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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61K
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
管理番号 1107938
異議申立番号 異議2003-73268  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2001-04-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-22 
確定日 2004-09-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3442698号「化粧料の製造方法」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3442698号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯

本件特許第3442698号の請求項1,2に係る発明は、平成11年10月8日に特許出願され、平成15年6月20日に特許権の設定の登録がされた後、その特許について、異議申立人 谷川睦子(以下、「申立人」という。)から特許異議の申立てがされ、当審による取消理由通知の意見書提出の指定期間内である平成16年8月9日に、明細書の訂正請求がされた。


2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容

訂正事項a
登録時の請求項1中の「せん断機構を有する乾式粉砕機」を、「、カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機」と訂正する。

訂正事項b
登録時の請求項2中の「せん断機構を有する乾式粉砕機」を、「カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機」と訂正する。

訂正事項c
登録時の明細書段落【0005】中の「せん断機構を有する乾式粉砕機」を、「、カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機」と訂正する。

訂正事項d
登録時の明細書段落【0006】中の「せん断機構を有する乾式粉砕機」を、「カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機」と訂正する。

訂正事項e
登録時の明細書段落【0008】中の「カッターミル、ターボミル、インペラーミルなどの乾式粉砕機」を「カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれる乾式粉砕機」と訂正する。

訂正事項f
登録時の明細書段落【0008】中の「また、ヘンシェルミキサーのような攪拌混合機を用いた場合でも、羽根をせん断力がかかるようにナイフ刃状に加工変更し、かつインバーター制御などにより高速回転型(好ましくは、3000min-1以上の回転数 )に変更することで本目的のせん断機構を有する乾式粉砕用途に改造することが可能である。」を、削除する。

(2)訂正の適否

A)訂正事項a,bは「せん断機構を有する乾式粉砕機」を、「カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
また、登録時の明細書段落【0008】中に「本発明で用いる粉砕機としては、カッターミル、ターボミル、インペラーミルなどの乾式粉砕機であって、かつせん断機構を持ち、好ましくは分級機構を有し、好ましくは回転粉砕機構部が高速回転する高速回転型の粉砕機があげられる。」との記載があり、当該訂正は願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内のものである。

B)訂正事項c〜fは訂正事項a,bにおける特許請求の範囲の訂正との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。

そして、上記訂正事項a〜fは、上述のとおり、いずれも願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の4第2項ただし書き並びに同法第120条の4第3項で準用する同法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


3.特許異議の申立てについての判断

(1)本件発明
上記2.に示したように本件訂正は認められるから、本件特許に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1,2に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

【請求項1】平均一次粒子径として1〜15μmの大きさを有するシリコーンエラストマー球状粉体の高次凝集物を、カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機を用いて微粉砕して得られた、凝集粒子径が1〜80μmの範囲にある微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体を、化粧料中に配合することを特徴とする化粧料の製造方法。

【請求項2】 平均一次粒子径として1〜15μmの大きさを有するシリコーンエラストマー球状粉体の高次凝集物および滑剤とを、シリコーンエラストマー球状粉体/滑剤=99/1〜25/75の質量比の混合比率で混合した混合物を、カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機を用いて微粉砕して得られた、シリコーンエラストマー球状粉体の凝集粒子径が1〜80μmの範囲にある微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体を、化粧料中に配合することを特徴とする化粧料の製造方法。


(2)申立ての理由の概要

A)申立人は、本件特許請求項1,2に係る発明は、甲第1号証または甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるので、特許法第113条第2号の規定に該当し取り消されるべきものである旨を主張している。

B)申立人は、本件特許請求項1,2に係る発明は、甲第1〜2号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号の規定に該当し取り消されるべきものである旨を主張している。

C)申立人は、本件特許の明細書の記載には「本件特許発明の「せん断機構を有する乾式粉砕機」とは何をさすのか、またどの範囲のものまで指すのかが不明確であり、特許請求の範囲と発明の詳細な説明との記載も整合がとれていないので、特許を受けようとする発明が明確でない」という不備があり、特許法第36条第6項第1,2号に規定する要件を満たしていないものであるから、本件特許は、特許法第113条第4号の規定に該当し取り消されるべきものである旨を主張している。


