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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  C01B
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C01B
管理番号 1107883
異議申立番号 異議2003-72786  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-11 
確定日 2004-10-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3406631号「微生物菌体を固定した活性炭、その製法および用途」の請求項1ないし4、7ないし18に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3406631号の訂正後の請求項1ないし4、7ないし18に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3406631号の請求項1〜18に係る発明についての出願は、平成5年2月17日に特許出願され、平成15年3月7日にその特許の設定登録がなされたところ、請求項1〜4、7〜18に係る発明の特許に対して田中英博(以下、必要に応じて「申立人」という)より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成16年3月26日に訂正請求がなされ、その後、当審より申立人に対して審尋がなされたところ、何ら応答がなされなかったものである。
2.訂正の適否
2-1.訂正の内容
本件訂正の内容は、本件特許明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち次の訂正事項aのとおりに訂正しようとするものである。
(1)訂正事項a
請求項1を、「【請求項1】粘質物質を生産する能力を有する微生物の培養物を活性炭と接触させることによって、粘質物質を生産する能力を有する微生物および該微生物により生産された粘質物質を担特せしめてなる活性炭。」と訂正する
2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否
(1)上記訂正事項aについて
上記訂正事項aは、微生物および粘質物質の担持の仕方を「粘質物質を生産する能力を有する微生物の培養物を活性炭と接触させることによって」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
そして上記訂正事項aは、訂正前の請求項10の記載からみて、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
2-3.まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについて
3-1.取消理由通知の概要
当審の取消理由通知の概要は、請求項1〜4、7〜9、12〜18に係る発明は、それぞれ刊行物1又は2又は3に記載された発明であるか、また請求項1〜4、7〜18に係る発明は、刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜4、7〜9、12〜18に係る発明の特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり取り消されるべきものであり、また請求項1〜4、7〜18に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり取り消されるべきものであるというものである。
3-2.本件訂正発明
特許権者が請求した上記訂正は、上述したとおり、認容することができるから、訂正後の本件請求項1〜18に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜18に記載された次のとおりのものである(以下、必要に応じて「本件訂正発明1〜18」という。)。
「【請求項1】粘質物質を生産する能力を有する微生物の培養物を活性炭と接触させることによって、粘質物質を生産する能力を有する微生物および該微生物により生産された粘質物質を担特せしめてなる活性炭。
【請求項2】さらに、被処理物より物質を除去する能力を有する少なくとも1種の異なる微生物を担持せしめてなる請求項1記載の活性炭。
【請求項3】粘質物質が多糖類またはポリアミノ酸である請求項1または2記載の活性炭。
【請求項4】粘質物質を生産する能力を有する微生物がシュードモナス属に属する微生物である請求項1または2記載の活性炭。
【請求項5】微生物がシュードモナス・スピーシーズTB-113である請求項4記載の活性炭。
【請求項6】微生物がシュードモナス・スピーシーズTB-161である請求項4記載の活性炭。
【請求項7】被処理物が流体であり、除去される物質が不要物質ないし有害物質である請求項2記載の活性炭。
【請求項8】異なる微生物が、シュードモナス属細菌、コリネ型細菌、硝化細菌、チオバチルス属細菌および/またはバチルス属細菌である請求項2記載の活性炭。
【請求項9】粒状または粉末状である請求項1または2記載の活性炭。
