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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B41J 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 B41J |
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管理番号 | 1109559 |
異議申立番号 | 異議2003-72052 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1993-12-21 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-08-11 |
確定日 | 2004-10-18 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3375985号「画像記録装置」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3375985号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3375985号の請求項1及び2に係る発明についての出願は、平成4年6月10日に特許出願され、平成14年11月29日にその特許権の設定の登録がなされ、その特許について、中石幸明より特許異議の申し立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年5月27日に訂正請求(後日取り下げ)がなされ、その後、再度の取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成16年9月15日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否 (1)訂正の内容 特許権者の求めている訂正の内容は、以下のとおりである(訂正箇所にアンダーラインを付した。)。 ア.訂正事項ア 特許請求の範囲の 「【請求項1】 記録紙を給紙する給紙手段と、 感光体上に光ビームを走査して潜像を形成し、該感光体上の潜像を現像して記録紙に転写し、該記録紙上のトナー像を定着させる画像記録手段と、 当該画像形成装置がスタンバイ状態にあるときに画像記録開始指示を受けた場合、その画像記録開始指示に基づいて前記画像記録手段における電子写真プロセスの準備動作を開始してから所定時間後に前記給紙手段による給紙を開始させる制御手段と、 前記画像記録手段の画像記録モードに応じて前記所定時間を可変制御する手段とを有することを特徴とする画像記録装置。 【請求項2】 前記画像形成モードは、形成すべき画像の記録密度に関するものであることを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。 【請求項3】 光ビームを走査する走査手段を有し、前記制御手段は、前記走査手段の起動開始から前記所定時間後に前記給紙手段による給紙を開始させることを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。 【請求項4】 感光体上に光ビームを走査して潜像を形成し、該感光体上の潜像を現像して記録紙に転写し、該記録紙上のトナー像を定着させる画像記録部を有する画像記録装置の制御方法であって、 当該画像形成装置がスタンバイ状態にあるときに画像記録開始指示を受けた場合、その画像記録開始指示に基づいて前記画像記録部における電子写真プロセスの準備動作を開始するステップと、 前記画像記録部における電子写真プロセスの準備動作を開始してから所定時間後に記録紙の給紙を開始させる給紙ステップを有し、 前記画像記録部の画像記録モードに応じて前記所定時間を可変制御するステップを設けたことを特徴とする画像記録装置の制御方法。」 を、 「【請求項1】 記録紙を給紙する給紙手段と、 スキャナモータを駆動することにより感光体上に光ビームを走査して潜像を形成し、該感光体上の潜像を現像して記録紙に転写し、該記録紙上のトナー像を定着させる画像記録手段と、 画像記録装置がスタンバイ状態にあるときに画像記録開始指示を受けた場合、その画像記録開始指示に基づいて前記画像記録手段における電子写真プロセスの準備動作を開始してから所定時間後に前記給紙手段による給紙を開始させる制御手段と、 前記画像記録装置の画像記録モードに応じて前記所定時間を可変制御する手段と有し、 前記可変制御する手段は、スキャナの立ち上り時間をA、スキャナレディ後に光ビームの光量調整に要する時間をB、前記感光体の電位の均一化を含む高圧制御に要する時間をC、給紙すべき記録紙の先端からレジストローラまでの距離を搬送スピードで割った時間をDと表記したとき、A+BがCより長い場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからA+B-Dの経過時に給紙が開始されるように、またA+BがC以下である場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからC-Dの経過時に給紙が開始されるように、前記所定時間を可変制御することを特徴とする画像記録装置。 【請求項2】 スキャナモータを駆動することにより感光体上に光ビームを走査して潜像を形成し、該感光体上の潜像を現像して記録紙に転写し、該記録紙上のトナー像を定着させる画像記録部を有する画像記録装置の制御方法であって、 画像記録装置がスタンバイ状態にあるときに画像記録開始指示を受けた場合、その画像記録開始指示に基づいて前記画像記録部における電子写真プロセスの準備動作を開始するステップと、 前記画像記録部における電子写真プロセスの準備動作を開始してから所定時間後に記録紙の給紙を開始させる給紙ステップを有し、 前記画像記録装置の画像記録モードに応じて前記所定時間を可変制御するステップを設け、 前記可変制御するステップでは、スキャナの立ち上り時間をA、スキャナレディ後に光ビームの光量調整に要する時間をB、前記感光体の電位の均一化を含む高圧制御に要する時間をC、給紙すべき記録紙の先端からレジストローラまでの距離を搬送スピードで割った時間をDと表記したとき、A+BがCより長い場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからA+B-Dの経過時に給紙が開始されるように、またA+BがC以下である場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからC-Dの経過時に給紙が開始されるように、前記所定時間を可変制御することを特徴とする画像記録装置の制御方法。」 