ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 一部無効 一時不再理 無効としない A63F 審判 一部無効 証拠 無効としない A63F 審判 一部無効 2項進歩性 無効としない A63F |
---|---|
管理番号 | 1107613 |
審判番号 | 無効2002-35223 |
総通号数 | 61 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-05-02 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2002-05-30 |
確定日 | 2004-12-16 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2998096号発明「ゲーム装置」の特許無効審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許無効審判被請求人株式会社セガは,下記ア記載の特許の特許権者であり,その経緯概要は下記イのとおりである。 ア 特許第2998096号「ゲーム装置」 特許出願 平成6年8月15日 (国内優先権主張,平成5年8月25日) 出願番号 特願平6―191376号 設定登録 平成12年2月10日 イ 平成13年 2月 9日 無効審判請求 請求項1,2 (無効2001-35052号) 請求人:コナミ株式会社, 平成14年 6月10日 上記審判の請求は成り立たない旨の審決 同 年 6月20日 上記審決謄本送達 同 年 8月21日 上記審判の確定登録 同 年 5月30日 本件無効審判請求 請求項1,2,9,10 請求人:コナミ株式会社, 同 年 9月 4日 答弁書提出 同 年12月 9日 弁駁書 平成15年 3月 4日 口頭審理 第2 本件特許発明 【請求項1】 遊戯者の操作による操作信号を入力する操作入力手段と, 前記操作入力手段からの操作信号に基づいてゲームを制御するゲーム制御手段と,前記ゲーム制御手段により制御されるゲームを表示するゲーム表示手段とを有するゲーム装置において, 前記ゲーム制御手段は,前記操作入力手段から入力される操作信号を前記ゲーム表示手段に表示する操作表示手段を有し, 前記操作表示手段は,前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する複数の表示エレメントを記憶する表示エレメント記憶手段と,前記操作入力手段により入力された操作信号に基づいて,前記表示エレメント記憶手段に記憶された複数の表示エレメントから表示すべき表示エレメントを選択する表示エレメント選択手段とを有し, 前記ゲーム表示手段は,前記操作入力手段を表す表示画像を表示し,前記操作入力手段により入力された操作信号に基づいて前記表示エレメント選択手段で選択された表示エレメントを,前記表示画像中に表示し, 前記操作入力手段は,第1の遊戯者が操作する第1の操作入力手段と,第2の遊戯者が操作する第2の操作入力手段とを有し, 前記表示エレメント記憶手段は,前記第1の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第1の表示エレメントと,前記第2の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第2の表示エレメントとを記憶することを特徴とするゲーム装置。 【請求項2】 請求項1記載のゲーム装置において, 前記操作入力手段は,前記遊戯者が操作する複数の操作ボタンを有し, 前記複数の表示エレメントは,前記操作入力手段の前記操作ボタンの配置状態に対応して配置されていることを特徴とするゲーム装置。 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のゲーム装置において, 前記複数の表示エレメントは,ゲームを表示する表示画面の所定位置に固定的に表示されていることを特徴とするゲーム装置。 【請求項10】 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のゲーム装置において, 前記第1の表示エレメントは,ゲームを表示する表示画面における前記第1の操作入力手段が配置された側の第1の所定位置に固定的に表示され, 前記第2の表示エレメントは,前記表示画面における前記第2の操作入力手段が配置された側の第2の所定位置に固定的に表示されていることを特徴とするゲーム装置。 (以下,請求項1記載の本件特許発明を「本件第1発明」といい,他の各請求項の発明を「本件第2発明」ないし「本件第4発明」という。) 第3 審判請求人主張の無効理由 1 無効とすべき理由の概要 (1)29条2項(刊行物から容易) 本件第1発明ないし本件第4発明は,甲第1ないし3号証に記載された発明に基づいて,要すれば甲第5ないし12号証に記載された発明をも参照することにより,当業者が容易に発明することができたものであり,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから,同法123条1項2号の規定により本件特許は無効とすべきものである。 (2)29条2項(公然実施から容易) 本件第1発明ないし本件第4発明は,検甲第1及び2号証により公然実施された発明に基づいて,要すれば甲第5ないし12号証に記載された発明をも参照することにより,当業者が容易に発明することができたものであり,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから,同法123条1項2号の規定により本件特許は無効とすべきものである。 2 具体的理由の要点 (1)証拠の説明(主要なもの) 甲第1号証の1(兼「検甲第1号証」):ゲームROMカセット「ジョイメカファイト」(任天堂製ファミリーコンピュータ用) 甲第1号証の1写し:甲第1号証の1に記載された内容が表示された映像画面の印刷物で,映像画面と共に説明が付してある。 甲第1号証の2:甲第1号証の1に記録された内容が表示される映像を撮影したビデオテープ 甲第2号証:甲第1号証の1のゲームROMカセットの取扱説明書 甲第3号証:任天堂製ファミリーコンピュータ取扱説明書 甲第4号証:甲第1号証の1ないし甲第3号証が本件出願前公知であることを証明する私人の証明書 甲第5号証ないし甲第12号証:甲第1号証の1を説明する刊行物 検甲第2号証:任天堂製ファミリーコンピュータ本体 (2)証拠に基づく主張 甲第3号証には,ゲーム装置であるファミリーコンピュータに関連して,遊技者の操作による操作信号を入力する「コントローラ」(操作入力手段)と,コントローラからの操作信号に基づいてゲームを制御する「本体及びゲームROMカセット」(ゲーム制御手段)とゲーム制御手段により制御されるゲームを表示する「テレビ」(ゲーム表示手段)とを有するゲーム装置が記載されているから,本件第1発明の前提とする構成である「遊戯者の操作による操作信号を入力する操作入力手段と, 前記操作入力手段からの操作信号に基づいてゲームを制御するゲーム制御手段と,前記ゲーム制御手段により制御されるゲームを表示するゲーム表示手段とを有するゲーム装置」が記載されている。 また,甲第3号証に記載のゲーム装置であるファミリーコンピュータに甲第1号証に係るゲームROMカセット「ジョイメカファイト」を装着して操作した場合に表示される映像画面から把握される発明と本件第1発明とを対比すると,両者は, 「前記ゲーム制御手段は,前記操作入力手段から入力される操作信号を前記ゲーム表示手段に表示する操作表示手段を有し, 前記操作表示手段は,前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する複数の表示エレメントを記憶する表示エレメント記憶手段と,前記操作入力手段により入力された操作信号に基づいて,前記表示エレメント記憶手段に記憶された複数の表示エレメントから表示すべき表示エレメントを選択する表示エレメント選択手段とを有し, 前記ゲーム表示手段は,前記操作入力手段を表す表示画像を表示し,前記操作入力手段により入力された操作信号に基づいて前記表示エレメント選択手段で選択された表示エレメントを,前記表示画像中に表示し,」た構成を有する点で一致している。 すなわち,甲第1号証に,ゲームの表示画面において,十字ボタン,Aボタン,Bボタンを含むコントローラの表示がなされること,操作に係る十字ボタンにおける操作方向を示す矢印の表示がなされること,操作に係るAボタン又はBボタンにおける操作を示す下方向矢印の表示がなされることが記載されており,操作入力手段から入力される遊技者の操作信号をゲーム表示手段に表示する操作表示手段が設けられている点で何ら相違はない。 さらに,コントローラの各ボタンに対する入力される操作信号に基づいた表示をしており,表示エレメント選択手段で選択された表示エレメントを表示画像中に表示する表示エレメント記憶手段を備えるように構成されている点でも相違がない。 