【請求項10】粘質物質を生産する能力を有する微生物の培養物を活性炭と接触させて担持せしめることを特徴とする請求項1記載の活性炭の製法。
【請求項11】粘質物質を生産する能力を有する微生物の培養物と、物質を除去する能力を有する少なくとも1種の異なる微生物の培養物とを活性炭と接触させて担持せしめることを特徴とする請求項2記載の活性炭の製法。
【請求項12】請求項1または2記載の活性炭を含有してなる流体処理剤。
【請求項13】流体が液相である請求項12記載の流体処理剤。
【請求項14】流体が気相である請求項12記載の流体処理剤。
【請求項15】高度浄水処理用である請求項12記載の流体処理剤。
【請求項16】悪臭除去用である請求項12記載の流体処理剤。
【請求項17】水質汚濁除去用である請求項12記載の流体処理剤。
【請求項18】流体と請求項12記載の流体処理剤とを接触せしめることを特徴とする流体の処理法。」
3-3.刊行物の記載内容
(1)刊行物1:「ACTIVATED CARBON ADSORPTION of Organics from the Aqueous Phase Volume2」ANN ARBOR SCIENCE 第340〜347頁 1983:申立人の提出した甲第1号証
(a)「ウエルナー、クロッツ及びシャワイスフース(引用22)による最近の研究は、ドイツのウイスバーデンのシュールステインプラントで3年以上使用された生物活性粒状活性炭カラムについて行われた。表Vに記載されている微生物学的スピーシーズは、これらの粒状活性炭物質から採取されて同定された。現在まで同定されたスピーシーズの全ては、事実上非病原性であり、自然に産出される固形物及び水中にみられる。」(第341頁第1〜6行、訳文、以下同じ)
(b)第342頁の表Vには、「シュールステイン(FRG)プラントにおける粒状活性炭吸着剤の流水中で発見された微生物学的スピーシーズ」として「Pseudomonas」(シュードモナス)、「Bacillus」(バチルス)、「Corynebacterium」(コリネ型細菌)等が記載されている。
(c)第347頁引用22には「飲料水処理における酸化技術」が記載されている。
(2)刊行物2:「水道協会雑誌」社団法人日木水道協会 第59巻第3号(第666号)、第13〜19頁(平成2年3月1日):申立人の提出した甲第2号証
(a)「オゾンの浄水処理への利用は、・・・特にフランス,ドイツでは,オゾン処理後の溶存有機物,アンモニアの除去を微生物の生育した生物活性炭で行なうと,水質浄化の向上のみならず活性炭の寿命が延びるため、近年THM減小化の手法として利用されはじめている。」(第13頁左欄第10〜22行)
(b)「近年、わが国でも高度処理プラント実験が行われ,・・・粒状活性炭処理では,微生物の浄化作用が現われ,生物活性炭として除去率は低くとも,THM前駆物質,不揮発性溶存有機物(NVDOC),アンモニア性窒素の除去に,3年以上の寿命があることを示している。」(第13頁右欄第2〜8行)
(c)「屎尿二次処理水を希釈し、TOC1.0mg/l,NH4-N,1.0mg/lに調整した原水を,連続3年間処理している生物活性炭処理パイロット実験の活性炭を分取し本実験に用いた。」(第13頁右欄下から第5〜2行)
(d)「写真-2は,本実験に用いた生物活性炭表面で,倍率は写真-1と同じである。活性炭の孔,くぼみの部分へ微生物が生育しており,球菌,桿菌,さらには厚膜胞子まで観察され,・・・個々の微生物種については写真からは判定できず,今後,分離培養などによる検討が必要と思われる。」(第17頁右欄下から第9行〜第18頁左欄第1行)
(3)刊行物3:「第41回全国水道研究発表会講演集」社団法人日本水道協会 第536〜538頁(平成2年4月25日):申立人の提出した甲第3号証
(a)「粒状活性炭(GAC)を用いた高度浄水処理が有害合成化学物質、異臭味物質および有機ハロゲン化合物の生成原因となるフミン質などの有機物を除去する最も有効な方法として検討されている。特に、最近、GACの吸着効果だけでなく、充填層内で繁殖する微生物による有機物分解効果が注目され、いわゆる生物活性炭(BAC)処理について研究が行われているが、・・・そこで、本研究では、モデル水道原水を用いて、一般有機物をGACで除去する場合に、GACの種類や処理条件によって吸着による除去効果と生物分解による除去効果とがどのように変化するかを明らかとすることを目的とした。」(第536頁第2〜5行)
(b)「GAC充填層での有機物の除去では、活性炭外表面に付着した微生物が水中有機物を分解する「生物膜効果」とこの微生物が活性炭に吸着した有機物を分解する「生物再生効果」および活性炭の微細孔内に有機物を捕捉する「吸着効果」とがあると考えられる。」(第538頁第2〜8行)
(4)刊行物4:「用水と廃水」産業用水調査会 Vol.35 No.8 第703〜711頁(1993年8月1日):申立人の提出した甲第4号証
(a)「活性炭処理を組み込んだ浄水処理プロセスはいくつか提案されているが、活性炭処理の前処理に塩素処理を組み込まないプロセスやオゾン処理後に活性炭処理を行うプロセスの場合、活性炭表面に細菌が増殖することが知られている。」(第703頁左欄第17〜21行)
