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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F04C
管理番号 1107858
異議申立番号 異議2003-72413  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-09-30 
確定日 2004-09-22 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3391072号「密閉型スクロール圧縮機」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3391072号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第3391072号の請求項1に係る発明は、平成5年12月28日の出願であって、平成15年1月24日に特許の設定登録がなされ、その後、井上潤により特許異議の申立てがなされ、当審において取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年3月12日に訂正請求がなされたものである。

第2.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
訂正請求は、本件特許に係る願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)を訂正請求書に添付した訂正明細書(以下「本件訂正明細書」という。)のとおりに訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は次のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の記載
「【請求項1】 密閉容器の内部にこの密閉容器を第1室と第2室に2分する圧縮機構部と、この第2室内に収納され前記圧縮機構部を駆動する電動機部と、前記密閉容器の底部に潤滑油溜を配設し、前記圧縮機構部を、この圧縮機構部内で圧縮されたガスを前記密閉容器内に吐出する吐出孔を設けた固定鏡板に固定または形成した固定スクロールを有する固定スクロール部品と、前記固定スクロールと噛み合い、複数個の圧縮空間を形成する旋回スクロールを旋回鏡板に固定または形成した旋回スクロール部品と、前記旋回スクロール部品の自転を拘束する自転拘束部品と、前記旋回スクロール部品を偏心旋回駆動する回転軸と、前記回転軸の一端に形成した主軸を支承する軸受け部品とを含んで構成し、前記圧縮機構部の軸心に相当する位置に配置された吐出孔を覆って空間を形成する吐出カバーを配設するとともに、前記吐出カバーの外周近傍天面に前記第1室内にガスを前記密閉容器の軸心に対して円周方向に回転力を与え放出する流路を設け、前記密閉容器のほぼ軸心に相当する位置に前記第1室内と圧縮機外部とを連結する吐出経路を設けた密閉型スクロール圧縮機。」を、
「【請求項1】密閉容器の内部にこの密閉容器を第1室と第2室に2分する圧縮機構部と、この第2室内に収納され前記圧縮機構部を駆動する電動機部と、前記密閉容器の底部に潤滑油溜を配設し、前記圧縮機構部を、この圧縮機構部内で圧縮されたガスを前記密閉容器内に吐出する吐出孔を設けた固定鏡板に固定または形成した固定スクロールを有する固定スクロール部品と、前記固定スクロールと噛み合い、複数個の圧縮空間を形成する旋回スクロールを旋回鏡板に固定または形成した旋回スクロール部品と、前記旋回スクロール部品の自転を拘束する自転拘束部品と、前記旋回スクロール部品を偏心旋回駆動する回転軸と、前記回転軸の一端に形成した主軸を支承する軸受け部品とを含んで構成し、前記圧縮機構部の軸心に相当する位置に配置された吐出孔を覆って空間を形成する吐出カバーを配設するとともに、前記第1室内にガスを前記密閉容器の軸心に対して円周方向に回転力を与えて放出する流路を、吸い込み側および吐出側が吐出カバー外周近傍天面に配置されるように設け、前記密閉容器のほぼ軸心に相当する位置に前記第1室内と圧縮機外部とを連結する吐出経路を設けた密閉型スクロール圧縮機。」
と訂正する。

(2)訂正事項2
明細書の段落【0007】における記載である「前記吐出カバーにこの吐出カバーから前記第1室にガスを前記密閉容器の軸心に対して円周方向に回転力を与え放出する流路を設け」を、
「前記第1室内にガスを前記密閉容器の軸心に対して円周方向に回転力を与えて放出する流路を、吸い込み側および吐出側が吐出カバー外周近傍天面に配置されるように設け」
と訂正する。

(3)訂正事項3
明細書の段落【0011】における記載である「この流路14は圧縮機構部2内で」を、
「この流路14は図1に示す様に吐出カバー13と一体に形成され、かつ吸い込み側および吐出側ともに吐出カバー13の天面外周近傍に配置されており、圧縮機構部2内で」
と訂正する。

(4)訂正事項4
明細書の段落【0014】における記載である「流路を設け」を、
「流路を前記吐出カバーと一体でかつ吸い込み側、吐出側ともに吐出カバー外周近傍天面に配置されるように設け」
と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、請求項1において、「前記吐出カバーの外周近傍天面に前記第1室内にガスを前記密閉容器の軸心に対して円周方向に回転力を与え放出する流路を設け、」を、「前記第1室内にガスを前記密閉容器の軸心に対して円周方向に回転力を与えて放出する流路を、吸い込み側および吐出側が吐出カバー外周近傍天面に配置されるように設け、」に限定するもので、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
また、限定した事項は、本件特許明細書の段落【0011】、第1図、及び第2図の記載に基づくもので、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2ないし4
訂正事項2ないし4は、上記訂正事項1に伴って、発明の詳細な説明の記載を特許請求の範囲と整合させるためのもので、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3.特許異議の申立てについて
1.特許異議の申立ての理由及び取消しの理由の概要
申立人井上潤は、甲第1号証(特開昭58-170877号公報)、甲第2号証(特開昭61-226588号公報)、甲第3号証(特開平5-5487号公報)、甲第4号証(特開平2-91490号公報)、甲第5号証(実願昭59-161112号(実開昭61-76187号)のマイクロフィルム)、甲第6号証(実願昭62-28426号(実開昭63-136277号)のマイクロフィルム)を提出し、本件特許明細書の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとの主張をしている。
また、当審において、通知した取消しの理由も同様であり、本件特許明細書の請求項1に係る発明は、特許異議の申立てで引用された甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたというものである。

2.本件発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】密閉容器の内部にこの密閉容器を第1室と第2室に2分する圧縮機構部と、この第2室内に収納され前記圧縮機構部を駆動する電動機部と、前記密閉容器の底部に潤滑油溜を配設し、前記圧縮機構部を、この圧縮機構部内で圧縮されたガスを前記密閉容器内に吐出する吐出孔を設けた固定鏡板に固定または形成した固定スクロールを有する固定スクロール部品と、前記固定スクロールと噛み合い、複数個の圧縮空間を形成する旋回スクロールを旋回鏡板に固定または形成した旋回スクロール部品と、前記旋回スクロール部品の自転を拘束する自転拘束部品と、前記旋回スクロール部品を偏心旋回駆動する回転軸と、前記回転軸の一端に形成した主軸を支承する軸受け部品とを含んで構成し、前記圧縮機構部の軸心に相当する位置に配置された吐出孔を覆って空間を形成する吐出カバーを配設するとともに、前記第1室内にガスを前記密閉容器の軸心に対して円周方向に回転力を与えて放出する流路を、吸い込み側および吐出側が吐出カバー外周近傍天面に配置されるように設け、前記密閉容器のほぼ軸心に相当する位置に前記第1室内と圧縮機外部とを連結する吐出経路を設けた密閉型スクロール圧縮機。」

3.引用文献記載の発明
3-1.引用文献1記載の発明
(1)引用文献1
当審において通知した取消しの理由に引用した、本件特許に係る出願の出願前に国内において頒布された甲第2号証の特開昭61-226588号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載事項が記載されている。