と訂正する。 イ.訂正事項イ 段落【0005】を、 「【課題を解決するための手段】本発明の画像記録装置は、記録紙を給紙する給紙手段と、スキャナモータを駆動することにより感光体上に光ビームを走査して潜像を形成し、該感光体上の潜像を現像して記録紙に転写し、該記録紙上のトナー像を定着させる画像記録手段と、画像記録装置がスタンバイ状態にあるときに画像記録開始指示を受けた場合、その画像記録開始指示に基づいて前記画像記録手段における電子写真プロセスの準備動作を開始してから所定時間後に前記給紙手段による給紙を開始させる制御手段と、前記画像記録装置の画像記録モードに応じて前記所定時間を可変制御する手段と有し、前記可変制御する手段は、スキャナの立ち上り時間をA、スキャナレディ後に光ビームの光量調整に要する時間をB、前記感光体の電位の均一化を含む高圧制御に要する時間をC、給紙すべき記録紙の先端からレジストローラまでの距離を搬送スピードで割った時間をDと表記したとき、A+BがCより長い場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからA+B-Dの経過時に給紙が開始されるように、またA+BがC以下である場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからC-Dの経過時に給紙が開始されるように、前記所定時間を可変制御することを特徴とする。本発明の画像記録装置の制御方法は、スキャナモータを駆動することにより感光体上に光ビームを走査して潜像を形成し、該感光体上の潜像を現像して記録紙に転写し、該記録紙上のトナー像を定着させる画像記録部を有する画像記録装置の制御方法であって、画像記録装置がスタンバイ状態にあるときに画像記録開始指示を受けた場合、その画像記録開始指示に基づいて前記画像記録部における電子写真プロセスの準備動作を開始するステップと、前記画像記録部における電子写真プロセスの準備動作を開始してから所定時間後に記録紙の給紙を開始させる給紙ステップを有し、前記画像記録装置の画像記録モードに応じて前記所定時間を可変制御するステップを設け、前記可変制御するステップでは、スキャナの立ち上り時間をA、スキャナレディ後に光ビームの光量調整に要する時間をB、前記感光体の電位の均一化を含む高圧制御に要する時間をC、給紙すべき記録紙の先端からレジストローラまでの距離を搬送スピードで割った時間をDと表記したとき、A+BがCより長い場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからA+B-Dの経過時に給紙が開始されるように、またA+BがC以下である場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからC-Dの経過時に給紙が開始されるように、前記所定時間を可変制御することを特徴とする。」 と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正事項アに関して、願書に添付した明細書及び図面(以下、「特許明細書等」という。)には、「画像記録装置がスタンバイ状態の時に、外部装置2からPRNT信号10を受け取ってから、VSREQ信号11を返信するまでの間に、画像記録装置は、前述した様に、メインモータ4の立上げ、スキャナモータ6の立ち上げ、レーザ光量の調整、感光ドラム104の電位の均一化、転写ローラ105のクリーニング、カット紙110をレジストローラ103の位置まで搬送を行う。図3に上記動作のタイミングチャートを示した。図3(A)は低密度記録(例えば240dpi)の場合を示し、まずスキャナON信号17からスキャナレディ信号18が返送されるまでをタイムA1とする。タイムA1は低い走査線密度に対応する値である。スキャナレディ信号18が返送されてからレーザ光量の調整に要する時間をタイムBとする。感光ドラム104の電位の均一化及び転写ローラ105のクリーニングに要する時間をタイムCとする。給紙に要する時間をタイムDとする。タイムDは、カット紙110の先端からレジストローラ103までの距離を給紙ローラ8の搬送スピードで割った時間である。タイムB、タイムC、タイムDは一定時間となる。」(段落【0016】〜【0019】参照。)及び「スキャナONからスキャナがレディーになるのに要する時間は、一般的に走査線密度が高い程長い時間必要となる。走査線密度毎のスキャナONからスキャナレディになるのに要する最少時間を各走査線密度のタイムA値とする。図5のフローチャートを用いてさらに詳細に説明する。ステップ501にて外部装置2からPRNT信号10が送信されるのを監視する。CPU1はPRNT信号10を受信すると、ステップ502にて走査線密度を読み取る。走査線密度が240dpiの場合は、ステップ503にて、走査線密度が240dpiの時のスキャナ立ち上り時間(所定時間A11)をタイムAとする。走査線密度が240dpi以外の場合は、ステップ504にて300dpiかどうかチェックし、300dpiの場合はステップ505にて所定時間A12をタイムAとする。走査線密度が300dpiでない場合は400dpiとみなしステップ506にて所定時間A13をタイムAにセットする。ステップ507にて、タイムAとタイムB(レーザー光量調整に要する時間)をたしたものとタイムC(高圧制御に要する時間)を比較し、タイムA+タイムBがタイムC以下の場合はステップ508にて、後述のメインモータがレディとなってから給紙を開始するまでのタイマのタイマー値にタイムC-タイムD(給紙に要する時間)をセットする。タイムA+タイムBがタイムCより長い場合は、ステップ509にて、タイマー値にタイムA+タイムB-タイムDをセットする。」(段落【0026】〜【0031】参照)が、図示(図3,5)と共に記載されているから、上記訂正事項アは、特許明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものといえる。 