相違点: 前記操作入力手段は,第1の遊戯者が操作する第1の操作入力手段と,第2の遊戯者が操作する第2の操作入力手段とを有し, 前記表示エレメント記憶手段は,前記第1の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第1の表示エレメントと,前記第2の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第2の表示エレメントとを記憶する構成についての記載は甲第1号証にない点。 しかし,ファミリーコンピュータは,甲第3号証で明らかなように,2個の別々のコントローラが示され,2人プレイ用のゲームも可能としていることから,第1の遊技者の「第1の操作入力手段」,「第1の表示エレメント」に加え,まったく同様にして,2人用にもなし得るべく第2の遊技者の「第2の操作入力手段」,「第2の表示エレメント」を備えるように変更することは,単に一つのものを二つにしたにすぎず,その変更に当たっては何らの工夫も見られないから,当業者であれば容易に推考できたものである。 したがって,本件第1発明は特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 第4 被請求人の主張 1 一事不再理 本件審判請求は,確定無効審判と実質的に同一の事実及び同一の証拠に基づいてなされたものであるから,特許法167条の規定の趣旨からみて不適法なものとして却下されるべきである。 2 証拠の成立 甲第1号証の1であるゲームROMカセットにはゲーム装置で実行されるゲームプログラムが記憶されており,これは何らかの原本をデジタル化して記憶したものではなく,CD―ROM等に記録されたアプリケーションプログラムと同様に,刊行物ということはできないから,成立を否認する。 3 29条2項 甲第1号証の「ソウサモード」は,遊技者がコンピュータを相手にゲームを行う「1PvsCOM」中の,取扱説明書の機能を有する「マニュアル」モード中の,ゲーム操作を習得するためのモードとしてのみ位置付けられている。 したがって,甲第1号証は,「二人の遊技者によるゲームの場合は,自分の操作状況を視覚により確認するばかりでなく,相手方の操作状況も視覚により確認することができ,その相手の操作状況も考慮して興趣溢れるゲームを行うことができる」効果を奏する本件第1発明を示唆するものではない。 第5 当審の判断 1 一事不再理 特許法167条には,次の規定がある。 「何人も,第百二十3条第1項又は第百二十5条の2第1項の審判の確定審決の登録があつたときは,同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができない。」 本条は一事不再理を規定したものであるが,「確定審決の登録があったとき」を基準としており,本件特許に対する無効2001-35052号に係る確定審決の登録がなされたのは,平成14年8月21日であり,この時点では,本件審判の請求は既になされていたものであるから,同一の事実及び同一の証拠であるかを判断するまでもなく,特許法167条の規定に該当するとはいえない。 したがって,この点において被請求人の主張は採用できない。 2 甲第1号証の1の証拠としての成立性 (1)ゲームROMカセットが刊行物といえるためには,公衆に対し頒布により公開を目的として複製された情報伝達媒体に該当すること,そして頒布に際し改変困難な形で頒布されることが必要である。また,デジタルデータの特性から,同一内容の再現性が保証されることも必要である。 そこで,甲第1号証の1のゲームROMカセット「ジョイメカファイト」について検討するに,ゲームROMカセットは,ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)の形態であるから改変困難な形といえる。そして,このゲームROMカセット「ジョイメカファイト」はファミリーコンピュータ用ゲームソフトとして市販されたことから,公衆に対し頒布により公開を目的として複製された情報伝達媒体ということができる。 同一内容の再現性については,ゲームROMカセットを公衆が入手可能な手段又は機器を用いて特別な技能を要することなく再現できる必要がある。 「ジョイメカファイト」を再現する機器としては,ファミリーコンピュータに限定されるが,この機器を公衆が入手可能であることは他の証拠から明らかである。 「ジョイメカファイト」はゲームソフトであることから,そのプログラムを実行すると,コントローラの操作により,同一の内容を再現することは容易でない場面もあり,一般的にゲームソフトなどのプログラム自体を直ちに刊行物であるとすることは妥当でない場合もある。 