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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1107723
審判番号 不服2002-24947  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-11-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-26 
確定日 2004-12-02 
事件の表示 平成 7年特許願第108695号「薬局選択案内システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年11月22日出願公開、特開平 8-305769〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は平成7年5月2日の出願であって、平成14年11月18日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月26日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成15年1月27日付で手続補正がなされたものである。

2.平成15年1月27日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年1月27日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)本件手続き補正
平成15年1月27日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)は、特許法第17条の2第1項第4号に規定する期間内になされたものであって、平成14年8月16日付け手続補正により補正された特許請求の範囲(以下、「補正前の特許請求の範囲」という。)の請求項1を、次のとおり(以下、「補正後の特許請求の範囲」という。)補正する補正事項を含むものである。

(補正前の特許請求の範囲)
【請求項1】
調剤薬局に関する調剤薬局情報及び薬剤に関する薬剤情報を記憶する記憶手段と、
調剤薬局情報及び薬剤情報を表示する表示手段と、
該記憶手段に記憶した調剤薬局情報及び薬剤情報に基づいて、選択可能な調剤薬局を選択する調剤薬局選択手段と、
前記調剤薬局選択手段で選択された調剤薬局情報を前記記憶手段から呼び出して前記表示手段に表示させる一方、前記薬剤情報に基づいて前記調剤薬局選択手段により調剤薬局を選択できない場合、その旨を前記表示手段に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする薬局選択案内システム。

(補正後の特許請求の範囲)
【請求項1】
調剤薬局に於ける薬剤の在庫情報を含む調剤薬局に関する調剤薬局情報、及び、処方された薬剤の副作用情報を含む薬剤に関する薬剤情報を記憶する記憶手段と、
前記調剤薬局情報及び前記薬剤情報を表示する表示手段と、
前記調剤薬局情報に基づいて処方された薬剤を受け取ることができ、かつ、前記薬剤情報に基づいて処方された薬剤に問題がない場合に調剤薬局を選択可能とする調剤薬局選択手段と、
前記調剤薬局選択手段で選択された調剤薬局情報を前記記憶手段から呼び出して前記表示手段に表示させる一方、前記調剤薬局情報に基づいて前記調剤薬局選択手段により選択した調剤薬局に処方された薬剤の在庫がない場合、又は、前記薬剤情報に基づいて処方された薬剤に問題がある場合、その旨を前記表示手段に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする薬局選択案内システム。

(2)当審の判断
本件補正が、特許法第17条の2第4項第1号乃至第4号に規定された事項を目的とするものであるか検討する。
本件補正により、請求項1は、「薬剤情報が処方された薬剤の副作用情報も含むこと」および「薬剤情報に基づいて処方された薬剤に問題がある場合、制御手段がその旨を表示手段に表示させること」が発明を特定するための事項として付加された。
そして、当該補正により、発明の解決しようする課題として「処方された薬剤に問題がある場合、その旨表示手段に表示する」という新たな課題が加わった。すなわち、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「薬剤情報に基づいて(調剤薬局選択手段により)調剤薬局を選択できない場合」とは、明細書の発明の詳細な説明から明らかなように調剤薬局側に問題がある場合(即ち、「調剤薬局に在庫がない場合」)のみを意味しているものである。そして、補正前の特許請求の請求項1の発明は、「調剤薬局側に問題がある場合(即ち、在庫がない場合)、その旨表示手段に表示する」ことをその課題としているものである。一方、補正後の特許請求の範囲の請求項1に付加された「処方された薬剤に問題がある場合」とは、調剤薬局側に問題があるか否か(在庫があるか否か)には関係なく、「処方に(即ち、病院が発行する処方箋の内容に)問題がある場合」を意味するものである。従って、補正後の特許請求の範囲の請求項1に追加された事項は、「処方された薬剤に問題がある(即ち、病院が発行する処方箋の内容に問題がある)場合、その旨表示手段に表示する」ことをその課題としており、この課題は、補正前の特許請求の請求項1の発明の課題(「調剤薬局側に問題がある(即ち、在庫がない)場合、その旨表示手段に表示する」こと)とは全く別の課題である。また、この新しい課題は補正前の特許請求の範囲の請求項1の課題を概念的に下位にしたものでもない。
以上のとおり、本件補正は、解決しようとする課題を変更するものであり、補正前の特許請求の範囲に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものとは認められない。
更に、本件補正は、請求項の削除、誤記の訂正および明瞭でない記載の釈明を目的とするものでもない。

したがって、本件補正は、特許法17条の2第4項第1号乃至第4号に規定されたいずれの事項をも目的とするものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件手続補正は、特許法第17条の2第4項の規定に適合しないので、同法第159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

3.本願発明について
平成15年1月27日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「調剤薬局に関する調剤薬局情報及び薬剤に関する薬剤情報を記憶する記憶手段と、
調剤薬局情報及び薬剤情報を表示する表示手段と、
該記憶手段に記憶した調剤薬局情報及び薬剤情報に基づいて、選択可能な調剤薬局を選択する調剤薬局選択手段と、
前記調剤薬局選択手段で選択された調剤薬局情報を前記記憶手段から呼び出して前記表示手段に表示させる一方、前記薬剤情報に基づいて前記調剤薬局選択手段により調剤薬局を選択できない場合、その旨を前記表示手段に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする薬局選択案内システム。」