そして、上記訂正事項アは、訂正目的からみて、以下の訂正事項を含んでいる。 訂正事項a 特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項2及び3を削除し、それに伴い元の請求項4を繰り上げて請求項2とする。 訂正事項b 特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項1の「画像記録手段」及び請求項4(新請求項2)の「画像記録部」が、スキャナモータを駆動することにより感光体上に光ビームを走査するものであると限定する。 訂正事項c 特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項1の「所定時間を可変制御する手段」及び請求項4(新請求項2)の「所定時間を可変制御するステップ」が、「スキャナの立ち上り時間をA、スキャナレディ後に光ビームの光量調整に要する時間をB、前記感光体の電位の均一化を含む高圧制御に要する時間をC、給紙すべき記録紙の先端からレジストローラまでの距離を搬送スピードで割った時間をDと表記したとき、A+BがCより長い場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからA+B-Dの経過時に給紙が開始されるように、またA+BがC以下である場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからC-Dの経過時に給紙が開始されるように、前記所定時間を可変制御する」ものであると限定する。 訂正事項d 誤記の訂正を目的として、請求項1及び請求項4(新請求項2)それぞれにおける「画像形成装置がスタンバイ状態」を「画像記録装置がスタンバイ状態」と訂正する。 訂正事項e 誤記の訂正を目的として、請求項1の「画像記録手段の記録モード」及び請求項4(新請求項2)の「画像記録部の記録モード」を、「画像記録装置の記録モード」と訂正する。 してみると、上記訂正事項アは、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的として、特許明細書等に記載されていた範囲内で、特許請求の範囲の請求項1及び請求項4(新請求項2)において、「画像記録手段」、「所定時間を可変制御する手段」、「画像記録部」及び「所定時間を可変制御するステップ」の各構成を限定すると共に特許請求の範囲における誤記を訂正したものである。 ゆえに、上記訂正事項アは、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものである。 また、上記訂正事項イは、上記訂正事項アに伴い、特許請求の範囲の記載との整合を図るための、発明の詳細な説明の記載を訂正したものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 さらに、上記訂正事項ア及びイは、いずれも、実質的に特許請求の範囲を拡張変更するものでない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申し立ての概要 申立人中石幸明は、証拠として、甲第1号証(特開平1-276167号公報)及び、甲第2号証(特開昭61-126573号公報)を提出し、本件請求項1乃至4に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨の主張(主張A)をすると共に、本件特許出願は、明細書の記載が不備で、特許法第36条第5項に規定する要件を満たしていない旨の主張(主張B)をしている。 4.判断 (1)主張Aについて ア.本件発明 本件請求項1及び2に係る発明(以下、「本件発明1及び2」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものである(上記、2.(1)ア.参照。)。 イ.甲各号証に記載された発明 申立人の提出した上記甲各号証には、本件発明1及び2に関連する事項として、以下のような事項が記載されている。 a.甲第1号証 a-1 「レ-ザビ-ムプリンタのポリゴンミラ-を回転させるモ-タ(以下スキヤナモ-タと称す)は、駆動開始後所定の回転数に達するまでに、約10数秒の時間を要している。しかも必要とする回転数が高くなればなる程、その回転数に達するまでの時間(立上り時間)が増加する傾向にある。」(1頁右下欄10〜16行) a-2 「感光ドラム1上には、入力情報に応じて結像走査されたレ-ザ光により、静電潜像が形成される。この潜像は、現像器9においてトナ-により顕画化された後、カセツト10,11のいずれかに収納されている記録材に転写される。これが定着器12を通過することにより、像は記録材に定着され不図示の排出部に排出される。」(2頁左下欄17行〜右下欄3行) a-3 「第5図は本実施例のプリンタにおいて、スキヤナモ-タ5(第2図102)が停止することなく連続回転するときの印刷タイミングを示すタイミングチヤ-トである。・・・プリント信号aが出力されると、・・・給紙信号b、又モ-タドライバ101へ・・・スキヤナモ-タON信号eを出力する(タイミングT1)。これにより、t秒後にスキヤナモ-タ5はレデイとなる。更に、これよりt1後に・・・ビデオ同期信号を出力することにより、・・・ビデオデ-タを受信して印刷が開始される。この時間t1は、レデイ動作後の例えばレ-ザ光調整のための待機時間であり、・・・ビデオ同期信号Cは記録紙がこのレジスタロ-ラに到達したことを制御部100が検知して・・・出力される。・・・スキヤナモ-タ5が所定の回転数になるまでの時間・・・t+t1秒を考慮して給紙信号bを出力するタイミングを変化させることにより、装置の記録動作開始を早くすることができる。第6図は不用の時はスキヤナモ-タ5を静止させる様に制御する場合の印刷タイミングを示すタイミングチヤ-トである。第5図と同様に、プリント信号aが・・・出力されると、・・・スキヤナモ-タON信号eをモ-タドライバ101に出力してスキヤナモ-タ5の回転を開始する。t2はスキヤナモ-タ5の静止状態から定速回転までの立上り時間を示し、・・・給紙信号bを出力するまでの時間Twは、t2-t=12-1.7=10.3秒となる。