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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効とする(申立て全部成立) G01B
管理番号 1110365
審判番号 無効2002-35485  
総通号数 63 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-10-11 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-11-11 
確定日 2004-10-21 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3240549号発明「三次元座標測定装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3240549号の請求項16、28、29、73、83、85に記載された発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第3240549号についての手続の経緯の概要は以下のとおりである。
平成 8年 3月 4日 特許出願(優先権主張1995年3月3日、 米国)
平成13年10月19日 特許権の設定登録
平成14年11月11日 特許の無効の審判の請求
平成15年 2月27日 答弁書及び訂正請求書提出
平成15年 5月 9日 弁駁書提出
平成15年 8月 1日付 職権による無効理由通知
平成16年 2月 3日 平成15年2月27日付訂正請求書の取下書
平成16年 2月 3日 意見書及び訂正請求書提出
平成16年 2月18日付 訂正拒絶理由通知
平成16年 4月 8日 意見書及び手続補正書

第2.訂正の適否
1.補正の適否
(1)補正の内容
平成16年4月8日付手続補正書による補正は、平成16年2月3日付訂正請求書及び該訂正請求書に添付した訂正明細書を補正するものであるが、その内容はつぎのとおりである。
補正1:
平成16年2月3日付訂正請求書における訂正事項c.を削除する。
補正2:
同訂正請求書に添付した訂正明細書の請求項28の内容を、訂正前の請求項29の内容に戻す。
補正3:
同訂正明細書の段落【0025】に記載した請求項28の内容を訂正前の請求項29の内容に戻す。

(2)要旨変更の有無
補正1は、訂正事項cを削除する補正であるから、訂正請求書の要旨を変更する補正ではない。
そして、補正1により、訂正事項c(請求項29の訂正)は削除されたため、訂正前の請求項29はそのまま残ることなるが、平成16年2月3日付訂正請求書(第6頁第4行)には、「請求項28の削除により、請求項29以下の項番号を繰り上げました。」と記載されている。
してみれば、補正2、3は、補正1による訂正事項cの削除に伴い、訂正により新たに請求項28となった部分の記載内容を、訂正前の請求項29の記載内容に戻すものであることは明らかであるから、これらの補正は、補正1に伴って生じる補正というべきものであって、補正1と同様に、訂正請求書の要旨を変更する補正ではない。

(3)まとめ
以上のとおり、平成16年4月8日付手続補正書による補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではないので、該補正を認める。

2.訂正の内容
被請求人が求める訂正は、特許査定時の明細書を、平成16年4月8日付手続補正書により補正された訂正明細書のとおり訂正するものであって、その内容は、以下のとおりである。なお、アンダーラインは、請求項中の訂正箇所を明らかにするために、当審決において付したものである。
訂正事項1:
特許請求の範囲の請求項16を次のとおりに訂正する。
「【請求項16】三次元座標測定装置において、
両端に第1端部と第2端部とを備え、選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイントを含んだ可動アームであって、該各ジョイントは位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする可動アームと、
該可動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該可動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
前記トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、
を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。」とあるのを
「【請求項16】三次元座標測定装置において、
両端に第1端部と第2端部とを備えた可動アームであって、選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイントを含んでおり、それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき、該可動アームは端部作動器の3自由度を含む7自由度を有する可動アームであって、前記各ジョイントは位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする可動アームと、
該可動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該可動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
を含んでおり、前記可動アームは前記支持ベースに第1組の移動ハウジングを含んでおり、該第1組の移動ハウジングは1本の第1延長部材に接続されており、該第1延長部材は第2組の移動ハウジングに接続されており、該第2の移動ハウジングは1本の第2延長部材に接続されており、該第2延長部材は前記プローブの取り付けられた前記第2端部に接続されており、本三次元座標測定装置は、前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、
を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。」と訂正する。

訂正事項2:
特許請求の範囲の請求項28を削除し、同請求項29の項番号を「28」と訂正する。

訂正事項3:
特許請求の範囲の請求項30の項番号を「29」とすると共に、
「【請求項30】三次元測定装置において、
対向する第1端部と第2端部とを備え、第1ジョイント構造部と、第2ジョイント構造部と、第3ジョイント構造部とを含んだ手動アームであって、該第1ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第2ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第3ジョイント構造部は3自由度を有しており、選択範囲内で7自由度を提供し、それぞれのジョイント構造部は位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする手動アームと、
該手動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該手動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、
を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。」とあるのを、
「【請求項29】三次元測定装置において、
対向する第1端部と第2端部とを備え、第1ジョイント構造部と、第2ジョイント構造部と、第3ジョイント構造部とを含んだ手動アームであって、それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき、該第1ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第2ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第3ジョイント構造部は3自由度を有しており、選択範囲内で7自由度を提供し、それぞれのジョイント構造部は位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする手動アームと、
該手動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該手動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
を含んでおり、前記手動アームは前記支持ベースに第1組の移動ハウジングを含んでおり、該第1組の移動ハウジングは1本の第1延長部材に接続されており、該第1延長部材は第2組の移動ハウジングに接続されており、該第2の移動ハウジングは1本の第2延長部材に接続されており、該第2延長部材は前記プローブの取り付けられた前記第2端部に接続されており、本三次元座標測定装置は、 前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。」と訂正する。

訂正事項4:
特許請求の範囲の請求項31ないし請求項87の項番号を、それぞれ「30」ないし「86」に繰りあげる。

訂正事項5:
明細書の段落【0019】の記載を、
「請求項16に記載の発明は、「三次元座標測定装置において、両端に第1端部と第2端部とを備えた可動アームであって、選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイントを含んでおり、それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき、該可動アームは端部作動器の3自由度を含む7自由度を有する可動アームであって、前記各ジョイントは位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする可動アームと、
該可動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該可動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
を含んでおり、前記可動アームは前記支持ベースに第1組の移動ハウジングを含んでおり、該第1組の移動ハウジングは1本の第1延長部材に接続されており、該第1延長部材は第2組の移動ハウジングに接続されており、該第2の移動ハウジングは1本の第2延長部材に接続されており、該第2延長部材は前記ブローブの取り付けられた前記第2端部に接続されており、本三次元座標測定装置は、前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該ブローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。」である。」
と訂正する。

訂正事項6:
明細書の段落【0023】中、「請求項27に記載の発明は、「前記クランプはC形クランプであることを特徴とする請求項26記載の測定装置。」である。」の記載を削除する。

訂正事項7:
明細書の段落【0024】に「請求項28に記載の発明は、「三次元測定装置において・・・三次元座標測定装置。」である。」とあるのを、「請求項27に記載の発明は、「前記クランプはC形クランプであることを特徴とする請求項26記載の測定装置。」である。」と訂正する。

訂正事項8:
明細書の段落【0025】中、「請求項29に記載の発明は、」とあるのを、「請求項28に記載の発明は、」と訂正する。

訂正事項9:
明細書の段落【0026】の記載を、
「請求項29に記載の発明は、「三次元測定装置において、対向する第1端部と第2端部とを備え、第1ジョイント構造部と、第2ジョイント構造部と、第3ジョイント構造部とを含んだ手動アームであって、それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき、該第1ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第2ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第3ジョイント構造部は3自由度を有しており、選択範囲内で7自由度を提供し、それぞれのジョイント構造部は位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする手動アームと、該手動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、該手動アームの前記第2端部に取り付けられたプロープと、を含んでおり、前記手動アームは前記支持ベースに第1組の移動ハウジングを含んでおり、該第1組の移動ハウジングは1本の第1延長部材に接続されており、該第1延長部材は第2組の移動ハウジングに接続されており、該第2の移動ハウジングは1本の第2延長部材に接続されており、該第2延長部材は前記プロープの取り付けられた前記第2端部に接続されており、本三次元座標測定装置は、前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プロープの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。」である。」
と訂正する。

訂正事項10:
明細書の段落【0027】ないし【0055】に記載された請求項29以降の項番号をひとつづつ繰り上げる。

4.訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、及び実質的な特許請求の範囲の拡張あるいは変更の存否
訂正事項1について:
訂正事項1は、
1-1:請求項16中に「選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイントを含んだ可動アーム」とあるのを、「選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイントを含んでおり、それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき、該可動アームは端部作動器の3自由度を含む7自由度を有する可動アーム」とし、かつ、
1-2:可動アームについて、「前記可動アームは前記支持ベースに第1組の移動ハウジングを含んでおり、該第1組の移動ハウジングは1本の第1延長部材に接続されており、該第1延長部材は第2組の移動ハウジングに接続されており、該第2の移動ハウジングは1本の第2延長部材に接続されており、該第2延長部材は前記プローブの取り付けられた前記第2端部に接続されて」いるという構成を付加するものであるが、該訂正1-1、1-2はいずれも可動アームの構成を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
そして、上記可動アームの構成中、「それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき」る構成については、明細書の段落【0065】中の記載「しかし、ワイヤは全回転範囲全体を限定するため、不完全な球形の溝128が形成されて、その内部に端部ストップねじ130が配置されており、これが全回転を、この場合は330゜に制限する。」から明らかであり、また、「端部作動器の3自由度を含む7自由度を有する可動アーム」は、明細書の段落【0090】中に、「第3の好適なアーム構造(図23C)は、上記2つのアーム構造を組み合わせた利点を備え、7自由度を与える(2-2-3配置)。」と記載されている。さらに、1-2の構成は、明細書の段落【0060】に記載されている。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてした訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張しあるいは変更するものではない。

訂正事項2について:
訂正事項2は、請求項28を削除すると共に、請求項の項番号を繰り上げるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正及びそれに伴う明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてした訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張しあるいは変更するものではない。

訂正事項3について:
訂正事項3は、訂正前の請求項30において、
3-1:ジョイントについて、「それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき、」という構成を付加し、かつ、
3-2:可動アームについて、「前記可動アームは前記支持ベースに第1組の移動ハウジングを含んでおり、該第1組の移動ハウジングは1本の第1延長部材に接続されており、該第1延長部材は第2組の移動ハウジングに接続されており、該第2の移動ハウジングは1本の第2延長部材に接続されており、該第2延長部材は前記プローブの取り付けられた前記第2端部に接続されて」いるという構成を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
そして、「それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき」る構成については、明細書の段落【0065】中の記載「しかし、ワイヤは全回転範囲全体を限定するため、不完全な球形の溝128が形成されて、その内部に端部ストップねじ130が配置されており、これが全回転を、この場合は330゜に制限する。」から明らかであり、また、3-2構成については、明細書の段落【0060】に記載されている。
したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてした訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張しあるいは変更するものではない。

訂正事項4について:
訂正事項4は、請求項28の削除に伴い、請求項の項番号を繰り上げるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、また、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてした訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張しあるいは変更するものでもない。

訂正事項5び訂正事項9について:
訂正事項5及び訂正事項9は、特許請求の範囲の請求項16及び訂正前の請求項30を、それぞれ訂正事項1及び訂正事項3のように訂正することに伴い、明細書の記載との整合性を取るための訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、また、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてした訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張しあるいは変更するものでもない。

訂正事項6ないし8及び訂正事項10について、
請求項28の削除に伴い、明細書の記載との整合性を取るための訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、また、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてした訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張しあるいは変更するものでもない。

5.訂正請求に対する請求人の主張について
請求人は弁駁書において、「変更後の請求項16に記載された『可動アーム』は、『各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイント』及び『端部作動器に3自由度を含んだ7自由度』を有すると規定されている。ここで、『複数のジョイント』と『7自由度』との関係が不明確であるため、変更後の請求項16の『可動アーム』は、『各ジョイントを1自由度に対応させた複数(2以上)のジョイント』により提供される2以上の自由度に加えて、『端部作動器に3自由度を含んだ7自由度』を有するもの、すなわち『可動アーム』全体で9以上の自由度を有するものを包含するとも解釈できる。
一方、上記【0090】には、図23Cに示される2-2-3配置の、全体で7自由度を有するアームが記載されているのみであり、可動アームが9以上の自由度を有することは、願書に添付した明細書又は図面のどの部分にも記載されていない」から、上記請求項16の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてされていない故、本訂正請求は却下されるべきであると主張している。
これらの主張は平成15年2月27日付訂正請求書に対するものであるところ、該訂正請求は取り下げられたので、本来検討する必要のないものであるが、平成16年2月3日付訂正請求は平成15年2月27日付訂正請求とその内容において共通する部分が多いので、上記主張について検討しておく。
審判請求人も認めているように、特許明細書中には、全体で7自由度を有する可動アームは記載されているが、9以上の自由度を有する可動アームは、願書に添付した明細書又は図面のどの部分にも記載されていない。
以上の事実を踏まえた上で訂正後の請求項16を検討すると、訂正後の請求項16における「各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイント」と「端部作動器の3自由度を含む7自由度を有する」可動アームに9以上の自由度を有するものが含まれると解する余地はないと言うべきである。
したがって、請求人の、「『各ジョイントを1自由度に対応させた複数(2以上)のジョイント』により提供される2以上の自由度に加えて、『端部作動器に3自由度を含んだ7自由度』を有するもの、すなわち『可動アーム』全体で9以上の自由度を有するものを包含するとも解釈できる」とする主張は誤りであり、「『複数のジョイント』と『7自由度』との関係が不明確である」とも言えない。

6.無効の申し立てられていない請求項に対する独立特許要件について、
請求項16については上記訂正事項1のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正がなされた。
その結果、請求項16に直接或いは間接的に従属している無効の申し立てられていない次の請求項に係る発明に対する独立特許要件を検討する必要があるので、以下に検討する。
イ.請求項40
ロ.請求項41
ハ.請求項43、45、47、49、51、
53、55、57
ニ.請求項61
ホ.請求項63
ヘ.請求項65、67、69、71
ト.請求項75
チ.請求項77
リ.請求項79、81
イ.について、
「第4.当審における判断」で詳述する甲第1号証(刊行物1)ないし甲第5号証(刊行物5)には、請求項40の「少なくとも1体の調整可能な支柱が提供されており、前記支持ベースと測定対象物体との間の剛性と安定性とを提供」する構成が記載されておらず、請求項40に係る発明が、これらの甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明から容易に発明をすることができたものであるとは言えない。
ロ.について、
前記甲第1号証ないし甲第5号証には、請求項41の「端部作動器をCMMによって自動的に特定させる手段」が記載されておらず、請求項41に係る発明が、これらの甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明から容易に発明をすることができたものであるとは言えない。
ハ.について、
ロ.における判断と同様である。
ニ.について、
前記甲第1号証ないし甲第5号証には、請求項61の「位置信号は遠隔測定手法によって送信され、遠隔測定信号を介して前記ホストコンピュータで受信される」構成が記載されておらず、請求項61に係る発明が、これらの甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明から容易に発明をすることができたものであるとは言えない。
ホ.について、
前記甲第1号証ないし甲第5号証には、請求項63の「支持ベースは測定対象物の支持部材にまで延び出る支柱をさらに含んでおり、該支柱は前記可動アームと該測定対象物体との間の安定性を増大させ」る構成が記載されておらず、請求項63に係る発明が、これらの甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明から容易に発明をすることができたものであるとは言えない。
ヘ.について、
ホ.における判断と同様である。
ト.について、
前記甲第1号証ないし甲第5号証には、請求項75の「可動アーム、シリアルボックス及びコンピュータは遠隔測定信号送信機及び遠隔測定信号受信機を介して相互接続されている」構成が記載されておらず、請求項75に係る発明が、これらの甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明から容易に発明をすることができたものであるとは言えない。
チ.について、
前記甲第1号証ないし甲第5号証には、請求項77の「感圧プローブ」が記載されておらず、請求項77に係る発明が、これらの甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明から容易に発明をすることができたものであるとは言えない。
リ.について、
チ.における判断と同様である。

7.むすび
したがって、本件訂正は、特許法第134条第2項に規定する事項を目的とするものであり、平成15年改正前の特許法第134条第5項において準用する同法第126条第2〜4項に規定する要件に適合するので、本件訂正を認める。

第3.当事者の主張及び当審における無効理由通知の概要
1.請求人の主張の概要
請求人は、下記の甲第1号証ないし甲第5号証を提出し、次のように主張している。

甲第1号証:特開平7-4950号公報(当審における、無効理由に引用し た刊行物1)
甲第2号証:工業調査会発行 雑誌「機械と工具」vol.30、No.1 2、1986年 52頁〜59頁(同刊行物2)
甲第3号証:特開昭50-147351号公報(同刊行物3)
甲第4号証:特開昭57-73602号公報(同刊行物4)
甲第5号証:特表昭62-502569号公報(同刊行物5)
(1)本件特許の請求項16に係る発明は、甲第1〜4号証のそれぞれに記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものである。
(2)本件特許の請求項28に係る発明は、甲第2号証及び甲第3号証のそれぞれに記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものである。
(3)本件特許の請求項29に係る発明は、甲第3〜4号証に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
(4)本件特許の請求項30に係る発明は、甲第4号証に記載された発明と同一であり、また、甲第2〜4号証に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第1項第3号又は同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
(5)本件特許の請求項74に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものである。
(6)本件特許の請求項84、86に係る発明は、甲第1号証に基づき、必要に応じて甲第5号証に記載されるような周知慣用技術を参照することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

2.被請求人の答弁の概要
被請求人の答弁の趣旨は、答弁書と同時に提出した訂正請求書により訂正した特許請求の範囲の請求項16、28、29、73、83、85に係る発明に対し、下記の乙第1号証〜乙第2号証を提出して、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めるものである。
そしてその内容は、要約すると、先ず甲第3号証のものは乙第1号証〜乙第2号証に見るとおり、本件請求項16、28、29、73、83、85に係る発明とは異なる発明であるとしたうえで、
(1)請求項16、73、83、85に係る発明について、
甲号各証のいずれにも、本件発明の「端部作動器に3自由度を含んだ7自由度を有する可動アーム」が記載されていない。
(2)請求項28に係る発明について、
甲号各証のいずれにも2-2-2構造の可動アーム(数字は書くジョイント構造部の自由度を表す。以下、同様)について記載されていない。
(3)請求項29に係る発明について、
甲号各証のいずれにも2-1-3構造の可動アームについて記載されていない。
したがって、訂正後の特許請求の範囲の請求項16、28、29、73、83、85に係る発明は、上記甲号各証のいずれとも同一ではなく、また、甲号各証に示されたものを組み合わせ容易に発明をすることができたものでもない、というものである。

乙第1号証:特開昭57-46110号公報
乙第2号証:実願昭63-23058号(実開昭63-148808号)の マイクロフィルム

3.当審における無効理由通知の概要
平成15年8月1日付無効理由通知の概要は、
本件の訂正後の請求項16に係る発明は、刊行物4及び刊行物1に記載された発明から容易であり、
本件の訂正後の請求項28に係る発明は、刊行物3及び刊行物1に記載された発明から容易であり、
本件の訂正後の請求項29に係る発明は、刊行物4及び刊行物1に記載された発明から容易であり、
本件の訂正後の請求項73に係る発明は、刊行物4及び刊行物1に記載された発明から容易であり、
本件の訂正後の請求項83に係る発明は、刊行物4及び刊行物1に記載された発明から容易(「タッチプローブ」は周知)であり、
本件の訂正後の請求項85に係る発明は、刊行物4及び刊行物1に記載された発明から容易(自動スイッチ構成を有する接触プローブは周知)であり、
いずれも特許法第29条第2項により特許を受けることができないものであるから、これらの請求項に係る特許は、同条同項の規定に違反して特許されたものであるというものである。