本件についても,ゲームの進行により無数の場面が表れるものであることから,これらすべての場面を誰でもが再現することは容易ではない。 しかし,ゲームROMカセットをファミリーコンピュータにセットし,スタートボタンを押せば,特別な技能,経験を要することなく取扱説明書(甲第2号証)に示される場面を再現できることは,容易に推認できる事項である。 したがって,ゲームROMカセットを一律に刊行物であるとすることは妥当とはいえないかもしれないが,少なくとも,甲第1号証の1の写しに示された画面及び取扱説明書に示された画面,特にその14頁に示されたマニュアル画面を再現することは可能であり,審判請求書15頁15行ないし18頁22行記載のように,甲第1号証について限られた表示画面のみを刊行物記載事項の対象とする場合については,これらの画面を記録したゲームROMカセットは,刊行物としての前記要件をすべて備えているといえる。 よって,甲第1号証の1であるゲームROMカセット「ジョイメカファイト」(任天堂製ファミリーコンピュータ用)を,甲第1号証の1の写しに示された画面及び甲第2号証である取扱説明書に示された画面が記録された範囲で,頒布された刊行物として扱い,証拠として採用する。 (2)甲第1号証の1の写し これは,甲第1号証であるゲームROMカセット「ジョイメカファイト」(任天堂製ファミリーコンピュータ用)に記録された内容が表示された映像画面の印刷,及びその映像画面についての説明を付加したものである。 映像画面は,ゲームのすべての画面ではなく本件発明と関連する部分を抜粋したものであることは,末尾の<資料作成データ>として詳細が明記されており,甲第1号証との関係から,この文書を真正に成立したものと推定する妨げとなるものは認められない。 3 29条2項(進歩性) (1)刊行物に記載された発明 甲第3号証は,ファミリーコンピュータの取扱説明書であり,1頁ないし3頁には,本体,二つのコントローラ,別売りのカセット及びゲームを表示する「テレビ」とを有するゲーム装置が記載されている。 また,甲第1号証の1には,甲第1号証の1の写しの4頁ないし9頁及び甲第2号証の14頁を参酌すると,甲第1号証の1の,ソウサモード又はマニュアルモード選択画面では,十字ボタン,Aボタン,Bボタンを含むコントローラの表示があり,操作に係る十字ボタン,Aボタン又はBボタンの操作方向を示す矢印の表示がなされることが記録されている。 (2)対比 甲第1号証の1は,甲第3号証に示された別売りカセットに相当し,甲第3号証と一体に扱われるものであるから,両者一体のものとして本件第1発明と対比する。 甲第3号証のコントローラは,本件第1発明の操作入力手段に相当し,テレビがゲーム表示手段に相当することは明らかである。 操作入力手段であるコントローラからの操作信号がゲーム表示手段であるテレビに表示されることから操作表示手段を有することでも両者に相違はない。 甲第1号証の1には,コントローラの十字ボタン,Aボタン及びBボタンからなる複数の操作信号に対応する表示が示されており,各ボタンの操作状況が画像として示されている。 このことは,コンピュータゲーム等で動きのあるキャラクタを扱う場合,複数の表示エレメントを記憶しておき,操作指示により表示すべきエレメントを選択して表示することが当業者に慣用されていること(必要ならば,甲第19号証である「計測と制御」VoL.29,No6 1990年6月号 53頁 図3及びその説明参照,なお,本刊行物の成立に疑義は生じない。)から,本件第1発明における操作入力手段による複数の操作信号を表示表示する複数のエレメントが記憶され,かつ表示エレメント選択手段が示されているに等しいといえる。 以上のことから,本件第1発明と上記一体としてみた甲第1号証の1及び甲第3号証とは次の一致点,相違点を有している。 【一致点】 遊戯者の操作による操作信号を入力する操作入力手段と,前記操作入力手段からの操作信号に基づいてゲームを制御するゲーム制御手段と,前記ゲーム制御手段により制御されるゲームを表示するゲーム表示手段とを有するゲーム装置において, 前記ゲーム制御手段は,前記操作入力手段から入力される操作信号を前記ゲーム表示手段に表示する操作表示手段を有し, 前記操作表示手段は, 前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する複数の表示エレメントを記憶する表示エレメント記憶手段と, 前記操作入力手段により入力された操作信号に基づいて,前記表示エレメント記憶手段に記憶された複数の表示エレメントから表示すべき表示エレメントを選択する表示エレメント選択手段とを有し, 前記ゲーム表示手段は,前記操作入力手段を表す表示画像を表示し, 前記操作入力手段により入力された操作信号に基づいて前記表示エレメント選択手段で選択された表示エレメントを,前記表示画像中に表示し, 前記操作入力手段は,第1の遊戯者が操作する第1の操作入力手段を有し, 前記表示エレメント記憶手段は,前記第1の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第1の表示エレメントを記憶することを特徴とするゲーム装置。 