ア.「円板状の鏡板の一方の面に可動スクロール翼を一体形成してなる可動要素と、この可動要素に対し複数箇所で摺接し前記可動要素との間で圧縮室を構成するとともに上記圧縮室内で前記可動側スクロール翼にかみ合う固定スクロール翼を有した固定要素とからなるスクロール型圧縮機構を密閉ケース内に配置し、上記密閉ケース内に設けられたモータの動力を偏心連結機構を介して伝達し上記可動要素を自転の伴なわない旋回運動させることによってガス圧縮を行なわせるようにしたスクロール型圧縮装置において、前記鏡板の外周面をこれと対向する固定側部分に摺接させるようにしたことを特徴とするスクロール型圧縮装置。」(特許請求の範囲)

イ.「第1図において、図中101は、縦長に形成された密閉ケースであり、この密閉ケース101は筒状の中間ケース101aと、この中間ケース101aの両端を閉塞するように溶接付けされた閉塞ケース101b、101cとで構成されている。密閉ケース101内の上方寄りの位置には上記密閉ケース101内を上下方向に仕切る形態にフレーム102が固定されている。そして、フレーム102の上方にスクロール型圧縮機構103が配置され、またフレーム102の下方に上記スクロール型圧縮機構103に駆動動力を与えるためのモータ104が配置され、さらに密閉ケース101の底部には潤滑油105が収容されている。スクロール型圧縮機構103は、公知のものと同様に、固定要素111と、この固定要素111の下方に配属された可動要素112とで構成されている。固定要素111は、円板状の鏡板113と、この鏡板113の一方の面周縁部に突設された環状壁114と、この環状壁114で囲まれた部分に上記環状壁114とほぼ等しい高さに突設された固定スクロール翼115と、鏡板113のほぼ中央部に設けられた吐出口116とで構成されている。そして、上記環状壁114の内端縁は、第2図(a)、(b)に示すようなテーパ面等の切欠き面117あるいは適当な曲率をもった曲面に形成されている。上記のように構成された固定要素111は、環状壁114および固定スクロール翼115の突出方向を下方として上記環状壁114の周縁部がボルト118によってフレーム102の上面周縁部に気密に固定されている。なお、固定時に固定要素111の上面にキャップ119が当てがわれ、このキャップ119も前記ボルト118によって一体に固定されている。キャップ119は、鏡板113の上面との間に所定厚の間隙120を形成し得る大きさに形成されており、この間隙120を形成する壁の一部に孔121が形成されている。また、その側壁の一部には、後述する潤滑油を案内するための孔122が形成されている。一方、可動要素112は、円板状の鏡板123と、この鏡板123の一方の面に前記固定スクロール翼115の高さとほぼ等しい高さに突設された可動スクロール翼124と、鏡板123に他方の面中央部に突設された筒部125とで構成されている。上記鏡板123の外径は、前記環状壁114の周縁部内径より若干大きく、かつ第3図に示すように後述するフレーム102の環状壁142の内径から略可動要素112の偏心量の2倍を差し引いた大きさに設定されている。そして、上記のように構成された可動要素112は、可動スクロール翼124の突出方向を上方として、上記可動スクロール翼124と前記固定スクロール翼115とがかみ合い、かつ鏡板123の周辺部と前記環状壁114の端面および可動スクロール翼124の端面と鏡板113および可動スクロール翼115の端面と鏡板123が、また鏡板123の外周面とフレーム102の環状壁142の内面とがそれぞれ摺接するように装着され、この装着状態が上記鏡板123と前記フレーム102との間に設けられたオルダム機構130によって保持されている。・・・
前記フレーム102には、前記可動要素112の筒部125の軸心線に対して偏心した軸受孔141が上下方向に貫通して設けられており、この軸受孔141の筒部125側に位置する部分は大径に形成されている。」(2頁左下列3行目から3頁右上列20行)

ウ.「前記フレーム102の軸受孔141には、前記モータ104の回転軸160が回転自在に支持されている。回転軸160には、軸受孔141の大径部分に位置する部分に大径部161が形成されており、この大径部161にクランク軸162が突設されている。このクランク軸162は、前述した筒部125に嵌入して上記筒部125とで偏心連結機構を構成する。そして、上記回転軸160は、その下端が潤滑油107中に侵入する長さに形成されており、その下端部は密閉ケース101の内面に軸受支持材200を介して固定された副軸受163によって支持されている。」(4頁左上列1行目から4頁左上列11行、審決注「潤滑油107」は「潤滑油105」の誤り。)

エ.「次に上記のように構成された圧縮装置の動作を説明する。まず、モータ104に給電すると、回転軸160が回転を開始する。この回転は、軸受孔141および副軸受163の両軸受によって円滑に保持される。そして、回転軸160の回転力が可動要素112に伝えられる。可動要素112の筒部125は回転軸160に対して偏心して設けられたクランク軸162と嵌合しており、しかもオルダム機構130によって支持されているので、この可動要素112は自転の伴なわない旋回運動を行なう。したがって、可動要素112に設けられた可動スクロール翼124も旋回運動を行なう。この旋回運動に伴なって、固定スクロール翼115と可動スクロール124との間に形成された圧縮室Pの容積が周期的に小さくなり、これによって圧縮されたガスが吐出口116から吐出される。吐出された高圧ガスはキャップ119によって形成された間隙120〜キャップ119に設けられた孔121〜空間182を介して吐出管183から送り出される。」(4頁左下列5行目から4頁右下列4行)

オ.「一方、上記のようにモータ104が回転すると、潤滑油105の一部は、孔164の形状に伴なう遠心ポンプ作用によって孔164内の上方へと汲み上げられる。この汲み上げられた潤滑油は、軸受孔141の内周面を潤滑した後、クランク軸162と筒部125との嵌合部を潤滑し、続いて孔187を介してオルダム機構130が設けられている部分を潤滑し、さらに鏡面123と環状壁142との間を潤滑する。その後、一部が孔148から下方へと流下し、残りが圧縮室P内へと侵入して圧縮室P内の摺動部を潤滑する。そして、圧縮室P内に入り込んだ潤滑油は、最終的に吐出口116から排出された後、キャップ119に設けられた孔122および孔184を介して下方へと流下する。したがって、吐出管183からは潤滑油の混入していない高圧ガスが吐出されることになる。」(5頁左上列7行目から5頁右上列2行)

カ.第1図において、部材119と部材113に囲まれた空間部に120の表示がなされ、116と表示された位置付近から、第1図の右手方向である部分121の方向に矢印が表示されている。部分121において、部材183に対して凹に湾曲した矢印が表示されている。部材101bと部材119との間に空間182が表示され、部分121からみて第1図の左手方向に離れて部材183が表示されている。(第1図)