(3)申立人が提出した甲各号証記載の発明

A)甲第1号証(特開平10-130120号公報)には以下の事項が記載されている。

イ)「シリコーンエラストマー単体を連続押し出し混練装置、例えば、2軸で解砕用ブロックパターン装着可能な連続押し出し混練装置を使用し50℃の加熱条件で解砕したところ、シリコーンエラストマーのゴム状弾性を維持したまま、粉体の凝集を解除でき、感触に優れる改質シリコーンエラストマーが得られた。そして、これを化粧料に配合したところ、皺の隠蔽効果、感触改善効果、自然な仕上がり感および皮脂吸着効果に優れた化粧料が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、シリコーンエラストマーを、連続押し出し混練装置を用いて、連続的に押し出しと混練により解砕して得られる改質シリコーンエラストマーを配合した化粧料にある。」(段落【0006】)

ロ)「本発明で用いるシリコーンエラストマーとは、電子顕微鏡を用いた観察による平均一次粒子径が、好ましくは0.1〜20μmの範囲にある樹脂粉体であって、シリコーンの3次元架橋構造を有し、粉体としてエラストマーの性質を有するものであれば良い。これらシリコーンエラストマーの例としては、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のトレフィルE-シリーズ等が挙げられる。上記シリコーンエラストマーの中でも、特に、直径が12μm以上である粒子が少ないものが、肌へ塗布した時に上滑り感が少ないため好ましい。」(段落【0007】)

ハ)「解砕ブロックパターンを装着した連続押し出し混練装置の例としては、栗本鉄工所や日本製鋼所等が販売しているエクストルーダー(例えば、日本製鋼所社製のSUPERTEX30型ルーダー)等が挙げられる。」(段落【0008】)

ニ)「シリコーンエラストマー単体を連続押し出し混練装置にかけることが好ましいが、マイカ、セリサイト、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ポリメチルメタクリレート、ヒドロキシアパタイトのようなフィラーと混ぜたものを混練することも可能である。この場合、フィラーは前記同様、予め各種の表面処理をしてあってもなくても構わないが、シリコーンエラストマーとの相性から、特に、シリコーン系、シリコーン樹脂系、シリカ系、シラン系の表面処理がされていることが好ましい。上記フィラーを混ぜる場合の混合割合は、シリコーンエラストマーとの重量比(フイラー:シリコーンエラストマー)で、(0.1:99.9)〜(90:10)が好ましい。この範囲ならばシリコーンエラストマーの優れた感触、吸油性等の特徴が顕著に得られる。」(段落【0011】)

ホ)「製造例1(本発明の改質シリコーンエラストマー)
シリコーンエラストマーとして、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製の「トレフィルE-701」を使用し、連続押し出し混練装置として、日本製鋼所社製SUPERTEX30型のルーダーである、2軸の押し出しスクリューと解砕のブロックパターンを併用したルーダーを用い、全工程を50℃にコントロールして混練し解砕して、本発明に用いる改質シリコーンエラストマーを得た。」(段落【0027】)

へ)「製造例2(本発明の改質シリコーンエラストマー)
シリコーンエラストマーとして、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製の「トレフィルE-505C」を使用し、シリコーンエラストマー70重量部とシリコーン処理セリサイト30重量部を予めヘンシェルミキサーを用いて混合した粉体を、日本製鋼所社製SUPERTEX30型のルーダーを使用し、押し出しスクリューと解砕のブロックパターンを併用し、全工程を50℃にコントロールして混練し解砕して、本発明に用いる改質シリコーンエラストマーを得た。」(段落【0028】)

B)甲第2号証(特開平7-316014号公報)には以下の事項が記載されている。

イ)「シリコーンオイルを含むシリコーン粉粒状物を0.5〜30重量%含有し、(酸化チタンと酸化亜鉛の配合量の和)/(シリコーン粉粒状物の配合量)<2.5であることを特徴とするメイクアップ化粧料。」(請求項1)

ロ)「シリコーン粉粒状物は、シリコーンオイルを含有したオルガノポリシロキサン硬化物である。シリコーン粉粒状物を構成するシリコーンオイルは、とくに限定されるものではないが、常温において液体であり、25℃における粘度が10〜1000センチストークスのものが特に好ましい。オルガノポリシロキサン硬化物は、球状の一次粒子で凝集体を形成するものであれば特に限定されないが、ジメチルシリコーン架橋弾性物を球状に微粒子化したものが好ましい。これに適合するものとしては例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のトレフィルE-505C等が挙げられる。」(段落【0012】)

ハ)表2の実施例1〜3には、シリコーン粉粒状物を含有するパウダーファンデーションが記載されており、実施例3にはタルクやマイカが配合されることが記載されている。そして、実施例1〜3の調整方法として粉体成分をヘンシェルミキサーで混合することが記載されている。(段落【0024】〜【0026】)

