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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1110692
審判番号 不服2002-24046  
総通号数 63 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-09-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-12 
確定日 2005-01-20 
事件の表示 平成7年特許願第 31232号「無線電話装置」拒絶査定不服審判事件〔平成8年9月3日出願公開、特開平8-228220〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成7年2月20日の出願であって、平成14年11月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月12日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[結論]
平成14年12月12日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
上記手続補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明を、
「基地局と移動局からなる無線電話装置において、前記移動局が着信時に着信音を鳴動させずに発信者の電話番号を記憶する記憶手段と、着信があったこと及び前記発信者の電話番号を記憶したことを表示する表示手段と、操作部の発信キーの操作により記憶した前記発信者の電話番号に対して発信する発信手段と、前記発信手段で前記発信者の電話番号に発信し、当該相手が応答して通話を終了させた場合には、前記記憶手段に記憶されている当該発信者の電話番号を前記表示手段から消去する制御手段とを備えたことを特徴とする無線電話装置。」
という発明(以下、「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである。

2.補正の適否
(1)新規事項の有無、補正の目的要件
上記補正のうち、「当該相手が応答して通話を終了させた場合には、前記記憶手段に記憶されている当該発信者の電話番号を前記表示手段から消去する」構成について検討するに、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には「相手が応答して通常に通話を終了させた場合は(ステップ29)、一時記憶メモリ13の該当番号が消去され(ステップ30)、待ち受け状態に移行する。」と記載されているのみで、前記「当該相手が応答して通話を終了させた場合には、前記記憶手段に記憶されている当該発信者の電話番号を前記表示手段から消去する」構成については記載されていない。また、当初明細書等には「消去」と「表示手段」の関係についての記載がなく、前記補正後の構成が当初明細書等に記載された「一時記憶メモリ13の該当番号が消去され」という構成から自明の構成であるとも認められない。
したがって、上記補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものではないから、特許法第17条の2第2項で準用する同法第17条第2項の規定(新規事項)に適合していない。

(2)独立特許要件
仮に、上記補正が、特許法第17条の2第2項で準用する同法第17条第2項の規定(新規事項)及び同法第17条の2第3項の規定(補正の目的)に適合しているとしても、上記補正後の発明は、以下の理由により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、特許法第17条の2第4項の規定により準用する特許法第126条第3項の規定に適合していない。

[補正後の発明]
上記「1.補正後の本願発明」の項で認定したとおりである。

[引用発明と周知技術]
原審の拒絶理由に引用された特開平6-62108号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
イ.「【請求項1】 送信情報に発呼者の電話番号およびメッセージ情報についての情報が付加される通信システムに使用される携帯型や自動車型の電話装置であって、
簡易留守番モード時に着信したときに発呼者側に対してメッセージ情報を転送して簡易留守番モードになっていることを通知する通知手段と、
前記通知手段からのメッセージ情報を受け取った発呼者側からの電話番号とメッセージ情報とを検知する検知手段と、
前記検知手段により検知された電話番号およびメッセージ情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された電話番号およびメッセージ情報を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする電話装置。」(2頁1欄、【特許請求の範囲】)
ロ.「【産業上の利用分野】本発明は、ディジタル携帯電話システム、すなわち送信情報に発呼者の電話番号およびメッセージ情報についての情報が付加される通信システムに使用される携帯型や自動車型の電話装置に関するものである。」(2頁1欄、段落1)
ハ.「【0008】次に上記電話装置の受信動作の要部について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。ユーザーにより簡易留守番キーがオンされ、待ち受け中に着信メッセージを受信すると(ステップS1)、簡易留守番モードになっているか否かを判断する(ステップS2)。この場合簡易留守番モードになっているので、呼び出し音を鳴らさず、シグナルまたはキーパッドファシリティのメッセージを転送することによって相手側に簡易留守番モードであることを知らせ(ステップS3)、所定時間を計時するタイマーをスタートさせる(ステップS4)。・・・(中略)・・・次にメッセージや相手の発信者の電話番号を受信したか否かを判断し(ステップS5)、受信すればそれをメモリ14に格納する(ステップS6)。また、メモリ14を検索して発信者の電話番号と一致する電話番号があるか否かを調べ、あれば相手の名前を電話番号と対応させてメモリ14に記憶させる。次に確認メッセージを転送し(ステップS7)、切断メッセージを送信および受信して(ステップS8)、切断状態に入る。次にメモリ14に記憶したメッセージがあるか否かを判断し(ステップS9)、あればLEDを点滅させると共に、メッセージの件数をLCDに表示し(ステップS10)、待ち受け状態に戻る。なお、ステップS9において、メモリ13に記憶したメッセージがないと判断すれば、待ち受け状態に戻る。またステップS5において、メッセージや相手の発信者の電話番号を受信していないと判断すれば、タイマーがタイムアウトしたか否かを判断し(ステップS11)、タイムアウトしていればステップS8に進み、タイムアウトしていなければステップS5に戻る。またステップS2において、簡易留守番モードになっていないと判断すれば、通常の着呼動作に進んで呼び出し音を鳴らし、通話チャンネルに入ってユーザーが話をする(ステップS12)。」(3頁3欄〜4欄、段落8)
ニ.「またメモリ14の記憶内容を利用して、電話をかけてきた相手に後で自動的に発信することも容易に行える。」(4頁5欄、28〜30行目)