(2)ここで、上記記載事項(1)ア.ないしカ.と、第1図ないし第7図から、次のことがわかる。

ア.上記記載事項(1)ア.、イ.によれば、次のことがわかる。
円板状の鏡板123の一方の面に可動スクロール翼124を一体形成してなる可動要素112と、この可動要素112に対し複数箇所で摺接し前記可動要素112との間で圧縮室を構成するとともに上記圧縮室内で前記可動スクロール翼124にかみ合う固定スクロール翼115を有した固定要素111とからなるスクロール型圧縮機構103を密閉ケース101内に配置し、上記密閉ケース101内に設けられたモータ104の動力を偏心連結機構を介して伝達し上記可動要素112を自転の伴わない旋回運動させることによってガス圧縮を行なわせるようにしたスクロール型圧縮装置である。
また、密閉ケース101内の上方寄りの位置には上記密閉ケース101内を上下方向に仕切る形態にフレーム102が固定されている。フレーム102の上方にスクロール型圧縮機構103が配置され、またフレーム102の下方に上記スクロール型圧縮機構103に駆動動力を与えるためのモータ104が配置され、さらに密閉ケース101の底部には潤滑油105が収容されている。スクロール型圧縮機構103は、公知のものと同様に、固定要素111と、この固定要素111の下方に配属された可動要素112とで構成されている
そして、固定要素111は、円板状の鏡板113と、この鏡板113の一方の面周縁部に突設された環状壁114と、この環状壁114で囲まれた部分に上記環状壁114とほぼ等しい高さに突設された固定スクロール翼115と、鏡板113のほぼ中央部に設けられた吐出口116とで構成されている。

このことから、密閉ケース101の内部にこの密閉ケース101を上室と下室に2分するフレーム102とスクロール型圧縮機構103と、この下室内に収納されスクロール型圧縮機構103を駆動するモータ104と、密閉ケース101の底部に潤滑油105を配設し、スクロール型圧縮機構103を、この圧縮機構内で圧縮されたガスを前記密閉容器内に吐出する吐出口116を設けた鏡板113に形成した固定スクロール翼115を有する固定要素111と、固定スクロール翼115と噛み合い、圧縮室を形成する可動スクロール翼124を鏡板123に形成した可動要素112とを含んで構成するスクロール型圧縮装置であることがわかる。
可動要素112に対し固定要素111が複数箇所で摺接し可動要素との間で圧縮室を構成しており、複数の圧縮室を形成しているスクロール型圧縮機構は通常よく知られたものであることから、スクロール型圧縮機構103が複数の圧縮室を形成しているものを含んでいるといえる。
吐出口116は、鏡板113のほぼ中央部に設けられており、これはスクロール型圧縮機構103、回転軸160、軸受孔141の軸心に相当する位置に配置されているといえる。

イ.上記記載事項(1)イ.ないしエ.によれば、次のことがわかる。
可動要素112は、円板状の鏡板123と、この鏡板123の一方の面に突設された可動スクロール翼124と、鏡板123に他方の面中央部に突設された筒部125とで構成されている。
また、フレーム102の軸受孔141には、前記モータ104の回転軸160が回転自在に支持されている。回転軸160には、軸受孔141の大径部分に位置する部分に大径部161が形成されており、この大径部161にクランク軸162が突設されている。このクランク軸162は、前述した筒部125に嵌入して上記筒部125とで偏心連結機構を構成する。
そして、可動要素112の筒部125は回転軸160に対して偏心して設けられたクランク軸162と嵌合しており、しかもオルダム機構130によって支持されているので、この可動要素112は自転の伴なわない旋回運動を行なう。

このことから、スクロール型圧縮装置には、可動要素112の自転を拘束するオルダム機構130と、可動要素112を偏心旋回駆動する回転軸160と、回転軸160の一端に形成した軸を支承する軸受孔141とが含まれていることがわかる。

ウ.上記記載事項(1)イ.、エ.ないしカ.によれば、次のことがわかる。
固定要素111の上面にキャップ119が当てがわれ、このキャップ119も前記ボルト118によって一体に固定されている。キャップ119は、鏡板113の上面との間に所定厚の間隙120を形成し得る大きさに形成されており、この間隙120を形成する壁の一部に孔121が形成されている。
そして、固定スクロール翼115と可動スクロール124との間に形成された圧縮室Pの容積が周期的に小さくなり、これによって圧縮されたガスが吐出口116から吐出される。吐出された高圧ガスはキャップ119によって形成された間隙120〜キャップ119に設けられた孔121〜空間182を介して吐出管183から送り出される。
圧縮室P内に入り込んだ潤滑油は、最終的に吐出口116から排出された後、キャップ119に設けられた孔122および孔184を介して下方へと流下する。したがって、吐出管183からは潤滑油の混入していない高圧ガスが吐出されることになる。

このことから、吐出口116を覆って間隙120を形成するキャップ119を配設するとともに、空間182にガスを放出する孔121を、キャップ119の壁の一部に設け、空間182とスクロール型圧縮装置外部とを連結する吐出管183を設けたことがわかる。なお、空間182は、密閉ケース101の上室内にある。

(3)引用文献1記載の発明
上記記載事項(2)ア.、イ.、ウ.により、引用文献1には次の発明が記載されている。

「密閉ケース101の内部にこの密閉ケース101を上室と下室に2分するフレーム102とスクロール型圧縮機構103と、この下室内に収納されスクロール型圧縮機構103を駆動するモータ104と、密閉ケース101の底部に潤滑油105を配設し、スクロール型圧縮機構103を、この圧縮機構内で圧縮されたガスを密閉ケース内に吐出する吐出口116を設けた鏡板113に形成した固定スクロール翼115を有する固定要素111と、固定スクロール翼115と噛み合い、複数個の圧縮室を形成する可動スクロール翼124を鏡板123に形成した可動要素112とで構成し、可動要素112の自転を拘束するオルダム機構130と、可動要素112を偏心旋回駆動する回転軸160と、回転軸160の一端に形成した軸を支承する軸受孔141とを含み、スクロール型圧縮機構の軸心に相当する位置に配設された吐出口116を覆って間隙120を形成するキャップ119を配設するとともに、上室にガスを放出する孔121を、キャップ119の壁の一部に設け、上室とスクロール型圧縮装置外部とを連結する吐出管183を設けたスクロール型圧縮装置。」(以下、「引用文献1記載の発明」という。)

3-2.引用文献2記載の発明
(1)引用文献2
当審において通知した取消しの理由に引用した、本件特許に係る出願の出願前に国内において頒布された甲第6号証の実願昭62-28426号(実開昭63-136277号)のマイクロフィルム(以下「引用文献2」という。)には、次の記載事項が記載されている。

ア.「密閉形ケーシング(2)内に高圧ガスを吐出する圧縮ポンプ(4)を備えた密閉形圧縮機において、上記ケーシング(2)内に遮蔽板(9)が設けられて該ケーシング(2)内に上記ポンプ(4)が収納された高圧ガス室(10)と油分離室(11)とが気密状に区画形成され、上記遮蔽板(9)の中央部には、一端が上記高圧ガス室(10)に、他端が上記油分離室(11)にそれぞれ開口して高圧ガス室(10)の高圧ガスを油分離室(11)に導入させる流入管(12)が設けられ、該流入管(12)の他端は、油分離室(11)内において遮蔽板(9)の周縁部に向って延びると共に該遮蔽板(9)の周方向に湾曲して開口する一方、上記ケーシング(2)には上記油分離室(11)の中央に開口し該油分離室(11)のガスを吐出する吐出管(14)が接続されており、上記高圧ガス室(10)内の高圧ガスが高圧ガス室(10)と油分離室(11)との圧力差により上記流入管(12)より油分離室(11)に流入して該油分離室(11)内で旋回し、該高圧ガス中に混入した潤滑油(7)を遠心分離するようにしたことを特徴とする密閉形圧縮機。」(実用新案登録請求の範囲)