第4.当審における判断
1.本件発明
「第2.訂正の適否」に記載したごとく、本件の訂正請求は認められるので、請求人が無効の審判を請求した請求項28は削除されるとともに、同請求項16、請求項29、請求項30、請求項74、請求項84及び請求項86に係る発明は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項16、28、29、73、83、85に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(以下、それぞれ「本件発明16」、「本件発明28」、「本件発明29」、「本件発明73」、「本件発明83」及び「本件発明85」という。)
「【請求項16】三次元座標測定装置において、
両端に第1端部と第2端部とを備えた可動アームであって、選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイントを含んでおり、それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき、該可動アームは端部作動器の3自由度を含む7自由度を有する可動アームであって、前記各ジョイントは位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする可動アームと、
該可動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該可動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
を含んでおり、前記可動アームは前記支持ベースに第1組の移動ハウジングを含んでおり、該第1組の移動ハウジングは1本の第1延長部材に接続されており、該第1延長部材は第2組の移動ハウジングに接続されており、該第2の移動ハウジングは1本の第2延長部材に接続されており、該第2延長部材は前記プローブの取り付けられた前記第2端部に接続されており、本三次元座標測定装置は、前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。」
「【請求項28】三次元測定装置において、
対向する第1端部と第2端部とを備え、第1ジョイント構造部と、第2ジョイント構造部と、第3ジョイント構造部とを含んだ手動アームであって、該第1ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第2ジョイント構造部は1自由度を有しており、該第3ジョイント構造部は3自由度を有しており、選択範囲内で6自由度を提供し、それぞれのジョイント構造部は位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする手動アームと、
該手動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該手動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、
を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。」
「【請求項29】三次元測定装置において、
対向する第1端部と第2端部とを備え、第1ジョイント構造部と、第2ジョイント構造部と、第3ジョイント構造部とを含んだ手動アームであって、それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき、該第1ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第2ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第3ジョイント構造部は3自由度を有しており、選択範囲内で7自由度を提供し、それぞれのジョイント構造部は位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする手動アームと、
該手動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該手動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
を含んでおり、前記手動アームは前記支持ベースに第1組の移動ハウジングを含んでおり、該第1組の移動ハウジングは1本の第1延長部材に接続されており、該第1延長部材は第2組の移動ハウジングに接続されており、該第2の移動ハウジングは1本の第2延長部材に接続されており、該第2延長部材は前記プローブの取り付けられた前記第2端部に接続されており、本三次元座標測定装置は、
前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。」
「【請求項73】前記可動アームに連続的作動可能に接続されたシリアルボックスとコンピュータとを含んでいることを特徴とする請求項16記載の測定装置。」
「【請求項83】前記プローブは接触プローブであることを特徴とする請求項16記載の測定装置。」
「【請求項85】前記接触プローブは自動スイッチを提供することを特徴とする請求項83記載の測定装置。」

2.各刊行物に記載の発明
(1)刊行物1(特開平7-4950号公報)
刊行物1には次の事項が記載されている。
a.「【請求項1】 向かい合っている第1及び第2の端部を有する移動性腕と、該腕は、各ジョイントが、該腕が選択された体積内で移動可能であるような自由度に対応する複数のジョイントを含み、該ジョイントのそれぞれは、ケース位置変換器手段のための回転する伝達ケースを具備し、該変換器手段は位置信号を形成することと、該移動性腕の該第1端部に取り付けられている支持台と、該移動性腕の該第2端部に取り付けられているプローブと、及び該変換器手段からの位置信号を受け、選択された体積内の該プローブの位置に対応するデジタル座標を与える電子回路手段と、を具備する三次元座標測定システム。」
b.「【請求項19】 該腕と連結し、かつ該電子回路手段の一部分を少なくとも含む別個の部分からなるシリアルボックスを含み、該シリアルボックスが、該位置データをホストコンピュータに伝達するに先立って位置データを予備処理するためのマイクロプロセッサ手段を含む請求項1の測定システム。」
c.「【0016】一般的に(そして下記により詳細に論じられるように)、位置感知変換器は6個の伝達ケース40、42、46、48、52、及び54のそれぞれに装着されている。」
d.「【0020】・・・しかしながら、ワイヤは完全に回転する総合能力を制限するので、完全回転、この場合330゜、を制限する終止端ねじ130を配置している不完全な球形の溝128が作られている。」
e.「【0034】シリアルボックスは、PC、MSDOS、Windows、Unix、Apple、VME等を含む種々のホストフォーマットと連絡するように形成されている。このように、シリアルボックスは、オンゴーイングベース上の生の変換器データを処理し、所望の三次元の位置又は配置情報を有するホストコンピュータの情報要求又はポーリングに応答する。」
f.「【0015】・・・さて図1及び4-9を参照して、CMM10を詳細に説明する。図5に最良に示すように、CMM10は、第2の伝達ケース42(ケース40を横断して配置されている)に接続されている第1の伝達ケース40を含む2個の伝達ケースの第1の組に接続されている台14を具備している。第1の伸長部材44は、第4の伝達ケース48に横断的に取り付られている第3の伝達ケース46を含む2個の伝達ケースの第2の組に不動に取り付けられている。第1の伸長部材44は伝達ケース42と46の間に直角的に配置されている。第2の伸長部材50は伝達ケース48と一直線に、かつ不動に取り付けられている。固定の伸長部材50は、第6の伝達ケース54に横断的に取り付られている第5の伝達ケース52を含む2個の伝達ケースの第3の組に不動に取り付けられている。第6の伝達ケース54はそれに取り付けられたハンドル/プローブ組立体56を有する。」
上記記載に依れば、刊行物1に記載のものは、本件発明と同様、3次元座標測定装置に関し、
(ア)複数のジョイントで結合された腕を有し、各ジョイントには位置感知器が伝達ケースに装着されていること、
(イ)シリアルボックスを有し、該シリアルボックスは、位置感知器からのデータを処理し、ホストコンピュータからの情報要求に応じて三次元の位置に対応するデジタル座標を出力すること、
(ウ)移動性腕は台14に接続されている第1の伝達ケース40、第2の伝達ケース42を含んでおり、該第1の伝達ケース40、第2の伝達ケース42は1本の第1の伸張部材44に接続されており、該第1の伸張部材44は第3の伝達ケース46、第4の伝達ケース48に取り付けられており、第3の伝達ケース46、第4の伝達ケース48は1本の第2の伸張部材50に接続されており、該第2の伸張部材は50はハンドル/プローブ組立体56の取り付けられた第2端部に接続されていること、
が記載されていると認められる。

(2)刊行物2(雑誌「機械と工具」vol.30,No.12 1986年)
刊行物2には、次の事項が記載されている。
a.「多関節形三次元測定機(以下、VECTORONという)(写真1)はこのような測定をロボット形の機構を採用することにより可能とした。」(52頁左欄7行〜10行)
b.「VECTORONは、多関節形測定アームの6自由度と・・・」(52頁左欄11行〜12行)
c.「測定アームは、屈曲回転自在な3本のアームから構成されている。各アームの機能を人間の腕に例えれば、第1アーム(R1)は「二の腕」、第2アーム(R2)は「ひじ」、検出ヘッドアーム(R3)は「手」、プローブは「指」に相当する。また、測定アームを支持し回転するヘッド部は「肩」といえる。これらのアームは、ピンジョイント方式の関節機構により接続され、ねじり運動(θ1〜3)と曲げ運動(Φ1〜3)を行なう。さらに、関節部はねじり、曲げ運動を単に与えるだけでなく、回転角度を検出するロータリエンコーダを内蔵している。プローブ先端の1点Pの座標は、各ロータリエンコーダから得られる角度検出信号(θ1〜3、Φ1〜3)とアーム長(R1〜3)から、専用のコンピュータで直交座標(X,Y,Z)に変換し、・・・出力表示する。各関節部は測定アーム先端の微小変位を充分な感度で検出するために、歯車を用いた増速機構とロータリエンコーダを組み合わせている。」(54頁左欄3行〜20行)
上記記載を図1を参酌しながら見ると、刊行物2には次の発明が記載されているものと認められる。
「多関節形三次元測定機において、
対向する第1端部と第2端部とを備え、第1関節(θ1)及び第2関節(Φ1)と、第3関節(θ2)及び第4関節(Φ2)と、第5関節(θ3)及び第6関節(Φ3)とを含んだ測定アームであって、該第1関節(θ1)及び第2関節(Φ1)は2自由度を有しており、該第3関節(θ2)及び第4関節(Φ2)は2自由度を有しており、該第5関節(θ3)及び第6関節(Φ3)は2自由度を有しており、選択された体積内で6自由度を提供し、それぞれの関節部はロータリエンコーダを含んでおり、該ロータリエンコーダは角度検出信号を発生させる測定アームと、
該測定アームの前記第1端部に取り付けられたコラムと、
該測定アームの第2端部に取り付けられたプローブと、
前記ロータリエンコーダから前記角度検出信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置に対応した直交座標(X,Y,Z)を発生させるコンピュータと、
を含んでいる多関節形三次元測定機。」(以下、「刊行物2に記載された発明」という。)

(3)刊行物3(特開昭50-147351号公報)
刊行物3には次の事項が記載されている。
a.「この発明は対象物の位置の測定に関するもので、特に角度関係の測定に関するものである。この発明の方法および装置はベクトルの測定、すなわち基準システムに対するベクトルの方向および座標位置のいずれか一方または双方の測定のために採用される。」(公報2頁左下欄下から6行〜末行)
b.「第1図の測定機は第1軸線Aのまわりを回転するように作業台12に装設された第1のリンク20を含む。第2のリンク22は軸線Aに垂直な第2の軸線Bのまわりを回転するように第1のリンク20に軸支的に結合される。第3のリンク24は第3の軸線Cのまわりを回転するように第2のリンク22に軸支される。第4のリンク26(第3図参照)は軸線Cに垂直なかつ第3のリンク24の軸線と一致する第4の軸線Dのまわりを回転するように第3のリンク24内に回転自在に装設される。第4のリンク26は第4の軸線Dに垂直な第5の軸線Eのまわりを回転するように第5のリンク28を保持する。第2、第3および第5のリンクの各々はその隣接リンクに対してほぼ360゜の回転を有する。第1のリンク22は支持体に対して完全に360度の回転が可能でありかつ第4のリンクも第3のリンクに対して完全に360度の回転が可能で、それによって比較的小さい寸法の測定機がかなり大きい寸法の対象物上で測定を行うことができる。
動作ヘッド30が第5のリンク28に対してかつそれによって固定された配向で保持される。」(3頁右下欄下から4行〜4頁左上欄下から3行)
c.「ある点の方向および/または座標位置の各測定のために、5つの角度が読まれる。これらの角度は5つの軸線A、B、C、DおよびEを中心とするいくつかのリンクの回転の角度である。第1の角度トランスデューサは作業台12に対する第1のリンク20の回転の角度を読むために設けられる。第2の角度トランスデューサはリンク20に対するリンク22の回転の角度を読むために設けられる。第3、第4および第5の角度トランスデューサはそれぞれ第2、第3および第4のリンクに対する第3、第4および第5のリンクの回転を独立に読むために設けられる。」(5頁左上欄3行〜14行)
d.「いくつかのリンクの既知の長さとともに、いくつかの角度をそれぞれあらわすこれらの電気信号は、動作ヘッド方向軸線の方向角度または方向余弦およびその座標位置の双方を集合的に規定する。方向余弦および座標位置は作業台10に平行な面にあるXおよびY軸線を有しかつXY面に垂直でかつA回転軸線と整列したZ軸線を有する基準座標システムで規定される。」(5頁左上欄下から2行〜右上欄6行)
e.「さて、第1図ないし第9図に示される機器の構造を参照して、測定機器の第1のリンク20は固定柱50(第7図)に保持され、この固定柱50は作業台12に対して強固に装着されかつそこから直立しその下端および上端において軸受51および52を保持し第1管状リンク54を回動自在に装着する。」(7頁左上欄14行〜20行)
f.「回動自在のリンク54の上端には上方延長部64が固定され、この上方延長部64は端部ブロック66を固定的に保持し、そこに第2角度トランスデューサ68が装設される。角度トランスデューサ68は入力歯車70を有し、この入力歯車70は第2の管状リンク76を強固に保持するピボットブロック74に固定された歯車72と噛合しかつそれによって駆動される。ピボットブロック74はB軸線を中心に回転するように端部ブロック66上に軸受される。」(7頁右上欄4行〜13行)
g.「さて第1図および第3図を参照して、第2の管状リンク76は端部ブロック78を固定的に保持し、その上にピボットブロック82が軸受80によって軸受され、ピボットブロック82はC軸線を中心として回転するように第3の管状リンク84を固定的に保持する。」(7頁右上欄下から4行〜左下欄2行)
h.「第3の管状リンク84に対してかつその中でD軸線(第3リンク84の軸線と整列される)を中心に前記管状リンク84に対して回転するように第4のリンク100が回転自在に軸受される。リンク100は軸受102、104によってリンク84およびその端部ブロック94と同軸にかつその中に装設される。」(7頁左下欄12行〜18行)
i.「管状リンク116のピボットブロック114はE軸線を中心に回転するように軸受118によって第4のリンク100の端部ブロック106に軸受される。」(7頁右下欄4行〜7行)
j.「いくつかの角度トランスデューサはリゾルバまたは角度位置エンコーダのような従来の角度測定機器であって、それは入力角度変位を表わす電気出力信号を与える。従って5つの角度トランスデューサ62、68、90、96および108の電気信号出力が上述の等式における角度A、B、C、DおよびEを表わす信号を与える。」(8頁左上欄下から4行〜右上欄3行)
k.「5つの角度センサの各々からの電気信号出力は・・・アナログまたはディジタルの形で直接記録され、または後の利用のために記録されまたは表示される。これに代わる方法として、適宜の計算に用いるためにアナログまたはデイジタルコンピュータのようなデータ処理機械に直接与えてもよい。」(8頁左下欄2行〜13行)
l.「測定すべきベクトルは軸線A、B、C、DおよびEについて、5つの図示された回転自由度での角度回転によって基準座標システムで完全に規定することができるけれども、ベクトルを規定する等式に6つまたはそれを越える角度での相当する変化を行うことによって6つまたはそれを越える自由度を用いることができることが容易に理解されよう。例えば動作ヘッドは、最終アーム28に固定される代わりに軸線Eに対して並列な、垂直な、またはある角度で延びる軸線を中心にアーム28に対して軸支してもよい。そのような第6軸線を中心とする回転の角度の読み出しのための角度センサもまた設けられよう。」(13頁右下欄4行〜16行)
上記記載から、次の事項が読みとれる。
(ア)アームは、第1のリンク20、第2のリンク22、第3のリンク24、第4のリンク26、最終アーム(第5のリンク)28からなり、その両端に固定柱50と動作ヘッド30を備えている。
(イ)第1のリンク20は軸受51、52によって固定柱50に回動自在に支持され、また、第2のリンク22とピボットブロック74を介して回動自在に結合されている。したがって、これら軸受51、52、ピボットブロック74は2自由度を有することになる。
(ウ)第2のリンク22はピボットブロック82を介して第3のリンク24と結合しており、ピボットブロック82の自由度は1である。
(エ)第3のリンク24と第4のリンク26は軸受102、104を介して回動自在に結合されており、第4のリンクと最終アーム28とは軸受118を介して結合されており、また、記載l.に依れば、動作ヘッド30は最終アームに対して第6軸線の周りに回動自在に軸支手段により軸支されているから、該軸受102、104、軸受118、該軸支手段の自由度は3である。
以上のことを考慮すると、刊行物3には次の発明が記載されているものと認められる。
「位置測定機器において、
対向する第1端部と第2端部とを備え、軸受51、52及びピボットブロック74と、ピボットブロック82と、軸受102、104、軸受118、軸支手段とを含んだ関節アームであって、該軸受51、52及びピボットブロック74は2自由度を有しており、該ピボットブロック82は1自由度を有しており、該軸受102、104、軸受118、軸支手段は3自由度を有しており、選択範囲内で6自由度を提供し、軸受51、52及びピボットブロック74と、ピボットブロック82と、軸受102、104、軸受118、軸支手段は、それぞれ角度トランスデューサ62、68、90、96、108及び上記軸支手段に対応する角度トランスデューサを有しており、これらの角度トランスデューサは回転角度信号を発生させるようにした関節アームと、
該関節アームの前記第1端部に取り付けられた固定柱50と、
該関節アームの前記第2端部に取り付けられた動作ヘッド30と、
前記角度トランスデューサから前記回転角度信号を受け取って選択範囲内で該動作ヘッドの位置及び方向余弦とに対応した座標を発生させるデータ処理機械と、
を含んでいる位置測定機器。」(以下、「刊行物3に記載された発明」という。)

