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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02M 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H02M |
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管理番号 | 1111026 |
審判番号 | 不服2003-1950 |
総通号数 | 63 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-06-21 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-02-06 |
確定日 | 2005-02-04 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第299502号「空気調和機のインバーター装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 6月21日出願公開、特開平 8-163876〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件出願は、平成6年12月2日の出願であって、平成14年12月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年2月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成15年2月6日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成15年2月6日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1) 補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「インバーター駆動空気調和機の室外機本体内に、制御基板と、 圧縮機駆動用パワーモジュールと、ダイオードブリッヂと、ヒートシンクとを設け、前記圧縮機駆動用パワーモジュールと、前記ダイオードブリッヂの2素子を前記制御基板に半田付けすると共に放熱部側は前記ヒートシンクに面接触させるとともに、倍電圧整流用コンデンサーも前記制御基板上の前記圧縮機駆動用パワーモジュールの近傍に半田付けして配設し、かつ前記圧縮機駆動用パワーモジュール、前記ダイオードブリッヂ、前記ヒートシンク及び前記倍電圧整流用コンデンサーは前記制御基板において同じ面側に配置することを特徴とする空気調和機のインバーター装置。」 と補正された。 本件補正について、請求項1に記載した発明の構成に欠くことができない事項である、「圧縮機駆動用パワーモジュール」、「ダイオードブリッヂ」、「ヒートシンク」及び「倍電圧整流用コンデンサー」に関して「前記圧縮機駆動用パワーモジュール、前記ダイオードブリッヂ、前記ヒートシンク及び前記倍電圧整流用コンデンサーは前記制御基板において同じ面側に配置する」との限定を付加する点は、特許法第17条の2第3項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、「インバーター駆動用空気調和機」を「インバーター駆動空気調和機」と補正する点は、特許法第17条の2第3項第3号の誤記の訂正を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第4項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (2) 引用文献 引用文献1;実願昭59-53515号(実開昭60-167379号)のマイクロフィルム 引用文献2;実願平3-53387号(実開平6-52396号)のCD-RO M (ア) 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の、[考案の実施例]の欄の、特に第4頁第1行目〜同第13行目には、第4〜6図とともに、インバータ装置に関し、 「11は例えばアルミダイカスト鋳造製の箱体でその背面には放熱フィン11aが設けられている。13は半導体部品を搭載した印刷配線板であって、ネジ6により箱体11に取付け固定されている。14は放熱を必要とするトランジスタモジュール。15も放熱を必要とするダイオードモジュールであって、第6図に示すように、印刷配線板13の部品穴3aに端子ピン17の先端が半田付けされていると共に、底部は箱体11にネジ5により固定されている。16は印刷配線板13に開設された通し穴であって、第6図に示すように、各モジュール14,15の箱体取付穴の同一中心線上でかつネジ頭径より大きい寸法開口されている。」 との記載がある。 そうすると、引用文献1には、 「印刷配線板と、 トランジスタモジュールと、ダイオードモジュールと、ヒートシンクとを設け、前記トランジスタモジュールと、前記ダイオードモジュールの2素子を前記印刷配線板に半田付けすると共に放熱部側は前記ヒートシンクに面接触させるとともに、かつ前記トランジスタモジュール、前記ダイオードモジュール及び前記ヒートシンクは前記印刷配線板において同じ面側に配置したインバーター装置。」 との発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。 (イ) 同じく原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2の、第3頁第4行目〜同第10行目には、特に第2図について、 「第1図はけい光ランプ用インバータ回路の一実施例である。1はインバータ、11は発振トランス、12はノイズフイルタ、13は電解コンデンサ、14はブリッジ、15はチョーク、16,17はトランジスタ、4はけい光ランプである。 第2図は第1図のインバータ回路の実施構造図である。21はプリント基板、31,32は本考案のテープ、33はインバータ本体フレーム、34はインバータ本体カバーである。他の記号表示は第1図と同じである。」 と記載されている。 そうすると、引用文献2には、インバータ装置において「発振トランス、ノイズフイルタ、電解コンデンサ、ブリッジ、チョーク、トランジスタなどがプリント基板において同じ面側に配置」したものが開示されていると認められる。 なお、このように各種部品をプリント基板において同じ面側に配置することは一般的に周知の技術である。 (3) 対比 本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「印刷配線板」、「トランジスタモジュール」、「ダイオードモジュール」、は、本願補正発明の「制御基板」、「パワーモジュール」、「ダイオードブリッヂ」にそれぞれ相当するので、 両者は、 「制御基板と、 パワーモジュールと、ダイオードブリッヂと、ヒートシンクとを設け、前記パワーモジュールと、前記ダイオードブリッヂの2素子を前記制御基板に半田付けすると共に放熱部側は前記ヒートシンクに面接触させるインバーター装置。」 