ニ)「本願発明は、毛穴、粗いキメ、小皺等の肌の構造的欠点を見え難くする効果にすぐれたメイクアップ化粧料を提供する」(段落【0038】)


C)甲第3号証(「粉体技術ポケットブック」 林恒美編 工業調査会発行 平成8年11月20日発行 第52頁〜第55頁 第180頁)

イ)回転円盤形として図1.49ピンミルが記載されており、「衝撃、摩擦、せん断により微粉砕する。」と記載されている。(第52頁、第55頁)

ロ)図5.8のエクストルーダーは「せん断が作用し・・・・混練される。」と記載されている(第180頁)


D)参考資料1(「粉体工学用語辞典 第2版」 粉体工学会編 日刊工業新聞社発行 平成12年3月30日発行 第102頁 第150頁 第284頁 第329頁)

イ)「高速流動型混合機」の項に「混合容器底部に取り付けた羽根を高速回転させて、羽根の強力なせん(剪)断および衝撃作用により粉体を流体のように分散させて混合を行う形式の混合機」という記載がある。(第102頁)

ロ)「衝撃式粉砕機」の項に「その構造により、ハンマーミル型、ピンミル型、軸流型、アニュラー型などに分けられる。実際の粉砕機においては、衝撃力だけではなく、せん(剪)断や摩砕原理などが作用する」という記載がある。(第150頁)

ハ)「ピンミル」の項に「ピンによる衝撃、せん(剪)断による粉砕を行うものである。」という記載がある。(第284頁)

ニ)「ヘンシェルミキサー」の項に高速流動型混合機と同義である旨の記載がある。(第329頁)


(4)対比・判断

(4-1)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項について

(4-1-a)請求項1に係る発明について
本件明細書には、訂正された本件請求項1に係る発明において使用される、平均一次粒子径として1〜15μmの大きさを有するシリコーンエストラマー球状粉体の高次凝集物として、具体的には東レ・ダウコーニング・シリコーン社から発売されているトレフィルEシリーズの、トレフィルE-505C等が記載されており(段落【0007】)、甲第1号証においてもトレフィルE-505C等を用いることが記載されているから(上記3.(3)A)ロ)、ヘ)、)、甲第1号証のシリコーンエラストマーが、同じく、平均一次粒子径として1〜15μmの大きさを有するシリコーンエストラマー球状粉体の高次凝集物であることは明らかである。
そこで、訂正された本件請求項1に係る発明と、甲第1号証に記載されている発明を比較すると、両者は、「平均一次粒子径として1〜15μmの大きさを有するシリコーンエラストマー球状粉体の高次凝集物を、装置を用いて微粉砕して得られた、微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体を、化粧料中に配合することを特徴とする化粧料の製造方法。」点で一致する。
一方、ア)微粉砕するための装置が前者は、「カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機」であるのに対し後者が「連続押し出し混練装置」である点、及び、イ)微粉砕して得られた凝集粒子径が前者が「1〜80μm」であるのに対し後者にはその点について記載されていない点において相違している。
そこでこの相違点について検討する。
ア)について。
甲第2号証には、シリコーン粉粒状物を含む粉体成分をヘンシェルミキサーで混合することは記載されているが、カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機を用いて微粉砕することは記載も示唆もされていない。
甲第3号証には、エクストルーダーにはせん断力も作用することが記載されているのみであり、甲第4号証には、高速流動型混合機や衝撃式粉砕機にはせん断力も作用することが記載されているのみである。
そして、カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機と、連続押し出し混練装置は、粉砕機構が全く異なるものであり、また、一般にカッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機がシリコーンエラストマー球状粉体の高次凝集物の微粉砕のために用いられていたとする証拠もない。

また、甲第2号証を第1引用例として訂正された請求項1記載の発明と比較したとしても、上記した甲第1号証を第1引用例とした場合と同様に、甲第2号証には、カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機を用いることが記載されておらず、甲1,3,4号証にも記載されていない。

従って、相違点イ)について検討するまでもなく、訂正された本件請求項1に係る発明は、上記甲各号証に記載された発明ではなく、かつ、上記甲各号証に記載の発明から当業者が容易に発明することができたものでもない。

(4-1-b)請求項2に係る発明について
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に「滑剤」の構成を付加し、請求項1に係る発明を更に限定したものであるので、(4-1-a)において記載したものと同様の理由により、上記甲各号証に記載された発明ではなく、かつ、上記甲各号証に記載の発明から当業者が容易に発明することができたものでもない。