(4)刊行物4(特開昭57-73602号公報)
刊行物4には次の事項が記載されている。
a.「本発明の対象となる立体座標測定器は、剛性を有する複数のアームを互いに回動自在に連結し、末端のアーム端部を被測定点に当接させた場合に得られる各連結部分の回動量と各アームの長さとにより該被測定点を求める極座標方式の立体座標測定器である。」(公報2頁右上欄下から3行〜左下欄3行)
b.「まず、極座標方式の立体座標測定器について、各アームの中心軸と連結部の回動軸との相互関係を示す第1図と、本発明の実施例を示す第2図とにより簡単に説明する。作業台1の上面に垂直に設けられ、ハンドル2の操作により上下動自在な第一アーム3の上端部には、該アーム3の中心軸Aを中心として矢印a方向に回転する回転台4が設けられ、該回転台4に設けられた上記軸Aと直角に交わる軸Bには、該軸Bを中心として矢印b方向に回動する第二アーム5が枢着されている。該第二アーム5の中心軸Cは上記軸Aと軸Bとの交点に於いて軸Bと直角に交わっており、第二アーム5の先端部に設けられ軸Cと直角に交わる軸Dには、該軸Dを中心として矢印d方向に回動する第三アーム6が枢着され、該第三アーム6の先端部に設けられ第三アーム6の中心軸Eと直角に交わる軸Fには該軸Fを中心として矢印f方向に回転自在な検出アーム7が枢着されている。各回動部分には、矢印a〜f方向に亘る各軸のなす角度を検出する測角器が設けられており、検出アーム7の先端部に設けた触針8の先端を被測定点に当接させ、上記角度をコンピュータに入力すれば、各軸間距離と該角度とから被測定点の立体座標が求められる。」(2頁左下欄4行〜右下欄9行)
c.「第2図は本発明の立体座標測定器の実施例を示している。作業台1上に垂直に植立された支柱9の上部に固設したガイド10には、中空の第一アーム3が上下方向の摺動のみを自在として嵌合している。該第一アーム3の上端には回転台4が設けられ、更に第二アーム5,第三アーム6,検出アーム7がそれぞれ回動自在に連結されている」(3頁右上欄8行〜15行)
d.「上述のように構成される各アームの回転部分には、回転前後に於ける角度の差を検出する比較型角度検出器(図示せず)が組み込まれている。各角度検出器の出力はリバーシブルカウンタを経て極座標-直交座標変換用のコンピュータに入力される。」(3頁右下欄下から4行〜4頁左上欄2行)
e.「また、立体座標測定器の触針8を被測定点に当接させる作業をより容易にするために、第二アーム5,第三アーム6,検出アーム7を途中で2分割し、それぞれ先半部が基半部に対し各アームの中心軸C、E、Gを中心として360度回動できるように構成し、これらの回動角度も角度検出器により測定する場合があるが、・・・」(4頁左下欄末行〜右下欄6行)
上記アームの各部は互いにジョイントにより結合されているものと捉えられるが、アームに対し、上記e.に記載されている構成を採用した場合のアームが有する自由度について検討する。
(ア)「第一アーム3の上端部には、該アーム3の中心軸Aを中心として矢印a方向に回転する回転台4が設けられ、該回転台4に設けられた上記軸Aと直角に交わる軸Bには、該軸Bを中心として矢印b方向に回動する第二アーム5が枢着されている」(上記b.の記載参照)ことから、第一アーム3と回転台4とを結合するジョイントは自由度1を有し、回転台4と第二アームとを結合するジョイントは自由度1を有するものと解される。
(イ)「第二アーム5の先端部に設けられ軸Cと直角に交わる軸Dには、該軸Dを中心として矢印d方向に回動する第三アーム6が枢着され」(上記b.)ており、かつ、第二アーム5は、先半部が基半部に対しアームの中心軸Cを中心として回動する(上記e.)結果、第二アームの先半部と基半部とを結合するジョイントは自由度1を有し、第二アーム5と第三アーム6とを結合するジョイントは自由度1を有するものと解される。
(ウ)「第三アーム6の中心軸Eと直角に交わる軸Fには該軸Fを中心として矢印f方向に回転自在な検出アーム7が枢着されて」(上記b.)おり、かつ、第三アーム6を途中で2分割し、先半部が基半部に対しアームの中心軸Eを中心として回動できるように構成している(上記e.)のであるから、第三アーム6先半部と基半部とを結合するジョイントは自由度1を有し、第三アーム6と検出アーム7とを結合するジョイントは自由度1を有するものと解される。
(エ)検出アーム7を途中で2分割し、先半部が基半部に対しアームの中心軸Gを中心として360度回動できるように構成した(上記e.)のであるから、検出アーム7の先半部と基半部とを結合するジョイントは自由度1を有するものと解される。
(オ)上記c.の記載に依れば、第二アーム5,第三アーム6,検出アーム7が回転台4を介して第一アーム3に対して回動自在に取り付けられており、また、上記b.の記載に依れば、検出アーム7の先端部には触針8が設けられていることが分かる(以下、回転台4、第二アーム5,第三アーム6,検出アーム7、先端部を一括して「回動アーム」という。)。
以上の記載事項から、回動アームは、ジョイントの総数に相当する7自由度を有することになるが、そのことは、すなわち、触針8が7自由度を有することを意味している。
そこで、上記回動アームの自由度について子細に見ると、
(カ)第二アーム5基半部は、第一アーム3と回転台4とを結合するジョイント及び回転台4と第二アームとを結合するジョイントの2つのジョイントで結合されているから、その自由度は2である。
(キ)第三アーム6基半部は、第二アームの先半部と基半部とを結合するジョイント及び第二アーム5と第三アーム6とを結合するジョイントで結合されているから、その自由度は2である。
(ク)検出アーム先端部は、第三アーム6先半部と基半部とを結合するジョイント、第三アーム6と検出アーム7とを結合するジョイント及び検出アーム7の先半部と基半部とを結合するジョイントで結合されているのであるから、その自由度は3である。
すなわち、上記回動アームは2-2-3構造の自由度として表現できるものであって、検出アーム先端部が自由度3を含んでおり、回動アーム全体では7自由度を有していると表現することもできる。

以上のことを考慮すると、刊行物4には次の発明が記載されていると認められる。
(刊行物4に記載された発明1)
「立体座標測定器において、
両端に第1端部と第2端部とを備え、選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度に対応させた7つのジョイントと検出アーム7の先端部に3自由度を含んだ7自由度を有する回動アームであって、該各ジョイントは角度検出器を有しており、該角度検出器は回動角度を表す信号を発生させるようにした回動アームと、
該回動アームの前記第1端部に取り付けられた第一アーム3と、
該回動アームの前記第2端部に取り付けられた触針8と、
前記角度検出器から前記回動角度を表す信号を受け取って、選択範囲内で該触針8の位置に対応した立体座標を発生させるコンピュータと、
を含む立体座標測定器。」(以下、「刊行物4に記載された発明1」という。)
また、刊行物4には次の発明が記載されていると認められる。
(刊行物4に記載された発明2)
「立体座標測定器において、
対向する第1端部と第2端部とを備え、第一アーム3と回転台4とを結合するジョイント及び回転台4と第二アームとを結合するジョイント、第二アームの先半部と基半部とを結合するジョイント及び第二アーム5と第三アーム6とを結合するジョイント、第三アーム6先半部と基半部とを結合するジョイントと第三アーム6と検出アーム7とを結合するジョイント及び検出アーム7の先半部と基半部とを結合するジョイントとを含んだ回動アームであって、該第一アーム3と回転台4とを結合するジョイント及び回転台4と第二アームとを結合するジョイントは2自由度を有しており、該第二アームの先半部と基半部とを結合するジョイント及び第二アーム5と第三アーム6とを結合するジョイントは2自由度を有しており、該第三アーム6先半部と基半部とを結合するジョイントと第三アーム6と検出アーム7とを結合するジョイント及び検出アーム7の先半部と基半部とを結合するジョイントは3自由度を有しており、選択範囲内で7自由度を提供し、それぞれのジョイントは角度検出器を有しており、該角度検出器は回動角度を表す信号を発生させるようにした回動アームと、
該回動アームの前記第1端部に取り付けられた第一アーム3と、
該回動アームの前記第2端部に取り付けられた触針8と、
前記角度検出器から前記回動角度を表す信号を受け取って、選択範囲内で該触針8の位置に対応した立体座標を発生させるコンピュータと、
を含む立体座標測定器。」(以下、「刊行物4に記載された発明2」という。)

3.対比・判断
(1)本件発明16について
本件発明16と刊行物4に記載された発明1とを対比すると、
・「端部作動器」について、
本件特許明細書中、段落番号【0090】に、「端部作動器(手首)」、「ハンドル/プローブアセンブリ56は人間の手首に相当する」と記載されていることから見て、「端部作動器」とは、具体的にはハンドル/プローブアセンブリ56を指すものと理解できる。
そして、該ハンドル/プローブアセンブリ56にプローブが取り付けられている(例えば段落番号【0097】の記載参照)のであるから、該記載をも併せ考慮すると、結局、刊行物4に記載された発明1における「検出アーム7の先端部」が本件発明16における「端部作動器」に相当するものであると言える。
・「電子回路」について、
本件発明16における「プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路」には、本件明細書の記載「シリアルボックスは、進行中に生トランスジューサデータを処理して、ホストコンピュータの情報要求またはポーリングに対して所望の三次元位置または方位情報で応答する。」(段落番号【0078】)の記載を参酌すれば、ホストコンピュータとは別に設けたシリアルボックスも含まれることになる。一方、該電子回路に対応する刊行物4に記載された発明1におけるものは、コンピュータである点で相違があるとも捉えられるが、そもそもホストコンピュータに別設して位置に対応するデジタル座標を発生させるシリアルボックスを設ける構成は、刊行物1に記載されているとおり(刊行物1の記載事項(イ)参照)本件出願前にすでに周知であるから、この点をあえて相違点として挙げるほどのものではない。

したがって、刊行物4に記載された発明1における
「立体座標測定器」、「7つのジョイント」、「回動アーム」、「角度検出器」、「第一アーム3」、「触針8」、「回動角度を表す信号」、「立体座標」、「コンピュータ」は、それぞれ本件発明16における「三次元座標測定装置」、「複数のジョイント」、「可動アーム」、「位置トランスジューサ」、「支持ベース」、「プローブ」、「位置信号」、「デジタル座標」、「電子回路」に相当し、両者は、
「三次元座標測定装置において、
両端に第1端部と第2端部とを備え、選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイントと端部作動器に3自由度を含んだ7自由度を有する可動アームであって、該各ジョイントは位置トランスジューサを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させるようにした可動アームと、
該可動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該可動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
前記トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置に対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、
を含んでいる三次元座標測定装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:
本件発明16では、
(1-1)「各ジョイントは位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んで」おり、かつ、
(1-2)「可動アームは前記支持ベースに第1組の移動ハウジングを含んでおり、該第1組の移動ハウジングは1本の第1延長部材に接続されており、該第1延長部材は第2組の移動ハウジングに接続されており、該第2の移動ハウジングは1本の第2延長部材に接続されており、該第2延長部材は前記プローブの取り付けられた前記第2端部に接続されて」いるのに対し、刊行物4に記載された発明1では、この点が明記されていない点。

相違点2:
本件発明16では、電子回路は、「プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる」のに対し、刊行物4に記載された発明1では、プローブの位置に対応したデジタル座標を発生させるものである点。

相違点3:
本件発明16では、「それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき」るのに対し、刊行物4に記載された発明1では、この点明記されていない点。

そこで、上記相違点につき、以下に検討する。
相違点1について:
(1-1)刊行物1には、複数のジョイントで結合された腕を有し、各ジョイントには位置感知器が伝達ケース(「回転移動ハウジング」に相当)に装着されていることが記載されている。(刊行物1の記載事項(ア)参照)
また、刊行物1には、
(1-2)移動性腕(可動アームに相当する)は台14(支持ベース)に接続されている第1の伝達ケース40、第2の伝達ケース42(第1組の移動ハウジング)を含んでおり、該第1の伝達ケース40、第2の伝達ケース42は1本の第1の伸張部材44(第1延長部材)に接続されており、該第1の伸張部材44は第3の伝達ケース46、第4の伝達ケース48(第2組の移動ハウジング)に取り付けられており、第3の伝達ケース46、第4の伝達ケース48は1本の第2の伸張部材50(第2延長部材)に接続されており、該第2の伸張部材は50はハンドル/プローブ組立体56(プローブ)の取り付けられた第2端部に接続されている構成が記載されている(刊行物1の記載事項(ウ)参照)以上、刊行物4に記載された発明1における位置トランスジューサを回転移動ハウジングに収納する構成とし、かつ、腕を刊行物1に記載された上記構成とすることは、当業者が容易に想到し得るところと認められる。

相違点2について:
本件発明16において、電子回路が「プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる」構成に対応する記載として、詳細な説明中に、「【0078】シリアルボックスは、PC、MSDOS、ウインドウズ、Unix、Apple、VME等を含む様々なホストフォーマットと通信できる構造である。このため、シリアルボックスは、進行中に生トランスジューサデータを処理して、ホストコンピュータの情報要求またはポーリングに対して所望の三次元位置または方位情報で応答する。」とい記載が見受けられるが、該記載を見ると、上記「プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる」とは、ホストコンピュータが三次元位置あるいは方位を要求した場合に、それに応じて電子回路が対応する三次元位置あるいは方位情報で応答するという意味に解される。
ところで、刊行物1中の記載(摘記事項e)と、本件明細書の段落番号【0078】における上記記載とを比較すると、(訳文の若干の違いは見受けられるものの)同一の技術内容を記述したものであることは疑いないところである。
そうすると、刊行物1には、本件発明16に係る発明における、電子回路は「プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる」構成が記載されていることになり、該構成を刊行物4に記載された発明1に適用すことに格別の創意を要したものとは認められない。

相違点3について:
刊行物4にも、一部のジョイントではあるが360度回動できる旨の記載があり(摘記事項e)、また、この種の座標測定器においては、ジョイントが90度を超える角度で回転できるようにすることは、普通に採用される構成である(例えば、刊行物1の摘記事項d、刊行物3の摘記事項b等を参照)から、刊行物4に記載された発明において、それぞれのジョイントが90度を超える角度で回転できる構成とすることは、当業者が容易になし得ることに過ぎない。

まとめ:
以上のとおりであるから、本件発明16は、本件出願前に頒布された刊行物4及び刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本件発明28について
本件発明28中の「電子回路」について、本件発明16について上記した点を考慮しつつ、本件発明28と刊行物3に記載された発明とを対比すると、
刊行物3に記載された発明における
「位置測定機器」、「軸受51、52及びピボットブロック74」、「ピボットブロック82」、「軸受102、104、軸受118、軸支手段」、「角度トランスデューサ62、68、90、96、108及び上記軸支手段に対応する角度トランスデューサ」、「回転角度信号」、「関節アーム」、「固定柱50」、「位置及び方向余弦」、「データ処理機械」は、それぞれ、 本件発明28の
「三次元測定装置」、「第1ジョイント構造部」、「第2ジョイント構造部」、「第3ジョイント構造部」、「位置トランスジューサ」、「位置信号」、「手動アーム」、「支持ベース」、「位置と方位とに対応したデジタル座標」、「電子回路」、に相当し、本件発明28における「プローブ」も刊行物3に記載された発明における「動作ヘッド」も共に「ヘッド」であるから、両者は、
「三次元測定装置において、
対向する第1端部と第2端部とを備え、第1ジョイント構造部と、第2ジョイント構造部と、第3ジョイント構造部とを含んだ手動アームであって、該第1ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第2ジョイント構造部は1自由度を有しており、該第3ジョイント構造部は3自由度を有しており、選択範囲内で6自由度を提供し、それぞれのジョイント構造部は位置トランスジューサを有しており、該位置トランスジューサは位置信号を発生させる手動アームと、
該手動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該手動アームの前記第2端部に取り付けられたヘッドと、
前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該ヘッドの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、
を含んでいる三次元座標測定装置。」
で一致し、下記の点で相違する。

相違点4:
本件発明28では、「それぞれのジョイント構造部は位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んで」いるが、刊行物3に記載された発明では、この点明記されていない点。

相違点5:
ヘッドについて、本件発明28では、「プローブ」であるのに対し、刊行物3に記載された発明では、「動作ヘッド」である点。

そこで、これらの相違点について検討する。
相違点4について:
前項の記載した相違点1(1-1)に対する判断と同様である。

相違点5について:
三次元測定装置において、アーム先端にプローブを設けたものは周知であるから、刊行物3に記載された発明において、アーム先端部の動作ヘッドに代えて、プローブを設けることにより本件発明28の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るところと認められる。

まとめ:
以上のとおりであるから、本件発明28は、本件出願前に頒布された刊行物3及び刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)本件発明29について
本件発明29中の「電子回路」について、本件発明16について上記した点を考慮しつつ、本件発明29と刊行物4に記載された発明2とを対比すると、
刊行物4に記載された発明2における
「第一アーム3と回転台4とを結合するジョイント及び回転台4と第二アームとを結合するジョイント」、「第二アームの先半部と基半部とを結合するジョイント及び第二アーム5と第三アーム6とを結合するジョイント」、「第三アーム6先半部と基半部とを結合するジョイントと第三アーム6と検出アーム7とを結合するジョイント及び検出アーム7の先半部と基半部とを結合するジョイント」、「回動アーム」は、それぞれ、本件発明29の「第1ジョイント構造部」、「第2ジョイント構造部」、「第3ジョイント構造部」、「手動アーム」に相当するものであるから、両者は、
「三次元測定装置において、
対向する第1端部と第2端部とを備え、第1ジョイント構造部と、第2ジョイント構造部と、第3ジョイント構造部とを含んだ手動アームであって、該第1ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第2ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第3ジョイント構造部は3自由度を有しており、選択範囲内で7自由度を提供し、それぞれのジョイント構造部は位置トランスジューサを有しており、該位置トランスジューサは位置信号を発生させる手動アームと、
該手動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該手動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置に対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、
を含んでいる三次元座標測定装置。」
で一致し、以下の点で相違する。

相違点6:
本件発明29では、「それぞれのジョイント構造部は位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んで」おり、かつ、「可動アームは前記支持ベースに第1組の移動ハウジングを含んでおり、該第1組の移動ハウジングは1本の第1延長部材に接続されており、該第1延長部材は第2組の移動ハウジングに接続されており、第2の移動ハウジングは1本の第2延長部材に接続されており、該第2延長部材は前記プローブの取り付けられた前記第2端部に接続されて」いるが、刊行物4に記載された発明2では、この点が明記されていない点。

相違点7:
本件発明29では、電子回路は、「プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる」のに対し、刊行物4に記載された発明2では、プローブの位置に対応したデジタル座標を発生させるものである点。

相違点8:
本件発明29では、「それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき」るのに対し、刊行物4に記載された発明2では、この点明記されていない点。

