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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C02F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C02F
管理番号 1109566
異議申立番号 異議2003-72900  
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-08-08 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-28 
確定日 2004-10-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3413268号「浄水器」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3413268号の訂正後の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3413268号の請求項1、2に係る発明についての出願は、平成6年1月17日に特許出願され、平成15年3月28日にその特許の設定登録がなされたところ、松林由佳(以下、必要に応じて「申立人A」という)、小川鐵夫(以下、必要に応じて「申立人B」という)、安藤清美(以下、必要に応じて「申立人C」という)より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成16年4月13日に訂正請求がなされ、その後、当審より申立人A〜Cに審尋がなされたが、申立人A、Bからは何ら応答がなかったものである。
2.訂正の適否
1-1.訂正の内容
本件訂正の内容は、本件特許明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち次の訂正事項a乃至eのとおりに訂正しようとするものである。
(1)訂正事項a
請求項1を、「【請求項1】モレキュラーシーブ5Aと活性炭を充填した第一の浄水槽と多孔質中空糸膜を用いた第二の浄水槽よりなる浄水器であって、モレキュラーシーブ5Aと活性炭の比率が下式を満足する浄水器。
2≦C/R≦20〔C:活性炭重量(g),R:モレキユラーシーブ5A容積(ml)〕」と訂正する。
(2)訂正事項b
請求項2を削除する。
(3)訂正事項c
明細書の段落【0009】の「アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体が下式で示されるモル比組成を有する酸性酸化物複合体であることが特に望ましい。」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第16〜18行)を、「、モレキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5A、モレキュラーシーブ13Xであることが特に望ましい。」と訂正する。
(4)訂正事項d
明細書の段落【0010】を記載内容を削除する。
(5)訂正事項e
明細書の段落【0011】を記載内容を削除する。
1-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否
(1)上記訂正事項aについて
上記訂正事項aは、「アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体」を「モレキュラーシーブ5A」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。そして上記訂正事項aは、明細書中の段落【0011】(本件特許掲載公報第2頁第4欄第26〜27行)等の記載からみて、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
なお、申立人Cは平成16年7月12日付け回答書で「モレキュラーシーブ5A」は「新規な概念の組成物」である旨主張しているが、明細書の段落【0011】や実施例2に記載された「モレキュラーシーブ5A」についての記載からみて「新規な概念の組成物」であるとすることはできない。
(2)上記訂正事項bについて
上記訂正事項bは、請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。そして願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)上記訂正事項cについて
上記訂正事項cは、「アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体」を具体的に明りょうにするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。そして上記訂正事項cは、明細書中の段落【0011】(本件特許掲載公報第2頁第4欄第25〜28行)等の記載からみて、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4)上記訂正事項d、eについて
上記訂正事項d、eは、特許請求の範囲の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を整合させ明細書の記載を明りょうにするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。 そして上記訂正事項d、eは願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