本実施例ではこの給紙信号bを給紙部110に出力してからビデオ同期信号Cをコントロ-ラ107へ出力するまでの時間t+t1は一定であるため、このTw(10.3秒)をスキヤナモ-タ5の駆動停止後の回転状態に対応させて変更することにより、スル-ブツトの向上を計るものである。」(3頁右上欄8行〜4頁左上欄3行) a-4 第5図及び6図から、スキャナモータONeが高レベルとなる時点からスキャナモータレディfが高レベルになる時点までの時間がt(第5図)からt2(第6図)に変わっても、給紙信号bが高レベルとなる時点から、スキャナモータレディfが高レベルとなる時点、ビデオ同期信号cが高レベルとなる時点、あるいは、ビデオデータの受信開始時点までの時間が一定となるように、給紙信号bが高レベルとなる時点を、Tw(第6図)だけ遅くすること、すなわち、給紙動作の開始タイミングをなるべく遅いタイミングにすることが看取できる。 b.甲第2号証 b-1 「継目で巡回的に結合された感光体と、該感光体を巡回的に走行させ、該感光体に画像光を露光して潜像を形成し、該潜像を顕像化して記録媒体に転写し、該画像光に応じた可視画像を該記録媒体に記録する記録手段とを有する画像記録装置において、該装置は、前記記録手段の転写を行なう位置まで前記記録媒体を給送する複数の記録媒体給送手段と、前記感光体における所定の位置を検出する位置検出手段と、前記複数の記録媒体給送手段を選択的に駆動して前記記録手段を制御し、これによって前記可視画像の記録を該記録手段に行なわせる制御手段とを有し、該制御手段は、前記選択された記録媒体給送手段に応じて、前記検出された所定の位置に対する潜像の形成範囲の位置を調整するように該選択された記録媒体給送手段を制御することを特徴とする画像記録装置。」(特許請求の範囲の請求項1) b-2 「本発明によればこのように、給紙搬送距離の長い用紙収容部に収容されている用紙や、用紙の走行方向の長さが短い用紙が選択されたときは、その給紙タイミングを調整して感光体における画像記録開始位置を送らせるようにしている。したがって、前の記録工程とこれに続く新たな記録工程との間のプリント要求受付可能な期間が長くなり、連続的に効率よく記録動作を行なうことができる。したがつて継目を有する感光体を使用した画像記録装置において、複数種類の記録媒体を使用可能でしかも高い効率で記録動作を行なうことができる。」(5頁左下欄下5行〜右下欄7行) ウ.対比・判断 本件発明1と上記甲各号証に記載された発明とを対比すると、 上記甲各号証のいずれにも、本件発明1の構成要件である、 「可変制御する手段は、スキャナの立ち上り時間をA、スキャナレディ後に光ビームの光量調整に要する時間をB、前記感光体の電位の均一化を含む高圧制御に要する時間をC、給紙すべき記録紙の先端からレジストローラまでの距離を搬送スピードで割った時間をDと表記したとき、A+BがCより長い場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからA+B-Dの経過時に給紙が開始されるように、またA+BがC以下である場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからC-Dの経過時に給紙が開始されるように、前記所定時間を可変制御する」点 について、記載も示唆もされておらず、また、該点は、当該技術分野において、周知のことでもない。 因みに、甲第1号証と甲第2号証には、記録紙を給紙する給紙手段と、スキャナモータを駆動することにより感光体上に光ビームを走査して潜像を形成し、該感光体上の潜像を現像して記録紙に転写し、該記録紙上のトナー像を定着させる画像記録手段と、画像記録装置がスタンバイ状態にあるときに画像記録開始指示を受けた場合、その画像記録開始指示に基づいて前記画像記録手段における電子写真プロセスの準備動作を開始してから所定時間後に前記給紙手段による給紙を開始させる制御手段と、前記所定時間を可変制御する手段とを有する画像記録装置が記載され、甲第1号証には、さらに、前記可変制御する手段は、給紙動作の開始タイミングをなるべく遅いタイミングにするように、前記所定時間を可変制御する画像記録装置が記載されているといえるものの、上記点については、甲第1号証及び甲第2号証のいずれにも記載も示唆もない。 したがって、本件発明1は、上記甲第1号証または甲第2号証に記載された発明と同一といえないばかりでなく、これらに記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。 次に、本件発明2と上記甲各号証に記載された発明とを対比すると、 上記甲各号証のいずれにも、本件発明2の構成要件である、 「可変制御するステップでは、スキャナの立ち上り時間をA、スキャナレディ後に光ビームの光量調整に要する時間をB、前記感光体の電位の均一化を含む高圧制御に要する時間をC、給紙すべき記録紙の先端からレジストローラまでの距離を搬送スピードで割った時間をDと表記したとき、A+BがCより長い場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからA+B-Dの経過時に給紙が開始されるように、またA+BがC以下である場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからC-Dの経過時に給紙が開始されるように、前記所定時間を可変制御する」点 について、記載も示唆もされておらず、また、該点は、当該技術分野において、周知のことでもない。 したがって、本件発明2も、上記甲第1号証または甲第2号証に記載された発明と同一といえないばかりでなく、これらに記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。 ゆえに、主張Aは採用できない。 (2)主張Bについて 申立人は、本件特許明細書が記載不備である理由として、以下の旨の主張をしている。 本件請求項1及び4にそれぞれにおける所定時間及びその可変制御手段の態様は、文脈上、それぞれ「準備動作」及び「画像記録モード」の各意味内容如何によって、大きくそれぞれの規定される意味内容が変わるものであるのに、「準備動作」及び「画像記録モード」の記載だけでは、その意味するものの範囲が明確でなく、結果として、上記所定時間及びその可変制御態様が発明の詳細な説明に記載したものでないものを含むこととなるから、特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものでなく、また、特許受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものでもない。 