と、該クランク室内に延在し、回転可能に支持された駆動軸と、該駆動軸に固着された回転体と、該回転体に対し前記駆動軸に対する傾斜角が変化するようにヒンジ機構を介して支持された回転駆動板と、該回転駆動板の傾斜面に沿って回転を抑止されるように配設され、前記駆動軸の回転に応じて揺動する揺動傾斜板と、該揺動傾斜板に連結され、該傾斜板の揺動によりそれぞれのシリンダ内で往復動する複数のピストンと、前記シリンダ内に冷媒ガスを供給する吸入室と、前記シリンダ内で圧縮された冷媒ガスが吐出される吐出室と、前記クランク室と前記吸入室との間の抽気通路に設けられた弁手段とを含み、前記弁手段により前記クランク室内の圧力を調節し、前記揺動傾斜板の傾斜角を変えることにより、前記冷媒ガスのシリンダへの取り込み容積を可変するようになっている。
又、前記弁手段は前記クランク室と前記吸入室の間の抽気通路の開度を調整する調整弁と、該調整弁に結合し、吸入圧力を検出して該調整弁を制御する感圧手段と、該感圧手段に結合し、外部入力により該感圧手段に可変荷重を与え該感圧手段の圧力制御点を可変する外部制御手段とからなっている。そして、前記調整弁の開閉を駆動する感圧手段の圧力設定値を別に付加された外部制御手段により任意に制御することが可能となり、これによって吸入圧力とクランク室圧力との差圧を広範囲に設定し、結果的にピストンのストローク、すなわち圧縮容量を好ましい値に調整できるから、冷媒ガスに低い蒸発温度を維持させたり、低容量の運転により負荷の低減を可能にさせたりするようになっている。
[発明が解決しようとする課題]
ところが、上記従来の可変容量圧縮機は、前記弁手段がクランク室と吸入室を連通する抽気通路に設けられており、クランク室内の圧力を上昇させる機構としては、シリンダ内の圧縮室内からブローバイされた冷媒ガスを利用するようになっているので、例えば車両の急加速時にエンジンの負荷を軽減するため、クランク室内の圧力を上昇させて、圧縮機を速やかに大容量から小容量へ切り替え制御しようとしても、前記弁手段を閉鎖したときのクランク室圧力の上昇速度が遅いため、容量制御の応答性が低下し、前記エンジンの負荷軽減を期待することはできないという問題があった。
この発明の目的は前記従来の可変容量圧縮機に存する問題点を解消して、調整弁の開閉を駆動する感圧手段の圧力設定値を外部制御手段により任意に制御することができ、これにより吸入圧力とクランク室圧力との差圧を広範囲に設定することができるとともに、例えば、車両の急加速時にクランク室圧力を速やかに上昇させ、大容量から小容量への切り替え応答性を向上することができる可変容量型圧縮機を提供することにある。
[課題を解決するための手段]
この発明は上記目的を達成するため、角度可変揺動傾斜板型の可変容量圧縮機において、吐出室とクランク室とを連通する給気通路と、前記クランク室と吸入室とを連通する抽気通路とを設け、前記給気通路には該給気通路の開度を調整する調整弁を設け、該調整弁には吸入圧力、クランク室圧力又は吐出圧力などの内部圧力を検知して該調整弁を制御する感圧手段を設け、さらに前記感圧手段に結合して外部入力により該感圧手段に可変荷重を与えて該感圧手段の圧力制御点を可変する外部制御手段を設け、さらに前記外部制御手段は感圧手段とは無関係に前記調整弁を制御して前記給気通路を開放することにより吐出室とクランク室との間を直接的に連通する状態にして容量を強制的に減少させる容量を強制的に減少させる通路開放手段を備えている。
前記給気通路に設けた調整弁の弁体を弁支持ロッド及び感圧部材により支持し、該感圧部材の外側には前記給気通路の一部となり、クランク室圧力を感知する感圧室を設けるとよい。
前記給気通路に設けた調整弁の弁体を弁支持ロッド及び感圧部材により支持し、該感圧部材の外側には、吸入圧力を感知する感圧室を設けるとよい。
さらに、前記給気通路に設けた調整弁の弁体を弁支持ロッド及び感圧部材により支持し、該感圧部材の外側には、給気通路の一部となり、かつ吐出圧力を感知する感圧室を設け、さらに、前記通路開放手段による給気通路の開放時に前記抽気通路を閉鎖可能に、該抽気通路の途中に前記弁体を設けるとよい。
