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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G03G 審判 全部申し立て 2項進歩性 G03G 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G03G 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 G03G |
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管理番号 | 1107909 |
異議申立番号 | 異議2003-72428 |
総通号数 | 61 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1995-11-14 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-09-30 |
確定日 | 2004-09-29 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3391931号「熱圧力定着用カプセルトナー」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3391931号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3391931号に係る発明は、特許法第41条に基づく優先権を主張して平成7年3月7日(優先日、平成6年3月9日)に出願され、平成15年1月24日にその特許の設定登録がなされた。 本件特許掲載公報は、平成15年3月31日に発行され、その特許に対して、斯波隆司(以下、「申立人」という。)より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年7月20日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 2-1 訂正の内容 特許権者が、本件特許明細書に関して、訂正を請求する事項は、次のとおりである。 訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1中の、「少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を含有する熱溶融性芯材」との記載を、「少なくとも熱可塑性樹脂、着色剤及びT-77を含む荷電制御剤を含有する熱溶融性芯材」と訂正する。 訂正事項b 明細書の段落【0012】中の、「少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を含有する熱溶融性芯材」との記載を、「少なくとも熱可塑性樹脂、着色剤及びT-77を含む荷電制御剤を含有する熱溶融性芯材」と訂正する。 訂正事項c 明細書の段落【0040】中の、「保土ヶ谷化学社製」との記載を、「保土谷化学工業社製」と訂正する。 訂正事項d 明細書の段落【0070】中の、「保土ヶ谷化学社製」との記載を、「保土谷化学工業社製」と訂正する。 2-2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 訂正事項aは、請求項1に係る発明を特定する事項である、熱溶融性芯材の材料を、熱可塑性樹脂と着色剤に加えて、さらに、T-77を含む荷電制御剤も含有するものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする明細書の訂正に該当する。 訂正事項bは、上記訂正事項aの訂正との整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。 訂正事項c及びdは、原料仕入れ会社の社名を誤記していたものを、正しい社名に直すものであるから、誤記の訂正を目的とした明細書の訂正に該当する。 これらの訂正は、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 2-3 訂正の適否の結論 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについての判断 3-1 申立ての理由の概要及び当審での取消理由通知 申立人は、甲第1号証(特開平5-150549号公報)および甲第2号証(特開平5-197298号公報)を提出して、 (1) 請求項1〜5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであること、 (2) 請求項1〜5に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであること、 を理由として、請求項1〜5に係る発明の特許を取り消すべき旨主張している。 当審では、上記申立の理由(1) に加えて、 (3) 本件明細書には、記載上の不備が存在するため、特許法第36条第4項及び第6項第2号に規定する要件を満たしていないことを理由として取消理由を通知した。 3-2 請求項1〜5に係る発明 上記2.で示したように訂正が認められるから、本件の請求項1〜5に係る発明(以下、順次「本件発明1」〜「本件発明5」という)は、平成16年7月20日付全文訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 【請求項1】 少なくとも熱可塑性樹脂、着色剤及びT-77を含む荷電制御剤を含有する熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するよう設けた外殻とにより構成され、下記の物性を有することを特徴とする熱圧力定着用カプセルトナー。 (1)熱溶融性芯材の主成分となる該熱可塑性樹脂に由来するガラス転移点が10〜50℃である、 (2)トナー1粒子に対して微小圧縮試験機を用いて次の条件で荷重を負荷した場合、トナー粒子の粒径を5%圧縮するのに必要な最小荷重が5〜50mgfであり、かつ10%圧縮するのに必要な最小荷重が10〜100mgfである、 i 微小圧縮試験機:上部加圧圧子は、材質ダイヤモンドの50μm径の平面圧子、下部加圧圧子はSKS(合金工具鋼)平板 ii 温度25℃、湿度50% iii 荷重の負荷速度:9.1mgf/秒 (3)トナーを50℃で24時間放置した場合、粉体特性測定機を用いて得られる下記式(a)〜(c)の計算値の和として定義されるトナー凝集度の放置前後の差が10以下である、 篩い目250μmの篩いに残ったトナーの重量%×1 …(a) 篩い目149μmの篩いに残ったトナーの重量%×0.6…(b) 篩い目74μmの篩いに残ったトナーの重量%×0.2 …(c) 【請求項2】 トナー凝集度の放置前後の差が8以下である請求項1記載の熱圧力定着用カプセルトナー。 【請求項3】 カプセルトナーの軟化点が70〜150℃である請求項1又は2記載の熱圧力定着用カプセルトナー。 【請求項4】 カプセルトナーが、非晶質ポリエステルを主成分とする親水性外殻材を芯材の表面に被覆してなるものである請求項1〜3いずれか記載の熱圧力定着用カプセルトナー。 【請求項5】 非晶質ポリエステルが、2価及び3価以上のアルコール単量体から選ばれる1種以上のアルコール単量体、および2価及び3価以上のカルボン酸単量体から選ばれる1種以上のカルボン酸単量体の縮重合によって得られるものであって、少なくとも3価以上の多価アルコール単量体および/または3価以上の多価カルボン酸単量体を含有する単量体を用いて縮重合によって得られるものである請求項4記載の熱圧力定着用カプセルトナー。 (なお、明細書の記載では、請求項1中の最小荷重を規定する条件の3項目の項番号は○付き数字で記載されているが、表記上、ローマ数字i〜iiiに置き換えて記載する。) 3-3 各証拠に記載された発明 甲第1号証には、 a.「着色剤、帯電制御剤を含む重合性単量体混合物を懸濁重合法により重合せしめて静電荷像現像用トナーを得るに際して、該重合性単量体混合物中に、溶解度パラメータが9.0〜15.0(cal/cm3)1/2であり且つそのガラス転移温度(Tg)が上記重合性単量体を重合して得られる樹脂のTgより高い樹脂様物質を添加含有せしめて懸濁重合を行わせることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。」(請求項1)、 b.「本発明の目的は・・・・懸濁重合法を利用することにより、低温定着性に優れ、且つ保存安定性の良いトナーを提供することにある。又、本発明の別の目的は、流動性に優れた、粒径分布のシャープな低温定着トナーを提供することにある。更に本発明のその他の目的は、懸濁重合法によってトナーを製造する方法において、優れた低温定着性と良好な保存安定性を合わせ持ち、且つ球形で流動性が良く、粒径分布のシャープなトナーを安価に製造する方法を提供することにある。」(【0004】)、 c.「本発明に用いられる帯電制御剤は、正帯電性のもの或は負帯電性のものいずれでも良く、例えば、アゾ系錯体染料のような負帯電性の帯電制御剤を用いた場合は、負帯電性トナーが、又ニグロシンのような正帯電性の帯電制御剤を用いた場合は、正帯電性トナーが得られ、必要に応じて使いわけて、又は混合して用いることができる。帯電制御剤の添加量は重合性単量体 100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、更に好ましくは0.5〜3重量部である。」(【0012】)、 d.「実施例1 スチレン60部、2-エチルヘキシルアクリレート40部、ジビニルベンゼン1.0部(以上3成分のTgの設計値:20.9℃)、カーボンブラック〔三菱化成(株)製、#44 〕7.5部、低分子量ポリエチレン〔三井石油化学工業(株)製、三井ハイワックス1120H 〕2部、帯電制御剤〔保土谷化学(株)製、アイゼンスピロンブラックTRH〕1部をアトライターで5時間分散した後、エチルセルロース(商品名ハーキュレスN-4、Tg:140℃)8部を溶解し、更に2,2’-アゾビスイソブチロニトリル4部を加えたものを、スーパタイト10〔ヒドロキシアパタイトの10重量%水スラリー、日本化学工業(株)製〕100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム〔東京化成工業(株)製〕0.1部、水 400部を混合したものに加え、混合攪拌した。次にこの混合液をキャビテーション利用の連続式分散機マイルダー〔(株)荏原製作所製〕にフィード量25l/min、回転数8000rpm の条件で2回通過させ、懸濁・分散せしめた。この懸濁液を脱水管、コンデンサー、攪拌装置を装着したセパラブルフラスコ中にて100rpm の攪拌速度で窒素雰囲気下、80℃で6時間重合反応を行わせた。重合反応後、濾過、塩酸洗浄、水洗浄を行い、40℃にて一晩、減圧乾燥させてトナーを得た。得られたトナーの粒径及び粒径分布をコールターカウンター〔日科機(株)製、TA-II型、アパーチャー径100μm〕で測定したところ、重量平均粒径が11.0μm、粒径の個数分布の標準偏差は2.6μmであった。得られたトナーを透過型電子顕微鏡にて観察したところ、図1の様に樹脂様物質1が重合性単量体重合物2の周囲に形成された、きれいなコア・シェル構造が見られた。」(【0022】)、 e.「実施例2 実施例1において、エチルセルロース(商品名 ハーキュレスN-4)8部を、ポリエステル樹脂〔花王(株)製、KTP2150 、Tg:80℃〕10部に変え、カーボンブラック等と一緒にアトライターにて5時間分散する以外は同様にしてトナーを得た。