(b)「このように活性炭表面に細菌が付着することによって,活性炭の吸着作用に生物作用が付加され,より効果的な処理方法になる場合を一般に生物活性炭処理と呼んでいる。生物活性炭処理では,活性炭の吸着作用による溶存有機物の吸着除去とともに付着細菌の生分解作用による有機物の分解除去,硝化細菌の付着によるアンモニア性窒素の酸化も期待できる。さらに,吸着物質が生分解されることによる,いわゆる生物再生によって活性炭寿命の延長効果が期待できると考えられている。」(第703頁右欄第1〜9行)
(c)「2.細菌の付着特性 2.1 細菌はどのようにして,どこに付着するのか? ・・・しかし,付着した状態でさらに数日経過すると界面に接している細胞膜に変化が生じ,菌体外にポリマーが生成される。それによって界面と細菌の間にブリッジが形成され,不可逆的な付着になる。活性炭表面への細菌の付着も同様な過程を経ると考えられるが,このような液相中からの細菌の付着とともに,いったん付着した細菌が活性炭上で増殖することによって付着細菌数が増加すると考えられる。」(第703頁右欄下から第4行〜第704頁左欄第10行)
(d)「2.3 どのような細菌が付着するか? Burlingameらがまとめた,Wernerらをはじめとする活性炭の付着細菌相に関する8つの研究結果を表1に示す。一般にPseudomonasが優占することが多いようである。」(第704頁右欄第22〜26行)
(5)「微生物固定化法による水処理」株式会社エヌ・テイー・エス 第5〜9頁(2000年7月1日):申立人の提出した甲第5号証
(a)「生物活性炭(BAC;Biological Activated Carbon)法は高度処理プロセスの一つとして、上水処理および排水処理双方の分野で大きな注目を集めており、その実用化が進められています。生物活性炭処理では、活性炭の持つ吸着能と活性炭粒子表面上に形成した微生物膜による生分解の両者を利用して水の浄化を行なうので、活性炭が本来持つ吸着量を大幅に上回る量の有機物を除去できますが、活性炭吸着と生分解というまったく性質の異なる過程が起こるので、汚染物質の除去機構は複雑です。」(第5頁第5〜10行)
(b)「3.1 活性炭表面上の微生物 図3に、活性炭表面上での微生物の状態をまとめます。「活性炭表面のすべては細菌で覆われていない状態」、「活性炭表面が多層の細菌で覆われている状態」、「活性炭表面上にある程度の厚さの生物膜が形成された状態」の三つが考えられます。付着の順番は、最初に静電的な力で細菌が活性炭に一時的に捕捉されて、生体ポリマーを出して活性炭外表面に固定し、まばらな状態から表面における増殖を繰り返し、生物膜が成長していきます。対象水の水質にもよりますが、ある程度の高負荷の廃液を流しておくと、半日から数日間で数mmの厚さを持つ生物膜が形成されます。」(第6頁下から第8〜1行)

3-4.対比・判断
(1)本件訂正発明1について
(1-1)刊行物1を主引例とする対比・判断
刊行物1の上記(1)(a)には、「微生物学的スピーシーズが採取された粒状活性炭物質」が記載されており、また、上記(1)(b)には、「微生物学的スピーシーズ」として「Pseudomonas」(シュードモナス)、「Bacillus」(バチルス)、「Corynebacterium」(コリネ型細菌)が記載されている。
これら記載を本件訂正発明1の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には「シュードモナス、バチルス、コリネ型細菌等の微生物学的スピーシーズが採取された粒状活性炭物質」という発明(以下、「刊行物1発明」という)が記載されていると云える。
そこで、本件訂正発明1と刊行物1発明とを対比すると、両者は、「微生物を担特せしめてなる活性炭」という点で一致し、次の点で相違していると云える。
相違点(イ):本件訂正発明1では、微生物が「粘質物質を生産する能力を有する微生物」であり、活性炭に微生物以外に「微生物により生産された粘質物質」も担持されているのに対して、刊行物1発明では、その点が不明である点
相違点(ロ):本件訂正発明1では、微生物および粘質物質の担持の仕方として「粘質物質を生産する能力を有する微生物の培養物を活性炭と接触させることによって」行われているのに対して、刊行物1発明では、微生物学的スピーシーズの担持の仕方については記載されていない点
上記相違点のうち相違点(ロ)について検討する。
刊行物1には、粒状活性炭吸着剤が流水中にあることは記載されているものの(上記(1)(b))、微生物および粘質物質の担持の仕方として「粘質物質を生産する能力を有する微生物の培養物を活性炭と接触させることによって」行われることについては記載も示唆もされていない。 また刊行物2、3には、微生物および粘質物質の担持の仕方として「粘質物質を生産する能力を有する微生物の培養物を活性炭と接触させることによって」行われることについては記載も示唆もされていない((1-2)、(1-3)参照)。
なお、本件出願後に頒布された刊行物である刊行物4、5には、微生物の担持の仕方として浄水処理プロセスに組込むこと(上記(4)(a))や、高負荷の廃液を流すこと(上記(5)(b))は記載されているものの、これら浄水処理プロセスの原水や高負荷の廃液が「微生物の培養物」を示唆していると云うことはできない。
そして本件訂正発明1は、「微生物菌体を固定化した活性炭を安価に製造できる」(本件特許掲載公報第10頁第20欄第38〜39行)という明細書記載の効果を奏すると云える。