[作用]
この発明は外部制御手段により調整弁の開閉を駆動する感圧手段の圧力設定点を任意に制御することにより、吸入圧力とクランク室圧力との差圧が広範囲に設定され、圧縮容量が適正に調整される。
又、例えば、車両が急加速されて圧縮機の回転数が上昇した場合に外部制御手段に備えた通路開放手段により前記感圧手段とは無関係に前記調整弁を制御して前記給気通路を開放すると、吐出室とクランク室との間が直接的に連通する状態になり、吐出室内から高圧ガスがクランク室内へ迅速供給されるため、クランク室圧力と吸入圧力との差圧が速やかに増大し、容量を強制的に減少させることにより、大容量から小容量への容量を強制的に減少させる方向への切り替え制御が迅速に行なわれ、エンジン負荷が軽減される。
又、給気通路の開放時に、抽気通路を閉鎖可能に、該抽気通路の途中に弁対を設けると、通路開放手段により調整弁が開放されて給気通路が開放され、吐出室からクランク室へガスが供給される際、クランク室から吸入室へのガスの排出が停止されるので、車両の急加速時に圧縮機の回転数が上昇した場合、大容量から小容量への切り替え制御がさらに迅速に行なわれる。
[実施例]
以下、請求項1,2記載の発明の具体化した第1実施例を第1図及び第2図に基づいて説明する。
第1図に示すようにシリンダブロック1の右端面には弁板2を介してリヤハウジング3が接合固定されている。そのリヤハウジング3内の外周部には環状の吸入室4が、又、中央部には吐出室5がそれぞれ区画形成され、吸入口及び吐出口(いずれも図示しない)を介して外部冷房回路に接続されている。前記シリンダブロック1の左端面にフロントハウジング6が接合固定され、その内部にはクランク室7が形成されている。シリンダブロック1とフロントハウジング6にはエンジン(図示略)により回転される駆動軸8が支持されている。
前記シリンダブロック1には、その両端間を貫通して(1つのみ図示)のシリンダボア9が駆動軸8と平行に形成されている。各シリンダボア9内にはピストン10が往復動可能に装着され、その左端面にはピストンロッド11が連設されている。前記弁板2には吸入室4から前記各シリンダボア9内の圧縮室内に冷媒ガスを導入するための吸入弁機構12がそれぞれ形成されている。同じく弁板2には各シリンダボア9の圧縮室で圧縮された冷媒ガスを吐出室5に圧送するための吐出弁機構13がそれぞれ設けられている。
前記駆動軸8には回転体14が嵌合固定され、該回転体14により突出する突起部14Aに形成された長孔には連結ピン15を介して回転駆動板16が傾斜可能に、かつ回転体14と一体回転可能に装着されている。
前記回転駆動板16には揺動傾斜板17が該駆動板16とともに傾動可能に支承され、定位置に配置された案内ロッド18により回転が規制されている。又、揺動傾斜板17には前記各ピストンロッド11の左端部がそれぞれ連接され、駆動軸8の回転により回転体14が回転されて揺動傾斜板17が傾動された時、ピストンロッド11を介してピストン10が往復動されるようになっている。そして、クランク室7の圧力Pcを吸入室4の圧力Psとの差圧△p(Pc-Ps)に応じて、該差圧△pが大きくなるとピストンのストロークが小さくなるとともに、前記揺動傾斜板17の傾斜角が小さくなって圧縮容量が減少し、反対に差圧△pが小さくなるとピストン10のストロークが大きくなるとともに、揺動傾斜板17の傾斜角が大きくなって圧縮容量が増加するようになっている。以上述べた構成は従来の可変容量圧縮機と同様である。
前記吐出室5の高圧ガスをクランク室内に供給するため、前記リヤハウジング3、弁板2及びシリンダブロック1には給気通路19が形成され、該給気通路19の途中には後述する容量制御弁20が配設されている。又、前記シリンダボア9内の圧縮室からクランク室へブローバイされたガスあるいは前記給気通路19により吐出室5からクランク室7へ供給されたガスを該クランク室7から吸入室4へ還元するため、シリンダブロック1及び弁板2には抽気通路21が形成されている。