の点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1] 本願補正発明は、「インバータ装置」が「空気調和機」のためのものであって、かつ、「インバーター駆動空気調和機の室外機本体内」に配されており、また、「パワーモジュール」については「圧縮機駆動用」であるのに対し、引用発明は、その点が不明である点。 [相違点2] 本願補正発明は、「倍電圧整流用コンデンサーも前記制御基板上の前記圧縮機駆動用パワーモジュールの近傍に半田付けして配設」するものであるのに対し、引用発明は、「倍電圧整流用コンデンサー」自体について不明である点。 [相違点3] 本願補正発明は、「前記圧縮機駆動用パワーモジュール、前記ダイオードブリッヂ、前記ヒートシンク及び前記倍電圧整流用コンデンサーは前記制御基板において同じ面側に配置」するものであるのに対して、引用発明は、「パワーモジュール、ダイオードブリッヂ及びヒートシンクは制御基板において同じ面側に配置」するものであるが、「倍電圧整流用コンデンサー」については、それ自体が不明である点。 (4) 相違点についての判断 [相違点1]について インバータ装置は、空気調和機に広く利用されており、引用発明のものを空気調和機に適用するに困難な点はない。そして、この場合、インバータ装置を「インバーター駆動空気調和機の室外機本体内」に配することは普通のことである。また、その構成要素である「パワーモジュール」は、必然的に「圧縮機駆動用」のものとなる。 [相違点2]について インバーター装置において、「倍電圧整流用コンデンサー」を配することは周知の技術である(例えば、特開平1-291669号公報、特開昭63-234866号公報、特開昭61-167392号公報など参照)。 また、インバータ装置の周波数制御部には、サージ電圧を吸収するためのスナバ回路を配することが一般的であるが、各部品間の配線を短縮化する、各部品をモジュール化するなどにより、スナバ回路を省略できるということも周知の技術である(例えば、特開平3-128678号公報、実願昭61-191382号(実開昭63-97392号)のマイクロフィルム、三菱電機株式会社編「インバータ応用マニュアル」株式会社電気書院(昭和62年3月20日発行)第52頁、など参照)。 そうすると、引用発明において、「倍電圧整流用コンデンサー」を配したとき、これもインバータ装置の周波数制御部、即ち、「パワーモジュール」の近傍に制御基板上に半田付けして配設することは当業者が容易に推考できたことである。 [相違点3]について 引用文献2には、「発振トランス、ノイズフイルタ、電解コンデンサ、ブリッジ、チョークなどがプリント基板において同じ面側に配置」されたものが開示されている。そして、このように各種部品をプリント基板の同じ面側に配置することは周知の技術である。 ここで、原審の拒絶理由通知書(平成13年7月30日付け)中の「先行技術文献」として提示した、特開平2-290098号公報の、特に第6図には、本件出願の発明の従来技術と同様の、「ヒートシンク上にモジュール12とコンデンサ2を配し、これらとその上方の基板や部品との間を多数のケーブル等で接続する」ものが開示されている。 引用発明は、コンデンサの位置を特に開示するものではないが、ヒートシンク側に設けることを排除するものでもない。前記従来技術を参照すれば、引用発明において、コンデンサを基板に対してヒートシンク側に設けることも当業者が容易に想到することができたものといえる。 そして、本願補正発明の作用効果も、引用文献1,2に記載された発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願補正発明は、引用文献1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (5) むすび 以上のとおり、本願補正発明は、特許法第17条の2第4項において準用する同法第126条第3項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3. 本願発明について 平成15年2月6日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成13年4月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「インバーター駆動用空気調和機の室外機本体内に、制御基板と、 圧縮機駆動用パワーモジュールと、ダイオードブリッヂと、ヒートシンクとを設け、前記圧縮機駆動用パワーモジュールと、前記ダイオードブリッヂの2素子を前記制御基板に半田付けすると共に放熱部側は前記ヒートシンクに面接触させるとともに、倍電圧整流用コンデンサーも前記制御基板上の前記圧縮機駆動用パワーモジュールの近傍に半田付けして配設することを特徴とする空気調和機のインバーター装置。」 (1) 引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1,2及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載されたとおりである。 (2) 対比・判断 本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明から、誤記の訂正による部分を除き、「前記圧縮機駆動用パワーモジュール、前記ダイオードブリッヂ、前記ヒートシンク及び前記倍電圧整流用コンデンサーは前記制御基板において同じ面側に配置する」との限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含みさらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載されたとおり、引用文献1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3) むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論とおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-11-30 |
結審通知日 | 2004-12-07 |
審決日 | 2004-12-20 |
出願番号 | 特願平6-299502 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H02M)
P 1 8・ 121- Z (H02M) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 米山 毅 |
特許庁審判長 |
高木 進 |
特許庁審判官 |
佐々木 芳枝 三友 英二 |
発明の名称 | 空気調和機のインバーター装置 |
代理人 | 岩橋 文雄 |
代理人 | 内藤 浩樹 |
代理人 | 坂口 智康 |