1-3.まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正ずる法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
2.特許異議申立てについて
2-1.取消理由通知の概要
当審の取消理由通知の概要は、請求項1、2に係る発明は刊行物1に記載された発明であるか、または刊行物1〜10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2に係る発明の特許は特許法第29条第1項第3号、同条第2項の規定に違反してされたものであり取り消されるべきものであるというものである。
2-2.本件訂正発明
特許権者が請求した上記訂正は、上述したとおり、認容することができるから、訂正後の本件請求項1に係る発明は訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された上記1-1.(1)のとおりのものである(以下、必要に応じて「本件訂正発明」という。)。
2-3.刊行物の記載内容
(1)刊行物1:特開平4-94791号公報:申立人A、B、Cの提出した甲第1号証
(a)「原水側から活性炭層、中空糸膜モジュールの順に配置されてなる浄水器において、活性炭層と中空糸膜の被濾過水側表面の間の少なくとも一部に銀イオンが担持されたゼオライト系固体粒子が配置されていることを特徴とする浄水器。」(請求項1)
(b)「[従来の技術]近年、水道水はその水源の汚れがひどく、殺菌剤として塩素を多量に投与しているため残留塩素臭が強く感じられる。また、マンション等においては、水道水をタンクに貯留し、各家庭に配給するシステムをとっているため、そのタンク内の汚染が指摘されている。そのため、飲料水として安全でおいしい水を求める声が強くなっており、原水側から活性炭層、中空糸膜モジュールの順に配置されてなる浄水器が提案されている(実開昭61-22594号公報)。一方、浄水器用の活性炭としては通常の粒伏活性炭の他に抗菌性を付与する目的で銀を添着した銀活性炭が提案されている。[発明が解決しようとする課題]しかしながら、実開昭61-22594号公報に記載された浄水器では活性炭層に銀添着活性炭を使用することにより、初期においては殺菌の増殖を抑制することができるものの、活性炭が有機物を吸着し、表面が有機物によって被覆され経時的に銀の杭菌能力が減少する点が問題であり、これによって細菌が増殖し、通常の粒状活性炭と同様な中空糸膜の目詰まりによる透水量の低下やカビ臭等の臭気が発生する。本発明者らは上記問題点を解決するため鋭意検討した結果、銀イオンが担持されたゼオライト系固体粒子が優れた効果を奏することを見出し、本発明に到達した。」(第1頁左欄第14行〜第2頁左上欄第1行)
(c)「本発明の銀イオンが担持されたゼオライト系固体粒子とは、アルミノシリケートよりなる天然または合成ゼオライトのイオン交換可能な部分に、殺菌効果を持つ銀イオンが担持されているものをいう。」(第2頁右上欄第14〜18行)
(d)「ゼオライト系固体粒子の・・・・。添加量は浄水器の大きさにより決定されるが銀の溶出を考慮し、かつ抗菌性を発現させるためには活性炭重量に対して0.1〜10%程度が好ましく、より好ましくは0.5〜5%程度である。」(第2頁左下欄第10〜20行)
(e)「銀イオンが担持されたゼオライト系固体粒子は、活性炭層と中空糸膜の被濾過水側の表面との間のどこの位置に配置されていてもよい。・・・又、活性炭層に配置する場合は活性炭と混合してもよく、活性炭と別に配置してもよい。」(第2頁右下欄第1〜9行)
(f)「実施例1〜4及び比較例1 ポリエチレン製中空糸膜(三菱レイヨン(株)製EHF270T(外径380μm、内径270μm)をU字状に束ね、ポリウレタン樹脂にて端部をポッティングし、中空糸膜モジュールとした。活性炭層には銀活性炭と銀イオンが担持されたゼオライト系固体粒子を銀活性炭重量に対して第1表に示す割合で混合したものを使用し、第1図に示す蛇口直結型の浄水器を試作した。銀活性炭としては標準粒度42〜80メッシュ(武田薬品工業(株)製)のもの、また銀イオンが担持されたゼオライト系固体粒子としては(株)シナネンニューセラミック製ゼオミツクAG10N(銀含有量25%、平均粒径5〜6μm)を使用した。この浄水器を用いて以下の条件により目詰まり、臭気の発生等の加速試験を実施した。まず水道水中から採取した菌を5株混合培養し、菌濃度106ケ/mlの液をつくりこの液を浄水器に0.5l(中空糸膜の膜面積1cm2当たり105ケ)通水した。次いで名古屋市水のMF膜濾過水を水圧0.5kg/cm2で10l/日の割合で15日間通水した。いずれの実施例およひ比較例においてもこの条件では細菌の増殖による臭気の発生、水フラックスの低下が認められなかったため、さらに菌濃度108ケ/mlの液を0.5l通水し、上記と同条件で名古屋市水の通水を続けた。通水は実験開始時から数えて54日目まで実施した。実験終了時の臭気の発生状況及び初期フラツクスを100%とした場合のフラツクス保持率を第1表に示した。」(第3頁左上欄第1行〜右上欄第12行)
(2)刊行物2:「クリーンテクノロジー」 第38〜41頁(1992年5月):申立人Aの提出した甲第2号証