そこで、これらの相違点について検討するに、相違点6〜8に対する判断は、それぞれ、本件発明16における相違点1〜3に対する判断と同様である。
したがって、本件発明29は、本件発明16についてと同様の理由により、本件出願前に頒布された刊行物4及び刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)本件発明73について
本件発明73は、本件発明16を特定する事項に「前記可動アームに連続的作動可能に接続されたシリアルボックスとコンピュータとを含んでいる」という事項を付加するものである。
そこで、本件発明73と刊行物4に記載された発明1とを対比すると、上記相違点1ないし相違点3に加えて、「可動アームにシリアルボックスとコンピュータとを接続する」点について記載されていない点でも相違している。
そこで、これらの相違点について検討するに、相違点1ないし相違点3については、前項「(1)本件発明16について」ですでに記載したとおりであり、また、「可動アームにシリアルボックスとコンピュータとを接続する」点については、前項「第4.2.各刊行物に記載の発明」における刊行物1の摘記事項bに記載されている。
したがって、本件発明73は、本件発明16についてと同様の理由により、本件出願前に頒布された刊行物4及び刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)本件発明83について
本件発明83は、本件発明16を特定する事項に「前記プローブは接触プローブである」という事項を付加するものである。
そこで、本件発明83と刊行物4に記載された発明1とを対比すると、上記相違点1ないし相違点3に加えて、「前記プローブは接触プローブである」点について記載されていない点でも相違している。
そこで、これらの相違点について検討するに、相違点1ないし相違点3については、前項「(1)本件発明16について」ですでに記載したとおりであり、また、対象物に接触する、いわゆる「タッチプローブ」を用いた位置検出技術は周知である(例えば、特開平5-312504号公報、特開平6-170698号公報参照)。
したがって、本件発明83は、本件発明16についてと同様の理由により、本件出願前に頒布された刊行物4及び刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6)本件発明85について
本件発明85は、本件発明83を特定する事項に「前記接触プローブは自動スイッチを提供する」という事項を付加するものである。
そこで、本件発明85と刊行物4に記載された発明1とを対比すると、前項「(5)本件発明83について」に記載した相違点に加えて、「前記接触プローブが自動スイッチを提供する」点について記載されていない点でも相違している。
しかしながら、自動スイッチ構成を有する接触プローブは周知である(例えば、特開平5-312504号公報、特開平6-170698号公報参照)。
したがって、本件発明85は、本件発明83についてと同様の理由により、本件出願前に頒布された刊行物4及び刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.答弁書における被請求人の主張について
(1)被請求人は答弁書において乙第1号証を提出し、
「甲第3号証については、乙第1号証第2頁左欄下段第1行目において、「例えば、特開昭50-147351号に示されたこの方式の測定装置は、第1図に示すように、A、B、C、D、Eの5つの回転軸を有する3本の腕3、4、5の先端に軸Eを中心として回動する測定子1を設け、該測定子1の先端を被測定物2に接触させ、各回転軸の回転角度の読みから測定子の先端の立体座標を求めるものである。このような従来の極座標測定装置に於いては、
1) 自由度が回転軸の数の合計である5しかないため、複雑な形状の被測定物の立体座標を測定することができない。
2) 中間の腕4に回転機能がないため、測定装置自身の部品加工時や組立時に生じる捩れの修正が難しく、測定時に於いても該腕4に捩れ方向のモーメントが加わって測定誤差が生じ易い。
3) 測定子1がV溝型のものでは、被測定物の形状が変わる毎に複雑な補正をしなければならないので不便である。等の不都合がある。」と記載されております。
すなわち、甲第3号証は、自由度が回転軸の数の合計である5しかないため、複雑な形状の被測定物の立体座標を測定することができなかったのであります。
本件発明の「第1ジョイント構造部は2自由度を有しており、第2ジョイント構造部は1自由度を有しており、第3ジョイント構造部は3自由度を有しており、選択範囲内で6自由度を提供」する構成については開示も示唆もされておりません。」と主張している。
(2)また、被請求人は乙第2号証を提出して、
「乙第2号証は請求人出願の甲第4号証を実用新案登録出願に変更出願した実用新案公報であります。この乙第2号証第7頁第16行目より、「特開昭50-147351号公報(甲第3号証:被請求人注)、同53-80251号公報に記載されているが、これらの装置は丸管等の軸線の屈曲状態を測定するものであるため、感触器その他の構成が本考案のものとは相違しており、本考案とは異質のものである。」と記載しております。この記載によれば、甲第3号証と甲第4号証は何れかが異質のものを対象としているものと考えられます。」と主張している。

以下にこれらの主張を検討する。
(1)について:
刊行物3(甲第3号証)に、2-1-3構造の可動アームが記載されていることは、前項「第4.2.(3)刊行物3」において既述したとおりであるから(刊行物3の記載事項(エ)参照)、この点についての被請求人の主張は採用し得ない。
(2)について:
確かに、刊行物3(甲第3号証)に記載のものは、「丸管等の軸線の屈曲状態を測定するものであるため、感触器その他の構成が本考案のものとは相違して」いるものの、動作ヘッド(感触器)を支持する可動アームが本件発明28と同様の構造を有するものであり、かつ、アーム端部を被測定点に当接して被測定点の座標を得る点でも、本件発明28と同様である以上、刊行物3に記載された発明に基づいて、動作ヘッド(感触器)をプローブに置き換えることは、当業者が容易に想到し得るところと認められるから、被請求人の主張は採用し得ない。

5.無効理由通知に対する被請求人の主張について
(1)当審が平成15年8月1日付で通知した無効理由に対して、被請求人は、本件発明16と刊行物4に記載された発明との対比において、本件発明16のジョイント構造は「それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき」るものであるのに対し、刊行物4に記載された発明では「アーム系規制時の矢印f方向の回動角度としてプリセットする値を90度以上にすることも可能である。ただし、このようにすることは、以下に述べるように不具合が多く得策ではない。」との記載を引用し、それ故に、刊行物4に記載された発明のアーム角度は上記のように、90゜に規制されている、と主張している
しかしながら、刊行物4において回動角度が90゜に規制されているのはプリセットにおける角度であって、実際の測定時におけることを言っているのではないことは明らかである。それ故、被請求人の「それ故に、刊行物4に記載された発明のアーム角度は上記のように、90゜に規制されている」とする主張は誤りである。
(2)また、本件発明16の可動アームは「前記支持ベースに第1組の移動ハウジングを含んでおり、該第1組の移動ハウジングは1本の第1延長部材に接続されており、該第1延長部材は第2組の移動ハウジングに接続されており、第2の移動ハウジングは1本の第2延長部材に接続されており、該第2延長部材は前記プローブの取り付けられた前記第2端部に接続されて」いる構成を有するのに対し、刊行物4ではそのような構成を有しない点で相違するとも主張している。
しかしながら、該構成については刊行物1に記載されている以上、本件発明16が刊行物4及び刊行物1に記載された発明から容易に想到し得るものではないとすることはできない。