(4-2)特許法第36条第6項第1,2号について
訂正により、特許請求の範囲に記載の「せん断機構を有する乾式粉砕機」が、「カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機」となり、明細書中の記載もそれに整合するように訂正されたので、申立人が指摘する記載不備は解消した。


4.むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1,2に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1,2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論の通り決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
化粧料の製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 平均一次粒子径として1〜15μmの大きさを有するシリコーンエラストマー球状粉体の高次凝集物を、カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機を用いて微粉砕して得られた、凝集粒子径が1〜80μmの範囲にある微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体を、化粧料中に配合することを特徴とする化粧料の製造方法。
【請求項2】 平均一次粒子径として1〜15μmの大きさを有するシリコーンエラストマー球状粉体の高次凝集物および滑剤とを、シリコーンエラストマー球状粉体/滑剤=99/1〜25/75の質量比の混合比率で混合した混合物を、カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機を用いて微粉砕して得られた、シリコーンエラストマー球状粉体の凝集粒子径が1〜80μmの範囲にある微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体を、化粧料中に配合することを特徴とする化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、しわ隠し効果、化粧持ち、皮脂吸着性、油剤吸収保持性、感触に優れた化粧料の製造方法に関する。さらに詳しくは、平均一次粒子径として1〜15μmの大きさを有するシリコーンエラストマー球状粉体の高次凝集物(および滑剤の混合物)をせん断機構を有する乾式粉砕機を用いて微粉砕して得られた、シリコーンエラストマー球状粉体の凝集粒子径が1〜80μmの範囲にあることを特徴とする微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体を化粧料中に配合することで、しわ隠し効果、皮脂吸着性、油剤吸収保持性や感触に優れた化粧料を得る製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコーンエラストマー球状粉末は、古くは1970年頃に米国や欧州にて塗料向け素材として開発されたものである。その後化粧品分野では、特開昭61-194009号公報にあるように、昭和末期に応用が始められた歴史の長い原料である。しかし、この原料は歴史の割にはあまり汎用されていない。その理由としては、同粉末の化粧料への配合のしにくさが原因として挙げられる。そこで、我々は、シリコーンエラストマー球状粉体の化粧料への配合方法について検討を行ってきた。例えば、特開平7-2624号公報には、密閉多段式ズリせん断押し出し機を用いてシリコーンエラストマー球状粉体を化粧料に配合しやすいように改質する技術を開発し、また特開平9-30918号公報、特開平9-71509号公報には湿式粉砕装置を用いて同粉体を処理する方法を開発した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法の問題点としては、生産に手間がかかり、生産性が低いか、もしくは高コストとなることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明人らは、これらの問題点に鑑み、より生産性に富み、化粧料への配合が行いやすい改質方法の検討を行った。シリコーンエラストマー球状粉体は一般にぶどうの房状に高次の凝集構造をとっており、これが化粧料中でうまく分散されていないと、消しゴムを使用したときのカスに似たカス状の複合凝集体が化粧料使用時に発生したり、プレス状化粧料のパウダーファンデーションなどでは、金皿への打型時や打型後に表面が割れてしまうなどの問題が起こる。そこで、シリコーンエラストマー球状粉体を比較的低コストの乾式粉砕機を用いてせん断し、化粧料中での分散がうまくできるようにすることでこれらの問題に対応した。さらに、滑剤と組み合わせることで、一度せん断した粉末が再密着しないようにした。これらの対策により、より優れた化粧料の開発が可能となった。
【0005】
すなわち、第1の本発明は、平均一次粒子径として1〜15μmの大きさを有するシリコーンエラストマー球状粉体の高次凝集物を、カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機を用いて微粉砕して得られた、凝集粒子径が1〜80μmの範囲にある微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体を、化粧料中に配合することを特徴とする化粧料の製造方法にある。
【0006】
第2の本発明は、平均一次粒子径として1〜15μmの大きさを有するシリコーンエラストマー球状粉体の高次凝集物および滑剤とを、シリコーンエラストマー球状粉体/滑剤=99/1〜25/75の質量比の混合比率で混合した混合物を、カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれるせん断機構を有する乾式粉砕機を用いて微粉砕して得られた、シリコーンエラストマー球状粉体の凝集粒子径が1〜80μmの範囲にある微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体を、化粧料中に配合することを特徴とする化粧料の製造方法にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる平均一次粒子径が1〜15μmの大きさを有するシリコーンエラストマー球状粉体としては、東レ・ダウコーニング・シリコーン社から発売されているトレフィルEシリーズが挙げられる。具体的には、トレフィルE-505C、トレフィルE-506C、トレフィルE-507、トレフィルE-508などが挙げられ、その骨格中にジメチルポリシロキサンを含んでいてもいなくても構わない。これらの粉末は基本的に白金系触媒下にメチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端オレフィン変性シリコーンを反応させることにより得られる。これらの粉末は、改質処理を行わなければ、ゴム状の弾性に富むパウダーであり、電子顕微鏡で観察すると、球状の一次粒子が凝集してぶどうの房状に高次の凝集物となっている状態を観察することができる。この凝集粒子は巨大であり、数百μm〜数mmに達することも多い。この粉末は弾性に富むため、通常化粧品で用いられる乾式の衝撃式粉砕機(ピンミルやハンマーミルなど)では、衝撃力が吸収されてしまい、うまく粉砕することができない。粒子自体は大変柔らかいのでメッシュにて分級しようとすると、静電気が発生し、粒子が飛び回るのと同時に、粒子同士が合一して微粉体が得られない特徴がある。
【0008】
本発明で用いる粉砕機としては、カッターミル、ターボミル、インペラーミルから選ばれる乾式粉砕機であって、かつせん断機構を持ち、好ましくは分級機構を有し、好ましくは回転粉砕機構部が高速回転する高速回転型の粉砕機が挙げられる。例えば、カッターミルとしては、ディスクローターの回転数が700min-1以上の高速回転型が好ましい。尚、ターボミル、インペラーミルは書物により高速回転式衝撃粉砕機に分類される場合があるが、同装置は円周に多数のブレードをつけた複数のローターを有し、ケーシングにも多数の溝のついたライナーを有する機構となっており、ハンマーミルのような衝撃力を与えるというよりは、空気の渦流による衝撃せん断力による粉体機構を有する粉砕機である。尚、粉砕機は縦型でも横型でも構わない。
【0009】
本発明で言う微粉砕の程度としては、シリコーンエラストマー球状粉体の凝集粒子径が1〜80μmの範囲まで粉砕されていることが必要である。1μm未満では一次粒子の粉砕が伴い感触が悪化すること、80μmを超えると凝集物が巨大となるため、使用時にボソボソとしたとれ具合となったり、使用感触にざらつきが発生することがあるため好ましくない。本発明では、微粉砕の結果、シリコーンエラストマー球状粉体粒子の凝集が10個以下程度にまで減らしたものが好ましく、さらに好ましくは単粒子まで粉砕したものが好ましい。尚、ここで言う凝集粒子径の測定方法としては、微量の試料(微粉末)を電子顕微鏡の試料台に設置し、走査型電子顕微鏡による形状、またはX線マイクロアナライザーの珪素原子のマッピング図から、凝集した粒子の大きさを判断する方法や、配合製品を水中で粗分散(もしくは超音波分散)し、電子顕微鏡用試料台で下からすくいとり、X線マイクロアナライザーのマッピング分析をかけて凝集粒子の大きさを測定する方法などが挙げられる。