(a)「はじめに 抗菌性ゼオライトは、天然または合成ゼオライトに銀イオン、亜鉛イオン、銅イオン等の抗菌金属をイオン交換した抗菌剤である。・・・ゼオライトはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の結晶性アルミノケイ酸塩であり、・・・。ゼオライト結晶の最大の特徴は数オングストロームの均一な細孔が多数、規則正しく存在しており、この事が吸着機能、分子節機能、触媒機能に関与している。」(第38頁左欄)
(b)「抗菌性ゼオライトの一般的特性(1)物性 構造式:XM1/2O・Al2O3・YSiO2・ZH2O(M:銀、ナトリウム等のイオンを、X、Y、Z:各成分モル比を示す) 性状:白色微粉末 細孔径4〜10[Å] 真比重:2.1 比表面積:600[m2/g] 嵩比重:0.4[g/cm3] 平均粒怪:0.6〜2[μm] 比熱:0.26 pH:7〜9[g-Zeo/100ml-H2O] 耐熱性:550[℃] 耐酸性:pH3 耐アルカリ性:pH13 吸着機能、イオン交換機能、分子節機能などゼオライトの持つ諸特性は失われず、ゼオライト本来の特性に抗菌性機能が付加されている。」(第38頁右欄)
(3)刊行物3:富永博夫編「ゼオライトの化学と応用」株式会社講談社、第47〜54頁、第135〜137頁、第188〜189頁 (1987年3月20日):申立人Aの提出した甲第3号証
(a)「ゼオライトは種としてNa、K、Caを含む含水アルミノケイ酸塩鉱物の一群で、構造は(Si-Al)-O4の四面体の三次元網目(骨格)を基本にするテクトケイ酸塩に属し、一般化学式は、(R1+xR2+y)Al2y+xSizO2(2y+x+z)・XH2O,R1+:Na,K;Ra2+:Ca,Sr,Ba,Mgで示される。」(第47頁第13〜16行)
(b)「3.2.3 アナルサイムとワイラカイト(表3.2(D)(E),表3.3(D)(E)) アナルサイム(NaAlSi2O6・H2O,等軸晶系、O10h=Ia3d,Z=16)は古くから知られているが、このCa種類が(CaAl2Si4O12・2H2O)が発見されワイラカイトと命名された(単斜晶系,I2/a,Z=8)」(第49頁第27〜30行)
(c)「ゼオライトの高結晶性と均一細孔特性は樹脂には見られないもので、ゼオライトでのイオン交換には「イオンふるい効果」と呼ばれる選択性が生ずる。特にイオン半径の大きい有機イオンで顕著で、ゼオライトAをモノアルキルアンモニウムイオンで交換する場合、分岐したアルキル基をもつイオンは交換されない。ゼオライト骨格の充填度がさらに高いアナルサイムでは無機イオンでもふるい効果がある。Ag-アナルサイムはNa+では容易に交換するが、Cs+では交換しないために、CsCl水溶液中のNaCl不純物はイオン交換により除去できる。このようにイオンふるい効果は主に細孔孔に依存し、その効果の大きさはフォージャサイト<A型ゼオライト<シャバサイト<モルデナイト<ハームトーム<アナルサイムの順であり、各イオン交換性は表52のようになる。」(第136頁第1〜11行)
(d)「ゼオライトによってはある特定のイオンへの著しい選択性(・・・)を有する場合があり、これを利用して有害イオンの除去なとが行われる。硬水の軟化はイオン交換性の利用の一種として古くから行われているが、これはA型ゼオライトで・・・」(第137頁第5〜12行)
(e)「洗剤用ゼオライトの最も一般的な製法は、ケイ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムを反応される方法てある。2Na2SiO3・aq+2NaAlO2・aq→Na2O・Al2O3・2SiO2・4.5H2O+4NaOH」(第188頁第5〜7行)
(f)第189頁表6.6には、市販洗剤用NaA型合成ゼオライトの諸性状表の性状が示されており、その中にケイ酸ソーダからの洗剤用合成ゼオライト(Henkel:HABA40)の嵩密度bulkdensity(BD(g/ml))0.39、1次粒子粒径2.0μが記載されている。
(4)刊行物4:清水博監修「吸着技術ハンドフック」株式会社エヌ・ティー・エス、第65〜68頁、第76〜82頁 (1993年2月2日):申立人Aの提出した甲第4号証
(a)「ドイツのChemie社製(ヘミー社)は合成ゼオライトをZeosorb(ゼオソープ)の商品名で20年前から市販しており、工業界において広く使用されてきた。・・・(1)Zeosorbの組成と構造 Zeosorbは含水の硬質ケイ酸塩で、その一般的化学式は次のとおりである。 Me2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2O ここで、Me=金属、とくにアルカリ(Li,Na,K)あるいは、アルカリ土類金属 n=金属の原子価 x=係数で、ゼオライトの型式により下記のように変化する。(SiO2とAl2O3の比により決まる数値) x=1.8〜2.1ゼオライトA型 x=2.1〜3.0ゼオライトX型 x=4〜6ゼオライトY型 x=10モルデナイト型 x≧30ペンタシル(ZSM型) x≧1000シリカリット型 y=係数で、水和の程度により決まる0〜6.7の間の数値。」(第65頁左欄)