したがって、本件訂正発明1は、刊行物1に記載された発明とすることはできないし、また刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものであるとすることはできない。
(1-2)刊行物2を主引例とする対比・判断
刊行物2の上記(2)(c)には「屎尿二次処理水を希釈し調整した原水を,連続3年間処理している生物活性炭処理パイロット実験の活性炭を分取し用いた」ことが記載されている。
刊行物2の記載を本件訂正発明1の記載ぶりに則って整理すると、刊行物2には「屎尿二次処理水を希釈し調整した原水を活性炭と接触させることによって、微生物の生育せしめてなる生物活性炭」という発明(以下、「刊行物2発明」という)が記載されていると云える。
そこで、本件訂正発明1と刊行物2発明とを対比すると、両者は次の点で相違していると云える。
相違点(イ):本件訂正発明1では、微生物が「粘質物質を生産する能力を有する微生物」であり、活性炭に微生物以外に「微生物により生産された粘質物質」も担持されているのに対して、刊行物2発明では、その点が不明である点
相違点(ロ):本件訂正発明1では、微生物および粘質物質の担持の仕方として「粘質物質を生産する能力を有する微生物の培養物を活性炭と接触させることによって」行われているのに対して、刊行物2発明では、微生物の担持の仕方として「屎尿二次処理水を希釈し調整した原水を活性炭と接触させることによって」行われていることは記載されているものの、上記特定の担持の仕方については記載されていない点
上記相違点のうち相違点(ロ)について検討すると、刊行物2の「屎尿二次処理水を希釈し調整した原水」が「微生物の培養物」を示唆しているとは云えないし、他の刊行物については上記(1-1)で述べたことと同じことが云えるから、本件訂正発明1は、刊行物2に記載された発明とすることはできないし、また刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものであるとすることはできない。
(1-3)刊行物3を主引例とする対比・判断
刊行物3の上記(3)(a)には、モデル水道原水を用いて粒状活性炭を生物活性炭にすることが記載されていると云える。
刊行物3の記載を本件訂正発明1の記載ぶりに則って整理すると、刊行物3には「モデル水道原水と接触させることによって、活性炭外表面に微生物を付着せしめてなる粒状活性炭」という発明(以下、「刊行物3発明」という)が記載されていると云える。
そこで、本件訂正発明1と刊行物3発明とを対比すると、両者は次の点で相違していると云える。
相違点(イ):本件訂正発明1では、微生物が「粘質物質を生産する能力を有する微生物」であり、活性炭に微生物以外に「微生物により生産された粘質物質」も担持されているのに対して、刊行物3発明では、その点が不明である点
相違点(ロ):本件訂正発明1では、微生物および粘質物質の担持の仕方として「粘質物質を生産する能力を有する微生物の培養物を活性炭と接触させることによって」行われているのに対して、刊行物3発明では、微生物の担持の仕方として「モデル水道原水と接触させることによって」行われていることは記載されているものの、上記特定の担持の仕方については記載されていない点
これら相違点のうち上記相違点(ロ)について検討すると、刊行物3の「モデル水道原水」が「微生物の培養物」を示唆しているとは云えないし、他の刊行物については上記(1-1)で述べたことと同じことが云えるから、本件訂正発明1は、刊行物3に記載された発明とすることはできないし、また刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものであるとすることはできない。
(2)本件訂正発明2〜4、7〜18について
本件訂正発明2〜4、7〜18は、直接、間接に請求項1を引用した発明であり上記(1)で述べたことと同じことが云えるから、本件訂正発明2〜4、7〜9、12〜18はそれぞれ刊行物1又は2又は3に記載された発明であるとすることはできないし、また本件訂正発明2〜4、7〜18は刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
4.むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては、訂正後の本件請求項1〜4、7〜18に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の本件請求項1〜4、7〜18に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、訂正後の本件請求項1〜4、7〜18に係る発明の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願にされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
微生物菌体を固定した活性炭、その製法および用途
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 粘質物質を生産する能力を有する微生物の培養物を活性炭と接触させることによって、粘質物質を生産する能力を有する微生物および該微生物により生産された粘質物質を担持せしめてなる活性炭。
