ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
---|---|
管理番号 | 1109454 |
審判番号 | 不服2003-12166 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-04-12 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-06-30 |
確定日 | 2005-01-06 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第234812号「タイミング発生回路、この回路を用いた固体撮像装置及びこの装置を搭載したビデオカメラ」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 4月12日出願公開、特開平 8- 98093〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本願は、平成6年9月29日の出願であって、平成15年6月3日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月30日に拒絶査定に対する審判請求が成されるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。 2.平成15年6月30日付の手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論]平成15年6月30日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正の内容 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「【請求項1】電子シャッタ機能を有する固体撮像素子を駆動するために、シャッタパルス及び電荷読出しパルスを含む各種のタイミングパルスを発生するタイミング発生回路であって、 基準周波数信号に基づいて水平同期パルス及び垂直同期パルスを生成し、外部トリガが入力されたタイミングでリセットされた水平同期パルスを発生するとともに、前記垂直同期パルスの発生を停止する同期信号発生回路と、 前記基準周波数信号、前記水平同期パルス及び前記垂直同期パルスに基づいて前記各種のタイミングパルスを生成するとともに、前記同期信号発生回路の外部トリガによる前記水平同期パルスのリセットと同一タイミングで前記シャッタパルスを発生して露光を開始するとともに、前記外部トリガの発生時点から前記リセットされた水平同期パルスに基づく電子シャッタで設定された露光期間が経過した時点で前記電荷読出しパルスを発生するパルス発生回路と を備えたことを特徴とするタイミング発生回路。」 と補正された(アンダーライン部は補正箇所)。 上記手続補正は、補正前の「基準周波数信号に基づいて水平同期パルス及び垂直同期パルスを生成するとともに、外部トリガが入力されたタイミングで前記水平同期パルスをリセットする同期信号発生回路」を「基準周波数信号に基づいて水平同期パルス及び垂直同期パルスを生成し、外部トリガが入力されたタイミングでリセットされた水平同期パルスを発生するとともに、前記垂直同期パルスの発生を停止する同期信号発生回路」に変更することを含むものである。 (2)補正の適否 しかしながら、出願当初の明細書又は図面のいずれにも、補正後の構成、即ち「外部トリガが入力されたタイミングでリセットされた水平同期パルスを発生するとともに、前記垂直同期パルスの発生を停止する同期信号発生回路」は記載されていない。 この点につき、審判請求人は審判請求書の中で「この補正事項は、出願当初明細書段落0018において記載されている事項であります。」と主張しているが、出願当初明細書段落0018には、垂直同期パルスについての記載はない。また、出願当初明細書には、その段落0019に、垂直同期パルスについて「通常の連続動作モードからランダムトリガシャッタモードに移行すると、同期信号発生回路71は水平同期パルスHDのみを発生し、外部トリガTRIGが入力されるまで垂直同期パルスVDの発生を停止する。」との記載があるが、この記載は、外部トリガが入力されるまで垂直同期パルスの発生を停止するものと解される。 