得られたトナーの重量平均粒径は10.5μm、粒径の個数分布の標準偏差は2.5μmであった。このトナーを透過型電子顕微鏡にて観察したところ、図1の様なきれいなコア・シェル構造が見られた。」(【0025】)、 が記載されている。 甲第2号証には、 f.「熱解離型カプセルトナーの軟化点が、80〜150℃である請求項5記載の画像形成方法。」(【請求項8】)、 g.「外殻が非晶質ポリエステルよりなるカプセルトナー中、熱溶融性芯材の主成分となる熱可塑性樹脂に由来するガラス転移点が、10〜50℃である請求項9記載の画像形成方法。」(【請求項13】)、 h.「また、このようなカプセルトナー中、熱溶融性芯材の主成分は熱可塑性樹脂よりなり、当該樹脂に由来するガラス転移点が10〜50℃のものが用いられる。また、該カプセルトナーの軟化点は80〜150℃のものが用いられる。」(【0018】)、 i.カプセルトナーの製造例2として、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物に、テレフタル酸、ドデセニル無水コハク酸、無水トリメリット酸を反応させてポリエステル樹脂を製造したこと、該ポリエステル樹脂を、スチレン、2-エチルヘキシルアクリレート、ジビニルベンゼン、カーボンブラックと混合、分散して重合性組成物とし、窒素下にて撹拌を続けながら、加温し、反応せしめたこと、冷却後、精製、濾過、減圧乾燥、分級工程を経て、平均粒径8μm の外殻が非晶質ポリエステルであるカプセルトナーを得たこと(【0055】〜【0058】)、 j.参考トナーの製造例として、ポリエステル樹脂(ビスフェノール型ポリエステル樹脂、軟化点135℃、Tg:65℃)100重量部にカーボンブラック(三菱化成(株)製、MA8)7重量部、ポリプロピレンワックス(三洋化成(株)製:ビスコール660P)3重量部、電荷調整剤(保土ヶ谷化学(株)製:アイゼンスピロンブラックTRH)2重量部を混合後加圧ニーダーにて混練し、冷却後、微粉砕機と分級機にて粒度分布が5〜25μmの範囲で平均粒径が10μmのトナーを製造した。得られたトナー1kgに5gのコロイダルシリカ(日本アエロジル社製:R972)を外添し、表面処理のされた参考トナーを得たこと(【0060】)、 が記載されている。 3-4 判断 申立の理由(1) について 甲第1号証に記載されたトナーのコア・シェル構造は、本件発明1で規定するカプセル構造に該当するものと考えられるから、本件発明1と、甲第1号証に記載された発明とを対比すると、両者は、 「少なくとも熱可塑性樹脂、着色剤及び荷電制御剤を含有する熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するよう設けた外殻とにより構成され、下記の物性を有することを特徴とする熱圧力定着用カプセルトナー。 (1)熱溶融性芯材の主成分となる該熱可塑性樹脂に由来するガラス転移点が10〜50℃である」である点で一致し、 甲第1号証には、 相違点1:荷電制御剤として、「T-77を含む荷電制御剤」を含有することが記載されていないこと、 相違点2:「トナー1粒子に対して微小圧縮試験機を用いて次の条件で荷重を負荷した場合、トナー粒子の粒径を5%圧縮するのに必要な最小荷重が5〜50mgfであり、かつ10%圧縮するのに必要な最小荷重が10〜100mgfである、 i 微小圧縮試験機:上部加圧圧子は、材質ダイヤモンドの50μm径の平面圧子、下部加圧圧子はSKS(合金工具鋼)平板 ii 温度25℃、湿度50% iii 荷重の負荷速度:9.1mgf/秒」とする点が記載されていないこと、および、 相違点3:「トナーを50℃で24時間放置した場合、粉体特性測定機を用いて得られる下記式(a)〜(c)の計算値の和として定義されるトナー凝集度の放置前後の差が10以下である、 篩い目250μmの篩いに残ったトナーの重量%×1 …(a) 篩い目149μmの篩いに残ったトナーの重量%×0.6…(b) 篩い目74μmの篩いに残ったトナーの重量%×0.2 …(c)」が記載されていないこと、 の3点において、本件発明1と相違する。 相違点について検討する 甲第1号証の実施例2には、荷電制御剤として、「保土谷化学(株)製、アイゼンスピロンブラックTRH」を使用することが記載されている(d)。しかしながら、甲第1号証には、T-77については、その名称すら記載されていない(c)。そして、意見書に添付された実験報告書によれば、T-77は、アイゼンスピロンブラックTRHと比較して、長期の保存安定性において各段の効果を奏することは明らかである。 また、該実験報告書によれば、アイゼンスピロンブラックTRHを使用した場合には、トナー1粒子当りの圧縮性試験においても、本件で規定する限定範囲を満たさないことが認められる。 したがって、本件発明1は、刊行物1に記載された発明ではない。 本件発明1の構成を全て引用して、さらに技術的限定を加える本件発明2〜5についても同様の理由で、甲第1号証に記載された発明とは認められない。 申立の理由(2) について 本件発明1と、甲第1号証に記載された発明とを対比すると、上記のとおりの相違点が認められる。 相違点について検討する。 甲第1号証の実施例2には、本件発明の実施例2〜4と類似の原料組成を有するカプセルトナーが記載され、荷電制御剤として、「保土谷化学(株)製、アイゼンスピロンブラックTRH」が使用されている。しかしながら、本件発明1のカプセルトナーは、訂正により、荷電制御剤としての「T-77」を必須とするものとなった。そして、上記のとおり、「アイゼンスピロンブラックTRH」に対する「T-77」の優位性は明らかであるから、甲第1号証に記載された「アイゼンスピロンブラックTRH」を、「T-77」に置き換える動機がない。本件発明1が、甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に成し得たものとは言えない。 次に、甲第2号証には、比較となる参考トナーには「電荷調整剤(保土ヶ谷化学(株)製:アイゼンスピロンブラックTRH)を混合」として(j)、荷電制御剤を添加することが記載されているから、荷電制御剤の使用について認識しているにもかかわらず、カプセルトナーに対しては荷電制御剤を添加していない(i)。しかも、荷電制御剤として「T-77」を使用することは全く記載されていないから、甲第2号証を参照しても、甲第1号証に記載されたカプセルトナーの「アイゼンスピロンブラックTRH」を「T-77」に置き換えることを想起させる動機が存在しない。 そして、本件発明は、その構成により、明細書記載の格段の効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は、甲第1号証または、甲第1号証および甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 本件発明1の構成を全て引用して、さらに技術的限定を加える本件発明2〜5についても同様の理由で、甲第1号証および甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 取消理由通知の理由(3) について 当審が、本件明細書について、記載不備を指摘した事項は、 ア)請求項1に記載された、「熱可塑性樹脂に由来するガラス転移点」の意味が明らかでない。 イ)荷重が0ならば、圧縮変位も0であるはずなのに、図1に示された圧縮変位〜荷重曲線は、グラフの原点から始まっていない点で測定条件が不明りょうである。 ウ)本件特許出願の審査段階における意見書(平成14年6月20日付)によれば、パラメータ(2)、(3)を実現するためには、特定の荷電制御剤の使用が必須と解されるのに、請求項1には、それが記載されていないから、特許請求の範囲には、明細書に記載された発明の構成が十分に記載されていない。 とするものである。 以下、検討する。 ア)について 本件明細書によれば、本件発明1のカプセルトナーは、芯材と外殻との2種類の樹脂を以て形成されるものである。「熱可塑性樹脂に由来するガラス転移点」とは、それら2種類の樹脂に基づく2つのガラス転移点において、芯材、すなわち、熱可塑性樹脂と荷電制御剤等の添加成分との混合物の発現するガラス転移点について規定するものであると認められる。 イ)について 意見書に添付された微小圧縮試験機の取扱説明書によれば、該試験機の測定曲線グラフは、下部加圧圧子の上に置いたトナー粒子に、上部加圧圧子が接触する以前から記録が開始され、上部加圧圧子がトナー粒子の上端に接触した瞬間から荷重の負荷が増加し始める、すなわち、グラフが立ち上がるものである。その際、記録開始から上部加圧圧子がトナー上端に接触するまでの上部加圧圧子の動程も変位として記録されることが理解される。そうしてみれば、荷重〜圧縮変位曲線が原点から開始されていないことは、単に測定装置の記録特性に基づくものであるから、測定方法が不明とするには当たらない。 ウ)について 上記の訂正によって、請求項1中に、荷電制御剤T-77を使用することが加入されたので、解消した。 したがって、本件特許明細書には、発明の実体を理解できない、あるいは、本件発明を当業者が実施できないとするほどの記載不備は存在しない。 4.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては本件請求項1〜5に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1〜5に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、本件請求項1〜5に係る発明の特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対して付与されたものと認めないから、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 熱圧力定着用カプセルトナー (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくとも熱可塑性樹脂、着色剤及びT-77を含む荷電制御剤を含有する熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するよう設けた外殻とにより構成され、下記の物性を有することを特徴とする熱圧力定着用カプセルトナー。 (1)熱溶融性芯材の主成分となる該熱可塑性樹脂に由来するガラス転移点が10〜50℃である、 (2)トナー1粒子に対して微小圧縮試験機を用いて次の条件で荷重を負荷した場合、トナー粒子の粒径を5%圧縮するのに必要な最小荷重が5〜50mgfであり、かつ10%圧縮するのに必要な最小荷重が10〜100mgfである、 ▲1▼ 微小圧縮試験機:上部加圧圧子は、材質ダイヤモンドの50μm径の平面圧子、下部加圧圧子はSKS(合金工具鋼)平板 ▲2▼ 温度25℃、湿度50% ▲3▼ 荷重の負荷速度:9.1mgf/秒 (3)トナーを50℃で24時間放置した場合、粉体特性測定機を用いて得られる下記式(a)〜(c)の計算値の和として定義されるトナー凝集度の放置前後の差が10以下である、 篩い目250μmの篩いに残ったトナーの重量%×1 …(a) 篩い目149μmの篩いに残ったトナーの重量%×0.6…(b) 篩い目74μmの篩いに残ったトナーの重量%×0.2 …(c) 【請求項2】 トナー凝集度の放置前後の差が8以下である請求項1記載の熱圧力定着用カプセルトナー。 【請求項3】 カプセルトナーの軟化点が70〜150℃である請求項1又は2記載の熱圧力定着用カプセルトナー。 【請求項4】 カプセルトナーが、非晶質ポリエステルを主成分とする親水性外殻材を芯材の表面に被覆してなるものである請求項1〜3いずれか記載の熱圧力定着用カプセルトナー。 