第5.むすび
以上のとおりであるから、本件の請求項16、28、29、73、83、85に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきものである。
本件審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定を適用して、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
三次元座標測定装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】三次元座標測定装置において、
両端に第1端部と第2端部とを備え、選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイントを含んだ可動アームであって、該各ジョイントは位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させ、該回転移動ハウジングは1組の初荷重が付与された組合せ軸受を含んでおり、該初荷重はその内側レース及び外側レースの特定の擦り合わせによって決定され、設置中のローディング時に一定量の初荷重がこのアセンブリに加えられることを特徴とする可動アームと、
該可動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該可動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、
を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。
【請求項2】前記組合せ軸受のレースは前記回転移動ハウジングに永久的に固定されていることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項3】前記組合せ軸受を予備ストレスするための圧縮手段を含んでいることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項4】前記圧縮手段は、前記回転移動ハウジングの軸に螺着されて、前記組合せ軸受を間に挟持している圧縮ナットを含んでいることを特徴とする請求項3記載の測定装置。
【請求項5】三次元座標測定装置において、
両端に第1端部と第2端部とを備え、選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイントを含んだ可動アームであって、該各ジョイントは位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする可動アームと、
該可動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該可動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、
各回転移動ハウジングに選択された回転を与えるために前記ハウジング肩部及び軸肩部内に設けられた溝と、
該回転移動ハウジングの機械的応力による機械的過負荷を防止するためのせん断シャトルと、
を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。
【請求項6】前記選択された回転は330°であることを特徴とする請求項5記載の測定装置。
【請求項7】前記選択された回転は660°であることを特徴とする請求項5記載の測定装置。
【請求項8】前記せん断シャトルはプラスチック製であることを特徴とする請求項5記載の測定装置。
【請求項9】前記せん断シャトルの長さは前記回転移動ハウジングの前記ハウジング肩部及び軸肩部に設けられた前記溝によって定義される20°の扇型の円弧であることを特徴とする請求項5記載の測定装置。
【請求項10】前記支持ベースと測定対象物体との間に剛性と安定性とを付与するために少なくとも1体の調整可能な支柱が提供されていることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項11】端部作動器がCMMによって自動的に特定されるように前記プローブはアレンジされていることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項12】前記端部作動器にマーキングプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項11記載の測定装置。
【請求項13】前記取付け手段はネジ手段であることを特徴とする請求項12記載の測定装置。
【請求項14】前記マーキングプローブは取付け装置とマーキングペンとを含んでいることを特徴とする請求項12記載の測定装置。
【請求項15】前記取付け装置は取付けステムを備えており、該取付けステムはその第1端部に前記可動アーム内の内孔に装着されるシャンクを有しており、その第2端部に前記プローブと螺合するためのネジ式アレンジを有していることを特徴とする請求項14記載の測定装置。
【請求項16】三次元座標測定装置において、
両端に第1端部と第2端部とを備えた可動アームであって、選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイントを含んでおり、それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき、該可動アームは端部作動器の3自由度を含む7自由度を有する可動アームであって、前記各ジョイントは位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする可動アームと、
該可動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該可動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
を含んでおり、前記可動アームは前記支持ベースに第1組の移動ハウジングを含んでおり、該第1組の移動ハウジングは1本の第1延長部材に接続されており、該第1延長部材は第2組の移動ハウジングに接続されており、該第2の移動ハウジングは1本の第2延長部材に接続されており、該第2延長部材は前記プローブの取り付けられた前記第2端部に接続されており、 本三次元座標測定装置は、前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。
【請求項17】端部作動器に感圧トランスジューサプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項11記載の測定装置。
【請求項18】端部作動器にドリルプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項11記載の測定装置。
【請求項19】前記ドリルプローブに外部電力原を取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項18記載の測定装置。
【請求項20】端部作動器に導通プローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項11記載の測定装置。
【請求項21】7自由度を含んでいることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項22】前記信号は遠隔測定手法によって送信され、遠隔測定信号を介してホストコンピュータで受信されることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項23】前記支持ベースはさらに、測定対象物体の支持部材にまで延びる支柱を含んでおり、該支柱は前記可動アームと該測定対象物体との間で安定性を向上させていることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項24】前記支柱は、少なくとも1つの調整可能な部材によって軸方向に取り付けられた少なくとも2つの部分を含んでおり、その第1端部と第2端部のそれぞれに回転取付部を有しており、該第1端部は前記支持ベースに回動式に取り付けられており、該第2端部は測定対象物体の前記支持部材に回動式に取り付けられていることを特徴とする請求項23記載の測定装置。
【請求項25】前記少なくとも1つの調整可能な部材は前記少なくとも2つの部分と螺着されていることを特徴とする請求項24記載の測定装置。
【請求項26】前記支持部材への前記第2端部の回動取付部は該支持部材を把持するクランプを含んでおり、該クランプは前記第2端部に回動式に取り付けられていることを特徴とする請求項24記載の測定装置。
【請求項27】前記クランプはC形クランプであることを特徴とする請求項26記載の測定装置。
【請求項28】三次元測定装置において、
対向する第1端部と第2端部とを備え、第1ジョイント構造部と、第2ジョイント構造部と、第3ジョイント構造部とを含んだ手動アームであって、該第1ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第2ジョイント構造部は1自由度を有しており、該第3ジョイント構造部は3自由度を有しており、選択範囲内で6自由度を提供し、それぞれのジョイント構造部は位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする手動アームと、
該手動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該手動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、
を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。
【請求項29】三次元測定装置において、
対向する第1端部と第2端部とを備え、第1ジョイント構造部と、第2ジョイント構造部と、第3ジョイント構造部とを含んだ手動アームであって、それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき、該第1ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第2ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第3ジョイント構造部は3自由度を有しており、選択範囲内で7自由度を提供し、それぞれのジョイント構造部は位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする手動アームと、
該手動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該手動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
を含んでおり、前記手動アームは前記支持ベースに第1組の移動ハウジングを含んでおり、該第1組の移動ハウジングは1本の第1延長部材に接続されており、該第1延長部材は第2組の移動ハウジングに接続されており、該第2の移動ハウジングは1本の第2延長部材に接続されており、該第2延長部材は前記プローブの取り付けられた前記第2端部に接続されており、 本三次元座標測定装置は、
前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。
【請求項30】前記可動アームに連続的作動可能に接続されたシリアルボックスとコンピュータとを含んでいることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項31】前記可動アーム、シリアルボックス及びコンピュータは遠隔測定信号送信機及び遠隔測定信号受信機を介して相互接続されていることを特徴とする請求項30記載の測定装置。
【請求項32】三次元測定装置において、
対向する第1端部と第2端部とを備え、選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイントを含んだ可動アームであって、該各ジョイントは位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、前記位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする可動アームと、
該可動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該可動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で前記プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、
を含んでおり、
前記支持ベースと測定対象物との間で剛性と安定性とを提供するために少なくとも1本の調整可能な支柱が提供されていることを特徴とする三次元座標測定装置。
【請求項33】前記軸受にはネジ付ナットによって予備荷重が加えられていることを特徴とする請求項32記載の測定装置。
【請求項34】前記プローブは感圧プローブであることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項35】前記プローブは、球形、平底形、ボール形及び先細形で成る群から選択された端部チップを含んだ感圧プローブであることを特徴とする請求項34記載の測定装置。
【請求項36】前記感圧プローブは本測定装置の回路に作動式に接続された少なくとも1つの内蔵ひずみ計を含んでいることを特徴とする請求項34記載の測定装置。
【請求項37】前記プローブは接触プローブであることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項38】前記接触プローブは自動スイッチを提供することを特徴とする請求項37記載の測定装置。
【請求項39】前記回転移動ハウジングは約30°のストップ用円弧を含んでいることを特徴とする請求項5記載の測定装置。
【請求項40】少なくとも1体の調整可能な支柱が提供されており、前記支持ベースと測定対象物体との間の剛性と安定性とを提供していることを特徴とする請求項16記載の測定装置。
【請求項41】端部作動器をCMMによって自動的に特定させる手段が前記プローブ構造体内に提供されていることを特徴とする請求項16記載の測定装置。
【請求項42】端部作動器をCMMによって自動的に特定させる手段が前記プローブ構造体内に提供されていることを特徴とする請求項32記載の測定装置。
【請求項43】前記端部作動器にマーキングプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項41記載の測定装置。
【請求項44】前記端部作動器にマーキングプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項42記載の測定装置。
【請求項45】前記手段はネジ手段であることを特徴とする請求項43記載の測定装置。
【請求項46】前記手段はネジ手段であることを特徴とする請求項44記載の測定装置。
【請求項47】前記マーキングプローブは取付け装置とマーキングペンとを含んでいることを特徴とする請求項43記載の測定装置。
【請求項48】前記マーキングプローブは取付け装置とマーキングペンとを含んでいることを特徴とする請求項44記載の測定装置。
【請求項49】前記取付け装置は取付けステムを備えており、該取付けステムはその第1端部に前記可動アーム内の内孔に装着されるシャンクを有しており、その第2端部に前記プローブと螺合するためのネジ式アレンジを有していることを特徴とする請求項47記載の測定装置。
【請求項50】前記取付け装置は取付けステムを備えており、該取付けステムはその第1端部に前記可動アーム内の内孔に装着されるシャンクを有しており、その第2端部に前記プローブと螺合するためのネジ式アレンジを有していることを特徴とする請求項48記載の測定装置。
【請求項51】前記端部作動器に感圧トランスジューサプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項41記載の測定装置。
【請求項52】前記端部作動器に感圧トランスジューサプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項42記載の測定装置。
【請求項53】前記端部作動器にドリルプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項41記載の測定装置。
【請求項54】前記端部作動器にドリルプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項42記載の測定装置。
【請求項55】前記ドリルプローブに外部動力原を取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項53記載の測定装置。
【請求項56】前記ドリルプローブに外部動力原を取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項54記載の測定装置。
【請求項57】前記端部作動器に導通プローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項41に記載の測定装置、
【請求項58】前記端部作動器に導通プローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項42に記載の測定装置、
【請求項59】7自由度を含んでいることを特徴とする請求項5記載の測定装置。
【請求項60】7自由度を含んでいることを特徴とする請求項32記載の測定装置。
【請求項61】前記位置信号は遠隔測定手法によって送信され、遠隔測定信号を介して前記ホストコンピュータで受信されることを特徴とする請求項16記載の測定装置。
【請求項62】前記位置信号は遠隔測定手法によって送信され、遠隔測定信号を介して前記ホストコンピュータで受信されることを特徴とする請求項32記載の測定装置。
【請求項63】前記支持ベースは測定対象物の支持部材にまで延び出る支柱をさらに含んでおり、該支柱は前記可動アームと該測定対象物体との間の安定性を増大させていることを特徴とする請求項16記載の測定装置。
【請求項64】前記支持ベースは測定対象物の支持部材にまで延び出る支柱をさらに含んでおり、該支柱は前記可動アームと該測定対象物体との間の安定性を増大させていることを特徴とする請求項32記載の測定装置。
【請求項65】前記支柱は、少なくとも1つの調整可能な部材によって軸方向に取り付けられた少なくとも2つの部分を含んでおり、その第1端部と第2端部のそれぞれに回動取付部を有しており、該第1端部は前記支持ベースに回動式に取り付けられており、該第2端部は測定対象物体の前記支持部材に回動式に取り付けられていることを特徴とする請求項63記載の測定装置。
【請求項66】前記支柱は、少なくとも1つの調整可能な部材によって軸方向に取り付けられた少なくとも2つの部分を含んでおり、その第1端部と第2端部のそれぞれに回動取付部を有しており、該第1端部は前記支持ベースに回動式に取り付けられており、該第2端部は測定対象物体の前記支持部材に回動式に取り付けられていることを特徴とする請求項64記載の測定装置。
【請求項67】前記少なくとも1つの調整可能な部材は前記少なくとも2つの部分と螺着されていることを特徴とする請求項65記載の測定装置。
【請求項68】前記少なくとも1つの調整可能な部材は前記少なくとも2つの部分と螺着されていることを特徴とする請求項66記載の測定装置。
【請求項69】前記支持部材への前記第2端部の回動取付部は該支持部材を把持するクランプを含んでおり、該クランプは前記第2端部に回動式に取り付けられていることを特徴とする請求項65記載の測定装置。
【請求項70】前記支持部材への前記第2端部の回動取付部は該支持部材を把持するクランプを含んでおり、該クランプは前記第2端部に回動式に取り付けられていることを特徴とする請求項66記載の測定装置。
【請求項71】前記クランプはC形クランプであることを特徴とする請求項69記載の測定装置。
【請求項72】前記クランプはC形クランプであることを特徴とする請求項70記載の測定装置。
【請求項73】前記可動アームに連続的作動可能に接続されたシリアルボックスとコンピュータとを含んでいることを特徴とする請求項16記載の測定装置。
【請求項74】前記可動アームに連続的作動可能に接続されたシリアルボックスとコンピュータとを含んでいることを特徴とする請求項32記載の測定装置。
【請求項75】前記可動アーム、シリアルボックス及びコンピュータは遠隔測定信号送信機及び遠隔測定信号受信機を介して相互接続されていることを特徴とする請求項73記載の測定装置。
【請求項76】前記可動アーム、シリアルボックス及びコンピュータは遠隔測定信号送信機及び遠隔測定信号受信機を介して相互接続されていることを特徴とする請求項74記載の測定装置。
【請求項77】前記プローブは感圧プローブであることを特徴とする請求項16記載の測定装置。
【請求項78】前記プローブは感圧プローブであることを特徴とする請求項33記載の測定装置。
【請求項79】前記プローブは、球形、平底形、ボール及び先細形で成る群から選択された端部チップを含んだ感圧プローブであることを特徴とする請求項77記載の測定装置。
【請求項80】前記プローブは、球形、平底形、ボール及び先細形で成る群から選択された端部チップを含んだ感圧プローブであることを特徴とする請求項78記載の測定装置。
【請求項81】前記感圧プローブは本測定装置の回路に作動式に接続された少なくとも1つの内蔵ひずみ計を含んでいることを特徴とする請求項77記載の測定装置。
【請求項82】前記感圧プローブは本測定装置の回路に作動式に接続された少なくとも1つの内蔵ひずみ計を含んでいることを特徴とする請求項78記載の測定装置。
【請求項83】前記プローブは接触プローブであることを特徴とする請求項16記載の測定装置。
【請求項84】前記プローブは接触プローブであることを特徴とする請求項32記載の測定装置。
【請求項85】前記接触プローブは自動スイッチを提供することを特徴とする請求項83記載の測定装置。
【請求項86】前記接触プローブは自動スイッチを提供することを特徴とする請求項84記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、三次元座標測定器(CMM:coordinate measuring machine)に関するものである。本発明は特に、可搬式で、精度及び使いやすさが向上した新しい改良型三次元CMMに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
物理的世界では全てのものが体積すなわち空間を占めることは理解されるであろう。空間内の位置は長さ、幅及び高さによって定められ、これらは技術用語ではX、Y、Z座標と呼ばれることが多い。X、Y、Zの数字が長さ、幅及び高さすなわち3つの寸法を表す。三次元物体は位置及び方位で、すなわち物体がどこにあるかだけでなく、それがどの方向を向いているかで表される。空間内での物体の方位は、物体上の3点の位置で定めることができる。方位はまた、空間内の物体の整合角度によっても表される。X、Y及びZ座標は3つの直尺によって最も簡単に測定できる。言い換えると、空間の長さ、幅及び高さに沿って直尺を当てれば、空間内の1点の位置を測定できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
現在では、座標測定器CMMは3つの直尺を用いて空間内の物体を測定する。これらの装置は一般的に持ち運びできず、高価で、容易に測定できる大きさすなわち体積が限定される。
【0004】
米国フロリダ州、レイク・メアリのファロ(FARO)・テクロノジーズ社(本発明の譲受人)が、医療分野用の一連の測角器形計数化装置の製造に成功している。特に、ファロ・テクロノジーズ社は、メトレコム(METRECOM)(登録商標)として知られる骨格分析用の装置、及びサージコム(SURGICOM)(商標)として知られる外科用の装置を製造している。メトレコム及びサージコム装置に実現されている形式の測角器形装置は、米国特許第4,670,851号、第5,251,127号及び第5,305,203号に開示されており、これらは全て本発明の譲受人に譲渡され、その開示内容は参考として本説明に含まれる。
【0005】
メトレコム及びサージコム測角器形計数化装置はその使用目的には十分に適しているが、部品及びアセンブリの三次元測定がしばしば必要である一般的な工業用にはあまり適していない。従って、工業及びその関連分野で使用できる改良型の正確で低コストのCMMが必要とされている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
従来技術の上記及び他の問題及び欠点は、本発明の三次元測定器(例えば測角器)によって解決されるか、軽減される。本発明による新規な可搬式座標測定器は、好適な実施例では、直径が6〜12フィート(182〜366センチメートル。しかし、この範囲の上下の直径も含むこともできる)の球を有する体積を好ましくは、2Σ±0.003インチ(1インチ=約2.54センチメートル。オプションとして2Σ(シグマ)±0.001インチ)の測定精度で正確に容易に測定する多重ジョイント式(好ましくは6または7ジョイント)手動位置決め形測定アームを有している。測定アームに加えて、本発明は、アーム及びホストコンピュータ間の電子インターフェースとして作用するコントローラ(またはシリアルボックス)を用いている。
【0007】
本発明のCMMに使用されている機械式測定アームは一般的に、複数の移動ハウジング(各移動ハウジングはジョイントで構成され、1回転自由度を備えている)と伸張部材とを互いに取り付けて構成されており、好ましくは5、6または7自由度を備えた可動アームを形成できるように隣接の移動ハウジングが直角に配置されている。各移動ハウジングは、測定トランスジューサと新規な軸受構造とを備えている。これらの新規な軸受構造は、対向配置された円錐形玉軸受で形成されたプレストレスを加えた軸受と、低い縦断面構造での曲げ強さを高めるための補剛スラスト軸受か、あるいは標準形組み合わせ軸受とを備えている。又、各移動ケーシングは、機械的応力による機械的過負荷を防止するために物理的に見えるか、聞こえる端部ストップインジケータを備えている。
【0008】
可動アームは、(1)温度安定性を監視する温度監視ボードと、(2)汎用エンコーダ選択用のエンコーダ取り付けプレートと、(3)ユニットの混乱を避けるために校正及び識別データを含むEEPROM回路盤と、(4)コントローラ内の遠隔カウンタボードへ高増幅信号を送る、エンコーダ取り付けプレート付近に取り付けられた前置増幅器ボードとを備えて、ベースまたはポストに取り付けられている。
【0009】