(b)「(1)はじめに モレキュラーシーブは、天然に産出するゼオライトの特異な吸着特性に着目したユニオン・カーバイド社リンデ・ディビジョン(UCC LINDE DIVISION)の技術陣が、長い年月の末、工業化に成功した合成ゼオライトである。・・・本項では、合成結晶アルミノケイ酸塩で構成されるモレキュラーシーブ・ゼオライトのうち特に吸着剤用途で広く使用されているA型とX型について述べる。(2)モレキュラーシーブ概説(a)モレキュラーシーブとは モレキュラーシーブは、合成結晶アルミノケイ酸塩の合水金属塩よりできているが、この金属塩をもつ結晶水を加熱脱離すると、結晶水の取り除かれた跡に空洞が残り、この空洞の内壁に吸着質が吸着される。」(第76頁左欄)
(c)第66頁の表1 Zeosorbモレキュウラーシーブ一覧表には、Zeosorbの嵩密度が400〜780g/lであることが示されている。
(5)刊行物5:特開昭63-239205号公報:申立人Bの提出した甲第2号証
(a)「殺菌作用を有する金属イオンを保持したゼオライト及び活性炭の粉粒体及び熱融着性繊維を主な成分として含み、融着結合されている、抗菌ならびに防カビ及びCOD低下機能を有するゼオライト-活性炭複合体。」(請求項1)
(b)「本発明のゼオライト-活性炭複合体は抗菌(殺菌)、防カビおよび/またはCOD低下等の目的で気相ならびに液相の雰囲気で使用可能である。・・・工業的水処理の目的に適当している。」(第2頁右下欄第19行〜第3頁左上欄第5行)
(c)「本発明で成形用素材として使用するゼオライトと活性炭の使用比率は、・・・通常ゼオライトと活性炭の合計重量(無水基準)に対しゼオライトは2〜98%(重量%)が適当である。例えば水溶液相のCOD低下率を大きくするためには複合体中の活性炭の含有量を高めた方がよい。」(第4頁左下欄第2〜9行)
(6)刊行物6:特開平5-64793号公報:申立人Bの提出した甲第3号証
(a)「被処理水を活性炭を充填した活性炭処理塔内に通水して浄水する浄水処理装置において、活性炭を充填部と、前記活性炭保持床としてのゼオライトを収納してなるゼオライト保持床とからなる高度浄水部を備えたことを特徴とする浄水処理装置。」(請求項1)
(b)「本発明は水処理装置に係り、特に高度の浄水処理装置に関するものである。」(第2頁第1欄第9〜10行)
(c)「本発明は上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、高度浄水処理部の活性炭処理塔にゼオライト保持床を組込むことにより高信頼性の浄水処理装置を提供することである。」(第2頁第2欄第38〜41行)
(d)「本実施例においては、図1に示すように、高度浄水処理部をオゾン処理塔と、活性炭充填部9とゼオライト保持床10からなる生物活性炭処理塔11によって構成する。すなわち、生物活性炭処理塔11はアンモニアの選択的吸着特性に優れたゼオライト(合成ゼオライトも可)と活性炭による二層式活性炭処理装置である。」(第3頁第3欄第12〜18行)
(e)「本装置は、活性炭処理塔の深層部にゼオライト、上層部に活性炭を充填する。深層部のゼオライトの作用は活性炭の保持床の働きを有し、活性炭の系外への流出を極力防止する。また、ゼオライトの充填量として全充填容積当り5〜20%程度充填する。」
(7)刊行物7:神沢淳他監修「多孔質材料ハンドブック」株式会社アイピーシー 第163、176〜178頁(昭和63年12月1日):申立人Bの提出した参考資料2
(a)第177頁表11モレキュラー・シーブスの特性と用途には、Pelletsの充填密度0.58〜0.75g/cc、Powderの充填密度0.48g/ccであることが記載されている。
(8)刊行物8:特開昭51-136353号公報:申立人Cの提出した甲第2号証
(a)「(A)活性炭層および(B)ゼオライト層(Na-型)の組み合わせ層からなる、物理的吸着層と化学的吸着層とを組み合わせた吸着床を有する浄水装置。」(特許請求の範囲第1項)
(b)「上記組合層の場合、活性炭層はBOD又はCOD-貢献成分として有害な有機物質の除去に有効であり、一方ゼオライト層(Na-型)は水中のアムモニヤ性窒素(NH3-N)に対して選択吸着の特徴を有する以外に水中に含まれる硬度成分(CaMg)の除去や重金属成分(Pb2+,Cu2+,Cd2+,Zn2+,Mn2+,Cr3+等)の除去に極めて有効である。」(第3頁左上欄第4〜11行)
(c)第5頁第2表には、実施例4として活性炭(ツルミコールG.W.30)1lとゼオライト(Na-型)120mlを使用した例が、実施例5として活性炭(ツルミコールG.W.30)800ml、ゼオライト層(Na-型)200mlを使用した例が記載されている。
(9)刊行物9:特開昭59-193134号公報:申立人Cの提出した甲第3号証
(a)「(1)銀および/または無機の銀化合物を添着した活性炭および(2)水難溶性のカルシウム,マグネシウムおよび/またはアルミニウムの酸化物,水酸化物および酸素酸塩の一種以上を主成分として含有する浄水用材。」(特許請求の範囲第1項)
(b)「これらの無機成分を主成分とする無機物質としては、たとえばゼオライト,バーミキュライト,モンモリロナイト・・・があげられるが、中でもセピオライト,バーミキュライト,ゼオライト,骨灰が好ましく・・・」(第2頁左下欄第15行〜右下欄第3行)
(c)「実施例1 硝酸銀0.157g(銀換算0.1g)を50mlの水に溶解し、これを活性炭100gに均一に散布した後、水洗乾燥して銀添着活性炭(活性炭成分)とした。この銀添着活性炭5gと第一表に記載の無機成分0.5gを混合して浄水用剤を得た。」(第3頁右上欄第4〜9行)
(d)第3頁第一表には、NO.5および18に銀添着活性炭とゼオライト粉末を混合したものが具体的に示されている。
(10)刊行物10:「ゼオライトの最新応用技術」株式会社シーエムシー 第12頁(1986年1月24日):申立人Cの提出した甲第5号証