4.引用例
(a)原審の拒絶の理由に引用された「大阪-FAXで処方せん、患者の待ち時間短縮、日経産業新聞、1991年11月26日、6頁」 (以下、引用例1という。)には、「処方せんをFAXで送信するシステム」に関して、次の事項が記載されている。

「病院で受け取った処方せんをファクスで行きつけの病院に簡単に送れ、好きな時に薬を受け取れる-。大阪府薬剤師会は国立大阪病院の協力を得て、今年三月からこんなサービスを始めた。治療の後、そのまま病院で薬を受け取ろうとすると一時間以上待たされることもあり、忙しい患者に好評で、利用者も拡大している。
薬剤師会が大阪病院に設置したシステムは米アップル・コンピュータ製のパソコン「マッキントッシュ」、ファクスとコピー兼用機の組み合わせ。ソフトもあわせシステム構築費用は約三百万円だった。
大阪府下全域と奈良県の一部で四百種以上の薬を常備している薬局を推薦調剤薬局として登録、病院から処方せんをファクスで送れるようにした。患者は会社や買い物帰り、用事を済ませた後など好きな時に処方薬を取りに行けばよい。薬局もあらかじめ処方せんを受け取れれば、足りない薬の用意など準備ができる。
システム開発を担当した小山祐二同薬剤師会理事が工夫したのは使い勝手の良さ。患者は老人が多く、ファクスを十分に使いこなせない人もいる。小山氏は国立名古屋病院など病院内にファクスを置いただけのところを見学したが、「これでは送信に手助けが必要。もう少し融通の利くシステムを作れないか」と考えた。
このためソフト開発会社と相談し、銀行の現金自動詞払機(CD)と同様にタッチパネルを採用、患者が地図や住所名、薬局名から最寄りの薬局を選択し自動送信できるようなシステムを開発してもらった。かかりつけの薬局のある人もない人も簡単に薬局を選べるようにしたわけだ。」

ここで、「(四百種以上の薬を常備している)薬局を推薦調剤薬局として登録」するとの記載から、「調剤薬局に関する地図、住所名、薬局名を記憶手段に記憶させている」ことは自明であり、また、引用例1のシステムが表示用のパネルを有しており、更に、「選択された調剤薬局の地図、住所名、薬局名を記憶手段から呼び出してパネルに表示させる制御手段」を備えていることも自明である。
従って、これらの記載からして、引用例1には次のような発明が記載されていると認められる。
「調剤薬局に関する地図、住所名、薬局名を記憶する記憶手段と、
調剤薬局に関する地図、住所名、薬局名を表示するパネルと、
該記憶手段に記憶した調剤薬局に関する地図、住所名、薬局名に基づいて、選択可能な調剤薬局を選択する調剤薬局選択手段と、
前記調剤薬局選択手段で選択された調剤薬局に関する地図、住所名、薬局名を前記記憶手段から呼び出して前記パネルに表示させる制御手段とを備えたことを特徴とするシステム。」

5. 本願発明と引用例1に記載された発明の対比
引用例1記載の発明の「システム」、「(調剤薬局に関する)地図、住所名、薬局名」および「パネル」は、本願発明の「薬局選択案内システム」、「(調剤薬局に関する)調剤薬局情報」および「表示手段」にそれぞれ相当する。
従って、両者は、「調剤薬局に関する調剤薬局情報を記憶する記憶手段と、
調剤薬局情報を表示する表示手段と、
該記憶手段に記憶した調剤薬局情報に基づいて、選択可能な調剤薬局を選択する調剤薬局選択手段と、
前記調剤薬局選択手段で選択された調剤薬局情報を前記記憶手段から呼び出して前記表示手段に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする薬局選択案内システム。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願発明では、「記憶手段に薬剤に関する薬剤情報も記憶」させ、「記憶手段に記憶した調剤薬局情報及び薬剤情報に基づいて、選択可能な調剤薬局を選択する」こととし、そして、「薬剤情報に基づいて調剤薬局選択手段により調剤薬局を選択できない場合、その旨を前記表示手段に表示させる」ようにしているが、引用例1記載の発明にはこの構成は記載されていない点。

6.当審の判断
上記相違点について検討する。

(相違点1) について
一般に、薬の在庫管理を行う際、薬の在庫量がある一定値まで減った場合に警告の表示を行うようにすることは周知の手段(例えば、特開平7-39573号公報、特開平4-116767号公報 参照)であり、また、薬局において、薬の在庫切れが生じた場合には処方薬を提供出来ないことは自明であるので、引用例1記載の発明においても、周知の手段を採用し、薬の在庫がなくなった場合に、パネルにその旨表示するようにすることは、当業者が容易に考え得ることと認められる。

また、本願請求項1に係る発明の効果についてみても、上記引用例1に記載された発明および周知技術から当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものではない。

7.むすび
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-10-04 
結審通知日 2004-10-05 
審決日 2004-10-19 
出願番号 特願平7-108695
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小山 和俊  
特許庁審判長 山下 弘綱
特許庁審判官 久保田 健
山本 穂積
発明の名称 薬局選択案内システム  
代理人 古川 泰通  
代理人 前田 厚司  
代理人 青山 葆  

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