そうすると、「外部トリガが入力されたタイミングでリセットされた水平同期パルスを発生するとともに、前記垂直同期パルスの発生を停止する同期信号発生回路」は、出願当初明細書には記載されておらず、かつ、自明なことでもない。 したがって、上記補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものではない。 (3)むすび 以上のとおり、上記補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものではないので、特許法第17条の2第2項で準用する同法第17条第2項の規定に適合しないから、特許法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成15年6月30日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成15年5月2日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。 「【請求項1】電子シャッタ機能を有する固体撮像素子を駆動するために、シャッタパルス及び電荷読出しパルスを含む各種のタイミングパルスを発生するタイミング発生回路であって、 基準周波数信号に基づいて水平同期パルス及び垂直同期パルスを生成するとともに、外部トリガが入力されたタイミングで前記水平同期パルスをリセットする同期信号発生回路と、 前記基準周波数信号、前記水平同期パルス及び前記垂直同期パルスに基づいて前記各種のタイミングパルスを生成するとともに、前記同期信号発生回路の外部トリガによる前記水平同期パルスのリセットタイミングで前記シャッタパルスを発生し、かつその発生時点から前記水平同期パルスに基づく電子シャッタで設定された露光期間が経過した時点で前記電荷読出しパルスを発生するパルス発生回路とを備えたことを特徴とするタイミング発生回路。」 (1)引用例 原査定の拒絶理由に引用された特開平6-14253号公報(平成6年1月21日公開、以下「引用例」という。)には、次のことが記載されている。 (a)本発明は、外部トリガー信号を入力することによって電荷の排出及び蓄積をする外部トリガー機能付きCCDテレビカメラに関する(第2頁1欄の段落0001)。 (b)従来の外部トリガー機能付きCCDテレビカメラとしては、図3に示すようなものがある。図3において、CCD撮像素子1は、光信号を電気信号に変換して映像信号処理回路2に出力する。映像信号処理回路2は、入力した信号に対してサンプルホールド,クランプ,増幅,リセットノイズ除去及びγ処理等の映像信号処理をし、更に同期信号発生回路3の出力である同期信号を付加してテレビジョン信号として出力する。駆動回路4は、リセット信号,水平転送信号及び垂直転送信号等の転送信号をCCD撮像素子1に出力する。また、駆動回路4は、CCD撮像素子1の画素上に蓄積された信号電荷を垂直転送レジスタに移すための電荷読み出し信号を垂直転送信号に重畳して出力する。電子シャッター回路5は、シャッター時間に相当する時間において電荷を画素上に蓄積させ、余分な電荷をCCD撮像素子1の外に排出する電荷掃き出し信号をCCD撮像素子1に出力する。転送信号及び電荷掃き出し信号等は、同期信号と位相を合わせる必要がある。このため、同期信号発生回路3の出力におけるHD信号及びVD信号等の同期信号は、駆動回路4及び電子シャッター回路5に入力される(第2頁1欄40行〜2欄10行目、図3)。 (c)図1は、本発明の実施例に係る外部トリガー機能付きCCDテレビカメラを示す回路図である。なお、図1において、図3に示す従来の外部トリガー機能付きCCDテレビカメラと同一の構成部には、同一符号を付してその詳しい説明を省略する。図1に示す本発明の実施例に係る外部トリガー機能付きCCDテレビカメラにおいて、図3に示す従来の外部トリガー機能付きCCDテレビカメラと異なる構成部分は、モード設定スイッチ6が削除されている部分である。なお、CCD撮像素子1は、インターライントランスファー型CCD撮像素子等である(第3頁4欄の段落0011、図1)。 (d)次に、上述の如く構成された本実施例に係る外部トリガー機能付きCCDテレビカメラの動作について説明する。図2は、図1に示す外部トリガー機能付きCCDテレビカメラにおける各部の動作を示すタイミングチャート図である。