先行技術のメトレコム装置の場合と同様に、移動ケーシングはモジュラー化されて、様々な組み立て配置が可能であり、熱膨張係数(CTE)を一定にするため、可動アームアセンブリ全体が同一物質で構成されている。メトレコム装置の場合と同様に、回転止め及びワイヤコイル巻きキャビティを備えた内部配線によって、多数のワイヤを完全に封入することができる。また先行技術のメトレコム装置と同様に、本発明にはユーザの便宜を図ってばねで釣り合わせて衝撃吸収した支持機構と、手動操作で高精度の測定ができるようにする2つのスイッチ(取り出し/受け取り)データ入力装置とが設けられている。また、先行技術のメトレコム装置に使用されている形式の汎用オプションが、三次元での変数の測定用に設けられている(例えば、オプションポートに取り付けられたサーモカップルを用いて、温度を三次元で測定することができる)。
【0010】
離散的マイクロプロセッサベースのコントローラボックスを使用することが本発明の重要な特徴であるが、それは、ホストレベルの処理要求を伴わないで特殊な、または総合的なコントローラの計算を事前処理できるからである。これは、様々な外部ホスト(例えば外部コンピュータ)とのプログラマブル適合性及び互換性を与えるインテリジェント前処理プログラムをコントローラボックスに搭載することによって達成される。シリアルボックスはまた、ホストからの通信要求を感知することによって、インテリジェント多重プロトコル評価及び自動切り替えを行う。例えば、ある製造者からのホストコンピュータ運転ソフトウェアがある形式の呼び出し要求を発生すると、それがコントローラボックスによって自動的に感知される。コントローラボックスのさらに別の特徴として、様々な工業環境で規格化された長距離通信用の直列ポート通信と、(移動ハウジング内に位置する)全てのエンコーダを同時捕捉し、それによって高精度の測定を行うための新規なアナログ・デジタル/デジタルカウンタボードとがある。
【0011】
本発明のCMMの効果的な現場校正は、取り付けが複雑になることを避けるためにCMMのベースに配置されたシステム精度評価用の基準ボールを使用することによって行われる。また、本発明のCMMは、好ましくは新規な円錐形ボールバー装置を使用して体積精密測定プロトコルを暫定的に実行する手段を備えている。
【0012】
具体的には、請求項1に記載の発明は、「三次元座標測定装置において、
両端に第1端部と第2端部とを備え、選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度(a degree of freedom)度に対応させた複数のジョイント
を含んだ可動アームであって、該各ジョイントは位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させ、該回転移動ハウジングは1組の初荷重が付与された組合せ軸受を含んでおり、該初荷重はその内側レース及び外側レースの特定の擦り合わせによって決定され、設置中のローディング時に一定量の初荷重がこのアセンブリに加えられることを特徴とする可動アームと、
該可動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該可動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、
を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。」である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、「前記組合せ軸受のレースは前記回転移動ハウジングに永久的に固定されていることを特徴とする請求項1記載の測定装置。」である。
請求項3に記載の発明は、「前記組合せ軸受を予備ストレスするための圧縮手段を含んでいることを特徴とする請求項1記載の測定装置。」である。
【0014】
請求項4に記載の発明は、「前記圧縮手段は、前記回転移動ハウジングの軸に螺着されて、前記組合せ軸受を間に挟持している圧縮ナットを含んでいることを特徴とする請求項3記載の測定装置。」である。
請求項5に記載の発明は、「三次元座標測定装置において、両端に第1端部と第2端部とを備え、選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイントを含んだ可動アームであって、該各ジョイントは位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする可動アームと、
該可動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該可動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、各回転移動ハウジングに選択された回転を与えるために前記ハウジング肩部及び軸肩部内に設けられた溝と、該回転移動ハウジングの機械的応力による機械的過負荷を防止するためのせん断シャトルと、を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。」である。
請求項6に記載の発明は、「前記選択された回転は330°であることを特徴とする請求項5記載の測定装置。」である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、「前記選択された回転は660°であることを特徴とする請求項5記載の測定装置。」である。
請求項8に記載の発明は、「前記せん断シャトルはプラスチック製であることを特徴とする請求項5記載の測定装置。」である。
【0016】
請求項9に記載の発明は、「前記せん断シャトルの長さは前記回転移動ハウジングの前記ハウジング肩部及び軸肩部に設けられた前記溝によって定義される20°の扇型の円弧であることを特徴とする請求項5記載の測定装置。」である。
請求項10に記載の発明は、「前記支持ベースと測定対象物体との間に剛性と安定性とを付与するために少なくとも1体の調整可能な支柱が提供されていることを特徴とする請求項1記載の測定装置。」である。
【0017】
請求項11に記載の発明は、「端部作動器がCMMによって自動的に特定されるように前記プローブはアレンジされていることを特徴とする請求項1記載の測定装置。」である。
請求項12に記載の発明は、「前記端部作動器にマーキングプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項11記載の測定装置。」である。
請求項13に記載の発明は、「前記取付け手段はネジ手段であることを特徴とする請求項12記載の測定装置。」である。
【0018】
請求項14に記載の発明は、「前記マーキングプローブは取付け装置とマーキングペンとを含んでいることを特徴とする請求項12記載の測定装置。」である。
請求項15に記載の発明は、「前記取付け装置は取付けステムを備えており、該取付けステムはその第1端部に前記可動アーム内の内孔に装着されるシャンクを有しており、その第2端部に前記プローブと螺合するためのネジ式アレンジを有していることを特徴とする請求項14記載の測定装置。」である。
【0019】
請求項16に記載の発明は、「三次元座標測定装置において、両端に第1端部と第2端部とを備えた可動アームであって、選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイントを含んでおり、それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき、該可動アームは端部作動器の3自由度を含む7自由度を有する可動アームであって、前記各ジョイントは位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする可動アームと、
該可動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該可動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
を含んでおり、前記可動アームは前記支持ベースに第1組の移動ハウジングを含んでおり、該第1組の移動ハウジングは1本の第1延長部材に接続されており、該第1延長部材は第2組の移動ハウジングに接続されており、該第2の移動ハウジングは1本の第2延長部材に接続されており、該第2延長部材は前記プローブの取り付けられた前記第2端部に接続されており、 本三次元座標測定装置は、前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。」である。
【0020】
請求項17に記載の発明は、「端部作動器に感圧トランスジューサプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項11記載の測定装置。」である。
請求項18に記載の発明は、「端部作動器にドリルプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項11記載の測定装置。」である。
【0021】
請求項19に記載の発明は、「前記ドリルプローブに外部電力原を取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項18記載の測定装置。」である。
請求項20に記載の発明は、「端部作動器に導通プローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項11記載の測定装置。」である。
請求項21に記載の発明は、「7自由度を含んでいることを特徴とする請求項1記載の測定装置。」である。
請求項22に記載の発明は、「前記信号は遠隔測定手法によって送信され、遠隔測定信号を介してホストコンピュータで受信されることを特徴とする請求項1記載の測定装置。」である。
【0022】
請求項23に記載の発明は、「前記支持ベースはさらに、測定対象物体の支持部材にまで延びる支柱を含んでおり、該支柱は前記可動アームと該測定対象物体との間で安定性を向上させていることを特徴とする請求項1記載の測定装置。」である。
請求項24に記載の発明は、「前記支柱は、少なくとも1つの調整可能な部材によって軸方向に取り付けられた少なくとも2つの部分を含んでおり、その第1端部と第2端部のそれぞれに回転取付部を有しており、該第1端部は前記支持ベースに回動式に取り付けられており、該第2端部は測定対象物体の前記支持部材に回動式に取り付けられていることを特徴とする請求項23記載の測定装置。」である。
請求項25に記載の発明は、「前記少なくとも1つの調整可能な部材は前記少なくとも2つの部分と螺着されていることを特徴とする請求項24記載の測定装置。」である。
【0023】
請求項26に記載の発明は、「前記支持部材への前記第2端部の回動取付部は該支持部材を把持するクランプを含んでおり、該クランプは前記第2端部に回動式に取り付けられていることを特徴とする請求項24記載の測定装置。」である。
【0024】
請求項27に記載の発明は、「前記クランプはC形クランプであることを特徴とする請求項26記載の測定装置。」である。
【0025】
請求項28に記載の発明は、「三次元測定装置において、対向する第1端部と第2端部とを備え、第1ジョイント構造部と、第2ジョイント構造部と、第3ジョイント構造部とを含んだ手動アームであって、該第1ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第2ジョイント構造部は1自由度を有しており、該第3ジョイント構造部は3自由度を有しており、選択範囲内で6自由度を提供し、それぞれのジョイント構造部は位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする手動アームと、
該手動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該手動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、
を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。」である。
【0026】
請求項29に記載の発明は、「三次元測定装置において、対向する第1端部と第2端部とを備え、第1ジョイント構造部と、第2ジョイント構造部と、第3ジョイント構造部とを含んだ手動アームであって、それぞれのジョイントは90度を超える角度で回転でき、該第1ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第2ジョイント構造部は2自由度を有しており、該第3ジョイント構造部は3自由度を有しており、選択範囲内で7自由度を提供し、それぞれのジョイント構造部は位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、該位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする手動アームと、該手動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、該手動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、を含んでおり、前記手動アームは前記支持ベースに第1組の移動ハウジングを含んでおり、該第1組の移動ハウジングは1本の第1延長部材に接続されており、該第1延長部材は第2組の移動ハウジングに接続されており、該第2の移動ハウジングは1本の第2延長部材に接続されており、該第2延長部材は前記プローブの取り付けられた前記第2端部に接続されており、 本三次元座標測定装置は、 前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で該プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、を含んでいることを特徴とする三次元座標測定装置。」である。
【0027】
請求項30に記載の発明は、「前記可動アームに連続的作動可能に接続されたシリアルボックスとコンピュータとを含んでいることを特徴とする請求項1記載の測定装置。」である。
請求項31に記載の発明は、「前記可動アーム、シリアルボックス及びコンピュータは遠隔測定信号送信機及び遠隔測定信号受信機を介して相互接続されていることを特徴とする請求項30記載の測定装置。」である。
【0028】
請求項32に記載の発明は、「三次元測定装置において、対向する第1端部と第2端部とを備え、選択された範囲内で移動できるように各ジョイントを1自由度に対応させた複数のジョイントを含んだ可動アームであって、該各ジョイントは位置トランスジューサを収納するための回転移動ハウジングを含んでおり、前記位置トランスジューサは位置信号を発生させることを特徴とする可動アームと、
該可動アームの前記第1端部に取り付けられた支持ベースと、
該可動アームの前記第2端部に取り付けられたプローブと、
前記位置トランスジューサから前記位置信号を受け取って、選択範囲内で前記プローブの位置と方位とに対応したデジタル座標を発生させる電子回路と、を含んでおり、
前記支持ベースと測定対象物との間で剛性と安定性とを提供するために少なくとも1本の調整可能な支柱が提供されていることを特徴とする三次元座標測定装置。」である。
【0029】
請求項33に記載の発明は、「前記軸受にはネジ付ナットによって予備荷重が加えられていることを特徴とする請求項32記載の測定装置。」である。
請求項34に記載の発明は、「前記プローブは感圧プローブであることを特徴とする請求項1記載の測定装置。」である。
【0030】
請求項35に記載の発明は、「前記プローブは、球形、平底形、ボール形及び先細形で成る群から選択された端部チップを含んだ感圧プローブであることを特徴とする請求項34記載の測定装置。」である。
請求項36に記載の発明は、「前記感圧プローブは本測定装置の回路に作動式に接続された少なくとも1つの内蔵ひずみ計を含んでいることを特徴とする請求項34記載の測定装置。」である。
【0031】
請求項37に記載の発明は、「前記プローブは接触プローブであることを特徴とする請求項1記載の測定装置。」である。
請求項38に記載の発明は、「前記接触プローブは自動スイッチを提供することを特徴とする請求項37記載の測定装置。」である。
【0032】
請求項39に記載の発明は、「前記回転移動ハウジングは約30°のストップ用円弧を含んでいることを特徴とする請求項5記載の測定装置。」である。
請求項40に記載の発明は、「少なくとも1体の調整可能な支柱が提供されており、前記支持ベースと測定対象物体との間の剛性と安定性とを提供していることを特徴とする請求項16記載の測定装置。」である。
【0033】
請求項41に記載の発明は、「端部作動器をCMMによって自動的に特定させる手段が前記プローブ構造体内に提供されていることを特徴とする請求項16記載の測定装置。」である。
請求項42に記載の発明は、「端部作動器をCMMによって自動的に特定させる手段が前記プローブ構造体内に提供されていることを特徴とする請求項32記載の測定装置。」である。
【0034】
請求項43に記載の発明は、「前記端部作動器にマーキングプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項41記載の測定装置。」である。
請求項44に記載の発明は、「前記端部作動器にマーキングプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項42記載の測定装置。」である。
【0035】
請求項45に記載の発明は、「前記手段はネジ手段であることを特徴とする請求項43記載の測定装置。」である。
請求項46に記載の発明は、「前記手段はネジ手段であることを特徴とする請求項44記載の測定装置。」である。
請求項47に記載の発明は、「前記マーキングプローブは取付け装置とマーキングペンとを含んでいることを特徴とする請求項43記載の測定装置。」である。
【0036】
請求項48に記載の発明は、「前記マーキングプローブは取付け装置とマーキングペンとを含んでいることを特徴とする請求項44記載の測定装置。」である。
請求項49に記載の発明は、「前記取付け装置は取付けステムを備えており、該取付けステムはその第1端部に前記可動アーム内の内孔に装着されるシャンクを有しており、その第2端部に前記プローブと螺合するためのネジ式アレンジを有していることを特徴とする請求項47記載の測定装置。」である。
【0037】
請求項50に記載の発明は、「前記取付け装置は取付けステムを備えており、該取付けステムはその第1端部に前記可動アーム内の内孔に装着されるシャンクを有しており、その第2端部に前記プローブと螺合するためのネジ式アレンジを有していることを特徴とする請求項48記載の測定装置。」である。
請求項51に記載の発明は、「前記端部作動器に感圧トランスジューサプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項41記載の測定装置。」である。
【0038】
請求項52に記載の発明は、「前記端部作動器に感圧トランスジューサプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項42記載の測定装置。」である。
請求項53に記載の発明は、「前記端部作動器にドリルプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項41記載の測定装置。」である。
請求項54に記載の発明は、「前記端部作動器にドリルプローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項42記載の測定装置。」である。
【0039】
請求項55に記載の発明は、「前記ドリルプローブに外部動力原を取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項53記載の測定装置。」である。
請求項56に記載の発明は、「前記ドリルプローブに外部動力原を取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項54記載の測定装置。」である。
【0040】
請求項57に記載の発明は、「前記端部作動器に導通プローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項41に記載の測定装置。」である。
請求項58に記載の発明は、「前記端部作動器に導通プローブを取り付ける手段が提供されていることを特徴とする請求項42に記載の測定装置。」である。
【0041】
請求項59に記載の発明は、「7自由度を含んでいることを特徴とする請求項5記載の測定装置。」である。
請求項60に記載の発明は、「7自由度を含んでいることを特徴とする請求項32記載の測定装置。」である。
請求項61に記載の発明は、「前記位置信号は遠隔測定手法によって送信され、遠隔測定信号を介して前記ホストコンピュータで受信されることを特徴とする請求項16記載の測定装置。」である。
【0042】
請求項62に記載の発明は、「前記位置信号は遠隔測定手法によって送信され、遠隔測定信号を介して前記ホストコンピュータで受信されることを特徴とする請求項32記載の測定装置。」である。
請求項63に記載の発明は、「前記支持ベースは測定対象物の支持部材にまで延び出る支柱をさらに含んでおり、該支柱は前記可動アームと該測定対象物体との間の安定性を増大させていることを特徴とする請求項16記載の測定装置。」である。
【0043】
請求項64に記載の発明は、「前記支持ベースは測定対象物の支持部材にまで延び出る支柱をさらに含んでおり、該支柱は前記可動アームと該測定対象物体との間の安定性を増大させていることを特徴とする請求項32記載の測定装置。」である。
【0044】
請求項65に記載の発明は、「前記支柱は、少なくとも1つの調整可能な部材によって軸方向に取り付けられた少なくとも2つの部分を含んでおり、その第1端部と第2端部のそれぞれに回動取付部を有しており、該第1端部は前記支持ベースに回動式に取り付けられており、該第2端部は測定対象物体の前記支持部材に回動式に取り付けられていることを特徴とする請求項63記載の測定装置。」である。
【0045】
請求項66に記載の発明は、「前記支柱は、少なくとも1つの調整可能な部材によって軸方向に取り付けられた少なくとも2つの部分を含んでおり、その第1端部と第2端部のそれぞれに回動取付部を有しており、該第1端部は前記支持ベースに回動式に取り付けられており、該第2端部は測定対象物体の前記支持部材に回動式に取り付けられていることを特徴とする請求項64記載の測定装置。」である。
【0046】
請求項67に記載の発明は、「前記少なくとも1つの調整可能な部材は前記少なくとも2つの部分と螺着されていることを特徴とする請求項65記載の測定装置。」である。
請求項68に記載の発明は、「前記少なくとも1つの調整可能な部材は前記少なくとも2つの部分と螺着されていることを特徴とする請求項66記載の測定装置。」である。
【0047】
請求項69に記載の発明は、「前記支持部材への前記第2端部の回動取付部は該支持部材を把持するクランプを含んでおり、該クランプは前記第2端部に回動式に取り付けられていることを特徴とする請求項65記載の測定装置。」である。
請求項70に記載の発明は、「前記支持部材への前記第2端部の回動取付部は該支持部材を把持するクランプを含んでおり、該クランプは前記第2端部に回動式に取り付けられていることを特徴とする請求項66記載の測定装置。」である。
【0048】
請求項71に記載の発明は、「前記クランプはC形クランプであることを特徴とする請求項69記載の測定装置。」である。
請求項72に記載の発明は、「前記クランプはC形クランプであることを特徴とする請求項70記載の測定装置。」である。
【0049】
請求項73に記載の発明は、「前記可動アームに連続的作動可能に接続されたシリアルボックスとコンピュータとを含んでいることを特徴とする請求項16記載の測定装置。」である。
請求項74に記載の発明は、「前記可動アームに連続的作動可能に接続されたシリアルボックスとコンピュータとを含んでいることを特徴とする請求項32記載の測定装置。」である。
【0050】
請求項75に記載の発明は、「前記可動アーム、シリアルボックス及びコンピュータは遠隔測定信号送信機及び遠隔測定信号受信機を介して相互接続されていることを特徴とする請求項73記載の測定装置。」である。
請求項76に記載の発明は、「前記可動アーム、シリアルボックス及びコンピュータは遠隔測定信号送信機及び遠隔測定信号受信機を介して相互接続されていることを特徴とする請求項74記載の測定装置。」である。
【0051】
請求項77に記載の発明は、「前記プローブは感圧プローブであることを特徴とする請求項16記載の測定装置。」である。
請求項78に記載の発明は、「前記プローブは感圧プローブであることを特徴とする請求項32記載の測定装置。」である。
【0052】
請求項79に記載の発明は、「前記プローブは、球形、平底形、ボール及び先細形で成る群から選択された端部チップを含んだ感圧プローブであることを特徴とする請求項77記載の測定装置。」である。
請求項80前記プローブは、球形、平底形、ボール及び先細形で成る群から選択された端部チップを含んだ感圧プローブであることを特徴とする請求項78記載の測定装置。」である。
【0053】
請求項81に記載の発明は、「前記感圧プローブは本測定装置の回路に作動式に接続された少なくとも1つの内蔵ひずみ計を含んでいることを特徴とする請求項77記載の測定装置。」である。
請求項82に記載の発明は、「前記感圧プローブは本測定装置の回路に作動式に接続された少なくとも1つの内蔵ひずみ計を含んでいることを特徴とする請求項78記載の測定装置。」である。
【0054】
請求項83に記載の発明は、「前記プローブは接触プローブであることを特徴とする請求項16記載の測定装置。」である。
請求項84に記載の発明は、「前記プローブは接触プローブであることを特徴とする請求項32記載の測定装置。」である。
【0055】
請求項85に記載の発明は、「前記接触プローブは自動スイッチを提供することを特徴とする請求項83記載の測定装置。」である。
請求項86に記載の発明は、「前記接触プローブは自動スイッチを提供することを特徴とする請求項84記載の測定装置。」である。
【0056】
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から当業者には理解されるであろう。
図面を通して、同一部材には同一番号が付けられている。
【0057】
【発明の実施の形態】
まず図1を参照しながら本発明の好適実施例について説明すると、本発明の三次元測定装置は、手動操作式多重ジョイント式アーム12及び支持ベースまたはポスト14で構成された座標測定器(CMM)10と、コントローラまたはシリアルボックス16と、ホストコンピュータ18とを有している。CMM10は、シリアルボックス16に電子的に連通し、またシリアルボックス16はホストコンピュータ18に電子的に連通している。
【0058】