しかし、上記訂正で、所定時間及びその可変制御態様のそれぞれの意味内容は、「準備動作」及び「画像記録モード」のみによって規定されるのではなく、発明の詳細な説明に記載されていた、スキャナの立ち上り時間A、スキャナレディ後に光ビームの光量調整に要する時間B、前記感光体の電位の均一化を含む高圧制御に要する時間C、給紙すべき記録紙の先端からレジストローラまでの距離を搬送スピードで割った時間D及びその大小関係により規定されるようになり、明確になっている(上記、2.(1)ア.参照。)。 したがって、申立人が主張する本件特許明細書に関する上記記載不備は、解消されている。 ゆえに、主張Bも採用することができない。 5.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申し立ての理由及び証拠方法によっては、本件請求項1及び2に係る発明についての特許を取り消すことができない。 また、他に本件請求項1及び2に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、本件請求項1及び2に係る発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 画像記録装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 記録紙を給紙する給紙手段と、 スキャナモータを駆動することにより感光体上に光ビームを走査して潜像を形成し、該感光体上の潜像を現像して記録紙に転写し、該記録紙上のトナー像を定着させる画像記録手段と、 画像記録装置がスタンバイ状態にあるときに画像記録開始指示を受けた場合、その画像記録開始指示に基づいて前記画像記録手段における電子写真プロセスの準備動作を開始してから所定時間後に前記給紙手段による給紙を開始させる制御手段と、 前記画像記録装置の画像記録モードに応じて前記所定時間を可変制御する手段と有し、 前記可変制御する手段は、スキャナの立ち上り時間をA、スキャナレディ後に光ビームの光量調整に要する時間をB、前記感光体の電位の均一化を含む高圧制御に要する時間をC、給紙すべき記録紙の先端からレジストローラまでの距離を搬送スピードで割った時間をDと表記したとき、A+BがCより長い場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからA+B-Dの経過時に給紙が開始されるように、またA+BがC以下である場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからC-Dの経過時に給紙が開始されるように、前記所定時間を可変制御することを特徴とする画像記録装置。 【請求項2】 スキャナモータを駆動することにより感光体上に光ビームを走査して潜像を形成し、該感光体上の潜像を現像して記録紙に転写し、該記録紙上のトナー像を定着させる画像記録部を有する画像記録装置の制御方法であって、 画像記録装置がスタンバイ状態にあるときに画像記録開始指示を受けた場合、その画像記録開始指示に基づいて前記画像記録部における電子写真プロセスの準備動作を開始するステップと、 前記画像記録部における電子写真プロセスの準備動作を開始してから所定時間後に記録紙の給紙を開始させる給紙ステップを有し、 前記画像記録装置の画像記録モードに応じて前記所定時間を可変制御するステップを設け、 前記可変制御するステップでは、スキャナの立ち上り時間をA、スキャナレディ後に光ビームの光量調整に要する時間をB、前記感光体の電位の均一化を含む高圧制御に要する時間をC、給紙すべき記録紙の先端からレジストローラまでの距離を搬送スピードで割った時間をDと表記したとき、A+BがCより長い場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからA+B-Dの経過時に給紙が開始されるように、またA+BがC以下である場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからC-Dの経過時に給紙が開始されるように、前記所定時間を可変制御することを特徴とする画像記録装置の制御方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は画像記録装置等の給紙に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来、画像記録装置等における給紙を開始するタイミングは図13のタイミングチャートで示されるように、スタンバイ時にプリント動作の開始を指示する信号(PRNT信号)がtrueになると、画像記録装置は、メインモータを駆動した後に、メインモータがReadyであることが確認できると直ちに給紙を開始する。 【0003】 又、連続プリント中においては、前頁の副走査方向の画像書込みをマスクするタイミングで直ちに次の紙の給紙を開始していた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記従来例では、給紙を開始するタイミングが必要以上に早い為、ユーザーがPRNT信号を一端trueにした後に、PRNT信号をfalseにしてプリントキャンセルを行っても、既に紙が給紙動作に入っていたり、給紙が完了している場合があり、一端給紙された紙は、前記プリントキャンセルによって画像記録装置の外へ排紙されてしまい、紙の無駄が生じる。 