【請求項5】 非晶質ポリエステルが、2価及び3価以上のアルコール単量体から選ばれる1種以上のアルコール単量体、および2価及び3価以上のカルボン酸単量体から選ばれる1種以上のカルボン酸単量体の縮重合によって得られるものであって、少なくとも3価以上の多価アルコール単量体および/または3価以上の多価カルボン酸単量体を含有する単量体を用いて縮重合によって得られるものである請求項4記載の熱圧力定着用カプセルトナー。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、電子写真法、静電印刷法、静電記録法などにおいて形成される静電潜像の現像に用いられる熱圧力定着用カプセルトナーに関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】 従来、電子写真法としては、米国特許第2297691号、同第2357809号明細書等に記載されている如く、光導電性絶縁層を一様に帯電させ、次いでその層を露光させ、その露光された部分上の電荷を消散させる事により電気的な潜像を形成し、更に該潜像にトナーと呼ばれる着色された電荷をもった微粉末を付着させることによって可視化させ(現像工程)、得られた可視像を転写紙等の転写材に転写させた後(転写工程)、加熱、圧力あるいはその他適当な定着法により永久定着させる(定着工程)工程からなる。 このようにトナーは単に現像工程のみならず、転写工程、定着工程の各工程において要求される機能を備えていなければならない。 【0003】 一般にトナーは現像装置内で機械的動作中に受ける剪断力、衝撃力による機械的な摩擦力を受け、数千枚乃至数万枚コピーする間に劣化する。このようなトナーの劣化を防ぐには機械的な摩擦力に耐えうる分子量の大きな強靱な樹脂を用いれば良いが、これらの樹脂は一般に軟化点が高く、非接触定着方式であるオーブン定着、赤外線によるラジアント定着では熱効率が悪いために定着が充分に行われず、また、接触定着方式で熱効率が良いため広く用いられている熱ローラー等による熱圧力定着方式においても、充分に定着させるため熱ローラーの温度を高くする必要が生じ、定着装置の劣化、紙のカール、消費エネルギーの増大等の弊害を招くばかりでなく、この様な樹脂を使用すると粉砕性が悪いため、トナーを製造する際、製造効率が著しく低下する。そのため結着樹脂の重合度、更には軟化点も余り高いものは用いる事ができない。 【0004】 一方、熱ローラー等による熱圧力定着方式は加熱ローラー表面と被定着シートのトナー像面が圧接触するため熱効率が著しく良く、低速から高速に至るまで広く使用されているが、加熱ローラー面とトナー像面が接触する際、トナーが加熱ローラー表面に付着して後続の転写紙等に転写される、いわゆるオフセット現象が生じ易い。この現象を防止するため加熱ローラー表面をフッ素系樹脂等の離型性の優れた材料で加工するが、更に加熱ローラー表面にシリコンオイル等の離型剤を塗布して対処している。しかしながら、シリコンオイル等を塗布する方式は、定着装置が大きくなりコスト高となるばかりでなく複雑になるためトラブルの原因にもなり易く好ましいものではない。 また、特公昭57-493号、特開昭50-44836号、特開昭57-37353号公報記載の如く、樹脂を非対称化、架橋化させる事によってオフセット現象を改善する方法があるが定着点は改善されていない。 【0005】 一般に最低定着温度は低温オフセットと高温オフセットの間にあるため、使用可能温度領域は、最低定着温度と高温オフセットとの間となり、最低定着温度をできるだけ下げる事、高温オフセット発生温度をできるだけ上げる事により使用定着温度を下げる事ができると共に使用可能温度領域を広げる事ができ、省エネルギー化、高速定着化、紙のカールを防ぐ事ができる。 そのため常に定着性、耐オフセット性の良いトナーが望まれている。 【0006】 従来より、トナーとして、芯材とこの芯材の表面を被覆するよう設けられた外殻とにより構成されたカプセルトナーを用いることにより、低温定着性を図る技術が提案されている。 その内、芯材として塑性変形し易い低融点ワックス等を用いた場合(米国特許第3,269,626号、特公昭46-15876号、特公昭44-9880号、特開昭48-75032号、特開昭48-75033号)、圧力のみで定着可能となるが、定着強度が劣り、限定された用途にのみ使用できる。 また、芯材として液状のものを使用する場合、殻材の強度が小さいと、圧力のみで定着はするものの、現像器内で割れて機内を汚す場合があり、殻材の強度が大きいとカプセルを破壊するのに大きな圧力が必要となり、光沢が強すぎる画像をもたらしてしまい、殻材の強度調整が難しかった。 【0007】 そこで、熱圧力定着用として、芯材として単独使用では高温時にブロッキングを起こしてしまうが、定着強度の向上をもたらすガラス転移点の低い樹脂を用い、外殻として耐ブロッキング性等を付与する目的で界面重合にて高融点の樹脂壁を形成させた熱ローラー定着用カプセルトナーが考案されている。しかし、特開昭61-56352号公報では壁材料が高融点となっており、更に強靱で割れにくくなっているため、芯材の性能を引き出しきれていなかった。また、同様の考え方で芯材の定着強度を改良した熱ローラー定着用カプセルトナーが提案されている(特開昭58-205162号公報、同58-205163号公報、同63-128357号公報、同63-128358号公報、同63-128359号公報、同63-128360号公報、同63-128361号公報、同63-128362号公報)が、製法がスプレードライ法の為、製造設備に負担がかかると共に、これらも殻材の工夫がなされていない為、芯材の性能を引き出しきれていない。 【0008】 更に、特開昭63-281168号公報に提案されているカプセルトナーでは、殻材がサーモトロピック液晶ポリエステルとの記載があり、特開平4-184358号公報に提案されているカプセルトナーでは、結晶性ポリエステルが用いられているが、いずれもポリエステルが非晶質でない為、樹脂がシャープに融解するものの融解に必要なエネルギー量が大きく、また芯材のTgも高いため定着性が悪かった。 【0009】 このように種々の材料および製造方法を用いたカプセルトナーが提案されているが、十分な低温定着性と耐オフセット性および耐ブロッキング性、現像機内での耐ストレス性について、すべてを満足するには至っておらず、特にこれらの性能を満たすようなカプセルトナーの物性に関して、いままで定量的な値が示されていなかった。 【0010】 本発明は以上の如き事情に基づいてなされたものであって、その目的は、熱ローラー等の熱圧力定着方式において、耐オフセット性に優れていて、低温で定着でき、また耐ブロッキング性に優れ、現像機内での耐ストレス性にも優れた熱圧力定着用カプセルトナーを提供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究の結果、カプセルトナー1粒子に荷重を負荷した際に圧縮される変位量と荷重との関係、および凝集度の値が、特定の条件を満たす時にのみ、十分な低温定着性を有し、かつ耐ブロッキング性に優れ、現像機内でのストレスにもつぶれることなく、地汚れのない鮮明な画像を多数回にわたり安定に形成することができる熱圧力定着用カプセルトナーを提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0012】 即ち、本発明の要旨は、 (1) 少なくとも熱可塑性樹脂、着色剤及びT-77を含む荷電制御剤を含有する熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するよう設けた外殻とにより構成され、下記の物性を有することを特徴とする熱圧力定着用カプセルトナー、 (1)熱溶融性芯材の主成分となる該熱可塑性樹脂に由来するガラス転移点が10〜50℃である、 (2)トナー1粒子に対して微小圧縮試験機を用いて次の条件で荷重を負荷した場合、トナー粒子の粒径を5%圧縮するのに必要な最小荷重が5〜50mgfであり、かつ10%圧縮するのに必要な最小荷重が10〜100mgfである、 ▲1▼ 微小圧縮試験機:上部加圧圧子は、材質ダイヤモンドの50μm径の平面圧子、下部加圧圧子はSKS(合金工具鋼)平板 ▲2▼ 温度25℃、湿度50% ▲3▼ 荷重の負荷速度:9.1mgf/秒 (3)トナーを50℃で24時間放置した場合、粉体特性測定機を用いて得られる下記式(a)〜(c)の計算値の和として定義されるトナー凝集度の放置前後の差が10以下である、 篩い目250μmの篩いに残ったトナーの重量%×1 …(a) 篩い目149μmの篩いに残ったトナーの重量%×0.6…(b) 篩い目74μmの篩いに残ったトナーの重量%×0.2 …(c) (2) トナー凝集度の放置前後の差が8以下である前記(1)記載の熱圧力定着用カプセルトナー。 (3) カプセルトナーの軟化点が70〜150℃である前記(1)又は(2)記載の熱圧力定着用カプセルトナー、 (4) カプセルトナーが、非晶質ポリエステルを主成分とする親水性外殻材を芯材の表面に被覆してなるものである前記(1)〜(3)いずれか記載の熱圧力定着用カプセルトナー、並びに (5) 非晶質ポリエステルが、2価及び3価以上のアルコール単量体から選ばれる1種以上のアルコール単量体、および2価及び3価以上のカルボン酸単量体から選ばれる1種以上のカルボン酸単量体の縮重合によって得られるものであって、少なくとも3価以上の多価アルコール単量体および/または3価以上の多価カルボン酸単量体を含有する単量体を用いて縮重合によって得られるものである前記(4)記載の熱圧力定着用カプセルトナー、に関する。 【0013】 本発明の熱圧力定着用カプセルトナーは、以下の物性を有するものである。まず、カプセルトナーの熱溶融性芯材の主成分となる熱可塑性樹脂に由来するガラス転移点は、10〜50℃、好ましくは12.5〜47.5℃、さらに好ましくは15〜45℃である。この範囲より低いと得られるトナーの保存安定性が悪化する傾向があり、この範囲を超えると得られるトナーの定着強度が悪化する傾向がある。 【0014】 また、本発明の熱圧力定着用カプセルトナーは、トナーへの荷重に対して以下のような圧縮変位の物性を有する。トナー1粒子に対する荷重と圧縮変位の関係は、例えば(株)島津製作所製の微小圧縮試験機MCTM-200を使用し、温度25℃湿度50%の条件下にて測定する。この試験機は、上部加圧圧子と下部加圧圧子を備え、上部加圧圧子には、材質ダイヤモンドの50μm径の平面圧子、下部加圧圧子にはSKS平板を用いる。また試験条件は、以下の条件にて行う。 1.試験の種類 : モード3(軟質材料用試験) 2.試料形状 : 粒子モード 3.負荷速度定数: 10(荷重の負荷速度9.1mgf/秒) 粒子径は、試験機付属の測長装置(光学顕微鏡にて観測し実測)にて、横方向、縦方向を平均値とすることにより求める。測定はトナー1粒子づつ行い、測定回数は10回以上行いこれを平均したデータを用いる。なお、得られた平均値は再現性が高く、各トナー固有の物性を示している。 【0015】 上記条件下にて得られた、代表的な荷重と圧縮変位の関係を図1に示す。まずグラフのA領域の立ち上がりの部分では、荷重の負荷とともに、ほぼ直線的にトナーが圧縮されていき、次にB領域として、ある荷重付近で変曲点をとり、圧縮変位が大きく変化するポイントが現れる。これは負荷荷重に耐えきれず、トナーが急激に大きく変形したことを意味している。最後にC領域としてもう一度変曲点を迎え負荷荷重を大きくしても変位は少なくなり、これはトナーが荷重により完全につぶれた状態を示している。従って、低温定着性を向上させるためには、より低荷重で変形し、カプセルがつぶれることが望まれるが、逆に現像機内でのストレスに耐えるためには、ある程度の荷重でもつぶれないトナーにする必要がある。 