図2に示すトリガー信号aがロウのときには、1フィールド毎に1回、CCD撮像素子1において電荷の掃き出し,蓄積及び読み出しをする通常の電子シャッター動作をするので、この期間に、レンズの絞り,焦点調整及びカメラのゲイン設定等をすることができる。これらのカメラ側の準備が終了すると、トリガー信号aを外部にてハイに切り替える。本外部トリガー機能付きCCDテレビカメラがトリガー信号aがハイになったことを検出すると、電子シャッター回路3は、所定の時間毎に連続して電荷掃き出し信号bを出力して、CCD撮像素子1に電荷が蓄積されないようにする。また、駆動回路4は、垂直転送信号に重畳する電荷読み出し信号の出力を停止する。これらの電子シャッター回路5及び駆動回路4の動作により、CCD撮像素子1の電荷転送レジスタ上には電荷が存在しなくなり、画素上に蓄えられる電荷も所定の時間毎に排出されるトリガー信号待機状態が作り出される。このトリガー信号待機状態では、映像信号処理回路2からの出力、即ちカメラからの映像信号出力がない(第3頁4欄32行〜第4頁5欄4行、図1、2)。 (e)次に、トリガー信号aがロウになると、そのトリガー信号aの立ち下がりと同時に電子シャッター回路5は、電荷掃き出し信号を1発だけ出力し、これ以後は電荷掃き出し信号の出力を停止する。これらにより、CCD撮像素子1の画素上には、そのトリガー信号aの立ち下がりと同時に信号電荷が蓄積され始める。そして、予め設定しておいた蓄積時間、即ちシャッター時間eになると、駆動回路4から電荷読み出し信号cが出力され、CCD撮像素子1から信号電荷が出力される。このとき、トリガー信号aがロウとなっている期間に対して所定の基準期間を設定しておき、トリガー信号aがロウとなっている期間が、その基準期間よりも短い場合には引き続きトリガー動作となり、その基準期間以上の場合には通常動作状態に復帰する。同期信号発生回路3は、トリガー信号aを入力することによって同期信号をリセットし、CCD撮像素子1から出力される信号との同期をとる。CCD撮像素子1の出力は、映像信号処理回路2を経てテレビジョン信号dとして出力される(第4頁5欄段落0013、図1、2)。 (2)対比 本願発明と引用例に記載された発明(以下「引用発明」という。)とを対比すると次のことが認められる。 (イ)引用発明は、引用例の前記記載(a)、(b)によれば、外部トリガー信号を入力することによって電荷の排出及び蓄積をする外部トリガー機能付きCCDテレビカメラに関し、その駆動回路4は、水平転送信号、垂直転送信号等の転送信号をCCD撮像素子1に出力し、また、CCD撮像素子1の画素上に蓄積された信号電荷を垂直転送レジスタに移すための電荷読み出し信号(本願発明でいう電荷読出しパルス)を出力する。また、電子シャッター回路5は、シャッター時間に相当する時間において電荷を画素上に蓄積させ、余分な電荷をCCD撮像素子1の外に排出する電荷掃き出し信号(本願発明でいうシャッタパルス)をCCD撮像素子1に出力するのであるから、引用発明も、本願発明と同様に、電子シャッタ機能を有する固体撮像素子を駆動するために、シャッタパルス及び電荷読出しパルスを含む各種のタイミングパルスを発生するタイミング発生回路を対象とするものといえる。 (ロ)引用例の前記記載(b)、(e)によれば、引用発明の同期信号発生回路3はHD信号(本願発明でいう水平同期パルス)及びVD信号(本願発明でいう垂直同期パルス)等の同期信号を発生し出力するのであるから、何らかの基準周波数信号に基づいてHD信号及びVD信号を生成するものであることは明らかである。また、転送信号及び電荷掃き出し信号等は同期信号と位相を合わせる必要があり(前記記載(b))、さらに、トリガー信号aを入力することによって同期信号をリセットする(前記記載(e))のであるから、外部トリガが入力されたタイミングで水平同期パルスをリセットするものであることも明らかである。そうすると、引用発明は、本願発明と同様、基準周波数信号に基づいて水平同期パルス及び垂直同期パルスを生成するとともに、外部トリガが入力されたタイミングで前記水平同期パルスをリセットする同期信号発生回路を備えるものといえる。 (ハ)引用例の前記記載(b)、(d)、(e)によれば、引用発明の駆動回路4及び電子シャッター回路5は、同期信号発生回路3が出力するHD信号(本願発明でいう水平同期パルス)及びVD信号(本願発明でいう垂直同期パルス)等の同期信号が入力され、前記電荷読み出し信号(本願発明でいう電荷読出しパルス)、前記電荷掃き出し信号(本願発明でいうシャッタパルス)等を出力するのであるから、引用発明は、本願発明と同様、基準周波数信号、前記水平同期パルス及び前記垂直同期パルスに基づいて前記各種のタイミングパルスを生成するパルス発生回路を備えていることも明らかである。 (ニ)引用例の前記記載(e)によれば、引用発明の電子シャッター回路5は、トリガー信号aがロウになると、そのトリガー信号aの立ち下がりと同時に電荷掃き出し信号(本願発明でいうシャッタパルス)を1発出力し、CCD撮像素子1の画素上には、そのトリガー信号aの立ち下がりと同時に信号電荷が蓄積され始め、そして、予め設定しておいた蓄積時間(本願発明でいう露光期間)、即ちシャッター時間eになると駆動回路4から電荷読み出し信号c(本願発明でいう電荷読出しパルス)が出力され、CCD撮像素子1から信号電荷が出力される。また、転送信号及び電荷掃き出し信号(本願発明でいうシャッタパルス)等は同期信号と位相を合わせる必要があること(前記記載(b))、さらに、トリガー信号aを入力することによって同期信号をリセットする(前記記載(e))ことからすると、引用発明も、本願発明と同様、同期信号発生回路の外部トリガによる水平同期パルスのリセットタイミングでシャッタパルスを発生し、かつその発生時点から電子シャッタで設定された露光期間が経過した時点で電荷読出しパルスを発生するパルス発生回路を備えるものといえる。 (ホ)もっとも、本願発明では、上記電子シャッタで設定された露光期間が「前記水平同期パルスに基づく電子シャッタで設定された露光期間」であるのに対し、引用発明ではそのような点についての開示はない。 以上の対比結果によれば、本願発明と引用発明とは、 「電子シャッタ機能を有する固体撮像素子を駆動するために、シャッタパルス及び電荷読出しパルスを含む各種のタイミングパルスを発生するタイミング発生回路であって、 基準周波数信号に基づいて水平同期パルス及び垂直同期パルスを生成するとともに、外部トリガが入力されたタイミングで前記水平同期パルスをリセットする同期信号発生回路と、 前記基準周波数信号、前記水平同期パルス及び前記垂直同期パルスに基づいて前記各種のタイミングパルスを生成するとともに、前記同期信号発生回路の外部トリガによる前記水平同期パルスのリセットタイミングで前記シャッタパルスを発生し、かつその発生時点から電子シャッタで設定された露光期間が経過した時点で前記電荷読出しパルスを発生するパルス発生回路とを備えたことを特徴とするタイミング発生回路」である点で一致し、次の点で相違しているものと認められる。 [相違点] 上記電子シャッタで設定された露光期間が、本願発明では、「前記水平同期パルスに基づく」電子シャッタで設定された露光期間であるのに対し、引用発明では、前記水平同期パルスに基づくものではない点。 (3)判断 そこで以下、上記相違点について判断する。 電子シャッタ機能を有する固体撮像装置において、露光期間を水平同期パルスに基づく電子シャッタで設定された露光期間とすることは、例えば、特開平4-119776号公報等で開示されているように当業者に周知の事項であり、そうすると、引用発明において露光期間を水平同期パルスに基づく電子シャッタで設定された露光期間とすることは、当業者が格別の困難性なくなし得たことというべきであるから、上記相違点において本願発明が格別のものであるとすることはできない。 以上判断したとおり、本願発明の上記相違点に係る構成は、格別のものではなく、当業者が容易に想到し得たといえるものであり、また、本願発明の効果についてみても、格別顕著なものがあるとは認められない。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は他の請求項2、3に係る発明について特に検討するまでもなく拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-10-29 |
結審通知日 | 2004-11-09 |
審決日 | 2004-11-24 |
出願番号 | 特願平6-234812 |
審決分類 |
P
1
8・
561-
Z
(H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 菅原 道晴 |
特許庁審判長 |
藤内 光武 |
特許庁審判官 |
原 光明 橋爪 正樹 |
発明の名称 | タイミング発生回路、この回路を用いた固体撮像装置及びこの装置を搭載したビデオカメラ |
代理人 | 船橋 國則 |