(a)表1・2各種ゼオライトの性状には、合成ゼオライトA型およびX型の組成式が示されている。A型の組成は、Na2O・Al2O3・2SiO2・4.5H2O、X型はNa2O・Al2O3・2.5SiO2・6H2Oであることが記載されている。
(11)参考資料1:「改訂六版 化学工学便覧」丸善株式会社 第693〜694頁 (平成15年6月30日):申立人Cの提出した甲第4号証
(a)第693頁表13・2合成ゼオライト吸着剤の特性には、充填密度が400〜752kg/m3であることが記載されている。
(12)参考資料2:「化学大辞典」株式会社東京化学同人 第1247、1248頁(1994年4月1日)
(a)ゼオライトの一般式が記載されている。
2-4.対比・判断
刊行物1の上記(1)(a)には「原水側から活性炭層、中空糸膜モジュールの順に配置されてなる浄水器において、活性炭層と中空糸膜の被濾過水側表面の間の少なくとも一部に銀イオンが担持されたゼオライト系固体粒子が配置されていることを特徴とする浄水器」が記載されている。
ここで、刊行物1には、「ゼオライト系固体粒子の添加量は活性炭重量に対して0.1〜10%程度が好ましく、より好ましくは0.5〜5%程度である。」(上記(1)(d))、「銀イオンが担持されたゼオライト系固体粒子は、活性炭層に配置する場合は活性炭と混合してもよく、活性炭と別に配置してもよい」(上記(1)(e))と記載されている。
これらの記載を本件訂正発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、「ゼオライト系固体粒子と活性炭を混合した活性炭層と中空糸膜モジュールとからなる浄水器であって、ゼオライト系固体粒子が活性炭重量に対し0.1〜10%程度、より好ましくは0.5〜5%程度添加されている浄水器」という発明(以下、必要に応じて「刊行物1発明」という)が記載されていると云える
そこで、本件訂正発明と刊行物1発明とを対比すると、両者は次の点で相違している。
相違点:本件訂正発明では、第一の浄水槽にモレキュラーシーブ5Aと活性炭が充填されており、モレキュラーシーブ5Aと活性炭の比率が2≦C/R≦20であるのに対して、刊行物1発明では、活性炭層にはゼオライト系固体粒子と活性炭が混合されおり、ゼオライト系固体粒子が活性炭重量に対し0.1〜10%程度、より好ましくは0.5〜5%程度添加されていることは記載されているものの、上記特定の構成が記載されていない点
次に、この相違点について検討する。
刊行物2〜4、7、11には、抗菌性ゼオライトの嵩比重が0.4g/cm3(上記(2)(b))、洗剤用合成ゼオライトの嵩密度が0.39g/ml(上記(3)(f))、Zeosorbモレキュラーシーブの嵩密度が400〜780g/l(上記(4)(c))、モレキューラーシーブスPowderの充填密度が0.48g/cc(上記(7)(a))、合成ゼオライト吸着剤の充填密度が400〜752kg/m3(上記(11)(a))であることがそれぞれ記載されている。
ここで、刊行物1発明におけるゼオライト系固体粒子の嵩密度を0.4g/cm3とすると、刊行物1発明の「0.1〜10%程度、より好ましくは0.5〜5%」は、C/R値で云うと「400〜4、より好ましくは80〜8」となり、また刊行物1の実施例4のC/R値は13.3となる。
そうしてみると、本件訂正発明と刊行物1発明とでは、C/R値の数値範囲では重複していると云える。
しかしながら、刊行物1〜10には、モレキュラーシーブ5Aを採用することは記載も示唆もされていない。
すなわち、刊行物1には、ゼオライト系固体粒子として具体的には(株)シナネンニューセラミック製ゼオミックAG10Nを採用しているが、この粒子がモレキュラーシーブ5Aであるとすることはできない。このことは、平成16年4月13日付け特許異議意見書添付乙第1号証の実験成績証明書において、モレキュラーシーブ5Aを採用した場合の方が株式会社シナネンニューセラミック製「ゼオミックAG10N」よりPb吸着試験の特性が顕著に優れるということからも窺えるものである。
また、刊行物2〜4、7には、ゼオライトの嵩比重等の特性が記載されているだけである。
刊行物5には、抗菌ならびに防カビ及びCOD低下機能を有するゼオライト-活性炭複合体が記載されているものの、モレキュラーシーブ5Aを採用することは記載も示唆もされていない。
刊行物6には、活性炭の充填部と、ゼオライト保持床とからなる高度浄水部が記載されているものの、モレキュラーシーブ5Aを採用することは記載も示唆もされていない。
刊行物8には、活性炭層およびゼオライト層(Na-型)の組み合わせ層が記載されているものの、モレキュラーシーブ5Aを採用することは記載も示唆もされていない。
刊行物9には、銀添着活性炭とゼオライト(粉末)からなる浄水用剤が記載されているものの、モレキュラーシーブ5Aを採用することは記載も示唆もされていない。
刊行物10には、合成ゼオライトの組成式が記載されているだけである。
そして、本件訂正発明は明細書記載の効果を奏するものと云える。
したがって、本件訂正発明は、刊行物1に記載された発明とすることはできないし、また刊行物1〜10に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものであるとすることはできない。

また、その他の異議申立理由は、本件訂正発明を取り消すべき理由として採用することができない。