そこで、第2図により前記容量制御弁20について説明すると、リヤハウジング3には給気通路19の途中に位置するように円筒状の弁収容ケース23が嵌入固定され、該弁収容ケース23の内周面には弁座24が形成され、さらに該弁座24の弁孔24Aには給気通路19を開閉する調整弁としての弁体25が接離可能に対向配置され、弁支持ロッド26により支持されている。前記弁収容ケース23の下部には取付リング27が嵌合され、該取付リング27の上面には感圧部材としてのべローズ28の下端面が気密的に接合され、該ベローズ28の上端面は後述する可動鉄心33の上端寄りに気密的に接合されている。前記弁体25を収容する高圧室29は該弁体25を境にして上流側の給気通路19により吐出室5に連通されている。又、前記弁座24の下方において前記弁収容ケース23の内周面とベローズ28の外周面とにより形成された感圧室30は、弁体25の下流側の給気通路19によりクランク室7と連通されている。
次に、前記弁支持ロッド26に連結されて、弁体25の制御開始点を変更し得る外部制御手段としての電磁ソレノイド31について説明する。
前記弁収容ケース23の下側にはソレノイド収容ケース32が連結され、該収容ケース23の内部には前記弁支持ロッド26の下端に連結した可動鉄心33が上下方向の移動可能に収容され、さらに前記可動鉄心33の外側にはコイル34が収容されている。又、前記可動鉄心33の下端部と収容ケース32の底部との間には常には前記可動鉄心33を上方つまり弁支持ロッド26を介して弁体25を開放する方向へ付勢するための付勢バネ35が介在され、このバネ35は調節ネジ36によりその初期付勢力を調整し得るようになっている。さらに、前記コイル34にはリード線を介して制御装置37が接続され、該制御装置37には冷房負荷に比例する車室温度を検出するセンサ38、あるいは圧縮機の回転数を検出する回転センサ39が接続されている。
この実施例では前記電磁ソレノイド31、制御装置37及び回転センサ39等により前記容量制御弁20を開放して前記給気通路19を開放する通路開放手段を構成している。
前記電磁ソレノイド31のコイル34には必要に応じて制御装置37から電流が供給されるが、この電流の強弱により、可動鉄心33を上方へ付勢する付勢力、つまり弁体25に作用する開放方向への押圧力を調整し、前記感圧室30の圧力による弁体25の制御開始点の調節が可能である。
次に、前記のように構成された可変容量型圧縮機について、その作用を説明する。
さて、圧縮機の起動初期において、冷房しようとする室内の温度が高くて冷房負荷が大きい場合には、吸入圧力Ps及びこれとほぼ比例するクランク室圧力Pcが高いので、前記弁体25は閉鎖されている。この状態における前記弁体25に作用する圧力関係は次のようになる。
高圧室29内の吐出圧力Pdによる前記弁体25を閉鎖しようとする押圧力F1は、弁孔24の面積をA1、ベローズ28の有効感圧面積をA2とすると、A1Pdで表される。又、感圧室圧力Pcによる弁体25を閉鎖しようとする押圧力F2は、ベローズ28の有効感圧面積A2から弁孔24aの面積A1を引いたものに感圧室圧力Pcを掛算した(A2-A1)Pcで表される。そして、前記両押圧力F1、F2を合成した力が弁体25を閉鎖する方向の押圧力となる。
一方、弁体25を開放しようとする押圧力は、電磁ソレノイド31による押圧力Fmと、バネ35及びベローズ28の付勢力Fdとを合成したものであるから、弁体25、支持ロッド26の自重を無視すると、次の式が成立するように弁体25の位置が制御される。
F1+F2=Fm+Fb
(A2-A1)Pc+A1Pd=Fm+Fb
上式においてA2≫A1とすると、吐出圧力Pdの影響が小さくなり、

となる。
前記バネ35とベローズ28による押圧力Fbは一定であり、押圧力Fmはコイル34の通電電流Imの二乗に比例するから、
Pc∝Im2
上式の特性をそなえた容量制御弁20とすることができる。又、角度可変揺動傾斜板型の可変容量圧縮機では、吸入圧力Psとクランク室圧力Pcとが、ほぼ比例の関係にあるから、容量制御弁20に対し、Ps∝Im2の特性を付与することができる。