上記引用例の記載及び添付図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「ディジタル携帯電話システムにおいて、
携帯型電話装置が着信時に着信音を鳴動させずに発信者の電話番号を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された電話番号およびメッセージ情報を報知する報知手段と、
記憶手段の記憶内容を利用して、電話をかけてきた相手に後で自動的に発信する手段とを備えたディジタル携帯電話システム。」

また、同じく、原審の拒絶理由に引用された特開平6-232962号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
イ.「【請求項1】着信拒否モードを設定する着信拒否モード設定手段と、
前記着信拒否モードが設定されている状態において着信があった場合は、該着信に自動応答して発信者に対して予め記録しておいた第1のメッセージを自動送信する自動応答手段と、
前記第1のメッセージに応答して前記発信者から送信された第2のメッセージ情報および発信者の電話番号を受信しこれを記録する発信者情報記録手段と、
前記発信者情報記録手段に記録された発信者の電話番号を利用して前記発信者に対して発信する発信手段とを具備することを特徴とする移動通信端末装置。」(2頁1欄、【特許請求の範囲】)
ロ.「【0019】まず、選択ボタン72の上下どちらかを押し(ステップ41)、制御部4の電話番号情報記録部42に記録してある電話番号を表示部6に表示させる(ステップ42)。続けて選択ボタンを押していき、表示されている希望の電話番号を選択する(ステップ43)。次に発信キー73を押す(ステップ44)と、これにより選択した電話番号に自動的に発信される(ステップ45)。」(3頁4欄、段落19)

上記引用例2には「発信者情報記録手段に記録された発信者の電話番号を利用して前記発信者に対して発信するとき、操作部の発信キーの操作により記憶した前記発信者の電話番号に対して発信すること」が開示されている。

また、例えば特開平6-152721号公報(以下、「周知例1」という。)には、図面とともに以下の事項イ.が記載されており、また、例えば特開平3-245646号公報(以下、「周知例2」という。)には、図面とともに以下の事項ロ.が記載されている。
イ.「【発明の効果】本発明によれば、着呼時に送られてくる発呼側電話番号を呼出番号メモリに格納すると共に発呼時にはこのメモリに格納された電話番号を利用して発呼を行なうことができるので、外出等の不在時に着呼があった際でも、帰宅後にその発呼先に電話を簡単にかけ直すことが可能である。
【0059】また、着呼時に呼出番号メモリに格納された発呼側電話番号も、上記着呼にユーザが応答した際には、上記メモリより消去されるので応答できなかつた着呼のみを確実に判断できる。」(6頁10欄1〜10行目)
ロ.「次に、着呼番号ボタン部5により着呼番号データに対応するボタンを押下すると、制御部3は押下された着呼番号ボタンに対応する発信者電話番号データを記憶部2から取り出し、これをダイヤル発信データに変換しインタフェース部8を介してデジタル回線9へ送出する。ダイヤル発信により通話が行われると、制御部3は記憶部2のダイヤル発信した発信者電話番号データを消去する。」(2頁右下欄14行目〜3頁左上欄1行目)