【0016】 そこでA領域での荷重と圧縮変位との関係と、低温定着性、現像機内での耐ストレス性について、さらに詳細に解析したところ、トナー粒子の粒径を5%圧縮するのに必要な最小荷重を5〜50mgf、好ましくは7.5〜45mgf、より好ましくは10〜40mgfの範囲とし、かつトナー粒子の粒径を10%圧縮するのに必要な最小荷重を10〜100mgf、好ましくは15〜90mgf、より好ましくは20〜80mgfの範囲とすることにより、上記課題についての特性を満足できることがわかった。 【0017】 トナー粒子の粒径を5%圧縮するのに必要な最小荷重または粒径を10%圧縮するのに必要な最小荷重が前記の範囲より小さい場合には、現像機内でのストレスにより、トナーの固着物の発生、現像スリーブへのトナーの融着、特に2成分現像の場合にはキャリアへのトナーの融着が発生し、地汚れ、トナー飛散等が発生する傾向がある。また粒径を5%圧縮するのに必要な最小荷重または粒径を10%圧縮するのに必要な最小荷重が前記の範囲より大きい場合には、十分な低温定着性が得られない傾向がある。 【0018】 また、本発明の熱圧力定着用カプセルトナーは、トナーの凝集度に関し次のような物性を有する。即ち、トナーを50℃で24時間放置した場合、粉体特性測定機を用いて得られる下記式(a)〜(c)の計算値の和として定義されるトナー凝集度の放置前後の差が10以下である。 篩い目250μmの篩いに残ったトナーの重量%×1 …(a) 篩い目149μmの篩いに残ったトナーの重量%×0.6…(b) 篩い目74μmの篩いに残ったトナーの重量%×0.2 …(c) 本発明において、凝集度の測定は例えばホソカワミクロン(株)製パウダテスタを用い、直径70mmの篩い目が250μmの篩いを上に、篩い目が149μmの篩いを中に、篩い目が74μmの篩いを下にセットし、1分間、振幅1mmの振動を台に与えて測定を行う。 【0019】 試料は、アルミ容器にトナー2gを秤量しドライオーブンにて50℃24時間放置させたトナーと放置前のトナーを使用する。50℃で24時間放置後と放置前の、凝集度の値の差が小さい程、耐ブロッキング性が高いことを意味しており、本発明の熱圧力定着用カプセルトナーにおいて、凝集度の値の差が10以下であれば、実使用上問題のないレベルである。しかしながら、トナーの高温での長期安定性を考慮すると、凝集度の値の差は8以下が好ましく、より好ましくは6以下である。 【0020】 本発明の熱圧力定着用カプセルトナーは、軟化点として70〜150℃、好ましくは75〜145℃、さらに好ましくは80〜140℃である。この範囲より低いとトナーの耐オフセット性が低下する傾向にあり、この範囲より高いとトナーの定着性が低下する傾向にある。 【0021】 本発明のカプセルトナーは、前記のような物性を有するものであれば、該カプセルトナーの芯材や殻材等に特に制限されるものではないが、以下に好適なものについて具体的に説明する。 【0022】 本発明の熱圧力定着用カプセルトナーは、非晶質ポリエステル等を主成分とする親水性外殻材を芯材の表面に被覆してなるものが好ましい。この非晶質ポリエステルは、通常、1種以上のアルコール単量体(2価,3価以上)および1種以上のカルボン酸単量体(2価,3価以上)の縮重合によって得られるものであって、少なくとも3価以上の多価アルコール単量体および/または3価以上の多価カルボン酸単量体を含有する単量体を用いて縮重合によって得られるものである。 【0023】 このような非晶質ポリエステルは、外殻の全重量中、通常50〜100重量%含有され、外殻に含有される他の成分としては、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリウレア等を0〜50重量%用いることができる。 【0024】 2価アルコール成分としては、例えばポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)-ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのプロピレン付加物、ビスフェノールAのエチレン付加物、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。 【0025】 3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。好ましくは、3価のアルコールが用いられる。 本発明においては、これらの2価のアルコール単量体及び3価以上の多価アルコール単量体から単独であるいは複数の単量体を用いることができる。 【0026】 また、酸成分としては、カルボン酸成分で2価の単量体として、例えばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n-ドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、n-オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、及びこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキルエステル等が挙げられる。 【0027】 3価以上のカルボン酸成分としては、例えば1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸及びこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。好ましくは、3価のカルボン酸もしくはその誘導体が用いられる。 本発明においては、これらの2価のカルボン酸単量体及び3価以上のカルボン酸単量体から単独であるいは複数の単量体を用いることができる。 【0028】 本発明における非晶質ポリエステルの製造方法は、特に限定されることなく、上記の単量体を用いてエステル化、エステル交換反応により製造することができる。ここで、非晶質とは明確な融点を有しない状態をいい、本発明においては、結晶質のポリエステルを用いると融解に必要なエネルギー量が大きく、トナー定着性が向上できず好ましくない。 【0029】 本発明に用いられる非晶質ポリエステルは、さらにガラス転移点が50〜80℃であることが好ましく、55〜75℃であることがより好ましい。50℃未満であるとトナーの保存安定性が悪くなり、80℃を越えるとトナーの定着性が悪くなる。なお本発明においてガラス転移点とは示差走査熱量計(セイコー電子工業社製)を用い、昇温速度10℃/minで測定した際に、ガラス転移点以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度をいう。 【0030】 また、該非晶質ポリエステルの酸価は、3〜50(KOHmg/g)であることが好ましく、より好ましくは10〜30(KOHmg/g)である。3(KOHmg/g)未満であると、殻材となる非晶質ポリエステルがin situ重合中に界面に出にくくなり、トナーの保存安定性が悪く、50(KOHmg/g)を越えるとポリエステルが水相へ移行しやすく製造安定性が悪くなる。ここで酸価の測定方法は、JIS K0070によるものである。 【0031】 本発明に好適に用いられる外殻が非晶質ポリエステルよりなるカプセルトナーは、in situ重合法などの公知の方法により製造される。このカプセルトナーは少なくとも熱可塑性樹脂、着色剤を含有する熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するよう設けた外殻とにより構成される。 【0032】 本発明におけるカプセルトナーの熱溶融性芯材の主成分として用いられる樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエステル・ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられ、好ましくは、ビニル系樹脂が挙げられる。このような熱溶融性芯材の主成分となる熱可塑性樹脂に由来するガラス転移点は、10〜50℃であることが好ましく、20〜45℃であることがより好ましい。ガラス転移点が10℃未満ではカプセルトナーの保存安定性が悪化し、50℃を越えるとカプセルトナーの定着強度が悪化し好ましくない。 【0033】 前記の熱可塑性樹脂のうち、ビニル樹脂を構成する単量体としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-クロルスチレン、ビニルナフタレン等のスチレン若しくはスチレン誘導体、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等の如きエチレン系不飽和モノオレフィン類、例えば塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル、カプロン酸ビニル等の如きビニルエステル類、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2-クロルエチル、アクリル酸フェニル、α-クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等の如きエチレン性モノカルボン酸及びそのエステル、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の如きエチレン性モノカルボン酸置換体、例えばマレイン酸ジメチル等の如きエチレン性ジカルボン酸及びその置換体、例えばビニルメチルケトン等の如きビニルケトン類、例えばビニルメチルエーテル等の如きビニルエーテル類、例えばビニリデンクロリド等の如きビニリデンハロゲン化物、例えばN-ビニルピロール、N-ビニルピロリドン等の如きN-ビニル化合物類が挙げられる。 【0034】 本発明に係る芯材用の樹脂を構成する成分の内、樹脂の主骨格形成にスチレンもしくはスチレン誘導体を50〜90重量%用い、樹脂の軟化温度等の熱特性の調節にエチレン性モノカルボン酸もしくはそのエステルを10〜50重量%用いることが、芯材用樹脂のガラス転移点を制御し易く好ましい。 【0035】 本発明に係る芯材用の樹脂を構成する単量体組成物中に架橋剤を添加する場合、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキシレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’-ビス(4-メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジブロムネオペンチルグリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリルなど、一般の架橋剤を適宜(必要に応じて2種以上組み合わせて)用いることができる。好ましくは、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジアクリレートが用いられる。 【0036】 これらの架橋剤の使用量は、重合性単量体を基準にして0.001〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%で使用するのが良い。これらの架橋剤の使用量が15重量%より多いとトナーが熱で溶融しにくくなり、熱定着性又は熱圧力定着性が劣ることとなる。また使用量が0.001重量%より少ないと、熱圧力定着において、トナーの一部が紙に完全に固着しないでローラー表面に付着し、次の紙に転移するというオフセット現象を防ぎにくくなる。 また、上記単量体を、不飽和ポリエステルの存在下に重合させてグラフトもしくは架橋重合体とし、芯材用の樹脂としても良い。 