【請求項2】 さらに、被処理物より物質を除去する能力を有する少なくとも1種の異なる微生物を担持せしめてなる請求項1記載の活性炭。
【請求項3】 粘質物質が多糖類またはポリアミノ酸である請求項1または2記載の活性炭。
【請求項4】 粘質物質を生産する能力を有する微生物がシュードモナス属に属する微生物である請求項1または2記載の活性炭。
【請求項5】 微生物がシュードモナス・スピーシーズTB-113である請求項4記載の活性炭。
【請求項6】 微生物がシュードモナス・スピーシーズTB-161である請求項4記載の活性炭。
【請求項7】 被処理物が流体であり、除去される物質が不要物質ないし有害物質である請求項2記載の活性炭。
【請求項8】 異なる微生物が、シュードモナス属細菌、コリネ型細菌、硝化細菌、チオバチルス属細菌および/またはバチルス属細菌である請求項2記載の活性炭。
【請求項9】 粒状または粉末状である請求項1または2記載の活性炭。
【請求項10】 粘質物質を生産する能力を有する微生物の培養物を活性炭と接触させて担持せしめることを特徴とする請求項1記載の活性炭の製法。
【請求項11】 粘質物質を生産する能力を有する微生物の培養物と、物質を除去する能力を有する少なくとも1種の異なる微生物の培養物とを活性炭と接触させて担持せしめることを特徴とする請求項2記載の活性炭の製法。
【請求項12】 請求項1または2記載の活性炭を含有してなる流体処理剤。
【請求項13】 流体が液相である請求項12記載の流体処理剤。
【請求項14】 流体が気相である請求項12記載の流体処理剤。
【請求項15】 高度浄水処理用である請求項12記載の流体処理剤。
【請求項16】 悪臭除去用である請求項12記載の流体処理剤。
【請求項17】 水質汚濁除去用である請求項12記載の流体処理剤。
【請求項18】 流体と請求項12記載の流体処理剤とを接触せしめることを特徴とする流体の処理法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粘質物質を生産する微生物を用い、その粘質物質により微生物菌体を固定化した活性炭、その製法および用途、特に、該活性炭を用いる流体処理剤および被処理物より物質を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】活性炭は種々の物質を吸着する能力があるため、廃水処理や臭気物質の除去などに利用されている。また、近年、水道原水の水質の悪化に伴い、活性炭を用いる高度浄水処理が実用化されつつある。これらの活性炭には多種類の微生物が自然に生息し、いわゆる生物活性炭を形成している。これらの微生物は活性炭には吸着されない物質を資化・分解したり、活性炭の吸着性能の寿命を延ばすなど、極めて重要な役割を果している。ところが、生物活性炭は自然に形成されるため、生息する微生物の数と種類はたえず変動しており、安定した物質除去性能が得られないことがある。また、生物活性炭の形成には時間がかかる。
【0003】これまで、微生物菌体を活性炭に固定化した例としては、固定化剤としてアルギン酸ナトリウムを用いて活性汚泥の微生物を活性炭に固定化した例が知られている(特開平1-207193号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の微生物菌体の活性炭への固定化方法では固定化剤が必要であるため、工業的には製造コストが高い欠点がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高度浄水処理施設の生物活性炭から分離した微生物の中に、粘質物質を生成するシュードモナス属に属する細菌が存在することを知見し、それに基づき鋭意研究の結果、粘質物質を生産する微生物の培養物を用い、その粘質物質によって当該微生物菌体や、必要により他の微生物菌体を活性炭に固定化させると、微生物菌体固定化活性炭が安価に得られることを見出した。さらに、得られた微生物菌体固定化活性炭を用いて有害な物質を除去させることにも成功し、本研究を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、粘質物質を生産する能力を有する微生物および該微生物により生産された粘質物質を担持せしめてなる活性炭を提供するものであり、該活性炭は、必要により、さらに、気相、液相の流体のような被処理物より不要ないしは有害な物質を除去する能力を有する少なくとも1種の異なる微生物を担持せしめてもよい。また、本発明は、これらの活性炭の製法および流体処理剤としての用途も提供するものである。