イ.「一方、上記ケーシング(2)は、第2図及び第3図にも拡大図示するように円筒状に形成され、該ケーシング(2)内のモータ(3)上方には、円板状の遮蔽板(9)が設けられている。該遮蔽板(9)はケーシング(2)の上壁(2a)と平行に且つ所定の間隔を設け、周面をケーシング(2)の円筒側壁(2b)の内面に固着して取り付けられている。・・・
更に、上記遮蔽板(9)には、一端が上記高圧ガス室(10)に、他端が上記油分離室(11)に開口して高圧ガス室(10)の高圧冷媒ガスを油分離室(11)に導入する流入管(12)が嵌挿されている。該流入管(12)は貫通部(12a)と延長部(12b)とが連接されて一体に形成され、該貫通部(12a)は遮蔽板(9)の中央部を上下方向に貫通してその略中央外面で遮蔽板(9)に固着されると共に、その上端を油分離室(11)の中央に位置させている。一方、延長部(12b)は上記貫通部(12a)の油分離室(11)側の上端より遮蔽板(9)の周縁部に向って延びると共に、その延長端は円筒側壁(2b)に近接するに従って遮蔽板(9)の周方向.、つまり円筒側壁(2b)の周方向に円弧状に湾曲形成されている。そして、延長端の開口は円筒側壁(2b)に近接し、該円筒側壁(2b)の中心である貫通部(12a)を中心とする同心円の接線方向に開口されており、高圧ガス室(10)からの圧縮ガスを高圧ガス室(10)と油分離室(11)との圧力差によりこの流入管(12)より側壁(2b)に沿って噴出させ、油分離室(11)で旋回させて潤滑油を遠心分離するようにしている。」(10頁2行から11頁18行)

ウ.「次に、この密閉形圧縮機(1)の動作並びに作用を説明する。先ず、蒸発器で気化された冷媒ガスが、吸入管(6)を介して圧縮ポンプ(4)に吸入される。冷媒ガスは圧縮ポンプ(4)内で潤滑油(7)が混入されて圧縮され、吐出弁(8)を介して高圧ガス室(10)に吐出される。この吐出された高圧の冷媒ガスはモータ(3)のロータ(3a)とステータ(3b)との間隙(15)等を通り、ステータ(3b)等を冷却しながら高圧ガス室(11)を下側から上側へ流れる。そこで、冷媒ガスは、ロー夕(3a)と共に高速で回転する撥ね板(3c)に当る。このため、冷媒ガス中に混入する潤滑油で比較的大きい粒、例えばフォーミングにより生じる泡状の潤滑油が、上記撥ね板(3c)によって中央部から周縁部へ撥ね飛ばされる。そして、この補助分離手段である撥ね板(3c)である程度油分離を受けた冷媒ガスだけが、遮蔽板(9)中央部の流入管(12)を通じて油分離室(11)へ流入する。この際、冷媒ガスは流入管(12)により油分離室(11)内へ直ちに流入されることになるので、冷媒ガスが潜熱を奪われて液化したりすることはなく、冷媒ガスの液化が効果的に回避される。また、流入する冷媒ガスは、油分離室(11)と高圧の冷媒ガスが充満する高圧ガス室(10)との圧力差により高速で該油分雛室(11)へ流入し且つ上記流入管(12)が周方向に沿って湾曲されていることから、油分離室(11)内で第3図に示す矢印のように高速で円筒側壁(2b)に沿って旋回を始める。このため、更に冷媒ガス中に混入している潤滑油(7)は、その比重がガスに比べて大きいため、その慣性により第3図のように遠心分離される。・・・
そして、潤滑油(7)が分離された冷媒ガスだけが、その比重が小さいため油分離室(11)の中央に集まり、該油分離室(11)の中央上部に開口するようケーシング上壁(2)に連接した吐出管(14)より有効に圧縮機(1)外に吐出される。」(12頁15行から14頁20行)

(2)ここで、上記記載事項3-2.(1)ア.ないしウ.と、第1図ないし第3図から、次のことがわかる。

密閉形ケーシング(2)内に高圧ガスを吐出する圧縮ポンプ(4)を備えた密閉形圧縮機において、上記ケーシング(2)内に遮蔽板(9)が設けられて該ケーシング(2)内に上記ポンプ(4)が収納された高圧ガス室(10)と油分離室(11)とが気密状に区画形成され、上記遮蔽板(9)の中央部には、高圧ガス室(10)の高圧ガスを油分離室(11)に導入させる流入管(12)が設けられ、上記流入管(12)より油分離室(11)に流入して該油分離室(11)内で旋回し、該高圧ガス中に混入した潤滑油(7)を遠心分離する。また、上記ケーシング(2)には上記油分離室(11)の中央に開口し該油分離室(11)のガスを吐出する吐出管(14)が接続されている。
そして、冷媒ガスは圧縮ポンプ(4)内で潤滑油(7)が混入されて圧縮され、吐出弁(8)を介して高圧ガス室(10)に吐出される。この吐出された高圧の冷媒ガスはモータ(3)のロータ(3a)とステータ(3b)との間隙(15)等を通り、ステータ(3b)等を冷却しながら高圧ガス室(11)を下側から上側へ流れる。そこで、冷媒ガスは、ロー夕(3a)と共に高速で回転する撥ね板(3c)に当る。このため、冷媒ガス中に混入する潤滑油で比較的大きい粒が、上記撥ね板(3c)によって中央部から周縁部へ撥ね飛ばされるから、この補助分離手段である撥ね板(3c)である程度油分離を受けた冷媒ガスだけが、遮蔽板(9)中央部の流入管(12)を通じて油分離室(11)へ流入する。
流入する冷媒ガスは、上記流入管(12)が、ケーシング(2)の円筒側壁(2b)の周方向に沿って湾曲されていることから、油分離室(11)内で高速で円筒側壁(2b)に沿って旋回を始める。冷媒ガス中に混入している潤滑油(7)は、その比重がガスに比べて大きいため、その慣性により遠心分離される。潤滑油(7)が分離された冷媒ガスだけが、その比重が小さいため油分離室(11)の中央に集まり、吐出管(14)より有効に圧縮機(1)外に吐出される。なお、油分離室(11)の中央とは、ケーシング(2)のほぼ軸心に相当する位置である。