【0037】 また、芯材用の熱可塑性樹脂を製造する際使用される重合開始剤としては、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、その他のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤:ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、イソプロピルパーオキシカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドの如き過酸化物系重合開始剤が挙げられる。 【0038】 重合体の分子量及び分子量分布を調節する目的で、又は反応時間を調節する目的等で、二種類又はそれ以上の重合開始剤を混合して使用することもできる。重合開始剤の使用量は、重合単量体100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。 【0039】 本発明では、カプセルトナーの芯材中に着色剤が含有されるが、従来のトナー用着色剤に用いられている染料、顔料等のすべてを使用できる。 本発明に用いられる着色剤としては、サーマルブラック法、アセチレンブラック法、チャンネルブラック法、ランプブラック法等により製造される各種のカーボンブラック、カーボンブラックの表面を樹脂で被覆しているグラフト化カーボンブラック、ニグロシン染料、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35等及びそれらの混合物等を挙げる事ができ、通常、芯材中の樹脂100重量部に対して1〜15重量部程度が使用される。 【0040】 本発明において、更に芯材中に荷電制御剤を添加することもでき、添加する負帯電性荷電制御剤としては、特に限定されることなく、例えば含金属アゾ染料である「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」(以上、オリエント化学社製)、「T-77」、「アイゼンスピロンブラックTRH」(以上、保土谷化学工業社製)等、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、例えば「ボントロンE-81」、「ボントロンE-82」、「ボントロンE-85」(以上、オリエント化学社製)、4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(ヘキスト社製)、ニトロイミダゾール誘導体等を挙げることができる。好ましくは、T-77、アイゼンスピロンブラックTRHを用いることができる。 【0041】 正帯電性荷電制御剤としては、特に限定されることなく、例えばニグロシン染料として「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-11」(以上、オリエント化学社製)等、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリエント化学社製)、セチルトリメチルアンモニウムプロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(ヘキスト社製)等、ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリエント化学社製)、イミダゾール誘導体等を挙げることができる。好ましくは、ボントロンN-07、AFP-Bを用いることができる。 以上の荷電制御剤は芯材中に0.1〜8.0重量%、好ましくは0.2〜5.0重量%含有される。 【0042】 芯材中には必要に応じて、熱圧力定着における耐オフセット性を改善する目的で、例えばポリオレフィン、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、部分ケン化脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、パラフィンワックス、アミド系ワックス、多価アルコールエステル、シリコンワニス、脂肪族フロロカーボン、シリコンオイル等のオフセット防止剤を任意の一種以上含有せしめても良い。 【0043】 前記ポリオレフィンとしては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の樹脂であって、軟化点が80〜160℃のものである。前記脂肪酸金属塩としては、例えばマレイン酸と亜鉛、マグネシウム、カルシウム等との金属塩;ステアリン酸と亜鉛、カドミウム、バリウム、鉛、鉄、ニッケル、コバルト、銅、アルミニウム、マグネシウム等との金属塩;二塩基性ステアリン酸鉛;オレイン酸と亜鉛、マグネシウム、鉄、コバルト、銅、鉛、カルシウム等との金属塩;パルミチン酸とアルミニウム、カルシウム等との金属塩;カプリル酸塩;カプロン酸鉛;リノール酸と亜鉛、コバルト等との金属塩;リシノール酸カルシウム;リシノレイン酸と亜鉛、カドミウム等との金属塩及びこれらの混合物等が挙げられる。前記脂肪酸エステルとしては、例えばマレイン酸エチルエステル、マレイン酸ブチルエステル、ステアリン酸メチルエステル、ステアリン酸ブチルエステル、パルミチン酸セチルエステル、モンタン酸エチレングリコールエステル等が挙げられる。前記部分ケン化脂肪酸エステルとしては、例えばモンタン酸エステルのカルシウム部分ケン化物等が挙げられる。前記高級脂肪酸としては、例えばドデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セラコレイン酸等及びこれらの混合物を挙げることができる。前記高級アルコールとしては、例えばドデシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、べヘニルアルコール等を挙げることができる。前記パラフィンワックスとしては、例えば天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、塩素化炭化水素等が挙げられる。前記アミド系ワックスとしては、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリル酸アミド、ベヘニン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、N,N’-m-キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N’-m-キシリレンビス-12-ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-イソフタル酸ビスステアリルアミド、N,N’-イソフタル酸ビス-12-ヒドロキシステアリルアミド等が挙げられる。前記多価アルコールエステルとしては、例えばグリセリンステアレート、グリセリンリシノレート、グリセリンモノベヘネート、ソルビタンモノステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタントリオレート等が挙げられる。前記シリコンワニスとしては、例えばメチルシリコンワニス、フェニルシリコンワニス等が挙げられる。前記脂肪族フロロカーボンとしては、例えば四フッ化エチレン、六フッ化プロピレンの低重合化合物あるいは特開昭53-124428号公報記載の含フッ素界面活性剤等が挙げられる。前記のオフセット防止剤のうち、ポリオレフィンが好ましく用いられ、ポリプロピレンが特に好ましく用いられる。 これらのオフセット防止剤の芯材中の樹脂に対する割合は1〜20重量%が好ましい。 【0044】 本発明におけるカプセルトナーの製造方法を以下に説明する。本発明のトナーは、上記の圧縮変位及び凝集度の物性を有するトナーが得られる方法であるなら、特に限定されなく、公知の方法を用いて製造することができる。中でも、本発明のカプセルトナーは、製造設備や製造工程の簡素化という点からin situ重合法が好ましい。以下、in situ重合法による製造方法を例にとり説明する。 【0045】 この方法では、少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を含有する熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するよう設けた外殻とにより構成される本発明の熱圧力用カプセルトナーは次の(a)〜(c)の工程により製造できる。 (a)外殻構成樹脂を芯材樹脂の構成モノマー、重合開始剤、及び着色剤を含有してなる混合物中に溶解する工程と、 (b)工程(a)で得られた混合物を水系分散媒中に分散させ、外殻形成樹脂を芯材構成材料の液滴の表面に偏在させて、重合性組成物を得る工程と、 (c)工程(b)で得られた重合性組成物をin situ重合法により重合させ、その表面を外殻で被覆した芯材を形成する工程。 【0046】 即ち、この製造方法において、外殻形成は、芯材構成材料と非晶質ポリエステルよりなる外殻構成材料の混合液を分散媒中に分散させ、外殻構成材料が液滴の表面に偏在するという性質を利用して行うことができる。即ち、溶解度指数の差によって混合液の液滴中で芯材構成材料と外殻構成材料の分離が起こり、その状態で重合が進行してカプセル構造が形成される。この方法によると、外殻がほぼ均一な厚みを持った非晶質ポリエステルよりなる層として形成されるため、トナーの帯電特性が均質になるという特徴を有する。 【0047】 この方法による場合、分散質の凝集、合体を防ぐ為に、分散媒中に分散安定剤を含有させておく必要がある。 分散安定剤としては、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、アリル-アルキル-ポリエーテルスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、3,3-ジスルホンジフェニル尿素-4,4-ジアゾ-ビス-アミノ-β-ナフトール-6-スルホン酸ナトリウム、オルト-カルボキシベンゼン-アゾ-ジメチルアニリン、2,2,5,5-テトラメチル-トリフェニルメタン-4,4-ジアゾ-ビス-β-ナフトール-ジスルホン酸ナトリウム、コロイダルシリカ、アルミナ、リン酸三カルシウム、水酸化第二鉄、水酸化チタン、水酸化アルミニウム、その他を使用することができる。これらの分散安定剤は二種以上を併用してもよい。 【0048】 前記分散安定剤の分散媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトニトリル、アセトン、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらを単独あるいは混合して用いることも可能である。 【0049】 本発明における製造方法において、前記の非晶質ポリエステルの添加量は、芯材100重量部に対し、通常3〜50重量部、好ましくは5〜40重量部、より好ましくは6〜30重量部である。3重量部未満であると外殻の膜厚が薄くなりすぎて保存安定性が悪くなり、50重量部を越えると高粘度になり微粒化が困難となり製造安定性が悪くなる。 【0050】 本発明においては、前記のようにして得られるカプセルトナーを前駆体粒子として更にseed重合を行った熱圧力定着用カプセルトナーを用いてもよい。従って、本発明においてカプセルトナーとは、前記のようなin situ重合法単独で得られるものの他、in situ重合とseed重合を組み合わせて得られるものをも含むものである。 【0051】 即ち、seed重合は前記のようにして得られるカプセルトナー(以下、前駆体粒子という場合がある)の水系懸濁液に少なくともビニル重合性単量体とビニル重合開始剤を添加して前駆体粒子中に吸収させた後、該前駆体粒子中の単量体成分を重合させるものである。