【0010】
本発明では、微粉砕する際にシリコーンエラストマー球状粉体と共に滑剤を使用することが好ましい。滑剤としては、シリコーンエラストマー球状粉体の粉砕時に粒子間の密着を妨げる機能があればよく、例えば板状粉末(タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、窒化ホウ素、板状硫酸バリウム、板状無水ケイ酸、板状酸化チタン、N-ラウロイル-L-リジン、金属石鹸顔料、雲母チタン等)、無水ケイ酸、ポリメチルシルセスキオキサン等のシリコーンパウダー、球状シリカビーズ等が挙げられるが、特にタルク、セリサイト、無水ケイ酸の効果が高いため好ましい。シリコーンエラストマー球状粉体と滑剤の混合比率としては、シリコーンエラストマー球状粉体/滑剤=99/1〜25/75の質量比である。
【0011】
本発明の微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体および滑剤は、後述の各種の表面処理が施してあつてもなくても構わない。
【0012】
本発明における微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体の化粧品への配合量は、全化粧料組成中に0.1〜50.0%(質量百分率、以下同様)、好ましくはシリコーンエラストマー純分換算として1.0〜15.0%である。配合量が少ない場合シリコーンエラストマー球状粉体による滑らかな感触やしわ隠し効果に好適な光学的特性等が得られず、配合量が多くなると油剤や皮脂の吸収性が向上するものの、パウダーファンデーション等のプレス状化粧料では打型成型性や形状の維持が著しく悪くなる。
【0013】
本発明の化粧料では、こうして得られた微粉砕シリコーンエラストマー球状粉体以外に、通常化粧料に用いられる油剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、フッ素化合物、樹脂、界面活性剤、粘剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤(有機系、無機系を含む。UV-A、Bのいずれに対応していても構わない)、保湿剤、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤、生理活性成分等の各種成分を適宜配合することが好ましい。
【0014】
粉体としては、例えば、赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号Alレーキ、黄色203号Baレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロンパウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、真球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状など)や大きさ、結晶型に特に制限はない。また、粉体の粒度分布は狭くても広くても構わない。
【0015】
これらの粉体は、表面処理が行われていてもいなくても構わない。表面処理としては従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等が挙げられる。この内、パーフルオロアルキルリン酸塩やパーフルオロアルキルシラン等のフッ素化合物による表面処理粉体は、耐皮脂性に優れるため好ましい。
【0016】
油剤としては、通常化粧料に用いられる揮発性および不揮発性の油剤および溶剤および樹脂が挙げられ、常温で液体、ペースト、固体であっても構わない。油剤の例としては、例えばセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル等のエステル類、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素、ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウ等のロウ、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等の油脂、エチレン・α-オレフィン・コオリゴマー等が挙げられる。
【0017】
また、別の形態の油剤の例としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アモジメチコーン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、フッ素変性シリコーン樹脂、シリコーンRTVゴム等のシリコーン化合物、パーフルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール等のフッ素化合物が挙げられる。部分フッ素化または完全フッ素置換油剤は、耐皮脂性が向上し、化粧料の持続性が向上するメリットがあり好ましい。
【0018】
溶媒の例としては、精製水、環状シリコーン、エタノール、軽質流動イソパラフィン、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N-メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。
【0019】
界面活性剤の例としては、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。より詳しくは脂肪酸石鹸、α-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、スルホコハク酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤、ラウリン酸アルカノールアミド、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーン等のノニオン性界面活性剤、カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等の両性界面活性剤が挙げられる。また、サポニン、糖系界面活性剤等の天然系界面活性剤を用いることもできる。界面活性剤は親水型であっても親油型であっても構わない。
【0020】
粘剤、樹脂の例としては、アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体(プラスサイズ、互応化学社製)、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28-1310、NSC社製)、酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28-2930、NSC社製)、メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES、ISP社製)、t-ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー、BASF社製)、ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP、BASF社製)、ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス、BASF社製)、アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド、BASF社製)、ビニルアセテート/ブチルマレアート/イソボルニルアクリラート共重合体(アドバンテージ、ISP社製)、カルボキシビニルポリマー(カーボポール、B.F.GOODRICH社製)、架橋型ポリアクリル酸(ペミュレン、BF GOODRICH社製)等のアニオン性高分子化合物や、ジアルキルアミノエチルメタクリエート重合体の酢酸両性化物(ユカフォーマー、三菱化学社製)、アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER、NSC社製)等の両性高分子化合物や、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物(GAFQUAT、ISP社製)、メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドン共重合体(ルビコート、BASF社製)等のカチオン性高分子化合物や、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK、BASF社製)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA、BASF社製)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマー937、ISP社製)、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクレレート共重合体(コポリマーVC713、ISP社製)等のノニオン性高分子化合物等がある。また、セルロースまたはその誘導体、ケラチン及びコラーゲンまたはその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、ガーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。