この▲1▼式においてクランク室圧力Pcが高いと、前述したように弁体25を閉鎖しようとする力が開放しようとする力よりも大きく、弁体25が閉鎖状態に保持されて、給気通路19による吐出室5からクランク室7への高圧の冷媒ガスの供給は行われず、大容量運転が継続される。
その後、圧縮動作が進むにつれて、吸入圧力Psとクランク室圧力Pcが徐々に低下し、感圧室30内のクランク室圧力Pcが所定値以下になると、前記弁体25を閉鎖しようとする力よりも、弁体25を開放しようとする合力が大きくなり、この結果、弁体25が開放されて、吐出室5から給気通路19を経てクランク室7内へ高圧の冷媒ガスが供給される。すると、クランク室圧力Pcが上昇され、クランク室圧力Pcと吸入圧力Psの差圧Δpが増大してピストンのストロークが小さくなり、圧縮機は大容量運転から小容量運転へ移行する。このように、冷房負荷に応じて圧縮機の能力が調整され、適正な圧縮動作が行われる。
一方、特に低い蒸発温度を必要としたり、逆に負荷低減のために小容量で運転したいなどの要求がある場合には、制御装置37によってコイル34に流す電流Imを調整することにより、電磁ソレノイド31による押圧力Fmを調整し、感圧室30の圧力Pcによる弁体25の制御開始点を変更することができ、これにより前記要求に対応することができる。
又、圧縮機を大容量で運転している状態において、車両の急加速により圧縮機の回転数が上昇した場合においては、回転センサ39の検出信号に基づいて、制御装置37により電磁ソレノイド31への電流Imを増大することにより、電磁ソレノイド31による押圧力Fmを大きくして弁体25を開放し、吐出室5からクランク室7への冷媒ガスの供給を迅速に行ない、圧縮機を小容量運転側へ迅速に切換えることができるので、急加速時においてエンジンに作用する負荷を軽減することができる。
次に、第3図及び第4図に基づいて、請求項3記載の発明を具体化した第2実施例を説明する。
この第2実施例は、第1実施例で述べた感圧室30内に吸入室4の圧力Psを連通路41により導入するとともに、弁収容ケース23の内部に弁支持ロッド26を挿通する区画壁42を設けて、弁座24と区画壁42との間に圧力室43を形成し、この圧力室43とクランク室7を給気通路19により連通している。その他の構成は前記第1実施例と同様であるため、説明を省略する。
この第2実施例においては、冷房負荷に応じて変動する吸入圧力Psを感圧室30に直接作用させているので、感圧室30にクランク室圧力Pcを作用させる第1実施例の圧縮機と比較して、容量制御の応答性を向上することができる。
又、車両の急加速時において、圧縮機の回転数が急上昇した場合、吸入圧力Psが急激に低下して感圧室30の圧力が低下するため、電磁ソレノイド31への通電電流Imを上昇させなくても弁体25を開放してクランク室圧力Pcを高めて容量ダウンを迅速に行い、エンジンへの負荷を軽減することができる。
ところで、この実施例では弁支持ロッド26の断面積をA3とすると、弁孔24Aの面積A1、ベローズ28の感圧面積A2の間に、
A2≫A1>A3
の関係が成立するとき、
A2Ps=Fm+Fb
となり、Psと(Fm+Fb)が比例し、aを比例定数とすると、
Fm≒A・Im2
であるから、吸入圧力Psと制御電流Im2は比例する。従って、吸入圧力Psが制御電流Imによって決まる設定値と一致するように、クランク室圧力Pcを調節して容量を制御し、吸入圧力Psを望ましい値に保持することが可能となる。
次に、第5図及び第6図により請求項4記載の発明を具体化した第3実施例を説明する。
この第3実施例においては、前記弁収容ケース23の弁座24の上部にさらに弁座45を形成し、前記弁体25によりこの弁座45の弁孔45Aを開閉し得るようにしている。又、前記弁座24,45の間には、クランク室7と連通する圧力室46が形成され、この圧力室46を上流側の抽気通路21に連通し、弁体25が給気通路19を開放するとき、抽気通路21を閉鎖するようにしている。