例えば、前記のin situ重合法による前駆体粒子の製造後、懸濁状態のまま、直ちに少なくともビニル重合性単量体とビニル重合開始剤を添加して前駆体粒子中に吸収させ、該前駆体粒子中の単量体成分をseed重合させてもよい。こうすることにより製造工程をより簡略化できる。なお、前駆体粒子中に吸収させるビニル重合性単量体等は、予め水乳濁液として添加しても良い。 【0052】 添加する水乳濁液は、水にビニル重合性単量体とビニル重合開始剤を分散安定剤と共に乳化分散させたものであり、他に架橋剤、オフセット防止剤、荷電制御剤等を含有させることもできる。 【0053】 seed重合に用いるビニル重合性単量体としては、前記の前駆体粒子の製造時に用いられるものと同じものでもよい。また、ビニル重合開始剤、架橋剤、分散安定剤も、前記の前駆体粒子の製造時に用いられるものと同様のものを用いることができる。seed重合に用いる架橋剤の使用量としては、ビニル重合性単量体を基準にして0.001〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%で使用するのが良い。これらの架橋剤の使用量が15重量%より多いと得られるトナーが熱で溶融しにくくなり、熱定着性又は熱圧力定着性が劣ることとなる。また使用量が0.001重量%より少ないと、熱圧力定着において、トナーの一部が紙に完全に固着しないでローラー表面に付着し、次の紙に転移するというオフセット現象を防ぎにくくなる。 【0054】 また、トナーの保存安定性の更なる向上のため、前記の非晶質ポリエステル等の親水性外殻材を水乳濁液に添加してもよい。そのときの添加量としては芯材100重量部に対し、通常1〜20重量部、好ましくは3〜15重量部である。ここで、親水性外殻材としては非晶質ポリエステルの他に、例えばカルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、アンモニウムイオン等の親水基官能基を有するビニル樹脂、非晶質ポリエステルアミド、非晶質ポリアミド、エポキシ樹脂等が挙げられる。このような水乳濁液は、超音波発振機等により均一に分散させて調製することができる。 【0055】 また、seed重合で用いる非晶質ポリエステルの酸価は、1段目反応の場合と同様に3〜50(KOHmg/g)であることが好ましく、より好ましくは10〜30(KOHmg/g)である。3(KOHmg/g)未満であると、殻材となる非晶質ポリエステルがseed重合中に界面に出にくくなり、得られるトナーの保存安定性が悪く、50(KOHmg/g)を越えるとポリエステルが水相へ移行しやすく製造安定性が悪くなる。ここで酸価の測定方法は、JIS K0070によるものである。 【0056】 水乳濁液の添加量は、ビニル重合性単量体の使用量が、前駆体粒子100重量部に対し10〜200重量部となるように調整する。10重量部未満では定着性改良に効果が無く、200重量部を越えると均一に単量体を前駆体粒子中に吸収させ難くなる。 【0057】 水乳濁液の添加により、該ビニル重合性単量体は前駆体粒子中に吸収されて前駆体粒子の膨潤が起こる。そして、この状態で前駆体粒子中の単量体成分が重合する。即ち、前駆体粒子を種粒子とするseed重合である。 【0058】 このようにして更にseed重合させると、in situ重合法単独で製造されたカプセルトナーと比較して、つぎの点がより改善されることになる。 即ち、in situ重合法で製造したカプセルトナーは、低温定着性と保存安定性の点で従来のものより優れるが、seed重合法を更に行うことにより、界面科学的により均一な外殻が形成され、更なる保存安定性が優れるものとなる。また、芯材の重合性単量体を2段(in situ重合反応およびseed重合反応)に分けて重合させることができるため、さらに、架橋剤を適宜使用することにより、芯材中の熱可塑性樹脂の分子量制御が容易になり、低温定着性と耐オフセット性をより良好にすることができる。特に高速での定着のみならず低速での定着にも適したトナーを提供することができる。 【0059】 また、帯電制御を目的として本発明におけるカプセルトナーの外殻材料中には先に例示した如き荷電制御剤を適量添加してもよいし、また、この荷電制御剤をトナーと混合して用いることもできるが、外殻自身で帯電性を制御しているため、それらを添加する場合でも添加量は少なくてすむ。 【0060】 なお、本発明におけるカプセルトナーの粒径は別段制約を受けるものではないが、平均粒径は通常3〜30μmとされる。カプセルトナーの外殻の厚みは0.01〜1μmが好ましく、0.01μm未満では耐ブロッキング性が悪化し、1μmを超えると熱溶融性が悪化し好ましくない。 【0061】 本発明におけるカプセルトナーには、必要に応じて、流動性向上剤、クリーニング性向上剤などを用いることができる。流動性向上剤としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。特にシリカの微粉末が好ましい。 【0062】 なお、シリカの微粉末は、Si-O-Si結合を有する微粉末であり、乾式法及び湿式法で製造されたもののいずれであってもよい。また、無水二酸化ケイ素のほか、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸亜鉛などいずれであってもよいが、SiO2を85重量%以上含むものが好ましい。また、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコンオイル、側鎖にアミンを有するシリコンオイルなどにより表面処理されたシリカの微粉末などを用いることができる。 【0063】 クリーニング性向上剤としては、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の微粒子粉末などがある。 更に現像性を調整するための添加剤、例えばメタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸ブチルエステル等の重合物の微粒子粉末などを用いてもよい。 更に調色、抵抗調整などのために少量のカーボンブラックを用いてもよい。カーボンブラックとしては従来公知のもの、例えばファーネスブラック、チャネルブラック、アセチレンブラックなどの種々のものを用いることができる。 【0064】 本発明の熱圧力定着用カプセルトナーは、磁性体微粉末を含有するものであるときには単独で現像剤として用いられ、また磁性体微粉末を含有しないものであるときは、非磁性一成分系現像剤、またはキャリアと混合して二成分系の現像剤を調製して用いることができる。キャリアとしては、特に限定されないが、鉄粉、フェライト、ガラスビーズ等、又はそれらの樹脂被覆したもの、更にはマグネタイト微粉、フェライト微粉を樹脂中に練り込んだ樹脂キャリア等が用いられ、トナーのキャリアに対する混合比は0.5〜20重量%である。またキャリアの粒径としては、15〜500μmのものが用いられる。 【0065】 本発明の熱圧力定着用カプセルトナーは熱と圧力を併用して紙等の記録材に定着させることにより良好な定着強度を与えるが、熱圧力定着方法としては、熱と圧力が併用されておれば、公知の熱ローラー定着方式、又は例えば特開平2-190870号公報記載の如く、記録材上の未定着のトナー画像を加熱部と耐熱シートから構成された加熱手段により、該耐熱性シートを介して加熱溶融させ、定着せしめる定着方式、又は例えば特開平2-162356号公報記載の如く、固定支持された加熱体と、該加熱体に対向圧接し、且つフィルムを介して記録材を該加熱体に密着させる加圧部材とにより、該トナーの顕画像を記録材に加熱加圧定着する方式等の方法が本発明のカプセルトナーの定着に適している。 【0066】 【実施例】 以下、実施例、比較例および試験例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。 【0067】 樹脂製造例 ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物367.5g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物146.4g、テレフタル酸126.0g、ドデセニル無水コハク酸40.2g、無水トリメリット酸77.7gをガラス製2リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー、及び窒素導入管を取り付け、マントルヒーター中で、窒素気流下にて220℃にて反応せしめた。 【0068】 重合度は、ASTM E28-67に準拠した軟化点より追跡を行い、軟化点が110℃に達したとき、反応を終了した。得られた樹脂を樹脂Aとする。 また、得られた樹脂のガラス転移点を、示差走査熱量計(「DSC220型」、セイコー電子工業社製)で測定したところ、65℃であった。また、軟化点および酸価を測定し、それぞれ110℃および18KOHmg/gであった。なお、酸価はJIS K0070に準ずる方法により測定した。 【0069】 本発明において、軟化点とは高化式フローテスター(島津製作所製)を用い、1cm3の試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより20Kg/cm2の荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これによりフローテスターのプランジャー降下量(流れ値)-温度曲線を描きそのS字曲線の高さをhとするときh/2に対応する温度をいう。 【0070】 実施例1 スチレン65.0重量部、2-エチルヘキシルアクリレート35.0重量部、ジビニルベンゼン0.9重量部、カーボンブラック「#44」(三菱化成社製)7.0重量部、帯電制御剤「T-77」(保土谷化学工業社製)1.0重量部に、樹脂A20.0重量部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル3.5重量部を添加し、アトライター(「MA-01SC型」、三井三池化工機社製)に投入し、10℃にて5時間分散し、重合性組成物を得た。次いで、2リットルのガラス製セパラブルフラスコに予め調製したリン酸三カルシウム4重量%の水性コロイド溶液560gに前記重合性組成物240gを添加し、TKホモミキサー(「M型」、特殊機化工業社製)を用いて、15℃にて回転数12000rpmで5分間乳化分散させた。 【0071】 次に、4つ口のガラス製の蓋をし、還流冷却管、温度計、窒素導入管、ステンレススチール製攪拌棒を取り付け、電熱マントルヒーター中に設置した。窒素下にて攪拌を続けながら、85℃まで昇温し、10時間反応せしめた。冷却後、1N塩酸水溶液440mlにて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て、45℃にて12時間、20mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径8μmの外殻が非晶質ポリエステルであるカプセルトナーを得た。 【0072】 このカプセルトナー100重量部に、疎水性シリカ微粉末「アエロジルR-972」(日本アエロジル社製)0.4重量部を加えて混合し、本発明のカプセルトナーを得た。これをトナー1とする。芯材中の樹脂に由来するガラス転移点は28.5℃、また、トナー1の軟化点は118.3℃であった。 