3.むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては、訂正後の本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の本件請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、訂正後の本件請求項1に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願にされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
浄水器
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 モレキュラーシーブ5Aと活性炭を充填した第一の浄水槽と多孔質中空糸膜を用いた第二の浄水槽よりなる浄水器であって、モレキュラーシーブ5Aと活性炭の比率が下式を満足する浄水器。
2≦C/R≦20
〔C:活性炭重量(g),R:モレキュラーシーブ5A容積(ml)〕
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は安全でおいしい水を得るための浄水器に関する。更に詳しくは、吸着剤を限定することにより、安全性やおいしさを損なう原因となる化合物を除去できる浄水器に関する。
【0002】
【従来の技術】
水道水中に含まれる残留塩素を除くことを主目的とした活性炭浄水器が数年前に発売され使用されたが、厚生省の調査により、長時間使用しなかった場合に活性炭中に雑菌が発生し、好ましくないことが明らかとなった。この雑菌の流出を抑えるために多孔質中空糸膜等の膜濾過を利用した浄水器が発売され、最近ではこのタイプが主流となっている。
【0003】
最近、活性炭収納ユニット、分離濾過膜収納ユニットに更にイオン交換樹脂収納ユニットを組合せたカセット式浄水器が提案されている(実開平3-7989号公報)。まだ数量的に多くはないが、逆浸透膜を用いた浄水器や天然石、セラミック等を濾材として使用した浄水器も上市されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような浄水器に於て、多孔質中空糸膜等の膜濾過を行っていないものは長時間使用しないと雑菌が繁殖し水道水の初流に流出してしまうという問題点があった。このような問題点を解決するために、多孔質中空糸膜や平膜による精密濾過を行う浄水器や活性炭に銀を添着する等の方法により抗菌性を持たせた浄水器が開発され、上市されるようになってきた。
【0005】
活性炭に銀を添着したものは溶出する銀の量によって抗菌性が異なり、また銀が多量に流出する恐れがあり、その性能には若干不安定さが懸念される。これに対して膜濾過による方法は、かかる懸念なしに、雑菌等を除去することのできる十分な性能を有している点に大きな特徴がある。膜濾過法に活性炭による吸着機構を更に付加することができる。この場合、活性炭使用量と活性炭種を適正に選定することにより、微量に溶解しているトリハロメタン、農薬等の有害有機物を除去することが可能であり、極めて高機能な浄水器とすることができる。
【0006】
然乍、このような膜濾過と活性炭吸着を組み合わせた高機能浄水器であっても、現在水道水に微量溶解しているとして問題視されている鉛等の重金属類は完全に除去することができないのが現状である。これらの重金属類の除去のために、逆浸透膜を用いた浄水器も開発されているが、これは、極めて高い除去能を示すが、能率の点から経済性に問題があり、また除去性能が高い故に、飲用水として必要とされるミネラルまでも除去するために、飲用水のおいしさという点からはマイナスの効果を示すという問題がある。
【0007】
また多様な種類の不純物を有する水源に適用される浄水器として、耐圧容器にフィルター、活性炭、イオン交換樹脂を収納した浄水器が提案されている(特開昭61-257282号公報)。然し、イオン交換樹脂はその製造過程での副反応生成物や不純物を含有しており、これらが使用中に溶出する。また、水道水の浄水器に使用した場合には、水道水中に殺菌剤として投入されている含塩素酸化性物質による酸化を受け、このために生成する着色物質が溶出するという問題がある。本発明者らはかかる状況に鑑み、安全でおいしい水を製造できる浄水器につき鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成した。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明の要旨は、アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体と活性炭を充填した第一の浄水槽と多孔質中空糸膜を用いた第二の浄水槽よりなる浄水器であって、アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体と活性炭の比率が下式を満足する浄水器である。
2≦C/R≦20
〔C:活性炭重量(g),R:アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体容積(ml)〕アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体は、従来使用されてきたイオン交換樹脂のように水溶性有機物を含まず、含塩素酸化性物質による酸化を受けることがなく、着色物質が溶出するという問題がない。