(3)引用文献2記載の発明
上記記載事項3-2.(2)により、引用文献2には次の発明が記載されている。

「密閉形ケーシング(2)内に高圧ガスを吐出する圧縮ポンプ(4)を備えた密閉形圧縮機(1)において、冷媒ガス中に混入する潤滑油で比較的大きい粒を補助分離手段で第1段階として分離し、さらに第2段階として、ある程度油分離を受けた冷媒ガスだけが、ケーシング(2)の周方向に湾曲された流入管(12)を通じて旋回させて遠心分離させ、潤滑油(7)が分離された冷媒ガスだけを、ケーシング(2)のほぼ軸心に相当する位置に設けた吐出管(14)により、圧縮機(1)外に吐出させた密閉形圧縮機。」(以下、「引用文献2記載の発明」という。)

4.対比、判断
(1)対比
本件発明と引用文献1記載の発明とを対比すると、引用文献1記載の発明における「密閉ケース101」、「上室」、「下室」、「モータ104」、「潤滑油105」、「吐出口116」、「鏡板113」、「固定スクロール翼115」、「固定要素111」、「圧縮室」、「可動スクロール翼124」、「鏡板123」、「可動要素112」、「オルダム機構130」、「回転軸160」、「軸」、「軸受孔141」、「間隙120」、「キャップ119」、「吐出管183」、「スクロール型圧縮装置」は、それぞれ本件発明の「密閉容器」、「第1室」、「第2室」、「電動機部」、「潤滑油溜」、「吐出孔」、「固定鏡板」、「固定スクロール」、「固定スクロール部品」、「圧縮空間」、「旋回スクロール」、「旋回鏡板」、「旋回スクロール部品」、「自転拘束部品」、「回転軸」、「主軸」、「軸受け部品」、「空間」、「吐出カバー」、「吐出経路」、「密閉型スクロール圧縮機」に相当する。引用文献1記載の発明の「孔121」は、放出口の限りにおいて、本件発明の「流路」に一致し、引用文献1記載の発明の「フレーム102とスクロール型圧縮機構103」は、密閉容器を第1室と第2室に2分する限りにおいて、本件発明の「圧縮機構部」に一致する。また、引用文献1記載の発明の「スクロール型圧縮機構10」、「オルダム機構130」、「回転軸160」及び「軸受孔141」を含んだものが、本件発明の「圧縮機構部」に相当する。

そこで、両発明は
「密閉容器の内部にこの密閉容器を第1室と第2室に2分する圧縮機構部と、この第2室内に収納され前記圧縮機構部を駆動する電動機部と、前記密閉容器の底部に潤滑油溜を配設し、前記圧縮機構部を、この圧縮機構部内で圧縮されたガスを前記密閉容器内に吐出する吐出孔を設けた固定鏡板に固定または形成した固定スクロールを有する固定スクロール部品と、前記固定スクロールと噛み合い、複数個の圧縮空間を形成する旋回スクロールを旋回鏡板に固定または形成した旋回スクロール部品と、前記旋回スクロール部品の自転を拘束する自転拘束部品と、前記旋回スクロール部品を偏心旋回駆動する回転軸と、前記回転軸の一端に形成した主軸を支承する軸受け部品とを含んで構成し、前記圧縮機構部の軸心に相当する位置に配置された吐出孔を覆って空間を形成する吐出カバーを配設するとともに、前記第1室内にガスを放出する流路を、吐出カバーに設け、前記第1室内と圧縮機外部とを連結する吐出経路を設けた密閉型スクロール圧縮機」
である点で一致し、次の点で相違する。

ア.相違点
本件発明1においては、「前記第1室内にガスを前記密閉容器の軸心に対して円周方向に回転力を与えて放出する流路を、吸い込み側および吐出側が吐出カバー外周近傍天面に配置されるように設け、前記密閉容器のほぼ軸心に相当する位置に前記第1室内と圧縮機外部とを連結する吐出経路を設けた」のに対して、引用文献1記載の発明では、「上室にガスを放出する孔121を、キャップ119の壁の一部に設け、上室とスクロール型圧縮装置外部とを連結する吐出管183を設けた」点。

(2)判断
上記相違点について検討する。
引用文献1には、次のような技術事項が示されている。(上記記載事項3-1.(1)エ.ないしカ.)
圧縮されたガスが吐出口116から吐出され、吐出された高圧ガスはキャップ119によって形成された間隙120〜キャップ119に設けられた孔121〜空間182を介して吐出管183から送り出される。圧縮室P内に入り込んだ潤滑油は、最終的に吐出口116から排出された後、キャップ119に設けられた孔122および孔184を介して下方へと流下する。吐出管183からは潤滑油の混入していない高圧ガスが吐出されることになる。
したがって、引用文献1記載の発明において、吐出口116から吐出された高圧ガスはまずキャップ119の天面等に衝突して大きい粒の潤滑油が分離され、孔121を通過した後流れを反転させて、空間182で潤滑油の分離を継続させて、吐出管183からは潤滑油の混入していない高圧ガスが吐出されることになるといえる。

一方、引用文献2記載の発明は、「密閉形ケーシング(2)内に高圧ガスを吐出する圧縮ポンプ(4)を備えた密閉形圧縮機(1)において、冷媒ガス中に混入する潤滑油で比較的大きい粒を補助分離手段で第1段階として分離し、さらに第2段階として、ある程度油分離を受けた冷媒ガスだけが、ケーシング(2)の周方向に湾曲された流入管(12)を通じて旋回させて遠心分離させ、潤滑油(7)が分離された冷媒ガスだけを、ケーシング(2)のほぼ軸心に相当する位置に設けた吐出管(14)により、圧縮機(1)外に吐出させた密閉形圧縮機。」である。
引用文献2記載の発明の「ケーシング(2)」、「吐出管(14)」は、それぞれ本件発明の「密閉容器」、「吐出経路」に相当するから、引用文献2記載の発明には、ある程度油分離を受けた冷媒ガスを、密閉容器の軸心に対して円周方向に回転力を与えて放出させ、密閉容器のほぼ軸心に相当する位置に設けた吐出経路から吐出させる技術思想が示されている。また、ガスを放出する流路をプレス等による板金加工により一体形成することは周知にすぎず(例、特開平3-102125号公報の第2図等、特開平2-279933号公報の第5図等、実公昭56-46091号公報、特開平3-108545号公報)、プレス加工等で加工対象部をダイの上下動で加工できる部位に設定することは慣用的に行われることにすぎない。
そして、引用文献1記載の発明において、孔121を通過する高圧ガスに、上記技術思想及び上記周知慣用手段を適用し、キャップ119の天面に吸い込み側及び吐出側流路を設け、本件発明のように「前記第1室内にガスを前記密閉容器の軸心に対して円周方向に回転力を与えて放出する流路を、吸い込み側および吐出側が吐出カバー外周近傍天面に配置されるように設け、前記密閉容器のほぼ軸心に相当する位置に前記第1室内と圧縮機外部とを連結する吐出経路を設け」ることは、当業者が容易になし得る程度の事項にすぎない。