従って、第3実施例においては、吐出室5からクランク室7へ高圧の冷媒ガスを供給する場合には抽気通路21が閉鎖されるため、クランク室圧力を速かに上昇させることができ、この結果、圧縮機を大容量から小容量に迅速に切換えることができ、容量制御の応答性をさらに向上することが可能となる。
ところで、前記弁座45の弁孔45Aの通路面積をA4とすると、弁体25に作用する押圧力は次のようになる。
A4Ps+(A1A4)Pc+(A2-A1)Pd=Fm+Fb……▲3▼
上式から明らかなようにA4、A1、A2の関係により例えば次の(イ)〜(ハ)の三種類の特性を実現できる。
(イ)A4=A1=A2の場合
前記▲3▼式は
A4Ps=Fm+Fb ……▲4▼
となり、Pc∝Im2の特性が得られる。エバボレータの蒸発温度は吸入圧力Psによって決まる。つまり、電流Imによって冷房能力を簡便に制御することができる。
この場合の容量制御動作について説明すると、吸入圧力がPsoで前記▲4▼式を満たす
A4Pso=Fm+Fb
なる関係の定常運転状態において、冷房負荷が増加あるいは回転数が減少して吸入圧力PsoがPs1に増大すると、
A4・Ps1>Fm+Fb
となり、給気通路19が閉鎖され、抽気通路21が開放されて、クランク室圧力Pcが減少し容量が増大する。又、容量増大により吸入圧力Ps1が減少すると、給気通路19が開放され、抽気通路21が閉鎖されて、圧縮容量が減少し定常状態に復帰する。
(ロ)A4<A1=A2の場合
前記▲3▼式は
A4・Ps+(A1-A4)Pc=Fm+Fb ……▲5▼
となり、吸入圧力Psとクランク室圧力Pcの合力が電流Im2に比例する特性が得られる。
この場合の容量制御動作について説明すると、吸入圧力Pso、クランク室圧力Pcoで
A4Pso+(A1-A4)Pco=Fm+Fb ……▲6▼
上記▲6▼式を満たす定常運転状態において、冷房負荷が増加あるいは回転数が減少して吸入圧力PsoがPs1に増大するとともに、Psoの増加によりクランク室圧力Pcoが、Pc1に増加すると、
A4Ps1+(A1-A4)Pc1>Fm+Fb
となり、給気通路19が閉鎖され、抽気通路21が開放され、クランク室圧力Pc1が減少し容量が増大する。又、容量増大により吸入圧力Ps1が減少すると、次式により新しい定常運転が行われる。
A4Ps2+(A1-A4)Pc2=Fm+Fb

この場合(イ)のようにPsが初期状態Psoに正確に復帰しないが、次のようなメリットがある。
(イ)の場合では動作ループ内に容量の増加により、吸入圧力Psが減少するという圧縮機及び冷房回路に関する現象が含まれている。このような現象は弁体25の開閉やクランク室圧力Pcの変化に比較して非常に遅いため、ハンチングのような不安定な現象が生じ易い。そこで、クランク室圧力Pcの変化のような速い現象を遅い現象に並列に入れることにより、Ps∝Im2の精度を多少犠牲にして、ハンチングを防止し安定性を向上することができる。
(ハ)A4=A1<A2の場合
前記▲3▼式は
A4Ps+(A1-A4)Pd=Fm+Fb ……▲7▼
となり、吸入圧力Psとクランク室圧力Pcの合力が電流Im2に比例する特性が得られる。
この場合の容量制御動作について説明すると、吸入圧力Pso、吐出圧力Pdoで
A4Pso+(A1-A4)Pdo=Fm+Fb ……▲8▼
上記▲8▼式を満たす定常運転状態において、冷房負荷が増加して吸入圧力PsoがPs1に増大するとともに、吐出圧力PdoがPd1に増加すると、
A4Ps1+(A2-A1)Pd1>Fm+Fb
となり、給気通路19が閉鎖され、抽気通路21が開放され、クランク室圧力Pc1が減少し容量が増大する。そして、容量増大により吸入圧力Ps1が減少し、吐出圧力Pd1が増加すると、次式により新しい定常運転が行われる。
A4Ps2+(A2-A1)Pd2=Fm+Fb
(Ps2<Pso、Pd2<Pd1)
つまり、冷房負荷の増加によって初期の定常状態のPsoより低い吸入圧力Ps2が実現する。
冷房負荷が大きい場合は吸入圧力Psの設定値を低くしない。前述した(イ)、(ロ)の場合は制御電流Imを変えなければならないので、自動運転する場合は何等かの負荷検出機構が必要となる。冷房負荷が大きい場合、一般に吐出圧力Pdは高くなる。(ハ)の場合にはこの吐出圧力Pdを利用して冷房負荷を検出し、吸入圧力Psを自動的に低下することができる。この場合、電磁ソレノイド31の制御電流Imを予め手動で設定しておけば、何等の負荷検出機構なしで自動運転することも可能となる。