【0007】本発明において、粘質物質としては、微生物により生産され、かつ粘性を有するものであればよい。該粘質物質としては、例えば多糖類、有機酸の重合体、蛋白質等が挙げられる。好ましくは、多糖類、有機酸の重合体である。多糖類としては、ホモグリカン、ヘテログリカンが挙げられる。ホモグリカンとしては、例えばカードラン、パラミロン、パキマン、サイクロデキストリンなどが挙げられる。ヘテログリカンとしては、例えばキサンタンガム、ヒアルロン酸などが挙げられる。また、有機酸の重合体としては、例えばポリアミノ酸などが挙げられる。粘質物質として特に好ましくは多糖類である。本発明で用いる粘質物質を生産する能力を有する微生物としては、その培養物に活性炭を接触させることによって、当該微生物および他の微生物を活性炭上に担持せしめ、固定化できる粘質物質、例えば、多糖類、有機酸の重合体(例、ポリアミノ酸)、蛋白質等の粘質物質を生産できるものであればいずれでもよく、例えば、シュードモナス(Pseudomonas)属、バチルス(Bacillus)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、ユーグレナ(Euglena)属、キサントモナス(Xanthomonas)属、アセトバクター(Acetobacter)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属などに属する微生物を用いることができる。
【0008】特に、多糖類粘質物質を生産するシュードモナス属の細菌が好ましく、例えば、本発明者らが単離に成功したシュードモナス・スピーシーズ(Pseudomonas sp.)TB-113、シュードモナス・スピーシーズ(Pseudomonas sp.)TB-161などが挙げられる。これらの細菌は寒天培地上で培養すると固いコロニーを形成し、液体培地で培養すると凝集物を形成することから粘質物質を生成していることがわかる。
【0009】用いる活性炭としては粘質物質を生成する微生物の培養物を接触させることによって、その微生物の菌体を担持し、固定化できるものであればいずれでもよく、石炭系または木質系のもののいずれでもよい。性能や取り扱いの容易さから、粒状ないしは粉末状のものが好ましい。例えば活性炭が粒状である場合、粒径が100μm〜10,000μmのものが好ましい。さらに好ましくは500μm〜5,000μmのものである。また、活性炭が粉末状である場合、粒径が10μm〜1,000μmのものが好ましい。さらに好ましくは50μm〜500μmのものである。
【0010】本発明では、上記の粘質物質を生産する能力を有する微生物に加えて、それ以外の異なる微生物を活性炭に担持させることによって複数の種類の微生物の菌体を活性炭に固定化させることができる。
【0011】この「異なる微生物」は、粘質物質を生産する能力を有する微生物でなく、かつ、その培養物を活性炭と接触させて、粘質物質を生産する微生物により生産された粘質物質により、その菌体が活性炭に担持、固定化されるものであればいずれでもよく、細菌、放射菌、酵母、糸状菌などが挙げられる。好ましくは細菌である。細菌の例としては、シュードモナス属細菌、コリネ型細菌(例、アルスロバクター属細菌など)、硝化細菌(例、ニトロバクター属細菌、ニトロソバクター属細菌など)、チオバチルス(Thiobacillus)属細菌、バチルス(Bacillus)属細菌などが挙げられる。この場合、物質の分解または資化の能力の高い微生物を用いることによって、これらの微生物の菌体が固定化された活性炭は処理すべき物質の分離、除去性能が向上することが期待される。この「異なる微生物」は1種類でもよいが、2種類以上でもよく、活性汚泥そのままの形態でもよい。
【0012】本発明の活性炭は、上記の粘質物質を生産する微生物の培養物と活性炭とを接触させることにより製造できる。さらに、必要により、同時または別途、上記異なる微生物の培養物も活性炭に接触させる。
【0013】粘質物質生産能のある微生物の培養物調製に用いる培地としては、培養が可能であり、粘質物質を生成せしめることのできるものであればいずれでもよい。該培地には、当該微生物が同化し得る炭素源、窒素源、無機物質、微量栄養源が適宜配合される。炭素源としては、例えばブドウ糖、乳糖、ショ糖、麦芽糖、デキストリン、澱粉、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、油脂類(例、大豆油、ラード油、チキン油など)、n-パラフィンなどが用いられる。窒素源としては、例えば肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、大豆粉、コーン・スティーブ・リカー、ペプトン、カゼイン、カザミノ酸、綿実粉、廃糖密、尿素、アミノ酸類(例、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、リジン、メチオニン、プロリンなど)、アンモニウム塩類(例、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなど)などの有機または無機窒素化合物が用いられる。無機物質としては、例えば、アルカリ金属(例、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(例、カルシウム、マグネシウムなど)などを含む塩類、鉄、マンガン、亜鉛、コバルト、ニッケルなどの金属塩類、リン酸、ホウ酸などの塩類などが用いられる。また、酢酸、プロピオン酸などの有機酸の塩類を適宜用いてもよい。その他、ペプチド(例、ジペプチド、トリペプチドなど)、ビタミン類(例、B1、B2、ニコチン酸、B12、Cなど)、核酸類(例、プリン、ピリミジン、その誘導体など)等を含有させてもよい。培養は、静置、振とうまたは通気攪拌のいずれの条件でもよい。通常、培養温度は約15℃〜約45℃である。好ましくは約20℃〜約37℃である。pHは約6〜約9である。好ましくは約6.8〜約7.5である。培養時間は約1〜約21日である。好ましくは約3〜約10日である。