【0021】
生理活性成分とは、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、美白成分、抗炎症剤、老化防止剤、紫外線防御剤、スリミング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分、皮膚着色剤等が挙げられる。その中でも、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分が特に好ましい。本発明では、これらの生理活性成分を1種または2種以上を配合することが好ましい。
【0022】
これらの成分の例としては、例えばアシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0023】
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、アミノ酸、ザルコシン、N-メチル-L-セリン等のアミノ酸誘導体、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、ラフィノースなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質等の油性成分、ε-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β-グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン等の抗炎症剤、ビタミンA,B2,B6,C,D,E,パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロ酢酸、4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸等の細胞賦活剤、γ-オリザノール、ビタミンE誘導体等の血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤、アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、イオウ、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸、グルタチオン等の美白剤、セファランチン、カンゾウ抽出物、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、カンフル、サリチル酸、l-メントール、γ-アミノ酪酸等が挙げられる。この内、抗炎症作用、または保湿効果、または抗酸化作用をもった成分と組み合わせて配合することが特に好ましい。
【0024】
有機系紫外線吸収剤としては、例えばパラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、p-メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、パラアミノ安息香酸(以後、PABAと略す)、エチルジヒドロキシプロピルPABA、グリセリルPABA、サリチル酸ホモメンチル、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、オクチルジメチルPABA、サリチル酸オクチル、2-フェニル-ベンズイミダゾール-5-硫酸、サリチル酸トリエタノールアミン、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、2,4-ジヒドロキシベンゾフェニン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-N-オクトキシベンゾフェノン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、4-(3,4-ジメトキシフェニルメチレン)-2,5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、オクチルトリアゾンや、これらの高分子誘導体、シラン誘導体等が挙げられる。また、これらの有機系紫外線吸収剤の内、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンが特に好ましく用いられる。
【0025】
また、有機系紫外線吸収剤がポリマー粉末中に封止されたものを用いることも可能である。ポリマー粉末は中空であってもなくても良く、平均一次粒子径としては0.1〜50μmの範囲にあれば良く、粒度分布はブロードであってもシャープであっても構わない。ポリマーの種類としてはアクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン樹脂、ナイロン、アクリルアミド樹脂等が挙げられる。これらのポリマー粉末中に、粉末質量の0.1〜30%の範囲で有機系紫外線吸収剤を取り込ませた粉末が好ましく、特にUVA吸収剤である4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンを配合することが好ましい。
【0026】
紫外線防御成分は有機系、無機系に拘わらず、本発明の微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉末と共に使用することが好ましい。一般に紫外線防御成分は感触上にあまり好ましくない効果を与えるが、本発明の微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体と組み合わせることにより、より好ましい感触とすることが可能である。有機系紫外線吸収剤の配合量としては、化粧料の質量に対して0.1〜10%が好ましく、さらに好ましくは1〜10%である。
【0027】
本発明の化粧料としては、例えば乳液、クリーム、ローション、カラミンローション、サンスクリーン剤、サンタン剤、アフターシェーブローション、プレシェーブローション、パック料、クレンジング料、洗顔料、アクネ対策化粧料、エッセンス等の基礎化粧料、ファンデーション、白粉、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、チーク、口紅、ネイルカラー等のメイクアップ化粧料、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアカラー、ヘアトニック、セット剤、ボディパウダー、デオドラント、脱毛剤、石鹸、ボディシャンプー、入浴剤、ハンドソープ、香水等が挙げられるが、特にファンデーション、口紅に好適である。
【0028】
本発明の化粧料の剤型としては、二層状、油中水型エマルション、水中油型エマルション、ジェル状、スプレー、ムース状、油性、固型状、粉末状、顆粒状、シート状等の従来公知の剤型を使用することができる。
【0029】
【実施例】
以下、製造例、実施例および比較例によって本発明を詳細に説明する。また、実施例および比較例で得られた化粧料の各種特性に対する評価方法を以下に示す。
【0030】
官能特性評価
専門パネラー10名を用いて、試作品の官能特性を評価した。各官能特性に関して、優れている場合を+5点、劣っている場合を1点とし、その間を計5段階で評価し、全員の点数の合計を以て評価結果とした。従って、点数が高いほど、評価が高いことを示す。
【0031】
製造例1
シリコーンエラストマー球状粉体(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製トレフィルE-505C)75部、板状無水ケイ酸(洞海化学工業株式会社製サンラブリーC)25部を粗混合し、これを器内壁面に付着しないよう掻き落としを行ないながらカッターミル(回転数:11,000min-1)により30秒運転で2回処理し微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体を得た。微粉砕化物の凝集粒子径は走査型電子顕微鏡での観察より2〜60μmの範囲に分布していた。
【0032】
製造例2
シリコーンエラストマー球状粉体(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製トレフィルE-506C)50部、セリサイト50部を粗混合し、これを器内壁面に付着しないよう掻き落としを行ないながらカッターミル(回転数:11,000min-1)により30秒運転で2回処理し微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体を得た。微粉砕化物の凝集粒子径は走査型電子顕微鏡での観察より2〜40μmの範囲に分布していた。
【0033】
実施例1
製造例1で得られた微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体を用いて下記処方に示すパウダーファンデーションを調整した。