【0009】
アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体としては、ゼオライト、セライト、パーライト、クロモソルブ、ケイソウ土を例示することができる。アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体使用の目的である重金属、特に、鉛の除去性能としての飽和吸着量からは、モレキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5A、モレキュラーシーブ13Xであることが特に望ましい。
【0010】
【0011】
【0012】
アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体は、実用的には粒子として浄水器に供される。吸着性能の点からは粒子径は、小さい程よいが、他方、小さ過ぎると圧力損失の増大を招くので好ましくない。これらの点を勘案して、粒子径は0.1〜0.5mmの範囲から適宜選択すれば良い。
【0013】
活性炭の使用が本発明の要件であるが、活性炭の目的は、重金属の除去以上に、水道水中に残存していて所謂カルキ臭の原因とされている含塩素酸化性物質や、有害物質であるトリハロメタン、農薬を有効に除去することにある。活性炭としては、このような目的に合致する性能を有しているものであれば特に限定されない。例えば、活性炭は形状からは、粉末状、繊維状、粒子状等に、原料からは、ヤシガラ活性炭、骨炭、木炭等天然系活性炭とピッチ系、石油コークス系、樹脂やゴム等の焼成賦活活性炭等の合成活性炭に、更には賦活方法からは、水蒸気賦活、化学的賦活等に分類されるが、これらのいずれの活性炭でも良い。
【0014】
然し、浄水器に用いる場合には、浄水器以外の一般の活性炭の使用条件と比べて、通水する水の活性炭内の通過速度が非常に大きい。従って、圧力損失が大きな問題となり、この点からは、圧力損失の小さなもの、つまり比較的大きな粒子が実用的には適当である。また、除去すべき物質は比較的分子量の小さいものが多く、経済性をも含めて考慮すると、水蒸気賦活ヤシガラ活性炭が実用的に最も好適に使用される。活性炭に抗菌性を付与するために、銀等を添着してもよい。
【0015】
アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体と活性炭の使用比率は、それぞれの使用目的が異なるのであるから、供する飲料水の水質とそれぞれの吸着剤のコストに依存するのであるが、両者の吸着性能がバランスよくほぼ同時に飽和に達することが経済的であり、下式で示される範囲内から選択する。
【0016】
2≦C/R≦20
〔C:活性炭重量(g),R:アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体容積(ml)〕
【0017】
本発明のもうひとつの要件は、多孔質中空糸膜の使用にある。この目的は、飲料水中に含まれる雑菌をはじめとする微小浮遊物の濾過除去にある。この目的には、単位体積当りの有効濾過面積が大きい程よく、この点で、中空糸膜は平膜よりも効率が良い。
【0018】
中空糸膜の材料としては、特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系ポリマーやポリスルホンを例示することができる。またこれらの中空糸膜は、通水性能の向上のため例えば、エチレン-酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合体等で親水化されていることは特に望ましい。アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体と活性炭からなる吸着剤処理と、中空糸膜による濾過処理の間に、通水量を知るための流量計を設置してもよい。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例に従って更に詳しく説明する。
〔実施例1〕
本発明の実施例の一例の断面図を図1に示した。
【0020】
水槽水は入水口6より入水し、第1の浄水槽2内の活性炭とアルミノケイ酸塩系無機イオン交換体の積層吸着剤4を通過し、配水管中の流量センサー9を経由して、多孔質中空糸膜8を収めた第2の浄水槽7に入り、多孔質中空糸膜8で濾過された後、浄水吐水口11より流出する。
【0021】
アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体を下層に、ヤシガラ活性炭をその上層に積み上げた吸着剤積層物4を充填した第1の浄水槽2と多孔質中空糸膜8を納めた第2の浄水槽7は配水管によってつながれ、外容器1に収納されている。第2の浄水槽7に親水化処理を施したポリエチレン製多孔質中空糸膜8を2液型ポリウレタン樹脂で固定し、一端を切断開放したものを用いた。
【0022】
第1の浄水槽2には一次側から150メッシュのナイロンメッシュを貼付した樹脂枠5を設置してある。吸着剤積層物4は活性炭450gとアルミノケイ酸塩系無機イオン交換体100mlからなり、これを充填し、吸着剤が流出しないように、樹脂枠5と同様に作製された樹脂枠3を挿入した。
【0023】
第1の浄水槽2と第2の浄水槽7を配水管でつなぎ、その配水管の途中に羽根車式流量センサー9を設置した。アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体としては、下式で表される組成を有するゼオライトを用いた。