【0014】上記の培養で得られる培養物は、通常、培養液の形態であり、該微生物由来の粘質物質を含有しており、活性炭と接触させることによって当該微生物の菌体が活性炭に担持、固定化される。該微生物の培養物を活性炭に接触させる方法としては、例えば、活性炭の存在下で微生物を培養する方法、微生物の培養液に活性炭を投入し、混合する方法などが挙げられる。このうち活性炭の存在下で微生物を培養する方法が好ましい。
【0015】異なる微生物の培養物調製に用いる培地および培養条件は特に限定するものではなく、その微生物について公知の培地および培養条件を適宜選択できる。該異なる微生物の培養物を活性炭に接触させる方法としては、例えば、上記の粘質物質を生産する能力を有する微生物と、異なる微生物とを同時に培養してもよく、また、別々に培養し、得られた各々の培養物を混合して活性炭に接触させてもよい。
【0016】得られた微生物菌体を固定化した本発明の活性炭は、従来の生物活性炭と同様に、例えば、雰囲気中の不要ないしは有害な物質の除去に用いることができ、特に、気相系、例えば、水相のような液相系の流体から、その様な物質を除去する流体処理剤として用いられる。
【0017】例えば、該流体処理剤を、カラム式、バッチ式等の方法で処理すべき気相あるいは液相と接触させる。除去される物質としては、不要物質、有害物質、臭気物質、環境汚染物質などが挙げられ、具体的には窒素含有化合物(例、アンモニア、窒素酸化物など)、硫黄含有化合物(例、硫化水素、メチルメルカプタン、イオウ酸化物など)、ジオスミン、2-メチルイソボルネオール、トリハロメタン、各種農薬(例、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、殺そ剤、植物成長調整剤など)などが挙げられる。好ましくは、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、ジオスミン、2-メチルイソボルネオールなどである。
【0018】例えば、除去される物質がアンモニアである場合、異なる微生物としては、例えばアルスロバクター属細菌、シュードモナス属細菌、バチルス属細菌、ニトロバクター属細菌、ニトロソモナス属細菌などが用いられる。また、除去される物質が硫化水素またはメチルメルカプタン等である場合、異なる微生物としては、例えばチオバチルス属細菌などが用いられる。さらに、除去される物質が、ジオスミンまたは2-メチルイソボルネオール等である場合、異なる物質としては、例えばシュードモナス属細菌、バチルス属細菌などが用いられる。本発明中の活性炭および該活性炭を含有してなる流体処理剤は、例えば高度浄水処理用、悪臭除去用、水質汚濁除去用などとして安全に用いることができる。
【0019】本発明の活性炭の使用量は、処理すべき流体の種類、量等および除去される物質の種類、量等により著しく異なるが、例えば水相からアンモニアを除去する場合、好ましくは、水1リットルに対し、約1g〜約500gが用いられる。さらに好ましくは、水1リットルに対して、約6g〜約150gが用いられる。
【0020】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
高度浄水処理の粒状活性炭層から採取した活性炭(1g)を滅菌蒸留水(3ml)に懸濁させ、フラッシュミキサーで10分間攪拌して活性炭に付着している微生物を遊離、懸濁させた。得られた懸濁液を希釈し、SCD培地(日本製薬製)を10倍に希釈した培地(1/10SCD培地)を寒天培地にして塗抹し、25℃で14日間培養した。その結果、多種類の細菌のコロニーが出現したが、その中でシュードモナス属細菌とコリネ型細菌が大多数を占めていた。このコロニーの中に、固くはりついたゲル状のコロニー(固いコロニー)を形成する細菌が数株見出された。これらの細菌の多くは1/100SCD培地で液体培養すると凝集物を形成し、粘質物を生成していることがわかった。これらの粘質物生成細菌はバージース・マニュアル・オブ・システマチック・バクテリオロジー(Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology,Vol.1〜4(1984〜1989年)に従い、いずれもシュードモナス(Pseudomonas)属と同定され、それぞれシュードモナス・スピーシーズ(Pseudomonas sp.)TB-113およびシュードモナス・スピーシーズ(Pseudomonas sp.)TB-161と命名した。該TB-113は、平成5年2月2日に財団法人発酵研究所(IFO)に受託番号IFO15433として、また平成5年2月8日に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に受託番号FERMP-13415としてそれぞれ寄託されている。TB-161は、平成5年2月2日に財団法人発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 15434として寄託されている。以下にTB-113およびTB-161の性状を示す。
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【0023】
【表3】

【0024】
【表4】