【0034】
(製 法)
成分(1)〜(8)を混合攪拌し、これに(9)〜(14)を均一に溶解混合したものを加え、均一に混合したものを粉砕処理し、金皿に打型成型した。
【0035】
比較例1
シリコーンエラストマー球状粉体(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製トレフィルE-505C)75部、板状無水ケイ酸(洞海化学工業株式会社製サンラブリーC)25部をヘンシェルミキサー中で回転数が1000min-1で1分間攪拌した混合粉体を得た。これを、実施例1処方中の成分(8)微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体の代わりに用い、パウダーファンデーションを得た。配合成分を変更した以外の操作は実施例1と同じに行った。
【0036】
比較例2
シリコーンエラストマー球状粉体(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製トレフィルE-505C)75部、板状無水ケイ酸(洞海化学工業株式会社製サンラブリーC)25部をヘンシェルミキサ一中で回転数が1000min-1で1分間攪拌し、次いでハンマーミルで処理して混合粉体を得た。これを、比較例1と同じように実施例1処方中の成分(8)微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体の代わりに用い、パウダーファンデーションを得た。配合成分を変更した以外の操作は実施例1と同じに行った。
【0037】
比較例3
シリコーンエラストマー球状粉体(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製トレフィルE-505C)75部、板状無水ケイ酸(洞海化学工業株式会社製サンラブリーC)25部をヘンシェルミキサー中で回転数が1000min-1で1分間攪拌し、次いでピンミルで処理して混合粉体を得た。これを、比較例1と同じように実施例1処方中の成分(8)微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体の代わりに用い、パウダーファンデーションを得た。配合成分を変更した以外の操作は実施例1と同じに行った。
【0038】
比較例4
シリコーンエラストマー球状粉体(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製トレフィルE-505C)75部、板状無水ケイ酸(洞海化学工業株式会社製サンラブリーC)25部を自動乳鉢で30分間処理し混合粉体を得た。これを、比較例1と同じように実施例1処方中の成分(8)微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体の代わりに用い、パウダーファンデーションを得た。配合成分を変更した以外の操作は実施例1と同じに行った。
【0039】
比較例5
シリコーンエラストマー球状粉体(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製トレフィルE-505C)75部、板状無水ケイ酸(洞海化学工業株式会社製サンラブリーC)25部をボールミルで30分間処理し混合粉体を得た。これを、比較例1と同じように実施例1処方中の成分(8)微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体の代わりに用い、パウダーファンデーションを得た。配合成分を変更した以外の操作は実施例1と同じに行った。
【0040】
実施例1および比較例1〜5について化粧料の外観状態(均一性)観察および官能特性評価試験を行った。そのパウダーファンデーション評価結果を示す。
【0041】
[パウダーファンデーション評価結果]