したがって、引用文献1記載の発明に、引用文献2記載の技術思想及び上記周知慣用手段を適用して、上記相違点に係わる本件発明のように構成することは、当業者が容易になし得る程度の事項にすぎない。
また、本件発明を全体として検討しても、引用文献1記載の発明、引用文献2記載の技術思想、及び上記周知慣用手段から予測される以上の格別の効果を奏するとも認めることができない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件発明は、引用文献1記載の発明、引用文献2記載の技術思想、及び上記周知慣用手段に基づいて容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
密閉型スクロール圧縮機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 密閉容器の内部にこの密閉容器を第1室と第2室に2分する圧縮機構部と、この第2室内に収納され前記圧縮機構部を駆動する電動機部と、前記密閉容器の底部に潤滑油溜を配設し、前記圧縮機構部を、この圧縮機構部内で圧縮されたガスを前記密閉容器内に吐出する吐出孔を設けた固定鏡板に固定または形成した固定スクロールを有する固定スクロール部品と、前記固定スクロールと噛み合い、複数個の圧縮空間を形成する旋回スクロールを旋回鏡板に固定または形成した旋回スクロール部品と、前記旋回スクロール部品の自転を拘束する自転拘束部品と、前記旋回スクロール部品を偏心旋回駆動する回転軸と、前記回転軸の一端に形成した主軸を支承する軸受け部品とを含んで構成し、前記圧縮機構部の軸心に相当する位置に配置された吐出孔を覆って空間を形成する吐出カバーを配設するとともに、前記第1室内にガスを前記密閉容器の軸心に対して円周方向に回転力を与えて放出する流路を、吸い込み側および吐出側が吐出カバー外周近傍天面に配置されるように設け、前記密閉容器のほぼ軸心に相当する位置に前記第1室内と圧縮機外部とを連結する吐出経路を設けた密閉型スクロール圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
本発明は、密閉型スクロール圧縮機の油分離に関するものである。
【従来の技術】
従来、スクロール圧縮機は特開昭58-140493号公報に示すような構造があった。以下その構成について図7および図8を参照にして説明する。
図において相対的に旋回運動をおこなう旋回スクロール部品101と、固定スクロール部品102からなる圧縮機構部103、これを駆動する電動機部104、圧縮機構部103から吐出された吐出ガスで満たされる吐出室105、吐出孔室105と圧縮機外部を連結する吐出経路106からなり、吐出室105は密閉容器107より形成される。また、吐出経路106は吐出室105内に突出して開口している。図7は吐出経路106を圧縮機構部103の上部に設けたものであり、図8は吐出経路106を圧縮機構部103と電動機部104の間に設けたものである。
圧縮機構部103内で圧縮されたガスは密閉容器107に吐出され、吐出経路106を経て圧縮機外部に排出される。
【発明が解決しようとする課題】
上記に述べた従来例のスクロール圧縮機は、図7の構成においては吐出室105の内壁に沿って移動する油に対しては油分離効果を有するが、吐出室105内に飛散する油滴がガスと共に吐出経路106から圧縮機外部に排出されてしまい油分離が十分でない。また、図8の構成においては吐出経路106が密閉容器107の円周部分から半径方向に延出しているため圧縮機の収納性が悪いという課題を有していた。
本発明は上記の課題に鑑み、良好な油分離効果を有し、収納性の良いスクロール圧縮機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための第1の技術的手段は、密閉容器の内部にこの密閉容器を第1室と第2室に2分する圧縮機構部と、この第2室内に収納され前記圧縮機構部を駆動する電動機部と、前記密閉容器の底部に潤滑油溜を配設し、前記圧縮機構部を、この圧縮機構部内で圧縮されたガスを前記密閉容器内に吐出する吐出孔を設けた固定鏡板に固定または形成した固定スクロールを有する固定スクロール部品と、前記固定スクロールと噛み合い、複数個の圧縮空間を形成する旋回スクロールを旋回鏡板に固定または形成した旋回スクロール部品と、前記旋回スクロール部品の自転を拘束する自転拘束部品と、前記旋回スクロール部品を偏心旋回駆動する回転軸と、前記回転軸の一端に形成した主軸を支承する軸受け部品とを含んで構成し、前記圧縮機構部に前記吐出孔を覆う吐出カバーを配設するとともに、前記第1室内にガスを前記密閉容器の軸心に対して円周方向に回転力を与えて放出する流路を、吸い込み側および吐出側が吐出カバー外周近傍天面に配置されるように設け、前記密閉容器のほぼ軸心に相当する位置に前記第1室内と圧縮機外部とを連結する吐出経路を設けることである。
課題を解決するための第2の技術的手段は、密閉容器の内部にこの密閉容器を第1室と第2室に2分する圧縮機構部と、この第2室内に収納され前記圧縮機構部を駆動する電動機部と、前記密閉容器の底部に潤滑油溜を配設し、前記圧縮機構部を、この圧縮機構部内で圧縮されたガスを前記密閉容器内に吐出する吐出孔を設けた固定鏡板に固定または形成した固定スクロールを有する固定スクロール部品と、前記固定スクロールと噛み合い、複数個の圧縮空間を形成する旋回スクロールを旋回鏡板に固定または形成した旋回スクロール部品と、前記旋回スクロール部品の自転を拘束する自転拘束部品と、前記旋回スクロール部品を偏心旋回駆動する回転軸と、前記回転軸の一端に形成した主軸を支承する軸受け部品とを含んで構成し、前記圧縮機構部に前記吐出孔を覆う吐出カバーを配設するとともに、前記圧縮機構部に前記吐出カバー内と前記第2室を連結する第1の流路とこの第2室と前記第1室を連結し、前記第1室内にガスを前記密閉容器の軸心に対して円周方向に回転力を与え放出する第2の流路を設け、前記密閉容器のほぼ軸心に相当する位置に前記第1室内と圧縮機外部とを連結する吐出経路を設けることである。
課題を解決するための第3の技術的手段は、密閉容器の内部にこの密閉容器を第1室と第2室に2分する圧縮機構部と、この第2室内に収納され前記圧縮機構部を駆動する電動機部と、前記密閉容器の底部に潤滑油溜を配設し、前記圧縮機構部を、この圧縮機構部内で圧縮されたガスを前記密閉容器内に吐出する吐出孔を設けた固定鏡板に固定または形成した固定スクロールを有する固定スクロール部品と、前記固定スクロールと噛み合い、複数個の圧縮空間を形成する旋回スクロールを旋回鏡板に固定または形成した旋回スクロール部品と、前記旋回スクロール部品の自転を拘束する自転拘束部品と、前記旋回スクロール部品を偏心旋回駆動する回転軸と、前記回転軸の一端に形成した主軸を支承する軸受け部品とを含んで構成し、前記圧縮機構部に前記吐出孔を覆う吐出カバーを配設するとともに、前記圧縮機構部に前記吐出カバー内と前記第2室を連結する第1の流路とこの第2室と前記第1室を連結し、前記第1室内にガスを前記密閉容器の軸心に対して円周方向に回転力を与え放出する第2の流路を設け、前記密閉容器のほぼ軸心に相当する位置に前記第1室内と圧縮機外部とを連結する吐出経路を設け、さらに前記第2の経路に前記密閉容器に設けた前記電動機部への給電用の端子と、前記電動機部を電気的に接続するためのリード線を収納することである。