【0005】 【課題を解決するための手段】 本発明の画像記録装置は、記録紙を給紙する給紙手段と、スキャナモータを駆動することにより感光体上に光ビームを走査して潜像を形成し、該感光体上の潜像を現像して記録紙に転写し、該記録紙上のトナー像を定着させる画像記録手段と、画像記録装置がスタンバイ状態にあるときに画像記録開始指示を受けた場合、その画像記録開始指示に基づいて前記画像記録手段における電子写真プロセスの準備動作を開始してから所定時間後に前記給紙手段による給紙を開始させる制御手段と、前記画像記録装置の画像記録モードに応じて前記所定時間を可変制御する手段と有し、前記可変制御する手段は、スキャナの立ち上り時間をA、スキャナレディ後に光ビームの光量調整に要する時間をB、前記感光体の電位の均一化を含む高圧制御に要する時間をC、給紙すべき記録紙の先端からレジストローラまでの距離を搬送スピードで割った時間をDと表記したとき、A+BがCより長い場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからA+B-Dの経過時に給紙が開始されるように、またA+BがC以下である場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからC-Dの経過時に給紙が開始されるように、前記所定時間を可変制御することを特徴とする。本発明の画像記録装置の制御方法は、スキャナモータを駆動することにより感光体上に光ビームを走査して潜像を形成し、該感光体上の潜像を現像して記録紙に転写し、該記録紙上のトナー像を定着させる画像記録部を有する画像記録装置の制御方法であって、画像記録装置がスタンバイ状態にあるときに画像記録開始指示を受けた場合、その画像記録開始指示に基づいて前記画像記録部における電子写真プロセスの準備動作を開始するステップと、前記画像記録部における電子写真プロセスの準備動作を開始してから所定時間後に記録紙の給紙を開始させる給紙ステップを有し、前記画像記録装置の画像記録モードに応じて前記所定時間を可変制御するステップを設け、前記可変制御するステップでは、スキャナの立ち上り時間をA、スキャナレディ後に光ビームの光量調整に要する時間をB、前記感光体の電位の均一化を含む高圧制御に要する時間をC、給紙すべき記録紙の先端からレジストローラまでの距離を搬送スピードで割った時間をDと表記したとき、A+BがCより長い場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからA+B-Dの経過時に給紙が開始されるように、またA+BがC以下である場合は前記スキャナの立ち上げ及び前記高圧制御を開始してからC-Dの経過時に給紙が開始されるように、前記所定時間を可変制御することを特徴とする。 【0006】 【実施例】 図1及び図2は本発明の第1の実施例を示し、図1は本発明の特徴を最もよく表わす図面であり、同図に於いて1はROM内蔵のワンチップマイクロコンピュータ(CPU)、2はビデオコントローラやホストコンピュータ等の外部装置、3はメインモータ制御部、4はメインモータ、5はスキャナモータ制御部、6はスキャナモータ、7は定着部、8は給紙ローラ、9はカセットサイズ検知部、10はPRNT信号、11は垂直同期信号を要求する信号(VSREQ信号)、12は垂直同期信号(VSYNC信号)、13はコマンド/ステータス信号、14は高圧制御部、15はモータON信号、16はモータレディ信号、17はスキャナON信号、18はスキャナレディ信号、19はヒータON信号、20はヒータ温度信号、21は給紙ローラON信号、22は走査線密度指定信号線である。 【0007】 図2は、本実施例を用いた画像記録装置の概略図であり、101は筐体、103はレジストローラ、104は感光ドラム、105は転写ローラ、106は定着ローラ、107は加圧ローラ、109は反射ミラー、110はカット紙、111はカセット、112は排紙トレイ、113はインターフェースケーブルである。 【0008】 図1と図2を用いて画像記録装置の概略の動作を説明する。 【0009】 外部装置よりPRNT信号10を受信するとCPU1は、モータON信号15を、メインモータ制御部3へ送出する。これを受けたメインモータ制御部3はメインモータ4を駆動させる。メインモータが所定の回転数に達すると、メインモータ制御部3はモータレディ信号16をCPU1に返す。 【0010】 その後CPU1はスキャナON信号17を、スキャナモータ制御部5へ送り、スキャナモータ制御部5はスキャナモータ6を駆動させる。スキャナモータ6が所定の回転数に達すると、スキャナモータ制御部5はスキャナレディ信号18をCPU1に返す。スキャナがレディになった後、レーザ光量の調整を行う。CPU1はヒータON信号19を、定着部7へ送り、定着ローラ106内のヒータ(不図示)をONして、定着ローラ106をプリント温度に上昇させる。定着ローラ106上にセットさせたサーミスタ115により、定着ローラ106の温度を読み取り、定着部7はヒータ温度信号20(アナログ信号)に定着ローラの表面温度をセットしCPU1へ返す。CPU1はこの温度をプリント温度(スタンバイ時にはスタンバイ温度)に保つ様に、ヒータON信号19をON/OFFすることによって調整する。 【0011】 CPU1は、感光ドラム104の電位を均一化と、転写ローラ105のクリーニングを高圧制御部14に行なわせる。 【0012】 CPU1は給紙ローラ8を駆動してカセット111内のカット紙110をレジストローラ103の位置まで搬送する。 【0013】 前述のスキャナレディ、高圧の制御、給紙が全て完了した際に、CPU1は外部装置2に対してVSREQ信号11を送り外部装置2からのVSYNC信号12を待つ。VSYNC信号12が送られてくると、レジストローラ103を駆動させる。 【0014】 レジストローラ103により搬送されたカット紙110に、外部装置2からのVIDEO信号(不図示)によりレーザ装置120からレーザ光を発光させ、レーザ光がスキャナモータ6、反射ミラー109により感光ドラム104上に照射され感光ドラム104と転写ローラ105によって画像が転写される。 【0015】 その後カット紙110は定着ローラ106と加圧ローラ107により定着され排紙ローラ114によって、排紙トレイ112上に排紙される。 【0016】 画像記録装置がスタンバイ状態の時に、外部装置2からPRNT信号10を受け取ってから、VSREQ信号11を返信するまでの間に、画像記録装置は、前述した様に、メインモータ4の立上げ、スキャナモータ6の立ち上げ、レーザ光量の調整、感光ドラム104の電位の均一化、転写ローラ105のクリーニング、カット紙110をレジストローラ103の位置まで搬送を行う。 【0017】 図3に上記動作のタイミングチャートを示した。 【0018】 図3(A)は低密度記録(例えば240dpi)の場合を示し、まずスキャナON信号17からスキャナレディ信号18が返送されるまでをタイムA1とする。タイムA1は低い走査線密度に対応する値である。