上記周知例1、2の記載によれば、「メモリに格納された電話番号を利用して発呼を行なう場合に、相手が応答した際または通話が行われた際に、当該電話番号をメモリから消去すること」は単なる慣用手段である。

[対比]
補正後の発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「ディジタル携帯電話システム」は「基地局と移動局からなる無線電話装置」であり、引用発明の「携帯型電話装置」は「移動局」であるから、補正後の発明の「基地局と移動局からなる無線電話装置」における「移動局」と引用発明の「ディジタル携帯電話システム」における「携帯型電話装置」の間に実質的な差異はない。
また、補正後の発明の「着信があったこと及び前記発信者の電話番号を記憶したことを表示する表示手段」と引用発明の「前記記憶手段に記憶された電話番号およびメッセージ情報を報知する報知手段」はいずれも「着信等の表示手段」であるという点で一致している。
また、補正後の発明の「操作部の発信キーの操作により記憶した前記発信者の電話番号に対して発信する発信手段と、前記発信手段で前記発信者の電話番号に発信し、当該相手が応答して通話を終了させた場合には、前記記憶手段に記憶されている当該発信者の電話番号を前記表示手段から消去する制御手段」と引用発明の「記憶手段の記憶内容を利用して、電話をかけてきた相手に後で自動的に発信する手段」はいずれも「記憶手段を利用した発信制御手段」であるという点で一致している。
したがって、補正後の発明と引用発明は、以下の<一致点>で一致し、また、以下の<相違点1>〜<相違点2>で相違している。

<一致点>
「基地局と移動局からなる無線電話装置において、前記移動局が着信時に着信音を鳴動させずに発信者の電話番号を記憶する記憶手段と、
着信等の表示手段と、
記憶手段を利用した発信制御手段とを備えた無線電話装置。」

<相違点1>「着信等の表示手段」に関し、補正後の発明は「着信があったこと及び前記発信者の電話番号を記憶したことを表示する表示手段」であるのに対し、引用発明は「前記記憶手段に記憶された電話番号およびメッセージ情報を報知する報知手段」である点。

<相違点2>「記憶手段を利用した発信制御手段」に関し、補正後の発明は「操作部の発信キーの操作により記憶した前記発信者の電話番号に対して発信する発信手段と、前記発信手段で前記発信者の電話番号に発信し、当該相手が応答して通話を終了させた場合には、前記記憶手段に記憶されている当該発信者の電話番号を前記表示手段から消去する制御手段」であるのに対し、引用発明は「記憶手段の記憶内容を利用して、電話をかけてきた相手に後で自動的に発信する手段」である点。