以下にさらに詳細に説明と、CMM10は、回転位置データを収集してこの基本データをシリアルボックス16へ送るトランスジューサ(例えば各自由度に対して1つのトランスジューサ)を備えている。シリアルボックス16は、一定の複雑な計算を処理するためのホストコンピュータ18の要件全体を減少させるためのもので、一定の事前データ処理を行う。図2に示されているように、シリアルボックス16はホストコンピュータ18(例えば図2に示されているノート型コピュータ)の下に配置されるもので、データ処理ソフトウェア、マイクロコンピュータプロセッサ、信号処理ボード及び多数のインジケータライト20を含むEEPROMSを備えている。前述したように、基本トランスジューサデータはCMM10からシリアルボックス16へ送られる。次に、シリアルボックス16は進行中に生トランスジューサデータを処理して、ホストコンピュータの照会に対して所望の三次元位置または方位情報で応答する。
【0059】
好ましくは、本発明の三次元測定装置を構成する3つの構成要素(すなわちCMM10、シリアルボックス16及びホストコンピュータ18)は全て、剛性プレートと標準的光学測定器ねじの両方またはいずれか一方を用いて固定取り付け表面に取り付けられてから、図3に22で示されているような公知の標準的なセオドライト可動スタンドに取り付けられる。好ましくは、セオドライトスタンド22は、ブランソン(Brunson)製の部品番号MWS750の部品である。そのような可動スタンドは、伸縮式の垂直タワーと一般的な取り付け具及びロック機構とを備えた安定的な回転台を特徴としている。図2及び3に示されているように、CMM10の支持ベース14は、スタンド22の垂直支持部材24上にねじ止めされるか、他の方法で取り付けられているのに対して、シリアルボックス16/ホストコンピュータ18は、第2ジョイント32に回動可能に取り付けられたアーム30に第1ジョイント28で回動可能に連結された棚26上に支持されている。連結部材34が、部材24の上部の上方に取り付けられたキャップ38に取り付けられた自在連結部36にジョイント32を連結している。
【0060】
次に、図1及び図4〜図9を参照しながら、CMM10を詳細に説明する。図5に詳細に示すように、CMM10に設けられたベース14は、第1移動ハウジング40を(ハウジング40に対して直角方向に配置された)第2移動ハウジング42に連結してなる第1組の2つの移動ハウジングに連結されている。第1延長部材44が、第3移動ハウジング46を第4移動ハウジング48に直角方向に取り付けてなる第2組の2つの移動ハウジングに固定されている。第1延長部材44は、移動ハウジング42及び46間に垂直に配置されている。第2延長部材50が、移動ハウジング48に対して整合してそれに固定されている。剛性の延長部材50は、第5移動ハウジング52を第6移動ハウジング54に直角方向に取り付けてなる第3組の2つの移動ハウジングに固定されている。第6移動ハウジング54にハンドル/プローブアセンブリ56が取り付けられている。
【0061】
一般的に(また以下にさらに詳細に述べるように)、6個の移動ハウジング40、42、46、48、52及び54の各々の内部に位置感知トランスジューサが取り付けられている。各ハウジングは、軸受支持部と、45°傾斜取り付けねじ(図6)を用いて互いに円筒状に取り付けられるように形成されたトランスジューサ室とで構成されている。ベース14には、アーム12を標準的な垂直配置に支持するための釣り合いばね装置60が設けられている(図8)。
【0062】
次に、図6及び図7を参照しながら、移動ハウジング及びその内部構成部材について詳細に説明する。図6は移動ハウジングの分解図であるのに対し、図7は直角向きに取り付けられた移動ハウジング(すなわちハウジング46及び48)の拡大図である。各ハウジングは、内部キャリヤ62と外部ケーシング64とを備えている。内部キャリヤ62と外部ケーシング64との間の機械的安定性は、それぞれの円錐形レース70、72に押し付けられるように配置された2つの対向配置された(例えば向き合わせて設けられた)円錐形玉軸受66、68によって与えられる。円錐形レース70及び72は、外部移動ケーシング64内に永久的に固定されている。キャリヤから軸122が延出しており、それの終端部にねじ74が付けられている。円錐形軸受66、68は焼き入れ鋼で製造するのが好ましく、レース70、72も焼き入れ鋼で製造される。
わかりやすくするために、好適な第1実施例を十分に説明した後で好適な第2実施例の軸受構造を説明する。
【0063】
移動ケーシング48の組み立て中に、ナット73をねじ74に特定トルクまで締め付けることによって圧縮力を加えて、プレストレスを加えた軸受状態にすることによって、一般的に加えられる負荷状態では軸方向回転以外に移動しないようにする。手動処理ではそのようなアームの縦断面を低くする必要があり、それに伴って全体の剛性が低下するため、キャリヤ62とケーシング64との間の接合面にスラスト軸受76も設けることが好ましく、また実際に一部の用例では必要である。スラスト軸受76は、移動ハウジングのキャリヤ62とケーシング64との間をさらに機械的に補剛する。スラスト軸受76は、スラスト調節リング300、平板状の環状レース302、ころ軸受及び保持器304、環状レース306及び向き合ったスラストカバー308の5つの部材を有している。スラスト軸受76は、一連の止めねじ78で調節されて、高い曲げ強さを与える。トランスジューサ(好ましくはハインデンハイン(Heindenhain)からミニロッド(Mini Rod)(部品番号450M-03600)の名前で入手できるようなエンコーダ80)は、移動ケーシング内に取り付けるために汎用取り付けプレート82に取り付けられる。トランスジューサ80の製造変更及びそれに伴った取り付けねじ形状の変更に取り付けプレート82の変更によって対応できるようにするため、汎用取り付けプレート82は部品調達で考えられる問題に対処するために重要である。取り付けプレート82は、図29Aには角に丸味を付けた三角形のプレートとして示されている。図29Aはまた、ねじ付き部材88及び90と、ピン86と、カプラー84とを示している(これら全てについて後述する)。
【0064】
エンコーダ80を用いた高精度回転測定では、エンコーダに負荷がまったく加わらないようにし、また移動ケーシングの軸線とエンコーダの軸線とにわずかな位置ずれがあっても、移動ケーシングの移動がエンコーダに正確に伝達されることが必要である。角度伝達誤差は、発行されているエンコーダの文献から当該分野の専門家には公知である。エンコーダ80には、レンブラント(Renbrandt)から部品番号B1004R51Rで入手できるカプラー84が連通している。エンコーダ80を移動ケーシング64に最終的に連結するために延長軸86が用いられている。軸86は、カプラー84と、キャリヤ62のねじ74側の端部との両方に止めねじ88、90で取り付けられている(図7を参照)。本発明の重要な特徴によれば、電子前置増幅器ボード92がエンコーダ80に近接して配置されており、(ねじ94で)キャップカバー96の内側に取り付けられている。キャップカバー96はねじ97によってケーシング64に取り付けられている。つなぎハウジング98が、キャップカバー96をねじ97で及びねじ100でケーシング64に連結している。ジョイントにOリング溝102設けて、それに標準的なゴムOリング104を取り付けることによって、移動ハウジングが環境から密封されている。回転端部ストップ106(後述する)が図29Bにわかりやすく示されており、これは、開口を貫設した正方形の金属ハウジングを設けており、ハウジングの開口にねじ込まれたボルト108によってケーシング64に取り付けられている。長期使用による磨耗を防止するために、キャリヤ62及びケーシング64の両方に取り付けられたグロメット110及び112をワイヤが通っている。2つの隣接した移動ケーシングの相対方位を維持するため、位置決めピン114がキャリヤ62内の対応形状のリセス116にはめ込まれている。
【0065】
図7に示すように、環境上または他の理由から、すべてのワイヤを見えないように完全に隠蔽し、従ってアーム12内部に収容することが重要である。図7は互いに直角に取り付けられた2つの組み付け移動ハウジング46、48を示し、ワイヤの通路を説明している。CMM10の使用中に、エンコーダ80からのエンコーダ情報がワイヤ118を通ってプロセッサボード92へ送られ、そこで増幅されて、機械加工された通路120によってアーム内を通ることが理解されるであろう。ワイヤ118は次に移動ハウジング46の内部キャリヤ62の軸122の内部のチャネル120を通り、さらにグロメット孔124を通ることによって、移動ハウジング46の外部ケーシング64に機械加工された大きいキャビティ126に入る。キャビティ126は、移動ハウジングの回転時にワイヤをコイル状に巻くことができるようにし、ワイヤの磨耗やわずかなワイヤの曲げも生じない形状になっている。しかし、ワイヤは全回転範囲全体を限定するため、不完全な球形の溝128が形成されて、その内部に端部ストップねじ130が配置されており、これが全回転を、この場合は330°に制限する。わかりやすくするために、第1の好適な実施例を完全に説明した後で、660°回転できるようにする第2の好適な変更形端部ストップ構造を説明する。通過チャネル120及びワイヤコイル巻きキャビティ126は、各移動ハウジングに同様に設けられており、ワイヤはベース14に取り付けられたコネクタまで順次進むことができるため、配線の露出がまったくないことが理解されるであろう。
【0066】
図8に示されているように、アルミニウムアーム及び様々な軸受及びトランスジューサの構造から、CMM10のプローブハンドルアセンブリ56における累積重量は約10〜15ポンド(約4530〜6800グラム)になる。通常の状況では、これは使用中に相当な疲労を発生するため、釣り合わせる必要がある。釣り合いおもりは、可搬性を考えた時に装置の全重量を相当に増加させるため、好ましくない。従って、好適な実施例では、プラスチックケーシング134内に収容されて、ベース14及び移動ハウジング42に取り付けられてアーム12に揚力を与えるトーションばね132を有する釣り合い装置60を用いて釣り合いがとられている。コイル状のトーションばね132は、全初荷重に作用する様々な位置に取り付けることができ、従って様々な長さ及び重量のアーム12に使用することができる。同様に、アーム12の重量及び反跳ばねの作用のため、アームが保管位置へ戻る時に大きさ衝撃負荷が発生する可能性がある。後退時のアームの大きな衝撃を防止するため、空気ピストンショックアブソーバ134も釣り合いばね装置60のプラスチックハウジング142内に設けられている。これによって、衝撃負荷が吸収され、休止位置へゆっくり弛緩する。図8は押し付けられた状態のショックアブソーバ134を示しているのに対して、図16〜18は完全伸張位置にあるショックアブソーバ134を示している。
【0067】
図9A及び図9Bは、プローブハンドルアセンブリ56の上面図及び底面図である。プローブハンドルアセンブリ56は、鉛筆又はピストルのグリップのように保持されるもので、データの受け取り用の2つのスイッチ(図9Aの150及び152)、オプションの電子機器の取り付け用のコネクタ(図9Bの154)及び様々なプローブをはめるねじ付き取り付け部156を備えている。CMM10は手動測定器であるので、ユーザは測定を行ってから、その測定が認められるか否かをCMM10に確認できなければならない。これは、2つのスイッチ150、152を使用することによって行われる。前方のスイッチ150は3次元データ情報を取り込むためのもので、後方スイッチ152はそれの受容性を確認して、それをホストコンピュータ18へ送る。スイッチケース158(ハウジング150、152)の背後に設けられたコネクタ154は、多数の電圧線と、レーザスキャニング装置やタッチプローブ等の多くのオプションへの一般的な取り付けを行うためのアナログ/デジタル変換器の線を備えている。
【0068】
様々なプローブをハンドルアセンブリ56に取り付けることができる。図10Aには、硬質の1/4インチ(約6.4mm)直径のボールプローブ158が示されており、図10Bには先細プローブ160が示されている。両プローブ158、160は(雄ねじ部材157を用いて)取り付け部156に螺着され、取り付け部はプローブハウジング58に螺着される。また、レンチを使用してプローブの着脱を容易に行うことができるようにするため、取り付け部156に複数の平坦面159が設けられている。
【0069】
わかりやすくするため、CMM10の第1の好適な実施例の残りの部材を完全に説明した後、さらに6個の好適な変更形プローブ構造を説明する。
図11及び12を参照しながら、コントローラまたはシリアルボックス16を説明する。図11は、コントローラまたはシリアルボックス16の前パネル面162を示している。前パネル162には、電源インジケータライト164、エラー状態ライト166及び各移動ハウジング内に配置された6個のトランスジューサの各々(1〜6)に1つずつ対応した6個のライト20を含む8個のライトを備えている。起動時に電源ライト164がアーム12への送電を示す。その時、6個のトランスジューサライト全てが、6個のトランスジューサの各々の状態を表示する。本発明の好適な実施例では、トランスジューサは増分デジタル光学エンコーダ80であって、基準化を必要とする。(好適さが低下するが、トランスジューサをアナログ装置にすることもできる。)このため、始動時に、6個のジョイント(例えば移動ハウジング)の各々は、基準位置を求めて回転する必要があり、この時には6個のライトが消える。
【0070】
本発明の重要な特徴によれば、使用中にトランスジューサのいずれかがそれの回転端部ストップ106から2度以内に接近すると、そのトランスジューサに対応したライト及びビーという警告音によって、ユーザが端部ストップに近づきすぎており、現在の測定に対してアームの向きを調整し直す必要があることをユーザに知らせる。シリアルボックス16は測定を継続するが、その端部ストップ状態が解消されるまで、データの取り込みを許可しない。この端部ストップ機能が必要になる一般的な状態は、特定のトランスジューサが端部ストップ限界まで回転することによって自由度が失われるため、アームに力を加えると、測定できないたわみが発生し、測定が不正確になる場合である。
【0071】
測定処理中のいつでも、様々な通信及び計算エラーが発生する可能性がある。これらは、エラーライトの点滅によってユーザに伝えられてから、6個のトランスジューサのライトの組み合わせが、特定のエラー状態をコードによって表示する。前パネル162は変更例として、英数字エラー及び端部ストップ警告を与える英数字LCDパネルを用いることができる。
【0072】
図12に示されているように、シリアルボックス16の後パネル168は、マイクロプロセッサをリセットするためのリセットボタン170、空気循環用のAC入力ファン172、標準PC ATキーボード用のコネクタ174、シリアルボックス16の内部作動の監視用のオプションのVGAボード用のコネクタ176、CMMデータ用の様々な信号線を受け取るコネクタ178、及びホストコンピュータ18用の標準RS232コネクタを含む様々な標準PCコネクタ及びスイッチを備えている。
【0073】
シリアルボックス16は、CMMの温度を監視して、温度変化による様々な部品の膨張及び収縮を説明する式に従ってそれの運動を説明する運動学または数学をリアルタイムで変更することができる。このため、また本発明の重要な特徴に従って、温度監視ボード182(温度トランスジューサを含む)がカバー184の内部の第2ジョイント42の位置に配置されている(図4及び図5を参照)。CMM10は、好ましくは外部を航空機用アルミニウムで構成して、陽極酸化させる。好ましくは、ステンレス鋼の取り付けねじを除いて、アーム12全体を同一素材で構成する。アーム12の膨張及び収縮特徴を均一にし、また電子補正しやすくするため、同一素材が全体に使用される。さらに重要なことに、広い温度範囲において全ての部品間に必要な高度の安定性を得るためには、部品間で熱膨張の差がないことが必要である。前述したように、温度トランスジューサ182は移動ハウジング42に配置されることが好ましいが、それはこの場所が最も高質量の領域であり、従って大きな温度変動の後に安定化する最後の領域であると考えられるからである。
【0074】
次に図13を参照しながら、CMM10及びシリアルボックス16の電子回路配置全体を説明する。6個のエンコーダ80が示され、各エンコーダには、信号伝送時の雑音を最小限に抑えるためにそれに近接して増幅器ボード92が配置されている。様々なオプションを取り付けるためにハンドル56に設けられる6ピンコネクタであるオプションポート154が示されている。測定プロセスをシリアルボックス16に示すための2つの制御ボタン150及び152も示す。
【0075】
温度トランスジューサは、図13に示されているようにやはりアーム12内に配置された温度回路ボード182に関連している。本発明のさらに別の重要な特徴によれば、温度ボード182はEEPROMボードを有している。EEPROMは、小型の計算機化メモリ装置(電気的に消去可能なプログラマブルROM)であって、アームの様々な校正率及び連続番号データを入れるためのものである(図19〜図21に関する説明を参照されたい)。これは、CMM10の高品質制御を可能にし、また重要なことであるがソフトウェア及びアームの不都合な混乱を排除することができる、本発明の非常に重要な特徴である。これはまた、CMMアーム12がコントローラボックス16に校正率データを備える必要がない独立型装置であって、個別の点検及び他の機械との切り替えの両方またはいずれか一方が必要であろうことを意味している。
【0076】
アーム電子機器からの電子及びパルスデータは、12ビットアナログ/デジタル変換器及び多重チャンネル16ビットデジタルカウンタを有する対のセットであるアナログ/デジタル変換器・デジタルカウンタ組み合わせボード186へ送られる。ボード186はコントローラボックスの標準バス上に配置されている。計数情報の処理には、(アンプロ(Ampro)から入手できる部品番号CMX-286-Q51等の市販のインテル(Intel)286マイクロプロセッサを有する)コアモジュール188と、やはりコントローラボックスに備えられたEEPROMに記憶されたプログラムとが使用される。そこから出たデータは、次に直列通信ポート189へ送られる。
【0077】
マイクロプロセッサベースのシリアルボックス16は、ホストレベルの処理要求事項を伴わないで、CMM10特有の計算の前処理を行うことができる。そのようなプロセッサ計算の典型例として、座標系変換、ユニットの変換、中間ジグを使用することによる座標系間での蛙とび、(ANSI B89ボールバー等での)2ボール間の距離計算を含む一定の証明手続きの実行、様々なホスト及びユーザプログラムへのダウンロードに必要な特定フォーマットでのデータの出力がある。
【0078】
シリアルボックスは、PC、MSDOS、ウインドウズ、Unix、Apple、VME等を含む様々なホストフォーマットと通信できる構造である。このため、シリアルボックスは、進行中に生トランスジューサデータを処理して、ホストコンピュータの情報要求またはポーリングに対して所望の三次元位置または方位情報で応答する。シリアルボックスの言語について述べると、直列ポートを駆動してCMM10と通信するため、マイクロプロセッサ188内のドライバまたはコンピュータ通信サブルーチンがホストコンピュータの言語で書かれている。この機能は、「インテリジェント・多重プロトコル・エミュレーション及びオートスイッチング」機能と呼ばれ、次のように作用する。様々なホストプログラムをホストコンピュータにインストールすることができる。これらのホストプログラムは、シリアルボックスが応答しなければならない様々な要求を直列ポートにポーリングする。様々な種類の一般的なソフトウェアに対する直列ポート上のポーリングまたは照会に応答するために、多数のプロトコルがシリアルボックス内にプログラムされている。ソフトウェアによるポーリング要求は特定の応答を必要とする。シリアルボックスはポーリング要求を受け取り、それがどのプロトコルに属するかを判断して、適当に応答する。これによって、CMM10と計算機援用設計及び品質制御ソフトウェア等の広範囲のアプリケーションソフトとの間の即応形通信が可能になり、そのようなソフトウェアの例として、オートデスク(Autodesk)社のオートキャド(AutoCad)(登録商標)、キャドケイ(CADKEY)社のキャドケイ(CADKEY)(登録商標)及び他のCADプログラムと共に、ジオメット・システムズ(Geomet Systems)社のジオメット(GEOMET)(登録商標)、ブラウン&シャープ(Brown and Sharpe)社のマイクロメジャー(Micromeasure)III等の品質制御プログラムがある。
【0079】
本発明の三次元CMMは、次のように作動する。起動時に、シリアルボックス16内のマイクロプロセッサ188が始動自己検査手続きを実行して、インストルメントポートを介してCMM10のアーム12へ電力を送る。EEPROM182に搭載されたマイクロプロセッサ及びソフトが、初期起動時にエンコーダ80のいずれも初期化されていないことを確認する。それから、マイクロプロセッサ188はディスプレイボードへすべてのライト20を点灯する信号を送って、基準化する必要があることを表示する。次に、ユーザはアームを機械的に移動させ、これによってトランスジューサがその範囲を個別に走査し、この時に基準マークを通過する。基準マークを通過した時、デジタルカウンタボード186が応答して、その位置を取り込んで、トランスジューサが基準化されたことを確認して前ディスプレイボードへ知らせライトが消える。全てのトランスジューサが基準化されれば、システムはホストとの直列通信を確立し、さらなる命令を待つ。ハンドル56の前または後ボタンを押すことによって、測定処理が開始される。前ボタン150を押すと、現在のトランスジューサ読取り値が取り込まれる。後ボタン152を押すと、これらの値を次元座標に変換して直列ポートからホストコンピュータ18へ送る必要があることをマイクロプロセッサに知らせる。そして、ホストコンピュータ18及びシリアルボックス16は、互いの直列線要求事項に反応し続ける。
【0080】
次に、CMM10の組み立てに続いて、図19及び図20に示すように、組み立てまたは機械加工のある程度の不良に合わせるためにプログラムソフトウェアを変更することによって、装置の最適化または校正が行われる。この初期校正は本発明の重要な特徴であり、2段階で行われる。第1に、装置の全体積の位置、方位及び寸法を含む様々な寸法測定が行われる。続いて、ジョイント軸線の各々に存在する実際の位置ずれを決定するために最適化ソフトウェアプログラムが使用され、これによってアームの運動を説明する運動学的式が調節される。一般的にその結果として、不完全な機械加工及び組み立てを同定して、それらを装置の運動学に包括することによってそれらの不完全なものが完全なものになる。
【0081】
図19及び20A〜20Eにおいて、データが膨大な量であり、それを正確に簡単に得られるようにする必要があるため、校正及びテストジグが320で示されている。ジグ320は大型の花崗岩プレート322で構成されており、これに水平面上で360度回転できる2つのタワー324及び326が互いに離して取り付けられている。CMM10はタワー326に取り付けられ、調節可能な寸法テストジグ320が他方のタワー324に取り付けられる。ジグ320は、タワー324に貫設された開口330内を垂直方向に移動可能な伸縮式垂直アーム328に取り付けられている。アーム328は完全伸張位置に図示されている。
【0082】
さらに図19及び図20を参照しながら説明すると、調節可能な寸法テストジグ320は3つの基本部材、すなわち1組の精密ボール334を設けた24インチ(約61.0cm) のバー332と、その長手方向に沿って配置された一連の孔336と、24インチの精密ステップゲージ(図20A〜20Eに詳細に示されている)で構成されている。アーム332は、テスト軸の様々な位置で、また図21に示されているアームの体積の全領域内で孔、ステップ及びボールの位置を測定するために使用される。次に、このデータが最適化される。要約すると、重要な最適化手順は以下のように説明できる。物体の所定位置及び方位を備えた標準テストジグ320がアーム10で測定される。次にデータは、アームの全主要構成要素の相対的位置ずれ及び寸法を与えるように作成された多変数最適化プログラムで処理される。最適化が実施され、この時にアームの総合特性を含む校正ファイルが作成される。これらの総合特性及び以降のトランスジューサ読取り値を様々な運動学的式で組み合わせることにより、絶対座標系でのX、Y及びZの値が得られる。
【0083】
さらに性能を最適化するため、新規な基準ボール192がCMM10のベース14に取り付けられた取り外し式取り付け部194から側方へ延出している(図14及び15参照)。ベース14に基準ボール192を配置することによって、ボール192はX、Y及びZ軸に対する装置の絶対原点(0、0、0)を表す。基準ボール192の位置が既知であるため、図15に示すように、チップの位置決めによって本発明は、CMM10の最終リンクに対するデジタイザーチップ158の座標を決定することができる。この位置を知ることによって、CMM10は以降の測定を行う時にそのボールの中心位置を決定することができる。一般的に、これは特定の用途に応じて様々な種類のプローブを取り付けることができ、各々を基準ボールに対して校正することができることを意味している。
【0084】
本発明の可搬性のため、それは様々な環境で重大な誤操作や場所の移動を加えられるであろう。従って、本発明は、ユーザが好都合なメンテナンススケジュールに従って装置を使用する前にある程度の体積精度を確立できるようにするプロトコルを備えている。ASME ANSI B891.1.12(1989)基準によれば、体積精度は、作動体積内に様々な方位に位置する固定長さを測定する装置の能力であると定義される。図16は、第1ボールバー方法を用いて本発明がこれを実施できることを示しており、図17及び図18は、第2ボールバー方法を説明している。
【0085】
図16は、2つの磁気ソケット202及び204内にそれぞれ取り付けられた精密球形ボール198、200を各端部に設けた標準ボールバー196を示している。ソケット202はCMM10のベース14に設けられ、ソケット204はプローブハンドル56に設けられている。アーム12が動き回ると、ソケット202、204及びボール198、200が回転してこの動きに合わせ、CMM10はハンドル56側のボール200及びソケット204の中心とベース側のボール198の中心との間の固定位置を測定することを要求される。もちろん、ベース14側のソケット202はCMM10の(0、0、0)座標を表すことを思い出して、コントローラボックス16内の校正ソフトウェアが(0、0、0)からプローブのボールの中心までのベクトル長さを計算し、この長さはもちろんテスト中は不変であって、ハンドル及び他のジョイントの様々な配置及び回転によって全体積にわたって常に測定しなければならない。
【0086】