なお、この発明は次のように具体化することもできる。
(1)第1及び第2実施例において、抽気通路21にその開度を調節し得る内部圧力方式又は電子式の制御弁(例えば特開昭62-253970号公報参照)を設けて、吐出室5からクランク室7へ冷媒ガスを挿入する場合には抽気通路21を閉鎖するように構成すること。
(2)第7図及び第8図に示すように、球形の弁体25と対応する弁座24の弁孔24A、45Aを斜面とし接触部の磨耗を軽減するようにすること。
(3)感圧部材としてダイヤフラムを使用すること。
[発明の効果]
以上詳述したように、この発明は調整弁の開閉を駆動する感圧手段の圧力設定値を別に付加された外部制御手段により任意に制御することができ、これにより吸入圧力とクランク室圧力との差圧を広範囲に設定し圧縮容量を適正に調整でき、低容量の運転により負荷の低減を可能にすることができる。又、給気通路を感圧手段とは無関係に調整弁を制御して開放することにより吐出室とクランク室との間が直接的に連通する状態になり、吐出室内からクランク室内へダイレクトに高圧ガスを迅速供給でき、吸入圧力とクランク室圧力との差圧を速やかに増大させて容量を減少する方向への切り換え動作を強制的、かつ迅速に行い容量制御の応答性を向上することができる。さらに、圧縮機の容量のダウンする方向への容量切換え制御を迅速に行ないエンジン負荷を軽減することができる効果がある。
又、給気通路の開放時に、抽気通路を閉鎖可能に、該抽気通路の途中に弁体を設けた場合には、吐出室からクランク室へのガスの供給時に、クランク室から吸入室へのガスの排出が停止されるので、車両の急加速時に圧縮機の回転数が上昇した場合、大容量から小容量への切り替え制御をさらに迅速に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明を具体化した第1実施例の構造を示す断面図、第2図は容量制御弁付近の拡大断面図、第3図は本発明の第2実施例の圧縮機全体を示す断面図、第4図はその容量制御弁付近の拡大断面図、第5図は本発明の第3実施例の圧縮機全体を示す断面図、第6図はその容量制御弁付近の拡大断面図、第7図及び第8図は本発明の別の実施例を示す部分断面図である。
吸入室……4、吐出室……5、クランク室……7、揺動傾斜板……17、給気通路……19、容量制御弁……20、抽気通路……21、弁収容ケース……23、弁座……24、調整弁としての弁体……25、弁支持ロッド……26、感圧手段を構成するベローズ……28、高圧室……29、感圧手段を構成する感圧室……30、外部制御手段としての電磁ソレノイド……31、可動鉄心……33、コイル……34、通路開放手段を構成する制御装置……37、通路開放手段を構成する回転センサ……39、圧力室……43,46、弁座……45、吸入圧力……Ps、吐出圧力……Pd、クランク室圧力……Pc。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2003-03-28 
結審通知日 2003-04-02 
審決日 2003-04-16 
出願番号 特願平1-155541
審決分類 P 1 122・ 121- ZA (F04B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石橋 和夫  
特許庁審判長 舟木 進
特許庁審判官 鈴木 充
清田 栄章
登録日 1996-10-03 
登録番号 特許第2567947号(P2567947)
発明の名称 可変容量圧縮機  
代理人 恩田 博宣  
代理人 森 正澄  
代理人 森田 政明  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  
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