【相違点】 本件第1発明が,第1の遊戯者が操作する第1の操作入力手段と操作信号を表示する第1の表示エレメントを記憶しているのに加え,第2の遊戯者が操作する第2の操作入力手段を有し,表示エレメント記憶手段が第2の操作入力手段による複数の操作信号を表示する第2の表示エレメントを記憶しているのに対し,前記甲各号証では,第1の操作入力手段及び第1の表示エレメントを記憶しているのみである点。 (3)相違点についての当審の判断 甲第1号証の1ないし甲第3号証から,ゲームROMカセット「ジョイメカファイト」は,1人プレイ用に加え2人プレイ用も実現可能なものであることが認められる。 しかし,甲第1号証の1の操作入力手段を表す表示画像及び操作信号に対応する表示エレメントを選択して表示する「ソウサモード」は,取扱説明書の機能を有する「マニュアル」モード中の,ゲーム操作を習得するためのモードであり,実際のゲーム進行中に表示することまで考慮されていない。 また,一つのものを単に二つにしたにすぎないというためには,二つにしたことに格別の意味がないか,当然二つにすることを当業者が考えるか,あるいは二つにしてみようと思うかする必要がある。 甲第1号証の1の「ソウサモード」は,操作方法の習得を目的とするものであるから,一つで十分であり,二つにする必然性も,二つにしてみようとする動機も生ずるものではない。 二人で行う対戦型ゲームの場合は,対戦相手に手の内を知られないようにすることが通常であり,操作状況を表示することは,むしろ不利な条件として認識されるもので当業者としては通常考えないことである。 本件第1発明は,上記通常認識しないことを採用することにより,二人の遊技者によるゲームの場合は,自分の操作状況を視覚により確認できるばかりでなく,相手方の操作状況も視覚により確認することができ,その相手の操作状況も考慮して興趣溢れるゲームを行うことができる効果を奏するものであり,二つにする格別の意味があるといえる。 また,上記相違点について,甲各号証記載の事項から当業者が容易に想到し得たとすることもできない。 したがって,本件第1発明は,甲第1号証ないし甲第3号証及び他の提出された甲各号証に記載された発明,並びに検甲第1,2号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認めることができないから,特許法29条2項の規定に違反してなされたものとすることはできない。 (4)本件第2発明ないし第4発明について 本件第2発明ないし第4発明はいずれも本件第1発明を引用するものであり,前記したように本件第1発明を無効とすることができないから,同様の理由により,本件第2発明ないし第4発明も無効とすることはできない。 第6 まとめ 以上のとおりであるから,請求人の主張する理由及び証拠方法によっては,本件第1発明ないし本件第4発明の特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については,特許法169条2項で準用する民事訴訟法61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-04-03 |
結審通知日 | 2003-04-08 |
審決日 | 2003-04-21 |
出願番号 | 特願平6-191376 |
審決分類 |
P
1
122・
07-
Y
(A63F)
P 1 122・ 121- Y (A63F) P 1 122・ 06- Y (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 瀬津 太朗 |
特許庁審判長 |
杉山 務 |
特許庁審判官 |
原 光明 藤内光武 |
登録日 | 1999-11-05 |
登録番号 | 特許第2998096号(P2998096) |
発明の名称 | ゲーム装置 |
代理人 | 小栗 昌平 |
代理人 | 北野 好人 |
代理人 | 高松 猛 |
代理人 | 本多 弘徳 |