【作用】
上述した本発明の第1の技術的手段の作用は、吐出カバーから第1室内にガスを放出する際に密閉容器の円周方向に旋回流が発生するためその遠心力でガス内に存在する油滴が効果的に分離される。また、吐出経路を密閉容器のほぼ軸心付近に設けてあるため油滴分の少ないガスを圧縮機外部に排出でき、さらに収縮性の良い圧縮機を構成できることである。第2の技術的手段の作用は、圧縮機構部内で圧縮されたガスを第1の流路から電動機部を収納した第2室に導入することで電動機部を冷却することができる。さらに、このガスを第2の流路から第1室内に放出する際に密閉容器の円周方向に旋回流が発生するためその遠心力でガス内に存在する油滴が効果的に分離される。また、吐出経路を密閉容器のほぼ軸心付近に設けてあるため油滴分の少ないガスを圧縮機外部に排出でき、さらに収縮性の良い圧縮機を構成できることである。第3の技術的手段の作用は、圧縮機構部内で圧縮されたガスを第1の流路から電動機部を収納した第2室に導入することで電動機部を冷却することができる。さらに、このガスを第2の流路から第1室内に放出する際に密閉容器の円周方向に旋回流が発生するためその遠心力でガス内に存在する油滴が効果的に分離される。また、吐出経路を密閉容器のほぼ軸心付近に設けてあるため油滴分の少ないガスを圧縮機外部に排出でき、さらに、第2の経路に前記密閉容器に設けた電動機部への給電用の端子と、電動機部を電気的に接続するためのリード線を収納するため端子を第1室の密閉容器に装着でき収納性の良い圧縮機を構成できることである。
【実施例】
本発明の第1の実施例を、図1および図2に示す。図に示すように、密閉容器1内に圧縮機構部2を収納し、密閉容器1内は圧縮機構部2によって第1室1aと第2室1bに2分されている。電動機部3は第2室1bに収納され、圧縮機構部2は固定スクロール部品4と旋回スクロール部品5をお互い噛み合わせて圧縮室(圧縮空間)6を形成している。固定スクロール部品4は、円板状の固定鏡板4aと、それに直立したインボリュート曲線あるいはこれに近似の曲線に形成された固定スクロール4bとからなり、その中心部に吐出孔7、外周部に吸入孔8を備えている。旋回スクロール部品5は、円板状の旋回鏡板5aと、これに直立し、固定スクロールと同一形状に形成された旋回スクロール5bと、旋回鏡板5aの反旋回スクロール面に形成されたボス5cとからなっている。軸受け部品9は中央部に軸受部を形成し、この軸受け部に回転軸10が支承され、回転軸先端の偏心軸受け10aには前記ボス5cが旋回運動可能なように挿入されている。また軸受け部品9には固定スクロール部品4が複数本のボルトによって固定され、旋回スクロール部品5は自転拘束部品11によって軸受け部品9に支承され、固定スクロール部品4に対して自転しないで旋回運動するようになっている。回転軸10には電動機部3のロータ3aが固着されている。固定スクロール部品4の吸入孔8には密閉容器1を貫通する吸入管12が接続され、吐出孔7にはこれを覆う吐出カバー13が複数のボルトにて固定スクロール部品4に固定されている。この吐出カバー13には第1室1aに連通する流路14が設けられている。この流路14は図1に示す様に吐出カバー13と一体に形成され、かつ吸い込み側および吐出側ともに吐出カバー13の天面外周近傍に配置されており、圧縮機構部2内で圧縮されたガスを密閉容器1の軸心に対して第1室1aにて円周方向に回転力を与えるように開口方向を密閉容器1の軸心方向とずらせてある。密閉容器1の軸心に相当する位置には第1室1a内と圧縮機外部とを連結する吐出経路15が設けられてある。以上の構成において電動機部3を駆動すると圧縮機構部2の旋回スクロール部品5が旋回運動して吸入管12より吸入されたガスを圧縮室6で圧縮し、吐出孔7より吐出カバー13内に吐出される。また、このガスは吐出カバー13に設けられた流路14によって回転力を与えられて第1室1a内に放出される。この際、ガス中に含まれている油がその遠心力作用にて半径方向に飛散し、密閉容器1の内壁に付着分離される。さらに、吐出経路15がガスの回転中心付近に設けられているため油分の少ないガスを選択的に圧縮機外部に排出される。
本発明の第2の実施例を図3および図4に示す。図に示すように、密閉容器1内に圧縮機構部2を収納し、密閉容器1内は圧縮機構部2によって第1室1aと第2室1bに2分されている。電動機部3は第2室1bに収納され、圧縮機構部2は固定スクロール部品4と旋回スクロール部品5をお互い噛み合わせて圧縮室(圧縮空間)6を形成している。固定スクロール部品4は、円板状の固定鏡板4aと、これに直立したインボリュート曲線あるいはこれに近似の曲線に形成された固定スクロール4bとからなり、その中心部に吐出孔7、外周部に吸入孔8を備えている。旋回スクロール部品5は、円板状の旋回鏡板5aと、これに直立し、固定スクロールと同一形状に形成された旋回スクロール5bと、旋回鏡板5aの反旋回スクロール面に形成されたボス5cとからなっている。軸受け部品9は中央部に軸受け部を形成し、この軸受け部に回転軸10が支承され、回転軸先端の偏心軸受け10aには前記ボス5cが旋回運動可能なように挿入されている。また軸受け部品9には固定スクロール部品4が複数本のボルトによって固定され、旋回スクロール部品5は自転拘束部品11によって軸受け部品9に支承され、固定スクロール部品4に対して自転しないで旋回運動するようになっている。回転軸10には電動機部3のロータ3aが周着されている。固定スクロール部品4の吸入孔8には密閉容器1を貫通する吸入管12が接続され、吐出孔7にはこれを覆う吐出カバー13が複数のボルトにて固定スクロール部品4に固定されている。圧縮機構部2にはこの吐出カバー13と第2室1bを連結する第1の流路16とこの第2室1bと第1室1aを連結する第2の流路17が設けられている。この第2の流路17は第2室1bのガスを密閉容器1の軸心に対して第1室1aにて円周方向に回転力を与えるように開口方向を密閉容器1の軸心方向とずらせてある。密閉容器1の軸心に相当する位置には第1室1a内と圧縮機外部とを連結する吐出経路15が設けられてある。以上の構成において電動機部3を駆動すると圧縮機構部2の旋回スクロール部品5が旋回運動して吸入管12より吸入されたガスを圧縮室6で圧縮し、吐出孔7より吐出カバー13内に吐出される。また、このガスは圧縮機構部2に設けられた第1の流路16によって電動機部3を収納した第2室1bに導入され、電動機部3を冷却する。さらに、このガスは第2の流路17によって回転力を与えられて第1室1a内に放出される。この際、ガス中に含まれている油がその遠心力作用にて半径方向に飛散し、密閉容器1の内壁に付着分離される。さらに、吐出経路15がガスの回転中心付近に設けられているため油分の少ないガスを選択的に圧縮機外部に排出される。