スキャナレディ信号18が返送されてからレーザ光量の調整に要する時間をタイムBとする。感光ドラム104の電位の均一化及び転写ローラ105のクリーニングに要する時間をタイムCとする。給紙に要する時間をタイムDとする。タイムDは、カット紙110の先端からレジストローラ103までの距離を給紙ローラ8の搬送スピードで割った時間である。 【0019】 タイムB、タイムC、タイムDは一定時間となる。 【0020】 図3(B)は、高密度記録の場合(例えば400dpi)を示し、スキャナONからスキャナレディまでの時間がタイムタイムA2となり、高圧制御に要する時間Cよりも長く要し、VSREQを送出できるのがT2のタイミングになる。 【0021】 スキャナONからスキャナレディまでの時間は、走査線密度により異なる。 【0022】 走査線密度の指定は、8ビットシリアル信号を伝送するコマンド/ステータス信号13を介して、外部装置2からCPU1へ送信される。 【0023】 図4は走査線密度の指定コマンドの例を示したものである。走査線密度の指定コマンドは、2バイト(1バイト=8ビット)で構成されている。1バイト目は走査線密度の変更を依頼するオペレータで(図4(1))、2バイト目は変更する走査線密度を8ビットのうち7thビットをLSBとした6ビットで表わすオペランドである(図4(2))。 【0024】 すなわちこのオペランドはBit0からBit5の6ビットの走査線密度コードで表わされ、走査線密度コードと走査線密度の関係の一例は図4(3)内に示される。 【0025】 外部装置2から送信される走査線密度コード6ビットをスキャナモータ駆動部5へ走査線密度指定信号線22を介して送出することにより行なう。 【0026】 スキャナONからスキャナがレディーになるのに要する時間は、一般的に走査線密度が高い程長い時間必要となる。走査線密度毎のスキャナONからスキャナレディになるのに要する最少時間を各走査線密度のタイムA値とする。 【0027】 図5のフローチャートを用いてさらに詳細に説明する。 【0028】 ステップ501にて外部装置2からPRNT信号10が送信されるのを監視する。CPU1はPRNT信号10を受信すると、ステップ502にて走査線密度を読み取る。走査線密度が240dpiの場合は、ステップ503にて、走査線密度が240dpiの時のスキャナ立ち上り時間(所定時間A11)をタイムAとする。 【0029】 走査線密度が240dpi以外の場合は、ステップ504にて300dpiかどうかチェックし、300dpiの場合はステップ505にて所定時間A12をタイムAとする。 【0030】 走査線密度が300dpiでない場合は400dpiとみなしステップ506にて所定時間A13をタイムAにセットする。 【0031】 ステップ507にて、タイムAとタイムB(レーザー光量調整に要する時間)をたしたものとタイムC(高圧制御に要する時間)を比較し、タイムA+タイムBがタイムC以下の場合はステップ508にて、後述のメインモータがレディとなってから給紙を開始するまでのタイマのタイマー値にタイムC-タイムD(給紙に要する時間)をセットする。タイムA+タイムBがタイムCより長い場合は、ステップ509にて、タイマー値にタイムA+タイムB-タイムDをセットする。 【0032】 ステップ510にてメインモータレディを監視しメインモータレディになったらステップ511にてスキャナON、高圧制御を開始する。 【0033】 ステップ512にて前述タイマーをスタートさせる。ステップ513でタイマーの終了を待って給紙を開始し、その後給紙完了、高圧制御完了したらステップ515にてプリント動作に入る。 【0034】 前述はスタンバイからPRNT信号10を受け取った時の給紙タイミングについて記述したが、次に連続プリント中の給紙タイミングについて記述する。 【0035】 連続プリント中の給紙は、前頁の画像書込み領域をマスクするタイミング以降で尚かつ、最大のスループットが得られるタイミングで行なう。 【0036】 画像書込み領域のマスク解除開始は外部装置2から送信されるVSYNC信号12に同期させ、紙の先端から2mmである。又、マスクタイミングは、紙の後端2mmである。 【0037】 マスク解除している時間は、CPU1がカセット111に隣接して取付けられた紙サイズ検知部9よりセットされている紙サイズを読み取り、紙サイズから前記先端2mm、後端2mmを引いた長さを画像記録装置のプロセススピードで割った時間となる。 【0038】 図6に紙サイズ検知部の詳細を示した。 【0039】 カセット111に取り付けられた突起物404によって、紙サイズ検知部9上に取り付けられたスイッチ401、402,403をオン/オフすることで、セットされた紙サイズが検知できる。 【0040】 突起物404の位置を変えることや、複数個用いることで種々の紙サイズ設定が可能になる。スイッチ401,402,403のオン,オフ状態と、それにより決定される紙サイズの関係の一例を図7に示す。図6の例ではスイッチ403がオンされておりスイッチ401と402はオフの状態にあり、紙サイズはA4となる。 【0041】 図8のフローチャートと図9のタイムチャートを使って詳細に説明する。 【0042】 図9中のタイムEは連続プリント中の紙間の時間で、最大のスループットを保つためには後述タイムGを定められた時間にしなくてはいけない。タイムFは、VSYNC信号11を受信してからマスクを解除するまでの時間で、レジストローラ103から転写ローラ105のニップ中央位置までの距離と、レーザーを感光ドラム104に照射する位置と転写ローラ105のニップ中央位置までの差により求められる一定の値である。タイムGはVSREQ信号11を送信してからVSYNC信号12を受信するまでの時間である。この値が長いと紙間の時間が長くなり最大のスループットを保てなくなる。最大のスループットを保つためには外部装置2はCPU1からVSREQ信号11を受信したら、直ちに(例10msec)VSYNC信号12を送信しなくてはいけない。 【0043】 タイムHは前頁の画像書込みマスク開始からVSREQ信号12を送信するまでの時間で、CPU1はこの間に次の紙の給紙を完了させておかなければいけない。 【0044】 図8のフローチャートは連続プリント中のCPU1の制御を記述したものである。ステップ801ではタイマー1の完了を監視する。タイマー1はマスク解除時間を設定したものである。