[判断]
そこで、まず、上記相違点1の「着信等の表示手段」について検討するに、引用発明の「前記記憶手段に記憶された電話番号およびメッセージ情報を報知する報知手段」の一例は、上記摘記した引用例の明細書段落8の記載によれば「メモリ14に記憶したメッセージがあるか否かを判断し(ステップS9)、あればLEDを点滅させると共に、メッセージの件数をLCDに表示し(ステップS10)」というものであるところ、前記メッセージの件数表示は着信が少なくとも表示された件数分あったことを示しているから、当該件数表示を、補正後の発明のような「着信があったこと」に変更する程度のことは当業者であれば適宜成し得ることである。また、引用発明は「メモリ14に記憶したメッセージがあるか否かを判断し(ステップS9)、あればLEDを点滅」させる構成も備えているが、「発信者の電話番号」も検出された場合にメモリ14に記憶されるのであるから、メッセージの有無に代えて発信者の電話番号の有無を表示するように変更することも当業者であればその所望に応じて適宜成し得る程度のことである。したがって、引用発明の「前記記憶手段に記憶された電話番号およびメッセージ情報を報知する報知手段」を、補正後の発明のような「着信があったこと及び前記発信者の電話番号を記憶したことを表示する表示手段」に変更する程度のことは当業者であれば容易なことである。
ついで、上記相違点2の「記憶手段を利用した発信制御手段」について検討するに、例えば上記引用例2に開示されているように「発信者情報記録手段に記録された発信者の電話番号を利用して前記発信者に対して発信するとき、操作部の発信キーの操作により記憶した前記発信者の電話番号に対して発信すること」は普通に行われることであるから、引用発明の「記憶手段の記憶内容を利用して、電話をかけてきた相手に後で自動的に発信する手段」において「操作部の発信キーの操作により記憶した前記発信者の電話番号に対して発信する」ように構成することは当業者であれば適宜成し得ることである。また、例えば上記周知例1、2によれば「メモリに格納された電話番号を利用して発呼を行なう場合に、相手が応答した際または通話が行われた際に、当該電話番号をメモリから消去すること」は単なる慣用手段であるところ、当該慣用手段を引用発明の電話装置に適用する上での阻害要因は何ら見あたらず、かつ消去の条件を「相手が応答して通話を終了させた場合」に限定する特段の理由も見あたらないから、引用発明の「記憶手段の記憶内容を利用して、電話をかけてきた相手に後で自動的に発信する手段」を、補正後の発明のような「操作部の発信キーの操作により記憶した前記発信者の電話番号に対して発信する発信手段と、前記発信手段で前記発信者の電話番号に発信し、当該相手が応答して通話を終了させた場合には、前記記憶手段に記憶されている当該発信者の電話番号を前記表示手段から消去する制御手段」からなる構成に変更する程度のことも当業者であれば容易なことである。

以上のとおりであるから、補正後の発明は上記引用例に記載された発明及び引用例2、周知例1、2に記載された技術手段に基づいて容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.結語
以上のとおり、本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものではないから、特許法第17条の2第2項で準用する同法第17条第2項の規定(新規事項)に違反しており、また、補正後の発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第4項の規定により準用する特許法第126条第3項の規定にも違反している。
したがって、本件補正は特許法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成14年12月12日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願当初の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「基地局と移動局から構成された無線電話装置において、移動局が、着信時に着信音を鳴動させずに発信者の電話番号を記憶する記憶手段と、着信があったことおよび相手番号を記憶したことを表示する表示手段と、操作部の発信キーのキー操作により記憶した相手番号を発信する発信手段とを備えた無線電話装置。」

2.引用発明
引用発明および関連する周知技術は、上記「第2.2.(2)独立特許要件」中の[引用発明と周知技術]の項で認定したとおりである。

3.対比・判断
そこで、本願発明と引用発明とを対比するに、本願発明は上記補正後の発明にかかる「無線電話装置」の構成から「前記発信手段で前記発信者の電話番号に発信し、当該相手が応答して通話を終了させた場合には、前記記憶手段に記憶されている当該発信者の電話番号を前記表示手段から消去する制御手段を備え」という限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に前記限定を付加した補正後の発明が上記「第2.2(2)独立特許要件」の項で検討したとおり、上記引用例に記載された発明及び引用例2、周知例1、2に記載された技術手段に基づいて容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、容易に発明できたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用例に記載された発明及び引用例2、周知例1、2に記載された技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-11-16 
結審通知日 2004-11-24 
審決日 2004-12-07 
出願番号 特願平7-31232
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
P 1 8・ 561- Z (H04M)
P 1 8・ 575- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山中 実  
特許庁審判長 武井 袈裟彦
特許庁審判官 野元 久道
浜野 友茂
発明の名称 無線電話装置  
代理人 坂口 智康  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 内藤 浩樹  
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