【0073】 実施例2 スチレン65.0重量部、2-エチルヘキシルアクリレート35.0重量部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル6.0重量部に、樹脂A15.0重量部、カーボンブラック「#44」(三菱化成社製)7.0重量部、帯電制御剤「T-77」1.0重量部を添加し、アトライター(「MA-01SC型」、三井三池化工機社製)に投入し、10℃にて5時間分散し、重合性組成物を得た。次いで、2リットルのガラス製セパラブルフラスコに予め調製したリン酸三カルシウム4重量%の水性コロイド溶液560gに対して前記の重合性組成物240gを添加し、TKホモミキサー(「M型」、特殊機化工業社製)を用いて室温にて、回転数10000rpmで2分間乳化分散させた。 【0074】 次に4つ口のガラス製の蓋をし、還流冷却管、温度計、窒素導入管、ステンレススチール製攪拌棒を取り付け、電熱マントルヒーター中に設置した。窒素下にて攪拌を続けながら、1段目の重合として85℃まで昇温し、10時間反応を行い、種粒子とした。これを室温まで冷却して、前駆体粒子を得た。 【0075】 次いで、該前駆体粒子の水系懸濁液中に、超音波発振機(US-150、(株)日本精機製作所)にて調製したスチレン13.0重量部、2-エチルヘキシルアクリレート7.0重量部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、ジビニルベンゼン0.22重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部、帯電制御剤「T-77」1.0重量部、水20重量部からなる水乳濁液を40.7重量部を滴下し、該前駆体粒子を膨潤させた。滴下後、直ちに光学顕微鏡にて観察を行ったところ、乳濁液滴は全く見られず膨潤が極めて短時間のうちに完了していることが確かめられた。そこで、窒素下にて攪拌を続けながら2段目の重合として85℃まで昇温し10時間反応せしめた。冷却後、10%塩酸水溶液にて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て風乾後、45℃にて12時間、20mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径8μmの外殻が非晶質ポリエステルであるカプセルトナーを得た。 【0076】 このカプセルトナー100重量部に、疎水性シリカ微粉末「アエロジルR-972」(日本アエロジル社製)0.4重量部を加えて混合し、本発明のカプセルトナーを得た。これをトナー2とする。芯材中の樹脂に由来するガラス転移点は25.4、また、トナー2の軟化点は105.6℃であった。 【0077】 実施例3 スチレン65.0重量部、2-エチルヘキシルアクリレート35.0重量部、2,2-アゾビスイソブチロニトリル6.0重量部、ジビニルベンゼン0.8重量部、帯電制御剤「T-77」1.0重量部に、樹脂A15.0重量部を添加し、樹脂Aを溶解させる。樹脂Aが溶解した後にグラフト化カーボンブラック「GPE-3」20.0重量部を添加し、マグネチックスターラーで1時間分散し、重合性組成物を得た。次いで2リットルのガラス製セパラブルフラスコにて予め調製したリン酸三カルシウム4重量%の水性コロイド溶液560gに対して前記の重合性組成物240gを添加し、TKホモミキサーを用いて乳化分散させた。 【0078】 次に4つ口のガラス製の蓋をし、還流冷却管、温度計、窒素導入管、ステンレススチール製攪拌棒を取り付け、電熱マントルヒーター中に設置した。窒素下にて攪拌を続けながら85℃まで昇温し、10時間の重合反応を行い種粒子とし室温まで冷却し、前駆体粒子を得た。 【0079】 次いで、該前駆体粒子の水系懸濁液中に、超音波発振機にて調製したスチレン26.0重量部、2-エチルヘキシルアクリレート14.0重量部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.6重量部、ジビニルベンゼン0.8重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.2重量部、帯電制御剤「T-77」1.0重量部、水80.0重量部からなるエマルション溶液122.6重量部を滴下し、窒素下にて攪拌を続けながら、2段目の重合として85℃まで昇温し10時間反応せしめた。冷却後10%塩酸水溶液にて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て風乾後、45℃にて12時間、20mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径8μmの外殻が非晶質ポリエステルであるカプセルトナーを得た。 【0080】 このカプセルトナー100重量部に疎水性シリカ微粉末「アエロジルR-972」0.4重量部を加えて混合し、本発明のカプセルトナーを得た。これをトナー3とする。芯材中の樹脂に由来するガラス転移点は31.6℃、またトナー3の軟化点は117.0℃であった。 【0081】 実施例4 スチレン65.0重量部、2-エチルヘキシルアクリレート35.0重量部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル6.0重量部、ジビニルベンゼン0.8重量部、帯電制御剤「T-77」1.0重量部に、樹脂A15.0重量部を添加し、樹脂Aを溶解させる。樹脂Aが溶解した後にグラフト化カーボンブラック「GPE-3」20重量部を添加し、マグネチックスターラーで1時間分散し、重合性組成物を得た。次いで2リットルのガラス製セパラブルフラスコにて予め調製したリン酸三カルシウム4重量%の水性コロイド溶液560gに対して前記の重合性組成物240gを添加し、TKホモミキサーを用いて乳化分散させた。 【0082】 次に4つ口のガラス製の蓋をし、還流冷却管、温度計、窒素導入管、ステンレススチール製攪拌棒を取り付け、電熱マントルヒーター中に設置し、窒素下にて攪拌を続けながら85℃まで昇温し、10時間の重合反応を行い種粒子とし室温まで冷却し、前駆体粒子を得た。 【0083】 次いで、該前駆体粒子の水系懸濁液中に、超音波発振機にて調製したスチレン26.0重量部、2-エチルヘキシルアクリレート14.0重量部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル2.4重量部、ジビニルベンゼン0.8重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.2重量部、帯電制御剤「T-77」1.0重量部、水80重量部からなるエマルション溶液123.4重量部を滴下し、窒素下にて攪拌を続けながら、2段目の重合として85℃まで昇温し10時間反応せしめた。冷却後10%塩酸水溶液にて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て風乾後、45℃にて12時間、20mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径8μmの外殻が非晶質ポリエステルであるカプセルトナーを得た。 【0084】 このカプセルトナー100重量部に疎水性シリカ微粉末「アエロジルR-972」0.4重量部を加えて混合し、本発明のカプセルトナーを得た。これをトナー4とする。芯材中の樹脂に由来するガラス転移点は32.0℃、またトナー4の軟化点は115.2℃であった。 【0085】 比較例1 スチレン70.0重量部、2-エチルヘキシルアクリレート30.0重量部、ジビニルベンゼン1.0重量部、カーボンブラック「#44」(三菱化成社製)10.0重量部、2,2-アゾビスイソブチロニトリル4.0重量部、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート「Millionate MT」(日本ポリウレタン工業社製)9.5重量部を添加し、アトライター(三井三池化工機社製)に投入し、10℃にて5時間分散し、重合性組成物を得た。これを容量2リットルのガラス製セパラブルフラスコにて予め調製したリン酸三カルシウム4重量%の水性コロイド溶液800g中に30重量%になる量だけ添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、5℃にて回転数10000rpmで2分間乳化分散させた。 【0086】 次に、4つ口のガラス製の蓋をし、還流冷却管、温度計、窒素導入管付滴下ロート、ステンレススチール製攪拌棒を取り付け、電熱マントルヒーター中に設置した。レゾルシン22.0g、マロン酸ジエチル3.6g、1,4-ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン0.5g、イオン交換水40gの混合溶液を調製し滴下ロートより、攪拌しながら、30分かけて滴下した。その後、窒素下にて攪拌を続けながら、80℃迄昇温し、10時間反応せしめた。冷却後、1N塩酸水溶液650mlにて分散剤を溶かし、濾過、水洗を経て、45℃にて12時間、20mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径9μmの外殻が熱解離性ウレタン結合を有する樹脂からなるカプセルトナーを得た。これを比較トナー1とする。芯材中の樹脂に由来するガラス転移点は30.2℃、また比較トナー1の軟化点は130.0℃であった。 【0087】 比較例2 スチレン69.0重量部、2-エチルヘキシルアクリレート31.0重量部、ジビニルベンゼン0.9重量部、カーボンブラック「#44」(三菱化成社製)7.0重量部に、樹脂A20.0重量部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル3.5重量部を添加し、アトライター(「MA-01SC型」、三井三池化工機社製)に投入し、10℃にて5時間分散し、重合性組成物を得た。次いで、2リットルのガラス製セパラブルフラスコに予め調製したリン酸三カルシウム4重量%の水性コロイド溶液560gに前記重合性組成物240gを添加し、TKホモミキサー(「M型」、特殊機化工業社製)を用いて、15℃にて回転数12000rpmで5分間乳化分散させた。 【0088】 次に、4つ口のガラス製の蓋をし、還流冷却管、温度計、窒素導入管、ステンレススチール製攪拌棒を取り付け、電熱マントルヒーター中に設置した。窒素下にて攪拌を続けながら、85℃まで昇温し、10時間反応せしめた。冷却後、10%塩酸水溶液にて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て、45℃にて12時間、20mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径8μmの外殻が非晶質ポリエステルであるカプセルトナーを得た。 【0089】 このカプセルトナー100重量部に、疎水性シリカ微粉末「アエロジルR-972」(日本アエロジル社製)0.4重量部を加えて混合し、カプセルトナーを得た。これを比較トナー2とする。芯材中の樹脂に由来するガラス転移点は30.6℃、また、比較トナー2の軟化点は125.5℃であった。 【0090】 比較例3 スチレン56.0重量部、2-エチルヘキシルアクリレート44.0重量部、ジビニルベンゼン0.9重量部、カーボンブラック「#44」(三菱化成社製)7.0重量部に、樹脂A20.0重量部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル3.5重量部を添加し、アトライター(「MA-01SC型」、三井池化工機社製)に投入し、10℃にて5時間分散し、重合性組成物を得た。次いで、2リットルのガラス製セパラブルフラスコに予め調製したリン酸三カルシウム4重量%の水性コロイド溶液560gに前記重合性組成物240gを添加し、TKホモミキサー(「M型」、特殊機化工業社製)を用いて、15℃にて回転数12000rpmで5分間乳化分散させた。 