【0024】
Na2O/K2O/CaO/Al2O3/SiO2=1.0/0.0/0.0/1.0/1.5
【0025】
この浄水器を下記の方法で性能を試験し、結果を得た。試験に際して、通水速度は4リットル/分とした。間欠通水のモデルテストとして、一夜通水を停止した後、通水再開時にも流出水は外観上なんら変化は認められなかった。
【0026】
(1)残留塩素除去能力2.0±0.2ppmの残留塩素を含有する水を通水し、流出水の残留塩素濃度を測定した。なお、残留塩素はo-トルイジン法により測定した。8m3通水時の流出水の残留塩素は、0.01ppm以下であった。
【0027】
(2)除菌能力Pseudomonas diminuta IFO 14213 1.7×107ケ/mlを含む水を6リットルを通水したが、流出水の菌数は0ケ/mlであった。
【0028】
(3)鉛除去能力鉛濃度として150ppbに調製した塩化鉛水溶液を通水した。4m3通水時の流出水の鉛濃度は、35ppbであった。
【0029】
(4)トリハロメタン除去能力クロロホルムを60ppbに調製した溶液を通水した。8m3通水時の流出水のクロロホルム濃度は、5ppb以下であった。
【0030】
〔実施例2〕
アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体として、ゼオライトの代わりに下記の組成で示されるモレキュラーシーブ5Aを用いる以外は、実施例1と全く同様にして浄水器を作製した。
【0031】
Na2O/K2O/CaO/Al2O3/SiO2=0.3/0.0/0.6/1.0/1.85
【0032】
間欠通水のモデルテストとして、一夜通水を停止した後、通水再開時にも流出水は外観上なんら変化は認められなかった。
【0033】
(1)残留塩素除去能力2.0±0.2ppmの残留塩素を含有する水を通水し、流出水の残留塩素濃度を測定した。8m3通水時の流出水の残留塩素は、0.01ppm以下であった。
【0034】
(2)除菌能力Pseudomonas diminuta IFO 14213 1.7×107ケ/mlを含む水を6リットルを通水したが、流出水の菌数は0ケ/mlであった。
【0035】
(3)鉛除去能力鉛濃度として150ppbに調製した塩化鉛水溶液を通水した。8m3通水時の流出水の鉛濃度は、10ppb以下であった。
【0036】
(4)トリハロメタン除去能力クロロホルムを60ppbに調製した溶液を通水した。8m3通水時の流出水のクロロホルム濃度は、5ppb以下であった。
【0037】
〔実施例3〕
ゼオライトの代わりにCa型強酸性陽イオン交換樹脂を用いる以外は、実施例1と全く同様にして浄水器を作製した。間欠通水のモデルテストとして、一夜通水を停止した後、通水再開時には流出水はわずかに黄色く着色していた。
【0038】
(1)残留塩素除去能力2.0±0.2ppmの残留塩素を含有する水を通水し、流出水の残留塩素濃度を測定した。8m3通水時の流出水の残留塩素は、0.01ppm以下であった。
【0039】
(2)除菌能力Pseudomonas diminuta IFO 14213 1.7×107ケ/mlを含む水を6リットルを通水したが、流出水の菌数は0ケ/mlであった。
【0040】
(3)鉛除去能力鉛濃度として150ppbに調製した塩化鉛水溶液を通水した。8m3通水時の流出水の鉛濃度は、10ppb以下であった。
【0041】
(4)トリハロメタン除去能力クロロホルムを60ppbに調製した溶液を通水した。8m3通水時の流出水のクロロホルム濃度は、5ppb以下であった。
【0042】
【発明の効果】
本発明は活性炭とアルミノケイ酸塩系無機イオン交換体を併用した吸着剤と中空糸膜とからなり、活性炭とアルミノケイ酸塩系無機イオン交換体の比率を適切な範囲に調整した新規な浄水器であり、活性炭を大量に用いて十分な吸着性能を持たせながらコンパクトであり、これまで除去困難であった溶解性イオン性有害物質をも除去でき、更には、使用中の劣化による水の着色という問題のない画期的な浄水器である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の浄水器の一例の断面図を示す。
【符号の説明】
1 浄水器外容器
2 第1の浄水槽
3 樹脂枠
4 活性炭とアルミノケイ酸塩系無機イオン交換体積層吸着剤
5 樹脂枠
6 水道水流入口
7 第2の浄水槽
8 多孔質中空糸膜
9 流量センサー
10 流量表示及び制御部
11 吐水口
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-10-01 
出願番号 特願平6-3296
審決分類 P 1 651・ 121- YA (C02F)
P 1 651・ 113- YA (C02F)
最終処分 維持  
特許庁審判長 多喜 鉄雄
特許庁審判官 金 公彦
野田 直人
登録日 2003-03-28 
登録番号 特許第3413268号(P3413268)
権利者 三菱レイヨン株式会社
発明の名称 浄水器  
代理人 西 和哉  
代理人 鈴木 三義  
代理人 高橋 詔男  
代理人 志賀 正武  
代理人 志賀 正武  
代理人 青山 正和  
代理人 村山 靖彦  
代理人 村山 靖彦  
代理人 西 和哉  
代理人 青山 正和  
代理人 鈴木 三義  
代理人 高橋 詔男  

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