タイマー1が完了するとステップ814にて画像書込み領域をマスクする。ステップ802にてPRNT信号10がtrueかチェックする。falseの場合はそのまま終了しスタンバイへ移行する。trueの場合は、ステップ803にて紙サイズを読み込み、ステップ804にて紙サイズとプロセススピードから計算したマスク解除時間をタイマー1のカウント値に設定する。 【0045】 ステップ805にてタイムH-タイムDをタイマー2のカウント値に設定しタイマー2をスタートさせる。これによりマスクがセットされてから給紙を開始するまでのディレイ時間が設定できる。ステップ806にてタイマー2の完了を待って、ステップ807で給紙を行なう。給紙完了後、ステップ808にてVSREQ信号11を外部装置2へ送信する。ステップ809で外部装置2からVSYNC信号12の返信を監視し、VSYNC信号12を受信すると、ステップ810でタイマFをタイマー3のカウント値にセットしタイマー3をスタートさせる。ステップ811でタイマー3の完了を待って、ステップ812でマスク解除し、ステップ813で先にセットしたカウント値によりタイマー1をスタートさせる。その後は次の紙の為にステップ801へ戻り、前述内容を繰返す。 【0046】 (他の実施例) 実施例では、各紙サイズ毎に個別にスループットが設定されている場合を述べたが、ここでは、紙サイズの種類によってスループットを特定の紙サイズと合せている場合について述べる。 【0047】 例えば紙サイズA6のスループットをA4のスループットに合せている場合を図10のフローチャートと図11のタイムチャートを用いて説明する。 【0048】 まず図11のタイムチャートのタイムIは、A6のマスクをセットするタイミングから、A4のマスクをセットするタイミングまでの差である。この時間は前述カセットサイズ検知部9よりA6サイズを検知し、A4サイズとの差をプロセススピードで割った値となる。 【0049】 実際の動作は図10のフローチャートにて説明する。 【0050】 ステップ801にてタイマー1が完了したかチェックする。これは、A6の紙サイズから計算したマスクをセットするタイミングである。タイマー1が完了するとステップ814にてマスクをセットする。次にステップ815にて、先程計算したタイムIをタイマー4のタイマ値としてタイマー4をスタートさせ、ステップ816にてタイマー4の完了を待つ、タイマー4が完了した後の処理は、前述説明した通りなので省略する。 【0051】 前記実施例においては通常のプリント動作の場合について説明したが、図12の様なプレフィード機能(PRNT信号がfalseの状態の時に、VSYNC信号をtrueにすることで先行給紙を行う)を用いた場合にも同様で、プレフィード要求により給紙可能となるタイミングから、VSREQを送出できるタイミングまでをタイムH、給紙に要する時間をタイムDとすれば、実際に給紙を開始するタイミングは、画像書き込みマスクをセットするタイミングからタイムH〜タイムDの時間経過してから給紙を開始させる。 【0052】 以上説明したように、走査線密度の違いによる、PNT信号を受信してからVSREQ信号送信までの時間と、給紙に要する時間を考慮して、PRNT信号を受信してからなるべく遅く給紙を開始したり、紙間の時間と給紙に要する時間を考慮して、PRNT信号が維持されている時においても、給紙を開始する時間を遅くすることで、プリントキャンセル発生時の自動排紙により紙が排紙されるということが減り、無駄な紙がなくなるという効果がある。 【発明の効果】 本発明によれば、画像形成手段が画像形成可能な状態になるまでに要する時間が、各画像形成モード毎に異なる点を考慮して、給紙動作の開始タイミングを、画像形成モードに応じた、なるべく遅いタイミングにすることにより、スループットを低下させずに給紙開始後の画像形成キャンセル発生によって無駄な排紙動作が生じることをなるべく抑えることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明が適用される画像記録装置の概略構成を示すブロック図、 【図2】 本発明が適用される画像記録装置の断面図、 【図3】 本発明における動作タイミングチャート、 【図4】 本発明における走査線密度指定コマンドを説明するための図、 【図5】 実施例の動作を説明するためのフローチャート、 【図6】 実施例における紙サイズ検知を説明するための図、 【図7】 実施例におけるスイッチ401〜403の状態と紙サイズの関係を示す図、 【図8】 実施例の動作を説明するためのフローチャート、 【図9】 実施例の動作を説明するためのタイミングチャート、 【図10】 第2実施例の動作を説明するためのフローチャート、 【図11】 第2の実施例の動作を説明するためのタイミングチャート、 【図12】 第3の実施例の動作を説明するためのタイミングチャート、 【図13】 従来の給紙タイミングを説明するためのタイミングチャート。 【符号の説明】 1 CPU 2 外部装置 3 メインモータ制御部 4 メインモータ 5 スキャナモータ制御部 6 スキャナモータ 7 定着部 8 給紙ローラ 9 カセットサイズ検知部 10 PRNT信号 11 VSREQ信号 12 VSYNC信号 13 コマンド/ステータス信号 14 高圧制御部 15 モータON信号 16 モータレディ信号 17 スキャナON信号 18 スキャナレディ信号 19 ヒータON信号 20 ヒータ温度信号 21 給紙ローラON信号 22 走査線密度指定信号線 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-09-27 |
出願番号 | 特願平4-150738 |
審決分類 |
P
1
651・
534-
YA
(B41J)
P 1 651・ 121- YA (B41J) |
最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
番場 得造 |
特許庁審判官 |
清水 康司 津田 俊明 |
登録日 | 2002-11-29 |
登録番号 | 特許第3375985号(P3375985) |
権利者 | キヤノン株式会社 |
発明の名称 | 画像記録装置 |
代理人 | 内尾 裕一 |
代理人 | 西山 恵三 |
代理人 | 西山 恵三 |
代理人 | 内尾 裕一 |