ハンドル上の特別なプローブの精度を確認したい時、ハンドル側のソケット204が不都合で不確定的になりがちであることが理解されるであろう。従って、本発明の重要な特徴によれば、図17に206で示されているような新規な円錐形ソケットボールバーが使用される。円錐形ソケットボールバー206は、一端部に円錐部208を、他端部に2つのボール210、212を備えている。円錐部及びボールを連結するバー207に傾斜部分209が設けられ、その角度αは好ましくは20度である。ボール212は、バー207から側方へ延出した取り付け部211に取り付けられている。ボールプローブ158または先細プローブ160が円錐形ソケット208内に配置され、ボール210はCMM10のベース14の標準的な磁気ソケット202内に取り付けることができる。図16の校正方法の場合と同様に、ボール及びバーの多くの位置及びジョイント位置が測定され、円錐形ソケット208とボール210との間の距離は一定でなければならない。ユーザが装置の反対側(214で示された位置)に到達できないことは、ボールソケット202の位置決めでは仕方がない。このため、図18に示されているようにボール212が使用される。これによって、ユーザは円錐形ボールバー206をCMM10の裏の反対側に到達するように位置決めして、ボール212の中心から円錐形ソケット208の中心までの距離を測定できる。
【0087】
本発明によるCMM(可搬式座標測定器)を使用する際に直面する最も深刻な問題の1つは、アームが載置プレートを介して取り付けられるスタンドまたはベースが、測定中の物体に対して完全には安定できないことである。これは、測定される物体が別体の取り付け台に固定されているか、大きいアセンブリの一部であるために、アームのベースを取り付ける載置プレートが測定中の物体に対して完全には安定できないからである。この不安定性は、CMMの高精度に悪影響を与える可能性がある。この問題を解決するため、ベース載置プレートから半径方向外向きに設けられたねじ付き孔に一端部を取り付け、第2端部をユニバーサルクランプ(すなわちCクランプ)にはめ合わせた支柱が設けられている。支柱には、測定すべき物体に適当に到達するように支柱の長さを調節するための調節ねじが設けられている。支柱は、ベース載置プレートの反対側の同じ支柱と対にして使用されるのが好ましい。
【0088】
次に図22を参照しながら、支柱及びその使い方を詳細に説明する。測定アーム10のベース14は、セオドライトスタンド22のベースプレート38または他の適当な剛性プレート内に公知のようにして取り付けられている。ベースプレート38には、互いに向き合った少なくとも2カ所に適当な既知寸法のねじ孔400が外向きに設けられている。支柱402は、ほぼ4つの部材で構成されている。すなわち、2つのアーム部材404と、調節ねじ406と、図示のユニバーサルクランプ408(すなわちCクランプ)である。もちろん、図示のCクランプの代わりに、磁気クランプ、吸引クランプ等の多くの適当な取り付け装置を用いることができる。図22に示されているように、三次元測定アーム10によって測定すべき物体410が第2取り付けプレート412上に取り付けられるか、他の方法で固定される。このため、両方のベースプレート38及び412は互いに対して固定保持され、不安定性が最小限に抑えられる。
【0089】
三次元座標測定器即ちCMMの本発明による3つの基本的なアーム構造が、広範囲な要求及び状態に適合するために開発されている。これらのアーム構造の2つは6自由度を与える。第3アーム構造は7自由度を与える。これらの3つのアーム構造は、本発明の3つの好適な実施例を示している。各実施例は、異なった機能及び測定中の物体によって決定される測定状態の両方またはいずれか一方、または実行中の機能または作動に対して利点を備えている。図3及び図23A〜23Cはこれらの構造の各々を示している。図3も参照されたい。図23A〜23Cは、CMM10に許される自由度を概略的に示している。支持ベース14により、回転方向矢印421及び422で示される2つの自由度が与えられる。
【0090】
CMM10は、支持ベース14に相当する肩等の部位からなる人体の腕構造にたとえることができる。エルボ部材444、50は、人間の腕の肘に相当し、ハンドル/プローブアセンブリ56は人間の手首に相当する。肩、肘及び手首に示された2自由度を備えた図23Aの構造(2-2-2配置)は、到達し難い部分の探索を容易にすることができる。反対に、肩に2自由度、肘に1自由度、手首に3自由度を備えた図23Bの構造には次のような利点がある。端部作動器(手首)に3自由度を設けている(2-1-3配置)構造によって、物体の完全な方向決め及び位置決め、すなわち非軸方向プローブが可能になる。以上に述べた2つの構造(図23A及び23B)の各々には上記の非常に特殊な利点がある。第3の好適なアーム構造(図23C)は、上記2つのアーム構造を組み合わせた利点を備え、7自由度を与える(2-2-3配置)。この第3の好適なアーム構造は、2-2-2構造の到達範囲及び位置決めと、2-1-3構造の端部作動器の完全な方向決め能力とを組み合わせた利点を与える。
【0091】
前述したように、3つの構造すべてが肩(支持ベース14)に2自由度を備えている。図23Aでは、肘の2自由度が回転方向矢印424、426で示されており、最後の手首(作動部材)アセンブリ56の2自由度は、回転方向矢印428、430で示されている。図23Bでは、肘部分の1自由度が回転方向矢印434、436及び438で示されている。最後になるが、図23Cでは、肘部分の2自由度が回転方向矢印444、446及び448で示されている。
【0092】
もちろん、各自由度はCMMのコスト及び重量の両方またはいずれか一方を増加させることに注意する必要がある。それが、必要以外にCMMのコストを増加させることなく必要とされる異なった要求事項(測定または処理)の様々なニーズに答えるために本発明に従って3種類の構造を提供する理由の1つである。
【0093】
図24A及び24Bは、CMM10(座標測定器)またはコントローラまたはシリアルボックス16とホストコンピュータ18との間の信号路の相互接続を行うための本発明による2つの好適な手段を概略的に示す。図24Aでは(図1も参照されたい)、CMM10が公知の配線手段460によってシリアルボックス16に電子的に接続されており、シリアルボックス16は公知の配線手段462によってホストコンピュータ18に接続されている。CMM10、コントローラまたはシリアルボックス16及びホストコンピュータ18を相互接続するこの方法は、本発明の非常に多くの用途に対して極めて満足できるものであることがわかっている。しかし、距離、環境上または他の条件によって、無線遠隔測定がCMM10、シリアルボックス16及びホストコンピュータ18間で信号を相互接続する唯一の、または好適な方法になる用例が現在知られており、また将来的に予想される。これは、本発明によれば図24Bに示されている手段によって達成される。回路及び部材は小型化されて、464で示されるように装置10のポートベース14に直接的に取り付けられる。小型化されたシリアルボックス464に遠隔測定装置466が設けられており、これには遠隔測定信号468を送信できる手段が設けられ、この信号をホストコンピュータ18に取り付けられた遠隔測定受信機470が受け取る。このため、装置10及び18は配線460、462を使用する必要がなくなる。
【0094】
図25A及び25Bは、2つの好適な軸受構造を示している。図25Aの軸受構造は、図6及び7の説明で十分に詳細に説明されている。要約すると、内レース480及び外レース482を備えた1対の向き合わせて層状配置された軸受が軸の周囲に配置されて、ナット484を用いて初荷重が加えられている。初荷重は、ナット484に加える回転量だけによって決定される。この構造は、多くの用例で極めて満足でき、相当な成功を収めながら使用されてきた。しかし、一部の状態及び用例では、一定の負荷パラメータの維持が困難である。このような場合、本発明に従った軸受構造の第2の好適な変更実施例が提供されている。
【0095】
軸受構造のこの第2の好適な変更実施例が図25Bに示されている。図25Bでは、一般的にラジアル玉軸受であって、非常に特殊な初荷重を可能にするように事前研削された1対の軸受(一般的に組み合わせ軸受と呼ばれる)486が、図25Aの円錐形軸受の代わりに用いられている。初荷重は、固定スペーサ488、490を使用して事前に設定され、これらの固定スペーサ488、490はナット492で完全に締め付けられている。ナット492を締め付ける時の移動ケーシングの変形によって、組み合わせ軸受ケーシング間の差が吸収され、初荷重の量が事前に決定される。この第2の好適な実施例の好都合な特徴は、軸受486に軸494に沿った過負荷を加えることによる破損を生じることなくナット492を可能な限り締め付けることができることである。
【0096】
前述したように、図10A〜10Bを参照しながらボールプローブ158及び先細プローブ160が説明されており、もちろん本発明に従って目的用途に対して満足できるものである。本発明に従ったプローブのさらに6つの実施例を図26、30、31及び図9A、9Bを参照しながら詳細に説明する。図9A及び9Bはプローブハンドルアセンブリ56のそれぞれ前面図及び背面図である。
【0097】
まず図26A〜26Cを参照しながら説明すると、アダプタ500がプローブハンドルアセンブリ506の端部作動器にはめ付けられている。大きさ及び配置の両方またはいずれか一方が異なったプローブ508に510で表される比較的深い内孔が設けられており、内孔は512で示されている。両プローブ502及び508には、アダプタ500の端部の雌ねじ516に螺合される大きさの雄ねじ514が付けられている。これらのプローブを使用することが必要であって望ましい工業用途の汚れた過酷な環境のため、電気接点を使用すると問題が頻発する場合が多い。この問題を解決するため、プローブ軸518がトランスジューサ520から下向きに延出しており、トランスジューサ520は配線522によって内部回路に接続しており、この配線によってプローブ信号がプローブハンドルアセンブリ56を通ってCMM10の他の部分へ送られる。このように、本発明によれば、いずれのプローブでも自動的に識別でき、このために手動で間違ったプローブを選択する誤りを防止できる。このように、人間の目では識別することが困難な多数のプローブを使用することができる。もちろん、多くの他の用途にこの自動プローブ識別システムを利用することができる。プローブ軸518は内孔504、512よりもわずかに小径になっていることに注意されたい。矢印524は、プローブ軸518の軸方向移動を示している。
【0098】
図30(30E)は、本発明によるプローブの別の実施例を530で示す。マーキングプローブ530は、取り付けステム532と、クランプ534と、マーキングペン536とで構成されている。取り付けステム532に設けられたシャンク538は、内孔540に圧入される適当な大きさにするか、クランプ534に溶接または他の適当な方法で固定してもよい。取り付けステム532のシャンク538の他端部には、プローブハンドルアセンブリ56の雌孔544にねじ込まれる適当な大きさの雄ねじ542が設けられている。図30Eは、マーキングペン締め付け止めねじ546の中心線を通る線30E-30E線に沿ったクランプ534の断面図である。空間548によってマーキングペン締め付け止めねじ546をしっかり締め付けることができることに注意されたい。矢印550はマークを記す方向を示す。このように、マーキングプローブ530を様々なマーキング用具と共に使用することにより、本発明のCMM10本来の正確さによって非常に正確な線を描いたり他の動作を行うことができることに注意されたい。
【0099】
本発明によるプローブの第3の好適な実施例を図31に560で示す。自動パンチプローブ560が、標準的な反動パンチプローブで構成されている。パンチプローブ560の取り付け部分562に雄ねじ564が設けられており、それはプローブハンドルアセンブリ56の雌ねじ566にねじ込まれる大きさになっている。自動パンチプローブ560は、内部に反跳ばね及びトリガアセンブリ568を備えており、それによってパンチの先端570を矢印572で示されている軸方向に沿って位置決めすることができる。自動パンチプローブ560を所望位置に位置決めしてから、パンチ先端570を軸方向572にプローブハンドルアセンブリ56に向けて押すことによって、(反跳ばね及びトリガアセンブリ568の一部である)ばね解放部材が作動して、ハンマを使用することなくパンチプローブ先端を貫通させるため、測定だけに使用された時に同じCMM10で可能な精度限界と同じか、それに近いCMM10の高精度限界内の位置決めを達成できる。
【0100】
次に図32を参照しながら、感圧プローブとして知られている本発明によるプローブの第4実施例を説明する。基本的にこの感圧プローブは、プローブ本体582に取り付けられた様々な端部チップ(ボールチップ、先細チップ、平底チップ等)を備えることができる。感圧プローブ全体は580で示されている。図32には球形の端部チップ584が示されている。感圧プローブ580の上部に取り付け雄ねじ586が設けられており、これはプローブハンドルアセンブリ56の雌ねじ588にねじ込まれる大きさになっている。感圧プローブ580の内部にひずみ計590が取り付けられており、これは入手が容易で公知の標準抵抗形(例えばスタンフォードのオメガ・エンジニアリング(Omega Engineering)社製のもの)であることが好ましく、コネクタ592、ケーブル594、及び最終的にプローブハンドル56のオプションポート154に接続する適当なコネクタ596を介して回路に接続されている。端部チップ584が測定すべき表面に接触した時、発生する対応力がプローブ本体582を変形させ、それによってひずみ計590内に電気変化が発生し、これが自動的に信号をケーブル594に流し、それからプローブハンドルアセンブリ56のオプションポート154を通ってから、CMM10の回路を通り、シリアルボックス16及びホストコンピュータ18へ流れる。ひずみ計技術は十分に確立されており、当該分野では公知であることに注意されたい。ひずみの測定には様々な他の方法があるが、当該分野での経験から、ここに説明した方法が好適であることがわかっている。
【0101】
図33は、本発明によるプローブの第5実施例を示しており、このプローブはドリル取り付けプローブとして知られている。ドリル取り付けプローブ全体が600で示されている。ドリル取り付けプローブ600は、取り付けステム602と、本体604と、取り付けステム602から側方に変位している回転アセンブリ及び軸606とで構成されている。取り付けステム602は、一端部がベース608への圧入で取り付けられる大きさになっている。
【0102】
もちろん、取り付けステム602を本体604に取り付けるために、溶接等のいずれの公知の方法を使用してもよい。取り付けステム602は、プローブハンドルアセンブリ56の取り付け雌ねじ612にはめる大きさの雄ねじ610を上端部に備えている。回転アセンブリ606は、軸614と、組み付けナット620と、1対の軸受616と、チャック618とで構成されている。軸614は、一端部が標準ドリルまたは工業分野で知られている他の回転ポータブル動力源622のチャックにはまる大きさになっている。本体604はほぼ矩形であって、上記の回転動力源を適当に支持できる大きさで、アルミニウム製であることが好ましい。組み付けナット620、軸614、1対の軸受616及びチャック618は公知の方法のいずれで組み立ててもよい。軸受616は、玉軸受形式であることが好ましい。チャック618は、いずれの所望サイズのドリルビットまたは他の工具(すなわち面取りフライス等)も取り扱うことができる大きさである。動力源622と回転アセンブリ606との間に示されている回転矢印624、及びドリルビット628の下方に示されている回転矢印626で示されているように、ドリルの回転方向は動力源622の方向と同じである。上記プローブを使用して得られる穴または他の作動は、CMM10の高精度限界に入っている。
【0103】
本発明のプローブの第6実施例は接触プローブとして知られるもので、図34に650で概略的に示されている。ケーブル652の一端部がコネクタ654を介してプローブハンドルアセンブリ56のオプションポート154に接続している。ケーブル652の他端部は、測定または他の所望機能を実施すべき金属物体658と接触するためのわにぐちクリップまたは他の適当な端子656になっている。ケーブル652に電圧が加えられる。端部プローブ660(後退位置が実線で、伸張位置が点線で示されている)が物体658に接触することによって接地が行われる。このように物体658に接触する結果、電圧Vが大地電位まで降下し、アナログ/デジタル変換器659内のソフトウェアが、アナログ/デジタル変換器659を介したケーブル652の接地をプローブハンドルアセンブリ56のボタン150、152の作動と同一であると見なすように設計されている。このオプションポート154は、ケーブル652及び端子656を介して金属製または導電性の物体658に接続している。このようにプローブ660が導電性物体658に接触した時、プローブ660が接地される。ケーブル652が接地し、電圧Vが大地レベルまで降下することによって、接地信号がアナログ/デジタル変換器659及びソフトウェアを介して送られて、プローブハンドルアセンブリ56を作動させる。従って、端部プローブ660が物体658と接触した結果は、プローブハンドルアセンブリ56のスイッチの作動に相当する。これは、金属物体を走査するための理想的なセットアップであり、プローブハンドルアセンブリ56のスイッチを常にオンにしておく必要がなくなる。本発明のこの接触プローブ650のさらなる好都合な特徴は、プローブチップ660が物体658に接触する最初の瞬間に接触スイッチが作動するため、物体658を巻き込む余分な、また後の移動が回避または排除され、初期測定が外的衝撃を受けない。
【0104】
図7には、アームの様々な移動ハウジングの回転範囲に関して詳細に説明されており、不完全な球形溝128と、各組の移動ハウジングの全回転を最大330°に制限することによってアームの部材を保護するストップねじ130とが設けられている。この構造はCMM10の多くの使用例で完全に満足できるものである。しかし、ここで説明するように、本発明の第2の好適な実施例は、各移動ハウジング組の回転を330°ではなく660°にすることができる。
【0105】
この新規な機構は、移動ハウジングの2つの半割体に2つの不完全な円形溝を形成し、その中に入った2つの円弧形のシャトルが上記2つのそれぞれの溝内を自由に移動できるようにしており、また660°全回転した後の不完全溝の端部にハードストップを設けている。図27A〜27Eには、移動ハウジングセットが700で概略的に示されている。図28Aは本発明の移動ハウジング組に660°の全回転を与える第2の好適な構造に使用される円弧形シャトルの上面図であり、図28Bは円弧形シャトルの側面図である。組み合わされる溝は、シャトル702(図28A及び図28Bを参照されたい)を収容できる大きさで、移動ハウジング軸の肩部及び移動ハウジングの対応の肩部に適当な深さで加工されている。一例では、シャトル702は高さが0.246”(約6.25mm)、内径が1.042”(約2.647cm)、外径が1.187”(約3.015cm)で、シャトル702の長さ部分がこれらの半径の円の20°の円弧であることが好ましく、シャトル702はプラスチック材製である。Xは移動ケースハウジング肩部内の30°のストップ円弧を示し、Yは移動ハウジング軸肩部の30°のストップ円弧を示している。移動ケースハウジング内の溝704は、シャトル702の高さの半分を収容できる大きさであって、適当に仕上げされて、シャトル702が移動ハウジングの溝704(図27Bを参照されたい)及び移動ハウジング軸の溝706(図27Cを参照されたい)内を自由に移動できるようにしている。図27B〜図27Eではシャトル702に斜線の陰が付けられている。図27B及び27Cに示されているように、シャトル溝は図27BのXストップ部分(移動ハウジング肩部内のシャトル溝を表す。)に隣接したP位置及び図27CのYストップ部分(移動ハウジング軸肩部内のシャトル溝を表す)に隣接したP位置から図27BのXストップ部分に隣接したP1位置及び図27CのYストップ部分に隣接したP1位置まで330°移動自在である。図27Dに示されているように、シャトル702はこの時、反時計回りに330°回転した後に図27Dに示されているようにY部分及びX部分の間に固定される。図27Eに示すように、このために移動ケースアセンブリがさらに時計回り方向に330°回転することができる。予防措置として、アームが本発明によって660°以上移動した場合にCMM10の部材の変形を防止するため、シャトル702はせん断強さを備えるように設計されることに注意されたい。シャトル702の交換を容易にするために設けられる窓スロットは図示されていない。
【0106】
以上に好適な実施例を説明してきたが、発明の精神の範囲内において様々な変更を加えることができる。従って、本発明の上記記載は説明のためであって、制限を加えるものではないことを理解されたい。
【0107】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明においては、装置の持ち運びができ、安価で、容易に測定できる大きさすなわち体積が限定されることもない三次元座標測定装置を提供することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 座標測定器、コントローラボックス及びホストコンピュータを備えた本発明の三次元測定装置を説明する概略前面図である。
【図2】 操縦可能なアームに載せられたシリアルボックスの上に載せられたホストコンピュータを示す側面図である。
【図3】 セオドライトスタンド上に取り付けられた本発明の三次元測定装置の側面図である。
【図4】 図1に示されているCMMの背面図である。
【図5】 図1のCCMの、一部断面で示した立面図である。
【図6】 図1のCMMに使用されている移動ハウジングの分解側面図。
【図7】 直角向きに組み合わせられた2つの移動ハウジングの断面図。
【図8】 図1のCCMに使用されている釣り合いばねの拡大側面図である。
【図9】 図9A及び図9Bは、図1のハンドル/プローブアセンブリの上面図及び下面図である。
【図10】 ボールプローブ及び先細プローブの側面図である。
【図11】 図1のコントローラボックスの拡大前面図である。
【図12】 図1のコントローラボックスの拡大背面図である。
【図13】 図1の三次元測定装置用の電子部材の概略図である。
【図14】 プローブチップ校正システムを説明する図1のCMMの側面図である。
【図15】 プローブチップを校正する方法を説明する概略上面図である。
【図16】 ボールバーで校正中の図1のCMMの側面図である。
【図17】 新規な円錐形ボールバー装置で校正中の図1のCMMの側面図である。
【図18】 新規な円錐形ボールバー装置で校正中の図1のCMMの側面図である。
【図19】 最適化ジグを使用して図1のCMMを最適化する方法を説明する側面図である。
【図20】 図19のジグに使用される精密ステップゲージの、それぞれ前面図、背面図、上面図、右側面図、左側面図である。
【図21】 図19の装置を用いて図1のCMMを最適化する方法を示す概略図である。
【図22】 測定アームと測定すべき物体との間に安定性を与えるための支柱を説明する、本発明の測定アームの概略的前面図である。
【図23】 図23Aは、6自由度を2-2-2の配置で有する好適な実施例を示す本発明の測定アームの概略的前面図である。図23Bは、6自由度を2-1-3の配置で有する第2の好適な実施例を示す本発明の測定アームの概略的前面図である。図23Cは、7自由度を2-2-3の配置で有する第3の好適な実施例を示す本発明の測定アームの概略的前面図である。
【図24】 図24Aは、図1のCMMの概略的前面図で、CMM、シリアルボックス及びホストコンピュータがケーブルで接続されているところを示す。図24Bは、シリアルボックスを小型化して、直接的に測定アームの側部(またはベース)に取り付けた変更形CMMの概略的前面図で、シリアルボックス及びホストコンピュータの両方が遠隔測定によって信号を送受信できる。
【図25】 図6の移動ハウジングの一部分の中心線に沿った断面図であり、本発明の好適な変更形軸受構造を示している。
【図26】 適正なローブを自動的に識別するためにプローブ軸を受け取る深さが異なった加工穴を備えた2種類のプローブの、一部断面で示した各々の側面図である。図26Cは、図26A及び図26Bのプローブの加工穴深さを自動的に感知できるトランスジューサプローブ軸取り付け部の中心線を通る断面図。
【図27】 図27Aは、本発明によるCMMの各自由度で660°の回転を可能にする移動ハウジング及び軸の第2の好適な変更形ストップ構造の、一部断面で示した部分概略図である。図27Bは、回転前の図27Aの27B-27B線に沿った断面図である。図27Cは、回転前の図27Aの27C-27C線に沿った断面図である。図27Dは、反時計回りに330°回転した後の図27Aの27D-27D線に沿った断面図である。図27Eは、時計回りに330°回転した後の図27Aの27E-27E線に沿った断面図である。
【図28】 図28Aは、本発明によるシャトルの上面図で、図28Bは、本発明によるシャトルの前面図である。
【図29】 図29A及び図29Bは、図6のそれぞれ29A-29A線及び29B-29B線に沿った図面である。
【図30】 本発明によるプローブ取り付け部を一部断面で示したマーキングペンプローブの前面図である。図30Eは、図中の30E-30E線に沿った断面図である。
【図31】 本発明の自動パンチプローブの、一部断面で示した前面図。
【図32】 本発明の感圧プローブの、一部断面で示した前面図。
【図33】 本発明のドリル取り付けプローブの、一部断面で示した前面図である。
【図34】 本発明の接地時に測定を行う接触プローブの概略図。
【符号の説明】
10 座標測定器
12 アーム
14 支持ベース
16 シリアルボックス
18 ホストコンピュータ
40、42、46、48、52、54 移動ハウジング
80 エンコーダ
158、160 プローブ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2004-05-25 
結審通知日 2004-05-26 
審決日 2004-06-11 
出願番号 特願平8-46439
審決分類 P 1 122・ 121- ZA (G01B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 柴田 和雄  
特許庁審判長 江藤 保子
特許庁審判官 三輪 学
福田 裕司
登録日 2001-10-19 
登録番号 特許第3240549号(P3240549)
発明の名称 三次元座標測定装置  
代理人 加藤 真司  
代理人 廣江 武典  
代理人 大野 聖二  
代理人 田中 久子  
代理人 廣江 武典  

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