【0025】注]
1)ポリ-β-ヒドロキシブチレート
2)ビタミン要求性:ビオチン0.2μg、パントテン酸カルシウム40μg、葉酸0.2μg、イノシトール200μg、ナイアシン40μg、p-アミノ安息香酸20μg、塩酸ピリドキシン40μg、リボフラビン40μg、塩酸チアミン20μg、コリン100μg、シアノコバラミン0.002μg/ml
アミノ酸要求性:ビタミン不含カサミノ酸(ディフコ)0.25g/1リットル
記号の説明
+:陽性
+W:弱い陽性
-:陰性
TB-161は生育にビタミンを要求するが、オキシダーゼ陽性なのでシュードモナス・スピーシーズと同定した。
【0026】シュードモナス・スピーシーズTB-113を1/10SCD培地で28℃で3日間振とう培養すると凝集物が生成した。この凝集物を取り出して水洗し、走査型電子顕微鏡で観察したところ、多数の同菌体と、ネット状物質が見られた。この凝集物は95℃で加熱すると可溶化し、放冷すると寒天のようにゲル状に凝固した。加熱処理と遠心分離によって菌体を除去した凝集物(粘質物質)はフェノール硫酸で発色し、その加水分解物は硝酸銀で発色したところから、多糖類粘質物質と判明した。
【0027】実施例2
1/10SCD培地(実施例1参照)の寒天培地上に生育させたシュードモナス・スピーシーズTB-113を30mlの1/10SCD培地(200ml容三角フラスコ中)に接種し、28℃で24時間振とう下(220rpm)で培養した。1リットル容三角フラスコに250mlの1/100SCD培地(100倍に希釈したSCD培地)と50gの石炭系粒状活性炭(粒状白鷺、武田薬品)を入れ、120℃で20分間滅菌し、冷却した。この1リットル容三角フラスコに上記の培養液1.25mlを移し、28℃で3〜7日間振とう下(80rpm)で培養した。培養後、活性炭を取出し、水洗して走査型電子顕微鏡で観察したところ、ネット状物質(バイオフィルム)と同細菌が活性炭表面に付着していることが認められ、菌体を担持、固定化した活性炭が出来ていることがわかった。
【0028】実施例3
実施例2と同様の方法で30mlの1/10SCD培地を含む200ml容三角フラスコで培養して得られたシュードモナス・スピーシーズTB-113の培養液1.25mlと、アルスロバクター・スピーシーズ(Arthrobacter sp.)TB-122a(実施例1で分離)の培養液2.5mlを250mlの1/100SCD培地と50gの石炭系粒状活性炭を含む1リットル容三角フラスコに移し、28℃で3〜7日間振とう下で培養した。培養後、活性炭を取出し、水洗して走査型電子顕微鏡で観察したところ、ネット状物質と上記の2種類の細菌が活性炭表面に付着していることが認められ、2種類の細菌の菌体を固定化した活性炭ができていることがわかった。上記TB-122aは、平成5年2月2日に財団法人発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 15432として、また平成5年2月8日に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に受託番号FERMP-13414としてそれぞれ寄託されている。TB-122aの性状を以下に示す。
【0029】
【表5】

【0030】
【表6】

【0031】注]各記号は表1〜4と同意義である。
実施例4
実施例3で得られた微生物菌体と固定化した活性炭をカラムにつめ(約150ml、内径2.5cm、高さ約30cm)、0.025%グルコース水溶液(450ml)で洗浄したのち、1μg/mlの硫酸アンモニウムを含む0.025%グルコース水溶液を210ml/時間(SV1.4)で通水した。溶出液のアンモニア性窒素の濃度をニトロプルシッドを用いるインドフェノール法(生化学領域における光電比色法各論2、南江堂、1958年、46ページ参照)の改良法を用いて測定したところ、約30%のアンモニア性窒素が除去されていた。一方、微生物菌体を除去していない活性炭で同様の実験を行ったところ、アンモニア性窒素は全く除去されていなかった。
【0032】
【発明の効果】粘質物質を生成する能力を有する微生物およびその粘質物質と、必要によりその他の微生物とを活性炭に担持させることにより、微生物菌体を固定化した活性炭を安価に製造できる様になった。得られた活性炭は高い物質除去能力を有する。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-09-08 
出願番号 特願平5-27880
審決分類 P 1 652・ 121- YA (C01B)
P 1 652・ 113- YA (C01B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 宮澤 尚之  
特許庁審判長 多喜 鉄雄
特許庁審判官 金 公彦
野田 直人
登録日 2003-03-07 
登録番号 特許第3406631号(P3406631)
権利者 日本エンバイロケミカルズ株式会社
発明の名称 微生物菌体を固定した活性炭、その製法および用途  
代理人 谷口 操  
代理人 谷口 操  
代理人 高島 一  
代理人 岡本 寛之  
代理人 岡本 寛之  
代理人 高島 一  
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