【0042】
上記の試験結果より、本発明の実施例は各比較例と比べていずれも各評価項目に優れていることが判った。
【0043】
実施例2 油性ファンデーション

【0044】
(製 法)
成分(1)〜(5)を加熱溶解し、均一に混合する。これに成分(6)〜(11)を攪拌混合したものを加え、ローラーミルにて均一になるよう混練したものを、金皿に充填成型した。
【0045】
実施例2の油性ファンデーションは、比較例として実施例2で微粉砕化シリコーンエラストマー球状粉体の代りにマイカを用いたものに対して、よりパウダリーなサッパリした感触を有していた。又、発汗や油剤のにじみ出しが少なく、良好な油剤の維持特性を有していた。
【0046】
実施例3 フェイスパウダー

【0047】
(製 法)
成分(1)〜(7)を混合攪拌し、これに成分(8)を加え混合後、ハンマーミルにて粉砕し、篩別後に容器に充填した。
【0048】
実施例3のフェイスパウダーは滑らかな感触を有し、又、肌に塗布した際の皮脂吸着性も良好だった。
【0049】
【発明の効果】
以上のことから、本発明の製造方法によって、しわ隠し効果、化粧持ち、皮脂吸着性、油剤吸収保持性、感触に優れた化粧料が得られることは明らかである。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-09-09 
出願番号 特願平11-287854
審決分類 P 1 651・ 113- YA (A61K)
P 1 651・ 534- YA (A61K)
P 1 651・ 121- YA (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 上條 のぶよ  
特許庁審判長 竹林 則幸
特許庁審判官 亀田 宏之
谷口 博
登録日 2003-06-20 
登録番号 特許第3442698号(P3442698)
権利者 株式会社カネボウ化粧品
発明の名称 化粧料の製造方法  

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