【0091】 次に4つ口のガラス製の蓋をし、還流冷却管、温度計、窒素導入管、ステンレススチール製攪拌棒を取り付け、電熱マントルヒーター中に設置した。窒素下にて攪拌を続けながら85℃まで昇温し、10時間反応せしめた。冷却後、10%塩酸水溶液にて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て、45℃にて12時間、20mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径8μmの外殻が非晶質ポリエステルであるカプセルトナーを得た。 【0092】 このカプセルトナー100重量部に、疎水性シリカ微粉末「アエロジルR-972」(日本アエロジル社製)0.4重量部を加えて混合し、カプセルトナーを得た。これを比較トナー3とする。芯材中の樹脂に由来するガラス転移点は20.4℃、また比較トナー3の軟化点は101.5℃であった。 【0093】 比較例4 スチレン69.0重量部、2-エチルヘキシルアクリレート31.0重量部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル6.0重量部に、樹脂A15.0重量部、カーボンブラック「#44」(三菱化成社製)7.0重量部を添加し、アトライター(「MA-01SC型」、三井三池化工機社製)に投入し、10℃にて5時間分散し、重合性組成物を得た。次いで、2リットルのガラス製セパラブルフラスコに予め調製したリン酸三カルシウム4重量%の水性コロイド溶液560gに対して前記の重合性組成物240gを添加し、TKホモミキサー(「M型」、特殊機化工業社製)を用いて室温にて、回転数10000rpmで2分間乳化分散させた。 【0094】 次に4つ口のガラス製の蓋をし、還流冷却管、温度計、窒素導入管、ステンレススチール製攪拌棒を取り付け、電熱マントルヒーター中に設置した。窒素下にて攪拌を続けながら、1段目の重合として85℃まで昇温し、10時間反応を行い、種粒子とした。これを室温まで冷却して、前駆体粒子を得た。 【0095】 次いで、該前駆体粒子の水系懸濁液中に、超音波発振機(US-150、(株)日本精機製作所)にて調製したスチレン13.0重量部、2-エチルヘキシルアクリレート7.0重量部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、ジビニルベンゼン0.22重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部、水20重量部からなる水乳濁液40.7重量部を滴下し、該前駆体粒子を膨潤させた。滴下後、直ちに光学顕微鏡にて観察を行ったところ、乳濁液滴は全く見られず膨潤が極めて短時間のうちに完了していることが確かめられた。そこで、窒素下にて攪拌を続けながら2段目の重合として85℃まで昇温し10時間反応せしめた。冷却後、10%塩酸水溶液にて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て風乾後、45℃にて12時間、20mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径8μmの外殻が非晶質ポリエステルであるカプセルトナーを得た。 【0096】 このカプセルトナー100重量部に、疎水性シリカ微粉末「アエロジルR-972」(日本アエロジル社製)0.4重量部を加えて混合し、カプセルトナーを得た。これを比較トナー4とする。芯材中の樹脂に由来するガラス転移点は27.4、また、比較トナー4の軟化点は108.2℃であった。 【0097】 試験例 以上の実施例及び比較例で得られたトナー各々6重量部と250メッシュから400メッシュの粒度を有するスチレン/メチルメタクリレート樹脂で被覆された球形フェライト粉94重量部とをポリ容器に入れ、回転数が150rpmで20分間容器ごとローラー上で回転混合し、現像剤を調製した。得られた現像剤について帯電量、耐刷性、定着性、圧縮変位、及び凝集度ついて下記に示す方法により評価した。尚、表1にこれらのトナーに関するガラス転移点、軟化点を示す。 【0098】 【表1】 【0099】 (1)帯電量については、次に述べるブローオフ式帯電量測定装置によって測定を行った。即ち、ファラデーケージとコンデンサー、エレクトロメーターを備えた比電荷測定装置を用い、まず、500メッシュ(キャリア粒子の通過しない大きさに適宜変更可能)のステンレスメッシュを備えた真鍮性の測定セルに、調製した現像剤をW(g)(0.15〜0.20g)入れた。次に吸引口から5秒間吸引した後、気圧レギュレーターが0.6kgf/cm2を示す圧力で5秒間ブローを行い、トナーのみをセルから除去した。 この時のブロー開始から2秒後の電位計の電圧をV(volt)とした。ここでコンデンサーの電気容量をC(μF)とすると、このトナーの比電荷Q/mは下式の如く求められる。 Q/m(μC/g)=C×V/m ここで、mはW(g)中の現像剤中に含まれるトナーの重量であるが、現像剤中の重量をT(g)、現像剤の重量をD(g)とした場合、試料のトナーの濃度はT/D×100(%)と表され、mは下式の如く求められる。 m(g)=W×(T/D) 【0100】 表2に、通常環境下で調製した現像剤の帯電量測定の結果を示す。 また耐刷性は、市販の電子写真複写機(トナー1、2および比較トナー2、3、4の場合、感光体はセレン-砒素、定着ローラーの回転速度は255mm/sec、トナー3、4の場合、感光体は同じくセレン-砒素、定着ローラーの回転速度は80mm/sec、比較トナー1の場合は有機感光体を用い、定着ローラーの回転速度は255mm/sec)で1万枚連続耐刷評価を行い、画質(地汚れ、黒ブツの発生)について評価し、これらを表2に結果を示す。 【0101】 【表2】 【0102】 (2)定着性については以下に述べる方法にて評価した。即ち、前述の調製済み現像剤を市販の電子写真複写機(トナー1、2および比較トナー2、3、4の場合、感光体はセレン-砒素、定着ローラーの回転速度は255mm/sec、トナー3、4の場合、感光体は同じくセレン-砒素、定着ローラーの回転速度は80mm/sec、比較トナー1の場合は有機感光体を用い、定着ローラーの回転速度は255mm/secとする。さらに、定着装置中の熱圧力温度を可変にし、オイル塗布装置を除去したもの)を用いて画像出しを行った。定着温度を70から220℃にコントロールし、画像の定着性、オフセット性を評価した。その結果を表3に示す。 【0103】 ここでの最低定着温度とは、底面が15mm×7.5mmの砂消しゴムに500gの荷重を乗せ、定着機を通して定着された画像の上を5往復こすり、こする前をマクベス社の反射濃度計にて光学反射密度を測定し、以下の定義による定着率が70%を越える際の定着ローラーの温度をいう。 定着率=(こすった後の像濃度/こする前の像濃度) 【0104】 耐オフセット性は、低温オフセット消滅温度及び高温オフセット発生温度を測定することにより評価した。即ち、ヒートローラ表面の温度を70〜240℃の範囲で5℃ずつ昇温してコピー試験を行ない、各温度でトナーのヒートローラ表面上への付着を肉眼により評価した。 【0105】 (3)圧縮変位については以下に述べる方法にて評価した。即ち、(株)島津製作所製の微小圧縮試験機MCTM-200を使用し、温度25℃湿度50%の条件下にて測定した。上部加圧圧子には、材質ダイヤモンドの50μm径の平面圧子、下部加圧圧子にはSKS平板を用いた。また試験条件は、以下の条件にて行った。 1.試験の種類 : モード3(軟質材料用試験) 2.試料形状 : 粒子モード 3.負荷速度定数: 10(荷重の負荷速度9.1mgf/秒) 粒子径は、試験機付属の測長装置(光学顕微鏡にて観測し実測)にて、横方向、縦方向を平均値とすることにより求めた。測定はトナー1粒子づつ行い、測定回数は10回以上行いこれを平均したデータを用いた。また、粒径の5%変位および10%変位丁度のデータがない場合には、その前後のデータの平均値を用いた。得られた結果を表3に示す。 【0106】 【表3】 【0107】 (4)凝集度については以下に述べる方法にて評価した。即ち、アルミ容器にトナー2gを秤量しドライオーブンにて50℃で24時間放置した。ホソカワミクロン(株)製パウダテスタを用い、篩い目が250μmの篩いを上に、篩い目が149μmの篩いを中に、篩い目が74μmの篩いを下にセットし、1分間、振幅1mmの振動を台に与えて放置前後の試料について測定を行った。得られる下記式(a)〜(c)の計算値の和を求めてトナー凝集度とし、放置前後の値の差を求めて評価を行なった。得られた結果を表4に示す。 篩い目250μmの篩いに残ったトナーの重量%×1 …(a) 篩い目149μmの篩いに残ったトナーの重量%×0.6…(b) 篩い目74μmの篩いに残ったトナーの重量%×0.2 …(c) 【0108】 また、長期保存安定性については以下に述べる方法にて評価した。即ち、アルミ容器に200gのトナーを秤量し、45℃のドライオーブンにて2週間、1か月、又は2か月放置した後のトナーを用いて耐刷性試験と同様にして印刷試験を行った。凝集度の具合により長期保存安定性を評価した。その結果も併せて表4に示す。尚、表4中、「不良」は凝集による黒点が発生したことを意味する。 【0109】 【表4】 【0110】 実施例1〜4においては、粒径の5%および10%変位するまでの荷重と、凝集度の値の差が適正な範囲にあるため、定着性、耐ブロッキング性にも優れ、1万枚耐刷後においても、現像機内でのストレスに起因する黒ブツの発生、地汚れもなく、良好な画像が得られた。一方、比較例1、2では、粒径の5%および10%圧縮されるまでの荷重が大きいために、現像機内でのストレスに起因する黒ブツの発生、地汚れはなかったが、実施例1〜4に比べて定着性が劣っていた。また、比較例3では、粒径の5%および10%圧縮されるまでの荷重が小さいために、定着性は良好であったが、2000枚にて画像上に、地汚れとトナーの固着物と思われる黒ブツが発生した。さらに、比較例4では、粒径の5%および10%変位するまでの荷重が適正な範囲にあるため、定着性に優れるが、凝集度の値の差が大きいため、長期保存安定性が劣っていた。これに対し、実施例1〜4のトナーは凝集度の値の差が小さく、長期安定性が特に優れていた。 【0111】 【発明の効果】 本発明の熱圧力定着用カプセルトナーによれば、熱ローラーなどの熱圧力定着方式において耐オフセット性が優れていて、低温で定着でき、また耐ブロッキング性が優れ、カブリのない鮮明な画像を多数回にわたり安定に形成することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 図1は、本発明のカプセルトナーの代表的な荷重と圧縮変位の関係を示すものである。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-09-07 |
出願番号 | 特願平7-77404 |
審決分類 |
P
1
651・
536-
YA
(G03G)
P 1 651・ 537- YA (G03G) P 1 651・ 113- YA (G03G) P 1 651・ 121- YA (G03G) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 福田 由紀 |
特許庁審判長 |
山口 由木 |
特許庁審判官 |
秋月 美紀子 伏見 隆夫 |
登録日 | 2003-01-24 |
登録番号 | 特許第3391931号(P3391931) |
権利者 | 花王株式会社 |
発明の名称 | 熱圧力定着用カプセルトナー |
代理人 | 細田 芳徳 |
代理人 | 細田 芳徳 |