本発明の第3の実施例を図5および図6に示す。図に示すように、密閉容器1内に圧縮機構部2を収納し、密閉容器1内は圧縮機構部2によって第1室1aと第2室1bに2分されている。電動機部3は第2室1bに収納され、圧縮機構部2は固定スクロール部品4と旋回スクロール部品5をお互い噛み合わせて圧縮室(圧縮空間)6を形成している。固定スクロール部品4は、円板状の固定鏡板4aと、それに直立したインボリュート曲線あるいはこれに近似の曲線に形成された固定スクロール4bとからなり、その中心部に吐出孔7、外周部に吸入孔8を備えている。旋回スクロール部品5は、円板状の旋回鏡板5aと、これに直立し、固定スクロールと同一形状に形成された旋回スクロール5bと、旋回鏡板5aの反旋回スクロール面に形成されたボス5cとからなっている。軸受け部品9は中央部に軸受け部を形成し、この軸受け部に回転軸10が支承され、回転軸先端の偏心軸受け10aには前記ボス5cが旋回運動可能なように挿入されている。また軸受け部品9には固定スクロール部品4が複数本のボルトによって固定され、旋回スクロール部品5は自転拘束部品11によって軸受け部品9に支承され、固定スクロール部品4に対して自転しないで旋回運動するようになっている。回転軸10には電動機部3のロータ3aが固着されている。固定スクロール部品4の吸入孔8には密閉容器1を貫通する吸入管12が接続され、吐出孔7にはこれを覆う吐出カバー13が複数のボルトにて固定スクロール部品4に固定されている。圧縮機構部2にはこの吐出カバー13と第2室1bを連結する第1の流路16とこの第2室1bと第1室1aを連結する第2の流路17が設けられている。この第2の流路17は第2室1bのガスを密閉容器1の軸心に対して第1室1a内にて円周方向に回転力を与えるように開口方向を密閉容器1の軸心方向とずらせてある。また、この第2の流路17には第2室1bに収納した電動機部3への給電用の端子18と、この電動機部3を電気的に接続するためのリード線3bが収納されている。密閉容器1の軸心に相当する位置には第1室1a内と圧縮機外部とを連結する吐出経路15が設けられてある。以上の構成において電動機部3を駆動すると圧縮機構部2の旋回スクロール部品5が旋回運動して吸入管12より吸入されたガスを圧縮室6で圧縮し、吐出孔7より吐出カバー13内に吐出される。また、このガスは圧縮機構部2に設けられた第1の流路16によって電動機部3を収納した第2室1bに導入され、電動機部3を冷却する。さらに、このガスは第2の流路17によって回転力を与えられて第1室1a内に放出される。この際、ガス中に含まれている油がその遠心力作用にて半径方向に飛散し、密閉容器1の内壁に付着分離される。さらに、吐出経路15がガスの回転中心付近に設けられているため油分の少ないガスを選択的に圧縮機外部に排出される。また、リード線3bを第2の流路17に収納しているため端子18が第1室1aの密閉容器1に装着でき、収納性の良い圧縮機を構成することができる。
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の効果は、密閉容器の内部にこの密閉容器を第1室と第2室に2分する圧縮機構部と、この第2室内に収納され前記圧縮機構部を駆動する電動機部と、前記密閉容器の底部に潤滑油溜を配設し、前記圧縮機構部を、この圧縮機構部内で圧縮されたガスを前記密閉容器内に吐出する吐出孔を設けた固定鏡板に固定または形成した固定スクロールを有する固定スクロール部品と、前記固定スクロールと噛み合い、複数個の圧縮空間を形成する旋回スクロールを旋回鏡板に固定または形成した旋回スクロール部品と、前記旋回スクロール部品の自転を拘束する自転拘束部品と、前記旋回スクロール部品を偏心旋回駆動する回転軸と、前記回転軸の一端に形成した主軸を支承する軸受け部品とを含んで構成し、前記圧縮機構部に前記吐出孔を覆う吐出カバーを配設するとともに、前記吐出カバーにこの吐出カバーから前記第1室内にガスを前記密閉容器の軸心に対して円周方向に回転力を与え放出する流路を前記吐出カバーと一体でかつ吸い込み側、吐出側ともに吐出カバー外周近傍天面に配置されるように設け、前記密閉容器のほぼ軸心に相当する位置に前記第1室内と圧縮機外部とを連結する吐出経路を設けたもので、吐出カバーから第1室内にガスを放出する際に密閉容器の円周方向に旋回流が発生するためその遠心力でガス内に存在する油滴が効果的に分離される。また、吐出経路を密閉容器のほぼ軸心付近に設けてあるため油滴分の少ないガスを圧縮機外部に排出でき、さらに収納性の良い圧縮機を構成できるという利点を有することである。
本発明の第2の効果は、圧縮機構部内で圧縮されたガスを第1の流路から電動機部を収納した第2室に導入することで電動機部を冷却することができる。さらに、このガスを第2の流路から第1室内に放出する際に密閉容器の円周方向に旋回流が発生するためその遠心力でガス内に存在する油滴が効果的に分離される。また、吐出経路を密閉容器のほぼ軸心付近に設けてあるため油滴分の少ないガスを圧縮機外部に排出でき、さらに収納性の良い圧縮機を構成できるという利点を有することである。
本発明の第3の効果は、圧縮機構部内で圧縮されたガスを第1の流路から電動機部を収納した第2室に導入することで電動機部を冷却することができる。さらに、このガスを第2の流路から第1室内に放出する際に密閉容器の円周方向に旋回流が発生するためその遠心力でガス内に存在する油滴が効果的に分離される。また、吐出経路を密閉容器のほぼ軸心付近に設けてあるため油滴分の少ないガスを圧縮機外部に排出できる。さらに、第2の経路に前記密閉容器に設けた電動機部への給電用の端子と、電動機部を電気的に接続するためのリード線を収納するため端子を第1室の密閉容器に装着でき収納性の良い圧縮機を構成できるという利点を有することである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1の実施例におけるスクロール圧縮機の断面図
【図2】
同実施例におけるスクロール圧縮機の要部斜視図
【図3】
同第2の実施例におけるスクロール圧縮機の断面図
【図4】
同実施例におけるスクロール圧縮機の要部斜視図
【図5】
同第3の実施例におけるスクロール圧縮機の断面図
【図6】
同実施例におけるスクロール圧縮機の要部斜視図
【図7】
従来例におけるスクロール圧縮機の断面図
【図8】
同断面図
【符号の説明】
1 密閉容器
1a 第1室
1b 第2室
2 圧縮機構部
3 電動機部
4 固定スクロール部品
5 旋回スクロール部品
7 吐出孔
9 軸受け部品
10 回転軸
11 自転拘束部品
13 吐出カバー
15 吐出経路
16 第1の流路
17 第2の流路
18 端子
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-08-04 
出願番号 特願平5-336139
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (F04C)
最終処分 取消  
前審関与審査官 刈間 宏信  
特許庁審判長 大橋 康史
特許庁審判官 長谷川 一郎
清田 栄章
登録日 2003-01-24 
登録番号 特許第3391072号(P3391072)
権利者 松下電器産業株式会社
発明の名称 密閉型スクロール圧縮機  
代理人 峰 隆司  
代理人 坂口 智康  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 坂口 智康  
代理人 河野 哲  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 中村 誠  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 蔵田 昌俊  

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